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2015年11月 7日 (土)

杯にお神酒を

急に降りだした雨は、滝のように空から落ちてきた。
辺りは一気に暗くなり、雷鳴が轟き始める。

ピカッ!!

閃光が闇を消し去るが、それも一瞬のこと。
再び闇に閉ざされ、雨滴が路面を叩く音に紛れるように雷鳴が轟く。

 

既にずぶ濡れになっていたが、雷が怖いので雨宿りできる場所を探していた。
目の前に左右に大きく枝を伸ばした巨木があった。
その時の俺は独立した巨木こそが雷に狙われ易い事を失念していた。

幹に近い場所は枝葉が重なり、雨露を凌ぐのにはもって来いであった。
巨木の下にたどり着き、一息吐いた。
そして、木の幹にしめ縄が巻かれているのに気づいた。
(ご神木?)
よく見ると根本に小さな社が建てられていた。
(ここなら神様も守ってくれるな♪)
と安心した直後、

どどどどっ!!

と、盛大な雷鳴が轟いた。
そして辺りが光に包まれる。
(落ちた?!)
そんな亊を認識できたかできない内に、俺の意識は不思議な場所に飛ばされていた。

 

「災難でしたね。」
女性の声がした。
卑弥呼が着ていたような服の女性がそこに立っていた。
「もしかして、神様?」
「神力は低いですが、一応は神の末端におります。」
「もしかして、木の根本にあった社の神様?」
「そうです。しかし今、神木も社も失われてしまいました。」
「ああ、あの落雷…って亊は俺も無事じゃ済まないだろ?」
「そうです。貴方の身体も一瞬でまる焦げの灰となって失われてしまいました。」
「な、何かそう淡々と言われると、死んだ気がしないな。」
「そこでご相談なんですが、貴方を生き返らせてあげます。」
「で、その見返りは?」
「私の新しい社を建ててくださいませんか?」
「待てよ。俺は神主でも宮大工でもないぜ。どうやって?」
「別に貴方ご自身の手で作る必要はありません。お金を集めて、専門の方に建ててもらっても構わないのです。」
「専門家って…いくら掛かるんだよ!!」
「小さくても構いません。社が再建される事が必要なのです。」
「じゃあ、どこかで出来合いのモノを買って来るでも良いのか?」
「そ…それでも問題ありません。」
「じゃあ、ネットで調べれば即対応できるな。問題はいくらかかるかだがね。」
「私も可能な限り支援しますね♪」
「じゃあ、とっとと生き返らせてくれよ。」
「はい。よろしくお願いしますね♪」

 

 

彼女の言葉が終わると同時に目が覚めた。
そこがベッドの上である事は即に解った。
神様と話をしていたのが、まるで夢の中だった感じだ。
(本当に生き返ったのか?)
俺は起き上がった。
どうやら、病院の個室のようだ。
入り口の脇に洗面台があるのがわかった。
そこに向かい、鏡に自分を写した…

(誰だ?コレ!!)

雷に打たれ、かなり火傷などしているのか?と思って覗いた鏡の中には、見知らぬ女性が写っていた。
(いや、見知らぬじゃない。この顔はあの神様の顔と同じだ!!)
鏡の映像を信じる事ができず、俺は再びベッドに潜り込んだ。

(何なんだよ?この身体は!!)
そんな俺の疑問に答えてくれる者などいる筈もない。
しかし、その答えは聞かずとも明白であった。
この身体が「女」である事は間違いない。
パジャマの上からでも胸に触れれば、そこに肉塊が存在している事、そしてそれが俺の肉体の一部である事がわかる。
その肉塊の先端には敏感な蕾があり、触れるとピクリと反応し、硬く勃起してゆく。
(勃起…)
そう…どんなに興奮しても、俺の股間からは雄々しく勃起してゆく感覚を得ることはできなかった。
そして、俺が興奮すると、股間がぬめぬめと濡れ始めてゆく…
イケナイと思いつつ、俺は股間に手を伸ばしていた。
パンツ(それが女物であることは股の方にもゴムが入っている事で確定できた)の中に潜り込ませる。
指先が湿り気=愛液を捉えた。
そこは縦に筋が入ったオンナの秘部に違いなかった。
更に指を奥に進めると、暑く熟れた穴に辿りつく。
指はその穴の中に入っていった。
(?)
俺の股間から、異様な感覚が届いてきた。
それは「何か」が俺の胎の中に侵入してきたと伝えている。
侵入してきた場所は男には存在しない開口部なのだろう。
その「何か」は俺の指に間違いない。
そこから結論されるのは、俺の指は俺の股間にある膣に挿入されている…ということ。
膣…すなわち女性器である。つまり俺は今、女性器を持つ存在…「女」なのだ!!

「んあんっ!!」
指先が敏感なところに触れ、俺は媚声のような声を発してしまった。
それは痛みではなかった。どちらかというと快感である。
(これがオンナの快感なの?)
俺は再び指を動かした。
「ああん♪」
快感が襲ってきた。
いつしか俺はその快感を追い求めるように指を動かし、得られた快感に嬌声で応えていた。
「ああん♪イクゥ…ィッちゃう~~」
俺は女の快感に呑まれ、女として絶頂を迎えていた…

 

 

数日後、俺は退院した。
俺は元から女だったと認識されていた。
スカートを穿き、踵の高い靴で俺の部屋に戻ってきた。
その部屋もまた「女の子の部屋」そのものだった。
が、パソコンは俺のID・パスワードでそのまま入る事ができた。
神様のお社を建ててあげるにはいくらかかるのだろうか?
ネットで検索してみる…安い!!
と内容をよく見てみると、ジオラマ用のミニチュアだった。
(さすがにコレはまずいだろう。)
思っていた朱色ではなかったが、白木の小さな社がかなり出ていた。
(「神棚」との記載が多いがどういう事だろう?)
俺は手頃なサイズで値段もそう高くないお社をネットで購入した。

届いたものはこれも「神棚」といわれるものだった。
説明書によると、部屋の高い所…棚の上に設置するもののようだ。
とりあえず、机の上に組み上げ、お神酒の代わりに買ってきたカップ酒を供えてみた。

やはり、室内用に造られているので華奢な感じが否めない。
(あの場所で風雨に曝されて、保つのだろうか?そもそも無断で置いたら、廃棄物と間違えられないだろうか?)

「とりあえずであれば、この部屋に建てても良いのですよ♪」
突然、俺の目の前に神様が現れた。
「な?突然現れて何なんですか?」
「お社ができましたので、姿を見せるだけの神力が回復したのです。」
「神力が回復したのなら、俺を元の姿に戻してくれよ。」
「まだです。神力は社の大きさや古さに比例します。貴女を生き返らせたのも、あの社の古さとご神木の神力を使えたからです。できたてのこの社では、大した事はできません。」
「じゃあ、どれくらい?」
「古さを問えない場合、東京ドームくらいの大きさが必要ですね♪」
「そ、そんなの無理に決まってるでしょ!!」
「それは今即の場合ですよ。三年も経てばこのお社でもかなりの神力が使えるようになります♪」
「さ、三年?」
「せっせとお賽銭を貯めてゆけば何とかなりますよ♪」
「簡単に言うけど…」
「先ずはココに行って元手を稼いで下さい。あとは私の指示に従ってくじを買ったり、馬券を買ったりしてください。」
「神力で必ず当てるってか?…その前にココって風俗店じゃないのか?」
「手に職も何もない女が元手を稼ぐにはこの手のものがイチバンですよ♪」
「お…女って、俺は…」
「女性以外の何者でもないでしょ?既にオンナの快感は経験済みなのですよね♪」
神様のにやつく顔が癪ではあったが否定はできない。
確かに俺は毎晩、オナニーをしてオンナの快感に浸っていたのだ。が、女として肉体を売るのとは次元が違う。
「心配する事はありませんよ。その肉体には色々覚えさせてありますから♪いざとなったら肉体が動くに任せてしまえば良いのです。」
「任せるって?」
「既にスカートはちゃんと穿きこなしているじゃないですか。踵の高い靴でもバランスを崩さずに歩けたでしょ♪」

 

あっと言う間に三年が経ってしまった。
お店で出会った人に雷で焼失したお社の事を話すとお賽銭を貰え、かなりの額が貯まっていた。
お金ばかりではなく人脈も増えていった。
不動産や弁護士、神職関係といった人逹が、いろいろアドバイスをしてくれた。

そして、俺の部屋にあった神棚は立派なお社としてあの場所に戻っていった。
なりゆきで俺は巫女としてお社に住み込む事になった。
昼間は巫女さん。夜は風俗嬢。そんな毎日が、更に続く事になってしまった。

「三年経ったわ。いつになったら元に戻してくれるのよ!!」
新しいお社が建ったとき、現れた神様に俺が問いただすと
「三年では神棚をこのお社にするのが精一杯ね。別に三年で元に戻れるとは言ってなかったでしょ?」
「今更そんな事言われても覚えてないわよ。で、いつになるの?」
「そうね。このお社なら30年。お賽銭を集めて上乗せできれば20年てとこかしらね♪」
「うそ…」
「大丈夫よ。貴女はこの三年間、ちゃんとお務めできたんだもの。それに、その肉体は歳を取る事もないから、何年経っても稼ぎが減る心配はないわよ♪」

 

 
そして10年
あたしは新興宗教の「教祖様」にまつり上げられていた。
今のあたしは、何も仕事をする必要がなくなっている。
幹部の人逹がお賽銭を集め、神様に奉納してくれるからだ。
あたしは「教祖様」として、巫女装束でお社の奥に居れば良いだけだ。

とはいえ、幹部にはときどきご褒美をあげている。
あたしの「杯」に「お神酒」を注ぐ事が許してあげるの♪
何の事はない。あたしは今も肉体を売っているという事。

彼等から「お神酒」をもらう時、あたしは神様と一体になる。
あたしは神様と一緒に最高の快感を享受する。
そして、神の国に昇ってゆく…

「貴女が居てくれる限り、このお社は安泰ね♪」
神様はあたしに声を掛けてくれる。

あたしをイかせてくれた人には時々、神様からのヒントを与えてあげる。
彼等にはそのヒントがあってもなくても成功するだけの力があるのだが、彼等はそれを「ご神託」としてありがたく感じ、更にお賽銭を弾んでくれる。

神様に従っていればあたしは幸せなのだ♪
この先もずっと…

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