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2020年4月18日 (土)

出張(1/4)

打ち合わせの時間まではまだ大分余裕があった。
午前中の打ち合わせとはいえ、日帰りは難しいタイミングだったので前乗りしていたが、その日は朝早くから目が覚めてしまっていた。
ホテルを出て時間潰しに街中を散策していると、公園でフリーマーケットが開かれていた。
冷やかしに覗いてみると、よく解らないモノが並んでいる店があった。
ホレ薬にホレられ薬
還魂薬、憑依薬、性転換薬、不老薬
暗殺薬、自殺薬、他殺薬…
(薬って、売るには薬事法とかの制約があったじゃないかな?)
「コレなんかどうだい?」
と売り子に声を掛けられた。
瓶のラベルには「モテ薬(男)」と書かれていた。
「営業の前にひと呑みしておけば好感度アップで商談も即にまとまるよ♪」
その隣には「モテ薬(女)」の瓶があった。
(男)が商談での好感度アップということは、商談相手が男性だからなのだろう。
女性相手は(女)の方ということなのだろう。
まあ、なんちゃってグッズの一種ではあろうが、大事な商談前に得体の知れないものを口にする訳にもいくまい。
明日は会社も休みだから、変なことになってももう一泊する分にはバチはあたらないだろう。
コレを呑んでバーかスナックで女の子にモテたらそれはそれで話しのネタになるだろう♪
 
と、買ってしまった薬の瓶が鞄の底に転がっていた。
夜はバーかスナックかと頭の中がピンク色になっていたせいか、商談は惨敗だった。
憂さ晴らしにヤケ酒を煽っていて、しばらくしてからこの瓶の存在を思い出したのだった。
こんな居酒屋で女にモテてもしょうがないが、ヤケ酒の勢いも駆って、グビッと呑み込んでいた…
 
 
 
記憶が飛んでいた。
気が付くとそこはベッドの上だった。
(本当にモテて女の子をホテルに連れ込んでしまったのか?)
壁の一面は全面が鏡のようになっていて、ベッドが映っていた。
ベッドの上には全裸の女の子がこちらを見ていた。
記憶に無い中で、どんな容貌の娘を連れ込んだのかと心配もあったが、その娘の容姿は申し分ないものだった。
 
が…
ベッドの上にはその娘ひとりしかいない?
首を傾げると、その娘も同じように首を傾げている。
手を上げてみた。
その娘も同じように手を上げる…
鏡ではなく、自分のいるベッドを確認すると、ベッドの上には自分ひとりしか存在しない?
その視線を自分自身に向けてみた…
胸には双つの膨らみがあった。
掌をあてると弾力のあるそれは「女」のソレと同じに感じられる。
更に、胸からはそれが「揉まれている」感覚が伝わってきた。
鏡を見るとベッドの上では女の子が自分の胸を弄っている姿を映していた!!
 
(どうなっているんだ?)
ベッドを降りて鏡の前に向かった。
全裸の女の子が近付いてくる。
それよりも、胸が揺れるのに気を取られる。
更に、何か股間から滴ってくるものがあった。
鏡に映っているのは女の子であり、その股間にはぺニスなど存在しない。
当然だが、今の自分の股間が映されているのだ。
ソコに手を伸ばせばぺニスに触れることはなく、代わりに女の子の割れ目に触れることになる。
指先に良く知った白い粘液が絡みついていた。
(誰の?)
というより、この肉体が男に犯されたという事実をどう捉えれば良い?
それは、自分が「男と性交した」ことの証に他ならない。
男に抱かれ、股を開かされ、突っ込まれ、ナカに射精されたのだ。
 
 
 
勿論、記憶にはない…

徐々に記憶が戻ってきたみたいだ。
 
薬を飲んだ直後に猛烈な排泄衝動が襲ってきた。
嘔吐することはなかったが個室の便座に座った途端、大小が一気に排泄されていった。
それは尋常な量ではなく、排泄しながらも何度か水を流す必要があった。
多分、その時点でも体重は半減していたに違いない。
ズボンが落ちないようにベルトで締め上げ、トイレを出るとそのまま会計を済ませた。
 
店を出て歩いていると、あの公園があった。
「使ったんですね♪」
そこにはあの売り子が立っていた。
「これはオマケです」
と紙袋を渡された。
「そこで着替えると良いですよ♪」
と公園の公衆トイレを指し示された。
まるで暗示に掛かったかのように紙袋を手にトイレに向かっていた。
紙袋の中には女物の衣服が入っていた。
その時点では既にもう女の肉体になっていたが、なぜか違和感を覚えることはなかった。
着ていた服を全て脱ぎ捨て、ショーツ、ブラジャーなと女物の衣服をそれを着るのが当然のように身に着けていった。
「なかなか可愛いじゃないか♪これならモテまくること間違いないね♪」
そういう彼を後ろに繁華街に戻っていった。
 
彼の言うように、色んな男達から声を掛けられた。
しばらく適当にあしらっていると、一人…ピンっと来た人がいた。
何の躊躇いもなかった。
その人と一緒に真っ直ぐにホテルに向かっていた。
小川の水が流れてゆくように、全てが自然と動いてゆく…
ホテルの部屋に入るなり、濃厚な接吻に酔い痴れる。
服が脱がされてゆき、ベッドに寝かされた。
繰り返される愛撫は、小川が水かさを増して立派な川となっていくように快感を増幅させていった。
せせらぎの水音のようだった喘ぎ声は、しっかりとした水流の音のように部屋の中に響いてゆく。
そして…
 
川は谷間を流れ落ちる急流となった。
激しくぶつかり渦を巻くように、快感に揺さぶられる。
滝の中に放り込まれるように、幾度となくイかされた。
甲高い嬌声が響きわたる…
 
やがて、川は大河に合流した。
ゆったりとした流れのように、これまで経験したことのないような幸せに包まれていた。
それは安らかな眠りを誘う…
そして、意識は途絶えた。

 

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