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2020年7月25日 (土)

渡された物

「これは?」
渡された紙袋には布…何らかの衣服のようなものが入っていた。
部屋に戻ってから開けるようにと言われたので、僕はその紙袋を手に家に戻っていった。

そして、今紙袋は僕の机の上にあった。
誰から渡されたのか、記憶があやふやになっていたが、僕は何かに駆られるように、紙袋の中のものを取り出していた。
「?」
それが女性用の衣服の一式であることは即に判明していた。
僕が躊躇したのは一瞬であった。
僕は立ち上がり、今着ていたものを脱ぎ去ると、その女性用の衣服を身に着けていった。
勿論、下着…パンティやブラジャーもだ。

不思議な事に、パンティを穿いてもその股間には不自然な膨らみは生じていない。
それどころか、薄布の下にはうっすらと縦筋の存在が窺われていた。
ブラジャーを着けると、胸の肉が盛り上がりカップを充たしてゆく。
それを僕は異常な事であるとは認識できていなかった。
ブラウスを着る。
男物とは袷が逆なのに戸惑うことなくボタンを嵌めてしまう。
スカートを穿くとキュッとウエストが締まり、女性らしい身体のラインが完成した。


いつの間にか鏡の前に化粧品が並んでいた。
否…鏡自体、この部屋には存在していなかったものだ。
そして…
鏡に映っているのは、誰だ?!
それは「僕」ではない!!
僕がこんな…
その顔はどう見ても「女の子」でしかない。

その「女の子」は鏡に向かうと、化粧水を手に取り、顔に塗り込んでいった。
プルンとした肌にしっとりと染み込んでゆく。
そこにはチクチクとした髭の剃り跡など一切ない…
乳液、ファンデーションと下地を整えると、アイメイクに取り掛かる。
鏡の中の「あたし」が徐々に仕上がってゆく。
最後に口紅を乗せて完成した。


…って、何であたしはお化粧なんかしたんだろう?
さっき部屋に帰ってきたんじゃなかったっけ?

その時、ドアチャイムが鳴った。
誰?
時計を見る。
やだ、もうこんな時間っ!!
彼だ♪
「彼」って?
彼はあたしの彼氏…恋人じゃない♪
そう、これからデートだった♪
あたしはカーディガンを羽織るともう一度鏡で身だしなみを確認する。
OK、今日も可愛わよ♪
あたしはハンドバッグを手に彼の胸に飛び込んでいった。

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