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2015年5月31日 (日)

花嫁のパパ

教会の鐘の音が響いてゆく。
バージンロードを純白のドレスに包まれた「あたし」が近づいてきた。

姿は「あたし」だけど、その中身はパパ=あたしの実の父親なのだ。
ついこの間まで威張りくさっていたパパだけど、今ではもう「可愛い女の子」になりきっている。
(そういう風に調教したのはあたしなんだけどね♪)

あたしは「新郎」として白いタキシードを着て、彼女の到来を待ちわびていた。

 

 
あたしとフィアンセの修司さんを囲んで、一家で食事に出ていた。
ママが運転する車で山の中の小洒落たレストランに向かっていた。
カーブの続く山道を快適に登ってゆく。
対向車はほとんどなかった。
助手席にはパパが座り、修司さんとあたしは後部座席にいた。

「あっ!!」
とママが叫んだ。急ブレーキにタイヤが軋む。
その直後、車は道路を離れ、谷底に向かって落下していった…

 

何がどうなったかわからなかったが、何か強烈な光に包まれたのを覚えていた…

ふと、気が付くとあたし逹は車の中にいた。
車は山道の路肩に止まっている。
(確かにここから落ちていった筈よね?)
と窓の外を見たが、別段変わった所はなかった。

(?)

確か、助手席にはパパがいた筈…なのに、そこの席はぽっかりと空いていた。
まるで、最初からそこには誰もいなかったかのように…

「パパ、どこ?どこにいるの!!」
思わず叫んでしまった。
「んん…。ああ。どうなったんだ?」
と、あたしの隣から女の子の声がした。
見るとそこには「あたし」がいた。
「ああ、修司君か。怪我はなかったかな?」
と「あたし」があたしに聞いてきた。
そして、あたしの事を「修司君」と呼んだ。
「どういう事?」
そう言ったあたしの声は、もう「あたし」の声じゃなかった。
オクターブ低い「男」の声だ。
視線を落とすと着ている服が目に入る。
(…修司さんが着ていた服だ…)

「あ、あなたは誰なの?」
恐る恐る「あたし」に聞いてみた。
「修司君、それはないだろう?君のフィアンセの父親の顔を忘れたとでもいうのかい?」
つまり「あたし」の中にはパパがいて、あたしは修司さんの中にいる。
(じゃあママは?)

あたしは運転席の背中越しにママの肩を揺すった。
「ねえ、ママ。起きて。気が付いて頂戴!!」
その刺激に反応して、ママは気が付いたようだ。
「ねぇママ。よく聞いて頂戴。あ・な・た はだれ?」

「えっ?」
とママが振り返る。その目は大きく見開かれた。
「な、何で僕がそこに?」

「何でか…なんて解る訳ないでしょ?整理すると、ママが修司さんであたしがパパ。あたしは修司さんになっていると言うこと。」
「ママと俺の体はどこに行った?」
「知る訳ないでしょ!!こんな超自然的な事に説明なんか付けれる人いないわよ。」
「探して来る!!」
とパパがドアを開けた。
「ダメ!!」
とあたしが止めるより先にパパは路肩に転がっていた。
「パパはスカートやハイヒールの経験なんかないでしょ?まともに動けないんだからじっとしててよ。」
あたしは車を出て反対側に転がっている「あたし」を抱え上げて車の中に座らせた。
「修司さんもよ。勝手に動きまわらないでね!!」
と釘を刺すと、あたしは車の回りを見てみた。

車には何の傷もない。あたし逹の肉体にダメージがないように、崖から落ちたとは考えられない状態だ。
車の後ろに回り、道路の路面を見てみた。
勿論、急ブレーキの跡もない。普通に休憩の為に路肩に止めたとしか見えなかった。
当然、路肩から乗り出して崖を確認しても何も見つからない。
そう。パパの肉体はどこにもないのだ。

 

「少し遅くなったけど、取敢えずはレストランに向かいましょう。」
あたしは捜索を打ちきり、車に戻った。
「修司さんは運転できるよね。念のため、裸足で運転してね♪」
「あ、ああ。」
とエンジンを吹かし、路肩から出るとレストランに向かって車を走らせていった。

「遅くなって済みません。ちょっと事情があってお義父さんが来れなくなってしまいました。」
「こんな山の中ですから、時間通りにいかないのは折り込み済みですよ。」
迎えにでてきたオーナーが笑顔でそう言ってくれた。
「それに、ご予約は3名様と伺っておりましたが?」
「3人?最初から?」
「いえ、当方の手違いかも知れません。確認してまいりますので…」
「良いよ。こっちの思い違いだと思う。それより、お腹が空いてきた。早く席に付こうよ♪」
「それでは皆様。こちらにどうぞ。」

テーブルには確かに三人分の用意しかされていなかった。
「パパ。それに修司さんも。貴方逹は今は女性なんだから、気を付けてね。足を開いて座らない。大口を開けて食べない。それくらいは守ってちょうだい!!」
「わ、解りましたわ。」
「修司さん。その女言葉、変よ。なるべく喋らないで笑顔で返すようにしてね。」
どこまで理解できたかわからないけど、静かなディナーが進んでいった。

一通り食事が終わると修司さんが囁きかけてきた。
「やはり、トイレも女性用なんだよね?」
あたしは二人を交互に見た。
「そうね。お化粧も直しておきたい所だけど、パパと二人で行ってきた方が良いわね。いい、パパ?」
二人をトイレに向かわせている間に、あたしは修司さんのカードで支払いを済ませておいた。
かなりの時間を掛けてトイレを済ませた二人を待って、車に乗り込むとあたし逹の家に帰っていった。

 

 

 

あたしは彼…彼女等に「女」としての立ち居振舞いを特訓した。特にパパには「あたし」としてあたしとの結婚式が控えている。
様々な人の視線に晒される訳で、「あたし」として恥ずかしくない行動を取ってもらわなければならない。
が、そこは何十年も「男」として生きてきたパパには到底乗り越えられそうもない壁がそこにあった。
その「壁」を打ち破るにはかなりの荒療治が必要なようだった。
パパが自分が「男」だった事を思い出せなくなるくらい「女」である事を思い知らせるのだ。

「先ずは言葉よ。自分の事を俺とか僕とか言ったら、即オシオキだからね。自分の事はアタシって言う事!!」
「でも、女の子でボクとか言う娘だっているんじゃないのか?俺だって筈かしいんだ。せめて私って…」
「口答えは却下。あたしのキャラでボクなんてあり得ないの。それに今俺って言ったわね。オシオキよ。お尻を出して膝の上に乗りなさい!!」
「お…お尻って?」
「女子供を仕付けるにはスパンキングが一番なんでしょう?」
それはあたしが小さい頃、パパが言っていた事だ。
真っ赤に腫れたお尻の痛みに泣き叫んでいた幼い自分を思いだしていた。
「さあ、スカートを捲ってこっちに来なさい!!」
あたしはパパを膝の上に抱え、身動きできないようにした。
「貴女はもう女の子なの。自分の事をあたしと言えるまでオシオキが続きますよ。」
あたしはパパの穿いていたショーツを降ろし、可愛いお尻を剥き出しにした。

パシンッ

乾いた音が響く。
パパは声を出さないようにキュッと口を閉ざしていた。
パシッ、パシッと二発目、三発目が鳴る。
「貴女が解るまで続けますよ。」
パパはあたしから逃れようと身動きするが、成人男性の力を振り切る事は到底できなかった。
痛みと恥ずかしさにパパの目に涙が浮かんでいる。
「女の子みたいに泣いているの?いえ、もう女の子だったわね♪だから、早く自分が女の子だと認めてしまいなさい。」

「…だ、誰が…」
あたしは一際大きくお尻を叩いた。
「ヒッ…」
「早く認めないと、どんどん辛くなっていくわよ。さあ、言ってご覧なさい。あたしは女の子ですって♪」

パパのお尻から血が出るんじゃないかと思えるくらい、彼女なお尻は真っ赤に腫れていた。
そろそろあたしの掌も限界かと思ったころ、彼女の口が弱々しく言葉を紡いだ。
「…ぁ、あたしは女の子です。女の子だと認めます。だからもう止めるん…だ…」
「何?止めて?」
あたしは語気荒く聞き返した。
「…止めてくだ…さい…」
彼女が正しく言い直したのであたしは叩くのを止めた。
「そうね。もう夜も遅くなってしまったわね。貴女は早くお風呂に入って自分の部屋で眠りなさい♪」
「自分の?」
「そうよ。大好きなぬいぐるみ逹に囲まれて気持ちよくお休みなさい♪あたし…ボクはママと寝させてもらうから♪」
あたしはママの手を引いて夫婦の寝室に向かった。


「み…翆ちゃん。お義父さんにあんな事して大丈夫なの?」
修司さんが心配げに聞いてきた。
「聞き分けのない子にはこうした方か良いってパパが言っていたのよ。問題はないわ。」
二人になった所で、あたしは修司さんを抱き締めた。
「それに、翆はあの娘の名前だよ。ボクは修司だ。間違えるんじゃないよ♪」
あたしは修司さんにキスをした。
それはいつものキスとは違い、男として女に与えるキスになるように気を付けた。
修司さんも、肉体の反応に従っているようで「女」として、あたしのキスに応えていた。
「肉体は変わってしまったけど、ボク逹はこの先もずっと恋人同士だよ♪」
あたしは修司さんをベッドに押し倒した。

女が感じる所を女のあたしが間違える筈もない。
修司さん…いや、涼子はボクの腕の中で悶え痴れていた。

熟れきったオンナの肉体。パパとママが最近ご無沙汰なのも充分に承知していた。
そこに、若い牡の肉棒を与えてあげれば、堕とすのも簡単な事だった。

あたしは毎日のように、パパを「可愛い女の子」に、修司さんを「淫らな娼婦」に調教していった。

 

 

当初の予定通りに「修司」と「翆」の結婚式が執り行われることになった。
「翆」はあたしの望んだように「可愛い女の子」そのものになっていた。
生まれた時から女の子だったように、憧れのウェディングドレスに身を包み、幸せの絶頂にいるみたいだ。
「涼子」は清楚な和服姿で席に着いている。
大人しく座っているが、その顔には淫らな悦びの表情が浮かんでいる。
今日は一日中ディルドウを填めたままなのだ。勿論バイブのリモコンはあたしの手の中にある。
スイッチを入れると涼子は涙ぐんで快感に耐えるのだ。
参列者には、嫁いでゆく娘を想っているのだと思われていることだろう。

「翆」が近付いて来た。その手を取って引き寄せる。
あたしは彼女の耳元に囁いた。
「今夜からは夫婦のベッドで一緒に寝よう♪」

あたしはとっくに処女ではなかったが、今の「翆」は精神的には処女なのだ。
パパは「男」としてのSEXの経験はあっても「女」としては未経験だ。
自分を「女」と認めてからは女の肉体にも興味が出てきている。
男としての経験から自らを慰める事もしていたみたいだが、まだイクまでには至っていないようだ。
今夜からは彼女に、本物の「男」というものを教えてやるのだ。
勿論、涼子と一緒にね♪
本来の「妻」の目の前で「女」として恥態を見せることに、どれだけ耐えられるか楽しみだわ♪
当然、これは今夜だけではないわよ。
これから毎日、酒池肉林の日々が待ってるわ♪

クエスト

「ここはどこだ?」
気が付いた時、僕の目に入ったのは、青い空と緑の木々だった。

昨夜、僕が眠ったのは自宅の僕の部屋のベッドの上だった。
屋根があり、パジャマを着て布団にくるまっていたのだ。
が、ここはどこだ?
僕の状況は木の根に座り、幹にもたれてうとうとしていたと言わんばかりだ。
勿論、布団も屋根もない。服を着たままである。
(服?)
僕は自分の着ている服を見てみた。
(これは僕の持っている服じゃない)
が、見覚えだけはあった。
これは、僕がゲームをする時に僕のアバタに着せている服だ!!

「ゲーム」というキーワードにいくつか繋がってゆくものがあった。
先ずはこの景色。
ゲームではおなじみの森の入り口だ。
森の奥にはダンジョンがあり、様々なお宝が隠されている。
反対側の草地にはスライムなどがいて、初心者のスキルアップに使われている。
そして、草地の向こうには街があり、情報を得たり、装備を増やしたりできるのだ。

今の僕の装備の中に剣があった。
鞘から抜くと刀身が現れる。そこに僕の顔を写してみた。
そこにはやはり、僕の育てあげたアバタの顔が写っていた。

(先ずは情報集めが必要かな?)
と草地に一歩踏み出した途端、目の前にスライムが現れた。
僕は剣に手を掛け身構えた。
が…
スライムは僕に飛び掛かってくることもなく、そこにじっと佇んでいた。
「今はお前と遊んでやれないんだ。済まんな♪」
と僕はスライムの脇をすり抜けていった。

進んでゆくと街程大きくはないが集落があった。
その集落に着くまでも幾体ものスライムと出会ったが、皆同じように脇をすり抜けていった。
集落は背の高い塀に囲まれており、出入り口は数ヵ所の門しかないようだった。
手近の門に着いた。門の脇には一人の老人が佇んでいた。
「こんにちわ。」
と声を掛けてみる。
「ようこそアグリ村へ。」
と答えが返るが、もう一度声を掛けても同じ答えしか返らない。
(ゲームと同じか…)
僕は門の内側に入っていった。
そこここに「人」はいたが、門にいた老人と同じように決まりきった受け答えしかしてくれなかった。

いくつかの「家」を訪ねてみたが、やはりこれといった情報はない。
(やはり、あそこだろう)
集落の中心にある一番大きな建物に向かった。
咎められる事なく、中に入ってゆく。
一際立派な扉を開けると、執務机の向こう側に初老の男が座っていた。
「私が村長だ。最近ドラゴンが現れて畑を荒らされている。勇者殿。ドラゴンを退治してはもらえないだろうか?」
「僕は本来の世界に戻りたいんだ。何か情報を持っていないか?」
「王都に行けば学問所で何か聞けるかも知れない。」
「場所は?地図は?」
と聞くと、村長は机に紙を広げた。
「ここがアグリ村。」と中央の円を示す。
「ここの畑が荒らされる。そしてドラゴンの巣窟はここだ。」
と説明を受けたが、王都の場所は教えてくれない。
だが、村を挟んでドラゴンの巣窟の反対側に石造りの建物の図があった。
(王都ではないにしろ、ここよりは情報があるに違いない)
と村長の前を辞し、宿屋で一晩明かした後、僕はアグリ村を出ていった。

 

 

門の外には畑が続いていた。が、集落を離れると荒れた畑が点在するようになる。
村長がドラゴンに荒らされていると言っていた畑だ。
何故こんなにも集落から離れた場所に畑を作ったか疑問に思っていたが、それは近くの森を水源とした用水路を辿っていって理由が解った。
水源の泉には妖精が棲んでいたのだ。
そのため、流れ出る水にはマナが豊富に含まれている。作物が豊かに実り、味も申し分ない筈だ。
だから、その果実がドラゴンに狙われるのも無理からぬ事ではあった。

実際、畑に降りていたドラゴンがいた。まだ若いのか、小柄で皮膚もまだ柔らかさが残っている。
(戦うか?)
と思案した時、ひとつのアイデアが浮かんだ。
これから先、かなりの移動距離がありそうである。この竜を馬代わりに使えると便利だ。
(使役の魔法を試してみるか♪)
僕は使役の魔法の呪文を確認すると、ドラゴンの前に出て印を切った。
「カル・デル ナ・クトバ!!」
ドラゴンが光に包まれた。

いや、ドラゴン自身が光っている。
その光の中でドラゴンの姿が変形してゆく。
更に小さくなり
…人型となった。

 

光が収まると、そこには一人の人間…女の娘が立っていた。
「お、お前はドラゴン…なのか?」
「はい♪貴方様に支えるべく、この姿を取らしていただきました。」
「支える?」
「はい♪メイドとして貴方様の身の回りのお世話をさせていただきます。」
(メイド?どこかで呪文を間違えたのだろうか?)
「どうかされましたか?ご主人様♪」
「ち、ちょっとな♪…その、君は身の回りの世話以外に何か特技はないかな?例えば僕を乗せて空を飛んでみせるとか…」
「特技というものではありませんが、この姿を解けば、空を飛ぶ事は可能です。」
(どうやら馬の代わりになりそうだ)
「では、僕を乗せて王都まで飛んでくれ。」
「すみません。ご主人様を乗せて飛ぶ事はできません。軽いものなら運べますが…」
「う、馬の代わりにもならないのか?!」
「ああ、それでしたらドラゴンの姿で走るのはいかがでしょうか?飛ばないのであれば問題ありませんよ♪」
「それを早く言ってくれ!!」
僕は変身した(正しくは変身を解いた)マリー(名前がないから適当に付けた)の背に跨がり、王都に向かって走り始めた。

流石に街道をドラゴンに跨がって走り抜けるのは目立ち過ぎるので、ある程度までは荒野を突っ切る最短距離を走っていった。
とは言え、マリーもまた王都の場所を知らなかったので、だいたいこっちの方だろうと見当を付けた方角に向かっていた。

 

 

「ここからは歩いてゆくか。」
町が近くなったのか、これまでほとんど街道に見かけなかった旅人が現れ始めていた。
僕がマリーの背から降りると、彼女は人間の姿になった。
「大分楽をさせてもらったな♪」
「いえ、ご主人様のお役にたててなによりです♪」
とマリーはメイドモードに戻っていた。

「メイド」とは言っても、それなりの旅姿にはなっている。マントにくるまり、ひっそりと僕の後ろに従って歩いている。
やがて町の城壁が見えてきた。
少し足を速めたので、日没を迎えるまでにはなんとか町の中に入る事ができた。
宿に入り靴を脱ぐと、酷使に耐えてくれた足のマッサージを始めた。
流石にドラゴンであるマリーは少しも疲れを見せていない。
「マッサージなら私が施します。」
と僕の前に跪いた。
「ありがとう。」
彼女に任せてみると、確かに気持ち良く、疲れもすっと抜けていった。
「他もマッサージしますね♪」
と僕とベッドに誘導する。
「服を脱がせますね♪」
と僕の服を取ってゆく…
「あらっ?!」
とマリーの手が止まる。
「ご主人様って女の方だったんですか?」
それはきつく締め上げた胸当てが外された時だった。
別に故意に隠していた訳ではないのだが、僕自身このアバタが女性である事を忘れてしまうのだ。
胸当ての下から双つの膨らみが現れて、ようやくその事を思い出す。

何故女性体かと言えば、別に僕自身に女性化願望がある訳ではない。
女性体の方が魔法力が豊富だったので選んだだけだ。それ以外は普通の剣士としてやってきている。

(しかし、自分自身の胸に乳房があるというのを実感するのも変な感じだ…)
そもそも、この肉体はゲームをやる上で効果的な攻撃を加え易いように考えた肉体だ。自分がこの肉体の中に入る事など、欠片も想定などしていなかったのだ。
が、ここに自分の肉体が女性である事実に直面する事になった。
マリーのマッサージが足から腰、背中へと移っていった。
「ではお嬢様、仰向けになってくださいな♪」
「その〈お嬢様〉っていうのは止めてくれないか?今まで通り〈ご主人様〉で良いから。」
「はい。ご主人様♪」
とマリーは腕、肩と揉み解してゆく。

「んぁん♪」
僕の口から悩ましい吐息が漏れた。
彼女の掌が両乳房を揉みあげたのだ。
「好い啼声ですね♪」
「い、言うな!!」
恥ずかしさに顔が紅くなる。
今まで感じた事のない「快感」が胸の先から脳天を貫いていったのだ。
思わず喘いだ声は「オンナ」の喘ぎ声そのものだった。
「ご主人様はこういうのハジメテですか?」
確かにゲームに明け暮れて彼女もいない。女性の乳など揉んだ経験などない。

いや、「男」の僕が乳を揉まれて喘ぐなんて経験などあってたまるか!!

彼女の指の動きは、どんどん快感を高めてゆく。
必死で我慢してはいるが
「んぁ……ぁぁ…」
と喘ぎ声が漏れてしまう。
「ご主人様♪無理をなさらずに、自然に任せて淫声を出してしまいましょうよ。その方が何倍も快感を得られますよ♪」
マリーの忠告には従わないでいようと決意はしたものの、肉体はどんどん快感に反応してゆく。
「ほら、お股にも蜜が溢れてきてますよ♪」
なるべく意識しないようにしていたが、太股の内側はかなり前からぬるぬるとしていたのだ。
「では脚を開いてください♪」
何故か僕は彼女の指示に素直に従っていた。
彼女が僕の股間に位置取り、僕の上に覆い被さってきた。

(まるで男が女に挿入を開始するような体勢だなあ…)
そんな事を思っていると
「それでは最高の快感を感じてくださいね♪」
見るとマリーの股間には猛々しい牡の器官が屹立していた。
「そ、それは?」
僕は質問を完結させる間もなく、彼女に貫かれていた。
「ああっ、あ~~っ♪」
意識することなく、僕は快感に淫声をあげていた。
僕の内に在る牝の器官が際前よりソレを求めて疼いていたのだ。

充たされる快感…
更に刺激が加わり、僕を更なる快感の高みに放り上げてゆく。
何も考えられない。
肉体は快感を貪るように淫らに悶える。
僕は嬌声をあげ続け、ナカに精液が放たれたのを最後に、僕は意識を失っていた。

 

 

ドラゴンの精液は、僕の魔法力を高めてくれていた。
「マナの豊富な餌を食べていたからだと思いますよ。」
マリーは依然として僕の「メイド」として側に付いていてくれた。
「本来は牡なのですが、ご主人様が男性だとこちらの姿が悦ばれると聞いていましたので♪」
実際、僕は肉体は女だが、意識は男のままなのでメイド姿の方が嬉しいことに間違いはない。

僕は道々怪物逹を倒しながら旅を続けてゆく。
宿ではマリーの奉仕を受け、快感に昇天する日々が続いていった♪

無題

「ぐあ゛!!」

その痛みは突然やってきた。
腹の中をミキサーで粉々にされてしまったかのようだ。
更に骨がメキメキと音を発てて変形してゆく。
全身の汗腺から大量に汗が吹き出してゆく。
貧血を起こしたように耳鳴りが鳴り響き、目がかすみ、闇が押し寄せてくる。

勿論、立っていられる筈もない。
どのように倒れたかもわからない。壁にもたれて頬を付けていたと思っていた「壁」は「床」だと気付いた。

辺りには誰もいなかった筈だ。
もし、助けを呼べたとしても何ができただろう?
救急車が呼ばれ病院に運ばれたとしても、今のこの痛みが無くなる訳でもない。
このまま身体を丸めて痛みに耐えていれば、いつか痛みは収まってくれると祈るしかない。

そして、フッと痛みが消えた。
何事もなかったかのようだが、汗に濡れた服が冷たく肌に貼り付いていた。
ゆっくりと身体を起こすと、パラリと目の前を遮る黒い物があった。
(髪の毛?)
目の前の髪の毛を掴むと、頭が引っ張られる感じがした。
(髪の毛が異常に伸びたのか?)
しかし、その「異常」は髪の毛だけで終わってはいなかった。
髪の毛を掴んでいた「手」が目に入った。それは自分の「手」とは思えない程、白く華奢になっていた。
また「手」の大きさ自体も小さくなっているようだ。
それは「手」だけではなく、全身に渡っているのだろう…
シャツの腕の部分がぶかぶかになっている。袖を伸ばせば掌も隠れてしまうようだ。
立ち上がると、背が縮んでいることが実感できる。
ずれ落ちそうなズボンをベルトで締め上げてみたが、裾を折らないと引きずってしまいそうだ。
当然、足のサイズも違っている。普通に歩こうとすると、靴は簡単に置いてけぼりとなってしまう。

(あれだけ骨が軋んだのだ…)
と体型の変化を妙に納得させる。
痛みもなく、体力もそんなに落ちていなかった。家まではそう遠くないので、靴を引きずるようにして歩いていった。
(先ずはシャワーでも浴びてすっきりして、乾いた服に着替えよう♪)

 

 
とは言え、家に辿り着いた時には相当疲れ果ててしまっていた。
風呂場に転がり込み、服を脱いでシャワーの下に来ると、立っているのが辛く、座り込んでいた。
コックを捻ると暖かな滴が降り注いできた。

「ふ~~う♪」

と溜め息が漏れる。
(?)
聞きなれない声にはっとした。
確かに自分の口から出た溜め息だった。
が、それはいつもの自分の声よりも数段高い…女の声のように聞こえた。

「あーー…」
と「声」を出してみた。
無理やり低く出そうとしても、本来の自分の「声」には遠く及ばない。
長い髪、白い肌、華奢な指…全体的に小さくなった身体…考えられるのは…

(女になってしまった?)

 

今になって、床の上に「女の子座り」しているのに気付いた。
無意識にこんな座り方をしていたのだ。
よく見ると、微かではあるが胸が膨らんでおり、乳首が突出していた。
更に、股間を覗き込んだ。

(……ない……)

 

 

シャワーを止め、脱衣所の鏡に自分を写してみた。
(誰?この娘…)

鏡の中には見知らぬ女性が写っていた。
これが今の「自分」である事に疑いの余地はない。
あの「痛み」と共に「女」に造り変えられてしまったのだろう。
誰がこの姿を見て「自分」であると認めてくれるだろうか?
一歩この家を出てしまえば、それは「自分」とは一切関わりのない、身元不明の「女」でしかない。
当然であるが、このままでは一切の収入がない。
飯を食い、生きてゆくためには何かしら稼ぐ必要がある。
そして「女」が手っ取り早く稼ぐには…肉体を売るのが一番である事に異論はない。

つまり「男」に抱かれるという事だ。

 

想像してみる。
自分が男に抱かれている…
全裸になり、脚を広げ、股間に…膣に男性自身を迎え入れるのだ。
目の前に勃起したぺニスがあった。それは自分の股間にあったモノ…
今、それを正面から見ている。
(コレを挿れるの?)
しかし、ソレを見ているだけで肉体は勝手に反応している…股間が濡れ始めていた。
「痛くしないでね♪」
とベッドに背中を落として脚をM字に広げた。
男が身体を重ねてくる。彼の腰が近づいてくる。
先端が股間に触れた。
入る場所を探しているかのように、辺りを徘徊する。
「来て♪」
膣口で一瞬静止していたソレが、ゆっくりと膣内に侵入してくる。
「あぁ…」
これまで経験のない、膣内を満たされる感覚に思わず媚声が漏れる。
ペニスは更に奥へと侵入してゆく…
彼の腰が股間に触れようとした時、ペニスの先端が障壁にぶつかった。
(子宮口?)
その先にある器官が何かを待ち望むかのように熱を帯び、疼いていた。
「頂戴♪」
それが欲しているのは、彼の精液…その中にいる精子逹だ。
大事な卵子に受精させ、子宮内で育てあげ、一人のヒトとして産み出したいと望んでいる…

 

(そうか…何も考えずに男とSEXすれば、この肉体は妊娠してしまうんだ)
そんな事が頭に浮かんだが、即に男が動きだし、こみ上げてきた快感に何も考えられなくなっていた。
「あんあん♪」
と勝手に嬌声をあげていた。
オンナの快感に全てが支配されている。
何度も、何度も昇り詰める。
膣も子宮もこの肉体から湧き出た愛液と、男の射した精液に満たされている。
快感だけがそこにあった…

 

 
俺はベッドの上で毛布にくるまっていた。
いつの間にか寝てしまっていたようだ。
股間には愛液の名残が残っていた。

起き上がり、もう一度自分の肉体を確認した。
それが「女」の肉体である事は疑いようがない。

(先ずは服をなんとかしないとな♪)
いつものように穿いたトランクスがぶかぶかなのに加え、もう前開きから出すモノもないんだ…と実感する。
(やはり、女の身体には女の服…下着も揃えるしかないな♪)
ズボンを穿き、ベルトで締めあげ、裾を折り上げた。
大きめのTシャツは、小さくなった身体にはワンピースのように見えた。
鞄に財布などを入れ、今の足には大きすぎるサンダルを履いて外に出る。

近所の人が不審そうに俺を見ていた。
「じゃあ行ってくるね♪」
あたかも「俺」がまだ家の中にいるかのように声を掛け、近所の人には笑顔で会釈する。
俺の事を泊まりにきた「俺」の彼女とでも思ってくれただろうか?
しばらくは、俺は「俺」と同棲している彼女を演じる事になるのだろう…

アルバイト

「ねぇ、あんた『女』になって頂戴♪」

元より我儘な娘だった。
それでも高額な報酬の為に、僕は彼女の家庭教師を続けていた。
決して頭の悪い娘ではない。いや、自分の出来を詐称できるくらい頭は切れている。
つまり、家庭教師など付けずとも、彼女は容易に優秀な成績を取ることができるのだが…
「下手に成績が良いと、何かと用事を頼まれるじゃない♪」
と、勝手に成績を落としているのだ。
親は何とかして良い成績を取らせようとして家庭教師を雇うのだが、彼女の方が一枚も二枚も上手であり、新しい家庭教師に「遊び」疲れると、即に追い出して新しい獲物を要求するのだ。
「ママの服なら着れるでしょ?」
モデルだった彼女の母親は背も高く、今は昔程細くないので、小柄な僕としては服のサイズに問題なさそうだった。
「今日はママ、帰って来ないし、服の一枚や二枚無くなっても気づくようなヒトではないわ。」
上機嫌の彼女に逆らう事はできない。
仕方なく、僕は彼女の母親の部屋に向かおうとした。
「待って。ちゃんと全部着てきてもらいたいから、ここで服を全部脱いでいって。」
結局、下着まで剥ぎ取られて全裸になって部屋を出ていく事になった。

母親の部屋に入り、引き出しに詰め込まれた下着を抜き出す。ブラとショーツがセットになっていた。
ショーツを穿き、ブラの紐を肩に掛けた。背中のホックがなかなか止まらない。
何とか止めてからパンストを穿いた。
薄い布地は脛毛が強調されてしまう。探してみると、黒のレース地のパンストがあった。
脛毛が目立たないのを確認して、スカートを穿いてみた。
彼女や彼女の母親のような美しさはないが、こんな脚の女もいるのではないか?と見えるくらいにはなっていた。

女物のシャツに腕を通す。左右が逆なので、ボタンがなかなか止められなかった。

何とかシャツを着終え、その上にカーディガンを羽織った。
元々長めの髪だったので、鏡を見ながら女らしくボリュームを持たせるようにブラシを掛けると、何とか『女』に見えない事もない。

 

「まだダメね。胸はぺしゃんこだし、お化粧もしてないじゃない。アクセサリーには目を瞑ってあげるけど、この二つは何とかしないとね。」
と彼女が袋をよこした。
ずしりとした重みがある。
「これをブラの中に入れてみて♪ずれないようにシールを剥がせば接着剤が付いてるわ。」
袋の中には「乳房」が入っていた。乳首も精巧に再現されている。
言われたようにシールを剥がしたソレをブラのカップの中に入れた。
ずしりとした重みが肩紐に掛かってくる。
(女性は四六時中、この重さに耐えているんだ…)
と考えながら、ブラ越しに乳房を胸に押し付けて固定した。

「次はお化粧ね♪あんた自分ではできないでしょ?今日は特別にあたしがしてあげるわ♪」
(今日は…という事は、この先何回か女装することになるな…)
と考えながら
「あ、ありがとう…」
と言っておく。
「ああ、その声もなんとかしなくちゃね。」
(女の声を出せってか?おかまタレントでも女声に聞こえるのは僅かだろう?)
「声は考えておくから、今日はあまり喋らないでね。」
そう言いながらも、椅子に座らせた僕の顔にいろいろと塗り付けていった。

 
「まあ良いかな?じゃあ、食事に行きましょうか♪」
と立ち上がる。
彼女に続いて部屋を出たが、そのまま玄関へと向かっていった。
「外に出るのか?」
「喋らなければバレないわよ。パパも待ってるからね♪」
勿論、僕は彼女の指示に逆らう事はできない。
出されたパンプスを穿き、高い踵にふらつきながら、レストランに向かった。

 

テーブルには既に一人の男が座っていた。
「お待たせ、パパ♪紹介するわ。この人が今のあたしの先生よ。訳あって今日は喋れないの。ごめんなさいね。」
僕は彼女の紹介に合わせてその男性にお辞儀をした。
「我儘な娘で大変でしょう?」
そう言われ「その通りですね」とも答えられず、微笑みを返すしかなかった。
「パパ。先生は今日は喋れないのよ。少しは気を使ってあげてちょうだい。」
「おお、これは済みませんでした。」
と、皆が席に着いて食事が始まった。
専ら彼女が喋り、父親が相槌を打ってゆくので、僕はゆっくりと食事を堪能できた。
(口紅の味が混ざるが、それが気にならない程に美味しい料理だった)

一通りの料理を食べ終わると、彼女にトイレに誘われた。
「口紅が落ちてるわよ。今度は自分で直してみて。」
と化粧ポーチを渡された。
トイレの鏡を見る…
(この娘、誰?)
鏡には彼女と口紅が乱れた見知らぬ女が写っていた。
僕が手を上げると彼女も手を上げる…
(この娘が今の僕なんだ…)
と確認しながら、化粧ポーチから口紅を取り出した。
スティクを回し、出てきた紅を剥げた場所に塗っていった。
「本当は筆を使ってもらいたかったんだけどね?次からは気を付けてね♪」

席に戻ると
「じゃあ帰るね♪パパは先生をちゃんと送ってあげてね。ご馳走様でした♪」
と、僕は何も言えないまま、残されてしまった。
「では場所を変えましょうか?ここからは大人の時間という事で♪」
さすがにこれ以上は辞退したいのだが、喋れないのではどうにもならない。
そのまま彼に連れられて、ホテルの一室に入ってしまった。

「ここならば声を出しても大丈夫ですよ。貴女が男性である事は彼女から聞いています♪」
「え?」
「勿論、私は彼女の父親ではありません。彼女に仕事として依頼されているだけです。」
「仕事?」
「はい。ここで貴女を本物の『女』にしてあげるのが私の仕事てす。」
「女…って、僕は男ですよ。」
「ですから、貴女を『女』にするのが私の仕事なんです。もう薬も効いている頃でしょう。服を脱いでもらいましょうか?」
「薬って?」
彼には僕の問いには聞く耳はないようで、有無を言わさずに僕の服を剥ぎ取ってしまった。
「どうです?」
と聞かれ、どう答えれば良いのだろうか?
僕はショーツ一枚で彼の前に立たされていた。
ただ、胸には彼女から渡された「乳房」がしっかりと貼り付いていて、本物と見紛う程だった。
「どうです♪おっぱいを持つって事は?」
「重たいよ。でも、世の中の女性が皆同じく辛い思いをしていると思うと、そうも言っていられないか…」
「辛いですか。では、先ずはおっぱいがあって良かったと感じさせてあげましょう♪」
と彼の手が伸びてきた。
「痛いっ!!」
思わず声を張りあげてしまった。
彼が僕の乳房を鷲掴みにしたのだ。
彼の指先が乳房に食い込み、そこから「痛み」が発っせられてきた。
(?)
「君はこれを偽乳だと思っていたのでしょう?実際は今、君が感じているように、これはもう君自身のモノになっています。」
(…)
「何故?と思っているのでしょう?コレには薬が仕込まれていて、君の肉体を改造していったのですよ。ですから、痛みだけではなく、快感も感じる事ができるのです♪」
と彼が指の腹で乳房の先端にある…乳首を弄った。
「うぁっ!!」
何とも形容のつかない感覚がソコから発っせられた。
そして彼の手が掴んでいた乳房を、ゆったりと揉み始めた。
「ん…ぁ…」
僕の口から吐息のようなものが漏れる。
「どうです?気持ち良くなってきたでしょう♪」
僕は彼の行動に対して何も否定的な行動を起こせなかった。
「薬は胸だけではありません♪」
彼の一方の手が僕の腰に廻り、ショーツを下ろしていった。
「貴女はもう女性です。股間にはもうベニスの存在は感じられないでしょう?」
僕はコクリと素直に頷いていた。
「そればかりか、ほら。もう濡れ始めてますよ♪」
彼は僕の股間に指を這わし、滴っていた液体を掬ってみせた。
「さあ、貴女を本物の『女』にしてあげますよ♪」
僕は彼にだき抱えられた。
そのまま、ベッドの上に下ろされた。

 

 
…まだ…股間に何か挟まったままのような感じがしていた。
「この部屋は明日の昼まで借りているから、落ち着いてからゆっくりと帰りなさい。」
彼はそう言ってまだ夜のうちに部屋を出ていってしまっていた。

僕は起き上がり、シャワーを浴びた。
胸に…乳房に湯滴が当たる。湯はそこから体に沿って流れ落ちてゆく。
股間に手を当てる。いつもの存在はそこにはなく、彼を受け入れた場所がそこにあった。
「汚れ」を洗い落とした。が「女」として抱かれた事実が洗い落とされることはなかった。
「…女。か…」
その声ももう、本来の僕の声ではなかった。
彼に抱かれ、喘いでいるうちに、次第にトーンが高くなっていた。
僕の喘ぎ声は「女の喘ぎ声」そのものになっていた。
そのまま、僕の声は元に戻っていない。
鏡に映る僕の首からも喉仏の突起は見えなくなっていた。

喉から顎にかけて手を滑らす。当然のように、髭は跡形もなく、すべすべの肌に触れていた。
「お化粧しなくちゃ…」
僕は鏡の中の女の顔に、どんな化粧をすれば良いかを考え始めていた。

 

 

 

「ちゃんと『女』にしてもらった?」
午後には再び家庭教師の時間になる。
彼女の部屋に入るなり、そう聞かれて僕は「はい」と返事をした。

ホテルを出た後、僕は格安が売りの洋服屋のチェーン店で服を買った。
彼女が面白がっている間は元には戻れそうもないと判断したのだ。
アパートに戻り、買ってきた服に着替えた。
着ていた彼女の母親の服をクリーニング屋に持ち込み、特急で仕上げてもらう。
その間に、化粧道具を百均で買い求めた。

「声も変わったのね?じゃあ、外で喋る時は男言葉は使わないようにね♪」
「君の前なら良いのか?」
「そうね♪逆にいつもの喋り方の方が姿とのギャップで面白いわ。」
とは言え、出てくる声が女の声なので、僕自身戸惑う事が多い。

「たまには勉強も教えて頂戴♪」
と彼女が勉強机に向かう。僕は脇からそれを覗き込む…
「あっ、そこ間違ってるよ。」
彼女にしてはあり得ないような箇所で誤りを見つけた。
「っえ?どこ?」
「ここだよ。」
と身を乗り出した刹那、彼女の肘が僕の胸に当たった。
それは偶然なのだろうか?昨夜、散々責められて敏感になってしまった僕の乳首を刺激する形になった。
「んぁ…」
切ない吐息が漏れてしまった。
「どうかした?」
「な、何でもないわよ♪」
慌てて感じてしまった事を誤魔化す。
「先生の身体って敏感なんだ♪」
「そ、そんな事ないわよ!!」
「でも先生、女言葉になってるわよ♪」
昨夜、彼に責められた際、散々女言葉で喘がされたのだ。快感を感じると条件反射のように女言葉がでてしまうようだ。
「やっぱり、先生は『女』の方が似合ってるわ。その姿なら家庭教師よりも稼ぎの良いバイトは沢山あるわよ♪」
「あ、あたし…僕は元に戻るのよ。このままなんて嫌よ。」
「あら?元に戻れると思ってたの。そんな事できてもする訳ないじゃない♪」
(…)
「あ~あ。この玩具もつまんなくなっちゃったわね。新しいのを呼ぶから、あんたもう明日から来なくて良いわよ♪」
(つまり「クビ」って事?)
あたしは頭の中が真っ白になっていた…

 

 
「これは奇遇だね♪」
街を歩いていると、声を掛けてくる男がいた。昨夜の男だった。
「良かったら、一緒に食事でもどう?」
と誘われた。
「昨日とは全然違うわね。」
居酒屋のカウンターに並んで座っていた。
「昨日は彼女の財布があったからね♪勿論ホテルなんて予約できる余裕もない。」

あたし逹はビールで乾杯し、おでんを食べながら他愛もない話に上機嫌になっていた。

 
その晩は彼のマンションにいた。
「良いのかい?」
と彼が聞く。
「何が?」
ととぼけるあたし…
彼とキスをしながらも、あたしは服を脱いでゆく。
「もう一度シて♪」
「ただでか?」
「女に貢がせるタマか、鏡と相談したら?」
「まっ、あんたが相手なら良いかもな♪」
と、あたしの「内」に彼が侵入してくる。

「ああ…、最高♪」
あたしは快感に身を委ねる。
「一種に暮らすか?」
彼の提案に、あたしは「うん♪」と頷いていた…

みっつの願い

彼の手が太股の内側を擦り上がってきた…

スカートの下で俺のペニスが硬く起き上がってきた。
「女の子のクリちゃんはこんなに大きくないよね♪」
彼がそう言うと、俺のペニスは硬さを保ったまま小さくなっていった。
テントを張っていたスカートが元に戻ってゆく。
「感じているんだろう♪ショーツも少し濡らしてしまったかな?」
彼の言葉に俺の肉体が反応してしまう。
(ジュン…)
と俺の内側から滲みでてきたモノが股間を濡らす。
「少しくらいなら喘ぎ声をあげても良いよ♪」
彼の声に突然快感のようなものに襲われた。
「ぁ…」
媚声をあげそうになり、俺は必死で堪えた。
「その必死に耐えている顔も可愛いよ♪」

俺は「男」だ。可愛いと言われ喜ぶ筈などない!!
が、俺の心の奥には「可愛い」と言われて嬉しい気持ちが芽生え始めていた。

 

その怪しげなサイトを見つけなければよかった。
無視して中を覗こうとしなければよかった。
3つの願いなんて書き込まなければよかった。
…などと思っても、後の祭りでしかない。
俺は彼の手で、どんどん女にされてしまってゆく。
もう、どうにもならないのだろう…

 
俺の書き込んだ3つの願いは…
1.お金が欲しい
2.女が欲しい
3.SEXしたい
だった。

書き込んだ途端、こいつが現れたのだ。

 
多分、悪魔とかの類いなのだろう。ドアから入ってきたのではない。一瞬後には目の前にいたのだ。
「では願い事を叶えましょう。先ずはコレね。」
と俺の掌の上に十円玉が乗せられた。
「そこら辺に落ちていたものですが、これもお金ですよね♪」
この時点で彼の怪しさは十分に解ったが、俺にはもう逃れようがなかった。
「次は女の子ですよね?私には無から造れる程の能力はありません。ですから、ここにある素材でなんとかしますね♪」
と、彼が指を鳴らすと一方の壁が鏡に変化した。俺の部屋の中を映す。
そこにいるのは彼と俺だけだったが…
「では♪」
と指を鳴らすと、俺の着ていた服が一変した。
それは女の子の着るものだった。シャツはブラウスに変わり、ズボンはスカートに変わっていた。
下着も同じように変わっているのだろう。胸の廻りを締め付けているのはブラジャーに違いない。
「はい♪女を用意しましたよ。次はSEXでしたね♪」
「ち、ちょっと待て。お前が俺の相手をするのか?」
「大丈夫です♪ちゃんとイかせてあげますから。」
「バカなこと言うなっ!!俺は男とヤる趣味はないっ!!」
「趣味はなくとも貴女は女の子なんですから、何とかなりますよ♪」
「だ…誰が女の子だっ!!」
「貴女ですよ♪そうですね。もう少し女の子らしくした方が良いですね♪」
「だから、あたしは…? どうなってるのよっ!!」
俺の口からは女の子言葉が出ていってしまう。その声も女の子みたいに甲高い。

「きゃっ!!」
俺は女の子のように叫んでいた。
彼に伸し掛かられ、仰向けに倒されてしまった。彼に抗えるような力は出て来ない。
されるがままになるしかなかったのだ。

そして彼の手が俺のスカートの中に入ってきた…
彼の言葉に合わせて、俺の肉体が徐々に女性化してゆく。
最初は女の服を着せられただけだったのに、既に股間は「男」ではなくなっていた。
いや、股間だけではない。「可愛い」と言われる度に鏡に写る俺の顔が、どんどん女っぽくなっていった。
声を変えられた時点で喉仏も消えているにちがいない。
唯一、胸だけは平らなままのようだ。

「さあ、脚を開いてください♪挿れますよ。」
俺の肉体は彼の言う通りにしか動かなかった。
彼の指が俺の股間を擦っていると、何もなかった場所に開口部が生まれる。
「おや♪口では何と言っても肉体は正直ですね。待ち遠しくてヒクヒクしていますよ♪」
それは、彼の触れている入り口だけではなかった。その奥には「女」の器官が生まれていた。
膣が、子宮が疼いているのを感じる。
「あぁ、何とかして♪」
俺は身を焦がすような疼きに耐えられず、あり得ないコトを口走っていた?
「解りました、ココに私のペニスを挿れてあげますね。」
俺には彼を拒絶する事ができなかった。
俺の膣口から彼のペニスが侵入するのを黙って耐えていた。
「淫声を出しても良いのですよ♪」
そう、俺が耐えていたのは痛みでも屈辱でもなかった。
耐えきれない快感が俺を揺り動かしている。
「…んぁっ…」
小さな喘ぎが漏れてしまった。
「さあ、もっと可愛い声で啼きなさい♪」
彼の言葉に俺は淫声をあげることを抑えられずに「あんあん♪」喚き散らすようになった。
俺は何と言っているのか理解できていなかった。
「ああん♪イイっ!!」
「もっと激しくぅ~♪」
「イク、イク。イッちゃうのぉ~!!」
そんな言葉が発っせられていたようだが、俺は何も考えられず快感の高みにどんどん押し上げられ…
意識を失っていた。

 

 
目覚めると、俺は独り部屋の中に居た。
彼はいなくなり、壁は鏡から元の壁に戻り、俺の服もスカートから元のズボンに戻っていた。
「ふ~う。」
俺は上半身を起こし、ため息を吐いた。
「夢…だったのかしら?」
って呟いた俺の声!!
「何で元に戻ってないのよっ!!」
俺は洗面所に飛び込むと、鏡に顔を写した。
そこには可愛らしい女の子の顔があった。
慌てて股間に手を押し付ける…
「無いわ…」
ズボンを下ろして確認するまでもない。

俺はパソコンに飛び付いた。
まさかとは思ったが、あのサイトはまだ存在していた。
願いを書けるのは3つだけだ。
(今度は何と書こう…)
そう考えながらも、俺の手はパンツの中で割れ目を弄り始めていた…

兎に会った日

麗らかな春な日差しが降り注いでいる。
俺は満開の桜の木の下でうとうとと居眠りをしていた。

「もしもし?すみませんが道をお尋ねして宜しいでしょうか?」
そんな声にぼーっとして目蓋を開けると、俺を覗き込んでいる兎の顔があった。
(兎?)
そいつは童話の世界から出てきたかのように頭の上にシルクハットを被り、羽織っている上着のポケットから懐中時計を取り出していた。
「ああ、遅刻してしまいそうだ。お茶会の場所への近道、知ってませんか?」
と兎が言葉を喋っていた。
「お茶会って、三月兎の…」
「ああ、知っておられるのですね。良かった♪案内してもらえませんか?」
と俺の手を引いて立ち上がらせた。
「あれは童話の中の話で、俺が知ってる訳ないだろう?」
と言う俺の反論など一切気にせず、兎は俺の手を引いて走りだした。
「ああ、あの穴が入り口ですね?」
その先には不自然な形で真っ暗な穴が開いていた。
外から見た厚みはないが、空中に浮いている「穴」は、正面からみると深い所まで届いていた。

兎はそのままの勢いで穴の中に飛び込んだ。
手を引かれている俺も、そのまま穴の中に落ちていった…

 

 
「おめでとう♪」
「おめでとう♪」
騒がしさに目が覚めた。
(ここはどこだ?)
俺はベッドのようなものの上に寝かされていたようだ。
とはいえ、上には天井はなかった。青空があり、木々の枝葉がそれを縁取っていた。
(森の中?)
生えている木々はさっきまで目にしていた桜ではなかった。
緑色の丸い葉が繁っている。
騒がしさの方に目を向けると、さっきの兎の他に鼠やら猫やらが同じように服を着てテーブルを囲み、ティーカップを手にしていた。
(これがお茶会ってやつか?)
面倒臭くならないうちに、そっと立ち去ろう…と起き上がろうとして、俺は自分の着ている服が違っている事に気がついた。
「何だコレは!?」
思わず声をあげてしまった。
慌てて口を抑え、テーブルの方を見た。
どうやら、お茶会は途切れる事なく続いているようだ。

俺はもう一度自分の服を見てみた。
(これはエプロンドレスというやつか?)
童話に出てくる女の子がよく着ている、ふわふわのスカートの上にレースやリボンで縁取られたエプロンが被さっている…俺が着させられていたのは、まさにそんな衣服だった。
そっと下に降りようとして…
コンッ
と床が鳴った。踵が固く、高くなった(女の子が履くような)靴を履かされていた。
下は石でデコボコした地面である。素足での移動は厳しい。…この靴は脱ぐ訳にはいかなかった。

音をたてないようにゆっくりと離れてゆく。
踵の高い靴はバランスが取り辛い…いや、靴の所為だけではないようだ。
身体を動かす度に胸の上で揺れているモノが俺の動きの邪魔をする。
ソレの動きを止めようと、掌で抑える…
(フカッ)
と、女の胸を…乳房を掴んだ時と同じ感触が掌から伝わってきた。
更に、俺の胸からも「掴まれた」と伝えてきた。
…つまり…俺の胸には女と同じ「乳房」があり、それは造り物ではなく、生身の…本物の乳房なのだ?!

 

しばらく歩いてゆくと、泉があった。
その水面に「俺」の顔を写してみた。
が、そこに写っていたのは金髪巻毛の女の子だった。
(もう、何がどうなっていても知らないぞ!!)
と、辺りに人がいないのを確認してからスカートを捲りあげてみた。
脛毛のない、艶かしいナマ脚が現れた。お尻までも露出させる。
俺の股間は女物のパンツ=ショーツに覆われていた。
その正面は平に近い絶妙な起伏を呈していたが、その薄布の下にはグロテスクな肉棒の存在は確認できなかった。

「何か困った事でもあったのかしら?良かったら手助けして差し上げますわ♪」
女の声に振り返ると、そこには童話の世界にいる「魔女」が立っていた。
「貴女のための王子様を呼び寄せてさしあげましょうか?それとも、舞踏会に行くための馬車とドレスが必要なのかしら?」
「お、俺は…」
「皆まで言わなくても良いわよ。最近の娘はススんでるものね♪一切を飛び越して王子様とシたいのでしょう?」
と、俺の回答も待たずに話しを進めてゆく。
やはり「魔」女には違いないのだろう。
「ビビッとなっ♪」
魔女が魔法の杖を振るった。
ヒヒーン
と馬が駆け寄ってきた。
「馬車を仕立てるのか?」
「青姦も良いと思ったのだけどねぇ♪ビビッとなっ!!」
と足元に転がっていたカボチャに魔法を掛けると、カボチャはぐんぐん大きくなって、中東風の館ができあがった。
「さっきの馬は?」
「今来るわよ♪」
と魔女が言うと、サルタンの御曹司のような若者が現れた。
「彼よ♪それこそ持ち物は馬並みだから、今夜は思う存分可愛がってもらいなさいね♪」
若者は近づくと俺の手を取り抱き締めた。
「ようこそ。マイハニー♪今夜は帰さないからね♪」
といきなり俺にキスしてきた。
何故かそれだけで、俺の頭はぼーっとなって、何も考えられなくなってしまった。
「魔法は夜の12時を過ぎても大丈夫よ♪心配しないで存分に愉しんでらっしゃいな。」
バイバイと手を振って魔女は消えてしまった。
次の瞬間、俺は若者に抱えられ…お姫様だっこというやつだ…そのまま館の中に入っていった。

 
玄関の扉を入ると、そこはもう寝室になっていた。
そのままベッドの上に降ろされた。
「さあ♪始めようか?」
と、若者は一気に服を脱いだ。
「ま、待て。真っ昼間から、そんな…」
「昼間?外を見てご覧。陽が沈んでゆくよ♪」
窓を見ると、砂漠の果てに真っ赤な太陽が落ちてゆくのが見えた。
「ほら♪もう夜になっただろう?早く愉しもうよ♪」
と、彼の股間では巨大な逸物が揺れていた。
「お、おいっ!!まさか、それを?」
「そうさ♪コレで君を思う存分悦ばしてあげるよ♪」
蛇が鎌首を持ち上げるように、そいつが勃起を始める。
いつの間にか、俺は全裸になっていた。
既に、股間は愛液でぬるぬるになっていた。
乳房の先端で乳首が勃起している。
子宮が疼いていた。
………
……
… 

 

麗らかな春な日差しが降り注いでいる。
俺は満開の桜の木の下でうとうとと居眠りをしていたようだ。

何か摩訶不思議な夢を見ていたようだが、今となっては何も思い出せなくなっていた。

「もしもし?」
男の声に振り返り見上げると、そこには精悍な若い男の顔があった。
どこかで見たような…が、俺の記憶のどこにも彼の姿を見つける事はできなかった。
「暖かくなったとはいえ、こんな所で寝ていては風邪をひきますよ。お嬢さん♪」

ドキリッ!!
と心臓の鼓動が高鳴った。
俺の視線が彼の股間の膨らみから離せなくなっていた。

ジュンッ!!
と俺の股間が濡れ始めていた。
「じゃあ、寝ていても大丈夫な所に連れていってくださる?」
俺の言葉に
「勿論♪」
と彼はあたしを抱き上げていた♪

2015年5月 9日 (土)

魂の行方

冷たい風が通り抜けていった。
俺はコートの襟を立て、少しでも冷気に触れないように背中を丸めた。

「寒いのか?」
隣を歩くイシが声を掛けてきた。
こいつは「寒さ」などには縁遠く、鍛えられた四肢を冷風に晒している。
「こんなのは気の持ちようだよ♪」
とイシは言って退ける。が、いまだ鍛えられていない肉体の俺は、寒さに身を震わしているしかない。

陽も落ちれば、更に寒さは厳しくなるだろう。
「何とかならないものか…」
俺の呟きをイシは逃さない。
「だから、俺が暖めてやる。って言っているだろう♪」
と下心ミエミエでイシが提案してくる。
「却下だ!!」
と俺は拒絶するが、いつまで保つことができるだろうか…
そもそも、今の俺にはその気になったイシを押し止めることなど不可能に違いない。
か弱い「女」の肉体では…

 

俺達が受けた仕事の内容は、実に奇妙なものであった。
「この指輪をある人物に届けてもらいたい。そして、その人物と一緒に戻ってきてもらえば良い。」
素直に従ってもらえるのか?と聞くと、
「この指輪を嵌めてしまえば、どんな事でも君逹の考えに従ってもらえるよ。」
と言う。また、
「担保として、君達どちらかの肉体を預からせてもらう。」
とも…

相談した結果、俺の肉体を預けることにした。そして俺の魂は指輪に封印された。
どのくらいの時間が経過したか分からない。一瞬だった気もするが、気が付いた時は俺は女の体の中にいた。
確かに、その「女」は俺の考えた通りに動いてくれる。
指輪を嵌められた女は俺と魂を入れ換えられてしまうので、指輪の中に封印された女はどんな抵抗もすることはできないのだ。

女は俺の指示通りには動くので、「俺」のペースで歩き出した。
しかし、俺には「女」の肉体のバランスなど知る由もない。更に、動き難い女物の服に踵の高い靴が運動能力を阻害してくれる。
ましてや、女の肉体は本来の俺の肉体のように鍛えられてはいなかった。
程なく細い脚が悲鳴をあげてきた。
この女を意のままに動かす事はできるが、女の感じる苦痛もまた俺が甘受しなければならなかった。

痛みは耐えることはできるが、無理をするとこの女の肉体が故障してしまうのが目に見えていた。
結果、予定よりも小刻みに休息を取りながら歩みを続ける事になる。
しかし、その休息では肉体のダメージは十分に回復させる事はできない。
そして、積み重なった疲労の上に寒さが追い討ちをかける。
本来の「俺」であればイシ程ではないにしろ、こんな寒さなど…
と思いつつ、俺の意識は次第に遠退いてゆき、最期にはイシの腕の中に倒れ込んでいた。

 

 
「ここは?」
暖かなベッドの中で俺は目覚めた。
「すまんが、宿に担ぎ込ませてもらった。」

普段の俺達であれば野宿が定番である。旅をしている時は滅多な事でなければ宿は使わない。
宿を使うとしても、別々に宿を取る。別にリスク回避とかではない。一緒に泊まる女の好みに合わせるとそうなる。
そう♪気に入った女と寝る時にだけ宿を使うのが常であった。

俺は目が覚めてしまったが、まだ、夜明けまではかなり時間があった。
イシは俺の脇で、一睡もせずに俺を看てくれていたようだ。
「俺は大丈夫だから、イシも休めよ。」
と言ってから、この部屋にはベッドが一つしかないことが判った。
幸いにもベッドは狭くなく、今の俺はかなり小さい。
「一緒で悪いが♪」と、イシに場所を開けてやると「良いのか?」と聞いてきた。
「俺が誘ってるんだ。気にするな♪」そう言ってやると、やおらイシは服を脱いで全裸になった。
(何で?)と思うより先にイシが俺の上に伸し掛かってくる。その股間は激しく屹立していた…

俺は今の「俺」がシザースという「男」ではなく、カミラという名の「女」だった事を思いだした。
俺達にとり、宿を使うのは「女と寝る」のが常であった。
今は俺が彼を「誘った」形になっていた。更に、体を休めるために全ての衣服が剥ぎ取られていたのだ!!
イシは目の前の「女」が「俺」である事をすっかり忘れ果てているようだ。
それはイシにとってはあたりまえの行動だったのだろう。
今の俺にはイシを制止させる腕力も能力もなく、奴の行為を黙って受け入れるしかなかった。

イシの顔が迫り、俺の唇に吸い付いてきた。
口の中の酸素を吸い取られ、頭の中がぼーっとしてゆく。
イシの舌が割り込んできて俺の口内を蹂躙する。
奴の唾液が滴り、俺のと混ざってゆく…

奴の手が俺の胸に伸びてきた。
乳房が揉みあげられる。
不思議な快感が沸き起こっていた。
「んあっ♪」
俺の喉がオンナの喘ぎ声を発した。
乳首が摘ままれて、思わず吐いていた。
「感度は良いようだね♪」
とイシ。
俺は彼の顔を直視できなかった。
(これ以上弄られたら、俺はどうなってしまうのだろう?)
そんな心配を他所に、イシの手が俺の身体を這い廻る。
「ああんっ♪」
性感帯という奴なのだろう。弄られると媚声が出てしまう。
「そろそろ良いかな?」
とイシの指が俺の股間に触れた。
「イヤッ!!」
俺はその手を阻止しようとしたが、既にそこが濡れているのが確認されてしまった。
「誘ったのはシザー…カミラちゃんだったよね?」
俺は何の抵抗もできないうちに脚を開かされていた。
「どうだい♪俺のは?」
俺の濡れきった膣はすんなりとイシのペニスを納めていた。
満たされる至福感が沸き上がる。
無意識の内に俺は脚を絡め、彼との密着度を強めた。
ペニスは更に奥に入り、先端が突き当たる。
「これって…子宮?」
「その身体は紛れもない本物の女の身体だ。お前が意識しなくとも、ちゃんと反応してくれているよ♪」
「ああん♪あ~ん♪」
イシが腰を振ると、カリが膣壁を擦り、快感が生まれる。
「もしカミラちゃんが危険日なら、俺の精液で妊娠しちゃうかもな♪」
イシはそう言ったが、初めての快感に翻弄されている俺は、危険日とか妊娠とかを具体的にイメージする事ができなかった。
「何コレ?子宮が疼いているの?」
俺は快感を追い求める事しか考えられなくなっていた。
「ああ…、もっと激しくぅ♪」
「おお…!! 良いぞ♪お前の中は…イキそうた!!」
「良いの♪キテッ♪ナカに射してっ!!」
あたしは彼を締め付ける。そのナカで彼のペニスが暴れまわっている。
「あぁ♪イイッ!!いくぅ…イッちゃう~~♪」
「お、俺も…」
とイシが呻き声をあげると、あたしのナカに彼の精液が打ち込まれる♪
あたしの快感の塊が爆発して、あたしは意識を失っていた…

 

 

「シザー…シザース?」
遠くで誰かが誰かを呼んでいた。
あの声はイシ?
あたしはゆっくりと目を開けた。
「大丈夫だったか?」
心配そうにあたしを覗き込む。
「大丈夫よ♪普通にイッただけだから。」
「良かった。あのままシザースが戻らなかったらどうしようかと思った。」
「シザース?」
あたしが疑問符付きで聞くと、イシの表情が凍りついた。
「お…お前、自分の名前、言えるか?」
と変な事を聞いて返す。
「あたしはカミラよ♪それがどうかしたの?」
あたしがそう言うとイシは天を仰いだ。
「どうしたの?もう続きシないの?」
あたしはそう言ってイシの腰に顔を近づけた。
すっかり萎えてしまったペニスが復活しないかと、口に咥えてみた…

「やめろっ!!」と突き放される。
あたしはベッドの上に転がっているしかなかった。
「そうだ。指輪だ!!」
とあたしの手を引っ張った。そこには不思議な色に輝く輝石の填められた指輪があった。
「お前はこの指輪の事を覚えているか?」
と聞かれる。
この指輪の事は、あたしの記憶の中で大きな位置を占めている筈なのに、思いだそうとすると蜃気楼のように遠くに逃げていってしまう。
(何故?)
と自問しても答えは出て来ない。
「この指輪はいつ手に入れた?」
「それは、この仕事の依頼主があたしの指に嵌めるようにって…イシが持ってきてくれたのでしょう?」
「じゃあ、お前と俺はいつ出会った?」
「いつ…って、ガキの頃からの腐れ縁じゃないか♪」
「その頃のお前はどんな格好をしていた?」

小さい頃のあたし?
おばあ様にもらったドレスを着て花摘みをしたり…
イシとは玉蹴りとかしてたっけ。あたしってお転婆だった?
ダンスの練習もしてたっけ。素敵な王子様に手を取ってもらうのを夢見て…
だからって、イシは当然王子様なんかじゃない。イシとは男同士の絆で…

(?)

どうしてあたしとイシが「男」同士なの?
あたしは生まれた時から「女」よね。現に今もイシに「女」として抱かれてイッたじゃない?
「あたしの中に男だった記憶がある?」
「それがお前=シザースの魂が持っているお前本来の記憶だ。」
「あたしはカミラよ。シザースなんて知らないわ。」
「それは、その肉体が持っていた記憶でしかない。お前自身の正体は俺の昔からの親友であるシザースという男なんだ。」
「あたし…が、男…?」
それはあたしの理解を越えていた。
でも…

あたしには「カミラ」としての記憶がある。
この肉体は「女」であり、カミラそのものなのだ。
…そして、イシに抱かれて感じまくり、幸せに包まれ、イッてしまった。
その事実は、今のあたしが「女」である事で間違いはないのだ。
だから…

「あたしはカミラでもシザースでも構わないわ。だから、もう一度…いえ、もっと!何度でも、あたしをイかせて♪」
あたしはイシに抱きつき、熟れた肉体を擦り付ける。
イシ自身が拒絶しようとも、彼の肉体は正直に反応する。
あたしは彼に馬乗りになると、自らの股間に「彼」を突き刺し、盛大に悶え狂った…

 

 

 
「あたしは本当にシザースの肉体に戻らなければならないの?」
もう何度も確認した。
「魂は本来の肉体に戻らなければならない。それが自然の摂理だ。」
イシは同じ答を繰り返す。
依頼主の館は、もう目の前に来ていた。

イシがドアを叩いた。
使用人が現れ「お待ちしておりました」とあたし逹を招き入れた。
案内された部屋に依頼主がいた。
促されてイシと並んでソファに座った。
「どうですか?女の体には慣れましたか?」
「慣れた…と言うより、彼女は完全に女性です。シザースの存在はもう殆ど感じられません。どういう事なんですか?」
イシが依頼主に問い掛けると、依頼主はあたしをもう一度見た。
「…その指輪、外さなかったのか?」
「あんたからは彼女に指輪を嵌めろとは言われたが、それ以上の事は言われていないぞ。」
「嗚呼…」
依頼主が天を仰いだ。

「すまない。説明が不足していた。娘の魂と入れ換えたら、指輪を外す必要があったのだ。」
あたしは指に嵌めた指輪を見た。
「いずれにしろ、この指輪は返すのよね。」
あたしは指輪を外し、依頼主に渡した。
「既に彼の魂は指輪から漏れ出た娘の魂と融合してしまっているな。この指輪にはもう魂は入ってない。」
「では、シザースを元の体に戻す事はできないと言うのか?」
「この指輪をもう一度使えば…この女の体から魂を抜き、その男の体に納める事は可能だ。が、その男の魂と娘の魂を分離する事はできない。」
「つまり、このままの状態で男の体に戻るしかないという事か?」
「あるいは、その女の体のまま一生を終えるかだ。」
「あんたの依頼は彼女をここに連れてくる事だった。あんたは彼女に何かさせようとしていたのではないのか?」
「いや、一定期間行方不明になってもらえれば良かったのだ。既にその女に利用価値はなくなっている。使うなら勝手に使ってくれて構わない。」
「どういう事だ?」
「知らない方が良い事もある。これが報酬だ。その女を連れて好きな所にゆくが良い。男の体は適当に処分しておく。」

あたしは机の上に置かれた金塊の入った袋を、そしてイシを見た。
「あたしはこのままで良いんでしょ?」
イシは少し考え込んだ後、
「ああ。そうだな。」
と金塊の入った袋を手に立ち上がった。
「行くか?カミラ♪」
とあたしの方に手を差し伸べた。
あたしはその手を取り、イシの脇に立った。
「では失礼する。」
とイシは言い、あたし逹は依頼主の館を後にした。

 

 

 
その頃、王宮では王子の婚礼の準備が始まっていた。
彼の結婚が決まるまで王都を始め周辺の町や村ではひと騒動があったらしい。
役人が年頃の娘のいる家々を巡り、ある靴が履けるかを確かめて廻ったようだ。
そう言えば…

「あたし」の記憶に王子様とダンスを踊ったような記憶があった。
舞踏会が終わる直前に一人の女の子が会場から走り出ていった。背格好はあたしと同じくらいだっただろうか?
たぶん、新しい王子妃はその娘だったようにも思える。
もし、あたしにその靴が履けていたら、もしかすると王子様と結婚していたのはあたしかも知れない…
けど、そんな事は関係ない。
あたしにはイシがいる♪
今夜も彼のペニスがあたしを貫いてくれる。
あたしを精液と幸せに満たしてくれる。
「ああん、あ~~ん♪」
あたしは最高の気分で嬌声を張り上げる…

敗者

最後の最後に俺達は魔王に破れた。

リーダーのホセが魔王の剣に貫かれ、塵となって消えてゆくのを見た瞬間、俺達の張り詰めた意志の力の糸はプツリと切れてしまった。

ダンジョンに突入していた兵士逹はあっという間に排除されていた。
残されたのは俺達。四天王と称される幹部の4人だけだった。
弓遣いのロン。
双剣のフェイ。
魔術師のコウ。
そして俺…
槍のサイレン。

縄で縛られてはいるが、既に俺達には抵抗する気力もなかった。
俺達は魔王の前に並べられた。
「お前逹。中々に良い資質を持っておるな。その資質が蓄積されれば、いずれ儂を倒す事も叶うであろう。」
「そうだ。俺達がだめだったとしても、息子や孫逹が更に鍛えてお前を倒しにやってくるだろう。」
コウが俺達の想いを代弁する。
「だが、儂とて何もせずに倒されるのを待っている必要もない。打てる手は打っておく。」
「何をする気だ?」
「そうだな♪…」
魔王はにやりと笑った。
「儂の遺伝子にお前逹の資質を組み込んでみるのも一興だな。」
「遺伝子に組み込む?」
「お前逹の資質を持った儂の息子を、お前逹の子孫と対峙させるのも一興であろう♪」
「…俺達の遺伝子で魔王の息子…お、お前、女だったのか?」
「早合点するな。ほれ、儂にはコレがあるぞ♪」
奴は俺達に憤り勃つ逸物を見せつけた。
「どうやってヤルかはこれから見せてやる。先ずはロンとかいったな?お前からだ。」
奴はロンを招き寄せた。
「皆にも解るように、服を脱いでこちらに背中を向けろ。」
ロンは暗示にでも掛かったかのように、何の抵抗もすることなく、服を脱ぎ、魔王に背中を向けた。
「では、始めるぞ♪」
奴の腕がロンを引き寄せ、自らの腰の上に落とした。
「あがっ!!」
ロンの叫び声が上がる。
「こうすれば良く見えるだろう?」
とロンの両膝に手を掛け、脚を開かせた。
その股間には魔王の逸物が深々と突き刺さっていた。
「こやつの胎に儂のタネを送り込む。タネはこやつの遺伝子を取り込み、胎の中に根を張る。胎児となり、こやつから養分を獲て成長してゆくのだ。」
ロンの股間の接合部から流れ出る血液の赤に白いものが混じり、赤い筋を飲み込んでゆく。
白いものはロンの胎から溢れ出た、魔王の精液なのであろう。
「くあっ。あうっ!!」
痛みに耐えるロンの呻き声に変化があった。
声が裏返ったように高くなっている。
「始まったかな?良く見とけ♪」
それがロンを裸にした理由でもあった。
元々肌の白いロンであったが、更に白さを増してゆく。
頭を振ると揺れる髪が更に長くなり、艶やかさを増す。
そして、胸に「膨らみ」が生まれていた。
「あん。ああん♪」
ロンの呻き声は、完全に男に弄ばれるオンナの嬌声に変わっていた。
首は細く、艶かしいうなじを見せる。喉仏は消失していた。
胸が豊かになるのと同時に、ウエストがどんどん括れてゆく。
ロン自身の逸物も失われている。その股間は彼自身が生み出した愛液に溢れていた。

そこにはもう、魔王と対峙した時の面影は、何も残っていなかった。
「あん、ああん♪あああ~~ん!!」
ロンはオンナとして快感を貪り、最期の淫声と共にイくと同時に意識を失い、魔王の上に崩れ落ちていた。
「どうだ?これなら儂の子を孕み、産み育てるのに何の支障もなくなるであろう?」
と魔王は次の贄を物色し始めた。
そして、魔王の腕が上がり、伸ばされた指は「俺」を差した。
「次は槍遣い。お前だ♪」

魔王に呼ばれ、俺は一歩足を踏み出していた。
「そうだ。良い娘だ。素直な娘は良いぞ♪」
「娘」と連呼されるが、俺はまだ「男」である。が、魔王の言葉に逆らおうとする気にならない。
(それに、俺もまたロンのように女にされるのだ)
諦めの意識の奥に、何故か…
(早く女になって愛されたい)
と思う気持ちが芽生えていた。
「どうだ?お前の素直な気持ちを現してみないか?」
俺は魔王の前まで来ると、そこに跪いた。
目の前にはロンの破瓜の血と愛液、そして魔王の精液にまみれた逸物が威容を保っていた。
(女として彼に愛される為にはどうすれば良い?)
自問する以前から答えは判っていた。
俺は舌を出すと、逸物の汚れを舐め取っていた。
…いや、「汚れ」などではない。今の俺には「甘露」でしかなかった…
それを舌で掬い口の中へ。そしてコクリと喉を鳴らして呑み下す。
それは、俺の胃の中に溜まってゆくと次第に熱を帯びてくる。胃の中だけでなく通過する口の中や喉も暖かくなる。
その熱は内側から俺の肉体を柔らかくし、粘土細工のように俺の肉体を変形させていった。

「どうだ♪美味いか?」
と聞かれた。俺は彼の逸物から口を離し、
「はい。とっても♪」
と答えていた。
その声は、既に俺本来の声ではなく、愛らしい娘の声になっていた。
「お前の方も準備ができたようだな♪ズボンを脱いでみな。」
そう言われ、股間を意識すると、既にそこはしっとりと濡れているようだった。
彼に言われた通りズボンを脱ぎパンツを外すと、そこには「女」の股間があった。
「さあ♪」
と手招きされ近づくと、そのまま彼の腕に抱かれた。
正面に彼の顔があり、近づいてくる。
唇が合わさり、息を吸われる。ボーッとなり、とろりと瞼が落ちてくる。
いつの間にか、俺は彼の脚の上に跨がっていた。
彼の腕が俺を引き寄せると、俺の股間…女陰に太くて硬いモノが侵入してきた。
さっきまで、俺が舐めあげていた逸物だった。
「んあん♪ああんっ♪」
俺は女のように喘いでいた。
「お前にも、たっぷりと注ぎ込んでやるからな。元気な息子を期待しているぞ♪」
そして、次々と俺の膣に、子宮に、彼の精液が送り込まれた。
俺はその度に、快感に悶え、嬌声をあげていた…

 

実験台

「右腕!!」
指示を与えると微かなモーター音とともに右腕が曲がった。

未だ試作段階ではあるが、人間型の遠隔操作ロボットの開発は順調であった。
駆動系などのハードウェアは既に十分な域に達していた。
問題は、どんな劣悪な状況でも「確実に」「遅滞なく」操作を可能とする制御方法だった。
電磁波は遮断されたり、ノイズに妨害されたりする。
有線はどんなに工夫しても操作域に制限が加わる。
既存の様々な手段が検討された。
「重力波」や「精神感応」、「呪術」の類いまで…実際に試験を試みることまでやってみた。
が、決め手となる手段は見付からなかった。

「いっその事、小人さんに操縦してもらおうか?」
と誰かが言った。
「それだっ!!」
と主任が叫び、立ち上がった。
「外から操作できなければ、内側からやれば良い。コアさえ核・化学的攻撃から保護できれば、対応は可能だ!!」

俺達は子供の頃に見たロボットアニメをイメージした。
動かなくなったロボットからコアが射出され、主人公が生還する場面は何度見た事だろうか?
が、アニメのロボットと我々の開発しているロボットは先ず大きさからして全然違う。

「問題ない♪」
の主任の一言で開発は始まった。
勿論、人を小さくしてロボットに搭乗させる訳ではない。
コア内のメモリに人格を複写し、回収したコアから稼働時の情報を復元し、操縦者の経験として蓄積させるのだ。
今はまだコアとリンクした状態を保ちつつ、ロボット体が確実に稼働する事を検証している段階だった。
俺の向かい側で上半身と下半身が分離され、コアを露出しているロボットを俺自身がコアを介して操作しているのだ。
俺の頭に被せられたヘルメットから延びた線の束がコアに繋がっている。
安全の為、口の中には唾液を吸引する装置と強制的に呼吸を継続させる装置が押し込められている。
視界も覆われ、今見えているのはロボットのカメラが捉えた光景であった。
つまり、今の俺にはロボットの姿は見えない。見えるのは、リクライニングチェアにぐったりともたれ、右腕を曲げている「俺」の姿だった。
今はロボットを動かすと同時に「俺」自身の体も動いてしまうが、本格運用に入る時には生身の「肉体」は冬眠状態に置く事になっている。不用意な動作で肉体を傷付けないためだ。

曲げた腕を少し上げると、ロボットのカメラに掌が映る。その映像を見ながら、一本づつ指を動かしてゆく。
俺の指示が遅延なく反映されるのが確認できる。
「じゃんけんをしてみるか?」
同僚の本郷が声を掛けてきた。
カメラに彼の顔が映り込む。適当な距離を置いて彼は椅子に座った。
「ジャンケンポン」
彼の合図で拳を突き出す。彼はパーで俺の負けだ。
「もう一回だ。」
と俺は言おうとするが、今はまだロボットの発声機能は組み込まれていない。
横にあるモニタに俺の意思が写し出され、それを確認した後藤が「じゃあ、もう一回。」と再びジャンケンをした…
今度はパー同士。「アイコデショ」と再戦する。

結局、30戦全敗となった。
「がっかりするな。実を言うとな、モニタにお前の出そうとする手が一瞬早く表示されるんだ。もっとも後半はチョキ以外なモニタに表示されなくなっていたけどね♪」
つまり、後出しされていた訳だ。
まあ、これも反射速度を上げる訓練と割り切ればどうという事もない。

「次は何をする?」
とモニタ経由で後藤に確認する。
「スケジュールの前倒しになるが、歩行訓練をやってみるか?」
「大丈夫なのか?」
「お前の方に問題は無ければな。」
俺はロボット体の各部位に異常がないか確認した。
「下半身が分離したままだが、下半身だけで歩かせるのか?」
「そうだな。バランスの問題もある。結合させよう。」
そう言って後藤の姿が視界から消えてしばらくすると、吊り上げられたロボットの上半身が移動を開始した。

視界には依然として「俺」の姿が映っていた。
カチッ、カチッと音がする。その度に「俺」の体が痙攣する。
その音がコアと「俺」を結ぶ線が外される音だと気付いた時には既に全ての線が外されていた。
つまり、俺の人格がコアの中に取り残されてしまった事になる。
《合体完了》のメッセージが視界の端に映る。
その直後、俺はロボットの脚で立っていた。

「大丈夫だよ。戻しも巧くいく筈だよ。それより今は歩くのに集中すべきだ。」
今は彼の言葉に従うべきなのだろう。俺はロボットの体で歩いてみた。
意外とスムーズに脚が動いた。楽々とバランスが取れる。
立ち止まり、片足立ちをしてみた。
両手を広げなくともピクリともぶれることはなかった。
「軽くジャンプしてみるか?」
との後藤の声に従う。
俺は足を軽く曲げ、ぐいっと伸ばしながら飛び上がった。
軽く飛んだつもりが、頭が天井近くまで届いた。
そして、そこから落ちてゆく…

ピンッ!!

着地と同時に何かが弾ける音が聞こえた。と同時に、俺の意識は途絶えた…

 

 

 
コアとの接続部分に不具合があったのだろうか、俺が意識を取り戻すと幾人かの作業員に囲まれていた。
どうやらコアはロボット体と切り離されているようだ。コア本体が持っている圧感センサーが空気の振動を辛うじて音声に変換できるだけだった。
当然、こちらからの意思を伝える事はできないし、こちらは聞く事が精一杯で、映像情報は何も得ることはできていない。
作業員はコアをケースに収納しようとしているところだった。
「そっち押さえて。」
「ケースの蓋は?」
「降ろせ。ゆっくりと…そうそう。」
「ケースに固定して。」
そして蓋が閉じられたのか、音が遠くなった。
加速度を感じる。
コアを収納したケースを移動させているのだろう。揺れを感じる。

何も見えない状態で、時間だけが過ぎてゆく。
俺がコアの中に取り残されている事に気づいている者はいるのだろうか?

長い時間が経過した。
それが一日なのか一年なのか、俺には知る術がなかった。
自意識を保っていられたのが不思議なくらいだ。

 

 

 
「これがコアね?」
女の声がした。
「起動してみますか?」
「ボティは?これを組み込んで動かすのでしょ?」
「勿論そうですが、起動デモならカメラだけでも可能ですよ。」
そんなやりとりがされる中、ケースからコアが取り出される。
コアに接続されたカメラのスイッチが入り、俺の視界が復活した。

正面にはリクライニングシートがある。
「俺」が横たわっていたのと同じ仕様のようだ。
若い女性が現れ、シートに腰を降ろした。
「そのヘルメットを被らなければいけないの?」
さっきの女の声が彼女から発っせられた。
「デモ用に新たに作っている時間がなかったので。」
「デモは見た目も重要よ。検討してちょうだいね♪」
そう言いながら彼女がヘルメットを装着した。

「何?これって見るだけなの?」
「これは視覚信号を同期させているので、ビデオ画像を見るのとは根本的に異なります。稼働部品との連動があれば、解り易いですかね。」
「勿論よ。これだけだと何のアピールにもならないわ。」
と、彼女はヘルメットを脱ごうと手を伸ばした。
「待ってください!!」
慌てた声が響く。
「外すのは回収操作をしてからにしてください。」
「それもまた面倒ね。」
と女が愚痴る。

視界の隅に《回収開始》と表示が出た。
すーっと意識が遠くなり、次の瞬間、俺は再び手足のある肉体に戻っていた。
ヘルメットが外され「自分の目」で外界を見た。

(?)

「どうしました?」
と男が聞いてきた。
その声の主は後藤ではない。さっきまでコアの中で女に説明していた男の声だ。
俺は部屋の中を確認した。そこは元の研究所ではなかった。
目の前にはロボット体はなく、むき出しのコアしかなかった。
「ちょ、ちょっと待て…」
と、俺の発した声は女のように甲高かった。
「大丈夫ですか?」
と男が俺の顔を覗き込む。
俺は掌を胸に当て、それが女の体である事を確認した…

 

 
その部屋には、後藤と「俺」がやって来ていた。
「歩行実験の時に俺の意識が回収しきれずにコアに残留していたという事か?」
と後藤と「俺」に聞いた。
「歩行実験」というキーワードは「俺」よりも後藤の方に効いたみたいだ。
「あの時の歩行実験は下半身だけで…」
「後藤。正直に言え。あの時、俺は一瞬意識が飛んだように記憶している。」
「俺」が後藤を問い質した。

「俺」にはコアを切り離しての歩行訓練の記憶は存在しなかった。
後藤はジャンプ後にロボット体がフリーズしたため、俺の意識を回収しないままコアの強制再起動を行ったようだ。
今の俺はそこから分岐した「もう一人の俺」という事になる。

正論でゆけば、今の俺は存在しない筈の人格であり、早々にこの女の意識をコアから回収して、俺の存在は闇に葬られる。
…が、彼女の意識の回収はことごとく失敗に終わった。
どうやっても、コアの中に彼女の意識の存在が確認できないのだ。
コアの記録を解析した所で、既に彼女の意識は回収されているとしか表すことができなかった。
結論としては、この体に俺の意識が取り込まれた際、彼女の意識を塗りつぶしてしまった…となる。

俺は存在を許された。が、条件として「彼女」の代役を任されることになった。

この事故は公にされる事はない。人一人の人格が失われたのだ。殺されたと言っても過言ではない。
技術の進歩に犠牲はつきものであるが、このような事故が頻発すると社会秩序に乱れが生じる。
外見と中身の意識が異なっているのだ。故意に事故を起こすやからが出て来ないとも限らない。
公になれば、開発は中断…最悪の場合、中止となりかねない。
遠隔操作ロボットは、その完成が目前に迫っているのだ。
極秘裏に優秀なスタッフが集められ、本来の開発と並行して同じ事故を発生させないようにコアの設計変更が行われていた。

勿論、後藤も俺も優秀なスタッフではないので、秘密厳守を命じられた上で本来の部署に戻された。
もっとも、戻ったのは「俺」の方で、俺は現場から遠ざけられ、そこで「女」としての立ち居振舞いができるよう、特訓を受ける事となった。

 

 

この体は間違いなく「女性」であった。
誰が見ても「俺」ではない。俺が「女装」している訳でも「性転換」した訳でもない。
元から「女」なのだ。だから、無意識のうちに女らしい仕草が出てしまうのは、その体…骨格等に由来するものに違いない。
勿論、女の衣服も仕草を女らしくする手助けとなっている。踵の高い靴では、これまでのように大股ではあるけない。短いスカートを穿くと、自然と脚を閉じるようになる。

 
「よう♪調子はどうだい?」
俺との接触は極力避けるように言われている筈なのだが、後藤はちょくちょく俺の所に立ち寄る。
「いつもと同じよ。退屈で暇を持て余してるわ♪」
ようやく慣れてきた女言葉で応える。
「そうやっていると、中身がむさいおっさんだとは思えないな♪」
「見た目は大事だからね♪誰が見てもあたしは女なんだから、それなりにしておかないとね。」
「十分女らしいよ。中身を知らなければ、即にデートに誘ってるよ♪」
「デート…ね。よくこっちに顔を出すけど、付き合ってる女性とかいないの?」
「都合により、現在フリーだ。」
「ふーん。」
「そうだ。デートじゃないけど、これからドライブに行かないか?お前、ずっとここに籠っていたんだろう?」
「まだ、外に出る自信はないわ。」
「車の中にいれば他人に見られる事はないよ。たまには気分転換も必要だよ。」
「…やっぱり、それってデートって言わない?」
「外見はどうであれ、俺逹は男同士だよ。親友として、お前の事が心配なだけさ。」

 

結局、俺は後藤の車の助手席に座っていた。
車窓から綺麗な景色を眺めていると、これまでの様々な事から意識が離れ、純粋にその美しさに惹かれていた。

お腹が空いたな…と感じた頃合いが判ったのか、後藤はハンバーガーのテイクアウトを買ってきていた。
「これなら、誰にも見られずに食事ができるだろ?」
確かにそうであるが、できればちゃんとした食事の方が良いな…と思っていた。
が、後藤が持ち込んだ袋を開けた途端に立ち上った芳香に、俺の腹が我慢できずに声をあげていた。
「あぁ、美味しい♪」
俺はこれまで何度か食べた事はあったが、これ程美味しいと感じた事はなかった。
…と感じている一方で(この美味しさは変わらないわね♪)とも感じていた。
それは、この女の肉体の記憶なのだろう。

 

湖の駐車場で落ちてゆく太陽を見ていた。
「ああ、こんな景色見たのは何年ぶりかなぁ…」
俺は小さい頃、両親に連れられて旅行に行った事を思い出して呟いた。
(いつも変わらないようで、同じではないから自然の美しさって素敵なの♪)
と、最近も何度か見たようにも感じる。これも肉体の記憶が紛れ込んできているのだろう。
「じゃあ帰ろうか?」
と博司が言った。
「うん。でもその前に…」
と俺はドアを開け車の外に出ていた。
向かった先には公衆トイレがあった。
別にまだ尿意もなかったのに、何でトイレに行こうとしたのだろう?それに、迷わずにトイレに来れたのは何故だろう?
回答は肉体の記憶が持っていた。帰りの車の中で突然したくならないように、今の時点で済ませておく必要があると。

 
俺は女として振る舞うことには大分なれてきた。が、いざ人前で女として行動しようとしても、なかなか体を動かす事ができなかった。
ましてや、女性のトイレになど自ら入れるものではない。
が、無意識に行動していれば今のように車を降りる事ができる。
であれば、俺は何も考えないように肉体にその行動を任せてみた。
俺の肉体は躊躇わずに女性用に入っていた。
そこから先はもう慣れた手順である。スカートをたくしあげて便座に座った。

用が済み、博司の待つ車に戻りながら、肉体の記憶を確認する。
俺は…この女はこの場所にも何度か来ていた。それも、この車で博司とだ。
博司とは、以前から付き合っていたようだ。

…?

俺はいつから後藤の事を「博司」と呼んでいた?
それは、女の…肉体の記憶なのだろう。彼とは「博司」「美登里」と呼び合う仲だったのだ。
恋人同士…勿論、大人の関係である。デートの最後はホテルで体を重ねるのが習わしとなっていた…

 
俺が乗ると博司は車を発進させた。
「今日も楽しかったわ♪」
俺は(肉体が覚えている)いつもの様に博司の左手に指を絡めた。
「み、美登里?」
「なぁに?」
俺は博司にしなだれる。
「…いつもの所で良いか?」
博司は少しおどおどした感じで俺に聞いてきた。
「博司に任せるわ♪」
俺は股間が少し濡れ始めているのを感じていた。

 
車はホテルの地下駐車場に止まった。
入り口のゲートで受け取ったカードでエレベータが動き出した。
俺は博司にエスコートされてホテルの一室に入った。
俺には始めての場所だが、肉体が覚えている。
「シャワーを浴びてくるわ♪」
と俺は服を脱ぎ、シャワー室に入った。
「美登里」の裸体はもう何度も見る機会があった。が、こんなに性的に興奮している状態は始めてだった。
股間が濡れているのはさっきから感じていた。
乳首が硬く膨らんでいた。
(これが乳首の勃起っていうやつか?)
シャワーを浴びると皮膚がいつもより敏感になっていた。
(こんなだと、博司に触れられただけで変な声がでちゃいそう♪)
俺はバスタオルを体に巻いてシャワールームを出た。
「俺も汗を流してくる。」
いつものように博司がシャワールームに向かっている間にバスタオルを外してベッドに上がる。
薄布で裸体を隠すが、俺の陰部が透けて見えるようだ。
「お待たせ♪」
と博司が出てきた。
腰に巻いたタオルは大きくテントを張っていた。
「男」の意識ではおぞましいと感じるが、肉体の感情に従い自分が「美登里」であると意識すると、ソレは愛しいモノにしか見えなかった。
この肉体はこれまで何度もソレに貫かれ、言葉にできない快感を与えてもらったことを記憶していた。
その快感を今度は「男」の俺が享受するのだ…
(いえ、快感に浸れるのは「女」のあたしでなければ駄目よ!!自分を「女」であると認めない限り、この快感は得られないわ♪)
「博司、来て♪」
と彼を誘う。
「あぁ、美登里…本当に美登里なんだな♪」
「ええ、あたしよ…もっと強くだいてっ!!」
「俺は、お前が永遠に失われてしまったんだと思っていた…」
「あたしはここにいるわ♪」
博司のあたしを抱き締める腕に力がこもる。
彼の唇があたしの口を塞ぎ、舌が差し込まれる。
あたしは(いつものように)それに応じていた…

互いの唾液を吸い合っていると、彼の腕が解かれ右手があたしの太股に触れた。
掌が太股の内側を伝い上がってくる。
彼の指にあたしの愛液が触れる…
「きて♪」
あたしは脚を広げ、彼を迎え入れる態勢になった。
「美登里…愛してるよ♪」
博司が肉体を重ねてくる。
彼の硬くなった先端が股間に触れた。
少し腰を揺らして彼を誘導すると、先端が濡れた秘口を捉えた。
「いくよ♪」
彼の声に視線で応じる。
ヌッ…
と先端が潜り込み、ペニスが膣を満たす。

これまで経験したことのない感覚に俺の意識が呼び覚まされた。
「あんっ…」
俺は女の声で軽く喘いでいた。
(これが挿れられる感覚なのか?)
「動くね♪」
彼はそう言うと腰を振り始めた。
俺の膣の中を彼のペニスが行き来している。カリ首が膣壁を擦り、先端が奥を…子宮口を突く。
更に愛液が溢れ、クチュクチュと淫靡な音をたてる。
「ああっ!!」
快感をもたらす場所に触れられ、俺は無意識の内に媚声を上げていた。
その声に応じて彼の動きが激しさを増す。
俺の中では快感がどんどんと積み重なってゆく。
それは快感の高みに向かって駆け昇っていくよう…
「あん、あん、あんっ!!」
俺は叫び、彼が突き上げる。
目を閉じると、その先に真っ白な快感の頂きが見え始める。
(これがイクッてことなのか?)
(そうよ。何も考えずにイッてしまえば良いのよ♪)
「あぁ、イッちゃいそう♪」
「お、俺もだ。一緒にイこう♪」
俺の膣の中で彼のペニスが一瞬膨らみ、次の瞬間、先端から何かが放出された。
子宮口に叩きつけられた奔流が最後のひと押しとなって、俺は快感の頂上に放り投げられた。
俺は何か叫んでいたようだが、薄れゆく意識の中に落ちていった…

 

 
いつものように、博司が頭を撫でていた。
(いつものよう?)
何か記憶が混乱しているみたい。
俺と博司は男同士なのだから、ベッドで一緒に寝ることなんてないわ。ましてや頭を撫でられるなんてありえない。
でも、頭を撫でられていると妙に落ち着いて、いつも幸せな気分になるの♪
そうかぁ、撫でられていたのは俺ではなく「美登里」だったわね。
でも、今は俺が「美登里」なのだから、こうやって博司に頭を撫でられて幸せを感じていても良いのよね?

だから、俺は「いつものよう」に彼に囁くの…
「ねぇ、もう一度シて♪」

 

泳いだ後に…

プールで泳ぐとおちんちんが縮まる…と言うが、これはちょっと異常ではないか?

俺は男性更衣室で水着を脱ぎ、トランクスを穿こうとしていた。
下を向いた時、いつも股間にある筈の存在が見当たらないのに気づいた。良く見ると、股間には女の子の股間なように、縦の筋が刻まれていた。
(俺のおちんちんは何処に行った?)
もしかして、この筋の中に埋もれてしまっているのだろうか?

幸いにも、この更衣室は俺一人だった。
誰に見られることもないと確認し、タオルを外すと、ガニ股になって股間を晒し、覗き込んだ。
…が、そこにある筈のモノは影もなく消え去っていた。
(まさか、この割れ目の奥に折り畳まれているとか?)
そこは、見るからに「女」の股間と化している。その割れ目の中に指を突っ込み、折り畳まれている筈のモノを掻き出すのを試みるか?
いや、折り畳まれているのも可能性のひとつに過ぎない。
今の俺は本物の女になってしまい…処女…かもしれない。下手に指を突っ込んで処女膜を傷つけたりしたら、ものすごく痛いかも知れない。
でも…

と躊躇しているうちに、更衣室に近づく物音があった。
公衆の面前にガニ股で股間を晒している姿を見せるのは不良いと、慌ててトランクスを穿き直した。

 

 

もの音は更衣室を過ぎ去っていったが、この場所で確認を再開するのはリスクが高いようだ。
何にせよ、今日はホテルに部屋を用意してある。俺は服を着てプールを後にした。

このプールもホテルの施設の一つだった。
宿泊客なら誰でも使えるのだが、さっきまでは俺達のグループの貸切り状態…グループとはいっても、男は俺ひとりであとは知り合いの女の子逹だ。
今日はこのホテルで美女逹とのハーレム♪の予定だったのだが…

まずは部屋に戻り、確認が必要だ。
ハーレムの主人として、彼女逹を悦ばせてやらなければならない♪
だが、このままでは悦ばせるてやるためなモノが無い!!彼女逹にどう言い訳すれば良いんだ?

 

 
「女の着替えは時間が掛かる」って誰が言った?
部屋に戻っても俺一人だろうと考えていたが、既に女の子逹は皆顔を揃えていた。
「ねえ、今度はお風呂行こう♪ここのは温泉で、源泉掛け流しだって♪」
俺を待ち構えていたかのように提案してきた。
「流石に大浴場は男女別だろう?お前逹だけで行ってくれば良いじゃないか?」
「ここの効能には豊胸っていうのがあるの。貴方、おっきいオッパイ好きでしょう?」
「だからって、俺がお前逹と一緒に入れる訳ないだろ?」
「そんな事ないわよ。さっき、プールに入ったから、もう効果は顕れてる筈よ♪」
「効果?」
「そうね♪どうせ着替えてもらわないといけないから、今確認しちゃいましょうか?」
「確認?着替えるって?」
俺は彼女逹に捕らわれると、あっと言う間に服を剥がされてしまった。
そして、彼女逹の手がトランクスに掛かった。
「そ、それは止めろ!!」
トランクスが剥かれれば、俺の股間からペニスが消えているのが判ってしまう…が、俺には抵抗する術がなかった。

「ほら、プールの効果はちゃんと顕れてるわよ♪」
と女の指が俺の股間を…縦筋に沿って…撫であげていった…

 

「ぁんっ♪」
彼女の指先が敏感なところに触れ、思わず声が出てしまった。
「あら?可愛い声ね♪」
「貴方もすっかり女の子ね。」
「お、女の子って…どう言う事だよっ!!」
「あのプールね♪美肌効果と体の引き締め効果があるの。女の子には文字通りの効果があるんだけど、男性が入ると一時的に女の子になっちゃうんだって♪」
「さあ、女の子になったんだから、女の子の服に着替えましょうね♪」
俺は頭の中の整理がつかないまま、無理矢理女の下着を着せられ、スカートを穿かされた。
「美肌効果で脚もすべすべでしょ?」
見ると、脛毛の密生していた脚は、それこそ女の子のようにすべすべで、ミニスカートの裾から形良く伸びていた。
「じゃあ、皆でお風呂にいきましょう。」
リーダー格の娘が言うと、「「ハ~~イ♪」」と他の娘逹が和し、俺をひきたてるように集団で大浴場に移動していった。

 

俺は「女湯」の暖簾を潜らされた。
皆に揶揄されながら、脱衣所で裸になってゆく。
彼女等の裸は見慣れているが、他人の視線の中では躊躇われるものがある。
「女湯には女しかいないんだから、変に気を使ってると逆に不審がられるわよ♪」
と脱衣所から追い立てられた。
「このホテルは時間帯での男湯女湯の入れ替えはないの。女湯には力を入れてるけど、男湯は寂しいらしいわ。」
俺はまだ男湯にも入っていなかったので比較はできないが、お風呂の種類から備品まで、完全に女性向きに用意されていた。
「じゃあ、早速豊胸の湯に入りましょうか?」
と中央に巨大な乳房が浮かんでいる湯船に引きずり込まれた。
女の子逹に代わる代わる「大きくなあれ♪」と胸を揉まれ続けた…

 

 
気がつくと部屋のベッドに寝かされていた。
「ごめんなさい。のぼせさせちゃったわね。」
部屋にいたのはリーダー格の娘だけだった。
「他の娘逹は?」
「元気が有り余ってますからね。もうひと泳ぎしてくるってプールに行ってますよ♪」
「水着が乾く暇ないね。」
「あら。水着は一着しか持ってきてないと思ってた?あたしでもセパレートとワンピース。セパレートはデザインの違うのをもう一枚持ってきてるわ。」
俺は唖然とするしかなかった。
「それからコレ♪」
と袋から出してきたのは紺色のスクール水着だった。
「これは女の子初心者の貴方用に用意しておいたのよ。」
「俺にコレを着て泳げと?」
「プールも皆で楽しみたかったからね♪貴方だけ仲間外れにしたくないのよ。」
「それで一緒に風呂に入りたいからって、俺を女にしたのか?」
「今はそんな事に頭を悩ますより、この状況を楽しまなきゃ♪貴方も動けるようなら、あたし逹もプールに行きましょ♪」

 

 

(ハ、ハーレムはどうなったんだ?)
結局俺はスクール水着を着て、キャッキャと女の子逹と一緒になってはしゃいでいた。

「そろそろ上がろうか?」
と声が掛かり、俺たちは「「ハ~~イ♪」」と水から上がると、皆でぞろぞろと更衣室に向かって行った。

大浴場と同じように、プールの設備も女性が優遇されていた。
まず広さが違う。男の更衣室数人が着替えるだけの空間しかなかったが、こちらは単に着替えるだけではなく、髪を乾かしたり化粧をしたりする設備があった。
その奥には見慣れない装置が並んでいた。
「水着専用の乾燥機よ。痛まないようにいろいろと工夫されてるのよ。貴方のも貸してご覧。一緒に乾かしておいてあげる♪」
と、あっと言う間に水着を剥ぎ取られてしまった。
その後の俺の状態と言えば「素っ裸」である。当然、部屋から着てきたものを着る事になる。着ないと俺は素っ裸のままだ。
これまでは、彼女逹に強制的に着させられていたが、この状況では…
誰からも強制されず、自ら女の子の服を身に着ける事になるのだ。
自分の意思で女の子の服を着る…自分が女の子である事を認めてしまったかのように思えた。

 
「お化粧道具なんか持ってきてないでしょ?貸してあげるから口紅くらいはしておいた方が良いわよ♪」
「俺が化粧なんかした事ないのは知ってるだろう?口紅だけっていったって、まともに塗れる筈ないじゃないか。」
「あら♪お化粧したいっていう気持ちはあるのね?じゃあ、あたしが、してあげるわ♪」
「い、いや…そういう意味で言った訳じゃないんだ。」
「良いから、任せて♪可愛くしてあげるわよ♪」
「ねえ、髪も少し弄った方が良いんじゃない?」
別の娘が割り込んできた。確か美容師をやってるといってた娘だ。
鏡の前の椅子に座らされたが、鏡を背に女の娘逹に寄って集られ弄られていった。

全てが終わり、鏡の方に向かされた。
「…これが…俺?」
鏡の中に映る可愛い女の子は、どう見ても元が「俺」であるとは思えなかった。

「立ってみて♪」
ケープが外され、全身が映る鏡の前に立たされた。
紺と白のボーダー柄のキャミソールにミニスカート、薄いピンクのジャケットを羽織った女の子がそこにいた。
彼女は、豊胸の湯で揉まれ続けて見事に育った胸が作る谷間をキャミソールの胸元に覗かせていた…
(もろに俺の好みの女の子じゃないか!!)
ズキュンといつもなら痛いくらいに股間を勃起させてしまう筈…が、今の俺の股間には勃たせるべきモノが存在していなかった。

ジュン…
痛みの代わりに股間に漏れてきたものがあった。
(もしかして…愛液?)
こんな可愛い娘を押し倒しても、今の俺には彼女を悦ばす術がない。互いの股間を擦りつけるようなレズ行為にしかならないのか…
(しかし、彼女に関してはレズ行為さえ行う事ができない!!)
なぜなら、彼女は俺自身なのだ…

 

「さあ、そろそろお腹も空いたでしょ?ご飯にしましょうか?」
と声が掛かり、「「ハーイ」」という返事とともに、皆が移動を始めた。
その中に混じって俺も移動する。他人が見ても何の違和感も感じないだろう。
ぞろぞろと大広間に向かった。
テーブルの上には食器が並べられており、既にいくつかのグループは食事を始めていた。

良く見ると、大広間にいるのは女の子ばかりだった。
「男」の姿はどこにも見当たらない。いや、もし男がいたとしても、俺と同じように「女」になって紛れ込んでしまっているのかも知れない…

 

美味しい料理とお酒で更に気分が高揚した俺逹はカラオケタイムに突入した。
次々にマイクがまわって来る。女性アイドルグループの歌を一緒に歌わされた。
(気がつくと、皆と一緒に振り付けを合わせていた)
俺も流石に、この女の子女の子した声で男性歌手の歌を歌う気にはなれず、知っていたバラードを歌った。
皆がシンとして俺の歌を聞いていた。
選曲がまずかったか失恋の歌で、俺自身自分の声に引きずられて感情移入してしまい、気が付くと目から涙を溢していた。

カラオケが終わり、部屋に戻ると、今度は持ち込んだ缶ビールでの宴会が始まった。
皆、パジャマに着替えて集まってくる。俺用のパジャマも用意されていた。

 
女になった事で酒に弱くなったのか、普段の俺であればなんともない量しか飲んでいないにもかかわらず、急激に眠気が襲ってきた。
「隣の部屋にベッドがあるわよ♪」
と誘われて行った。
「苦しくない?」
と胸元が開かれ、ゆったりとした感じで胸が擦られた。
勿論、今の俺の胸には巨大な肉塊があり、彼女はそれも揉みあげてゆく。
俺は眠気が酷いだけで、胸が苦しいとかはなかった。
が…
胸を弄られているうちに、気持ち良くなっていった。
「んあん♪」
俺の口からオンナの喘ぐような声が漏れた。
「気持ち良い?」
と聞かれ、俺はコクリと頷いていた。
「今夜は、今まで貴方に悦ばされてきた分のお返しをさせてもらうわ♪気持ち良かったらいくらでも喘いでちょうだいね♪」

既に、俺の意識は朦朧としていた。
与えられる快感には成す術がなかった。
「俺が彼女逹を悦ばす」筈が、俺が彼女逹に悦ばされているのだ。
気が付くと、彼女の指が俺の股間…膣の中に潜り込んでいた。
百戦錬磨の彼女逹に「女」初心者の俺は良いように弄ばれてゆく。
俺は女のように嬌声をあげ、ベッドの上で悶えまわった。
「指だけじゃ物足りないでしょ♪」
持ち出されたのは疑似ペニスだった。
「先ずは濡らさないとね♪」
と口の中に突っ込まれる。
今の俺は息苦しさも快感として感じてしまう。
「そんなにしなくても大丈夫よ。この娘もうこんなに濡らしてるから♪」
「そうよ。早くソレが欲しくて、膣口をヒクヒク震わせてるわ♪」
「ごめんね♪ホンモノじゃなくて。昼前まではちゃんてあったんだけど…って、ソレはあんたのだったっけ?」
ぐいっと股間に推し込まれてきた。
痛みはない。
膣の中を満たされることで、これまで感じていた疼きが治まった。
「さあ、第2ステージの始まりよ♪」
「スイッチーッ、オン!!」
カチリという音と伴に腹の中が掻き回される。
そこからもたらされる快感が、どんどん増幅してゆく。
「みんな、おて手がお留守よ♪」
彼女逹が俺の性感帯を一気に刺激し始めた。
内と外から良いように弄られる。
俺は一気に快感の高みに放り投げられていた…

 

 

 
目覚めると、俺はいつもの「男」の姿に戻っていた。
廻りにはレズりまくって疲れ果てた女逹が眠っていた。
淫らな姿の彼女逹を見ても、俺の性欲は一向に湧いて来なかった。

俺は部屋を抜け出すと、プールに向かっていた。
男性更衣室で服を脱ぎ、手にした水着を見て凍り付いた。
手にしていたのは女物の水着だった。
(結局はコレを着れる身体になるのだから、構う事ないよな♪)
と、そのまま水着を着てプールに飛び込んだ。
次第に股間の膨らみは消えてゆく。
代わりに胸がどんどん膨らんでゆく♪
程なく、俺は元の姿を取り戻した。
(これで豊胸の湯に浸かったら、どんだけ大きくなるんだろう?)
俺は元に戻った姿を確認すると、更衣室に…
俺の足は無意識のうちに女性更衣室に向かっていた。
(いかんいかん。服は男性更衣室に残してきたんだ。)
と、女の子の姿で男性更衣室に入ることに…
「すみません。お邪魔しますぅ。」
少しおどおどしながらドアを開けた。勿論、利用者の少ない男性更衣室であり、更にまだ朝早い時間帯である。
誰もいないのは判っていたが、そろりそろりと服を入れたロッカーに向かった…

「へーっ。噂は本当だったんだ。」
突然の男の声に全身が凍り付いた。
「朝イチでプールの男性更衣室に入ってくる娘はヤリ放題だってね♪」
振り向くと、三人の男がそこにいた。
「おっぱいはおっきいし、良く見ると結構可愛いじゃないか?」

「ひぃっ!!」
俺は声にならない叫びを上げていた。
腕が掴まれ、壁に押し付けられる。
セパレートの水着の下半分が外される。
「ふふっ♪この娘、もうお股濡らしてるよ。」
「だれから行く?」
俺は逃げ出すどころか、身動きひとつできずに、男逹になぶられる侭だった。
勿論、快感などはない。

気が付くと、膣の中を精液で満たされたまま、床に転がされていた。
シャワーで汚れを落とし、男物の服を着て部屋に戻っていった。

 

 

「プールで女の子に戻ってきたんだ♪」
「一晩は元に戻らないから、帰りは女の子の格好のままだね。あんた用に買ってきた服は皆あげるわ♪」
既にほとんどの娘が起き上がり、朝食に向けて身支度を整えている最中だった。
俺は着ていた男物の服を脱ぐと、渡された服の中から適当に選んで着ていった。
(女物の下着も抵抗なく身に着けていた)
「自分でできる?」と化粧ポーチが渡された。
昨夜程ではないが、下地を整えた後、目元を描くのと口紅を塗るのだけはやっておいた。

「女の子が板に付いてきたんじゃない?もしかして、このまま女の子でいたいと思ってる?」
(否。これは一時的に女になっているだけで…)
「俺は、君たちとの関係を変えたくはないね。今度はちゃんと、男として君達を悦ばしてやるよ♪」

「そんな可愛い声で言われてもねぇ?」
「別にあたし逹の事は良いのよ。逆に、女の子の貴方を悦ばせてあげるのも楽しいしね♪」
彼女の言葉に、キュッと俺の腹の奥で子宮が震えた。
(何でそんな反応をする?女の子でいることを望んでいるというのか?)

「もしこの先ずっと女の子でいたいのなら、男とSEXして膣に中出ししてもらえば良いらしいわよ♪」

(?!)

彼女の言葉に、俺は…

 

変身丹

「あ…、あれっ?」
俺の声ってこんなに甲高かったっけ?
これではまるで女の子の声みたいだ。

「どうだ?一気に変わっただろう♪」
目の前にいたのは、俺の親友の木戸賢吾だった。
俺は彼が持ってきた「変身丹」を飲んだ所だった。
「ちょっと待ってよ。何であたしが女の子になってるの?」
と抗議するが、その声ばかりか、しゃべり方まで女の子になってしまう。
「賢吾はスーパーマンみたいに力が強くなっただけで、見た目は全然変わってないじゃない?」

こんな得体の知れない物を口にさせようとしたんで、先ずは賢吾に試してもらったんだ。
スーパーマンみたいになれるならと、俺も一粒もらって口に入れたのだった。
「何でこうなっちゃうのよっ!!」
あたし…俺はぶかぶかの服で、一ヶ所だけピチピチになっている胸に手を当ててみた。
服の布越しではあるが、この身体が「女の子」である証しのように、おっぱいが膨らんでいた。
「下も変わってるか?」
賢吾のデリカシーのない一言に
「バカ、エッチ!!」
とあたしは罵声を浴びせてやった。が…
「でも、可愛さは10倍アップしてるんじゃないか?」
「だから、可愛い可愛いって…」

(?)
何でだろう。あたしは「可愛い」って言われる事が嫌だった筈なのに…賢吾にそう言われて、少しだけだけど「嬉しい」って感じてる…

 
賢吾は元々スポーツマンで、日々鍛えた肉体を誇示しついる。
あたし…俺は貧弱な身体なところに「童顔」なため、よくよく「可愛い」と評される。
俺の理想は賢吾のような精悍な身体である。「可愛い」などとは言われたくない。
が、無精でなかなか床屋に行かないので、肩まで髪の毛が伸びていて制服を着ていても「女の子」に間違えられる事がしばしばあった。

 
だからと言って、何で俺の身体が「女の子」になっちゃうのよ!!
賢吾みたいな筋肉ムキムキの身体に憧れてたのに…「可愛い」って誉められるより、早くその逞しい腕でギュッと抱き締めて欲しいの…♪

って、俺は逞しくなった腕で女の子を抱き締めたかったのであって、自分が抱き締められたい…なんて、恥ずかしくて口にできないだもん♪

 

「どうした?可愛い顔で百面相か?」
と賢吾があたしの顔を覗き込んでくる。
(ドキッ)
何でここで心臓が昂るのよ!!

「な、何なのよ。この薬は!!」
「だから、変身丹だって。望みの姿に変身できる……あっ…」
「何よ!!」
「すまん。多分俺のミスだ。」
「どう言う事?」
「効能に書いてあった《望む姿》って、主語が欠落していたみたいだ。」
(?)
「つまり、この薬を飲んだ人物の望みではなく、この薬の所有者の望む姿に変身させるようだ。」
「つまり、あたしが女の子なのは、賢吾がそれを望んでたって事なの?」
「…まあ、そういう事になるかな♪もしお前が女だったら、結婚して、子供ができて、幸せな家庭が作れればな…なんて♪」

(あ、あたしが賢吾のお嫁さん?)
赤レンガの教会で、真っ白なウェディングドレスを着たあたしが、バージンロードを歩いてゆく。
その先には、最愛のダーリン♪賢吾が待ってるの…

 
「もしもし?大丈夫か?」
賢吾の声に、あたしは妄想から現実に舞い戻ってきた。
「だ、大丈夫よ。…いや、大丈夫だ。が、ちょっとでも気を抜くと自分を保っていられないようだ。」
「本当にすまないと思ってる。責任は取らしてもらう。」
「当然だ。が、この薬の効力はいつまでなんだ?お前のスーパーマン状態はとっくに終わってるんだろう?」
「ああ。願望か叶った事が確認できると自動的に効力が失われる事になっている。」
「じゃあ何で俺はまだ女のままなんだ?お前も俺が女になった事がわかったんだろう?」
「多分、俺の望みがお前を女にするだけで終わってないんだよ。」
「じゃあ、いつまで俺はこの姿でいる事になるんだ?このままだと、三日もすれば自分が男だと思えなくなりそうだよ。」
「多分、俺と結婚して子供を産むまでは元に戻れないんじゃないかな?」
「お、俺が…産む?」
「だから、最低でも十月十日だが、俺逹が結婚できる年齢になるまでの期間も考えないとな。」
「き、気が遠くなりそう…」
「大丈夫。俺に任せておけ。きっと幸せにしてやるから♪」
「賢吾…」
あたしは改めて彼の顔を見つめた。
真剣な眼差しであたしを見ている。
(このヒトなら、あたしを幸せにしてくれる?)
「…きっとよ♪」
あたしは賢吾と約束の指切りをした。

 

 

 

「…アナタ♪」
あたしは賢吾…旦那様に貫かれ、喘ぎ声をあげた。
(隣のベビーベッドに寝ている娘を起こさないように、以前のような嬌声をあげる訳にはいかないけど…)
賢吾の責めにあたしの「女」が素直に反応する。
「あぁ、シアワセ♪」
あたしは心からそう呟いた。

「あっ!!ヤバイッ!!!!」
と、突然賢吾が身体を起こした。

「どうしたの?」
と聞いたあたしの声…
あたしの声ってこんなに低かったっけ?これではまるで男の人の声みたいじゃない。
(…って、以前にも同じようなシチュエーションがあったような気が…)
「何よコレっ!!」
あたしは声が荒らぶるのを抑えられなかった。
「薬の効力が切れたんだ。お前は元の…男に戻ってしまっている。」
あたしは自分が「男」だった事を忘れ果てていた事に気付いた。
昔の事が堰を切ったように思いだされた。
そう、あたしはあの薬=変身丹で女の子になってしまったんだ。
「ねえ、もう一度変身丹を飲ませてよ。」
「ああ。ここにあるよ。」
「じゃあ、早く頂戴♪」
あたしは奪い取るように変身丹を受け取ると口の中に放り込んだ。
何故か今度は意識が遠くなる。
賢吾があたしの耳元でささやいていた。
「ごめん。この薬は一度変身した姿には戻れないことになってるんだ。でも、俺たちは死ぬまで夫婦だからな。愛してるよ♪」

 

「ねえ、もう一度シよ♪」
SEXの後の快感にまどろんでいたようだ。
妻がもう一度とせがんできた。俺は妻に幸せにしてやると誓ったのだ。
だから、もう一度身体を合わせる…

(もう一度?)

何でだろう。妻とは結婚し娘まで作っているのに、今の俺は童貞の若造に戻った気分だった。
彼女の中に俺自身を挿入してゆく。
「ああ、良いわぁ♪」
いつものように妻が喘いでいる。
「愛してるわ。死ぬまでずっとよ♪」
彼女が俺の耳元で囁いた…

 

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