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2016年9月24日 (土)

転生者(12)

頂の先で、あたしは「あたし」になった。
頭が真っ白になり意識を飛ばした後、あたしは自分自身が何者であるかを認識した。
あたしは自分が「転生者」である事は認識していた。
前生が「男」であった事も記憶には残っている。
けれど、あたしの中に占める「彼」の存在は否定しようがない。
あたしは彼を愛する「女」でしかないのだ。
「結婚」する事への不安はまだ残っていたが、彼が戻って来たら良い返事ができそうな気がする♪

彼が出て行く前にあたしは地図を見た。
「伊豆半島の東側に何かあるみたい。」
あたしの目は日本地図の上にいくつかの黒い影を捉えていた。
そのひとつが相模湾の西側に浮かんでいた。
多分、そこには危険な罠が仕掛けられているに違いない。
彼をそのような場所に行かせたくない…というのはあたしの「女心」なのだろうか?

でも、何も知らずに罠に向かっている訳ではないのだ。
それが、彼の…白瀬の乗組員達の任務だから…
罠を無効化できれば、他の艦船が被害に会わないで済むのだ。
あたしは彼の無事を祈って待っているしかない。

 

 

彼が出て数日が経った。
ふと地図を見ると、いつの間にか黒い影は無くなっていた。
そして、その次の朝…
あたし宛に電報が届いた。
「シユビヨシ キカンオマテ」
あたしは窓を開いた。
海の彼方の白瀬の姿は見える筈もないのだが…
「待ってます♪」
あたしは海に向かい呟いていた。

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