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2014年11月14日 (金)

人形の手

いきなりの雨にずぶ濡れになった。
このまま歩き続けても大差はないのだが、ちょうど雨宿りできそうな軒下があったので借りることにした。

寂れた商店街で、ほとんどの店のシャッターは下りていた。雨が降っていなくとも、この道を人が通ることはほとんどないのではと思えるくらいだ。
当然、このどしゃ降りの中に外に出ているのは俺くらいであろう。

雨はまだしばらくは止みそうにない。
背後でギッとドアの開く音がした。
「よろしければ中に入りませんか?」
この店の人なのだろう。エプロンを着けた女性が声を掛けてくれた。
「良いのですか?」
と俺は改めて店の中を見ると、そこには可愛らしいアイテムが並べられていた。
「お店の中が濡れてしまいますよ。」
と一旦は断ったが、
「大丈夫です。問題ありません。気になるのでしたらお着替えを用意しますよ。」
とまで言ってくれた。
確かに、全身がびしょ濡れで下着まで水を含んでいる。
「タオルで拭かせてもらえるだけでもありがたいです。」
と、俺は店の奥のシャワールームに案内された。
「お湯も出ますから♪」
その言葉に甘え、シャワールームの中で裸になり、濡れた下着を絞った後で頭から温水を浴びさせてもらった。

幾分か不快感が低減された下着を着けてバスローブに身を包んだ。
「どうぞこちらへ♪」
店の中が少し片付けられ、テーブルセットが設えられていた。
店の窓はカーテンが閉められ(こんな天気で外を歩く人などいないが)中の様子を見れなくしていた。
俺がバスローブのまま椅子に座ると、温かな紅茶とクッキーがテーブルの上に置かれた。
「いえ、お構い無く。シャワーを使わせてもらっただけでも恐縮しています。」
俺がそう言うと
「こんな天気なんで、お店を開いていてもね?よかったら少しで良いので、あたしの話し相手になってくれないかしら♪」
「お、俺で良ければ…」
と、俺は彼女の話しを聞き始めた。

 

彼女はこの店の主であったが、彼女自身がこの店を始めた訳ではなかった。
まだ青年だった頃、今の俺と同じように雨宿りをしていて、店の中に招き入れられたそうだ。
前の女主人とは話しが合うようで、そのままこの店で一緒に働くことになった。
とはいえ、このような立地条件でここに並べられたような品々は、そう簡単に売れるものではなかった。
「別に売れなくても良いの。ここに、このお店が存在し続けることに意味があるのよ♪」
女主人はそう言ったが、生身の人間であれば、何かしらの糧を採らなければ生きてゆくことはできない。しかし、店の商品が売れなければ、その糧を手に入れられない筈だ。
「なら、糧の要らない人形とかになれば良いんじゃない?」
既にその時にはもう、後戻りできない所まで来てしまっていたと彼女は言った。
「そんな事、できるんですか?」
妖しく微笑む女主人に彼女はそう応えた。
「あら、気がつかなかった?あたしの本性は人形なのよ♪」
そう言って彼女はコトリと手首から先をテーブルの上に置いた。
「こんな風にね♪」
俺の目の前で、彼女は手首を外すとテーブルの上に置いた。

「…」

俺は言葉を発する事ができなかった…

 
くくくっと青ざめた俺の顔を見ながら彼女が笑っていた。
「冗談よ♪」
と袖の中から本物の手が出てきた。
「お、驚かさないでくださいよ。」
俺はふーうと深呼吸した。
「この店はね。この街の有力者達がお忍びで安らぎを求めに来る所なの。ここにある商品達は単なる飾りにしか過ぎないのよ♪」
「そんな事、俺なんかに話して良いんですか?」
「貴方にはあたしと同じものを感じたの。」
「同じ?」
「そうねぇ…ものは試しって言うし、時間はあるでしょう?」

俺は彼女に手を引かれ、奥の部屋に入った。部屋の中央に大きなベッドが据えられていた。
この部屋で街の有力者達が彼女から安らぎを与えられているのだろう…
「さあ、脱いで♪」
彼女も瞬く間に全裸になっていた。
俺もバスローブを外し下着を脱いだ。
彼女に手を引かれ、ベッドの上へ…仰向けに寝かされた上に彼女が伸し掛かってきた。
「ち、ちょっと…」
この体勢で良いのか疑問に思ったが、
「貴方は何もしなくて良いから♪あたしのする事を受け入れてくれれば良いわ♪」
と彼女が体を重ねる。
彼女の手が俺の股間に触れる…

全裸の女性に迫られ、男なら興奮せずにはいられない。勿論、それは形となって現れる。
が、彼女の手は俺の股間を押さえて、俺のぺニスが勃起しないようにしていた。
更に彼女は俺のペニスを胎の内側に押し込んでしまった。
その跡には胎内に続く穴ができており、彼女の指が俺の腹の中で蠢くのを感じた。
「今は違和感しかないと思うけど、次第に気持ち良くなってくるわよ。そうなったら我慢しないで声を出した方が良いわよ♪」
確かに、違和感の向こうに快感が垣間見えていた。
それは、これまでに経験した快感とは、次元の違うもののように思えた。
(この快感を知ってしまうと、もうそこから抜け出せなくなるのでは?)

不安が俺の頭の中を過ったが、それも彼女から与えられる快感に、あっと言う間に塗り潰されてしまっていた。

「あん♪ああ、あ~ん♪」
俺はいつしか快感に喘ぎ声をあげていた。
それが「女」の喘ぎ声だと意識すると、その声のトーンも女のように高くなっていた。

胸が撫で上げられる。
いつの間にか、俺の胸に立派なバストが出来上がっていた。
その先端にはぷっくりと乳首が勃っている。
彼女がそれを口に含み、舌先で転がす。
新たな快感に俺は気が狂いそうだった。

 
「さあ、貴女の処女をいただくわね♪」
彼女の股間には禍々しく屹立する黒光りするモノがあった。

「…本物?」

「そうよ♪言ったでしょ。貴女とわたしは同類だって。」
つまり…

彼女は「男性」で、俺を「女」にして、その処女に挿入しようとしているのだ!!

「や、やめろっ!!」

「あら♪止めちゃって良いのかしら?貴女のオマンコは期待にヒクヒクしているわよ♪」
確かに、俺の股間は激しく疼いていた。それは、女性器が「男性」を求めているものに違いなかった。
俺は「男」だ。男に抱かれたくなどはない!!
「貴女は自分がまだオトコだと思ってるんじゃない?こんなに立派なオマンコやオッパイを持っているのよ♪」
彼女は強引に押し入ってきた。
「もう貴女はオトコじゃないのよ♪大人しく受け入れちゃいなさい!!」
俺の膣にソレが突っ込まれる…

 
俺の記憶は、そこで途切れていた。

 

 

俺はその後、たびたびその店に訪れるようになった。
数週間すると、あの快感が堪らなく欲しくなるのだ。
男に抱かれるのにも抵抗が無くなっていた。

ある日、彼女からこの店を継がないか?との話があった。
俺はもう、男として普通の生活を続けてゆく事に限界を感じていた。

俺が彼女の話を受け入れる事を伝えると。
「では、貴女にコレをあげるわね♪」
と彼女は自らの手首を抜き取った。
それは造り物ではなく、本物の彼女の「手」だった。
俺はその「手」を受け取った。
これが、この店の女主人の証であると直感した。
(もしかすると…)
俺は彼女と同じように自分の「手」を抜き取った。そして、彼女の「手」をそこに嵌めた…

 

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