« 口紅 | トップページ | 無題 »

2017年7月29日 (土)

重なる

「ここは?」
僕が目覚めたのは見知らぬ部屋の中だった。

寝ていたのはベッドの上…
傍らに点滴の支柱とそれにぶら下がった点滴の袋。
そこから伸びた管が僕の方に繋がっているようだ。
現状だけを見ると、僕は今、病院に入院しているのだと思われる。
(でも、何で?)
病気なのか、事故なのか…
しかし、僕自身の肉体に異常は感じられない。

僕は被さっている毛布を剥いで起き上がる…
(?!)
違和感?
そう…二の腕に何かが触れた。
何だ?
いや、腕だけではない。
胸からも不思議な感覚が届いた。
そう…違和感の源は胸にあった。

僕の胸には、女性のような脹らみがあった。
否!!
それは、女性の乳房そのものであった。

(何故、僕の胸に?)
しかし、その疑問は更に確認できた別の疑問の前に意味を成さなくなった。
そう…違和感は胸だけに収まらなかったのだ!!

起き上がろうとして首を動かすと、ハラリと目の前にひと房の髪が垂れてきた。
元々、僕の髪はそんなに長くはない。
それが意識を失っていた間に伸びたものだと納得させるには、薄茶色と化している理由を聞く必要がある。
良く見ると、腕は細く色白で、体毛もほとんど消えていた。
そして、指の先の爪はピンク色に塗りあげられていた。

(これが本当に僕自身なのか?)
疑問を解決するには、まずは鏡だ。
部屋の中を見渡すと、出入口の脇に洗面台があった。
そこにある鏡を覗き込む。
(…)

そこに映っているのは、確かに僕自身であった。
が、認めたくはないが、その姿は「女の子」そのものだった。
(何で?!?!?!)
僕はどのくらい意識を失っていたのだろうか?
そもそも、何で僕の体が女の子になっているのだろう?
聞いたことはないが、女の子になる病院だったとしても、髪を染めたり、爪を塗ったりする必要が、どこにあるんだ?

『それは、あたしが女の子だから♪』
突然、耳もとに声がした。
否。その女の子の声は、直線僕の頭の中に届いてきたのだ!!
勿論、部屋の中には僕しかいない。
「だ、誰なんだ…君は?」
『あたしはあなたよ♪と言っても信じてはもらえないわよね。』
「当然だろう。」
『あたしも良くはわからないけど、ハカセは次元の落とし穴に嵌まったんじゃないかって。』
「お、おい。そのハカセって松戸博士のことか?」
『彼は物知りだものね♪』
「奴は名前が博士(ヒロシ)なだけだ。物知りなのはSFオタクの偏った知識だ。」
『知ってるけど、それしか説明が付かないもの♪』
「…」
『気が付いたら男の子の部屋で、その部屋が自分の部屋には間違い…頼れるのは彼しかいないでしょ?』

僕が目覚めると女の子の部屋にいて…そんな仮定より、この現実…僕が女の子になってしまっていることを説明できるのは、やはり彼の説以外にはいないのだろう…
「で、奴は何と?」
『並行世界のあたしが、あたしが男のこの世界にずれ込んだことで二人の肉体が重なりあってしまったのだろうと。』
「重なった?」
『多分、見た目はあたし、意識はあなたの方が優勢みたい。あなたが意識を失ってる間はあたしの自由になったけどね♪』
「自由って、この髪や爪か?」
『最初は服からね♪あなたの部屋には、あたしが着れる服が何もなかったからね。』
「…」
『一ヶ月ほどして、体に不調が出てきたんでハカセに相談したら、あなたの意識が覚醒し始めたらしいからと、検査のために入院させられたの。』
そしてこの現実だ。他に説明は付けられないのだろう。
多分、重なり合った肉体を分離することは不可能に違いない。

つまり、これから先、僕は女の肉体と頭の中のもう一人の「僕」と付き合い続けなければならないのだろう。
果たして、僕は「女」としてやっていけるのだろうか?
『大丈夫よ。いざとなったらあたしに替わってしまえば問題ないわ♪』
「しかし、それは僕の存在自体を放棄することじゃないか?全てが君という存在に置き換わってしまう。」
『何も問題はないわよ♪』
「君にとってはね。」

だからといって、僕が女の子の服…スカートを穿いて、お化粧をして…
『やはり、女の子なら男の好みも重要よね♪好みが違うと何かと面倒じゃない?』
「好み…ってなんだよ。男の僕が好きになるのは…」
って、女の格好をした僕が男と付き合う?!
デートとか?
『あなたも女の子なんだから、いづれはね?抱かれるならハカセが良いんじゃない?』
想像の中で、僕に並んでいた男の顔が博士の顔になった。
彼の顔が近づき、唇が合わさる。
舌先が侵入し、唾液の絡まる感触が生々しく感じられた。
(僕にはキスの経験はない。ましてや、男に舌を入れられるなど…)
『それはあたしの記憶ね。向こうの世界でも、ハカセとは恋人同士だったから♪』
(でも?)
『そうね。ちゃんと言っておかないとね。…あたしはその肉体でハカセと関係を持ちました!!』
(…)
「関係…って…」
『セックスしたってこと。肉体はあたしのままだから、何の問題もなかったわ♪』

僕の中に、僕になった彼女の記憶が甦る。
博士のて手が横たわった僕の股間に伸びてくる。
僕の股間は既にグチュグチュに濡れていた。
割れ目に指が宛がわれ、ゆっくりと僕のナカに侵入してきた…

「って、本当にやったの?」
『今、記憶を見たでしょ?ちゃんとスキンは付けてもらったから、妊娠の心配はないわ。』
「妊娠?!」
『ちゃんと避妊しておかないとね♪もっともハカセとならできちゃった婚でも良いんじゃない?』
「僕が妊娠する?」
『肉体はちゃんとした女の子だからね。』
「博士と結婚?」
『あたしには異義はないわ♪でも、できれば妊娠する前にね。ウェディングドレスは色々選びたいからね♪』
僕の頭の中にウェディングドレス姿の自分が浮かび上がった。
その隣には博士が…

「な…何なんだよ。このイメージは?!」
『あなたの願望以外の何物でもないでしょう♪』
「僕は男だ。何でウェディングドレスなんか…」
『今のあなたは女の子なんだから、何の問題もないわ♪』
「そ、そういう問題じゃ…」

『まだ、自分が女の子だって理解出来ないのかしら?そうね♪あたしの記憶を辿るだけじゃなくて、自分で経験してみた方が良いかもね♪』
「自分で?」
『そう♪ほら、手を伸ばして内股を滑らせていく…ショーツの上からても判るでしょう?』
僕は彼女の言葉に逆らえなかった。
指先がしっとりと濡れた布地に触れた。
失禁した訳ではない。
博士に抱かれた記憶と共に、愛液が溢れていたのだ。
掌がショーツの内側に入り込む。
指先が割れ目を直に捉えた。
ぬっ…とナカに入ってくる。
愛液が擦れてクチュクチュと卑猥な音をたてている。
「ああん♪」
僕の口から艶かしいオンナの声が零れ出た。
そう…オンナの快感が僕を貫いていったのだ。
『まだまだ♪こんなもんじゃないわよ!!』
もう一方の手で、乳房を揉みあげる。
先端の乳首を弄ると、また別の快感が巻き起こる。
僕は快感に揺さぶられ、何も考えることができなかった。
指先は勝手に動き、更なる快感を引き出してゆく。
僕は声が枯れるほど、喚き喘ぎ続けていた。
幾度も快感の絶頂を向かえ、その度に意識が途絶える。
『もうそろそろかな♪』
「何が?」
『さっき、ハカセを呼んだんだ。そろそろ君も本物が欲しくなったでしょ?』
本物…って、僕が博士に抱かれるってこと?

僕の意識のない間、彼女はこの肉体を自由に使える。
その時に博士に連絡をとったのだろう。
初めてのオンナの快感に何も出来ない僕と違い、彼女が全てのコトを進めてゆく。

カチャリとドアが開いた。
そこに博士がいた。
「ツカサ♪意識が戻ったんだな?」
と僕を見つめる博士…
僕は、自分が全裸で、痴態の真っ最中であったことを思い出した。
「キャッ!!」
と叫び、何か隠すものは…と毛布かシーツを取ろうとしたが間に合わず…
「良かった♪♪」
と僕を抱き締める博士を拒むことはできなかった。

唇が塞がれる。
彼の舌が入ってくる。
記憶を甦らせているのではない。
それは、本物…
体温を…そして彼の激しさを直に感じる♪
「良いよね?」
と聞かれたが、僕が答えるより先に、僕は押し倒されていた。
そう♪答える必要はなかった。
僕は脚を抱えられ、そこに彼がくるのを待っていた。

単なる記憶ではない。
自分の指でもない。
彼自身が僕のナカに入ってきた♪
満たされる幸せに包み込まれた。
今、僕は彼自身を感じている♪
「博士…」
僕が発することができた言葉はそれだけだった。
「愛してるよ♪ツカサ♪」
その一言で、僕は蕩けきってしまった。
「あん♪ああああ~ん!!!!」
もう何も言葉にならなかった。
彼の動きに合わせて僕も腰を振っていた。
僕のナカで硬さが増してくる。
「いくよ。」
と彼。
僕ははただ頷いた。

ドクリ

と彼の中を熱い塊が登って
きた。
そして、僕の奥にある子宮に向けて放たれた。
「…」
声も出なかった。
これまでを遥かに越える快感が爆発した…

「気分はどうだい?」
僕はベッドに寝かされ、傍らに座る博士に掌を握られていた。
「大丈夫…」
と答えたその声が、いつもの「僕」の声と違うのにも気にならなくなっていた。
「ツカサ…なんだな?」
「ああ、僕だよ。」
博士が聞いたのは、僕の中身が並行世界の彼女ではなく、本来の「僕」であるか?だ。
「済まなかった。」と彼。
「何を謝ってるんだ?今の僕は女で…そして、お前を愛している…」
いまだ男としての意識が残っているので、彼に「愛してる」と告げるのには躊躇いはあった。
「大丈夫なのか?」
と聞かれる。
勿論大丈夫ではないが
「問題ないよ♪」
と彼に笑顔を見せていた。

この一ヶ月の間に彼女が色々と揃えてくれていたので、僕が「女の子」として生活するのには何の不自由もなかった。
(既に周囲にも僕が女性であることが知れ渡っていた…)

僕…あたしが「女の子」であることを受け入れた為か、彼女があたしの意識と接触することはなくなっていた。
彼女はあたしの意識がない時に現れて、博士とは話しをすることがあるらしいが、その内容はあたしの知るところにはなかった。

「もうすぐ彼女は消えてしまうようだ。」
突然、博士がそんなことを言った。
「いなくなるというのではなく、ツカサと同化してしまうようだ。」
「同化?」
「既に明らかに お前の意識がない と解っている時以外は、自分を保っているのかわからなくなっているらしい。」

(ねぇ、博士の言ったことは本当なの?)
と彼女に尋ねても答えは返ってこない。
否…既にあたし自身が答えを持っていた。
元々は一人の「あたし」…並行世界で違っていたのは性別だけだった。
だから、あたしが女性であることを受け入れた時点で、その差異はなくなってしまった。
あたしは彼女であり、彼女はあたしだったから…

「問題ないわ。あたしはあたしだから。」
あたしの呟きに
「ツカサ?」
と、不審がるように彼が聞いてきた。
そんな彼の心配を打ち消すように、あたしは彼に抱きつく♪
「あたしじゃダメ?」
「そんな事はないよ。」
「じゃあ…♪」

あたしは再び、彼を誘っていった♪

« 口紅 | トップページ | 無題 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 重なる:

« 口紅 | トップページ | 無題 »

無料ブログはココログ