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2014年8月 7日 (木)

勇者の凱旋(前編)

「さてと、貴様には何をシて貰おうかな?」
卑しい笑みを浮かべて「俺」が見下ろしていた。

 

俺の手の中には、魔王の残したマントがあった。
魔王は俺の渾身の一撃を受け、倒れた。その肉体は塵と化し、マントだけが残されていた。
物陰に隠れていたのだろう、魔王の手下でも戦闘力のないサキュバスが駆け寄り、魔王の残骸にひざまずいたところまでは認識していた。

(見事だ♪勇者殿。だが、詰めが甘かったかな?我は不死身。肉体を失っても、魔王という存在は消えはしないのだよ♪)
魔王の声が、俺の頭の中に響いた。
そして目眩…
一瞬後に俺は床に座って、目の前に立っている男を見上げていた。

目の前の男は「俺」だった。
「我が誰か解るかな?」
「ま、魔王なのか?」
「ほう?貴様には我が魔王に見えるのか…目が悪くなったようだな。眼鏡を掛けた方が良いぞ。」

奴がそう言うと、俺は無意識に「はい」と答え、宙にルーンを描いていた。
(魔法?)
無から「眼鏡」が生み出され、俺の顔に掛けられていた。
(魔族でもない俺が魔法を使ったのか?)

「どうだ?今の我は勇者以外の何者でもないであろう?」
と「俺」
俺は奴の言葉に逆らえず「はい」と答えていた。
「良い娘じゃ♪のう?貴様もそう思うじゃろう…と、理解できているかな?元勇者殿?」
「ま、魔王!!」
俺は奴に怒りを向けた。
「言ったろう?我こそが勇者。我を呼ぶ時は勇者様と言うんだ。」
「はい。勇者様。」
お、俺は何を口走っているのだ!?奴に対し敬語など…
「納得がいかないようだな♪だが、貴様が我を魔王と認識する限り、その肉体は我の忠実な僕となるのだ。可愛いサキュバスの牝奴隷にな♪」

 

俺は魔王の肉体を消滅させた。が、そこに一瞬の油断ができたのだろう。
次の瞬間に「俺」の肉体は魔王に奪われ、俺の意識は側にいたサキュバスの内に封じられてしまった。
そして、いくら俺が意思を強くしても、この肉体は魔王の命令には逆らえないようだ。

「さてと、貴様には何をシて貰おうかな?」
と奴が言う。
「仰せのままに。勇者様♪」
と俺…
「言わずともわかるな?女が…サキュバスのお前なら何をすべきかと♪」

「はい♪」
と返事をすると、俺は奴の元ににじり寄っていた。
ズボンの中から「俺」のペニスを引き出し、愛しそうにソレを口に咥えていた。
俺の意思は全力で拒んでいる。たとえ、本来の自分自身のモノであっても、「男」の俺がペニスを咥える事などできるものではない!!

が、ペニスから漂う芳香が全てを崩壊させてしまう。
気が付くと俺は無心に奴のペニスを舐めあげていた。
「なかなか巧いぞ。というか、この肉体は女性経験が殆どないんじゃないか?性的刺激に対する抵抗力が殆どないぞ。即に果ててしまうではないか。」
次の瞬間、ペニスから放たれたザーメンが俺の顔に降り掛かった。
「ありがとうございます。勇者様。」
俺はそう言って顔に掛かったザーメンを拭うと、余す所なく、自らの口の中に入れ、飲み下していった。

「おお♪若いだけあって、回復は早いな。次をいくぞ♪」
そう言われ、俺はいそいそと服を脱いでいた。何が始まるかは想像に難くない。
俺は女として、その股間の穴に奴を受け入れる事になるのだ。
俺の股間の穴…膣は既に十分潤んでいた。溢れ出る愛液が大腿を滴り落ちている。
俺が床に背中を付けると、全裸になった奴が俺の上に伸し掛かってきた。
「あぁ、勇者様ぁ~♪」
広げた股間の中心にペニスの先端が触れると、俺は一気に貫かれていた…

 

 

人々は奴=勇者を称えていた。
それは本来、俺が受けるべき称嘆の聲である。
逆に、俺に向けられる視線は「魔族」に向けられる憎悪と賎しめに満たされていた。
いや、それはそれで仕方のない事だ。俺は魔王を倒しきれず、更にその肉体を魔王に奪われてしまったのだ。俺が蔑まされるのは甘んじて受けよう。

だが、人々は「勇者」の実体が魔王である事に気付いていない。そして、その事を知る俺は、奴の影響下にあり真実を伝える事ができないでいる。
そのもどかしさに、俺は焼き尽くされそうな日々を送っていた。

 

俺逹は国王に首尾を報告するために都に向かっていた。
都に向かうにつれ、「勇者」の周りに人が集まってくる。そんな中で「魔族」の肉体をもった俺は忌諱される存在であった。
「勇者」に忠誠を誓ったとされる俺は、勇者の保護下に…奴の側にいる事を許されてはいた。
俺としては即にでも奴から離れ、奴を倒すべく力を溜めたかったが、奴が俺を離そうとしなかったのだ。
「可愛いお前を手放す事はできないな。たとえ国王の娘を妻に迎え、我が次期国王となったとしても、生涯お前を可愛がってやる♪」
と奴が言う。
俺は拒否したいのだが、俺の肉体は魔王に玩ばれることを期待して、股間を潤ましていた。

否、それ以前に奴が「次期国王」だと?

俺は魔王討伐後の事など考えもしていなかった。確かに、褒美として姫の婿に迎えられる事も可能性として否定できない。
いや、あの国王であればそれ位の事は平気でやりかねない。
奴は「勇者」として凱旋するが、その実体は魔王なのだ。国王となった奴が本性を晒した途端、都は「魔都」に変貌するであろう。
勇者としての意思を持っている俺は、何としてもそれを阻止したかった。
が、今の俺には奴を阻止する能力がない。奴の意思に反する事は何もできないのだ!!
(今は奴な側にいて、機会を窺うしかない…)
そう自分に言い聞かせた。

 
俺逹は都を目の前にしていた。
都からは頻繁に使者が往復し「勇者凱旋」の準備を進めていた。
その間、俺は毎夜欠かさず奴に抱かれ、快感に嬌声をあげ、何度もイかされていた。
奴の側にいるという事は、その辱しめに耐える必要があった。
(本当に「耐え」ているかって?)
女として抱かれる事に慣れた訳ではないが、俺は何とか今の「自分の位置」を見いだしていた。今の俺は「勇者様」の従者であり、彼の身の回りの世話をしている。
この肉体の元々の所有者であるサキュバスが同様な事を魔王にしていたようで、かなりの所作を肉体が記憶していた。その肉体の記憶が、見た目に俺が悦んでいるように見せているだけだ!!

 
俺は「勇者」の周りにの人々にも従者としての立ち位置を認めてもらっていた。
が、集まってくる人々は更に増えていた。無用な軋轢を回避するため、俺は肉体上の魔族の特徴を隠し「人間の女」のふりをするようにしていた。
当然であるが「女」の衣服を着る事になる。魔族は獣のように体毛が深く、身に着ていたのは衣服というより装飾具の扱いに感じていたので、自分が「女」となった事をあまり意識していなかった。

女の服を着るという事は、常に「女」である事を意識させられる。
尻尾を隠した股間に女物の下着を穿く。腰まわりをコルセットで締め上げ、胸の膨らみを強調する。ボトムは裾の広がったスカートだ。
更に「女」を意識させられるのが、踵の高い靴だ。最初は転ばないように歩くだけで精一杯だったが、少し慣れるとその靴の所為か、動作が更に「女」っぽくなっていた。

 

「勇者様。お食事の用意が整いました♪」
都を前に集まった人々により、様々な事がお膳立てされてゆく。食事の支度も俺が調理せずとも用意ができてしまうのだ。が、最期の配膳だけは俺の仕事として残してもらっていた。
全てが整ったところで、奴を呼びにゆく。奴は魔王ではあったが、その肉体は「俺」のものである。ここ数日の連夜の宴にかなり消耗しているようだった。
なかなか起き上がらない…
「勇者様?」
俺が奴の顔を覗き込むように近寄ると、奴の腕が俺を捉え、ぐいと引き寄せた。
「お前の精力を分けてもらうぞ。」
と俺の首筋に噛みつくと、滴る血液と共に俺の精力を奪っていった。

最近、時々こうやって精力を奪われる。勇者様が唇を離すと、失われた分、精力のバランスが乱れてしばらくぼーっとなってしまう。
あたしとしては勇者様のお役にたてるので、嬉しい事ではあるのだが、精力以外のものまで失われていっているようで、不安になってしまう。
「少し休んでいると良いぞ。」
と優しく声を掛けてくださる。
勇者様の寝ていたベッドに潜り込む。あたしは勇者様の香りに包まれ、安らぎを覚えていた。
夜、勇者様に抱かれ淫らに乱れていた自分が思い出される。彼のぺニスに貫かれ、淫声をあげ身悶えていたあたし…

再び体の芯が熱くなり、「女」の器官が疼きだす。
潤み始めた股間に、自然と指が伸びてゆく。指先がナカに入り、疼きを鎮めようと動き始める。
勇者様の行為には及ばないまでも、次第に昇り詰めてゆく…

 

俺は奴のベッドの中で意識を取り戻した。
いつもの事だか、奴に精力を奪われるとその後の記憶が曖昧になっている。その間にとっていた行動にいまいち自信がもてない。
意識が朦朧として、ベッドに入るなり即に意識を失っている筈なのだが、一方で自らの女体を「女」として慰めていたような記憶もある。
(いや、それはこの魔物女の肉体に残っていた記憶だ。いくら「女」のフリをしていても、俺は「男」なのだ!!)

俺はベッドから抜け出ると、衣服の乱れを直して奴の下に向かった。
今の俺は奴の制御下にあるので、どんな行動も起こす事はできないが、奴の言動は余す所なく記憶しておきたかった。
その記憶は、奴が「魔王」として行動を始めた際に、奴の行動を阻止する手がかりとなる筈だった。

 

全ての準備が整い「勇者」が王城に上る日がきた。
宿舎から王城まで、都の中をパレードする事になっている。
勿論、俺も従者として「勇者様」の脇に控える事になっているのだが…
その日は奴が起こされる予定の時間よりもかなり早い時間に俺が呼び出された。
そこには、城の女官逹が待ち構えており、俺にお姫様のようなドレスを着させ、髪を結い上げ、念入りに化粧が施された。
最初は自分が単なる従者でしかなく、普段の服のままで良いと言い張っていたが、パレードで「勇者様」の側にいるのであれば、それなりの格好が必要だと押し切られてしまったのだ。

俺の支度はパレードの出発時間ぎりぎりまで掛かってしまった。既に「勇者様」は馬車に乗っていた。
「これは、どこぞのお姫様かと思ったよ。見違えたぞ♪」
奴の差し出した手を借りて俺も馬車に乗った。この馬車には勇者様とその従者の二人しか乗らない事になっていた。俺は奴の隣に並んで座った。
俺が座るのを待っていたかのように、パレードがスタートした。集まった群衆に「勇者様」とともに笑顔で手を振る。王城は目と鼻の先であるにもかかわらず、パレードは時間を掛けて都の中を通り抜けてゆく。
振り撒いていた笑顔が、顔に貼り付いてしまったかのように感じだした頃、奴も疲れを感じたようで、
「精力を分けてもらうぞ。」
と、パレードの最中、衆目の中にも拘わらず、俺の首筋に吸い付いてきた。

「あぁ…」
あたしは小さな吐息とともに、身体中の力が抜けてゆくのを感じた。
そのまま勇者様にもたれ掛かってしまう。そんなあたしを勇者様が優しく抱き留めてくれる。
「お前の精力も大分薄まってきたな。そろそろ頃合いかも知れん…」
あたしは勇者様の独り言を遠くに聞いていた…

 

パレードが王城に到着する頃には、あたしは自分で立てるくらいには回復していた。
あたしは勇者様と供に謁見の間に進んでいた。あたし逹の向かい側には王、王妃そして一人娘の姫が揃っていた。
「此度の首尾、大義であったぞ。勇者殿。」
ははっ、と畏まる勇者様の後ろであたしも身を縮めていた。
「褒美は何が良い?何でもくれてやるぞ♪」
「いえ、私には何も。できれば、供に戦って死んでいった仲間逹の墓をお願いします。」
と、勇者様らしいお言葉♪(でも、あたしの心の奥で「違う!!」と叫んでる声が…気の所為よね?)

「流石は勇者殿。その公明正大な意気に感服した。王都の近くに所領を与えよう。そして、娘をそなたの妻として嫁がせる。」
「勿体ないお言葉…」
更に深々と頭を下げる勇者様…でも、なんで笑ってらっしゃるの?
 

部屋には勇者様とお姫様、そしてあたしの3人しかいなかった。
「本当に我の妻になっても良いと言うのか?」
再度の勇者様の問いにも
「はい。お父様もそれを望んでおります。」
としか答えない。
「つまらん!!」
それは勇者様の独り言だった。
勇者様はしばらく考え込んだ後、お姫様とあたしを呼んだ。
「今回は少しばかり多目に精力が必要だ。」
とお姫様の首に咬みついた。
(あたしだけだと言ったのに…)
と嫉妬するより先に、ぐったりとしたお姫様を近くのカウチに横たえてあげる。
振り向くと、そこに勇者様がいた。
「お前からももらうぞ。まあ、それで貴様も自由が手に入るのだ。ありがたく思えよ♪」
あたしはカウチのお姫様に重なるようにして意識を失っていった。

 

俺は横たえられた体を起こそうとして、何者かに抑えつけられているのに気付いた。
いや、抑えつけられているのではなく、それは単に俺に被さるようにして倒れている女の体だった。

奴はどこにいる?
部屋の中には奴の気配がなかった。
俺は覆い被さっている女を避け、ベッドから起き上がった。

(?)

違和感を感じた。
何がどう違うのか、即には判らなかったが、時間とともにこの体が今までのものとは違うものである事が確認できた。
体に記憶されていたものが別のものに刷り替わっていた。魔王のためにサキュバスが奉仕してきた様々な行為の記憶が失われ、この王城の記憶が鮮明に甦る。
俺は先ほど避けた女を見た。
女はさっきまで俺であった女=サキュバスであった。
俺の内にはサキュバスの時に感じていた「魔力」が感じられない。「人間」のふりをせずとも、この体は人間のものであった。
魔王が再び俺の体を交換させたのだ。精力を必要としたのは、このための魔力を引き出すためだったのだ。

(しかし、何故?)

奴は「つまらない」と言っていた。多分、このまま黙っていてもこの国の王になれるのだ。「魔王」としては「何事もない」のが一番堪えるのであろう。

そう、今の俺は奴を「魔王」と呼ぶ事ができるのだ。
この細腕のままでは無理かもしれないが、今の俺であれば奴を、魔王を再び倒すことができるのだ。
奴は「動乱」を欲した。
俺を解放し「動乱」を起こさせようとしているのだ。「勇者」であった俺が女の体でどこまで抗えるのかを楽しみにしているのであろう。

俺はサキュバスとなった姫様を起こし、体が入れ替わってしまった事を説明した。が、その体が魔物のものである事に気付いただろうか?
姫様には「勇者様」の従者となった事を告げ、「勇者様の妻となった時にする事をするだけです。」と教えてやった。

 

「勇者様」の一行は、一旦王城を辞していった。
お姫様となった俺には「勇者様」との婚姻に向けたスケジュールが示された。
このまま行けば、俺は奴の妻となり、再び奴に抱かれることとなる。今回は肉体に掛けられた呪縛はない。妻となった俺は自らの意思で奴に抱かれなければならないのだ。
だが、頭の中はぞっとして冷えあがっている一方、肉体は官能のスイッチが入ってしまったようで、熱く火照り、女の器官が疼き、潤んでいった。

 

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