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2020年4月18日 (土)

出張(4/4)

再びあの場所に出張することになった。
成約のお礼が必要だと部長に勧められてのことだ。
挨拶の後、一席が設けられているという事で、前回とは違い昼前の出発で問題なかった。
(その晩の宿泊も先方で用意してくれているらしい)
こんな気楽な出張などこれまで経験した事はなかった。
先方に向かうタクシーの中でお化粧を直す手間も苦にはならなかった。
前回対応してくれた担当者が迎えに出ていた。
「こちらへどうぞ♪」
とビルの最上階にある応接室に通された。
 
「済まないね。わざわざご足労いただいて♪」
と手を伸ばしてきた男性…
「まさか、あなたが?」
彼とは初対面ではなかった。
自分では枕営業などした覚えもなかったが、彼こそがこの姿になって二人目の男性、その人だった。
伸ばしてきた手は握手ではなく、そのままアタシの背中に回り、ギュッとアタシを締め付けてきた…
「君の事は忘れられなかった♪」
そのまま隣の部屋へ…
そこにはベッドがあり、窓の外には綺麗な夕焼けが広がっていた♪
「良いよね♪」
アタシは答えをひとつしか知らなかった。
彼の首に腕を回し、引き寄せ、口付けを交わしていた。
 
気が付くと、街の灯りと夜空の星の輝きが部屋の中を照らしていた。
窓が鏡のように部屋の中を映す。
アタシは全裸で彼の上に跨がっていた。
屹り立つ彼の逸物がアタシのナカを埋めている。
アタシが腰を振るだけで、アタシのナカの敏感な所が思うがままに刺激される。
ここがお客様の会社の中だってことなど忘れ果て、アタシは悦感に淫声をあげ続けていた。
 
 
 
「また、来てくれるかい?」
彼の腕に頭を預け微睡んでいた。
「また?…ううん、帰りたくないかも…」
「じゃあ、ずっとこっちにいるかい?」
「こっち…あなたの側がいいな♪」
幸せの余韻の中、自然にそんな言葉がこぼれ落ちる。
「本気にしてしまうぞ。」
「そうよね…それは出来ないものね…」
「いや、本当に君が望むのなら…」
アタシは…心の奥でそれを望んでいるアタシがいる。
もう一方に冷めた瞳のアタシが無言でアタシを見つめていた。
(アタシは本来、存在しない筈の人間なのよ!!)
アタシは「誰」なの?
 
彼は言っていた、
(貴女がこの先も、このまま存在するのであれば、過去は重荷になる…)
過去…アタシの過去って?
記憶にある「アタシ」…
小さい頃…小学生…赤いランドセル…
中学はセーラー服…
女友達とアイドルの話題で盛り上がっていた
まだ初恋の経験もなく女子高に…
(?)
これってアタシの記憶?
 
どうでも良い…
アタシは今の幸せに包まれていたい♪
「もし許されるのなら、アタシはこのままあなたの側にいたいわ…」
アタシがそう言うと
「そういう事だ。」
とドアの向こうに声を掛けた。
ドアが開かれると奴がいた。
「お二人とも宜しいですね。」
「もちろんだ。」
と彼。
アタシはただ頷いていた。
「では、良い明日を♪」
と言い、奴は最初からそこにいなかったかのように姿を消していた…
 
 
「どうした?」
彼が聞いてきた。
アタシはさっきまで何を考えていたのだろう?
そう、この幸せがずっと続けば良いな♪って…
「このまま、ずっと幸せでいたい…」
「問題ない。」
と彼が起き上がる。
「先ずは食事をしよう。その後、君のマンションに送ってあげるよ♪」
アタシの…愛人であるアタシを囲ってくれている…アタシの帰る場所。
…帰る…
 
(アタシはどうして此処にいたの?)
頭の片隅に「出張」の単語が浮かんだが、会社勤めなどしたことのないアタシには無縁のもの…
でも、彼の出張に付いていって温泉旅館でシてもらうのも良いわよね♪
そんな事を考えながらお化粧を済ます。
「お待ちどうさま♪」
アタシは彼に抱かれるように、その部屋を後にした。

 

 

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