« 勇者の凱旋(前編) | トップページ | 暗示 »

2014年8月 7日 (木)

悪魔の囁き

「またしても失敗かっ!!」
俺は手にしたフラスコを壁に投げつけていた。

ガラスの割れる音を聞き付け、掃除ロボットが活動を開始していた。
気が付くとガラスの破片や飛び散った溶液は綺麗に無くなっていた。
それがまた俺の気分を逆撫でるのだ。

「怒ってばっかりいると、良いインスピレーションも沸いて来ないんじゃない?」

女の声に顔を上げる。
「な、何者だ?貴様は!!ここには誰も入って来れない筈。」
「人間ならね♪ボクは人間じゃないから♪」
とニヤリと笑うそいつは、宙空に胡座をかいて浮かんでいた。
「人はボク逹のことを悪魔って呼んでるようだけど、悪い事は何もしていないんだよ。ただ、こうやって悩んでいる人の所に行って適切なアドバイスをしているだけさ♪」
「アドバイス?」
「実験が上手くいっていないんでしょ?やはり、人間と動物じゃ同じ結果は出て来ないよ。無駄な事はやめて人間で実験することをボクは奨めるね♪」
「そ、それこそ悪魔の囁きではないか。実験データが揃わぬうちに人体実験など許されるものではない!!」
「アタマ硬いんだね♪でも、それじゃあいつまで経っても成果は得られないよ♪」
「うるさい。邪魔するなっ!!」

俺が追い払う仕草をすると、奴はフッと消えていた。

 

「ふ~~う」
俺は大きくため息を吐いていた。
(人体実験か…)
言われなくとも、幾度となくその誘惑に駆られそうになったことがある。が、科学者としての倫理観が、絶対にそれを許さずにきた。
(が…)

もう、手詰まりだった。どのような事をしても思うような結果が得られない。
(理論上は問題ないのだ!!)
焦躁に駆られる。
…人体実験…
いよいよ悪魔の囁きに動かされそうになる。
(そう、理論上は問題がないのだ…)
考えられるリスクは…これまでの動物実験でも、効果が現れなかっただけで、想定外の副作用は何もなかったではないか…
そう、最終的なリスクは俺自身が負えば良いのだ!!

 
俺は再び薬品の調合を開始した…俺自身を被験者とする人体実験のために…

 

 
「薬は出来たかしら?」
再び、俺の前に女悪魔が現れた。
何故ここにいる?と聞くより早く
「面白そうだからね♪ボクが見届けてあげるよ。何なら、ビデオを回してあげようか?」
そうだ。俺自身を被験者とした場合、記録を取る事ができない。心拍モニタ等は常時接続し、固定カメラを用意する事まではできたが、細かな記録を取る事はあきらめていたのだ。
が、そんな事を得体の知れない人間に…悪魔に委ねて良いものなのだろうか?
「まずければ使わなければ良いだけでしょ?」
そう言われ、仕方なく予備の機材を奴に渡した。

ビデオが回り始める。俺は薬液を注入器に移すと、俺の二の腕に注入口を当てた。
薬液が血管に入り込み、俺の体全体に巡ってゆく。

俺が開発してきたのは「人体強化薬」だ。単に筋力をアップさせるだけでなく、通常は眠っているような器官まで活性させ、人体の保有する能力を100%解放できるようにするものなのだ。

全身に「力」が満ち充たるような感じがしてきた。体の芯が熱く燃え上がるようだ。
このまま天井に気合いをぶつければ、屋根ごと吹っ飛んでいきそうな感じがする。
…いや…
気を集中した途端、体がベッドから浮き上がっているではないか?
そのまま空宙で90度体を起こした。頭が天井に近くなる。手を伸ばせば…掌が天井に触れていた。
「どお?案ずるより産むが易しでしょ♪」
カメラを手にした女悪魔が空中で俺に近付いてきた。
こんな状態は俺も想定していなかった。今の状態は、固定カメラではフレームアウトしてしまっている。が、奴のカメラには浮遊する「俺」が写されている。
「これ程のものとは思わなかった。まるでSFマンガに出てくるスーパーヒーローではないか!!」
「別に薬など使わなくても、ボクが手助けしてあげれば誰だってスーパーヒーローになれるんだけどね♪」
「つまり、過去にもこういう状態になった人間がいるという事か?」
「そうだよ♪そういった人たちが神話などに語り次がれてきたんだ。」
「話がデカくなってきたな。まあ良い。無駄口はこれくらいにして、人体強化の成果を計測する。」
俺は床に降り立ち、測定器の前に進んだ。
「止めといた方が良いよ。装置を壊すのがオチだよ♪」
俺は女悪魔の言葉には耳を貸さず、最初に握力計を手にした。
…が、簡単に針が振り切れただけだった。ビンッ!!と、握力計の中でバネが外れたような音がして、俺は計測を諦めた。
「ほらね♪それに、そろそろ薬が切れるみたいだよ。時間は有効に使わなくちゃ♪」
「バカな。半日は持続する筈だぞ。」
「貴方の想定した程度の人体強化だったらね♪でも、貴方は空中浮遊もやってるし、常に力を解放し続けてるでしょ?ボクのように外部から魔力を補充してる訳じゃないでしょ?自分の持っているエネルギーが尽きてしまえばそこまでなんじゃない♪」

確かに、これだけのコトをやっているのだ。どこかで帳尻を合わせる必要がある。下手をすると命に拘わる?
俺は慌てて「力」を解放するのを止めた。
…一気に重力を感じる。かなりの体力を奪われたようだ。体を立てて支える筋力も残っていなかった。
俺は床の上に崩れ落ちた。その脇に女悪魔が降り立ち、足で俺の体を転がす。
俺には何の抵抗する力もなく、仰向けにされた。
「流石に最後の所で留まったわね♪でも、これから薬の副作用が始まるみたいよ。ちゃんとカメラに納めておいてあげるからね♪…」

俺は遠くに女悪魔の声を聞きながら意識を失っていった。

 

 
気が付くと、俺はベッドに寝かされていた。体には毛布が掛けられ、更に寝着も着せられているようだ。
上体を起こし、ベッドの縁に腰かけた。薬の所為か、体には違和感があった。
消耗したのは体力だけではなかった。体に蓄えられた栄養分もかなり失われているようだ。
目の前にかざした手は、骨と皮だけのように細くなり、その肌の色も褪せて白くなっていた。
寝着の内側の腕や脚もガリガリになっている事は想像に難くない。
只、寝ていた事で、体を起こす程度には体力は回復しているようだ。

「はーい♪目覚めたかな?」
奴の声のした方に目を向けた。
そこにはモニタが起動しており、女悪魔の顔が映っていた。
俺が動き始めたのと連動して起動するようにしていたのだろう…
「起きたばかりで、まだ現状認識ができていないと思う。まあ、ボクの撮った映像を見てもらえば、何も言わなくても良い筈だよ。ではキューッ♪」
モニタの画面から奴が消える。早送りしているので音声はない。
映像は俺が宙に浮かんだ状態から、床に降りた所から始まっていた。

力なく床に崩れ落ちる俺。奴が脚で全裸の俺を転がす。
仰向けにされ…俺は意識を失ったようだ。
既にその時点でも腹は凹み、腕や脚が細くなっていた。
が、肌の色はまだ変化していなかった。脂肪、そして筋肉が失われ皮膚は萎んだ風船の表面のように多数の皺が刻まれていた。
が、しばらくして臍を中心に変化が始まった。
皺が延び平坦な皮膚に変わる。同時に皮膚の色も白くなり、体毛も抜け落ちていった。
カメラは変化の先端を追ってゆく。視点は下に降りていった。
そこは剥き出しの股間であった。奴が俺の脚を圧し開き、局部を露にさせた。
(変化がソコに及ぶ?!)
皺だらけの皮膚が平らになり、陰毛まで全て抜け落ちた。皮膚の色が白くなる。
その同じ事が更に続く…
皮膚の皺が消えるように、股間の突起も均されしまった。
白く、平らになった股間には、更なる変化が待っていた。
そう、なにもなくなった股間に縦に筋が刻まれた。女悪魔の手が、その筋に延びて押し広げる。
それが自分の股間だとは思いたくなかった。
そこに在ったのは「女性」の股間…そのものだった。

画面が切り替わる。俺の全身が写し出された。
変化は首から上と手足の先端を残すだけとなっていた。変化を終えた胸には僅かではあるが膨らみがあり、それはどう見ても「男」の胸ではなかった。
カメラは頭部に寄ってゆく。
首の変化が終わっていた。白く、細くなった首には当然のように喉仏の出っ張りはなかった。
皺だらけの顔から皺のない顔に変わってゆく。無精髭が抜け落ち、眉毛も取り払われた。
何故か睫毛と頭毛はそのまま残されていたが、皺の取れた顔はどう見ても若い女の顔だった。
肌は白くきめ細やかでしっとりと弾力もありそうだ。肌の白さで余計際立つのか、ぷるりとした唇が紅く輝いていた。
頬にはほんのりと赤みが差している。化粧をしているようには見えない。健康的な美しさがあった。
(これが俺なのか?)
「じゃあ、続きは自分で確認してね♪」
奴の言葉とともにモニタが切れる。
俺の手は無意識のうちに胸に当てられていた。
男の胸にはない「膨らみ」がある。
手は下に下りる。
寝着の上からではあったが、股間には男の象徴の存在が感じられなかった。

立ち上がる。
部屋の中に洗面台があり、そこには鏡があった。
俺は洗面台の前に立った。
(背丈も少し縮んだか?)
顔を上げる。
そこには「若い女」が映っていた。
ビデオに記録されていたのと同じ顔だ。
その中で「俺」である事を確認できたのは髪型だけであった。
「本当に俺なのか?」
そう発した声は、もう「俺」の声ではなかった。甲高い「女」の声で俺の耳に届いてきた。

 
肉体の変化の確認を続けた。寝着のボタンを外してゆく。
奴はご丁寧にも女物の寝着を着せてくれていた。ボタンの左右が逆なので、外すのにも苦労する。
寝着の前をはだける。ビデオで確認していたものが、そこにあった。
鏡越しではなく、直に確認する。
僅かではあるが、確かに胸は膨らんでいた。それ以上に乳首がぷっくりと膨れている。多少の胸の膨らみは「贅肉だ」と言い張れても、この膨らみはこの体が「女」のものである事を隠しようもない。

更にその下を確認する。言わんがかな、そこは女性用の下着に覆われていた。
ピタリと下腹部に貼り付くような布の下には勿論男性器があるようには見えない。
ショーツの縁に指を掛け、脱ぎ取る。その際に股間を直視するが、そこにはビデオと同じ縦筋が刻まれていた…

 
「か、確認はここまででよしとするか。今は薬の成果を確認し、副作用を抑える方法を検討するのだ!!」
部屋の中を確認すると、女悪魔が用意しておいたのだろう女の衣服が置いてあった。俺はその服を着、白衣を羽織ると、再び実験室に戻っていった。

 

再び薬の調合を行う。副作用は力を絞り出す際に力の象徴である「男性性」を意識し過ぎた為であろう。性別を越えて、その能力を最大限に引き出すように成分を見直してみた。
俺は薬液を注入器に移すと、俺の二の腕に注入口を当てた。
薬液が血管に入り込み、俺の体全体に巡ってゆく。即に全身に「力」が満ち充たるような感じがしてきた。体の芯が熱く燃え上がるようだ。

が、その「力」は前回と趣が異なるようであった。前回は圧倒的な物理的「力」であり、攻撃性が高く、猛烈な破壊衝動に駈られていた。
今回は「力」が俺自身の内側に向かって高められているようだ。
最初に肉体に変化があった。
仰向けに寝た胸の上にずしりとした重みを感じた。
僅かしか膨らんでいなかった胸が、官能的な大きさになっていた。
上体を起こすと、その質量が更に実感できた。
更に、俺の肩をくすぐるものがあった。さっきから頭皮がむずむずしていた。俺の髪の毛が一気に伸びたに違いない。
洗面台の鏡に映すと、そこには魅惑的な裸体のオンナが映っていた。
髪や胸以外にも、ウエストは大きく括れ、腰は艶かしい曲線を描いていた。
(これだけ体型が変わってしまっては、女悪魔の用意した服が着れるのだろうか?)
そんな事を考えた俺の頭の片隅で新たなスイッチが入った。
(えっ?)
と思う間に鏡に靄が掛かる…いや、俺の全身が何かに包まれていた。
ぎゅっと胸が締め付けられ、大きく膨らんだ乳房が持ち上げられた。
ウエストも同様に帯のようなもので締め付けられ、背後に大きな結び目ができていた。
靄が晴れると、豪華なドレスに身を包んだ「俺」が映っていた。
髪が結い上げられ、ティアラが乗せられている。耳にイヤリングが掛かり、顔には扇情的な化粧が施されていた。
いつの間にか靴を履かされていた。踵が高く押し上げられている…
まるで魔法で変身したシンデレラのようだった。
(これも「力」なのか?!)
いや、それ以外には説明が付かない。無から服や飾りを生み出すことなど有り得るものではない…が、あの女悪魔はそれをやっていたのだ。
そして、現在のこの状況だ。これが魔法使いの衣装であれば、箒に跨がって空を飛んでみようと思ったかも知れない。前回の「力」が出せれば、不可能ではないのだ。

しかし、俺は何故そのような「力」を使おうとしないのだろうか?薬の効果を確認する為にも、多少は空中浮遊を行っても良い筈である。
お姫様ドレスのままでは動きが取れないのを理由にしているようだが、根本的なところで「力」の行使に抑制が掛かっているようだ。

(攻撃性を抑え過ぎたか?)
俺は「力」を使いドレスを消すと、別の服を纏った。おとなし目のOL風の服だ。
確かに便利な「力」ではあるが、このようなことに浪費していて良いものだろうか?そんなことを考えつつ、いつもの白衣を羽織った。

 

再び薬の調合を始めた。
今度は抑え込まれていた「攻撃性」を引き出せるように調整してみた。薬の基本構造に手を加える訳でないので、時間を掛けずに作ることができる。
俺は早速に薬液を注入器に移すと、俺の二の腕に注入口を当てた。
新たな薬液が血管に入り込み、俺の体全体に巡ってゆく。全身に「力」が満ち、体の芯が熱く燃え上がるようだ。

「ああっ…」
思わず口を吐いた溜め息は、かなり艶かしいものがあった。
(調整を間違えたのだろうか?)
体の芯が燃えあがるような感じは一向に治まる気配がない。

俺は胎内に疼きを感じていた。
体の内にある「女性器」が異様に活性化しているようだ。
子宮が熱を帯びている。膣壁が波打ち、体液…愛液を滴らせている。
乳首が硬く勃起していた。そこを触れられ弄られたいと疼いている。
この肉体が「女」として「男」に抱かれることを欲していた。これもまた牝の攻撃性の現れなのだろう。

しかし、ここには「俺」しかいないのだ。自ら慰めるしかない。が、女の場合、どう慰めれば良い?

俺はふらつきながらも服を脱ぎ、ベッドに上がった。
「あうっ!!」
乳首に触れただけで、快感が全身を駆け巡っていった。
息を整えながら、手を胸から下に降ろしてゆく。
腹の上を這い進み、下腹部の割れ目に到達する。指先を濡らすものがある。
片脚を膝立て、割れ目の中に指を送り込んでゆく…

「ひゃん!!」
指先が敏感な部位に触れた。亀頭に触れたときの数十倍も感じる。
(これがクリトリスか?)
俺はあまり刺激を与えないようにして、更に奥に指を送り込んだ。

膣の中に指先が侵入してきたのを感じた。が、それだけでは疼きは収まらない。
(一本で足りなければ…)
中指だけでなく、人指し指、薬指も投入する。
(長さが足りない?)
俺は「力」を使い、適当な長さと太さの棒を作った。
先端を丸めて、膣口に押し当てる。と、棒はするりと呑み込まれた。
棒は膣内を満たした。が、まだ何かが足りない。
俺は棒の形状をペニスに近づけた。するて、挿抜を繰り返す度に膣壁を擦るようになった。
(少しは改善されたが、まだだ…)
「力」を使い、棒自身が捩れ、振動するようにした。
「んあん♪コレだっ!!」
俺は自ら作り出した疑似ペニスに貫かれた。快感が刺激される。
「あう、あああん。ああ~ん♪」
快感はエスカレートし、俺は女のように媚声をあげ、悶えまくっていた。
「ああ…イクの?イッちゃう~!!」
俺は絶頂に達した。頭の中はまっ白になって、意識か遠くに飛んでいってしまったようだった。

 

「おや♪お楽しみ中でしたか?」
突然、乱入してきたのは女悪魔だった。
「なかなか見事に変身したわね♪」
「な、何をしに来たんだ?」
「貴方に興味があったからね。その後、どうなったか気になってたのよ♪」
「これ以上、俺には関わらないでくれ!!」
「そんなコト言って良いのかしら?まだ疼きは治まってないんでしょ?」
「そうだとしても、お前の世話にはなりたくない!!」
「でも、その疼きを鎮めるには貴方一人では絶対に無理よ♪」
「それでもだっ!!」
「そんなコト言わないで、ボクに任しちゃいなよ。身も心もね♪」
「それは…」
俺が拒絶する隙も与えず、奴は俺に触れてきた。
「イやっ!!…んあ~ん♪」
自分で触れたとき以上の快感が襲ってきた。
一気に思考が停止し、肉体が快感を追い求める。
「そう来なくちゃ♪」
奴は嬉しそうに自分の服を脱いでいった。

 
「な、何だソレは?!」
俺は奴の股間に屹立する男性器を見留めた。
「今の貴方…貴女にはコレが必要なんでしょ?元々ボク逹には性別なんてないんだ。牡化するのも簡単なコトだよ♪」
と、奴が俺の上に伸し掛かってきた。脚を割って股間に入り込む。
奴の見た目は女の体にペニスを生やしただけであったが、その強引さは「男」そのものだった。
腕力もまた「男」になっていて、俺が奴の侵入を拒もうと脚を閉じようとしても、何も意にすることはなかった。

ぬっ…と奴のペニスが俺の膣に押し入ってきた。
「どう?紛い物とは全然違うでしょ♪」
俺は何も答えることはできなかった。
膣は勝手に奴のペニスを咥え込み、奥に送り、そこから精液を搾り取ろうとしていた。
子宮も盛んに反応している。精液を余さず吸い取ろうと待ち構えているのだ。
「妊娠なんてする訳ないから、安心して受け取ってね♪」
子宮逹の動きを察して、奴は精液を放出した。それは塊となって送り込まれるのではなかった。
俺の子宮から膣までを奴の精液で満たそうとするかのように、どくどくと送り込まれてきた。

そして、俺の胎内が精液で満たされたことで、どうしようもなかった疼きが一気に鎮まっていた。
と、同時に「力」を抑制していたモノが取り払われた感じがした。
ゆっくりと浮遊してみる。
奴と二人分の重さがあるが、難無く天井近くまで持ち上げられた。
「貴女の薬で発動する力の源は肉体に蓄えられた男性性なの。だから、ボクが男性性を送り込んだから力が使えるようになったんだよ♪」
奴の言うところについて、何となくイメージはできた。
「つまり、力を使うにはお前の精液が必要だという事なのか?」
「別にボクのでなくても大丈夫だよ。それにいちいちセックスしなくても、少し効率は悪いけど、口から飲んでも効果があるよ♪」
と、俺の前で勃起したペニスを揺らしていた。
「そんな事をして、俺が即にソレを咥えると思ってるのか?」
と、口では抵抗していたが、俺の体は俺の意思とは関係なく、ソレに手を伸ばしていた…

 

 
俺は、この「人体強化薬」を世に出す事を諦める事にした。
何回か改良を試みたが、男が「力」を使うと女性化してしまうのを避ける事ができそうになかったからだ。更に、女性に薬を与えても「力」を使うためには男性性が必要であり、男性性を求めるあまり、極度の淫乱症状に陥ることも避けられなかったからだ。
勿論、人体実験は俺自身にしかしていない。が、この結論は変わりようもない。

それ以前に、俺自身が「力」に対する欲求・欲望を失ってしまっていた。
それは「力」が男性性な象徴であったからなのかも知れない。俺自身から男性性が失われた事で「力」に対する興味も失われてしまったのだろう。
逆に「女」になったことで、自らを美しく着飾る事に興味が向いていた。
…いや、着飾る事は単なる手段でしかないかも知れない。
「力」の源である男性性を取り込むために行われるセックスの快感に魅せられてしまっていた。より良い快感を与えてくれる男性を引寄せるために、他の女よりも俺の方が魅力的であることをアピールする…より美しく着飾る事に熱心になっていった。

 

夜の闇が訪れると、俺は空に舞い上がる。「力」を使い、今日のターゲットをサーチする。
「今夜アタシを悦しませてくれるのはだぁ~れ?」
俺の放射した「力」にいくつかの反応が返ってくる。
「みぃ~つけた♪」
一段と輝きを増している反応を返してきた場所に降り立つ。
そして「彼」を見つけた。
既に、俺の胎内では女性器逹が期待に疼き始めている。
俺は「彼」に声を掛ける…
「ねぇお兄さん♪アタシと付き合わない?」
俺と視線を合わせた男は俺の虜となる。
俺は「彼」の腕に絡み付くように体を添わせ、濃密な一夜を過ごす場所に向かい、繁華街の光の中に埋もれていった。

« 勇者の凱旋(前編) | トップページ | 暗示 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 悪魔の囁き:

« 勇者の凱旋(前編) | トップページ | 暗示 »

無料ブログはココログ