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2020年10月12日 (月)

「豪剣無双の戦士よ…」

気配のない所に突然、俺を呼ぶ声があった。
俺は間髪を入れず剣で薙ぎ払ったが、手応えは何もなかった。

「わしは神じゃ♪」
刃の切り裂いた場所に、うっすらと老人の姿が浮かび上がった。
「何者っ!!」
「じゃから、わしは神じゃと言ったろう♪」
その老人はにたりと嗤った。
「その神が俺に何の用だ?」
「お主のおかげでかなりの悪者がこの世から消えていった。その褒美をやろうと思ってな♪」
「褒美などいらん。」
「そうは言うな。神ならではの逸品、どんな攻撃も防ぐ鎧なんてどうだ?」
「いらん。俺の剣はどんな攻撃でも弾き返すことができる。」
「とはいえ、お主にも弱みはあるのではないか♪」
「そんなものはない!!」
「たとえば…女…」

「…」
俺は返す言葉を失った。

「30を超えた今とてお主は…」
「ああ、そだよ!!」
俺は奴の言葉を途切らせた。
「俺は女がダメなんだよ!!だから今もって童貞だよ!!」
「だからじゃ♪この鎧を着ければ自然と女と付き合う事ができる。童貞をなじられることもない♪」
「…そ、そんな事ができるのか?」
「わしは神じゃぞ。不可能はない!!」

 

 

それが「夢」であったと思いたかった。
が、俺の枕元にはその「鎧」とやらが置かれていた。
「鎧」とはいっても全身を覆うものではないようだ。
胸当て、籠手、脛当て以外は布のようなものが連なっていた。
布とはいっても、細かな鎖を編み込んでいるようで、そこそこの防御力はありそうだ。
俺はそのしなやかさが俺の動きを阻害しない一点でその「鎧」に及第点を付けてやった。
試しに、その「鎧」を装着してみる。
下半身から…とズボンの上から履こうとしたが、相当スリムにできているようで巧くいかない。
裏地が付いており、直接肌に触れても問題ないようなので、下着一枚で装着することにした。
結構締め上げてくるが、俺の動きを阻害することはないようだ。
どちらかといえば、その締まり具合が筋肉の力を増大させるようになっていた。
「鎧」は胸当て以外はつなぎのように上半身部分と一体化しており、両腕を通したあと、前袷を紐で閉じてゆく。
最後に胸当てを被るようにして装着して完成だった。

中庭に出て素振りをしてみた。
いつもよりスピードが乗っている。
振り切る途中で静止を掛けると、切っ先がぶれることなくピタリと止まった。
いつも以上に思い通りに身体が動いた。
「鎧」は俺の動きを阻害することなく…それ以上に俺の肉体を動かしてくれた。
柔軟性が高まっている。
上体が前後に自由に動いた。
開脚すれば180゚以上に広がる。
片足を振り上げれば、俺の伸ばしたままの上半身にピタリと吸い付くようだ。

俺は「鎧」を着けている事を忘れたかのように全身を動かし続けた。
それはまるで「舞」を踊っているようにも見える。
クルクルと回り、高く飛び跳ね、宙空で様々なポーズを決める…
俺は疲れを忘れたかのように踊り続けていた。

誰かが俺の手を掴んでいた。
俺はその腕を潜るように身を躍らせた。
その腕が俺を更に高い所に放り上げる。
俺は更に複雑な動きを加え、そのまま落下してゆく。
しかし、地面すれすれで腰を掴まれて激突を免れる。
そのままそいつの頭上に軽々と持ち上げられた。
その上で伸身の倒立。微動だにせず支えてくれている。
開脚して上体を起こす。
少しだけの反動で投げ上げられる。
そのまま一回転し、伸身で降下…
腰を支えられ、ゆっくりと地面に足が着いた。
見上げると、そこに男の優しい笑顔があった。
「すまない。あまりにも可憐な舞に、ついつい割り込んでしまった。」

その「可憐」という評価に違和感を覚える。
そうだ。男はそんなに巨漢という訳ではない。
なのに、何故俺は彼を見上げているのだ?
俺の手が握られ、持ち上げられる。
その甲に彼の唇が触れた。

俺は何をされた?
それは男が女にする礼式ではないか?
それに、今、俺の着ている服…
「鎧」がその姿を一変させていた。
それは、まるで踊娘の着るようなヒラヒラと装飾が施されている?

胸当てが俺の胸を締め付けている。
その下には塊が圧し潰されているような感じがした。
(どうなっているんだ?)
俺は立ちすくむ男を残し、部屋に駆け込んでいった。
全身を鏡に映す。
そこには「俺」の姿は存在しなかった。
愛らしい娘が唖然とした表情で俺を見返していた。

「…これが…俺…か?」

俺は「鎧」であった踊娘の衣装を脱ぎ去った。
そこには、まさしく「女」の裸体が現れていた。
抑え揉まれていた双球が存在を主張する。
股間には一本の深い溝が穿たれている…
(何で、こんな…)
『…自然と女と付き合う事ができる。童貞をなじられることも…』
そう夢の中で老人は言った。
この姿であれば、女性は同性となる。
女性同士でいる事には何の違和感も生まれることはない。
そでに、「女」であれば「童貞」と言われることもない…

(俺はこのまま「女」として生きなくてはならないのか?)
「女」として「男」に抱かれる?
俺の脳裏に先ほどの男の顔が浮かんでいた。
その逞しい腕を思い出さす。
俺を抱きとめた暖かな胸…
(ジュン…)
俺は股間が潤むのを感じていた♪

 

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