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2015年3月17日 (火)

宦計

「いやーーっ!!」
気合いとともに、抜き様の剣で魔物の胴体を二分した。

勿論、これは「俺」本来の技でも力でもない。現在俺が操っている「女剣士」が備えていた能力でしかない。
とは言っても、倒す相手を選んでいるのは俺だし、得物や防具の選択をしているのも俺である。
まあ、それも敵からダメージを受ければ俺も痛いし、殺された時などはその痛みは筆舌に尽くし難いものがある。
(それは彼女の前に操っていた五人の剣士で十二分に経験を積んできたから言える事ではあるが…)

俺は剣を構え直して次の魔物と合い対していた。
(こいつの行動パターンは?)
俺は過去の戦闘記録を確認し、できるだけ体を低くして敵に肉薄した。
案の定、奴は飛び上がる。その軌道を確認すると着地点に向かってタイミングを合わせて一撃を放つ。
「次っ!!」
俺は3体目に向かっていった…

 

 

ギルドに戦果を報告して懸賞金をゲットした。
かなり貯まってきたので武器をランクアップさせたり、防具を強化したりと考えてみるのだが、どれもこの肉体の機動性や柔軟性を損ねるものばかりである。
今のバランスがしっくりしているので、当面は装備の変更はしないつもりだ。
俺は店の立ち並ぶ街路を過ぎていきつけの居酒屋に入った。
「いつもの♪」
と言うだけでお気に入りのカクテルが用意される。
この女剣士の前に操っていたのは力を重視した大男ばかりだった。奴らは大概舌の感覚が鈍い…というか無いに等しい。
居酒屋に来ても、アルコールの度数とジョッキの大きさにしか関心を向ける事ができなかった。
が、女剣士の舌は繊細であり、様々な味を嗅ぎ分ける。また、見た目でも楽しむ事ができるので、専らカクテルを楽しむことにしていた。

「隣、良いかな?」
女剣士はやはり美人の部類に入っている。カウンターで飲んでいると男に声を掛けられるのも珍しいことではない。
俺が声のした方を顧みると、そこにあったのは思いの外、女の顔であった。
男の声にしてはキーが高いと感じていたが、この女はがっしりとした体格に似合った女としては低めの…だが、信頼のおけるようなゆったりとした声だった。
「あ、ああ。構わないよ。」
「ありがとう。」
と女は俺の隣に腰を降ろした。
「私はクレッセント。弓遣いだ。」
「あ、あたしは…」
「知っているよ。瞬速のリリアン♪ここいらではちょっとした有名人だ。」
「そ、そうか?」
「お近づきに一杯奢らせてくれ♪」
と彼女の合図でカクテルのおかわりが出てきた。

乾杯をして話しが進む。相手が男だと自動的に働く警戒心も彼女が相手ではピクリとも反応しない。
いつもより飲んでしまったようで、酔いが廻るまでその事に気が付かなかった。
「立てる?」
クレッセントが俺を腕を肩に廻し抱えあげた。
「ごめん。迷惑を掛けるね。」
「流石に瞬速を謳うだけあって、羽のように軽いじゃないか♪気にしなくて良いわよ。」
と連れて行かれたのは、彼女の宿のベッドの上だった。
独りで泊まっているにしては不自然な程大きなベッドだった。もともと俺を泊める予定だったのだろうか?
「ここなら覗かれないし、誰にも聞かれないわ♪」
彼女は俺の服を脱がせていった。
「楽になりましょうね♪女同士ですもの、恥ずかしがる事はないでしょ?」
俺は何の抵抗もできないまま、全裸にされてしまった。
「美しいわぁ♪まさに乙女の肉体ね。」
彼女の指が俺の皮膚に触れた。
すると、そこからはえも言えぬ快感がわき起こってきた。
「貴女、処女よね?まだオトコなんて知らないのでしょ♪」
(俺は男だ!!誰がオトコに犯られたいと思う?)
「でもね♪オンナの快感を知ってしまえば、オトコ無しではいられなくなるわよ♪」
「な、何が目的だ?」
「あら。まだまともに喋れるのね♪私ね。ちょっとお小遣いが欲しかったの。お固いリリアンを是非とも抱きたいって殿方がいてね。貴女がオトコに興味を持てるようにしてくれって♪」
「そんな事、あり得ない!!」
「どうかしらね♪私はこれまでに幾人ものネカマッ娘を墜してきたのよ。その腕は確かだから安心してね♪」
彼女の指が俺の首筋を撫であげた。
「っあ、あん♪」
ぞくぞくするような快感に、思わず喘いでしまう。
「ちゃんと処女のままでオンナの快感を教え込んであげるわね♪明日の晩には、貴女が自ら男にお股を広げるようになってるわ。」
もう一方の掌が下腹部を擦ると、一気に股間が熱を帯び始める。
ジュンッ!!
俺の股間を濡らすものがあった。
(愛液?俺が漏らしているのか?)
だが、俺が意識できたのはそこまでだった。
彼女の執拗な責め手に翻弄され、自分の意識を保っていられなかった。
「ほら。気持ち良かったら我慢しちゃダメだよ。声を出せばもっと気持ち良くなる。…そうさ♪あんた良い声で啼くねぇ。ほら、こっちはどうだい?」
俺には今自分がどんな格好をし、どんな声をあげているのかを理解する事はできなかった。
快感に圧し流され、新たな快感を求め、更なる快感に悦んでいた。
何度となく、快感の高みに放り投げられる。
(これが「イク」って事か?)
ぼんやりとそんな事を意識し、再び快感の混沌に呑まれてゆく…

気付いた時は、俺は独り、全身に自らの愛液を貼り付かせ、ベッドの上に転がされていた。

起き上がり、風呂場を探してシャワーを浴びた。
いまだ、膣口がひくひくと反応している。
そこが生殖器であり、そこに男性の生殖器=ペニスを受け入れるための場所である事を思い知らされたのだ。
(ここに…受け入れる…)
無意識の内に、俺は自らの股間に手を伸ばし、折り曲げた指の先をその中に差し込んでいた。

「あっ…♪」
甘い吐息が漏れる。
昨夜の快感が甦る。
だが、あの快感にはほど遠い。指一本でだめなら…と二本、三本と増やしてみたが、彼女から与えられた快感には遠く及ばない。
(もう一度…)
と彼女を探すが、部屋の中にはいない。
身支度をして帳場に降りて聞いてみたが、彼女はクエストに出てしまったようだ。
俺は追い出されるように彼女の宿を後にした。

 

 

しばらくは彼女は戻って来ないのだろう。
だが、俺はあの快感が忘れられない。勿論、彼女の戻りを待ってなどいられない。
(ならば…)
男のペニスで膣を満たせば、あの快感を取り戻せるに違いないのだろう。
彼女を俺にけしかけた男がいると言っていた。そいつは確実に俺の行動を追っている筈だ。
俺が「オトコ」を欲しがる素振りを見せれば、此幸いと俺の前に現れてくるのだろう。
(だが、そんな奴の思惑に乗るのも癪だ!!どうせなら、俺の今の容姿に見合う男性とシたいよナ♪)
俺は辺りを見回した。
ジリッと皆一歩後退する。
(そんなにも俺は殺気立っているか?)
まあ、獲物(オトコ)を見つけようとしているのだ。街中で剣を腰に鋭い視線を投げ掛けていれば「アブナイ女」と見られても仕方ないのだろう。
俺は宿に戻り剣を置き、防具を外した。
が、それだけでは如何ともし難いようだ。
「女剣士」としてはそれなりの姿ではあったが、剣を置き一介の「女」として見た場合、このなりでは…
「女」として、化粧はともかく、服はなんとかしなくてはならないだろう。
防具を外してしまえば下着同然の姿となる。それもデザインよりも機能を重視しているので、色気の欠片もない。
(買い揃えるしかないよな…)
幸いにも金は十分にあった。

 

 
(…)
俺は何をしているのだろう?
勢いでドレスを買ってしまい、それを着て街を歩いていた。
ついでに髪も結い上げ、化粧もしてもらっている。
腰に剣もなく、身を守る防具もない。ドレスや踵の高い靴にいつもの動きを封印されている。
街路を往けば幾度となく男に声を掛けられる。
(お前ら、ココにはクエストに来たんじゃないのか?)
と言ってやりたいが、今の俺とて到底クエストに出れる姿ではない。

何をしているのか?
その答えは明確であるが、俺自身はそれを認めたくはなかった。
しかし、こんな格好で街中をフラフラしている姿は「男を漁っている」ようにしか見えない。
そして、俺の目的は「男とSEXすること」に他ならないのだ。
…が、「男」の意識が男に抱かれることに拒絶反応を起こしてしまう。
だらだらと時間が過ぎ、陽も落ちていった。
無意識の行動なのだろう。俺はいつもの居酒屋のカウンターに腰を降ろしていた。
「今日は雰囲気が違うね。どういう心境の変化だい?」
声を掛けてきたのは常連のクローだった。
「別に…」
と言いつつクローを見る。
厳つい大男逹に囲まれていたので貧弱そうな感じがしていたのだが、やはり剣士である。街中の男逹よりは遥かに鍛えられた筋肉を纏っている。
顔もそれなりに整っている。頭も切れ、力だけの男逹とは違い、俺を女として優しく扱ってくれるような気がした。
「ねぇ、あたしとヤりたい?」
と聞いてみた。
「リリアンは独りが良かったじょない?俺と組まないと倒せない奴でもいるのか?」
「パーティーを組もうってんじゃないんだよ!!」
「判ってるさ。冗談は抜きにして、リリアンを抱きたいという男は数知れない。そして、俺もまたその中の一人だよ♪」
「じゃあ、あたしがお願いすれば抱いてくれる?」
「お願いされなくてもね♪だが、一つだけ約束してくれ。」
「何?」
「コトが終わった後に君の剣で両断されると困る。」
「困るだけ?…良いよ。約束する♪」
「じゃあ早速♪」
「お、おい!!ここでか?」
「俺にだって羞恥心はありますよ♪ね、マスター。上、使わせてもらって良いでしょう?」
クローはマスターから鍵を受け取ると、俺の手を引いてカウンターの裏手の階段を上っていった。

「ここは?」
居酒屋の上にはいくつかの部屋があった。
「まあ、あんたには縁のない場所だろうな。ここではVIP向けの特別な接待が行われるんだ。もちろん女を宛がい、本番もアリだ。」
と鍵を使い部屋の扉を開けた。
中は高級ホテル並みの調度が揃えられていた。
「一通り揃っているし、防音も完全だ♪」
奥の扉を開けるとベッドルームになっていた。
「勿論、宿泊もできるが、一番の目的は…」
俺はそのまま大きなベッドに押し倒された。
「約束は守ってくれるね?」
そう言う彼に頷いてやると、俺はあっという間に服を脱がされていた。
既に俺の股間は濡れ始めている。
俺の中の「オンナ」が「オトコ」を求めているのだ。
そして、それは目の前にあった。
硬く勃起したクローのペニスが曝されていた。
(これが俺の膣に挿入されるのか?)

「ハジメテなの♪」
そう俺が言うと
「解ってるさ。だが、クレッセントには充分に開発してもらってるのだろう?」
とクロー
クレッセントの名前が出てきた事で俺の中に警戒心が沸き起こりかけたが…
「ねぇ、早くぅ♪」
肉体の欲求に流されてしまう。
昨夜、クレッセントに言われた通りに、俺はオトコに股間を広げていた。

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