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2017年10月21日 (土)

感じる…

太陽が西に傾き始めていた。
間もなく雲が紅く染め上げられてゆく。
俺はいそぎ足で街道を次の街に向かっていた。

何とか陽が落ちる前に街の中に転がり込むことができた。
腹は空いていたが、酒保より先にベッドの確保である。
酒場に上階に泊まれる部屋のある店もあるのだが、この身体になってからは、単独の宿屋を選ぶことにしている。

そうだ…この身体は俺本来の肉体ではない。
換魂の呪詛により、別人の肉体に封じ込められているのだ!!
俺は俺本来の身体に戻るべく、「俺」の肉体を探して旅をしていた。
幸いなことに、この身体は「俺」の肉体のある方向を感じることができた。
距離まではわからないが、それでもまったくの手掛かりなしよりは格段に役にたつ。
ただ、それを知るための方法が、今もって俺の許せるものではなかった。

それは、俺の…この身体がイッた時に天恵のようにもたらされるのだ。
イク…すなわち、俺のこの「女」の肉体を性的に高め、絶頂に押し上げてやらなければならないのだ。
『自分でやっても良いが、男にシてもらった方が手っ取り早いぞ♪』
俺に呪詛を掛けた奴はそうも言っていた。
…誰が男なんかに抱かれるかっ!!
とは言っているが、慣れぬ女の身体に戸惑っていた頃は男の腕力に逆らえず犯され…
はからずもイッてしまったこともあった。
酒場の部屋ではなく、ちゃんとした宿屋に泊まるのには男に乱入されないためもある。
が、それ以上に防音がしっかりしているので、多少の淫声なら外に漏れることがないのだ。

食事を済ませて宿に戻ってくる。
防具を外して女のやわ肌を露出させてゆく。
この身体になった当初はそれだけで興奮したものだ。
勿論、男として女の裸体に興奮するのだが、その肉体は女の身体である。
硬く反応してくれるモノは存在しない。
代わりに俺の股間からはタラタラと雫が落ちてゆくのだった。

今ではそう簡単には濡れることはない。が、本物の女のように、乳を揉んだりして昂らせてやらなければならないのも面倒ではある。
自分でやるのが面倒であれば、誰かにやってもらえば良い。
酒場の男達に声を掛ければ、こぞって集まってくるのは間違いない。
が、俺は男に抱かれるつもりはない!!
仕方なく、自分自身で自らを昂らせる。

「んあん。ああ~ん♪」
感じ始めると自然と淫声が漏れてくる。
甘い快感に浸っていると、ついつい本来の目的を忘れオンナの快感を追い求めてしまう♪
クチュクチュと卑しい音をたてる蜜壺に、自らの指ではなく逞しい男の逸物を挿入したら…
と、ついつい思ってしまうのを振り切り、自らの快感にのみ集中する。
「ああっ、ああっ、ああ~~ん♪」
俺自身、どんな艶っぽい淫声をあげているかなど意識することはできていない。
快感の頂のみを追い求めてゆく。

気だるさと共に意識を回復すると同時に、「俺」の肉体の方角に変わりがないことを確認した。

(後日談)
「三角測量って知らなかったのか?」
あたしを抱いていた男がそう言った。
肉体探しに疲れ、オンナの快感に染められたあたしは「女」として活きることを選択してしまっていた。
かなり長い付き合いとなった彼にあたしの過去を打ち明けると、彼がそんなことを言った。
「三角測量?」
「方角は判るのだろう?その直線から充分に離れた場所から目的の方角を計測すると三角形ができる。これでおおよその距離を求めることができるんだ。」

次の日、あたし達はこれまでの街道から脇道に逸れ、大きく迂回してみることにした。
「どうだい?」
達した後、彼が聞いてきた。
「変わらないみたい。」
とあたし。

結論としては「俺」の肉体は遥か彼方にあるか、そもそも肉体の方角がわかるというのがまやかしか、ということになった。
「別にもう気にしてないわ。」
とあたしは言った。
今、あたしの隣にあたしを愛してくれている彼がいる…
あたしにはそれで充分だった♪

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