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2015年12月 5日 (土)

ウィング

重力に従って俺の肉体は落ちてゆく。
ただ、空気の抵抗がニュートンの法則を妨害し、服に付いた襞が揚力与えて落下速度を軽減する。

10秒、11、12…

カウントする度に地面が近付いてくる。
腕の高度計を見ながらタイミングを計る。
姿勢を直し、足下に噴射ノズルを向ける。
カウントダウン
3、2、1…
ゼロで点火する。
減速の衝撃が背筋を伝う。
落下速度は急激に相殺されてゆく。
ウイングを展開し、ロケットを減速仕様から推進仕様に切り替える。
地面から数メートルの高さで巡航形態への移行を完了させた。
あとは、一定の高度を維持したまま、ターゲットに向かう。
コースは事前に確認している。あとは想定外の障害物をタイミング良く回避するだけだ。

ターゲットを視認した。
マーカーをセットする。
外すとこれまでの努力が無駄になる。
3、2、1…
シュート!!

マーカーはターゲットを捉えたか?
一呼吸の後…
「ピーンッ」
と乾いた音がインカムに届いた。

成功だ。
思わずガッツポーズがでる。
が、タイムは…

 

一旦、上昇してバラシュートを展開する。
観客の拍手に迎えられてポートに着地した。

これは「フリーフォール」という競技だ。高高度から落下し、落下地点から離れた場所に設置されたターゲットまで障害物を迂回して接近し、マーカーを命中させるまでの時間を競うのだ。
当初はサバイバル要素が強い競技で、パラシュートで着地した後は徒歩でターゲットに向かっていた。
装備品の進化から、降下時の減速にロケット噴射を併用するようになってから、急速に競技の質が変わっていった。
着地時に使うロケットの燃料を余らせ、少しでも歩かずにターゲットに近づこうとした。
横移動の距離を伸ばすために「ウイング」が開発された。
ロケットの性能も向上してゆく。
そして現在では「歩いて」ターゲットに近づくことは無くなっていた。
但し、障害物の回避の項が残されているため、移動時は厳格な高度制限が課せられていた。

「タイムは?」
俺は近付いてきたクルーに声を掛けた。
「結構良いタイムが出ていたよ。そろそろ順位が出るんじゃないか?」
彼の言葉に掲示板に目を向けた。
観客も皆、同じものを見ていた。
「減点なし。暫定三位だ。やったな♪」
ポートの上で俺たちは手を握り合った。
しかし、3位とはいっても、この後に表彰台の常連逹が跳ぶのだ。順当にゆけば入賞さえ危ういであろう。
そんな事はおくびにも出さずに、俺逹は観客に笑顔で手を振りながらポートから降りていった。

 

 
結局の所、総合で8位で競技会が終了した。
一応はクルー逹と祝杯をあげたが、結局の所タイム的には劇的な変化はなく、上位者逹との間に厚い壁を感じていた。
「何腐ってるんだよ♪」
古くからのクルーのヨハンが俺に声を掛けてきた。
「今回はめずらしく減点が無かったじゃないか♪」
「減点なしで8位だ。つまり、俺より早い奴がもっといるという事だろう?」
「まあ、それがプライベイターの限界かもな?最新技術を湯水のように使えるワークスに敵う筈もないさ。」
慰めにもならない慰めには呆れるしかないのだろう。

「ケイさん…」
おずおずと俺を呼ぶ声があった。
新しくクルー参加したクリスだった。
「どうした?」
と声を掛けてやると、
「あまり確かな情報ではないんですけど、新発想のウイングを開発している企業があるそうなんです。それを使えば格段にタイムが縮まるかも知れません。」
「何だよ。良く聞くガセじゃないのか?」
「ガセかどうかは、実際に見てみてから判断しても良いんじゃないですか?」
「まあ、その新発想とやらがどんなものか知らないが、見る分には問題ないんじゃないか?」
俺はヨハンに振ってみた。
「これはお前のチームだ。お前が良いと思う事なら誰も反対はしないよ♪」
「それでもだ。ヨハン。君の意見を聞きたい。」
「新発想とやらはあちこちで聞くけどね。見るだけならどうって事ないだろう♪次の競技会まではまだ時間がある。良い骨休めにもなるかもな。」

翌朝、俺とヨハンはクリスの案内でその新発想のウイングを見に出掛けた。

 

 

「このウイングは飛行中に翼面を変形させる事ができるんです。」
開発者だという白髪の老人がそう言ってウイングを寄越した。
「軽っ!!この重さでそんな機能を組み込めたんですか?強度に問題はないんですか?」
俺が聞くと
「全ては意思の力です。意思が強ければかなりの強度が維持できます。変形の度合いも操縦者の想像力次第です。」
「意思の力に想像力ね。確かに新発想だな。」
ヨハンはもう完全に彼等の相手をすることを放棄したようだ。
「着けてみませんか?」
クリスが涙目で訴えてくる。
「ボク、どうしてもおじいちゃんのウイングを認めてもらえるようにしたいんだ。」
「おじいちゃん…て、本当の血縁関係なのか?」
とヨハン。
俺ももう一度二人の顔を見比べた。言われてみれば、共通の遺伝子の存在は否定できなかった。
そして、俺はこういうシチュエーションに弱いのだ。
「よし♪着けてやろう。」
と一度脱いだジャンパーを羽織ろうとすると、
「済みません。これにはセンサーが付いていて、直接皮膚に触れている必要があるのです。」
「直接…って、脱がないといけないのか?」
「はい。それに、ウイングを通す穴の開いたシャツとジャケットも用意してありますから♪」

俺はクリスの指示に従って服を脱ぎ、ウイングを装着した。
「流石に軽いだけあって装着の違和感はないな。」
鏡に映してみると、背中にウイングがぶら下がっているが、まったく気になる事がなかった。
「で、ウイングを展開するスイッチはどこにあるんだい?ロケットがないから試し翔びはできないけど、広げた時の感じを見てみたいんだ。」
「ケイ。聞いてなかったのか?そいつは意思の力と想像力で動かすんだぜ♪」
とヨハンが茶化す。
が、俺がクリスに問いかけの視線を送ると…
「そうです。想像しつみてください♪たとえば、白い鳩が羽ばたいて大空に飛び上がる姿をイメージできますか?」
と答えが反ってきた。
(白い鳩ね?まっ白な羽が大きく広がって…)
俺がクリスの言葉に従ってみると
「バサッ!!」
と音がした。
鏡を見ると、俺の背中に天使のように白い羽が広がっていた。
羽ばたく姿を想像すると、同じようにが羽ばたく姿が鏡に写る…
そして、俺の身体は宙に浮いていた!?

「凄いっ!!まるで天使みたい♪」
とクリス
「エンジェル・ウイングの名の通りじゃな。」
と開発者の老人が言った。

イメージするのを止めるとウイングは力を失い、俺は空中から地面に落とされた。
それ程の高さでなかったので問題はなかったが…
「かなりの集中力がいるな。いつものスピードでコントロールを失ったら、只では済まないぞ。」
ウイングは力なく俺の背中に垂れ下がっていた。
「それは羽ばたくといった動きを伴っていたからじゃよ。飛行機のように固定翼にイメージすれば、それほどの苦はない筈じゃよ。」

 
場所を変える。
外に出た。
屋敷の外にはなだらかな下り坂が続いていた。
「試験飛行には丁度良いじゃろう。」
「ロケットは?」
「済まんが、羽ばたいて上昇してくれんか?あんたなら滑空するだけでウイングの特性を理解できるじゃろう?」
ウイングの強度は意思の力次第と言われては、ロケットで負荷を掛けるような事はしなくても良いだろう。
確かに滑空するだけでかなりの事は判る。
俺は再び羽を広げて上昇した。
木々の高さを十分に越えたところで滑空に移る。
確かに、羽ばたきがなければ維持するのも楽だ。
空気抵抗を減らすよう、通常のウイングの形に変形させた。
ウイングの角度の調整が阿吽のタイミングで為される。
確かに、これならウイングの操作に関わるロスが殆どない。
微かな上昇気流を感じた。
少し翼面を拡げ、風を捉えた。

ぐいっ

と身体が持ち上げられる。
放り上げられるように、俺は高々と舞っていた。
ウイングは俺の意思に忠実に従い、複雑な軌跡をも簡単に描いてしまう。

「おーい!!」
ヨハンの呼ぶ声が聞こえた。
ロケットの推力を必要としないので、俺の周りには風の音しかしない。
ヨハンの声が簡単に届いてくる。

俺はウイングを狭ぼめて急降下し、じいさんの言う「天使の羽」をいっぱいに拡げて彼等の前に着地した。
「どうだ?と聞くまでもないか。お前のその顔。相当に満足しているみたいだな♪」
「ああ。言葉ではなかなか表現できないよ。良い経験ができた。」
「これでレギュレーションが通れば、採用か?」
「レギュレーション?」
クリスが不安な表情を浮かべる。
「これで次の競技会に出る事はできないの?」
「ああ。特に新規参入のメーカーの部品は、耐久性やらなんやらと、一年近くの審査を経て正式に採用できるようになるんだ。」
ヨハンがクリスに説明していた。
俺はウイングを外して元の服に戻ろうと、屋敷に入っていった。

 

 

「まだ一年は金にならないんだってな…」
「しかし、このウイングの出来は素晴らしい。いくらで出すか知らないが、どんな値段をつけても欲しがるやつは放っておかないよ♪」
「無理だね。次の競技会であんたがこのウイングで優勝してもらわない限り、先はないんだ。」
「そんな事は…」
「そいつにはいくつか欠点がある。一年も念入りに調べられれば、お蔵入りは間違いない。」
「その間に改良すれば済む話しじゃないのか?今飛んだ限りじゃ不具合はなかったぜ♪」
「いや。即に判る。そのウイングは呪われているからな。」
老人は懐から薬瓶を取りだし、蓋を開けた。
「なかなか素敵な夢を見せてもらったよ…」
「おい、じいさん!!止めるんだ!!」
俺の制止も間に合わず、老人は瓶の中の薬を飲み干していた。
そのまま崩れるように横たわる。

「ヨハンっ!!」
俺はヨハンを呼んだが、彼が来てもどうにもなるものでもない。
「じいちゃん!!」
ヨハンと一緒に入ってきたクリスが老人に駆け寄ったが、既に事切れていた。

 
ヨハン、クリスと共に老人の遺体をベッドに運んだ。
「何故なんだよ?」
そう問い掛けても、老人はもう答える事ができない…
ヨハンは俺を老人の脇に残すと、クリスを教会に向かわせた。
そして、彼自身は厨房に入っていた。食事の支度でもしているのだろうか…

クリスが牧師達を連れてきた。
牧師は先ず老人を診た。即に薬物による死であると断定する。
老人の死の状況、死に至る状況を俺に確認した。
「その、背中にぶら下がっているのが彼の開発したウイングなのだね?」
牧師がウイングに触れる。
まだ、飛んでいた時の一体感が残っていたのか「触れられた」感覚が伝わってきた。
「あっ…動いた?」と牧師が慌てて手を放した。
俺の緊張が無意識にウイングを動かしていたのだろう。
「済みません。スイッチの切り方をまだ聞いていなかったので…」
「もう少しよく見てみたい。外してもらえないか?」
そう言われ、俺はクリスを呼んだ。

が…

「外せません。これは一度装着すると外せないんです。」
その言葉に、俺は頭が真っ白になってしまった…

 
牧師はその後、一緒に来た人達に葬儀の準備を指示した。
殆どの手続きはヨハンがしてくれた。
明日の朝、老人を迎えに車を寄越すと言って、慌ただしく牧師達は教会に戻っていった。

 

落ちついたところでヨハンが暖かなスープを持ってきてくれた。
三人で食卓を囲む。
「美味しい♪」
とクリスが一気に飲み干してしまった。
いつもの事だが、ヨハンの作るスープは、体の芯ばかりでなく、心にも染み渡ってゆく。

「ケイ。疲れただろう?」
とヨハンが声を掛けてきた。
「特に、精神的にな…」
俺の頭の中では、今もクリスの言葉が繰り返されていた。
(外せません。これは一度装着すると外せないんです。)

このウイングは認証されていない。則ち、このウイングでは競技会に出場できないという事になる。
「俺はもう翔べないんだな。」
俺は天を仰いだ…

「大丈夫じゃないかな♪」
「どういう事だ?」
「別のウイングを着けられれば良いのでしょう?想像力を働かせれば良いんですよ♪」
「これだけのモノを無かった事に出来るのか?」
「ケイさんの想像力次第ですけどね♪」
俺は背中に垂れているウイングに触れてみた。
(どうする?見えなくできるか?)
「ほうっ」と感嘆の声が上がった。
俺の手の中で、ウイングが透明になった。
が、
その存在までもを消す事はできない。
俺が透明化を諦めると同時に元の色に戻った。
このままでも良いが、小さくできないか?
俺のイメージが反映され、ウイングが縮んでいった。
が、
「醜い瘤になっただけだよ。」
と評価された。
「全体的な容量は変えられないようだな。長さを縮めれば、その分厚みが増すんだ。」
「なら、極端に薄くして体に巻き付けてみたら?」

(薄くするのか…)
俺はウイングを布のように薄く、柔らかくしてみた。
ウイングは俺の背中から数メートルに渡って広がっていった。
「何か、花嫁のベールみたいだね♪」
クリスの一言が、俺のイメージに変な影響を与えた。
広げたウイングの色が純白に染めあげられ、レース模様が浮き上がった。
そればかりではない。
布状に広がったウイングが、俺の体に巻き付いてきた。
「な、何なんだ?」
否、それが何であるかは即に理解していた。
それは花嫁の着るウェディングドレス以外の何物でもなかった。
ご丁寧にも、大きく開いた胸元からは豊かな乳房とそれに挟まれた深い谷間が見えた。
見た目と同様に、露出した胸元が外気に触れている感覚が伝わってきた。
と同時に、俺はまたジャケットを着たままであり、そこから得られる温もりも感じていた。
「凄い!!綺麗だよケイさん♪」

クリスの言葉に我に還った。
慌ててイメージを掻き消した。
ウイングは元に戻り、俺の背中に垂れ下がった。

「ケイさんの想像力って凄いんですね♪」
クリスが感嘆する。
「こいつのは、想像力というより、妄想力と言った方が良いかもな♪」
とヨハンが茶化す。
「今ので、ウイングが服を擬態できるのは解ったが、想像力が途切れた時を考えると、やはり服は着ておいた方が良い。できれば、服の下に納められれば想像力もそんなに必要ないだろう。」
「同感だな♪」

 

 
翌朝、服を着る前にウイングを薄く伸ばして体に巻きつけた。
下着の下にもう一枚服を着ているようなものだが、ウイングも皮膚の一部と考えると違和感が和らいだ。

ヨハンの作った朝食を終え、しばらくすると教会から車がやってきた。
遺体とともに俺達三人も教会に向かった。
迎えにきた人は俺を見て不思議な顔をしたが、言われいた人数に間違いがないのでそれ以上詮索する事はなかった。
これと言うのも、朝食の時にクリスが
「三人とも喪服で行きたい。」
と言いだしたからだ。
クリスの喪服はもともとこの館に置いてあった。
あとは俺とヨハンだが、クリスが両親の喪服が入る筈だと言ったのだ。
父親の喪服をヨハンが着る分には何の問題もない。
が、何で俺が母親の喪服…女装しなければならないんだ?
「昨日のウェディングドレス姿のケイさんを見てるからね♪ママの喪服なら、少しブカつくかも知れないよ。」
実際、背丈はともかく、ウエスト回りなどのサイズの誤差はウイングが埋めてくれた。
胸も服に合わせて大きく膨らんでいる。
が、パットなどの詰め物と違い、皮膚感覚と同じものをウイングが俺に伝えて来るのだ。
そう。俺がまるでGカップの巨乳女そのものであるかのように感じさせるのだ。
喪服だけではない。下着から全てをクリスの母親のモノで揃えていた。

教会に着いてからも、その体型からクリスの母親本人に間違えられた。
顔が全くの別人と判ると、その事は瞬く間に広がったようで、その後俺達はじいさんの「客人」として距離を置かれるようになった。

 

葬儀も滞りなく済み、翌日には事後処理の残るクリスを残して俺達は屋敷を辞す事にした。

部屋に戻り、喪服を脱いでゆく。
ふと見ると、ヨハンがこちらを見ていた。
「な、何を見てるのよ?」
「そのウイングの能力と、お前さんの想像力に驚いている。」
俺は下着姿で脱いだワンピースをハンガーに掛けていた所だった。
「まるで本物みたいだ。もっと良く見せてくれないか?」
「い、嫌よ。恥ずかしい…」
「別に、お前自身の裸を見せる訳じゃないだろう?俺はウイングの状態を確かめたいだけだ。」
「純粋に技術者として…と言う事?」
「ま、まあ…そういう事だ。先ずは接合部…背中から確認したい。ベッドに俯せになってくれないか?」
「えっ?…ええ…」
なし崩し的にヨハンの指示に従っていた。
下着姿のまま、ベッドに上がった。

「ひゃん♪」
突然、背中を撫であげられて、変な声を出してしまった。
「接合部を確認したいんだ。フックを外すぞ。」
彼の手が俺のブラジャーを外しにかかった。
背中を撫でられてゆく。
「どう見ても、ウイングを引き伸ばして巻き付けているようには見えないな。」
彼の掌が、背中から腰に降りていった。
その指が黒タイツの端に掛かり、それを外そうとした。
「足の先まで良く見たいんだ。」
彼の提案に応じるべく、少し腰を浮かせてあげた…
「ち…ちょっと、止めてよ!!」
彼の手がタイツと一緒にショーツまで脱がそうとしているのに気づいて止めようとしたが、時既に遅く、一気に下半身を剥き出しにされていた。
「く…くすぐったい!!いつまで触ってる気?」
ヨハンは執拗に尻の回りを確認していた。
「凄いな♪まるで女性の骨盤がこの下にあるように感じるぞ。ウエストの括れからの曲線は女性そのものじゃないか♪」

彼の手の動きにはそのような意図はないのだろうが、尻をまさぐられていると、変な気分になってくる。
「なあ、そろそろ良いんじゃないか?」
耐えきれずに俺が言うと
「まだ前を確認してないだろう?」
その言葉と同時に、ぐるっと仰向けにされた。
今度も抵抗する間も与えられなかった。
「ちゃんと陰毛まで女性仕様…って、お前、濡れてるのか?」
「だって、ヨハンの刺激が絶妙なんだもの♪なんか、変な疼きも感じてるのよ。」
俺がそう言うと、彼は俺の股間に手を伸ばしてきた。
「ダメっ!!」
と延びてきた手を抑えたが、彼の力に抗することができない。
「ああんっ!!」
敏感な所に触れられて、思わず淫声を上げてしまった。
「何考えてるのよ。男同士でしょ?」
「今のお前はオンナそのものじゃないか♪どこまでオンナになってるか確かめさせてくれよ。」
「そ…そんなぁ。いつまで精神力を保ってられるか判らないわよ!!」
「そん時はそん時だ。それまではじっくりと確認させてくれ♪」
そう言うと、ヨハンは股間に当てた手の指を更に押し込んだ。
(な、何だコレは?)
俺は胎の中に侵入するヨハンの指を感じていた。
そこが「膣」であると漠然と意識していたが、それ以上に疼きを鎮めてくれる快感に身を委ねていたくなった。

俺が素直になったとみると、ヨハンは俺の脚を取り、股間を広げさせた。
「ゴクリ」と彼が唾を飲み込む音が聞こえた。
「凄いな♪よくここまで再現するもんだ。これなら問題ないな♪」
彼の指が膣から抜かれると、あたしは指を追うように腰を浮かせていた。
「待ってな。これからが本番だ♪」
彼は体勢を整えると、開かれたあたしの股間にのし掛かってきた。
さっきの指より太いモノがあたしの膣に挿入されてきた。
(これはヨハンのぺニス?)
それ以外に考えられるものはない。
あたしの膣を満たすペニスにあたしの心も満たされる。
そして、彼が腰を動かす。
快感が溢れ出す。
彼のペニスの先端が、子宮口を叩く度に、あたしは嬌声をあげていた。

 

 
(隣で寝息をたてているのはヨハンか?)
窓から朝日が差し込んでいる。
(朝か…)
俺はヨハンを起こさないようにベッドから降りた。
努めて昨夜のコトは思い出さないようにする。
今はもう、ウイングは俺の背中に垂れており、俺本来の肉体を取り戻していた。

服を着て外にでる。
清々しい空気に爽快な気分になった。
上着を脱ぎ、意思の力を込めると、背中のウイングが広がる。

「ばさっ!!」

羽音をたてて、俺は朝空に舞い上がった。

 

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