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2014年10月 5日 (日)

異世界にて(中)

サイレンが鳴っていた。
「どうしたの?」
僕はマリを探した。
彼女は既に軽装備を装着していた。
「敵よ。これは訓練じゃないの。ネネも支度して!!」

確かにこの数日の授業で「敵」について学んでいた。また、敵に対する行動も覚えた。
異世界から来た僕であっても、今は何をすべきかは心得ている。
マリと一緒に部屋を飛び出すと、担当のエリアに向かった。

『皆さん。これは訓練ではありません。』
校長の念話が頭の中に響いた。
『敵は、明確な意図をもってこちらに攻撃を掛けてくるようです。訓練を思いだし、落ち着いて敵に対峙してください。』
既に火焔弾がいくつかこちらにも飛んできていた。
「まだ魔法障壁は要らないわ。マナはできるだけ温存しておきましょう。」
とマリ。
周囲には既に魔法障壁を展開しているペアもいたが、火焔弾が障壁に触れる事はほとんどなかった。
「このエリアの敵は6体か。取り敢えずは肩慣らしね♪」
と敵の頭上高くまで舞い上がる。敵はまだこちらには気付いていないようだ。
「ネネ。行くわよ!!」
とネネの体から僕=刀を引き抜いた。
ネネは上空に止まっているようだ。
マリは自由落下のまま敵に接近する。
すれ違いざまの一瞬で2体を葬った。
他の4体はまだ何が起きたのか理解していない。
マリは横から加速をつけて敵に肉薄する。
3体目、4体目を斬り捨てる。
4体目は辛うじて僕逹の存在に気付いたが、何もできないままに葬られていた。
が、残りの2体はそうもいかない。
火焔弾を投げてよこす。
マリは巧みに交わして5体目に斬りつけた。が、相手もこれをかわす。
マリは体を捻り反転する。
敵はマリのスピードには付いていけない。そこにできた隙に2閃目を切り込む。
致命傷ではないが、敵の動きが止まった。
「はあぁぁー!!」
気合いと伴にマリが一撃を加えた。

残りは一体。
そして、そいつはマリの戦い方を見ていた。
十分な間合いを取り、火焔弾を投げつけて来る。
マリは避けるので精一杯のようだ。
今、魔法障壁が展開できればかなり有利になるが、防御魔法にはネネの体がいる。
所詮「刀」でしかない僕には、何も手出しする事はできない。
しかし、このエリアに配置されたのは僕逹だけではなかった。遅ればせながらも他の娘逹が駆けつけ、敵への攻撃を開始した。
敵の注意が一瞬逸れる。
その隙を逃すマリではなかった。真っ直ぐに突っ込み、敵の目前でフェイントを加える。
敵の反応が遅れた所に一撃を加えると、そのまま離脱した。
とどめは長槍の娘が刺していた。その間にマリはネネの元に戻る。
「ご苦労様♪」
労うネネの胸に刀=僕を戻した。
「まだ終わった訳じゃないわ。次の敵はどこか聞いておいて。」
校長からの念話はマリも受けられるが、念話を発信するのは防御担当の僕がすることになっている。
『マリとネネです。こちらの敵は撃退しました。次の指示をお願いします。』
『マリさんの活躍は確認しています。そのエリアは他の娘逹に任せて、貴女逹は正面に廻ってください。』
マリを見ると、彼女も了解したと頷いた。
『わかりました。正面に向かいます。』
そう言って僕逹なこのエリアに残る娘逹に手を振って離脱した。

 

正面には僕逹が相手にしてきたよりも遥かに大勢の敵が押し寄せていた。
勿論、こちらも上級生を中心とした精鋭が相対している。
「どうする?」
と僕が聞くと、
「後方から回り込んでいきましょうか♪」
とマリ。既に攻撃プランは出来ているようだ。
しかし、後方にいる敵はまだ本格的に戦闘に参加していない。体力などは殆ど消耗していない筈だ。
「ほら。隙だらけじゃない♪」
僕逹は再び上空に舞い上がった。
「行くわよ!!」
と、僕=刀を抜いた。

 

最後尾の3体を斬り捨てると、マリはそれ以上の戦闘をすることなく圏外に離脱した。
次に左翼の後衛を攻撃し、大きく回り込んで右翼に斬り掛かった。
彼女の3旋で7体の敵が脱落した。全体から見れば微々たる損害であるが、敵側の動きに変化があった。
今まで全面の娘逹だけに向けて火焔弾が、辺り構わずに打ち出されてきた。
これでは「正面」「後衛」の区別がなくなる。今までのように簡単に近づけさせてもらえない。
「こうなると、ネネの魔法障壁が必要になるわね。」
マリは一旦ネネと合流した。
ネネの体に納まると刀身にはマナが補給される。が、今度は魔法障壁にマナを消費する事になる。
「ちょっと無茶する事になるわね。」
とマリが作戦を告げた。

 

 
僕逹は谷間の地面すれすれを猛スピードで飛んでいった。
障害物は数えきれない。が、何一つ無視できない。
条件反射のように左右に交わしてゆく。まだ敵には気付かれていない。まぐれのように火焔弾が降ってくるが、簡単に当たるものではない。

僕逹は奴らの陣形の内側に潜り込んでいた。
「ネネ。魔法障壁!!」
僕はマリの上に重なり魔法障壁を最大強度で展開した。
「いくよ!!」
マリの合図で急上昇に変わる。
敵が僕逹に気付き始めるが、投げつけられる火焔弾は遥か後方に置き去りにされる。
マリの手が僕の胸に伸びてくる。

奴らの陣形の真ん真ん中で僕=刀を抜き放った。
奴らは同士討ちを恐れ火焔弾を投げて来ない。
奴らの狙いはマリに集中する。
ネネは上空に離脱していた。
「いくよーーっ!!」
マリが敵に斬り掛かっていった…

 

もう何体の敵を斬り倒しただろうか?
マリの呼吸もかなり乱れている。
僕逹が戦っている間にも状況は変化しているのだろうか?

奴らは僕逹との間に間合いを取っていた。
これまで、敵は組織的に動く事はなかった。が、今は明確な指示の元、僕逹との間に間合いを取っている。
「マリちゃん!!下へ!!」
ネネが叫び声とともに上空から飛び込んできた。
魔法障壁が張られている。
さっきまで僕逹がいた所に火焔弾の塊ができていた。
精度を上げ、一点に集中させてきたのだ。
巨大な火焔弾は臨界に達しようとしていた。
僕逹が地面に降り立つと同時にそれは爆散した。
強烈な爆圧が魔法障壁に襲いかかる。がネネ本人のマナは温存されていたので、なんとか凌ぐ事ができた。

 

巨大火焔弾の爆散は敵側にもダメージを与えていたようだ。
とりあえず、僕逹の周りには襲いかかってくる敵はいなかった。
「ネネ。無茶な事は止めて頂戴!!」
「無茶な事はマリちゃんだって同じでしょう?あたしには魔法障壁とそれを維持できる十分なマナがあった。それだけの事よ♪」
「確かに助かった事には感謝するわ。」
「何言ってるの。あたし逹はパートナーでしょ♪」
そう言ってネネはマリの手から刀=僕を取り上げた。
「サールさんも大分ボロボロになってしまったわね。時間が許す限りマナの補給をしておきましょ♪」
と自らの胸に僕を納めた…
僕の意識がネネの体に戻った。ネネ自身もかなり消耗しているのがわかった。

「歩ける?」
マリが僕に声を掛けた。そう言うマリにしても、気力でのみ立っている風であった。
「とりあえず学校に戻りましょう。」

 

僕逹が校門に辿り着く頃には、残敵も引き上げていた。
皆、疲労困憊で校庭のあちこちに座り込んでいた。
校長から戦闘終結の念話が届き、緊張の糸が一気に外された感がある。

校舎の中からは地下シェルターに退避していた下級生逹が先輩逹の介護に出てきはじめていた。
何人かの娘に声を掛けられたようだが、マリも僕も応える余裕はなかった。まっすぐに寮の僕逹の部屋に向かった。

マナが不足していた。
不足しているマナを補給したいと体が欲していた。
今はマリにも十分なマナの蓄えがない事もわかっている。
が、マナが不足した時の行動が習慣付いてしまっていた。

部屋に入るなり互いに服を脱ぎ捨てる。
そのまま絡まるようにしてベッドに倒れ込んだ。
既に僕の股間は準備を終え、ぬるぬるに濡れていた。
僕は残ったマナをかき集め、マリに癒しの波動を送った。
「ネネ、無理しちゃダメじゃない。」
マリに怒られたが、マリの活力は復活したようだ。
「言う事を利かない娘は徹底的に苛めてあげるからね♪」
マリの指が僕の乳首を摘まみあげた。
「ああん♪意地悪しないで。早くマナを頂戴♪」
「いいえ♪焦らすに焦らしてあげるわよ♪」
そう言って、マリはその通り実行してしまった。
僕は途中からほとんど記憶が残っていなかった。
気が付くと朝になっていて、マナも十分に満たされているのを感じていた。

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