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2018年6月23日 (土)

クローゼットの奥には…

このSSはフィクションであり、医学的な記述を始め、現実とは異なる記載があることをご了承願います。

僕の部屋のクローゼットの奥にはセーラー服が掛かっている。
コスプレ衣装なんかではない。
僕の通っていた高校の正式な女子の制服だ。
実際、僕は高校の最後の数ヶ月はコレを着て通っていたのだ。

発端は夏休み直前の一騒動に閉じ込めった…

「それはセクハラ以外の何物でもないわ!!」
と、生徒会室に一部の女子達が乱入してきたらしい。
槍玉に挙げられたのは秋の文化祭の目玉である「ミスコンテスト」だった。
「女生徒の可愛さ美しさに点数を付け、優劣を競わせるのはセクハラの第一歩に他ならないわ!!」
というのが彼女達の主張だった。
ただ「ミスコン」は文化祭の目玉だったので、簡単に中止という訳にもいかない。
そして、安直にも決められた代替企画が…

「男子ミスコン」
だった。

僕以外の全会一致で僕がクラスの代表に選ばれた。
僕自身の素直で頼まれ事を断れない性格と、クラスのみんなのいい加減さの賜物である。
用意も良く、僕と同じくらいの体格の女子が「冬服」を僕に手渡した。
全員の目が僕に「着替えろ♪」と言っていた。
流石にみんなに注視されている状態で着替えたくはなかったので、近くの空き部屋を使わせてもらった。

「十分十分♪」といい加減な男子達。
「黒タイツすれば脚も誤魔化せるわね♪」と女子からのアドバイスもあった。
が、真面目と言うか、凝り性と言うか…クラスのみんなは「これで問題は解決した♪」と既に夏休みをどう過ごすかとかに頭は切り替わっていたが、僕にはまだ不満が残っていた。
別に僕がミスコンに出されるのが不満なのではない。
ただセーラー服を着ただけではミスコンの意味がないのでは?との思いが膨らんでいった。

家に帰ると僕は「女装」の情報を収集した。
最初は脚を綺麗に見せる方法をチェックしていたが、タックと言う股間の処理を見つけて、これを実践した。
無駄毛の処理も済んでいたので、これなら水着も着れるかも…とスクール水着を買ってきた。
しかし、実際に着てみると平らな胸が気になった。
胸を大きくするにはホルモンしかないと思っていたが、サプリや同様な効果のある食材の情報が手に入った。
まだ夏休みは始まったばかり♪と、僕は胸を膨らませる努力を始めていた。
並行して、健康的な日焼け肌と女の子らしい日焼け跡を作るために、セパレートの水着やキャミソールを着て外に出たりもした。
勿論、外とは言っても庭とかで誰にも見られないように気を配っていた。

僕の努力はやはり文化祭で報われる…事にはならなかった。
そう、僕は「女の子」になりきる事にばかり考えていたためミスコンでの評価は…

それ以上に別の問題が浮上してきた。
そう…夏休みを費やして造り上げた女の子の肉体は一晩や二晩で元に戻る筈もない。
普通にTシャツにワイシャツを着るだけでは乳首が擦れてしまうので、ブラジャーは必須だった。
しかし、ブラジャーをしているのが丸判りの男子は注目を浴びる。
ならばいっそ…
と、男の肉体に戻るまで…とセーラー服を着て学校に通うことになったのだ。
しかし、胸の膨らみは一向に収まらず…否、逆にAカップのブラジャーに収まりきらなくなっていった。

医者に診てもらった時には、既に手遅れの状態となっていた。
タックをし続けていたことで、僕の男性器はその機能を停止してしまっていた。
胸を大きくするために採っていた食材で僕の中に蓄積された女性ホルモンは減る事なく、今もまだ僕の肉体をより女性らしくしようとしていた。
「男には戻れないんですか?」
そう聞くと、
「君の肉体は元々女性ホルモンを受け入れ易い体質だったようだね。ホルモン療法を行ったとしても、あまり効果は期待できないと思われる…」
つまり、男性ホルモンを投与しても僕の肉体が受け入れてくれない可能性が高く、逆に女性ホルモンを使えば僕は普通に「女性」として受け入れられるようになるということだった。
中途半端な「男性」になるよりは、思いきって「女性」として生きるのも良いんじゃないか?とアドバイスされる。
子供を産むことはできないが、それ以外は「女性」として幸せになれるようにもできる…
「君の場合な、ある程度治療が進めば自ら女性ホルモンを生成できるようになれるよ♪」

僕はセーラー服を着て高校の卒業式に出ていた。
誰も違和感を覚えることはなかった。
僕は3年間、このセーラー服を着て過ごしていたような錯覚を感じていた。
学校側の配慮で、僕は女子達に混じって卒業証書を受け取っていた。
もしかすると、誰も僕が「男」だってことを思い出せないのかも知れない…

今、僕の部屋のクローゼットの中には男物の衣服は一つもなかった。
先週、僕に初めての生理があった。勿論、僕の胎の中に子宮があるのではないが、男性を受け入れられるように股間に穿たれた孔の奥から経血のような物が出てきたのだ。
「もう、通院の必要はないよ♪」
と医者は言った。
胎の内に収まった睾丸が変質して一定量の女性ホルモンを生み出せるようななっているという。

僕は鏡を閉じ、化粧道具を終うとパンプスを穿いて外に出ると、カレとの待ち合わせ場所に急いだのだった♪

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