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2018年8月14日 (火)

退屈しのぎ

「ああ、退屈だ~!!」
もう幾度叫んだことだろう。
しかし、俺が叫んだところで、誰がその叫びに反応するか?
 
ここは宇宙船の中…そこにはパイロットの俺しかいないのだ!!

ああ、「俺しか」というのは少し語弊があるかも知れない。
宇宙船の中にはもう一人…と言うか一体のアンドロイドが常備されている。
  
「宇宙船には生身のパイロットを乗せなければならない」と決められていた。
人件費を節約するにはパイロットは1人だけが良いとして、その精神面でのサポートも兼ねてアンドロイドが常備されていた。
が、今の状況はそう単純でもなかった。
 
ヒト一人を乗せるには、水や食糧もその期間分必要になる。
ならば、巡航中はコールドスリープさせてしまえ。
と、なったがそれではパイロットを乗せる意味がない。
ならば意識は覚醒させたまま、肉体だけを眠らせてやれば良い♪
 
つまり、今「俺」の肉体は俺の目の前のベッドでコールドスリープ状態にある。
そして、俺の意識はアンドロイドの頭の中で覚醒しているのだ。
だから
俺が叫んだところで、その叫びに反応できる者は誰もいないのだ!!
 
 
 
まず、出港から惑星圏離脱までの間は何かと忙しい。
その後、しばらくはコールドスリープまで時間がある。
その間だけは当初の搭載目的に従いアンドロイドと会話をしたりするが、所詮は機械人形だ。決まりきった反応しかしない。
結局はアンドロイドに不満をぶつけて精神を安定させる事になる。
が、それもコールドスリープに入ってしまえば不満をぶつける相手もいなくなるのだ。
 
 
 
そんな事の繰り返しではパイロットに影響が出ない筈はない。
そこで、新型のアンドロイドが導入される事になった。
当然、コールドスリープまでの時間の潰し方も変わってくる。
目の前でナイスバディの美女が妖艶に誘っているのだ。
俺は時間の許す限り、彼女を抱き、凌辱を繰り返した。
彼女の蜜壺からは俺の吐き出したザーメンが溢れ返る。
乳首には俺の歯形が、乳房には俺の指跡がくっきりと残されている。
彼女の膣が俺を締め付け、その中に再び放った次の瞬間…
 
俺は下腹部に差し込まれた異物を感じていた。
コールドスリープ時の意識転送が行われたと認識するまでには、しばらく時間が掛かった。
「俺」の逸物が俺の股間に突き立てられているのだ…と理解できるまでの間に、アンドロイドの肉体はプログラムに従い「俺」の肉体をベッドに運び、コールドスリープの処置を滞ることなく進めていた。
 
俺が自分自身を取り戻した時には、アンドロイドはシャワーを浴びて汚れを落とし、定められた制服に身を包んでいた。
 
「これが…俺…か?」
姿見に写った自分を見て、俺はか細い声で呟いていた。
彼女の肉体のラインは制服により、かなり隠されてしまう。
中身が俺だということもあって、鏡に写る彼女には、俺に見せていた妖艶さのかけらもなかった。
 
 
 
このシステムを造り出した奴は何を考えていたのだろう?
鏡を見れば、そこには散々俺が凌辱してきた「オンナ」がそこにいる。
だが、それが俺自身であると意識してしまうと一向に欲情が沸いてこない。
そもそも、今の俺には彼女を犯すべき逸物もないのだ。
そう…自らの手で目の前の美女をオカズに逸物を抜くことさえ叶わないのた。
例え、今の俺が自らを慰めても、それは「女」の自慰でしかなく、到底俺に「男」の快感なぞ与えられはしない。
逆に、俺の意図しない「女」の快感に苛まれてしまうしかないのだ。
 
「んあぁん♪」
俺の口から艶かしいオンナの吐息が漏れてゆく…
俺の指がスカートの奥を撫で上げていた。
俺は、仕方なく女の快感に身を委ねる♪
男では知ることのない未知の快感がそこにはあった。
 
 
 
…が、
退屈を紛らすにはまだまだ不十分だった。
この肉体は自慰では得られない極上の快感を知っていた。
そしてそれは、今の俺には叶わない…「男に抱かれる」ことで得られる快感だった。
彼女の記憶には「俺」に抱かれた時の快感が鮮明に残っていた。
その記憶が幾度となく俺を苛む。
今の俺は「俺」に抱かれることで得られる快感に餓えていた。
 
そして「俺」は俺の目と鼻の先にいる。
ベッドの上にはコールドスリープ中の「俺」がいるのだ、。
「俺」に抱かれたければ「俺」を起こせば良い…
 
だが、コールドスリープを解除すれば済むというものでもない。
俺の意識は肉体の覚醒とともに戻されてしまうのだ。
つまり俺は「俺」に抱かれることはできない。
コールドスリープの前と同じ…抱かれているのは只のアンドロイドでしかないのだ!!
 
そもそも、コールドスリープを解除することはできない。
「俺」の肉体を維持する為の水や食糧はコールドスリープを前提としてギリギリの分しか積まれていないのだ。
一旦「俺」を起こしてしまうと目的地に生きて辿り着くこともできなくなる。
では、どうすれば良い?
「俺」を起こさず、俺がアンドロイドのままで男に抱かれることは、本当に不可能なのか?
 
 
 
…そう♪「男」だ!!
それは何も「俺」でなくても良いんじゃないか♪
勿論、宇宙船の中の男は「俺」しかいない。
が、外から招き入れることができない訳ではない。
都合よく、この付近は宇宙海賊が頻繁に出没するのだ♪
そいつらを誘い込めば、俺のことなぞ頼みもせずに抱いてくれるに違いない!!
 
俺は隙を見せるかのように少しだけ舵を切った…
 
しばらくすると
(ゴンッ…)
何かがぶつかる鈍い音が響いた。
宇宙海賊だ♪
俺は期待に股間が潤むのを感じていた。
警告音が鳴り響く。
エアロックが強制解放されたのだろう。
幾人かの男達が移乗してきたようだ。
宇宙船が大きく揺れている。
 
否!揺れていたのは俺自身だった。
アンドロイドの機能を妨害する特殊なガスが使われたのだろう。
目の前が白く霞み、俺は意識を失っていた…
 
 
 
宇宙海賊の狙いは、ヒトの意識の入ったアンドロイドだった。
反抗したり、想定外の反応をしたりするが、アンドロイドとして絶対に主人に危害を加えることはないので、一般的なアンドロイドより遥かに高額で取引されるらしい。
そして、俺のように男の意識の入った女性型アンドロイドは更に高値が付くそうだ。
男の意識がオンナの快感を知ってしまうとより淫乱になるという。
 
リスクを侵してまで手を出したくなる輩はいくらでもいた。
だから女性型アンドロイドの配備された宇宙船の航路情報でさえ高額で取引されていた。
そんな輩に俺は捉えられ、売り飛ばされていた。
 
 
 
男はご主人様達に抱かれていた。
常に快感に満たされ、最高の気分だった。
俺の乗っていた宇宙船や「俺」の肉体がどうなったかなど、どうでもよかった。
俺は次々と与えられる快感に酔いしれていた。
「あぁ、ご主人様♪もっと奥にっ!!」
堅くて太い逸物が俺を貫いてゆく。
(早く、俺の…アタシの蜜壺をご主人様のザーメンで満たして頂戴っ♪)

異世界

異世界への入口はどこにでもあった。
しかし、その存在を知る者は殆どいない。
なぜなら、その存在を知った者はその場で異世界に取り込まれてしまうからだ。
 
そう…その路地を曲がったところに♪
 
 
 
あっ…
薄暗がりの路地を曲がったところで僕は躓いてしまった。
なんとか転ぶのだけは堪えたが、次の瞬間…
僕は異世界に居ることに気付いた。
 
そこが「異世界」だということは疑いようもない。
街中を歩いていた筈が、僕のまわりには見知らぬ木々が鬱蒼と繁っていた。
夜中の筈が、燦々と太陽の光が照りつけている。
その太陽が二つに見えたのは目の錯覚ではなかった。
 
そして僕自身の姿…
RPGのキャラクター然とした服になっている。
腰には剣が提げられていた。
冒険者…否…正確には女冒険者だ。
胸当てはその下にあるもので押し上げられていた。
胸元を覗き込むとくっきりとした谷間が確認できた。
お腹の周りには着衣はなく、かわいらしい臍の穴が覗いていた。
太腿を剥出しにする半ズボンの股間には、当然のように親しみのあった膨らみは存在しない…
ショートブーツにつながる脚はカモシカのように細く、白く弾力のありそうな肌には脛毛などはない。
 
カサリ
と草葉の擦れる音がした。
見ると、そこに見たこともない小動物がいた。
「?」
その小動物は僕を見返していた。
「小動物やない。ワシにはルータンという名前があるんや!!」
そいつが喋った?
「ワシは勇者の案内人や。そこいらの魔法少女のペットとは格がちがうんやで!!」
どうやらこいつは僕の頭の中が読めるらしい…
「だから、ワシはルータンだと言っているだろう?」
「ん?ああ…で、そのルータン君は一体僕に何のようがあるんだい?」
「なんや、僕っ娘かいな。」
「心が読めるなら僕が本当は男だってことも知ってるんだろう?」
「当然やがな♪だからその姿で僕、僕言うのに違和感があると指摘してるんや。」
「あたし…って言うのか?僕には無理だよ。」
とは言うものの「あたし」って言った時、それは今の僕の声に合ってたのは確かだ。
「要はあんたが自分のことを女だと認めることができれば自然と言えるようになるわな♪」
 
ルータンはいつの間にか僕の肩の上に昇っていた。
「で、ワシは勇者の案内人と言ったやろ?これからあんたが一人前の勇者になれるよう指導してやろうってことやな♪」
「僕が…勇者?」
「だからそんな格好をしてるんやろ?ワシがここに呼び出されたのもあんたが勇者の卵だからに他ならんのや!!」
「別に僕は好きでこんな格好をしてるんじゃないよ。気が付いたらこの姿でここにいたんだ。」
「なら、あんたは勇者になりたくないんゆうんやな?」
「そもそも僕は元の世界に戻りたいんだ。」
「そか…勇者になりたくないんか…」
ルータンは少し考え込んでいるようだ。
「ルータン?」
と僕が声を掛けると、
「仕方なかか…」
と力なく呟いていた。
「本来であれば勇者となって魔王を倒したのち、王様より与えられる望みを叶える魔法の水晶の力で元の世界に戻すんやが…」
「今戻れるなら、即にでも戻りたいな。」
「ワシに出来んは元の世界に戻すだけやからな。」
「お願いします!!」
 
僕がそう言うと、ルータンは呪文のようなものを唱え始めた。
と同時にクラクラと眩暈がし始めた。
 
 
 
プアッ!!と警笛の音…
自動車の走り去ってゆくエンジン音…
「ケイコ、大丈夫?」
と女の子の声…
 
目蓋を開いた。
そこはもう異世界ではなかった。
普段通りの街の景色がそこに広がっていた。
が…僕は元の「僕」ではなかった。
「どうしたのよ?ぼーっとして♪」
と女の子が僕の顔を覗き込んできた。
僕は本来の啓吾という男子ではなく、啓子という女の子になっていた。
僕は生まれた時から女の子だったことになっていた。
 
僕はもう一度異世界に行き、本来の自分を取り戻したかったが、異世界への入口はなかなか見つからなかった。
 
「僕」が放り込まれたあの場所にも何回も足を運んだけど、今もって僕…あたしは異世界に行けていない。
そう…時は冷酷にも、あたしを「女の子」であることに馴染ませてしまう。
もう「男」だった時の自分を思い出せない…
「どう?諦めはついた?」
と彼が声を掛けてきた。
あたしはついに首を縦に振った。
それは、長い間保留していた彼のプロポーズへの返事でもあった。
 
異世界への入口はどこにでもあった。
しかし、その存在を知る者は殆どいない。
なぜなら、その存在を知った者はその場で異世界に取り込まれてしまうからだ…

無題

「うりゃ~~!!」
掛け声と共に長太刀が魔獸達を斬り倒す。
一撃で半数が、返す刀で残りの半数が消え去っていった。
残った魔獸は3体となっていた。
 
魔獸に対峙しているのは鍛え上げられた褐色の肉体の男だ。
そして、ここまで鍛え上げたのは他ならぬ俺自身だった。
しかし、「今」その肉体を操っているのは俺ではなかった。
俺は男の斬撃を邪魔しないように、木の幹の陰に身を潜めているしかないのだ。
 
今の俺には彼を手助けする術が全くない。
自ら身体を動かすことはできるが、彼の持つ長太刀はおろか、細身刀でさえ振り回す体力がないのだ。
鍛えれば…とは思うが、今の俺が装備として持っている飾り物のような細身刀では今彼の対峙しているような魔獸には傷ひとつ負わせることなどできない。
「剣舞を見せてくれる程度なら良いけど、その肉体を元のあんたみたいに筋肉鎧にはしないでね!!」
と釘を刺されている。
 
「今のあんたはあたしに護られてれば良いの♪余計な事はしない、考えない!!あんたはあたしの腕の中で悦んでれば良いのよ♪」
と彼は女言葉でまくし立てる。
そう…今の俺たちは魂と肉体が入れ替っている。
今の俺は何の力もない「女」の肉体に、彼女の魂が元々の俺の肉体の内にあった。
なおかつ、俺と彼女の関係は肉体が入れ替っても変わることはなかった。
…ただし、立場は肉体に応じたものであったが…
 
昨夜も俺は「彼」の逞しい腕の中で淫らに悶え狂っていた。
肉体から与えられる快感にはどうやっても抗うことはできない。
男では経験することのできない乳房を揉み上げられる感覚、乳首を弄られる刺激に耐性などある筈がない。
ましてや彼の肉棒に貫かれては…
俺はオンナの艶声をあげて、イき続けるしかなかった。
 
「ほら、終わったぞ♪」
と彼に頭を撫でられ我に返った。
俺達の周りには死骸となった魔獣が散らばっていた。
その中に動ける魔獣は一体としていなかった。
「さあ、先を急ごう!!」
と歩き出す彼の後を追う。
普通に歩いているだけの彼ではあるが、俺は少し早歩きしないと置いていかれる。
体格の違いを痛感する。
以前の俺であれば、彼女を見下ろし、簡単に頭を撫でてやれたのだ…
が、今ではキスをするにも彼を見上げ、その首に腕を回して引き寄せなくてはならないのだ。
 
…否っ!!
俺が彼にキスをせがんだりしているのではない…
彼女の肉体がそれを求めるのだ。
夜になり、彼と二人だけになると無性に彼の温もりが欲しくなる。
(彼と身体を触れあわせていたい…)
肉体の欲求が無意識に彼と手を繋ぐ。
指を絡め、腕を絡め、身体を密着させてゆく。
「ん?」
と俺を見下ろした彼の顔が目に入ると、俺の視線は彼の唇から逸らせられない…
 
気が付くと、俺は彼の首に腕を掛けて引き寄せている。
彼の腕が俺の腰に回る。
唇が重なり、彼の舌が侵入してくる。
互いの舌を絡め、唾液が混ざり合う…
俺は気持ち良さに意識が飛びそうになる。
 
「おい。」
と、彼の声に意識が戻った。
彼との距離が開いてしまっていた。
「ぁ、ごめん♪」
と駆け寄る。
「急ごう。野宿よりはベッドが良いだろ?」
ベッド…と聞いて即座に俺の股間が潤みだす。
男ではあり得ない肉体の反応にも、もう戸惑うことは無くなっていた。
俺の肉体が放ち始めた芳香に彼の肉体が反応している♪
俺に合わせてくれたように、歩く速さが遅くなっていた。
 
点在する民家に灯が点きだしたころ、俺達は町に辿り着いた。
魔獸の牙を換金して、それなりの宿を手配した。
「?!」
部屋に入るなり、俺はベッドに押し倒されていた。
「ま…まだ飯も食ってないんだぞ!!」
「さっきからあたしを誘い続けてるその肉体がイケないのよ♪もう我慢できないわ!!」
あっと言う間に俺は服を剥ぎ取られていた。
「ンあんっ!!」
股間が舐めあげられると、反射的に甘い淫声があがってしまう♪
「問題ないわね♪」
と全裸になった彼がのし掛かってくる。
股間には彼の逸物があてがわれ、一気に俺を貫いた♪
相当に堪えていたのか、二度、三度とスイングしただけで、彼は俺のナカに精を解き放った。
だからといって彼が萎えたりすることはない。
次からはじっくりと責めあげてくる。
再度彼が達するまでには、俺は幾度となくイかされていた。
 
彼が離れたあとも、俺は余韻に浸っていた。
「あたしは飯を食ってくるけど、あんたはどうする?」
と聞いてきた。
「独りでどうぞ…」
と俺は即答したいた。
彼の精液で俺の空腹は既に満たされていた。
人前に出るにはシャワーを浴びて纏い付いた芳香を洗い流さなければならない。
それ以上に、俺はまだしばらくは彼の余韻に浸っていたかったのだ。
 
 
 
それは思いもよらないトラップだった。
魔物に囚われた彼女を救い出すために降りていったダンジョンの最下層には、ラスボスと鉄格子の奥に彼女が佇んでいた。
狭い洞窟内では思うように長太刀を振るうことが出来ない。
が、なんとかラスボスの急所を捉えられることができた。
断末魔の叫びを残し、ラスボスは倒れた。
俺は彼女が囚われられている鉄格子に向かい、入り口に絡まる鎖を錠前ごと断ち切った。
 
「キャーーーッ!!」
女の悲鳴が洞窟内に響く。
響きが増幅され俺の頭を揺さぶった。
既にトラップは発動していた。
俺は俺自身の魂が自らの肉体から弾き出されるのを感じた。
そのまま俺の魂は女の方に飛んでゆく…
ふと気が付くと、俺は彼女になっていた。
 
「大丈夫?」
と「俺」が鉄格子の入り口を開いて入ってきた。
その時の俺は、彼が「俺」自身であることに気付かず、自分よりも巨大な体躯の男に迫られ…
「キャッ!!」
と、女のように悲鳴をあげていた。
 
彼は俺をお姫様のように抱き抱えると、一気にダンジョンを駆け上がって地上に戻っていた。
「どうやら、あたし達の魂と肉体が入れ替わってしまったようね。」
「トラップか…」
「ラスボスの最後のアガキみたいね。あたしが無事に戻らなければラスボスの企みは成就する事になるものね。」
「…」
「大丈夫。あたしも多少は剣を使えるわ。貴女を守って送り届けることもできるわよ♪」
こうして、護る者と護られる者が入れ替わったまま、帰途に就いたのだが…
俺達の帰路には予想以上に魔獣達が潜んでいた。
 
最初に遭遇した魔獣達の一団をようやくのことで彼が斬り倒した後、疲労した彼を癒してゆく流れの中で、俺は彼に身体を許してしまっていた。
否、自分が「女」であることのできていなかった俺には、彼を拒絶する選択肢などはなかった。
いつの間にか俺は彼に抱かれ、もたらされる快感に喘ぎ声を漏らしていたのだ。
 
 
 
 
 
カチャリとドアの開く音がした。
彼が俺を覗き込んだ。
余りにも酒臭いので俺は眠ったフリを決め込んでいた。
「ふ~~う♪」
と溜め息を吐いて、彼はソファーに座り込んだようだ。
「そろそろ頃合いかな?もう、奴も充分女に染まっただろう♪俺もそろそろお姫様の相手ばかりでは物足りなくなってきたしな…」
いつもと違う彼の口調に、俺の背中を冷たいモノが走っていった。
「ニンゲンとはひ弱なものとは思っていたが、この肉体は魔物に近いものがある。少しは補強が必要だが、この肉体でダンジョンを支配するのも一興か♪」
 
騙された?!
「俺」の内にあったのは、俺が倒したラスボスの魂だというのか?
……合点はいく。
いくら「俺」の肉体とはいえ、普通の女が長太刀を振り回すだけならともかく、戦闘を行うことなどできる筈もないのだ。
それに、多くの魔法は術者が死ねば解法されるのものだ。
(だが、どうすれば良い?)
か弱い女の肉体では彼に傷一つ付けることもできないだろう。
もし、刃に毒を塗れたとしても彼に効くとは思えない。
それ以前に彼に監視されている状況で毒を手に入れることさえもできないだろう。
今の俺に何ができるというのだろうか?
 
「おい!!目は覚めているんだろう?」
奴が俺を呼んだ。
「俺の正体も判ったようだな♪良い事を教えてやろう。俺は肉体交換の他に催眠暗示を掛けることができる。そう長い間ではないがな♪」
(?)
「お前の戦ったラスボスは、自分をラスボスだと暗示を掛けられたお姫様自身だったんだ。」
「?!」
「お前はお姫様を救出するどころか、その手で殺しちまったんだな♪」
その言葉に俺は思考停止に陥った。
「今度はお前にも催眠暗示を掛けてやるよ♪」
俺は隙だらけだったのだろう。奴の暗示に抗う術はなかった…
「そう…良い娘だ♪お前は生まれながらの娼婦だ。そうだ、それに相応しい肉体を持っているだろう♪」
(…)
 
 
 
「…んぁん♪」
艶かしい女の吐息が聞こえていた。
それが俺自身の発していたものだと理解する。
俺は幾人もの男に組み敷かれていた。
奴の暗示が切れたのだろう。
暗示下の記憶と、その前までの記憶が融合する。
俺は娼館に売られ、奴はどこかに行ってしまった。
既に数日が経過している。
(奴を追うか?)
追っても「俺」の肉体を取り戻すのが困難であることは明白である。
 
「あっあん!!」
男に貫かれ、俺は快感に嬌声をあげていた。
 
このまま…このまま娼婦として一生を終えるのも悪くはないかも…
俺は男としての意識を閉ざし、オンナの快楽に全てを委ねた。

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