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2015年9月13日 (日)

素敵♪(前編)

「コレ、素敵ね♪」
美帆が手にしたモノを広げて俺に見せつけた。
それは女性用の下着のひとつ…ブラジャーだった。
しかし、それは美帆自身が着けるにはかなり大きめである。

「ねえ、試着してみようよ♪」
勿論、彼女が着けるのではない。
美帆は俺の手を引くと、そのまま試着室のあるコーナーにやってきた。
当然であるが、この辺りには男性の姿は皆無である。
売り場であれば、彼女の選択にコメントを付与すべく脇に立たされる男の姿が見られない事はない。
が、流石に試着室近辺は男子禁制となる。
しかし、俺は誰に咎められることもなく、試着室に入ることができた。
勿論、美帆と一緒だからと恩赦が与えられた訳ではない。
今の俺は、美帆と同類の「女」になってしまっていたからだ…

 

それは夕べ、美帆とホテルでエッチしていた時だ。
「ほう♪なかなか良いモノを持っておるな?」
男の声にそちらを向くと、いつ現れたか、そこに男が…悪魔が立っていた。
そいつは、見るからに「悪魔」であり、自らも悪魔であると認めていた。
「そいつを私のコレクションに加えさせてもらう。勿論無料とは言わない。君にはソレと同じくらい素晴らしいモノを与えてあげるよ♪」
そして、奴が消えると同時に、俺の股間から自慢の逸物が失われていた。

無くなってしまったものはどうしようもない。
このまま行為を続けることもできないので、俺逹はホテルを出た。
しばらく歩いていると、急に胸が苦しくなった。
強い力で締め付けられる感じがする。
「どうしたの?」
急に立ち止まった俺に美帆が声を掛けてきた。
「胸が…胸が苦しいんだ。」
「な、何?その胸!!」
と美帆が俺の胸を指す。
苦しい筈だ。シャツの胸回りの生地がパンパンに張っていた。
それが「単に胸回りが大きくなった」のでない事は即には解らなかった。

少しでも動けばボタンが弾け飛んでしまいそうだったので、タクシーで家に戻った。
心配そうに美帆も一緒に付いてきていた。
既にボタンは二つ程無くなっていた。
「脱がすね。」
と美帆が触れた途端、またひとつボタンが飛んでいった。
ゴクリと美帆が唾を飲む音が聞こえた。
下着にしているTシャツの上からでもわかる。
俺の胸でふたつの乳首がぷっくりと膨らんでいた。
そして、その土台となっている肉の塊…
どう見ても女の「乳房」である。
「脱がせて良い?」
そう言う美帆に頷くと、彼女は俺のTシャツを剥ぎ取った。

現実が目の前に突きつけられた。
「E…もしかしたらGカップくらいになるかしら?」
形の良い巨乳が、俺の胸に存在していた。
しかし、そちらに気を囚われている間にも、美帆は宣言した作業を完遂させていた。
ズボンが下ろされ、トランクスと一緒に剥ぎ取られた。
「完全に女の体型よね。背があるから、モデルでも通用するんじゃないかしら?」
胸ばかりに気を取られていた俺は、彼女の言葉で、手足が白く、細くなっている事にようやく気づいた。
そして、腰は蜂のように括れ、尻も適度な豊かさを得ていた。
「鏡…見てみる?」
そう言われ、風呂場の洗面台に向かった。
(誰だ、コレは?)
鏡に写っていたのは、見たこともない大柄の美女だった。
彼女は下着をはじめ、何も身に着けていないので、その均整の取れた肉体を確認する事ができた。

 
「これが…俺?」

そう発した俺の声も、姿に相応しく甘く艶やかな音色であった。
鏡の中の女が「俺」であるとは、もう誰も考える事はできないだろう。

「背丈は同じだけど、その身体では着る物がないわね。明日になったら買いに行きましょうね♪」
と美帆はここに泊まり込むのを決めたようだ。
彼女は洗面台に割り込み、化粧を落とした。が、その後で再び顔に何か塗り付けている。
「貴女も乳液くらいは付けておいたら?」
と小さなビンが渡された。
「い、いいよ。」
と断ったが
「中身は男でも、女の身体でいる間は女のたしなみはちゃんとしておくのよ。」
と、強制的に塗り付けられた。
(もしかしたら、明日は化粧もさせられるのでは…)
その予想は外れることはなかったが、それは明日のこと。

「貴女だけ裸にしておくのも不公平よね♪」
ベッドに入る前、美帆は俺の前で下着までも脱ぎ去ってしまった。
「じゃあ、一緒に寝ましょ♪」
「い、いや。俺は床で寝るよ。今日はもう抱いてやる事もできないし…」
「だからって、床で寝る必要は無いんじゃない?それに、今は抱いてもらうより、貴女をあたしの腕の中で啼かせてみたいわ♪」
「な、啼かせる?」
「女になったばかりだから、女の快感はまた知らないでしょ?あたしがじっくりと教えてア・ゲ・ル♪」
俺は背中に冷たいモノが流れ落ちるのを感じていた。

美帆に腕を引かれ、そのまま絡まるようにベッドに転がった。
「あんっ♪」
俺の口から可愛らしい吐息が漏れた。
美帆がその口で俺の乳首を弄ったのだ。多分、それは「快感」と言って良いのだろう。
俺はその刺激に喘がずにはいられなかった。
「そうよ♪素直に快感に喘ぎなさい♪」
彼女の口はもう一方の乳首に移った。
口の離れた方の乳首は彼女の指に摘ままれ、刺激を絶やすことなくいたぶられ続ける。

彼女の口が乳首を離れた。
胸の谷間に彼女の舌先を感じた。
そのまま、舌は下に向かって這い進んでゆく。
胃の上から臍の穴を通り、茂みの中へ…
舌の動きとともに、美帆の体勢も変わる。
俺の身体を跨ぎ、こちらに尻を向けた。
俺の脚をM字に立たせ、股間に頭を突っ込む形になる。
彼女の舌が俺の失われた逸物の跡にできた割れ目の中に入ってきた。
「んああっ!!」
思いもよらぬ刺激に彼女から逃れようとするが、脚を閉じようにも彼女の頭に阻止される。
身を捩っても逃れられることはない。
「大丈夫よ。ちゃんと濡れてるから♪」
股間から舌が抜かれ、代わりに彼女の指が差し込まれる。
新たな刺激が俺を襲う。
指は舌よりも更に奥まで侵入してくる。
「あ、ああん♪ダメッ!!それ以上は…おかしくなっちゃうよ!!」
「良いのよ。それで♪快感に身を任せちゃいなさい。」
「そ、そんな…あっ、ああ~~っ♪」
俺は頭の中が真っ白になって、意識を失っていた。

 

 
「スウェットなら何とか入るでしょ?」
朝、目が覚めると、美帆は既に身支度を整え、俺の着る服を用意していた。
「下着はあたしの予備のを使ってね。ブラは合わないからなしだけどね♪」
と渡されたのがショーツとキャミソールだった。
「着なくちゃダメなのか?」
「何躊躇ってるのよ。これから女物の服を一式買うんだからね。」
「そ、それはそうだけど…」
結局そのまま雪崩るように、きっちりと化粧までさせられてしまった。

そして、開店したばかりの店に入り、ブラジャーを選ぶ事になったのだ。
勿論、ブラだけではない。下着、ボトム、アウター…
服の他にも、靴やバック、アクセサリーもだ。
そして、化粧品を買い揃えてようやく一段落ついた。

「だめよ。常に膝を付けているようにしなくちゃ!!」
と昼食の間中、美帆の叱咤が飛んだ。
「なら、何でスカートなんか穿かせたんだよ?」
「あら?そのスカートを選んだのは貴女じゃなかったかしら?」
確かに選んだのは俺だ。が、太股剥き出しのショッキングピンクのショートパンツと脚が十分に隠れているロングのスカートなら、まだこちらの方が恥ずかしくないと思うだろう?
しかし、選んだ方のスカートは試着の時には、確かに脚が隠れていたが、実際に着替える時にはワンピースみたいに肩紐が掛かって裾が太股まで上がっていた。
「気を付けないと下着が見えちゃうからね♪」
と注意されるが、なかなかその通りにできるものじゃない。
「股間を見せてる隙アリの女は、即、視姦される事になるくらい経験で解ってるでしょう?それとも、もう男を誘おうとしてるの?」
「さ、誘う…って?」
「貴女もオンナなんだから、男に抱かれたいって言っても、あたしは構わないわよ♪」
お…俺が「男」に抱かれる?
俺は考えたくはなかった。
「貴女は十分に素質があるわよ♪」
「素質?」
「ビッチのね。どうやれば男が気持ち良くなるかなんて知り尽くしているでしょ?」
「し、知ってるって事と、実際にできるかって事は別物よ!!それを何?ビッチって!!」
「夕べ、あたしに弄ばれてあんなに乱れてたのは誰だったかしら?」
「そ、それは相手が美帆だったからよ。」
「そんな事ないわよ。夕べのあたしが…たとえばあの男の人だったとしたら、どうだったかしらね?」
彼女が指したのは優しそうな顔、長身だが均整のとれた身体、清潔で上品な身なりの男性だった。
俺の頭の中で昨夜の美帆が全裸の彼に置き換わる…

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