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2020年10月12日 (月)

魔女?

「とりっく・おあ・とりーと?」

ドアの前にいたのは魔女の扮装をした女の子?だった。
(そうか…もうそんな時期か…)
と10月の終わりから始まる年末年始までのイベントを思い出していた。
それとともに「女の子?」の「?」である。
女の子にしては声が男の子のように聞こえたのだ。
よく見ると、その子の顔も男の子にしか見えなくなってくる。

「とりっく・おあ・とりーと?」
と繰り返えされた。
「お菓子くれないとイタズラしちゃうんだぞっていう意味らしいんだぞ。」
と、その子が続けた。
「イタズラされるのは嫌だけど、今君にあげられるようなお菓子の用意はないんだ。」
「なら、ボクと一緒にお菓子を貰いに行くしかないね♪」
「一緒に?大人の俺が?」
「大丈夫♪お姉ちゃんに魔法のおまじないを教えてもらったから♪」
そう言うと、一本の箸のような棒…リボンが巻かれ、ガラス玉のような飾りが付いている…を取り出し
どこの国の言葉か判別のつかない「呪文」を唱えた。

パシッ!!

光に包まれ、煙が立ち込めた。
(火災報知器が反応しないと良いな…)
などと考えているうちに、足元が涼しく感じた。
太ももに何かが触れている。
いつの間にか、頭に何かを被せられていた。
「じゃあ行こうか♪」
見下ろしていた筈の女の子?の顔が目の前にあった。
周りのものが大きく見える?
「ちょっと待って!!」
そう言ってドアに貼られた鏡を見た。
そこには女の子?と同じ魔女の恰好をした女の子=自分が映っている。
頭に被った魔女の帽子の下からはお下げ髪が左右で揺れている。
太ももに触れているのはスカートの裾…

「大丈夫♪すぐに慣れるって言ってたよ。」
「本当?」
「まずは、『とりっく・おあ・とりーと』と言ってごらん♪」
「とりっく・おあ・とりーと?」
「じゃあ、ボクを愛すキャンディーを舐めさせてあげよう♪」
「キャンディー?」
「愛すキャンディー♪コレだよ♪」
女の子?がスカートをたくし上げると下着も着けていない股間で、おちんちんが勃起していた。
彼が「男の子」ってことはわかったけど…
「これを…舐めるの?」
「舐めるだけじゃなくて、咥えたり、吸ったりするのも良いんだよ♪」
言われるままに彼の前に座り、その股間に顔を寄せていた。
(何か良い匂いがする…)
ボーっとなって、彼のおちんちんを咥えていた。

「っあ、出る!!」
と彼が言うと、どろっとしたものが口の中に放たれていた。
ごくりと呑み込むと、それが身体の隅々に染み込んでゆくのが感じられた。
「OK♪これでもう慣れたよね?」
「慣れた…の?」
そう言われてみると、今まで気に掛かっていた事が綺麗サッパリ無くなっている。
あたしはもう「あたし」だった。
「じゃあ、次の家にお菓子をもらいに行こうか♪」
「うん♪」
あたしは彼に手を引かれ、次の家に向かった。


「こんばんわ♪ とりっく・おあ・とりーと?」

 

「豪剣無双の戦士よ…」

気配のない所に突然、俺を呼ぶ声があった。
俺は間髪を入れず剣で薙ぎ払ったが、手応えは何もなかった。

「わしは神じゃ♪」
刃の切り裂いた場所に、うっすらと老人の姿が浮かび上がった。
「何者っ!!」
「じゃから、わしは神じゃと言ったろう♪」
その老人はにたりと嗤った。
「その神が俺に何の用だ?」
「お主のおかげでかなりの悪者がこの世から消えていった。その褒美をやろうと思ってな♪」
「褒美などいらん。」
「そうは言うな。神ならではの逸品、どんな攻撃も防ぐ鎧なんてどうだ?」
「いらん。俺の剣はどんな攻撃でも弾き返すことができる。」
「とはいえ、お主にも弱みはあるのではないか♪」
「そんなものはない!!」
「たとえば…女…」

「…」
俺は返す言葉を失った。

「30を超えた今とてお主は…」
「ああ、そだよ!!」
俺は奴の言葉を途切らせた。
「俺は女がダメなんだよ!!だから今もって童貞だよ!!」
「だからじゃ♪この鎧を着ければ自然と女と付き合う事ができる。童貞をなじられることもない♪」
「…そ、そんな事ができるのか?」
「わしは神じゃぞ。不可能はない!!」

 

 

それが「夢」であったと思いたかった。
が、俺の枕元にはその「鎧」とやらが置かれていた。
「鎧」とはいっても全身を覆うものではないようだ。
胸当て、籠手、脛当て以外は布のようなものが連なっていた。
布とはいっても、細かな鎖を編み込んでいるようで、そこそこの防御力はありそうだ。
俺はそのしなやかさが俺の動きを阻害しない一点でその「鎧」に及第点を付けてやった。
試しに、その「鎧」を装着してみる。
下半身から…とズボンの上から履こうとしたが、相当スリムにできているようで巧くいかない。
裏地が付いており、直接肌に触れても問題ないようなので、下着一枚で装着することにした。
結構締め上げてくるが、俺の動きを阻害することはないようだ。
どちらかといえば、その締まり具合が筋肉の力を増大させるようになっていた。
「鎧」は胸当て以外はつなぎのように上半身部分と一体化しており、両腕を通したあと、前袷を紐で閉じてゆく。
最後に胸当てを被るようにして装着して完成だった。

中庭に出て素振りをしてみた。
いつもよりスピードが乗っている。
振り切る途中で静止を掛けると、切っ先がぶれることなくピタリと止まった。
いつも以上に思い通りに身体が動いた。
「鎧」は俺の動きを阻害することなく…それ以上に俺の肉体を動かしてくれた。
柔軟性が高まっている。
上体が前後に自由に動いた。
開脚すれば180゚以上に広がる。
片足を振り上げれば、俺の伸ばしたままの上半身にピタリと吸い付くようだ。

俺は「鎧」を着けている事を忘れたかのように全身を動かし続けた。
それはまるで「舞」を踊っているようにも見える。
クルクルと回り、高く飛び跳ね、宙空で様々なポーズを決める…
俺は疲れを忘れたかのように踊り続けていた。

誰かが俺の手を掴んでいた。
俺はその腕を潜るように身を躍らせた。
その腕が俺を更に高い所に放り上げる。
俺は更に複雑な動きを加え、そのまま落下してゆく。
しかし、地面すれすれで腰を掴まれて激突を免れる。
そのままそいつの頭上に軽々と持ち上げられた。
その上で伸身の倒立。微動だにせず支えてくれている。
開脚して上体を起こす。
少しだけの反動で投げ上げられる。
そのまま一回転し、伸身で降下…
腰を支えられ、ゆっくりと地面に足が着いた。
見上げると、そこに男の優しい笑顔があった。
「すまない。あまりにも可憐な舞に、ついつい割り込んでしまった。」

その「可憐」という評価に違和感を覚える。
そうだ。男はそんなに巨漢という訳ではない。
なのに、何故俺は彼を見上げているのだ?
俺の手が握られ、持ち上げられる。
その甲に彼の唇が触れた。

俺は何をされた?
それは男が女にする礼式ではないか?
それに、今、俺の着ている服…
「鎧」がその姿を一変させていた。
それは、まるで踊娘の着るようなヒラヒラと装飾が施されている?

胸当てが俺の胸を締め付けている。
その下には塊が圧し潰されているような感じがした。
(どうなっているんだ?)
俺は立ちすくむ男を残し、部屋に駆け込んでいった。
全身を鏡に映す。
そこには「俺」の姿は存在しなかった。
愛らしい娘が唖然とした表情で俺を見返していた。

「…これが…俺…か?」

俺は「鎧」であった踊娘の衣装を脱ぎ去った。
そこには、まさしく「女」の裸体が現れていた。
抑え揉まれていた双球が存在を主張する。
股間には一本の深い溝が穿たれている…
(何で、こんな…)
『…自然と女と付き合う事ができる。童貞をなじられることも…』
そう夢の中で老人は言った。
この姿であれば、女性は同性となる。
女性同士でいる事には何の違和感も生まれることはない。
そでに、「女」であれば「童貞」と言われることもない…

(俺はこのまま「女」として生きなくてはならないのか?)
「女」として「男」に抱かれる?
俺の脳裏に先ほどの男の顔が浮かんでいた。
その逞しい腕を思い出さす。
俺を抱きとめた暖かな胸…
(ジュン…)
俺は股間が潤むのを感じていた♪

 

被憑依

気が付くと、俺は何者かに憑依されていた。
金縛りにあったように、俺は指一本動かせなかった。
逆に、そいつは俺の肉体を勝手に動かし始めた。
俺のスマホを手に取ると、アプリをインストールした。
次に、俺の服を脱がす。
全裸になると、インストールしたアプリで全身を自撮りした。
画面に様々な数字が表示される。
見知った数値があった。
項目名はHeight…身長のようだ。
俺の身体的情報が採取されたようだ。
続いて開かれたのはファッション系の通販サイトのようだ。
俺には全く縁のないキラキラ・ヒラヒラのドレスやセクシーな下着…
その全てが女性用のものである。
憑依したやつはその中から何点かをカートに入れてゆく。
次は化粧品・アクセサリー…
最後にロン毛のかつらを放り込み、俺のカードで決済していた。

次にトイレに向かった。
俺自身には排泄が必要な感じはまったく無かったが…
便座に座るなり大・小が一気に放出された。
一度排泄物を流した後も、腸が勝手に蠕動してゆく。
まるで浣腸をしたかのように腸内の物が全て排泄されてしまったようだ。

続いて風呂場に向かった。
全身に泡立てた石鹸を塗り込めると、カミソリで体毛を剃り落としてゆく。
指先から腕、脇…
胸毛、乳毛、腹毛…
脚も尻も股間も…
本来の俺であれば手の届かない場所へも憑依したやつは巧に筋肉を制御して届かせてしまう。
時間を掛けて、剃り残しのないように洗い流しては再び石鹸をまといカミソリを滑らす。
勿論、俺には何の干渉もできない。
俺であれば、どこかに剃り傷を作ってしまうであろう。
奴の巧な手技は俺の皮膚に傷ひとつ付けることなく、髪の毛とまつ毛を残し全身の毛を剃り落としていた。

風呂から出てしばらく休息していると、宅配便が到着した。
下着も着けず、ズボンとシャツだけを着て荷物を受け取った。
さっきの通販サイトで購入した品々だった。
最初に取り出したのは化粧品関連のもののようだった。
ズボンとシャツを脱いで再び全裸となると、ボトルからクリーム状のものを手に取り全身に塗り込めていった。
肌がしっとり、プルンとするような感じになった。
次にブラジャーとショーツを取り出す。
慣れた手つきで背中のホックを止める。
勿論、俺の…男の胸ではカップの中はスカスカである。
と、取り出したのは人工乳房のようだ。
裏側に接着剤を付け、胸に押し付け、ブラのカップに納める。
人口乳房との境目が薄れてゆくと、俺の胸に本物の乳房が付いているみたいだ。

床に尻を着くと、股間を広げた。
さっきの接着剤をペニスの付け根の左右に塗り込んだ。
そして、ぐいっとペニスを股間に押し込む。
先端だけが少し露出するようにして、左右の皮膚を合わせる。
そこに塗ってあった接着剤がペニスを閉じ込め、固定する。
手を離すと、そこには女のような縦の筋が出来上がっていた。

ショーツを穿かされ、キャミソール、ブラウスと着せられてゆく。
下半身はパンストで覆われ、スカートを穿かされた。
頭にネットを被せられると、次は化粧だった。
何をどう塗っているのかは分からなかったが、次第に俺の顔は女の顔に変わっていった。
爪を塗り、アクセサリーを付け…
最後にかつらを被せられ、長い髪を起用に結い上げる。
鏡に映った「俺」はどこから見ても「女」でしかなかった。

「あ、あ、あー」
と声を出していた。聞こえるのはいつもの俺の声だ。
「あー、あー、あー、あー、あー」
と音程が上がってゆく。
裏声になると、今度は裏声のまま音程が下がっていった。
「まあ、こんなもんかしらね♪」
いつの間にか、俺の口からはハスキーだが女のような声が出ていた。
勿論、俺が喋っているんではない。
俺に憑依したやつが喋っているのだ。
そいつは満足したかのように、鏡に向かってウィンクしていた。

踵の高いパンプスを履き、バックを手に外に出てゆく。
本来の俺であれば、まともに歩くことのできない不安定な靴にも拘わらず、やつは余裕をもって歩きだしていた。
タクシーを止め、目的地であろうホテルの名前を告げた。
移動する間にスマホで誰かと連絡を取り合っていた。
目的地のホテルで落ち合うようだ。

 


タクシーから降りると慣れた感じでフロントを通過してゆく。
エレベータで目的の階に上る。
「待っていたよ♪」
転がり込むように部屋に入ると、がっしりとした男の腕に抱えられていた。
「長かったわ…」
俺の目から滴が落ちてゆく。
男の舌が涙を拭い、そのまま俺の唇に吸い付いてきた。
「ぁ、ああ…」
俺が嗚咽を漏らす。
全身から力が抜けたようになり、そのまま男に抱えあげられた。
ベッドに寝かされる。
「時間は十分にある。」
そう言って男に頭を撫でられると、少しずつ落ち着きが戻ってゆくようだ。

窓の外で陽が傾いてゆく。
空が茜色に染まり、照明を落とした室内も同じ色に染められる。
男は何も言わず、ずっと俺の手を握っていた。
「長かったわ…」
再び俺はそう言っていた。
「来世なんて…もう信じられなくなっていた…」
「でも、こうして君は戻ってきてくれた♪」
「信じてくれていたの?」
「勿論♪」

「愛してるわ♪」
俺はそう口にしていた。
「僕もだ♪そう…ずっと君の事を愛し続けていた。」
「あたしも…」
俺はそう言うと身体を起こした。
「だから、今度こそ…」
「そうだね♪」

俺は服の脱ぎ、下着も外していた。
人口乳房はまるで俺自身のものであるかのように晒されている。
なにもない股間が熱を帯び、汗を滲ませたかのように濡れ始めていた。
再びベッドの上に寝転ぶ。
「来て♪」
俺が言うと男も全裸で身体を重ねてきた。
その股間には勿論屹立した男性自身…
俺はそれが当然のように彼を股間に誘導してゆく。
「んあっ…」
俺が吐息を漏らす。
それが俺のナカに差し込まれたのだ。

(ナカ?!)
確か、俺の股間は女の股間みたいに細工されていた。
ペニスが押し込められているが、それは皮一枚で細工されていただけの筈。
俺の股間にはソレを受け入れるような場所などないのだ。
そう、男娼がするように肛門であれば可能であるかも知れない。
が、そこは肛門ではない!!

ヌッ…
更に突き入れる。が、そこで一旦停止する。
「ハジメテなのだろう?痛いと思うが耐えてくれ。」
男がそう言う。
「大丈夫よ♪」
と俺。
…って、俺は処女なのか?ハジメテって、痛みって?
「!!!!!!!!ッツ!!」
俺は眉間に皺を寄せているのだろう。
破瓜の痛みというものなのだろう。
何もできない俺は、ただ痛みを感じているだけだった…

「入ったよ♪」
男がそう言う。
「感じてるわ♪」
目に涙を浮かべているが、それは悦びに満たされているようだ。
俺は俺の胎の内に男のモノの存在を感じていた。
男が動くとオンナの快感なのだろう、快感に満たされてゆく。
「あ、ああ…いい…♪」
女が喘いでいる。
いつしか、俺も快感に自ら喘いでいた。
「ああ、そこ♪もっと…」
男が動き、快感が溢れてくる♪
「ぁ…い、いく…」
「僕も、限界だ♪」
男の精が俺のナカに放出された。
「あ、ああああ~~~~!!」
強烈な快感に俺は嬌声を発し、そのまま意識を失っていた…

 

 

「大丈夫?」
男が俺を覗き込んでいた。
「お互い、憑依されていたとはいえ、こんな事になって申し訳ないと思っている。」
「…憑依…?」
俺は自分で声を出せるようだ。
「彼等はちゃんと成仏できたようだ。が、原因が何であろうと、僕も男としての責任は取るつもりだ。」
「責任?」
「ハジメテだったのだろう?それに避妊もせずに…」

俺が状況を把握するまでにしばらく時間が掛かった。
そう…俺は「男」の筈である。が、肉体は「女」になったとしか思えない…
「シャワーを浴びて来ます…」
そう言って立ち上がった。
股間からは彼の精液が滴っているように感じながら風呂場に向かった。
頭から湯滴を被る。
肩から胸、腰、脚へとお湯が流れ落ちてゆく。
造り物の筈の乳房の境目が見つからない…
先端の乳首に触れると、触れられている感覚がある。
股間に手を延ばす…
割れ目の中に指が入り、押し込んだモノの痕跡を探すが見つかる筈もない。
そこには彼を受け入れた膣口があり、更に奥へと続いていた。
指で彼の精液が掻き出せるようだ…

これはもう「俺」の肉体だった…

風呂場から出てくると机の上に置手紙があった。
「今夜はそのまま休んでいってください。
 何かあったらここに連絡してください。」
と彼の電話番号とメールアドレスが残されていた。
何故か俺の目からは涙が零れ、その後一晩泣き明かしていた…

 

 

 

秘湯

秘湯を求めて、俺はこの温泉宿に辿り着いた。
文筆業…小説家として、半月程逗留するとして奥まった一室に潜り込んだ。
勿論、ここに秘湯がある…などという事は市販の書籍に掲載されてはいない。
口伝でまことしやかに囁かれているのみである。

逗留を始めて一週間。ようやく秘湯の存在を突き止める事ができた。
ただ、その湯は宿の女湯側から続く隘路の先にあるらしく、男の俺では正面から辿り着くのは無謀な事も判明した。
とにかく女達の間で秘匿されたもののようなので、秘湯の件を探っている事を知られてしまえば、更に警戒されることは間違いなかった。

その夜…月は新月、星明りのみに照らされた隘路を俺は秘湯に向かった。
人の気配を気にしつつ、鬱蒼とした木々に隠された洞穴に辿り着いた。
奥からは湯気が零れ出ている。
木製の簡易的な脱衣場が設えられていた。
とはいえ、そこに物を置けば気付かれる可能性もある。
俺は脱いだ衣服と靴を持ってきたビニール袋に入れ、岩陰に隠しておいた。

洞窟の中は湯気に満たされていた。
ミストサウナ状態の中を奥へと進んでゆく。
湯の満ちた場所があった。
俺はその湯の中に身体を沈め、更に奥へと向かった。

湯は温めではあったが白濁して肌にまとわり付くような感じがした。
源泉のチロチロ落ちる音を頼りに進むと、不意に辺りが明るくなった。
奥まった所に突き出た筒状のものから湯が湧き出ていた。
岩壁を見ると何かが描かれていた。
実際は湯気に阻まれ「見る」ことはできないのだが、俺の脳裏にはそこに描かれているものが鮮明に映し出されていた。

「効能とかか?」
ここが「秘湯」であるというだけで、その効能とかの情報は一切手に入れることはできていなかった。
「子宝?」
この湯に浸かった最初の交合で確実に子が授かる…ということのようだ。
その為には…

そこに突き出た筒を直接咥え、源泉を呑み込む…
俺は岩壁に描かれた指示に従い、筒の前に進んだ。
すると、源泉の噴出が停止した。
そう、先ずはこの筒を咥えるのだ。
そして再び源泉を湧かせるには、舌や頤で筒の先端を刺激する必要があった。
俺が何もしないでいると、筒が萎びてゆくようだった。
俺は柔らかくなった筒を咥え、舌でその先端を刺激した。

すると、筒は再び硬さを取り戻してくれた。
俺は頭を前後に揺すり、口全体で筒を刺激した。
やがて、筒の奥から競り上がってくるものがあるように感じた。
俺の動きが一瞬止まった。
ドクリ!!
筒の中を駆け上がってくる塊があった、
それが俺の喉の奥に叩き付けられた…

一時的に溜められた事で泉質の濃度が高まったようだ、
ねっとりとした白い粘液が俺の口を、喉を埋め尽くしていた。
ゴクリと俺はその粘液を呑み込んでいた。
その直後、俺の身体が熱を帯び始めた。
特に下腹部を中心に爛れるくらい熱くなった。

そして、次の行為が示される。
俺は熱に朦朧とするなか、その行為n向かった。
今度はその筒を股間に宛がうのだ。
膝立ちで筒の上に進んでゆく。
筒はトクトクと粘度の高い源泉を溢している、
俺はその上に股間を降ろしていった…


筒は俺のナカに潜り込んできた。
湧き出す源泉が潤滑油のようにソコを潤す。
本来、ある筈のない場所に俺は筒を受け入れていた。
暖かな源泉が肉壁を溶かし、いつでも受胎可能なように胎盤を解してゆく。

「あん♪あ、ああ~ん!!」
いつしか俺はオンナのように艶めかしい喘ぎ声を上げていた。
「あっ…イク…イッちゃう…」
快感が高まり、俺はオンナのように気を吐いていた…

 

 

 

気が付くと俺は布団に寝かされていた。
胸の上に微かな重みが違和感として存在している…
浴衣をはだけ、胸元に手を延ばす…
男にはある筈のない膨らみを掴むことになった。
(「男」?…)
俺のもう一方の手が股間に向かった。
そこにある筈のモノはなく…
ある筈のない筋が俺の指を挟み込んでいた。


「効能は違いません。」
女将はそう俺に告げた。
「この先、最初に抱かれた殿方の子を孕むことになります。」
俺は逗留期間の残りに「女」の嗜みを教え込まれた。

「お世話になりました。」
俺は旅館で用意してもらった女物の服に身を包み、自ら施した化粧で女将に挨拶した。
俺はこの先「女」として生活するしかないと理解し、納得することになった。
そして「妊娠」の可能性という爆弾を抱えて過ごすことになるのだ。
自らの意志で男に抱かれる事は想像できないが、女はどんな時でも「強姦される」可能性を排除することはできないのだ。
俺自身、男であった時でさえ力で他者の暴力に抗うことはできそうにもなかったのだ。
女となった今、男に抗うことは更に困難であろう。
「さあ、どうぞ♪」
それもまた女将の優しさだったのだろう。
ドアを開けたタクシーの運転手は女性であった。
俺は「ありがとう♪」と微笑み、タクシーに乗り込み温泉郷を後にしたのだった…

 

 

P.S.
「その節はお世話になりました…」
あたしは温泉旅館の女将に手紙をしたためていた。
もうすぐ臨月となるお腹を擦りながら、あの日の事を思い出していた。
「何を書いているんだい?」
問いかけてきたのは優しいあたしの旦那様…
この子の父親だ。
あたしは彼に微笑みを返す♪

「…今、あたしは幸せに包まれています♪」
と書いて、あたしはペンを置いた…

 

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