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2015年9月13日 (日)

狩士(3)

 
月日が流れる…
あたしは一座の一員として、芸はしないまでも、身の回りの世話の手伝いをしながら、鍛練を続けていた。
その成果は早くも胸に現れ、踊り子のラーナを簡単に追い越し、占い女のミラとは良い勝負に…
違う!!
あたしは「女」を磨いていた訳じゃない。狩士として一日も早く復帰できるよう、体と技とを鍛えていたのよ!!
「あんたの場合、獲物を狩るより男を狩った方が金になるんじゃない?」
ミラは余計な事を言う。
中々力が付かない細い腕、動く度に揺れる胸が鍛練自体の進行を阻害している。ミラの忠告に従うしか…なんて事は絶対にないんだから!!
「女に狩士なんて無理じゃないか?それより、好い男でも捕まえて結婚してしまった方が…」
ジンもちょくちょく余計な事を言う。
あたしとしては「男」だった意識が残っているので、男と結婚するなんて考えられない。
男に抱かれるなんて想像しただけで、背中を虫酸が走ってゆく。
かといって、女を抱くのかといえば、そんな気も起こることはない。

が…

何故かあたしとミラは夜になると同じベッドで寝ている。
あたしは彼女を抱こうとかは思わないが、彼女があたしを抱きたがるのだ。
男が相手ではないので、あたしも気安く応じているが…

今夜もあたしは彼女に「女」の快感を惹き出されてしまった。
あたしは発情したオンナのように、悶え喘ぎまくっていたのだ。
「こんなに立派に育ったオッパイを一人占めしてるなんて、世の男どもに申し訳ないわね♪」
などと言っているが、あたしは彼女の責めに喘ぎまくっているので、あたしの耳には何も届くことはなかった。

 

 

「また1サイズ大きくなったんじゃない?」
翌朝の稽古の後、ミラが言った。
「やっぱり、あんたはこっちを鍛えるべきよ♪」
とあたしの乳首を指で弾いた。
「っあん♪」
思わずあたしは喘ぎ声をあげてしまった。
今やこれも日常となり、だれもあたしの淫声に反応しない。
「あたしは絶対に狩士に復帰するの!!」
これ以上ミラに付き合っていると、とんでもない事になるので、あたしは皆の汚れた衣服の入った篭を抱えて洗濯場に向かった。

 
あたしが狩士への復帰を目指している事は皆も知っている。だから、少しでも鍛練の時間が取れるようにと、新しく入ってきた小間使いの女の子にかなりの分の仕事が振られていた。
今では洗濯くらいしか手伝う事がない。そして、空いた時間に稽古は入れられた。
けれど、昼間は他の人逹も練習の時間に充てている。あたしのように剣を振り回すのは、皆の邪魔になる。
だからといって、隙にしているとミラがちょっかいを出してくる。

…何故かあたしの肉体には呪いのようなものが掛けられていた。
一度あたしの「女」に火が点いてしまうと、イクとこまでいかないとどうにもならなくなってしまう。
だから、ミラがちょっかいを出してくる度にあたしは…
(当然だけど、ミラは最後まできっちりとあたしの相手をしてくれるのよ♪)

 
とはいえ、折角作ってもらった時間なので、ミラに良いようにされてばかりもいられない。
そんな時、座長が
「ラーナから踊りを習ってみては?」
と言われた。
「別に舞台に立ってもらうとか、そういうつもりはない。踊りの動作があんたの稽古に役立てば良いと思っての事だ。」

あたしはラーナに踊りを習う事にした。が、彼女の指導は見掛けによらず厳しかった。
もしや彼女より大きな胸に嫉妬されているか?とも思ったが、彼女は本心からあたしに踊りを教えてくれていた。

実際、少しかじっただけでも踊りを習う事が狩士の技量向上に役立つ事が解った。
踊りで使う筋肉は、剣を振るう際にバランスを取るのに役に立った。
あたしは男の時の感覚のままで肉体を鍛えていた。やはり女の肉体は微妙なところで勝手が違うようでどうしても剣の重さにふらついてしまう。
しかし、これまで使っていなかった筋肉が鍛えられると、どのように剣を振るっても体の芯がぶれなくなってきた。

おまけと言うか、あたしの「踊り」も結構サマになってきた。
試しに舞台で披露してみたところ、男逹のテンションが俄然盛り上がった。
師匠のラーナ程は「踊り」は完成していないものの、肉体の完成度はあたしの方が遥かに高かった。
あたしの胸が揺れる度に男逹の歓声があがる。
お尻を振れば、男逹の視線が突き刺さる。
股間を広げた際どいポーズに男逹は釘付けになっていた。

(だからといって、その快感に酔って「男」に抱かれたいなんては思わないわよ!!)

 

肉体は鍛えあげた。
剣を振るうのには多分問題はないみたい。だけど、細い腕は以前の太さを取り戻せなかった。
「そんな可愛い身体にゴツくて太い腕なんて考えられないわ。」
とミラにも泣かれる。
あたしも物理的に無理なのは理解していた。
となると、この重い剣を四六時中振り回すことは叶わない。
この剣を手放し、女剣士がよく使う細身の剣に鞍替えするしかないの?
「だから、狩士なんかに戻らずに舞台で踊ってれば良いじゃないか♪既に食うには困らないくらい稼げるのだろう?」
ジンが現れて言う。
「あたしはどんな姿になっても狩士なの!!この剣とともに獲物を追い続けてこそ、あたしの存在意義があるのよ。」
「狩士は辞めない、その剣も手放さないってか?」
「剣は…どうにもならないとは判ってるんだけど…」
「鋳直したら良いんじゃないか?この先に腕の良い職人が居るらしいよ♪」

ジンの話しはどうやら本当らしかった。
トーヤという鍛冶が、この先の山のふもとに居る事が確認できた。
あたしは街道を進む皆と別れて鍛冶の住む山に向かっていった。

 

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