« 出張(1/4) | トップページ | 百合じゃない!! »

2020年4月18日 (土)

疫病

その街からは人の気配は一掃されていた。
まん延した疫病により、多くの者の命が絶たれ、残りの者達はこの街を離れていった。
だだ一部の免疫を持った者だけが生き延びていた。
俺もまたその数少ない免疫者のひとりである。
だが、その免疫を得る為には失わなければならないものがあった。
 
 
それはまだ実験段階…というよりは、まだ仮説でしかなかった。
今まで人類は空想の中だけに存在した特別な存在があった。
男性でありながら、男性の精を受けて妊娠・出産が可能な存在…単なる半陰陽ではない…勿論、性自認が男の女性でもない。
その特別な存在のみが免疫を持つという仮説であった。
自暴自棄となっていた俺は、その特別な存在への改造手術を受ける事を承諾した。
 
俺の股間に女性器が埋め込まれた。
とはいえ、本来の器官もそのまま残されている。
俺は男のまま、股間に女性器を持つ存在となった。
しかし、そこで終わりではない。
その股間に入れ替り立ち替り、男性を受け入れることになる。
確かに誓約書にはそのような記載はあったが、実際に男性を受け入れる段になると、精神と肉体が拒絶する。
最初は手足を固定され、強引に股間を開かされ、そこに突っ込まれたのだった。
 
勿論、それだけで終わりではない。
大量の精液を俺の子宮に注ぎ込むまで終わらないのだ。
それも一人だけではない。一日に幾人もの男の精液が注ぎ込まれるのだ。
その特別な存在は男でありながら妊娠が可能な者とされているからだ。
 
回数を繰り返すことで拒絶する事は抑えられ、手足も自由になった。
が、俺は最後まで「女の快感」というものを感じられたことはなかった。
最後とは、俺の胎内に注ぎ入れた精液に含まれた精子と俺の中で生成された卵子が結合し、俺の妊娠が確認されるまでである。
妊娠が確認されると交合は不用となる。
そしてある程度まで胎児の成長が確認されると、俺は腹を切り裂かれて胎児は取り出された。
 
その後、俺はこの疫病に強制的に罹患させられる。
特別な存在となった俺は発症せず、血液の中には免疫物質が確認された。

免疫の存在が確認されたことで、俺が「特別な存在」となったことが立証されたのだ。
そして、俺はベッドの上で血を絞り取られる日々を過ごした。
しばらくすると、胎内から取り除かれた存在の空虚感に襲われた。
(抜き取られた場所を元通りに満たす必要がある…)
とは言え、胎児をもう一度押し戻すことなどできはしない、
(なら、もう一度胎児を作れば良い?)
それには「男」の精液が必要である。
この建物には不自由することがないくらい「男」はいる。
俺はベッドを降りた…
 
 
 
しかし、不意に建物の中から気配が消えていた。
疫病がこの施設の中にも蔓延したようだ。
俺から採取した免疫物質がどうなったかは知る由もなかったが、ここにいた俺以外の人間は免疫を持っていなかった。
皆死に絶えてしまっていた。
この建物の中では、もう誰も俺の胎を満たしてはくれない。
俺は街に出た。
街にはまだ「男」がいた。
俺は彼等に俺の胎を満たしてもらった。
が、それも数日で困難となってしまった。
 
その街からは人の気配は一掃されていた。
まん延した疫病により、多くの者の命が絶たれ、残りの者達はこの街を離れていった。
 
だだ俺ひとりが生き延びていた。
空虚感を埋めるべく、俺は次の街に向かっていった…

 

« 出張(1/4) | トップページ | 百合じゃない!! »

コメント

28○後(バレバレな伏せ字)みたいな感じ?
本当に外で疫病が流行っていたのだろか?
実は「俺」に施された手術や投薬された物や、強制的に孕ませた物?が原因で
疫病的ナニカが発生したのかも?って
思わせる感じがゾクゾクします。

コメントありがとうございます。
今回の件がtリガになったのは確かですが、
もっと致死性の高い疫病を想定しています。

設定では
免疫を持つのは「妊娠歴のある男性」である
「俺」は人工的に免疫を持つ肉体にされた
抗体からワクチンを作成する過程で罹患した者がいた
そこから疫病が蔓延し「俺」以外の人々がいなくなった
…というものです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 出張(1/4) | トップページ | 百合じゃない!! »

無料ブログはココログ