« 異世界 | トップページ | 海賊の掟 »

2016年9月24日 (土)

命令

(命令!!)
突然、俺の頭の中に見知らぬ男の声が響き渡った。
電車の中。席に座ってうとうとしていた時だった。

はっ…と目が醒めた。
(向かい側の席に女が座っている。)
声の言う通り、俺の向かい側には「美人」に分類される若い女性が座っていた。
ヘッドホンで何か聞きながら携帯を弄っていた。
(幽体離脱して彼女に憑依しろ!!)
その命令が「絶対」であることは無意識に理解していた。
が、幽体離脱や憑依などという事象はフィクションの世界のものである。やり方など知る筈もないし、そんな事ができるとも信じ難かった。
(即に実行しろ!!)
その絶対的な命令には逆らう事などできなかった。
何をどうやったか…気付くと、俺は手に携帯を持ち、ヘッドホンから流れる音楽(?)を聞いていた。

音楽はこれまで聴いた事のない、おどろおどろしい音楽だった。
携帯の画面には
(即に実行しろ!!)(幽体離脱して彼女に憑依しろ!!)
(向かい側の席に女が座っている。)
(命令!!)
〉向かい側の男
と打ち込まれていた。
この女が俺に命令していたのか?
俺が携帯から目を離し、向かい側を見るとにやけた顔をした「俺」がそこにいた。
車内アナウンスが次の駅への到着を告げた。
「俺」が立ち上がった。
「ほら、いくぞ。」
と俺の腕を掴み、引き上げた。
と同時に、俺の手から携帯を取り上げた。
カチャカチャと操作する。
ヘッドホンが外されると、一気にあの声が流れ込んできた…
(命令!!
 お前は今腕を掴まれている男の命令には逆らえない。
 お前はその男の愛人だ。
 お前は淫乱な女で即に男の愛撫を欲しがる。
 お前は魂に刻まれた過去の事を一切思い出せない。
 お前は「女」なのだ!!)

 

背後で電車の発車ベルが鳴っていた。
俺は愛する男の腕にしがみつくように、並んで駅の階段を降りていた。
「あまりくっ付き過ぎるな。歩き辛いだろう?」
と言われ、少し離れた。
でも、彼の温もりを感じていたくて、手は繋いだままだ。

ピンポーン!!

改札を通ろうとした俺の前で扉が閉まってしまった。
「お前はバカか?どうすれば良いか脳みそ洗い直せ!!」
そう言われ、バッグの中にICカードが入ってるのを思い出した♪
慌てて取り出し、改札機にタッチした。
俺は離れてしまった彼に追い付こうと足を早めようとした…
が、巧く歩けない。それもその筈。俺はこんなに踵の高い靴など履いたことないし、スカートだって…
(?)
俺って「女」なんだよな。踵の高い靴はともかく、スカートを穿いた事がないなんてあるのか?
脳の記憶を辿る…
俺は殆どスカートばかり穿いていたようだ。
勿論、中高はセーラー服だったし…
そう…今の俺は何と変な歩き方をしているのだ!!
これじゃあまるで男みたいじゃないか!!
俺は女なのだから、女の骨格・肉付きに合わせた歩き方をすべきなのよ!!
あたしは彼の元に駆け寄っていった。
胸の揺れもいつも通り♪
少しはセックスアピールできたかしら?
「ゴメンね。あたし、なんかボーッとしてたみたい。」
「仕方ないさ♪魂が肉体に馴染むまではな♪」
「魂?あたし幽霊とかお化けとかダメなの!!」
ああ…今は早くあたしを抱いて、忘れさせてっ!!
「判ったから、そんな眼で見ないでくれ♪今にも歩道に押し倒してしまいそうだ!!」

 
「あん♪ああ~~んッ!!」
あたしの艶声がホテルの部屋を埋め尽くしていた。
こんなに淫れたのは初めてかも知れない♪
あたしは彼の上に跨がり、大きく腰をくねらせてゆく。
彼のペニスがあたしの膣の奥深くまで突き刺さっていた…

彼の手が、枕元の携帯に延び、カチャカチャと何か操作した。
(命令!! 魂の記憶を思い出せ!!)
あたし…俺の頭の中に再びあの声が響いた。
俺の下で彼…「俺」がニヤリと笑った。

俺は状況の把握に手間取っていた。
女の脳がパニックに陥っている。
正常な思考ができない。
俺は今、自ら股間にペニスを咥え込んでいる?
俺は女に憑依していたのを思い出した。
俺は愛する「俺」に跨がり、オンナの快感に浸っていたのだ!!

「さあ♪イッちゃいな!!」

その言葉と共に「俺」は俺のナカに大量の精液を撃ち込んできた。
「゛゛゛!!」
俺は何の嬌声も上げられずに、快感の波に呑み込まれていった…

« 異世界 | トップページ | 海賊の掟 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 命令:

« 異世界 | トップページ | 海賊の掟 »

無料ブログはココログ