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2016年10月30日 (日)

僕の妻と

「僕の妻と結婚してくれないか?」
僕が頭ん下げたのは、親友の大悟だった。
奴とは大学時代、妻を取り合ったライバルでもあった。
「な、何なんだよ突然?」
「余命6ヶ月…」
「癌か?」
「いや、死ぬ訳じゃない。僕という男が存在しなくなるだけだ…」
「TS病か?早織さんは何て?」
「妻にはまだ何も言っていない。だが、女になってしまった僕は彼女と結婚生活を続けられない…」
「だから俺に?だめだ。先ずは早織さんに話すべきだ!!」
「彼女はきっと〈大丈夫よ〉って言う筈だ。どんなに自分が苦しくても、決して表にはださないんだ。」
「それでも…だ!!」
「なら、お前も一緒にいてくれるか?」
「お前らの問題だろ?俺なんかがいたら却ってややこしくなるぞ。」
「それでも…頼む。」

 
…一年後…

「早織さんの事も俺が責任を取って面倒見ます。だから、こいつの事は責めないでやってください。」
僕の隣で大悟が僕の妻に頭を下げていた。

ほんの一刻の気の迷いだったんだ。
彼と身体を合わせて…僕はオンナの快感にうち震えていた…
その結果が…

それが「つわり」だとは「女」初心者の僕にはなかなか認識できなかった。
早織の方がその辺はふんだんに情報を持っている。
早織に連れられていった産婦人科で僕の妊娠が確認された。
僕があたふたしているうちに大悟が呼ばれた。
そう…父親が大悟であることは疑いようもなかったのだ。

「早織さんの事も俺が責任を取って面倒見ます。だから、こいつの事は責めないでやってください。」
僕の隣で大悟が僕の妻に頭を下げた。
「結局、こうなるんじゃないかと思って、このヒトに勧められてた大悟さんとの結婚を断ってたのよ♪」
当然の事ながら、僕は頭を上げられなかった。
「あたしの事は大丈夫だから♪お幸せになってね。」

女性化した男が、妊娠をきっかけに男と結婚することは良くある事らしい。
妻との離婚も簡単に認められてしまった。
あれよあれよと言う間に僕は教会の大きな扉の前に立っていた。
隣に立っているのは黒留袖の早織だ。
真っ白なウェディングドレスを着せられた僕は、開かれた扉を進んでゆく。
その先には大悟がいる。
「この娘を頼みますね♪」
と早織が僕の手を大悟に差し出した。

「さあ、誓いの口付けを…」
ベールが上がり、彼の唇が僕の唇に重なる…
僕は今、大悟の「妻」となった♪

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