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2020年10月12日 (月)

秘湯

秘湯を求めて、俺はこの温泉宿に辿り着いた。
文筆業…小説家として、半月程逗留するとして奥まった一室に潜り込んだ。
勿論、ここに秘湯がある…などという事は市販の書籍に掲載されてはいない。
口伝でまことしやかに囁かれているのみである。

逗留を始めて一週間。ようやく秘湯の存在を突き止める事ができた。
ただ、その湯は宿の女湯側から続く隘路の先にあるらしく、男の俺では正面から辿り着くのは無謀な事も判明した。
とにかく女達の間で秘匿されたもののようなので、秘湯の件を探っている事を知られてしまえば、更に警戒されることは間違いなかった。

その夜…月は新月、星明りのみに照らされた隘路を俺は秘湯に向かった。
人の気配を気にしつつ、鬱蒼とした木々に隠された洞穴に辿り着いた。
奥からは湯気が零れ出ている。
木製の簡易的な脱衣場が設えられていた。
とはいえ、そこに物を置けば気付かれる可能性もある。
俺は脱いだ衣服と靴を持ってきたビニール袋に入れ、岩陰に隠しておいた。

洞窟の中は湯気に満たされていた。
ミストサウナ状態の中を奥へと進んでゆく。
湯の満ちた場所があった。
俺はその湯の中に身体を沈め、更に奥へと向かった。

湯は温めではあったが白濁して肌にまとわり付くような感じがした。
源泉のチロチロ落ちる音を頼りに進むと、不意に辺りが明るくなった。
奥まった所に突き出た筒状のものから湯が湧き出ていた。
岩壁を見ると何かが描かれていた。
実際は湯気に阻まれ「見る」ことはできないのだが、俺の脳裏にはそこに描かれているものが鮮明に映し出されていた。

「効能とかか?」
ここが「秘湯」であるというだけで、その効能とかの情報は一切手に入れることはできていなかった。
「子宝?」
この湯に浸かった最初の交合で確実に子が授かる…ということのようだ。
その為には…

そこに突き出た筒を直接咥え、源泉を呑み込む…
俺は岩壁に描かれた指示に従い、筒の前に進んだ。
すると、源泉の噴出が停止した。
そう、先ずはこの筒を咥えるのだ。
そして再び源泉を湧かせるには、舌や頤で筒の先端を刺激する必要があった。
俺が何もしないでいると、筒が萎びてゆくようだった。
俺は柔らかくなった筒を咥え、舌でその先端を刺激した。

すると、筒は再び硬さを取り戻してくれた。
俺は頭を前後に揺すり、口全体で筒を刺激した。
やがて、筒の奥から競り上がってくるものがあるように感じた。
俺の動きが一瞬止まった。
ドクリ!!
筒の中を駆け上がってくる塊があった、
それが俺の喉の奥に叩き付けられた…

一時的に溜められた事で泉質の濃度が高まったようだ、
ねっとりとした白い粘液が俺の口を、喉を埋め尽くしていた。
ゴクリと俺はその粘液を呑み込んでいた。
その直後、俺の身体が熱を帯び始めた。
特に下腹部を中心に爛れるくらい熱くなった。

そして、次の行為が示される。
俺は熱に朦朧とするなか、その行為n向かった。
今度はその筒を股間に宛がうのだ。
膝立ちで筒の上に進んでゆく。
筒はトクトクと粘度の高い源泉を溢している、
俺はその上に股間を降ろしていった…


筒は俺のナカに潜り込んできた。
湧き出す源泉が潤滑油のようにソコを潤す。
本来、ある筈のない場所に俺は筒を受け入れていた。
暖かな源泉が肉壁を溶かし、いつでも受胎可能なように胎盤を解してゆく。

「あん♪あ、ああ~ん!!」
いつしか俺はオンナのように艶めかしい喘ぎ声を上げていた。
「あっ…イク…イッちゃう…」
快感が高まり、俺はオンナのように気を吐いていた…

 

 

 

気が付くと俺は布団に寝かされていた。
胸の上に微かな重みが違和感として存在している…
浴衣をはだけ、胸元に手を延ばす…
男にはある筈のない膨らみを掴むことになった。
(「男」?…)
俺のもう一方の手が股間に向かった。
そこにある筈のモノはなく…
ある筈のない筋が俺の指を挟み込んでいた。


「効能は違いません。」
女将はそう俺に告げた。
「この先、最初に抱かれた殿方の子を孕むことになります。」
俺は逗留期間の残りに「女」の嗜みを教え込まれた。

「お世話になりました。」
俺は旅館で用意してもらった女物の服に身を包み、自ら施した化粧で女将に挨拶した。
俺はこの先「女」として生活するしかないと理解し、納得することになった。
そして「妊娠」の可能性という爆弾を抱えて過ごすことになるのだ。
自らの意志で男に抱かれる事は想像できないが、女はどんな時でも「強姦される」可能性を排除することはできないのだ。
俺自身、男であった時でさえ力で他者の暴力に抗うことはできそうにもなかったのだ。
女となった今、男に抗うことは更に困難であろう。
「さあ、どうぞ♪」
それもまた女将の優しさだったのだろう。
ドアを開けたタクシーの運転手は女性であった。
俺は「ありがとう♪」と微笑み、タクシーに乗り込み温泉郷を後にしたのだった…

 

 

P.S.
「その節はお世話になりました…」
あたしは温泉旅館の女将に手紙をしたためていた。
もうすぐ臨月となるお腹を擦りながら、あの日の事を思い出していた。
「何を書いているんだい?」
問いかけてきたのは優しいあたしの旦那様…
この子の父親だ。
あたしは彼に微笑みを返す♪

「…今、あたしは幸せに包まれています♪」
と書いて、あたしはペンを置いた…

 

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