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2016年10月30日 (日)

「なっ!!…何で?」

偶然にも、近衛隊の宿舎で相部屋となったアーサーの裸体を目にした俺は、そのまま硬直してしまっていた。
「きゃっ!!」
と可愛い悲鳴をあげて前を隠したが、アーサーの胸にあったものと、股間にあるべきものが無かったことははっきりと目に焼き付いていた。

バタリと俺の前でユニットバスの扉が閉められた。
その向こう側では、アーサーがその女体に残った湯滴を拭き取っている…
しばらくして扉が開き、タオルで身体を巻いたアーサーが俺の脇を通り過ぎていった。
俺はまだ身体を動かせないでいた。
衣擦れの音がした。
アーサーが下着を付け、衣服を身に着けていってるのだろう…

 
今日は何故か気分が乘らず、通常訓練の後の自主訓練を切り上げて部屋に戻ってきた。
貧弱で体力に余裕のないアーサーはいつも先に部屋に戻っている。
が、戻ってきた部屋の中にはアーサーの気配がなかった。
(どこかに出掛けているのか?)
と俺は無意識にユニットバスの扉を開けようとした。
その一瞬前に、シャワーを終えたアーサーが独りのつもりで扉を開けてしまったのだ。

男同士であれば、そんなに大きな問題ではなかった。
しかし、アーサーは「女」だった…

「もう良いよ。こっちを向いても♪」
振り向くと、そこにはいつものアーサーがそこにいた。
「僕の本来の名前はアナスタシアと言うんだ。」
「アナスタシア?図らずも俺たちが警護する王女と同じ名前だな?」
「図らずも…どころか、僕がそのアナ姫自身なんだよ♪」
「何で?それに、俺達が警護しているアナ姫は?」
「彼女は僕の侍女の一人だ。身代わりをしてもらっている。」

目の前にいるアーサーはいつものアーサーなのだが、どうにも、さっき見た女体が重なって見えてしまう。
「おい。何卑しい目で僕を見てるんだ?あんたになら僕の秘密を知ってもらっても良いかなと思ってたのに!!」
「いや、済まん。さっきの光景があまりにもショッキングだったんだ。」
「そう…なの?」
「考えてもみろ。厳しい規律の中、女っ気なしで過ごしていたんだ。男しかいない筈の宿舎に突然…」
「こればっかりは慣れてもらうしかないか…」
「慣れろって言われても、それが〈男〉ってもんだろ?」
「僕がそれを理解できてると思ってる?」
「っま、まあ…それはそうだが…」

「で、何で僕が身代わりを立ててまでこんな所にいるか?だったよね。」
「そ、そうだ…」
「僕は自分が守られる立場にいるのが嫌だったんだ。兄達は皆兵役に出て手柄をたててきている。僕だけ城の中でのうのうとしているのが耐えられないんだ。」
「とんだお転婆姫だな。だが、お前のその体格そのものがハンデだろ。実際、よくついてこれてると思うよ。」
「確かに、僕も限界を感じてきてはいる。魔法力で補っているのもバレそうだしね。」
「魔法?さっき動けなくなったのもそうか?」
「うん。無意識に使ってしまう事もある。だからバレないようにするのも難しいんだ。」
「魔法って事は王妃の血か…」
「そう。この国には母以外に魔法が使える者はいない事になっているよね♪」

「で、俺に秘密を明かすのは何故だ?」
「僕の身代わりをしてくれている侍女が田舎に戻らなくてはならなくなったんだ。代わりの侍女を探しても良いんだけど、僕が〈アーサー〉でいるのも限界かな?って思うようになったんだ。」
「アナ姫に戻るのか?」
「否。僕は守られてるのは嫌なんだ。まだここにいたい。が、君が言うようにこの体格ではそう長くは保たないだろう…」
「だからって、俺に何かできるのか?」
「僕に君の身体を貸して欲しい。そして僕に代わってアナを演じてもらいたいんだ。」
「身体を貸すって?」
「こういう事だよ♪」

 
一瞬、部屋の中が光に包まれた。
そして目が慣れてきた時…

目の前に「俺」がいた。

「魔法?」
俺の声はアーサーの声になっているのだろうか?かなり甲高くなっていた。
「そう。身体を入れ替えた。今は君がアーサー…アナスタシアだ。」
「ちょっと待ってよ。あたしはまだ承諾してないわ…って、〈あたし〉?」
俺は自分の事を「俺」と言っているつもりなのだが声に出たのは「あたし」だった。
「その身体に相応しいしゃべり方になるように魔法を掛けてある。ついでに言えば筋力は魔法のサポートがないので普通の女の子と変わらなくなってるよ♪」
「そ、そんな…」
「君にはこれから君自身が女の子である事を理解してもらった上でアナ姫として城に戻ってもらう。」
「ち、ちょっと待ってよ。あたしは別に…」
「無理だよ。元に戻る事は不可能だ。魔法は母の血に由来するものだ。今の僕にその血は流れてない。」
「そ、そんな…」
「まあ、君が努力して魔法を使えるようになれば別だけどね♪」
「あたし…が、魔法を?」
「その身体には母の血が流れてるからね。尤も、君は即にも元に戻りたくなくなる筈だけどね♪」
「どういう事?」
「これから僕が君に〈オンナの快感〉を教えてあげるからだよ。この快感を知ってしまったら…♪」

「アーサー、待って!!」
「僕はもうアーサーじゃないよ♪僕はガイ・イルマン。そして君はアナ姫…アナスタシアだよ♪」
彼の手が伸びてきて、俺が着ている服を脱がしにかかった。
「イヤッ!!」
俺は女がするように彼を拒んだ。が、力で彼に敵う筈もない。
またたく間に服を脱がされ、下着までも外されてしまった。
「どうだい?君はもう女の裸体を見ても興奮する事はないだろう?」
確かに俺の目にはアナスタシアの裸体が写っていたが、それ以上のものを感じることはなかった。
「けど、僕は大いに興奮しているよ♪さっきまでの自分自身だというのにね?」
見ると彼の股間は興奮している事を如実に表現していた。
「さあ、君に〈オンナの快感〉を教えてあげるよ♪」
彼もまた服を脱ぎ捨てると、俺の上に伸し掛かってきた。
脚が広げられ、彼の前に股間が晒される。
そこには俺に本来在るべきものはなく、それは「彼」のものとなっていた。
俺が目にしているソレは本来の俺自身のものとま思えない程禍々しく…逞しかった。
今の俺には、ソレを受け入れる為の器官が存在している。
股間にあるその器官にソレが侵入してきた…

 

「姫様。お時間です。」
侍女に声を掛けられ、俺は立ち上がった。
俺が着ているのは清楚なドレスだ。
アナ姫には良く似合っている。

その「アナ姫」が今の自分自身である事にもようやく慣れてきた。
扉を開けると近衛の兵士達が俺を待っていた。
先頭にいるのはガイ・イルマン…元の俺であり本来のアナ姫だ。
彼はあっという間に部隊長に昇進していた。
「姫」である俺と話しをしても咎められる事はない。
彼はスッと俺に近づくと
「今夜、行くから♪」
と耳元に囁いた。

 
俺が「アナ姫」として城に戻った数日後にはもう、俺の肉体は彼無しではいられなくなっていた。
当初は毎夜のように、彼は王族しか知らない抜け道を通ってやってきた。
俺を押し倒し、組み敷いて、俺に「オンナの快感」を教え込んでゆく。
彼の思惑通り、俺は「オンナの快感」に酔いしれ、自ら求めるようになり、この「快感」に魅入られてしまっていた。

彼が昇進を始めると、忙しくなり毎日のように俺のところに来れなくなった。
彼の来ない夜は自ら慰めているが、決して満足のいくものではない。
その分、「今夜行く」と囁かれただけで、俺の股間は濡れ始めるのだ♪

 
彼が来る…俺は「姫」としての執務を終えると、早々に侍女達を退がらせた。
クローゼットを開き、彼の悦びそうなドレスに着替える。
そう、胸元が大きく開いたセクシーなドレスだ。
下着もシースルーの卑猥なものに変えている。
「男」がどんな女なら喜ぶか「あたし」は知り尽くしているのだ。

全ての準備を終えて待っていると、壁の向こう側を移動する気配があった。
俺は隠扉の前に向かった。
扉が開く…
「ダーリン♪待ち遠しかったわ♪」
俺が抱きつくと
「待たせたな♪」
と彼の逞しい腕で腰を抱き締められる。
彼の顔が近づき、俺…あたしの唇を塞ぐ。
あたしはうっとりと瞼を閉じた…

熱いキッスにぼーっとなっているうちに、抱きかかえられてベッドに向かった。
ドレスを剥ぎ取られ、淫らな下着姿か晒される。
(彼はあたしが思った通りに反応してくれた♪)
あたしは上体を起こし、窮屈そうなズボンの中から彼を解放してあげる。

彼のモノはあたしのモノだった時よりも更に逞しさを増していた。
手と口で奉仕していたが、頃合いを見て彼が止めさせる。
下着も取り去り、あたしを組み敷いて彼の前に股間を晒させる。
「さあ、行くよ♪」
彼がナカに入って来ると同時に、あたしは快感の渦に呑み込まれる…
「あん♪あああんっ!!」
あたしは歓喜の叫びをあげ続ける。
「もう少し待っていろ。若くして近衛の長に就けば、お前の夫の候補になれる。夫になれば、いつでもお前を守れるし、可愛がってやれるからな♪」
しかし、あたしは彼の言葉の意味を理解できる状態ではなかった。
只々、何も考えられずに、快感に喘ぎ続けているだけの「オンナ」だった…

 

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