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2015年10月12日 (月)

落とし前(中編)

ベッドの上には意識のない全裸の女…
(俺は何をした?)
俺はトンデモナイ事をしてしまったというネガティブな意識に押し潰されていた。
彼女が脱ぎ散らかした服を集めてきた。
気が付いた時に即に判るような場所に畳んでおく。
それが済むと、俺は服を着て、彼女に気付かれないようにホテルを後にした。

(男を女に変えてしまった?)
もし、彼女が他の娘逹と同じように、俺との事を覚えていなければどうなるのだろう?
俺は彼女を残してきてしまったのだ。気が付いた彼女に事情を説明できるのが俺だけだというのに…

 
が、俺の心配は危惧だったようだ。
あの男が今日も俺の前に現れたのだ。
勿論、女にされたことも、俺と会った所から綺麗に記憶から消えているようだ。

「落とし前を付けてもらおうじゃないか!!」
物凄い剣幕で俺に詰め寄ってくる。
俺は暴力沙汰には慣れていない…が、今回は二度目である。
多少は余裕ができていた。
俺はもう一度この特殊能力で奴を女に変えてやった。
今回はセクシーというよりは「オバカアイドル」系の感じに仕上がった。
とはいっても、ヤる事は同じだ。
ホテルに連れていって、彼女に最高の悦楽を与えてやるのだ。

そして彼女は満足して意識を手放していた。
今日は俺の方も落ち着いていた。
彼女の服を畳んで置くと、俺は逃げ出さずに部屋の隅に隠れていた。

やがて夜明けが近づいてきた。
彼女の発てる愛らしい寝息が、むさ苦しい男の鼾に変わった。
彼女の胸から膨らみが消え、醜い胸毛が再生された。
身長が伸び、体重も元に戻る。ベッドの軋む音が大きくなった。
畳んでおいた服の方にも変化があった。
ひらひらしたワンピースが、この男が元から着ていたシャツとズボンに戻っていった。
無から現れたアクセサリーは無に消えてゆく。
厚底のピンクのスニーカが履き古した革靴に戻っていった。

「むむ…」
と男が目覚めたようだ。
「おーい♪子猫ちゃん?」
誰かを探すような声を上げる。
「今日もまた女の子は消えてしまってたか…」
と起き上がり、部屋の中を見渡した。
「前日のビッチな女の子も良かったけど、アイドルっぽい可愛い娘も捨てがたいな…って、彼女逹とはどうやって知り合ったんだっけ?」
奴の独り言を聞いていると、どこかで記憶の混乱が起きているようだ。
どうやら、俺に抱かれた記憶が無いのに加えて、抱かれていた自分を自分で抱いていたと思っているようだ。
「っま良いか♪今日こそ奴をふん捕まえてやらないとな。」
と、俺に落とし前を付けさせるのはしっかりと意識しているものの、どうやら、それ以外はどうでもよいようだ。

 

 
男が出ていった後、隠れ場所から抜けだした俺は少々頭を抱えなければならなかった。

奴を女にすることで暴力行為は回避できたが、このままでは毎日同じ事が繰り返される事になるのだ。
かと言って、奴の言う「落とし前」を素直に受ける訳にもいかない。
(どうする?)
と考えているうちに、いつもの場所に着いてしまった。

「落とし前を付けてもらおうじゃない♪」
奴はなれなれしく俺に詰め寄ってきた。
「落とし前…って、俺にどうしろと?」
「そんなのは考えれば判るでしょ?…って、どうするんだっけ?」
俺の目の前で、奴はセーラー服の女子高生に変わっていた。
「まっ、良いわ。あたしを抱いてオンナにしてくれたらチャラにしてあげる♪」
「抱く…って?」
「ほら、そこにホテルがあるじゃない。そこに行こう♪」
「ホテル…って、制服の娘を連れて行ける訳ないじゃないか。」
「ダメなら、そこの公園でも…」
「兎に角、俺は未成年の娘は抱かないんだ!!」
「未成年…って、あたしは…」
「高校生なんだろう?そのセーラー服は借り物かい?」
「そう…これはあたしの学校の制服で…あたし、何でこんな所にいるんだろう?」
「それは俺の方が聞きたいよ。」
そう言うと、彼女はふらふらと俺の前から去っていった。

翌日、街を歩いていると「彼女」が歩いているのを見た。
俺に抱かれなかった事で元に戻る切っ掛けがなくなってしまったのだろうか?
彼女は俺を見ても、他の女逹と同様に出会った記憶が失われているようで、何の反応も見せなかった。
(これでもう、あの男から「落とし前」を求められることはないな♪)
と、その件は方が付いたのだろう。
数日すると、彼女を見かける事もなくなった。(後日、同じ制服ん着た娘逹と楽しそうに喋りながら歩いている彼女を見てホッとした気分になった)

 

男を女にする…
これが俺の特殊能力の真骨頂だ。
抱かないでいると、ずっと女のままになるようだ。
一度、女にした男を一昼夜連れ回した事がある。
ホテルには行かず朝まで飲み明かしてみた。
酔い潰れた彼女をソファに寝かせ、起きるのを待つ。
(もし男に戻ってしまったら、その時のこと)
との心配を余所に、女のまま朝を迎えていた。
勿論、彼女に昨夜の記憶はないが、それを酒の所為だと言いくるめてその日の夜まで一緒にいた。
あれが欲しい、これが欲しいとねだられて散財したが、これも俺の能力の確認の為…と彼女に付き合ってやった。

そして、その夜は女を抱いてやる。
「ああん、あ~~ん♪」
本来は男なのだが、彼女は他の女逹と同じように、俺の腕の中で喘いでいた。
「お前にも最高の悦楽を味わせてやるよ♪」
と、女の股間に逸物を突き挿れる。女は嬌声を上げそれに応えた。

 
満足げに眠る彼女の傍を離れて、俺は部屋の隅に隠れた。
朝になり、想定通りに変化が始まる。
肉体が変化し、着ていた物が元に戻ってゆく。
が…
昨日、俺が買ってやったやつはそのまま残っていた。
元々変化していないものだから、元に戻りようもないのだろう。
勿論、奴からは「女」でいた記憶は失われている筈だ。
(残された物から「俺」が突き止められるとまずい!!)
俺は急いでそれらを回収すると、目覚めた後の奴の行動を見ぬままホテルを後にしたのだった。

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