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2017年4月28日 (金)

妊婦の…

スラスターを吹かせて体勢を建て直す。
右腕のアクチュエータが悲鳴をあげている。
関節をキメられたまま、持ち上げられ…
そのまま俺の機体は地面に叩き突けられていた。
「一本。それまで!!」
判定が下され、スピーカから審判の声が響くとともに、コンソールに「終了」が表示されていた。

 

搭乗型のロボットは、動かすと同時に加速度が掛かり、操作が追い付かなくなるのだ。
「慣れだよ♪」
対戦相手の勇樹が早々とコクピットから降りて、俺の機体のハッチを開けていた。
伸ばされた手を掴み、逆さまになったコクピットから救出された。
「慣れ…とは言ってもな。5戦全敗してるんだぜ。」
と、過去の対戦を振り返ってみたが、一向に成長らしきものは見られなかった。
「シミュレータなら互角なんだけどな♪」
「実戦で使えなければ意味がないだろ。」
俺の愚痴に勇樹はあっさりと突き落とすようなことを言う。
「まあ、遠隔操作の需要はない訳ではないけど、最前線に立てなければ男じゃないしな♪」

男じゃない…
実際の所、加速のない遠隔操作の仕事は「お腹に子供を抱えた女の仕事」ということになっている。
「それを言うなよ。次の試験に落ちれば、前線配備の希望は完全に絶たれてしまうみたいなんだから。」
「お前なら遠隔操作の方が適任なんじゃないか?」
「バカ言うなよ。俺は女になんかなりたくない。ましてや腹に子を抱えるなんて…」
「そん時は僕が種付けしてやるよ♪」
「お…俺は絶対に受かってやるからなっ!!」

 

と、啖呵をきったものの…
結果は見事に落ち、更に遠隔操作部門に配属されてしまった。

 

「よう♪可愛くなったじゃないか。」
俺の前に現れたのは勇樹だった。

遠隔操作部門に配属された俺は、即に性転換させられていた。
遠隔操作部門は唯一妊娠状態で作業できる部門であると同時に、常に妊娠状態を求められるのである。
他の部門はどこでも男女を問わす激しい戦闘に晒されている。
当然の事ながら人命は消耗してゆくので補充が必要となる。
が、最前線の女性が大きなお腹を抱えている訳にはいかない。
出産後は機械で育てるシステムが確立しているが、胎児を育てることまでは機械化できなかったのだ。
だから、後方に退ってきた健康な若い人材は例外なく妊娠させられるのだ。
それは「男」であってもだ。

遠隔操作部門に配属になった俺は、規則に従い「種」をもらい妊娠しなければならないのだ。
そう…性転換され、女として「男」を受け入れなければならない…
その最初の相手が勇樹だった。

勇樹は既に幾多の武勲をあげていた。
その優秀な遺伝子は何にもまして優先されるため、彼には母体を選択する特権が与えられていた。
その特権で性転換を終えたばかりの俺を指名したのだ。

 
「じゃあ、約束通りに♪」
「約束って何だよ!!」
「覚えてないのかい?」
否。俺はしっかりと覚えていた。
(遠隔操作部門に配属されたら、僕が種付けしてやるよ♪)
そして彼はその言葉を実行可能な状況を手に入れていたのだ。
「忘れてても良いよ♪結局の所、君は僕を受け入れなければならないんだから。」
今の俺には「男」だった時の筋力は見る影もなかった。
彼の手で脚を抱えられると、簡単に「女」の股間を晒してしまう。
「じゃあ、僕の子を孕んでくれな♪」

ずっ!!
と彼の逸物が俺のナカに押し入ってきた。
「あんっ♪」
俺は無意識のうちに女のように喘いでいた。
性転換と伴に、女と同じ快感を得られるようになっていた。
性転換と伴に、俺の声もまた女と同じ声になっていた。
俺は勇樹に犯られ、女として喘ぎ、悶えるしかなかった。
「いくぜ♪」
彼はその言葉と共に、俺の膣に…その奥にある子宮に…濃厚な精液を送り込んできた。
俺はその刺激…強烈な快感…に耐えられず、意識を失っていた。

 

 

俺の部署は妊娠していなければならない。
俺は妊娠が確認されるまで、毎晩のように勇樹に抱かれた。
いつしか貫かれる快感を自ら欲するようになっていた。
「ああん。もっと奥まで♪」
「もっと激しくぅ!!」
「ああ、そこ♪いいっ!!」
俺は膣が、子宮が勇樹の精液に満たされていることを幸せと感じていた。

そして妊娠が確認され、俺は正式に遠隔操作部門に配属となった。
周りの女達に妊娠を祝福される。
彼女達も全員が妊婦である。
しかし、妊娠と同時に勇樹とは会えなくなった。
俺は貫かれる快感を欲していた。が、出産を迎えるまで俺達にはSEXは許されなかった。
悶々とした日々が過ぎてゆく。
その間にも、俺の腹は膨らんでゆく。
そして…
「明日からしばらく仕事を離れることになる。」
と出産の日程が告げられた。
臨月を迎えた妊婦は病院に収容される。
出産し、再び妊娠するとこの部署に戻って来るのだ。
部署の女達はこれを何度も繰り返している。
俺もまた、そのサイクルの中に入っていくのだ。

出産は呆気なく終わった。
何もなくなった腹の中の空虚が寂しかったが、これも仕事のうちと割りきる。
勿論、生まれた子供の顔など見る機会もない。
全自動の保育器に収められ、健康で丈夫な肉体と戦闘に必要な知識と技を教育されてゆくのだ。
「よう♪おめでとう。男の子だったって♪」
俺には知らされなかった事が精子の提供者には伝えられていたようだ。
「ご無沙汰だったな。早速次の種付けをしようか♪」
俺はその言葉を待っていた。
俺の股間は既にぐちゅぐちゅに濡れていた。
俺は勇樹の腰に取り付くと、芳しい香りに包まれた彼のぺニスを咥え込んでいた♪

腐カフカなモノ

ある朝、目が覚めると俺は自分が巨大な乳房になっているのに気付いた。
手足はなく、ただ巨大な肉塊となっていた。

「兄ちゃん、おはよう♪」
と、俺の返事も待たずに弟が部屋に入ってきた。
「あっ、何コレ?」
と、目敏く俺を見つけては、ダイブするように飛び付いてきた。
「わぁ♪フカフカだ!!」
両腕で俺を締め上げる。
「やめろ!!」と叫ぼうとしたが、声にはならなかった。
今の俺は手足もない。身動きひとつできないのだ。
更に弟は、俺の乳首を責めあげてきた。
その乳首は、男の胸にあるソレではなく…また、刺激によって勃起していった。

「アアン♪」
声にはならないが、俺は女のように喘いでしまっていた。
「凄い!!乳首がピクピクしてる♪もしかしてミルクが出るの?」
弟は牛の乳でも絞るかのように、俺の乳首を刺激し始めた。
あり得ない快感に俺の意識は飛び飛びになってしまう。
乳首の先端に何かが込みあげてきた。
ドクッ!!
先端から吹き出すものがあった。
「スゲー♪甘くて美味しい!!」
弟は俺から絞り出された母乳をごくごくと飲んでいった。

俺の母乳を飲み尽くすと、弟は腹の満たされ赤ん坊のように、俺の乳房の端を枕にして眠り始めてしまった。
さて、どうしたものだろうか…
快感が退いてゆき、多少は冷静に考えられるようになった。
しかし、手足のない…声も出せない俺に何が出来るというのだろう…
そして、一方では熾火のように俺の奥では快感が燻っていた。
(もっと快感が欲しい…)
満たされない思いがどんどん膨らんでゆく。
(何か…)
俺を内側から掻き回してもらえるような刺激が欲しかった。
(突っ込んで♪)
そう思った途端、パクリと俺の一部が開かれていた。
紅く熟れた肉壁から、ジクジクと液体が染み出てきていた。
(その奥に♪)
そう…何かを突っ込みたい…
そして、丁度よいところに弟の頭があった。

何をどうしたのかは記憶にない。
が、俺はその開口部に弟の頭を突っ込んでいた…
快感が復活する♪
「んあん…あ、ああ~ん♪」
俺は再び喘ぎ始めていた。
快感がどんどん高まってゆく。
弟の頭が敏感な所を刺激する。
「っあ、あああん♪」
幾度となく、快感の高みに放りあげられる。

気が付くと、俺の肉体は「巨大な乳房」から別の形態に変わっていた。
腕があり、脚がある。
俺はその腕で弟の頭を双つの胸の肉塊の谷間に押しつけていた。
脚は弟の胴体を挟み…その股間が彼の腰に密着している。
下腹部に硬く勃起した彼のペニスを感じていた。
もぞもぞと腰を動かし、俺の股間に誘導してゆく。

そう…俺は自分の肉体が完全に「女」になっているのが判っていた。
その股間にはペニスを受け入れる器官があり、熱く熟れてそれを待っていた。
自分が「男」であったことなど、もうどうでも良かった。
俺は「女」として…弟を…「男」を欲していた。

「さぁ、ココに挿れるのよ♪」

俺はふかふかな乳房で彼を悦ばせながら「彼」を受け入れてゆくのだった。

過去

時間とは何であろう?
「過去に戻る」ということは進んできた道を後戻りするのとは違う。

否!!
それは「同じ」とも言えるか…
後戻りであっても進むことには違いないのだ。
例え後向きに一歩づつ戻ったとしても同じ位置に足は戻らないし、再び歩き始めても、全く同じ足跡を残す事は出来ない。
時間とて同じ事。
戻ったように見えても、それは同じ過去ではない。
ましてや、改変された過去を現在に戻って確認するなどとは…不可能である!!

では、過去には戻れないのだろうか?
そう…「同じ」過去には戻れない。だが、異なる過去であれば、そこに行く事は可能であるのだ。
ただし、それはあくまでも「同じ」過去ではない。
そこはその人物にとっては、新たな「現在」なのである。 

 

「ここは?」
そこが僕の飛ばされた過去なのであろう。
身体に違和感があるのは単に肉体が若返っただけではないようだ。
過去に戻るということは、そのぶん肉体年齢も若くなることは想定の内ではあった。が…
今の僕は、そもそも僕自身の肉体の内に居る訳ではなさそうである。
つまり、本来の僕自身が別に存在していると言うことだ。
僕は僕自身に干渉し、未来を変えることになる。
まずは「僕自身」の存在を確認すべきであろう。
僕は起き上がり、身支度を…

「何だ!?」

僕はその時になって初めて、今の自分が若い「女」であることに気付いたのだった。
パジャマの下には双つの肉塊があり、ズボンの上からでも股関に何もないのがわかる。
男であれば、じっくりとこの女体を隅々まで確めたい欲求が沸いてきて当然である。
が、今は「僕自身」の存在を確認することを優先させなければならない。

とはいえ「女」の身仕度など、どうすればよいのだろうか…
パジャマを脱ぐ…小さなパンティに股関は覆われていたが、上は何も着けていない。
しかし、ノーブラというわけにもいくまい。
部屋の中を探すと、女物の衣服と下着類が見つかった。
パンティと同色のブラジャーを着け、男として慣れ親しんだジーンズとワークシャツを着た。
化粧などできる筈もないのだが、鏡を見るとボサボサの髪の毛が気になったので、とりあえずはブラシを掛けておいた。

スマホで現在位置を確認した。
「僕」本来の自宅からもそう遠くはないところだつた。
「僕自身」に干渉すべく、僕は「僕」のところに向かった。

目の前に「僕」の住むアパートがあった。
階段を登った。
そう…このドアの向こうに「僕」がいるのだ。
気配はある。
否…物音がし…微かに声も聞こえる。

が、それは「僕」の声ではない…
忍殺した女の声…喘いでいる…
(「僕」が女の子とSEXしている?)
本来の僕ではあり得ないこと…
(過去もまた改変されている?)
僕は台所の窓の裏に手を伸ばして、隠しから鍵を取り出すと、ドアを開いた。
ベッドの中から女の声が聞こえる。
布団の下で悶えている。

(?)
しかし、そこには「僕」の存在は確認できなかった。
女は独りで情事に耽っているようだ。
「あん♪ああ~ん!!」
女は僕が入ってくるのにタイミングを合わせたかのように、盛大に淫ら声をあげた。
(この女は何者なんだ?)
勿論、僕には知りようもない。 

「来たのね♪」
いつの間にか女は起きあがり、こちらを見ていた。
「驚かないんだね。」
「そう。貴女が来るのがわかってたから♪」
「わかってた?」
「だって、貴女はあたしだからなね♪」

この女は何を言っているのだろう?
彼女が僕?
(…)
否…彼女の顔には見覚えがあった。
そう…身仕度をしていた時、鏡に映っていたのと同じ顔?

「混乱してるのね♪当然よね。」
彼女は立ち上り僕に近づくと、ギュッと抱きしめた。
そのまま僕の唇を吸い上げた?!
僕は更に混乱してゆく…
「貴女は一度目の時間遡行で女になった。女になったあたしは再び時間遡行して貴女の前に現れた。そこまでは良い?」

(この女は何を言っている?)
僕の理解を遥かに超えた話だった。
ひとつ言えるのは…
「本来の僕はどこにいる?」

彼女はゆっくりと頷いた。
「彼はあたしが殺したわ♪」
(えっ!!)
僕は何も言えなかった。
「あたしは未来を変えたかった。それは貴女も同じでしょう?」
そう言いながら、彼女は僕の服を脱がしてゆく…
「あたしは貴女だから、何でも知ってるし、貴女の知らないことも知ってるの♪」

「ぁっ…」
彼女に敏感なところを責められ、僕は喘ぎ声をあげていた。
「あたしが彼に教えられたように、あたしが貴女にしっかりとオンナの悦びを教えてあげるわね♪」
僕はベッドに押し倒されて、本格的にオンナの快感に目覚めさせられていった。

「じゃあ、変えられた未来を確実なものにするために、貴方自身を殺してらっしゃい♪」
そう…僕は未来を変えるために過去にやってきたのだ。
しかし、この過去では既に「僕」は死んでしまっている。
「更に確実にするため」と彼女は言うが、本当にそうなのだろうか?

否…彼女は本当に過去から来た「僕」なのだろうか?
「行きません…」
僕はそう答えた。
「何故?」
「既に僕の未来は変わってるから…」
「な…何でなのよっ!!」
突然彼女の表情が変わった。
「駄目なのよ…この世界にあたしが二人居ては!!」

「どういうこと?」
僕が聞くと…
少しして落ち着きを取り戻した彼女が語り始めた。
「貴方が未来から来た時、玉突きのようにあたしの意識が弾き出されてしまったの…」
彼女は幼い「僕」の中で覚醒した。
その「僕」の意識がどうなったかまでは、今では知りようもない。
「僕」の中で覚醒した彼女は「僕」として成長する一方で、「彼女」自身を取り戻していった。
性別を元に戻し、体型を元に戻し、元の自分の顔を取り戻した。
そして、彼女は注意深く「彼女」自身には干渉しないようにしてきた。
そう…今日この時まで!!

彼女は今ここで僕を更なる過去に送り出すことで、元の「彼女」に成り代わろうとしたのだった。
「残念だけど、僕はこのままで良いよ♪未来を変えたいのなら、貴女が過去に行けば良い。」
既にマシンは起動を始めていた。
「っえ、何?また?」
その言葉と共に、彼女は過去に飛ばされていった。
と、同時に「現在」が改変される。

僕の目の前には「僕」がいた。

「君は誰?」
「僕」は何が起こったのか理解していないようだった。
「あたしは貴方の恋人でしょ?さぁ、続きをしましょう♪」
僕は「僕」の唇を奪うとその場に押し倒し、硬くなった彼を「あたし」の中に導いていった♪

同窓会

高校を卒業してから三年経っての同窓会に参加することにした。
地方の大学に入り独りで暮らした三年間は、俺をかなり変えることになっていた。
女子は大学に入り、化粧を覚えたり着飾ったりするようになって、誰が誰だか判らないとはよく言われるが、今の俺を俺だと判る奴は居ないと思っていた。

「よう♪ナベじゃないか。久し振り♪」
と声を掛けてきた奴がいた。
振り向いた先にいた美女から出ていたのが見知った「男」の声だったので、奴が武藤だとは理解できたが…
「よくアタシが判ったわね。」
「そりゃ、同類だからね♪」
「同類って…」
確かに、女の格好をしているという点ではだが…
武藤のは単なる「女装」である。
最近、ファッションとして男が女装することが流行ってるらしい。
流行を追うことはが生き甲斐のような奴がそんな格好で現れるのも皆の想定範囲である。
しかし、俺の場合は流行とかいったものとは全く異なる。
「そうだったな♪ナベのは本物だったっけ。」

「っえ?渡辺君だったの?」
ようやく他の同窓生も俺の正体に気付いたようだ。
「話には聞いてたけど…それGカップ?」
と、皆の視線が俺の胸に集中してくる。
所謂「TS病」で俺は女になってしまった。
それも、ただ「女」になっただけでなく、かなりSEXアピールのある肉体となってしまっていた。
「い…今はHになってる。」

「おお!!H?…さ、触らせてくれ!!」
とお調子者の鈴木が迫ってくるのを、女の子達が巧みにガードしてくれていた。
女装姿の武藤もまた恨めしそうに俺の胸を見ている。
「あげられるものならあげてやりたいんだけどね♪サイズの合うブラはなかなかないし、この重さで肩は凝るし、何より男達の視線には易壁する。…まあ、わからないでもないんだけどね。」
「ちゃんとお化粧もしてるんだ。」
この娘は確か伊藤だったかな?
「んまあ、この姿だとね。男の服は着れないし…」
と、そのまま女の子達の輪の中に取り込まれてしまった。

 

「何でオレなんかと?」
二次会の喧騒から逃れて、俺は武藤と二人でホテルのベッドの上に居た。
「なんでかしらね♪」
と俺…
否…俺には判っていた。
俺の内にある「女」が「男」を欲していたのだ。
だが、俺もまだ意識の上では男のままである。
まだ「男」とホテルに向かうには抵抗があったのだ。
武藤の見た目は…女装ではあるが…「女」だった。
(…)
本当にそれだけか?
まだ「男」だった時から武藤に気があったのかも知れない。
だから…
「…シよっ♪」
俺は武藤のスカートの中に手を伸ばした。
固いガードルの下からでも、彼の憤りが感じられた。
俺は「彼」を開放すると、自らの口の中に運んだ。

俺は今「男」を咥えている…

そして、その先に…
既に俺の股間はしっとりと潤んでいる。
その夜…俺は「オンナ」になった…

やり直し

ひたひたと潮が満ちてくる。
俺は砂浜に首まで埋められて、身動きが出来ないでいた。
耳元に流れ込もうとする海水を防ぐ事も出来ない。
この先も、口や鼻からの浸入をも許さざるを得ないであろう。
無情にも、刻は過ぎて行く。
少しでも息をすれば海水は俺の肺の中を満たしてしまうであろう…

何故、俺はこんな場所にいるのだろうか?
勿論、その理由は判りきっている。
知らなかったとはいえ、組長の孫娘に手を付けたのだ。
まだ、その場で一思いにに斬り捨てられていた方がさっぱりしていただろう。
(どうする?)
突然頭の中に声が響いた。
(やり直してみないか?)
やり直す?
声はそう言った。
どういうことだ?
(言葉通り、過去に戻って現状を変えてみようとは思わないか?)
とにかく、このままでは待っているのは「死」だけなのだ。
俺は躊躇うことなくその提案に同意していた。

 

「どうした♪今になって怖くなったか?」
男の言葉に、俺は条件反射のように…
「そ、そんなことないわよ!!」
(「…わよ」?!)
な、何なんだ?この語尾は?
いや!!それよりもこの「声」だ。
まるで、女の子みたいに甲高い!!

(女の子?)

俺は部屋の壁のひとつが一面鏡貼りになっているのに気付いた。
そこには「俺」と「ミホ」が映っている。
ミホはそもそも発端となった組長の孫娘だ。
それに覚えているぞ。
ここは、俺がミホの処女をいただいたラブホテルだ♪

(過去に戻った?)

「そうか♪なら、良いんだな?」
男=「俺」が、俺を抱きしめた。
鏡にはミホを抱く「俺」が映っているが、それは「今」の俺ではない。
今は、俺がミホなのだ…
以前の俺がしたように、「俺」はミホをベッドに押し倒した。
…否…
俺が押し倒され、組み敷かれてゆく。
脚を開かされ、男の舌が俺の股関を舐めあげる。
「ん…あ、ああ♪」
俺は女のように喘ぎ声をあげていた。

(これは既視感か?)
俺の記憶にある通りに、男=「俺」は俺=ミホを責めたてた。
…そう…ここれは過去の再現なのだ。
俺は過去に戻り、現在の俺を「死」から救うべく…
「あっ!!ああ~ん♪」

俺は女の快感に呑み込まれてしまっていた…

俺は毎日のように「俺」に抱かれていた。
満たされる幸福感と、際限のない快感に、思考が停止していた。

気が付いた時は、既に「その日」だった。
来るはずの「彼」を待って眠れぬ夜を明かした時、ようやくその事実に気付いた。
(俺は何の為に過去に戻ったのだ!!)
「彼が死んじゃう…」
俺は化粧もそこそこに部屋を飛び出して行った。

「見つけたっ♪」
砂に埋もれた彼の姿を認めると、素足になって砂の上を駆け寄って行った。
「遅かったじゃねえか。」
と余裕をうそぶく彼…
「ばかばかばかっ!!」
と泣きながら砂を掘り返した。

ガバッと、砂の中から腕が現れてアタシを抱きしめた。
続いて上半身が起き上がった。
「別に俺のことなど放っておいても良かったんじゃないか?」
えっ?
アタシは頭の中がまっ白になった。
「別にこの肉体でなくとも、貴方は生き続けていられるのでしょう?」
「生きて…?」
「あなたはあたしより、いきいきとしてみえたわ♪」

(この人は誰?)
アタシの中で急速に疑問が沸き起こってきた。
「まだわからない?可愛くなった分、頭が悪くなったのかしら?」
「その言いかた…ミホか?」
「貴方が貴方であるようにね?」

アタシと彼は中身が入れ替わったまま、元に戻ることはなかった。
けれど、そちらの方が却って良かったようだ。
彼は「ミホ」の明晰な頭脳と「俺」の精力的な肉体とで、組織の中でメキメキと頭角を伸ばし、アタシのパートナーとして申し分ないことをお祖父様や周囲の人達に見せつけていた。
アタシはもう組織の目を気にすることもなくなり、全てを彼に委ねて快楽のみを追い求めていれば良かった♪

「あん♪ああ~ん!!」
アタシは今夜も彼に抱かれて嬌声をあげ続いていた…

病気?

(こんなに膨らんでくるなんて…何か悪い病気なんだろうか?)

風呂から上がり、鏡に自分を写す。
胸が盛り上がっているのはボディビルディング等での筋肉の盛り上がりではない。
相撲取り等の肥満体型での脂肪のだぶつきに似てはいるが、俺自身そんなに太ってはいない。その脂肪の付き方だけを見れば、まるで女性の乳房である。
両脇を締め、腕を組むと、俺の胸に深い谷間が刻まれる。
プックリと膨らんだ乳首が(俺のモノだと思わなければ)かなりそそられる。
指先で摘まむと、むず痒い快感が生まれ、乳首が硬く勃起する。
(んあん…ぁあ~ん♪)
俺の頭の中にオンナの媚声が響く…

 

 
「これじゃあ擦れて痛いんじゃない?ブラジャー着けた方が良いわよ。」
病院で診察を受けた後、俺の担当らしい女性職員にそんな事を言われた。
「勿論、ブラジャーなんか持ってないわよね♪大丈夫、サポータの名目で処方されてるわよ。」
と、フリルの沢山付いたピンクの水玉柄のブラジャーが俺の目の前で揺れていた。
「着け方知らないでしょ?教えてあげるから覚えていってね♪」
と俺の診察着を剥ぎ取ると、俺の胸にブラジャーのカップを宛てた。
「ストラップを通したら、後ろでホックを掛けるのよ♪」
仕方なく、彼女の指示に従ったが、俺の体は硬く、背中に手が届かない。
「反則技なんで使いたくないんだけどね…」
と、彼女はもう一つのやり方を教えてくれた。胸の前でホックを止め、半回転させてからストラップに腕を通すのだ。
「って、何をするんですか?」
彼女はカップの隙間から手を入れ、俺の胸を揉み始めたのだ?!
「カップの中に周りのお肉を寄せてるのよ。形が良くなるわ♪」
「俺は男です。胸の形なんて関係ないですっ!!」
「あら、男の方の方が胸の形を気にしてるんじゃないの?特に大きさとか♪」
「それは女性の胸の事で、自分の胸の事ではありません!!」
そんなやり取りをしている間に、彼女の作業は終わったようだ。
鏡の前に立たされた。
そこに、ブラジャーを着けた「俺」が写っている。ブラをしていない時よりも一回り以上大きくなったように見える。
「どお?立派なもんじゃない♪」
俺は絶句するしかなかった。
「これじゃあ、外を歩けませんよ。」
「勿論、その上にはちゃんと着てもらうわよ。でも、そのデザインなら見せブラしても構わないわよ♪」
「誰が何を見せるんですか?それにこのフリルとか…ワイシャツの上からでも着けているのがはっきりと判ってしまいますよ?」
「そう言われると思って、スポーツブラも用意しておいたわ。これなら丈の短いランニングシャツに見えなくもないわよ♪」
「そ、そういうのがあるのなら、先にそっちをください!!」

 

 
翌日から会社だった。
スポーツブラの上に厚手のTシャツを着た。ワイシャツも生地の厚いものにしてブラジャーを気付かれないようにした。
勿論、上着は手放せない。
午前中は何とかやり過ごせた。
昼にはどこにも行かず、飯抜きで自席で狸寝入りをしていた。
午後も何とか誤魔化せそうだ…と思っていたが、3時を過ぎた頃に上司が声を掛けてきた。
連れられて会議室に入ると、フロア内でも発言力の高い女性社員逹が待っていた。
「その…何だ…」
上司が口を開く
「君は今朝から調子悪そうだったじゃないか?彼女逹はそれを肉体的なものではなく、精神的なものではないかと言ってるんだ。」
上司の後を一番のお局が継ぐ
「そのような趣味の方が居る事は知っています。が、それが私達の隣に居て、恥ずかしくもなく神聖な職場にまで持ち込んで来るのには耐えられません。」
「上着、脱いでください。確認させてもらいます。」
俺にはその指示に従わない選択肢は存在しないようだった。
「これ、ブラジャーですね?」
「まさか、丈の短いタンクトップとか言うんじゃないでしょうね?」
背中のバンドが掴まれ、引っ張られた。
「ご丁寧にカップまで膨らませていて…何を詰めているのかしら?」

「いてっ!!」
彼女が思いきり掴み、捻りあげたので、痛みに思わず叫んでいた。
「えっ??」
掴んだ彼女の表情が一瞬で固まった。
「…本物?」
「シリコンでも詰めてるんじゃないの?」
彼女等の威勢が弱くなる。
「き、聞いてくれ。このブラジャーは病院で着けるように言われたんだ!!」
「病院?」
「そう…しばらく前から、胸が膨らんできて…これ以上は隠しきれないし、もしかすると変な病気かも…と病院に行ったんだ。」
「病…気…なの?」
彼女逹は静かになっていった。
「肝臓が弱っているそうで、一時的にホルモンバランスが変調を起こしているらしいんだ。」
「伝染るの?」
「あぶないものだったら、医者が外出を止めるよ。」

彼女逹はどうやら納得したようだった。
しばし内輪で話しが続いた。そして…

「もう少し良く見せてもらえませんか?」
と言ってきた。
こうなったら「どうにでもなれ」とワイシャツを脱いだ。
彼女逹の視線が集まる。
「直接見ても良いですか?」
その言葉にガチャっと音がした。上司が机の上でコケていた。
彼女等も上司に気付く。
「ここから先は男子禁制です。報告は後でしますから席を外してください!!」
彼女等には上司も逆らえない。
彼が出て行ったのを確認し、俺はTシャツを脱いだ。

ブラジャーも外し、膨らんだ俺の胸が彼女等の前に晒された。
「これは男の人の胸には見えないわね。」
「確かにブラは必要だわ。」
「でも、何でスポーツブラなの?もっと可愛いの着ければ良いのに♪」
「男の人はそうそう一人でブラなんか買えないでしょ?」
「通販とかあるじゃない♪」
「この人が自分からそんなことできると思う?」
「じゃあ、あたし何か買って来る♪」
「っあ、ついでにガードルもお願い。下腹部が強力なやつね♪」

俺は再び彼女等の威勢に圧倒されていた。
「わたしたちは男性がブラジャーを使用している事に、大変な不快感を被っています。勿論、貴方が病気によりブラジャーが必要となっていることも理解しています。」
何やら一式が揃ったところで、彼女等が俺に指示を与えようとしていた。
「そこで、見た目が女性であれば、不快感はない筈と結論付けました。貴女には病気が治癒するまで、女子の制服を着てもらう事にします。」
多少はそのような予感はしていた。当然、俺に拒否権はない。
ズボンとトランクスを脱がされ、ガードルを穿かされた。
ストッキングは厚手の黒タイツが用意されていた。
「できれば脛毛を処理しておきたいわね♪」
今回は免罪されたが、いずれはそうなる事が予見される。
花柄のブラジャーに代えられ、ブラウスを着せられる。
ボタンが左右逆なので苦労したが、男物のワイシャツより胸の周りがゆったりしていて着心地が良かった。
スカートを穿かされ、ベストを着ると我が社の新しいOLが一名できあがった。

「次はお化粧ね♪」
「そこまでする必要があるのか?」
「会社のドレスコードって知ってる?女子はノーメーク不可なのよ♪」
「お、俺は…」
「見た目は女子社員♪って言ったでしょう?明日からは自分でして来てね♪」
「家で化粧して来いってか?男が化粧して通勤できるか?」
「なら、通勤中も女の子した方が良いかもね♪勿論、女物の私服も持ってないんでしょう?お化粧が終わったら、買いに行きましょ♪」
俺は為す術もなく、彼女等に連れ出されていった。
 

「経費で落としてくれるって♪」
「これなんか良いんじゃない?」
「あんたは喋っちゃだめよ。男だって判っちゃうから!!」
俺は彼女逹の着せ替え人形だった。
いつの間にか時間は定時を回り、俺は彼女等に連れられて居酒屋に居た。
所謂「女子会」というやつだ。
本日の肴…犠は当然の事ながら「俺」である。
彼女等の中では、俺は既に男性経験があり、工事も半ばまで進んでいる事になっていた。
勿論、俺に反論する隙など与えてくれない。話題が盛り上がる度、俺は胸や股間を弄られていた…

 

 

家に戻り洗面台の鏡を見ると、そこには「女」の顔があった。
石鹸を泡立てて化粧を擦り落とした。疲れ果て、十分に落としきれていないのが判っていたが、適当に切り上げる。
服を脱いでハンガーに掛けた。やはりブラウスのボタンが巧く扱えない…
背広を会社に置きっぱなしにしてきた事に今になって気付いた。財布や携帯、定期等はいつの間にか手提げ袋に移されていたようだ。
風呂が沸いているのを確認して風呂場に向かった。
洗面台の鏡に下着姿の女が写っていて、一瞬ドキリとしたが、その「女」が自分であると再認識させられた。
ガードルで股間の膨らみが分からなくなっているので、見ただけの体型は本当に「女」そのものだった。
が、化粧をしていない首から上と密生している脛毛が、俺が男である事を示していた。
(脛毛を剃って、化粧をしてしまえば分からないってことか?)

ウィッグを外し、ガードルを下ろすと、俺が「男」である証が現れる。
(逆にここまでしないと、俺は男として認めてもらえないという事か?)

 

湯船に浸かっていると、次第にリラックスしてくる。
と、同時に余計な事まで頭の中に蘇ってくる。
(男性経験…かぁ)
俺が本物の女だったら、格好良い男になら肉体を許していただろうか?
手慣れた手つきで胸を愛撫され、それだけで始めはイッてしまうのだ。
彼の手が股間に延びてくる。そこは既にぐちょぐちょに濡れていた。
肉襞を掻き分け、彼の指が侵入してくる…
「あっ…」
彼の指がクリトリスに触れ、全身が電気に打たれたように感じる。
艶やかな喘ぎ声が漏れる。その媚声に彼の指は気を良くして、更になかへと進めてくる。
膣口から彼の指が膣内に侵入してきたのがわかる…子宮が期待に疼きだしていた。
「ああん…」
二本目が入り、喘ぎ声も大きくなる。
膣の中で指先が探し求めているのはGスポットなのだろう。
ソコを責められた時はもう、何も考えられず、ただ「あんあん♪」と嬌声をあげ続けていた…

 
「俺」は湯船の中に居た。
女がオナニーするように、片手で乳首を弄り、もう一方の手を股間に伸ばしていた…
(?)
俺の指は今、どこに挟まっている?
指がしっとりと濡れた穴の中に収まっているのはわかる。その指が俺自身の股間に突き立てられ、挿入されているのも感じられる。
…が、
それはドコだ!!
真っ先に思い浮かぶのは尻の穴だ。
ホモはケツマンコと言って女陰の代用にしていると言う。が、ソレでない事は即にわかった。
では、コレは何だ?
ペニスの裏側にバックリと裂け目ができている。
この濡れ方は女性の膣と寸分の違いもない…

(俺の股間に「膣」ができている?)

この「乳房」に「膣」…ペニスだけが、かろうじて俺が「男」であると証明してくれる。
が、常にペニスを見せびらかす訳にもいかない。
とにかく、明日はもう一度病院に寄るしかないだろう。
俺は風呂から上がると上司に連絡を入れておいた。

 

「これは完全に子宮の形に出来上がっているなぁ。」
腹にエコーを宛てながら、医者はそう言った。
「か、肝臓が悪いだけじゃなかったんですか?」
「肝機能は正常値に戻りつつあるよ。それは心配ない。君の胎内に生じた器官も正常に活動しているよ。」
医者は何事もないかのように告知してくれた。
「今の君の肉体的性別は紛れもなく女性だよ♪」
「何故なんですか?元に戻れないんですか?」
「元…と言うが、君は元々女性だったとしか言い様がないね。所謂仮性半陰陽だ。肥大した陰核をペニスと錯覚して、君は男性という性役割を刷り込まれたと言うのが常識的な回答だね。」
「肝臓を診た時にはちゃんと男でしたよね?」
「その時はそういう切り口で診ていなかった。と言うだけだね。数日で人間の性が反転したなんて誰も信じないよ。性別の再判定を受けたいなら紹介してあげるよ。」

俺は紹介状を書いてもらったが、医者からは「一週間。自分を見つめ直してから訪ねた方が良いよ」と言われていた。
いずれにしろ、今日はもう何もする気力がない。肉体的には動けるので、一週間のうちにそう何日も会社を休む訳にもいかない。
俺はそのまま家に戻って行った。

 

 
結局、翌日は女の服を着て会社に行くことになった。
ちゃんと化粧もした。(いつもより一時間以上も早く起きたのだ)
満員電車に揺られている間、俺の尻をもそもそと触りまわる手があった。
男を痴漢する物好きもいるんだ…と思って好きにさせていたが、今の俺は見た目は普通の女性と変わりがないのを後になって思い出した。

「お早うございます。」
とフロアに入る。
皆の視線が「この娘だれ?」と言っていた。
俺が自席に着くと、ようやく納得したようだ。
「どうしたんだよ、その声。女子の制服を着せられるってことは聞いてたけど…」
隣の席の同僚が声を掛けてきた。
「俺の声?何かおかしいか?」
「おかしいって事はない。その姿に十分合っている。でも、その声で男言葉はないんじゃないか?」
彼に指摘されるまで、俺は自分の声が高くなっているのに気付かなかった。
「あ、あ…」と小さく声を出してみたが、彼の言う通り、それは全くの女声だった。
しばらくして、上司からも「少なくとも、電話応対の際は女言葉を使うように。」と釘を刺された。

定時も近づき、仕事も一段落していた。俺は隣の同僚と雑談モードに入っていた。
「そう言えば俺、今朝、痴漢に会ったんだ。」
「どんな奴だった?」
「顔までは見ていないよ。しつこく尻を撫で廻してくるので不快に思いながら、下車駅まで我慢してたんだ。」
「痴漢なら、その場で押さえないとな。キャーとか叫べば周りの人が何とかしてくれるよ。」
「そん時は俺も痴漢だとは思わなかったんだ。こんな成りはしていても、俺は男だからな。」
「そ、そうだよな。お前は男なんだよな? …なら、ひとつ頼みを聞いてくれないか?」
「頼み?」
「そう、その胸…触らせてく…」
パンッ!!と奴の頭が叩かれた。
上司の手にあった書類で叩かれたのだ。奴の手は俺の胸に届く事はなかった。
「勤務時間内に変な事をするな。最近、セクハラ・パワハラが煩いんだ。」
「頭を叩くのは良いんですか?」
「状況による。」
「もうひとつ、勤務時間内はわかりました。業後なら問題ないんですよね?」
「むふんっ。大人の対応を期待する。」
咳払いの後、そう言って上司が席に戻ると終業のチャイムが鳴った。

 

 

 
その晩は、同僚と飲みに行った。
いつもの店だが、マスターは俺の事が判らないようだ。
「女の子連れなんて珍しいじゃないか。」
とカウンターの中から声を掛けてきた。
俺が正体を明かそうとすると、同僚は口に一本指を充てた。
「今度、新しくうちの所に配属になった娘なんだ。これからもちょくちょく来ると思うのでよろしくな♪」
「そうかい?ご贔屓に願いますよ。これはサービスだ。」
と可愛らしい付け出しが俺の前に置かれた。
俺は初対面を装い、「よろしくお願いします。」と頭を下げた。
今日一日、電話の応対の中で、丁寧語を使っていれば、男言葉にならない事を会得していた。
(流石に自分の事を「あたし」とは言えないが、「私」であれば何て事はなかった)

お酒の量は大分セーブしていた筈が、途中から記憶が無くなっていた。
覚えている限り、俺は終始「女の子」として扱われていた。
俺もそのノリで同僚の話しに女の子っぽく相槌を打ったりしていた。
カウンターに並んで座っていたが、少しサービスするつもりでふたりの距離を縮めてゆく。
尻が触れ合う所までゆく。もう少しサービスしてやっても良いかな?などと考えていた記憶がある。
が、最終的に俺はどこまで許そうとしていたのだろうか?

 

目が覚めたのは自分の家のベッドの上だった。
お化粧も落とさず、服も着たままベッドの上に大の字になっていた。
服には大きな乱れはなかった。(って、俺は何を確認しようとしたんだ?)

俺はむっくりと起き上がり、シャワーを浴びるため服を脱いだ。洗面台の鏡に写る半裸の女が自分自身である事にも慣れ始めていた。
ブラを外し、ガードルを下ろす。
昨夜は即にペニスが飛び出してきて、俺が「男」であると確かめられ、内心ホッとしたものだが、今夜のペニスは何の動きもなかった。
まさか無くなってしまったかと焦ったが、そいつは縮まったまま、股間の割れ目に隠れていた。
俺はそいつを指先で堀り起こした。印象がいつもと違う感じがした。確認してみると、ペニスの裏側の袋が無くなっていた。
勿論、袋の中身も無くなっている。ペニスは刺激を与えても、痛いだけで硬くなる事はなかった。
焦る一方、こうなることを予感していた自分もいた。

シャワーを浴びた後、パジャマを着てベッドに潜り込む。もう一度、ペニスを弄ってみたが変わりはない。
(これでは、女を抱いてもなぁ…)と思ってみても、胸の膨らんだ男など相手にされる筈もないだろう。
逆に男から「女」として見られている?その証があの痴漢…
(もし、同僚が俺を「女」として見ていたら、俺は彼に抱かれていただろうか?)
そう思うと、ジュンと股間に溢れ出るモノがあった。俺の膣が即にでもソコに男性自身を咥えられるように、愛液を出しているのだろう…

もし、同僚が俺を抱いていたら、俺はココに奴を受け入れていたのか?

酔い潰れずに、奴とホテルに入り、服を脱ぎ、全裸になる…
俺を見て「綺麗だ♪」と言ってくれた♪
俺は奴の前に座り、彼のズボンを下ろしてやる。トランクスを外すと目の前に彼のペニスがある。
硬く勃起したペニスに触れる。指で…そして掌で包み込む。そのまま、俺は口を開き彼を咥え込んだ。
口の中で更に硬くなる。俺の口全体で刺激を与えると、溜まっていたようで、彼は即にも射精に至った。
「今度は君をもらうよ♪」
俺は小娘のように素直に彼に従っていた。ベッドに仰向けになり、脚をM字に開いて彼を待った…

 
俺は妄想を断ち切った。その妄想が俺の「願望」だと言うのだろうか?
しかし、妄想は俺の肉体のスイッチを倒していた。俺の「女」の肉体が掻き立てられる。子宮が疼き、早くソコを充たしてと叫びだしている。
妄想の続きを要求する。それが現実のものでない事などお構い無しに焚き付ける。
立てた脚の間に、彼が伸し掛かってくる。彼のペニスの先端が入り口を探している。俺は腰をくねらせ、彼を誘導する…
濡れた膣口に、ペニスの先端が潜り込んだ。彼の目が俺に最終確認を求めている。俺は小さく頷き、瞼を閉じた…

が、妄想は妄想でしかない。
経験した事のない感覚を再現しきれるものではない。
が、スイッチの入った肉体はそれを求めて止まない。俺はペニスの代わりに自らの指をソコに咥えさせた…

 

 

その朝の目覚めは尿意によるものだった。
小用のみであれば立ってしていたが、スカートを穿かされている間は小用でも座ることになる。
その時も、便座に座って、股間の溝からペニスを掘り起こし放尿を待った。
シャーっと股間から小水が放出されてゆく。が、その感じがいつもと違った。小水はペニスの中を通らず、その根本辺りから放出されているようだ。
ペニスを確かめる。徐々に縮んでいたのは判っていた。が、皮を剥いてみると鈴口が塞がっているみたいだ。
これではもうペニスではなく、肥大したクリトリスとしか言い様がない。そして、ペニスの成れの果てを割れ目に戻すと、そこはもう、女の股間以外の何物でもなかった。

既に、ガードルなしでいても邪魔な膨らみが露見することもなくなっていた。
ショーツにパンストだけでスカートを穿いていた。
もう、それが当たり前になっていた。
俺が「男」だと言えたのは、まがりなりにも「ペニス」が残っていたからだ。

変化は一気に進んでいった。
昼にはもう、クリトリスと化したペニスは小指の先もなくなっていた。
そう、俺の「ペニス」は完全に消え去ってしまっていたのだ。
同時に、俺は「男」だと主張する気力も失せていたのに気付いてしまった。

 
その夜。化粧を直した俺は同僚を飲みに誘っていた…

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