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2019年3月30日 (土)

コウカンカイ


その寮には月イチで交歓会なる飲み会があるとは聞いていた。
そう
聞いていただけなので、交歓会と思い込んでいたのは僕が悪いということになる。
4月のコウカンカイは新歓ということで、そのイベントは新人に対しては行われなかったらしい。
そして5月のコウカンカイが始まった。

「では恒例の交換会を行う。」
寮長が宣言し、クジを取り出した。
「慣例に従い、前月の交換者を除く7名に引いてもらう。」
今の寮生が9人だから、残りの2人が現在の交換者となる。
「すみません。交換って、何を交換するんですか?」
僕と同じ新人が質問した。
周りの先輩達はクスクスと笑っていた。
「それはクジを引いてからでないと教えられない事になっている。悪いな♪」
「そうですか。では♪」
彼は真っ先に寮長の手からクジを引いた…が、クジには何の印しもなかった。
「外れですか?」
「その事も残りのクジが引き終わってからだ♪」
「じゃああたしも…」
と新人の紅一点が手を伸ばした。
「今年の新人は威勢が良いな♪」
と先輩達もクジに手を伸ばし、残り二本となった。
「最後は君だ♪」
と寮長の手が僕の前に突き出された。
迷っていても仕方ない…と、そのうちの一本を引いた。

その途端

グラリと視界が揺れた。
(何?!)
と思ったのも一瞬だった。
「今回は4人のようだな♪誰だった?」
「「「はい♪」」」
と三人の声が上がった。
先輩が二人どもう一人は…
「僕?」
何でそこに僕がいるのかと疑問が浮かぶと同時に、その答えも脳裏に浮かんでいた。
肉体を「コウカン」する?
僕の頭の中には僕自身の記憶と、この肉体の持っていた記憶が呼び覚まされる。
そう、昨年も寮長が同じように言っていた。
「コウカンとは、肉体を交換するということだ。今回は榊と真島、後藤と新人が肉体を交換した。」
皆の目が僕の方に集まる。
「後藤先輩だけど、島田君なの?」
紅一点の広瀬に尋ねられ、僕は首を縦に振った。
「本当だったんだ…」
彼女はこの事を以前から知っていたようだった。
「すいません。お願いがあります!!」
彼女は手を上げ、寮長言った。
「今回は外れたけど、あたしも交換の対象になるのですよね。それ自体を拒否するつもりはありません。」
その一言で男達の鼻の下が個人差はあるが大なり小なり伸びたように見えた。
「女の子の肉体を使うにあたりひとつだけお願いがあります。」
その言葉に一瞬、しらけた空気が生まれたが…
「セックスをするなとは言いません。が、絶対に妊娠するような事だけはしないで下さい。お願いします。」
その場の空気は言い様もないものになっていた。

「あと…」
と彼女は続けた。
「交換は一ヶ月間続くのですよね。当然、生理とかも経験する事になります。その際はあたしがしっかりサポートしますから心配しなくて良いですよ♪」
男達が顔を見合せる。
一呼吸置いて寮長が口を開いた。
「広瀬の提案はもっともだと思う。皆も異議はないな?」


そして二ヶ月後の交換会となった。
後藤先輩の記憶にあった通り、次の交換会には元の肉体に戻っていた。
大体三分の一が交換者となる。
二回続けて交換者となる事はないが、交換者でない者が次の交換会で交換者となる保証はない。
前回の交換会の後、交換できなかった広瀬はかなり悔しがっていたようだ。
二ヶ月前と同様にクジを引いた直後にグラリと視界が揺れた。
「やった!!」
とはしゃぐ声の先には僕の姿があった。
そして僕は広瀬に…女になっていた…

「イロイロと教えてあげるからね♪」
僕と僕の姿をした広瀬は二人で広瀬の部屋に居た。
「島田君て童貞だったんだ。」
知られたくない事も肉体を交換している間は秘密にしておく事もできない。
「わ…わざわざそんな事言わなくても良いだろう?」
「そうね。肉体の記憶がこんなに鮮明に見れるとは思わなかったわ。生理の対処も問題ないわね。」
「まあ…なんとかなると思う。お化粧も毎日しなくちゃいけないんだろ?」
「そうね。一人でやれる事は問題なさそうだわ…って、でも、こんな言葉遣いだと完全にオネエよね♪」
「それは僕…あたしも気になってたわ。二人とも注意しなくちゃね♪」
僕はウフフと笑ってみたが、やはりどこかぎこちない感じがした。

「一人でできる事はなんとかなりそうね…だね。」
僕はウンと頷いた。
「じゃあ、次は二人でないとできない事をやろうか♪」
「二人?」
「そうさ。そしてそれが俺がこの寮にきた最大の目的だ。」
「そう言えば、君は以前からこの交換について知っていたようだね?」
「ああ、俺の叔父さんがこの寮の出身者なんだ。本来は交換会の秘密は肉親にも漏らせないんだけど、俺が女の子だと思って口を滑らしたんだ。」
「…」
「当時は女の子がこの寮には足を踏入れることもなかったんで、勝手に女人禁制だと思ってたんだろうね♪」
「けれど、君はこの寮に来た。さっきも言ってたけど、その目的って?」
「勿論、男になる事さ♪そして男になって自分自身を試してみる。って事かな♪」
と、彼の視線が真っ直ぐに僕を貫いた。
なぜか背筋がゾクゾクと波だってゆく…

「じゃあ、セックスしよ♪君もこれで童貞を卒業できるよ。」
蛇に睨まれた蛙のように何もできないでいる僕の前で、彼はズボンを脱いでいった。
僕の目の前にペニスが晒された。
「相手が自分自身でも、ちゃんと勃起するんだね。」
僕の目の前で屹立したそれは、いつもとは違う角度から見ている所以かより大きく禍禍しく見えた。
そして僕は彼に抱かれた。
スカートの中からショーツが抜き取られた。
僕の…女の子の…股間に彼の指が這わされた。
絶妙な刺激が与えられると、僕の股間がクチュクチュと濡れてゆく…

「じゃあ、いくよ♪」
脚が抱えられ、股間が開かされ、彼が割り込んできた。
(???)
ヌルリといった感じで僕のナカにペニスが侵入してきた。
「どお?俺も初めてだけど、女の子のナカって気持ち良いね♪」
僕は何と返して良いかわからなかった。

僕には知る筈のなかった受け身の…女としてのセックスだった。
が、この肉体には男に抱かれた記憶があった。
ハジメテは痛かったけど、数を重ねるうちに女の快感に目覚めていった。
そして、彼はこの肉体のどこを攻めれば感じるかを熟知している。
計らずも僕は女として感じ、淫らに悶え、喘ぎまくってしまっていた…


気が付くとあたし…僕は彼に頭を撫でられながら微睡んでいた。
心がいっぱいの幸せに満たされているような感じがした。
「良い感じだろ?この先一ヶ月の間、いつでもこんなふうになれるんだ♪」
「いつでも?」
「君が望めばね♪だけど相手は俺に限定だよ。」
そう言って顔を寄せてくると、僕にキスをした。
それだけで、僕はポーッと高揚してしまう…


あたし達は毎日のように交わっていた。
そしてあっという間に次の交換会がやってきた。
「ごめん。」
と彼が手を上げた。
「どうした、島田?」
「言い難いんだが、まだ今月彼女に生理がきてないようなんだ。万一を考えて俺達二人は戻らないで良いか?」
そう言われて、あたしは女性には月イチで生理がある筈だと気付いた。
そして生理がないということは…
(あたし…妊娠してるの?)

「そういう事なら仕方ないな。始まる前には寮の外に出ていてくれ。」
そう寮長に言われ、彼があたしの手を引いた。
まだ頭の中が混乱していたあたしは、彼に従い寮の外へと出ていった。
「交換会に出ていなければ元に戻らないんだ♪悪いけど、もう一ヶ月そのままでいてくれないか?」
そう言われた時には少し時間が経っていたので、あたしも少しは整理ができてきた。
「あたし…妊娠してるの?」
どうすれば妊娠するかは頭では解っていても、実際の行為に結び付けるのは童貞の頭には無理だよね。
「初めてのことで生理が遅れてるだけかも知れないな。先ずは検査薬で確認しよう。」


薬局で買ってきた検査薬で確認したけど、陰性だった。
「もう二~三日様子を見てみよう。」
と言われて、何か気分が塞ぎこんでしまったようだ。
「美味しいものでも食べに行こうか?」
とケーキバイキングのお店に連れて来られた。
「あっ、これを可愛い♪これも美味しそう♪」
以前の「僕」だった時には考えられないくらい、可愛いもの、甘いものに目がなくなっていた。
「そんなに食べられるのか?」
と呆れる彼に
「女の子は別腹を持ってるの♪知らなかった?」
とまた別のケーキに手をだしていた。
しかし、彼の言うことも確かだったようだ。
寮に戻るとお腹がシクシクと痛みを訴えてきた。
「やっぱり食べ過ぎたかな?」
とトイレに向かった…が、排便とは異なる感覚が来た。
(生理?)
それは肉体の方の記憶にあった。
「あたし」としては初めてだけど、この肉体はもう何年も経験してきていた。
どう処理すれば良いかは肉体が覚えていた。

「女の子は毎月コレがあるんだ…」
「何回かやれば慣れてしまうよ♪」
「って、まだ元に戻れないの?」
「少なくとも次の交換会までの一ヶ月はこのままだね。」
「少なくとも…って?」
「君は本当に元に戻りたいと思ってるの?まだ女の快感に浸かっていたいんじゃない?」
「女の子でいられるのは良いんだけど…」
「俺は男としてやってみたい事がまだまだあるんだ。君さえ良ければ当分このままでいさせてくれないか?」
「もしかして、最初からそのつもりだったの?」
「それもある。けど、一番の理由はやはり君かな♪」
「あたし?」
「俺の時よりも格段に可愛くなってる♪俺はもう君を手放したくないんだ!!」
そう言ってあたしは彼に抱きしめられた。
彼の股間で彼自身が大きく、硬くなっているのが感じられた。
(元に戻ってしまったら、もう彼に愛してもらうことはできないのよね)

程なくして、あたし達は寮を出て同棲を始めた。
アノ時のあたしの声が大きく、毎夜のように漏れ聞こえる淫ら声が他の住人に悪影響が及んでしまうとの理由だった。
もともと広瀬は良いところの娘で、近くにマンションを持っていた。
ピアノの練習も気にせずにできる…との謳い文句だった。
彼とマンションに移り住み、長い蜜月の後に夫婦となった。

幾つもの月日が過ぎていった。
「あの寮が取り壊されることになった。今度、最後の交換会が開かれる。君が元に戻れる最後のチャンスだ。どうする?」
彼がそんな情報を持ってきた。
「全ては俺の我が儘から始まった事だ。君がどんな選択をしても、受け入れるから。」
彼の目は嘘はないと言っていた。
「…元…って、もう関係ないじゃない。あなたに愛されているあたしが今のあたし。あたしがあたし以外になるなんて考えられないわ♪」
「済まない…」
彼はそう言ってあたしを抱きしめると、涙を溢していた。
つられてあたしの目からも涙が落ちる…
それは幸せがあふれて溢れたものだった。

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