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2018年1月 7日 (日)

『声』

僕の目の前で真剣が振りかざされた。
抗うことも逃げることもできそうにない。
キーンと耳鳴りがして、目の前が霞んで行った…

『生きたいか?』
どこからか声がした。
この状況に死を覚悟していた僕に今更生きたいか?もないだろう。
『ほう♪もう諦めていると?』
そりゃあまだ生きていたい。
やりたいことはまだ沢山ある。
が、今更そんなことを言ったって…
『では諦めるのか?ちなみに、先ほどからどれだけの時間が経ったと思う?』
えっ??
そう、この声が聞こえてからいい加減時間が経った筈だ。
既に僕は斬り捨てられいてもおかしくはない…
『そういう事じゃ♪お前さんは既に斬り殺されている。ここは生と死の狭間じゃよ。』
じゃあ、僕はもう死んでるってこと?
『言ったろう?生と死の狭間だと。まだ完全には死んではいない。』
じゃあ、生きたいと望めば生き返ることができるの?
『生き返るのは無理じゃ。お前さんの肉体は既に死滅してしまっている。このまま元の肉体に戻ってもゾンビとして始末されるだけじゃ♪』
じゃあ、僕が生きたいと言ったら?
『ここから先は仮定の問には答えられない。どうじゃ、生きたいか?』

僕にはやりたいことはまだ沢山ある。
そう、死んだ気になれば好きな娘への告白だって…
『それが叶うかは神のみぞ知る♪では、生きたいと欲するのだな?』
僕はその声に頷いていた。

「…ろ、ちひろ!!」
肩を揺すられていた。
ちひろ…って僕のこと?
瞼を開けると、心配そうに覗き込む女の子の顔があった。
「大丈夫?」
そう言ってきた娘には見覚えがあった。
そう、僕が告白しようとしていた新庄千尋さんといつも一緒にいる…?!?!

僕は立ち上り、スカートの汚れを叩いた。
「鏡ある?」
僕の声はもう「僕」の声ではなかった。
「これでいい?」
僕は手渡された鏡を覗き込んだ…

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コメント

千尋ちゃんの中身はどこにいっちゃったんでしょうね?
外傷無くショックで魂が離れたのかな?

コメントありがとうございます

彼女の魂はどこにも行ってません
融合したか、消滅したか…
運が良ければ隠れていて、いつの日か肉体を奪え返すかも…

それもまた「神のみぞ知る」ですかね♪

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