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2017年1月12日 (木)

行列

長い行列だった。
何の行列かは知らなかったが、並んでなければならないことだけは解っていた。
僕の前にも、後ろにも人が並んでいる。
(どんな人が並んでいるのだろうか?)
好奇心に駆られて後ろを振り向いてみた。
が、その人の顔がぼんやりと霞み、どんな人なのかを確かめることができない。
(何ではっきり見えない?)
僕はジッと目を凝らした。
ぼんやりとした顔に、やがて輪郭が現れ、目・鼻・口が判別できるようになった。
(どこか見覚えのある顔?)
僕は知り合いの顔を思い浮かべた。
が、なかなか一致する顔が見当たらない…

「おいおい。勝手な事はしないように。」
と肩を叩かれた。
(誰?)
と振り向いたが、そこには誰もいなかった。
そして、振り向いた拍子に僕はバランスを崩してしまった。
「…っと♪」
と踏み止まったが、その一歩で僕は列をはみ出してしまった。
戻ろうとしたが、その列には僕の入るべき隙間はなかった。

「あ~あ。やっちゃった♪」
再び声が聞こえた。
「どうする?もう元には戻れないよ♪」
ならば、この辺りをうろついてみるか♪

とくに制止する声はなかった。
しかし、列から離れてみても景色が変わる訳でもなく、ただ「列から離れた」と判るだけだった。
離れた場所から列を見てみたが、先頭も後方も果てしなく続いているようだ。

再び列に戻る。
その誰もが同じように前を向いて歩いている。

「止めろっ!!」

僕が列に並んだ一人に声を掛けようとした途端、制止の声が飛んできた。
勿論、姿は見えない。
「列を乱すことは許されない。」
(なら見てるだけなら良いのか?)
「それなら問題ない。」
僕は再び目を凝らした。
さっきとは別の人の筈だが、見えてきたのはさっきと同じ顔だった。

(!!)

突然にその顔の主が思い出された。
それは「僕」の顔だった。
別の人の顔を見た。
その顔も「僕」だった。
そこに並んでいる全員が「僕」なのか?

 

得体の知れない恐怖に駆られ、僕は走りだしていた。
列からはどんどん離れていった。

気が付くと列はどこにも見当たらなかった。
切らした息を整え…
(?)
僕は息など切らしていなかった。

立ち止まったのは身体に違和感があったからだ。
そう…胸が痛かった。
苦しいとかそういうのではなく、物理的に引っ張られる…

何が引っ張られる?
胸?
僕は視線を落とした。
(?)
僕の胸が膨らんでいた。
女の子みたいに乳房があるようにシャツを押し上げている。
(女の子のよう?)
気が付くと髪の毛が伸びていた。
女の子のように背中に届く程…
そして、腕も手の指も細く、白くなっていた。
いつの間にかズボンがスカートに変わっていた。
スカートの下に伸びる脚も女の子みたいだ。
(…)
スカートの上から掌を股間に当ててみた。
(…)
確証はない!!
そんな事があるのだろうか?
僕はスカートをたくしあげ、パンツの中に手を入れてみた…

 

 

「おい、大丈夫か?」
男の声に目が覚めた。
「うなされていたようだけど、怖い夢でも見たのか?」
「夢?」

僕はベッドの中で寝ていた。
男も同じベッドにいる?
僕は胸と股間に手を伸ばした…
そして男の顔を確認した。

男は「僕」だった。

行列から漏れてしまった僕は、もう「僕」には戻れないのだろう。
僕は大人しく「僕」に抱かれていた…

 

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