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2014年8月16日 (土)

CM

Photo
もう誰かやっていると思うけど、電車の広告を見ていてパパッと作っちゃいました。

2014年8月 7日 (木)

RPG

電車の車窓を赤く燃えているような塊が過っていった。
「翼竜め。とうとう居場所を突き止めたか!!」
俺の隣で携帯ゲーム機を手にした男が呟いていた。
「先ずは防御結界が必要だな。グライツ、頼むぞ。」
男がそう呟くと、男を挟んで俺の反対側にいたサラリーマンが立ち上がった。
一瞬後、彼の服が魔導師のローブに変わっていた。彼は手にした杖を掲げ呪文を唱え始めた。
が、一瞬遅かったか、頭上を掠めた翼竜の火焔弾が電車の屋根を吹き飛ばしていた。
「ドワーフ達。時間を稼いでくれ!!」
すると、吊革に掴まっていた人々が男女を問わず小柄で筋肉質のドワーフになっていた。
斧やこん棒を手に、半裸のドワーフ逹が車両の後方に向かって走ってゆく。
そのまま、手にした武器を翼竜に投げつける。
翼竜が怯んだ隙に、どうやら結界が完成したようだ。

「メルン、ラキア。行け!!」
俺の向かい側で不安に見詰め合っていた女子高生が、奴の呟きに反応して立ち上がった。
セーラー服が露出度の高い女性用防具に変わる。素足にサンダルを履き、手には弓矢が握られていた。
メルン、ラキアとなった二人は左右の椅子に上がり、弓を引くと慎重に狙いを定めた。
ブン!!
と矢が放たれた。
白銀の矢は翼竜の羽根の付け根に突き刺さった。
翼竜が叫び、高度を落とす。羽ばたきが止まっていた。
が、今だ仕留めた訳ではない。
翼竜は群がって来るドワーフ逹を片端から払い退けている。
その体力は尽きる事がなさそうだ。
「フィレーネ。お前が止めを差してこい!!」
奴の目が俺を捉える。
(つまり、俺がフィレーネってか?)
俺は無意識のうちに立ち上がっていた。
服が、メルン逹と同じ防具に変わる。勿論、女性用だ。
俺の肉体も女になっていた。胸当てを押しあげるように乳房が盛り上がっていた。
剥き出しの腕は贅肉もなく、細くしなやかだ。(が、筋力は高まっているようだ)
両手に刀が握られていた。俺=フィレーネは軽々と刀を振り回すと、翼竜に向かって走りだしていた。

みるみると翼竜が近付いてくる。
「はあーーーっ!!」
と叫ぶ声は、その姿に似つかわしい美しい女声だった。
俺はジャンプしていた。
それまで俺がいた場所を翼竜の尾が薙ぎ払っていた。
飛び上がっていなければ、まともに一撃を受けていただろう。
そのまま空中で体を反転させる。
俺の目は一瞬たりと翼竜から離れることはなかった。
俺は翼竜の即脇に着地していた。
そのまま刀を水平に旋わす。
翼竜の脚の腱を切り裂いていた。
翼竜はバランスを崩すが振り回される尾の力は衰える事がない。
飛び退き、間合いを取る。
翼竜が俺を睨み付けていた。

翼竜の動きが一瞬止まった。
メルン逹はその時を待っていたかのように第二射を放っていた。
それぞれの矢が翼竜の目玉を貫いていた。

翼竜が咆哮する。

今を逃してはならない。
俺は翼竜の懐に飛び込んだ。
短刀で翼竜の喉を切り裂いた。
激しく血が飛び散る。
翼竜の動きが鈍る。
(心臓の位置は?)
俺の脳裏には翼竜のスケルトンが浮かびあがっていた。
心臓の位置、それを守る胸骨の並び、その隙間の場所が翼竜の胸にマーキングされる。
俺は両手で長剣を構えると、真っ直ぐにマーカーに突き立てていった。

切っ先が翼竜の心臓に届き、突き破った。
刺した場所から、一気に血が噴き出してきた。
俺はその血を盛大に浴びていた。
「俺」の意識は生臭さに閉口していたが「フィレーネ」は翼竜を倒した事を実感し喜びに溢れていた。

(アリエナイ!!)
俺はフィレーネとしての歓喜を圧して心の底から叫んだ。
翼竜が現れるなど、ゲームの世界の話でしかない筈だ。
人々が変身して戦うなど、現実世界にあってはならない!!

 
俺がそう意識したのがきっかけかは定かではないが、目の前に倒れている翼竜の姿が霞んでいった。
と同時に、翼竜に破壊された施設が次々と元通りになってゆく。
遅れまじとドワーフ逹が車両に戻る。
吹き飛ばされた屋根が復元されると、ドワーフ逹は姿を消し、いつもの車内の風景が戻っていた。

!!っ。それを眺めている「俺」はまだ車両の外にいた。
破壊された箇所は修復され、ドアも閉じられている!!
電車は動き始めていた。

俺は線路上に取り残されてしまった。
ファーン!!
と遠くから警笛が近づく。次の電車がやってきていた。
俺は慌てて線路脇に避ける。

ガシャッ!!

耳慣れない音がした。
刀の鞘が線路脇の壁に触れたのだ。
(刀?)
俺の腰には大小二本の刀が差されていた。
(変身が解けていない?)
俺は胸元を覗き込んだ。
そこには、膨らんだ胸と、胸に押しあげられた胸当てがある。
俺は女性用防具をまとった「フィレーネ」の姿のままであった…

暗示

ヘッドホンを外した。

ボクはそこが自分の部屋のベッドの上である事を確認する。
今まで聞いていたのはネットから入手した催眠音声だ。
ちゃんと解除音声まで聞いた筈だけど、まだ少し催眠暗示の効果が残っているみたいだ。

勿論、勉強の為の暗記学習なんかではない。18禁のアダルト版だ。つまり、ボクは催眠効果の中でセックスを経験してきたのだ。
当然の事だけど、ボクは童貞で、特定の恋人もいない。…と言うより、催眠効果の中では、ボクが本来経験できない立場でのセックスをしている。
ボクは「女の子」として男に抱かれ、彼のペニスで膣を貫かれ、胎内を精液で満たされるのを疑似体験していたのだ。

その時の精液が、まだ胎内に残っている感じ、膣に挟まったペニスの感じが引き続いている。
しかし、胸に手を宛てても、彼に揉みしだかれた乳房は存在しない。
ズボンの中に手を入れると、おしっこをするだけの器官に手が触れる。勿論、その裏側に膣口が開いている訳ではない。
股間は汗で少し濡れているが、あれ程淫らな音を発てていたボクの愛液や彼の精液は痕跡さえ残っていない。
全てはボクの頭の中だけに繰り広げられた幻でしかない…

 

 
金曜の夜から日曜にかけては十分な時間があった。
ボクはパーフェクト版を試してみる事にした。
ベッドの上に寝て、ヘッドホンを装着すると、再生を開始した。流石にパーフェクト版だけあって、一気にいつもより深い催眠状態に落ちていった。

「意識はありますか?」
ナビゲータの女性の声が聞こえた。ボクの頭の中では様々な情報が混沌と押し込まれたような感じで、少しふらつくような気もした。
「大きく深呼吸しましょう。さあ、吸ってー…」
ボクは女性の声に従い、深呼吸をした。少し落ち着いた感じになる。
「先ずは最初のミッションです。貴女の頭の中には、既に必要な物が何かは詰め込まれています。貴女の部屋の中を確認して、不足しているものを洗い出してください。」
ボクはヘッドホンを外して立ち上がると、引き出しの中などを探してまわった。
見つかったのはタオルやハサミなどものの数点だけだった。
再びヘッドホンを着けると次の指示があった。不足しているものをネットショッピングで購入するのだ。
ボクは何の疑いもなく、化粧品や女の衣服を発注していた。
「夜更かしは美容の大敵よ。今夜はもう寝ましょうね♪」
ボクは何も考えることなく、彼女の指示に従っていた。

 
朝、目が覚めるとシャワーを浴びた。それは寝汗を流すだけでなく、無駄毛の手入れも含まれていた。
体毛を剃り落とし、肌から石鹸の臭いがするくらい刷り込んで仕上げた肌は、ピチピチ・スベスベになっていた。
そう、ボクはまだ催眠暗示の中にいた。寝ている間に更にさまざまな指示が与えられていた。
ボクは何の疑いもなく、指示された事を実行していった。
時間指定で届いた宅配便の箱から、下着を取り出し身に着ける。
勿論、下着はブラとショーツ…女の下着だ。更に、ミニのスカートにブラウス。カーデガンを羽織った。
次に、机の上に鏡を立ててお化粧を始める。
これまでもお化粧はさんざん疑似体験してきたので、手順に不安はない。
目の周りを決め、眉毛を整える。髪の毛が短いのでボーイッシュにまとめた。
唇にグロスを塗ってお化粧はとりあえず完成。
(ネイルまでやりたかったが、初心者じゃ時間的に無理よね♪)
お化粧の終わった姿をスマホに撮って指定されていたURLに送付した。

今度はスマホにステレオイヤホンを付けて次の指示を待った。
「お腹が空いたでしょ?外に食べにいきましょう♪」
ナビゲータの指示に従い、ボクはポシェットに必要なものを入れて、踵の高いサンダルを履いた。
駅前まで出てきた。
コーヒーショップでサンドイッチとアイス・カフェオレを頼んだ。
昨夜から何も食べていなかったのだが、何故か即にお腹がいっぱいになってしまった。
カフェオレをストローで少しずつ飲みながら、ボクは次の指示を待っていた。
「もう少ししたら男性が現れるわ。貴女の事をミカと呼ぶからハイと返事してあげてね♪」
(男性?)
「これから先は彼がナビゲートしてくれるから、スマホは切っても良いわよ。」
ボクはイヤホンも外し、その男性を待った。
(どんなヒトが現れるのかしら?)
ボクがわくわくしていると、30台後半のスポーツマン風の男性が近付いてきた。
「ミカちゃん?」
彼がボクに声を描けてきた。
「ハイ。」
言われた通りに答える。
「写真より可愛いね。」と彼
「写真?」
「ほら♪」
彼がスマホを操作すると、画面に今朝お化粧済ました後に撮った画像が表示されていた。
「君の今回の経験をお手伝いさせていただきます。佐伯と言います。よろしく♪」
「お手伝い…って?」
「ここからは僕がナビゲーションするから。聞いているよね?」
「は、はい…」
そこまでは女性ナビゲータから聞いていた通りだ。
「君は男性に抱かれたいのに、なかなか自分から行動できずに催眠音声に頼っていたんだろう?」
唐突な彼の言葉だったが、ボクは否定する事もできず首を縦に振っていた。
「そして、パーフェクト版を使う事にした。君はパーフェクト版についてあまり理解せずに始めたんじゃないか?」
恥ずかしさに消え入りそうだったが、またも首を縦に振る。
「パーフェクト版では、〈疑似〉ではなく実際に男性が相手をして〈本物〉を経験できるようになっているんだ。君のこれまでのアクセス履歴から、君の嗜好に合った男性として僕が選ばれたんだ。」
確かに彼は(女の子としての)ボク好みであるには違いない。が…
「これから僕が君をエスコートして、君が望んでいたコトを現実に経験するお手伝いをしてあげるんだ。」
「経験…って…本当にスるとこまでやるんですか?」
「…えっと、君はまだ処女なのかな?痛くはないようにするけど、どうしても処女のままでいたいと言うなら、やり方を変える事もできるよ♪」
「そ、そう言う訳じゃないけど…」
彼にはボクの事をどうやって伝えれば良いのだろうか?
ボクが本物の女の子でない場合まで彼は想定しているのだろうか?
ホモの場合、お尻の穴を使うって言うけど、そうなっちゃうのかな?
でも、ボクはホモなんかじゃないんだ。女の子として抱かれるのが良いんだ…

 

「ん……」
ボクは彼にキスされていた。唇を密着させる大人のキスだ。
それは、ボク自身の現実世界での初めてのキスだった。
抱き締められ、息を吸われて頭がぼーっとしてくる。
ここが、ホテルの一室であることは朧げに理解していた。
彼の手で服が脱がされてゆく。
スカートのファスナーが外され、足元に落ちると、下着だけのボクはお姫様だっこされていた。

ベッドに寝かされ、ブラの上から彼の手がボクの乳房を揉み上げてゆく。
(これは疑似体験ではなく、本当にボクの胸が揉まれているんだ♪)
彼の手が胸元からブラのカップの中に入ってくる。
パット越しではなく、彼の指が直接ボクの肌に触れていた。
「んあんっ♪」
彼の指に乳首を摘ままれ、ボクは声を上げていた。

「君は処女じゃないって言ってたよね?」
ボクは首を縦に振る。
「でも、実際の男性経験も無いんだろう?」
再び首を振る。
「そうだよね♪」
彼は合点がいったようだ。
「君のような娘には、ちょっと特別なメニューが必要だね。すこしチクリとするけど我慢してね♪」
と腕にアルコールを塗ったようなスッとする感覚があり、チクリて針が差し込まれた。
薬液が注入されてくる。
「副作用はないから心配しなくて良いよ♪」
針を抜いた跡を彼が優しく揉んでくれた。
体が暖かくなる。頭の中が霧の中に埋もれてゆく。だけど、彼の声だけははっきりと聞こえていた。
「今の君は、僕に抱かれようとしている〈女の子〉だ。それ以外の何者でもない。」
ゆっくりと、彼はボクに言い聞かせるようにそう言う。
(今のボクは女の子…)
それが催眠暗示の続きである事に気付くことはなかった。
「他の娘より多少発育が遅れているけど、ちゃんと胸で感じる事ができたでしょう?」
(うん。乳首を弄られて声をあげちゃった♪)
「君はちゃんと〈女の子〉になっているんだよ。勿論、お股もちゃんと女の子になっている…」
(お股…って?)
「脚を広げてご覧♪お股の縦筋の中には、女の子の証のクリトリスがあり、その先には膣口が開いているよ♪」
ボクが自分の股間を覗き込むと、彼が股間の縦筋を開いて膣口に指を充てていた。
「ほら、もうじくじくと愛液が染み出てきているだろう?ココはちゃんと男性を受け入れる準備ができているんだ♪」
「っああっ!!」
彼の指が少しだけ、ボクの膣の中に入ってきた…
「大丈夫。君は問題なく男性を受け入れる事ができるよ♪」
彼の指がクニクニとボクの膣口を揉み解していた。
「じゃあ、いくよ♪」
彼の言葉にボクは首を横に振っていた。
すると彼が伸し掛かってきた。

全裸の肌と肌が触れ合う。
彼の暖かさが伝わってくる。
広げられた股間に、彼の腰が降りてくる。
膣口に触れたのは彼の指ではなく、ペニスの先端?

「息は止めないで、ゆっくりと、大きく…」
彼に誘導されながら、すー、はーと深呼吸を繰り返す…

  ずんっ!!

と、彼のモノがボクの中に潜り込んできた。
「感じるかい?僕は今、君の中にいる。君と僕は繋がっているんだ♪」
ボクは首を縦に振った。
「よい娘だ♪じゃあ、激しくいくぞ!!」
彼が動き出す。ボクの中でペニスが動いている…快感が沸き上がってくる♪
「ああ、いいっ♪」
「お前も、僕との相性は最高だ♪良い感じに締め付けてくるぜ。」
ボクは彼のペニスの先端が子宮口に触れるのを感じていた。
(…子宮?)
一瞬、違和感を感じた。が、違和感は即に霧散する。
(今のボクは女の子なんだ。彼のペニスを受け入れているのは膣だ。その先に子宮があるのは当然じゃないか♪)
ボクは単純に納得していた。

そして、ボクは彼の手で次々と快感を開発されてゆく。
その度に高みに放り上げられる。
「ああ、またイく♪イっちゃう~!!」
彼の精液が膣の奥に打ち付けられる。
快感に絶叫する。
頭の中が真っ白に染め上げられた…

 

 

ボクは気を失っていたようだ。
ホテルのベッドの上である事は既に把握していた。が、部屋の中はボク一人のようだ。
彼の姿はどこにもない。が、ボクの脱いだ服は綺麗に畳まれてテーブルの上に置かれていた。

頭の中はまだぼーっとしていた。
確かにボクは現実世界で(疑似体験ではなく)女の子として彼に抱かれ、貫かれ、イかされたのだ。
ボクはハジメテを経験し、処女ではなくなった…筈だ。

けれど、本当にそれは実際に実体験したものだったのだろうか?
ボクの体に付いた汚れ…彼の精液やボクの愛液(?)…は綺麗に拭われていて、それが存在していた事を確認できなくしていた。
胸は元通り、平らに戻っている。
催眠暗示から醒めたボクは自分が「男」である事を認識していた。

まだ頭の中はぼーっとしているが、いつまでもホテルに居続ける事はできない。
下着だけの半裸状態であったが、先ずは服を着なくてはならない。
しかし、着てきた服は女物だった。(勿論、着ていた下着も女物だ。)
昨日は自分を「女」と思い込んでいたのでそうは思わなかったが、女物の服を着るということは「女装」するという事だった。
疑似体験で覚えた化粧もして、完璧な「女装」でホテルを出た。
お日様は高く、もうすぐお昼の時間になるようだ。
日曜の駅前には人々が行き交っている。「男」も、「女」も…
女の服を着たボクは「女」として認識されているのだろうか?
そんな事を考えながら、ぼーっとしたまま部屋に戻ってきたボクは、それ以上何も考える事ができず、結局夜寝るまでスカートを穿いたまま過ごしてしまっていた。

 

 

それは次の土曜日の事だった。
それまでの一週間はこれまでと変わらずに過ごしていたが、その日のボクは何故か朝からスカートを穿いていた。
そして運命の電話が掛かってきた。
スマホから呼び出し音が流れて、耳に当てる。

『ミカ?』と彼の声。
彼の声を聞いた途端、股間がむずむずしていた。
(催眠暗示の影響?彼の声に反応したのか?)
『出れる?』と彼。
ボクは「はい」と答えていた。

電話を切ると、即にも出かけたい欲求を圧して、股間のむずむずの正体を確認すべくトイレに入った。
スカートをたくしあげ、ショーツを下ろして便器に座る。
そして、股間を覗き込んだ。
(…)
ボクの股間には縦筋があり、割れ目は少し湿り気を帯び始めていた。
(いつの間に女の体になった?いや、そもそもこの一週間、ボクの股間にペニスは存在していたか?)
記憶を辿る。確かに、立って小便はしていなかった…

 
ボクは先週の喫茶店で彼と待ち合わせ、そのままホテルに向かった。
その晩も彼に抱かれ、次々と快感が開発されていった。
そして、快感に意識を失う…

「さあ、これでパーフェクト版もエンディングだ。君に最期の暗示を与えるね♪」
彼の言葉に、今日彼と会う事が予め設定されていたものだったと気付いた。
「君は現実の男性に抱かれる事を怖がっていた。だけど、実際に僕に抱かれ、本当の女の快感を得ることができた。それは今夜も確認できた事だよね?」
彼が優しい目でボクを見つめている。
「もう怖くないね♪今の君は充分に魅力的な女性だよ。だれにでも声を掛けてごらん。きっと応えてくれるよ♪」
そう言ってボクに口づけをする。
うっとりとして瞼を閉じる。
しばらくの後、彼の唇が離れる。
余韻を惜しむかのように瞼を開くと、
もうそこには彼はいなかった。

 

ボク…あたしは立ち上がった。
あたしはもう一度、自分が「女」である事を確認した。
(そう♪もう何も躊躇うものはないのよ!!)
あたしは自信をもって街に出ていった。

 

悪魔の囁き

「またしても失敗かっ!!」
俺は手にしたフラスコを壁に投げつけていた。

ガラスの割れる音を聞き付け、掃除ロボットが活動を開始していた。
気が付くとガラスの破片や飛び散った溶液は綺麗に無くなっていた。
それがまた俺の気分を逆撫でるのだ。

「怒ってばっかりいると、良いインスピレーションも沸いて来ないんじゃない?」

女の声に顔を上げる。
「な、何者だ?貴様は!!ここには誰も入って来れない筈。」
「人間ならね♪ボクは人間じゃないから♪」
とニヤリと笑うそいつは、宙空に胡座をかいて浮かんでいた。
「人はボク逹のことを悪魔って呼んでるようだけど、悪い事は何もしていないんだよ。ただ、こうやって悩んでいる人の所に行って適切なアドバイスをしているだけさ♪」
「アドバイス?」
「実験が上手くいっていないんでしょ?やはり、人間と動物じゃ同じ結果は出て来ないよ。無駄な事はやめて人間で実験することをボクは奨めるね♪」
「そ、それこそ悪魔の囁きではないか。実験データが揃わぬうちに人体実験など許されるものではない!!」
「アタマ硬いんだね♪でも、それじゃあいつまで経っても成果は得られないよ♪」
「うるさい。邪魔するなっ!!」

俺が追い払う仕草をすると、奴はフッと消えていた。

 

「ふ~~う」
俺は大きくため息を吐いていた。
(人体実験か…)
言われなくとも、幾度となくその誘惑に駆られそうになったことがある。が、科学者としての倫理観が、絶対にそれを許さずにきた。
(が…)

もう、手詰まりだった。どのような事をしても思うような結果が得られない。
(理論上は問題ないのだ!!)
焦躁に駆られる。
…人体実験…
いよいよ悪魔の囁きに動かされそうになる。
(そう、理論上は問題がないのだ…)
考えられるリスクは…これまでの動物実験でも、効果が現れなかっただけで、想定外の副作用は何もなかったではないか…
そう、最終的なリスクは俺自身が負えば良いのだ!!

 
俺は再び薬品の調合を開始した…俺自身を被験者とする人体実験のために…

 

 
「薬は出来たかしら?」
再び、俺の前に女悪魔が現れた。
何故ここにいる?と聞くより早く
「面白そうだからね♪ボクが見届けてあげるよ。何なら、ビデオを回してあげようか?」
そうだ。俺自身を被験者とした場合、記録を取る事ができない。心拍モニタ等は常時接続し、固定カメラを用意する事まではできたが、細かな記録を取る事はあきらめていたのだ。
が、そんな事を得体の知れない人間に…悪魔に委ねて良いものなのだろうか?
「まずければ使わなければ良いだけでしょ?」
そう言われ、仕方なく予備の機材を奴に渡した。

ビデオが回り始める。俺は薬液を注入器に移すと、俺の二の腕に注入口を当てた。
薬液が血管に入り込み、俺の体全体に巡ってゆく。

俺が開発してきたのは「人体強化薬」だ。単に筋力をアップさせるだけでなく、通常は眠っているような器官まで活性させ、人体の保有する能力を100%解放できるようにするものなのだ。

全身に「力」が満ち充たるような感じがしてきた。体の芯が熱く燃え上がるようだ。
このまま天井に気合いをぶつければ、屋根ごと吹っ飛んでいきそうな感じがする。
…いや…
気を集中した途端、体がベッドから浮き上がっているではないか?
そのまま空宙で90度体を起こした。頭が天井に近くなる。手を伸ばせば…掌が天井に触れていた。
「どお?案ずるより産むが易しでしょ♪」
カメラを手にした女悪魔が空中で俺に近付いてきた。
こんな状態は俺も想定していなかった。今の状態は、固定カメラではフレームアウトしてしまっている。が、奴のカメラには浮遊する「俺」が写されている。
「これ程のものとは思わなかった。まるでSFマンガに出てくるスーパーヒーローではないか!!」
「別に薬など使わなくても、ボクが手助けしてあげれば誰だってスーパーヒーローになれるんだけどね♪」
「つまり、過去にもこういう状態になった人間がいるという事か?」
「そうだよ♪そういった人たちが神話などに語り次がれてきたんだ。」
「話がデカくなってきたな。まあ良い。無駄口はこれくらいにして、人体強化の成果を計測する。」
俺は床に降り立ち、測定器の前に進んだ。
「止めといた方が良いよ。装置を壊すのがオチだよ♪」
俺は女悪魔の言葉には耳を貸さず、最初に握力計を手にした。
…が、簡単に針が振り切れただけだった。ビンッ!!と、握力計の中でバネが外れたような音がして、俺は計測を諦めた。
「ほらね♪それに、そろそろ薬が切れるみたいだよ。時間は有効に使わなくちゃ♪」
「バカな。半日は持続する筈だぞ。」
「貴方の想定した程度の人体強化だったらね♪でも、貴方は空中浮遊もやってるし、常に力を解放し続けてるでしょ?ボクのように外部から魔力を補充してる訳じゃないでしょ?自分の持っているエネルギーが尽きてしまえばそこまでなんじゃない♪」

確かに、これだけのコトをやっているのだ。どこかで帳尻を合わせる必要がある。下手をすると命に拘わる?
俺は慌てて「力」を解放するのを止めた。
…一気に重力を感じる。かなりの体力を奪われたようだ。体を立てて支える筋力も残っていなかった。
俺は床の上に崩れ落ちた。その脇に女悪魔が降り立ち、足で俺の体を転がす。
俺には何の抵抗する力もなく、仰向けにされた。
「流石に最後の所で留まったわね♪でも、これから薬の副作用が始まるみたいよ。ちゃんとカメラに納めておいてあげるからね♪…」

俺は遠くに女悪魔の声を聞きながら意識を失っていった。

 

 
気が付くと、俺はベッドに寝かされていた。体には毛布が掛けられ、更に寝着も着せられているようだ。
上体を起こし、ベッドの縁に腰かけた。薬の所為か、体には違和感があった。
消耗したのは体力だけではなかった。体に蓄えられた栄養分もかなり失われているようだ。
目の前にかざした手は、骨と皮だけのように細くなり、その肌の色も褪せて白くなっていた。
寝着の内側の腕や脚もガリガリになっている事は想像に難くない。
只、寝ていた事で、体を起こす程度には体力は回復しているようだ。

「はーい♪目覚めたかな?」
奴の声のした方に目を向けた。
そこにはモニタが起動しており、女悪魔の顔が映っていた。
俺が動き始めたのと連動して起動するようにしていたのだろう…
「起きたばかりで、まだ現状認識ができていないと思う。まあ、ボクの撮った映像を見てもらえば、何も言わなくても良い筈だよ。ではキューッ♪」
モニタの画面から奴が消える。早送りしているので音声はない。
映像は俺が宙に浮かんだ状態から、床に降りた所から始まっていた。

力なく床に崩れ落ちる俺。奴が脚で全裸の俺を転がす。
仰向けにされ…俺は意識を失ったようだ。
既にその時点でも腹は凹み、腕や脚が細くなっていた。
が、肌の色はまだ変化していなかった。脂肪、そして筋肉が失われ皮膚は萎んだ風船の表面のように多数の皺が刻まれていた。
が、しばらくして臍を中心に変化が始まった。
皺が延び平坦な皮膚に変わる。同時に皮膚の色も白くなり、体毛も抜け落ちていった。
カメラは変化の先端を追ってゆく。視点は下に降りていった。
そこは剥き出しの股間であった。奴が俺の脚を圧し開き、局部を露にさせた。
(変化がソコに及ぶ?!)
皺だらけの皮膚が平らになり、陰毛まで全て抜け落ちた。皮膚の色が白くなる。
その同じ事が更に続く…
皮膚の皺が消えるように、股間の突起も均されしまった。
白く、平らになった股間には、更なる変化が待っていた。
そう、なにもなくなった股間に縦に筋が刻まれた。女悪魔の手が、その筋に延びて押し広げる。
それが自分の股間だとは思いたくなかった。
そこに在ったのは「女性」の股間…そのものだった。

画面が切り替わる。俺の全身が写し出された。
変化は首から上と手足の先端を残すだけとなっていた。変化を終えた胸には僅かではあるが膨らみがあり、それはどう見ても「男」の胸ではなかった。
カメラは頭部に寄ってゆく。
首の変化が終わっていた。白く、細くなった首には当然のように喉仏の出っ張りはなかった。
皺だらけの顔から皺のない顔に変わってゆく。無精髭が抜け落ち、眉毛も取り払われた。
何故か睫毛と頭毛はそのまま残されていたが、皺の取れた顔はどう見ても若い女の顔だった。
肌は白くきめ細やかでしっとりと弾力もありそうだ。肌の白さで余計際立つのか、ぷるりとした唇が紅く輝いていた。
頬にはほんのりと赤みが差している。化粧をしているようには見えない。健康的な美しさがあった。
(これが俺なのか?)
「じゃあ、続きは自分で確認してね♪」
奴の言葉とともにモニタが切れる。
俺の手は無意識のうちに胸に当てられていた。
男の胸にはない「膨らみ」がある。
手は下に下りる。
寝着の上からではあったが、股間には男の象徴の存在が感じられなかった。

立ち上がる。
部屋の中に洗面台があり、そこには鏡があった。
俺は洗面台の前に立った。
(背丈も少し縮んだか?)
顔を上げる。
そこには「若い女」が映っていた。
ビデオに記録されていたのと同じ顔だ。
その中で「俺」である事を確認できたのは髪型だけであった。
「本当に俺なのか?」
そう発した声は、もう「俺」の声ではなかった。甲高い「女」の声で俺の耳に届いてきた。

 
肉体の変化の確認を続けた。寝着のボタンを外してゆく。
奴はご丁寧にも女物の寝着を着せてくれていた。ボタンの左右が逆なので、外すのにも苦労する。
寝着の前をはだける。ビデオで確認していたものが、そこにあった。
鏡越しではなく、直に確認する。
僅かではあるが、確かに胸は膨らんでいた。それ以上に乳首がぷっくりと膨れている。多少の胸の膨らみは「贅肉だ」と言い張れても、この膨らみはこの体が「女」のものである事を隠しようもない。

更にその下を確認する。言わんがかな、そこは女性用の下着に覆われていた。
ピタリと下腹部に貼り付くような布の下には勿論男性器があるようには見えない。
ショーツの縁に指を掛け、脱ぎ取る。その際に股間を直視するが、そこにはビデオと同じ縦筋が刻まれていた…

 
「か、確認はここまででよしとするか。今は薬の成果を確認し、副作用を抑える方法を検討するのだ!!」
部屋の中を確認すると、女悪魔が用意しておいたのだろう女の衣服が置いてあった。俺はその服を着、白衣を羽織ると、再び実験室に戻っていった。

 

再び薬の調合を行う。副作用は力を絞り出す際に力の象徴である「男性性」を意識し過ぎた為であろう。性別を越えて、その能力を最大限に引き出すように成分を見直してみた。
俺は薬液を注入器に移すと、俺の二の腕に注入口を当てた。
薬液が血管に入り込み、俺の体全体に巡ってゆく。即に全身に「力」が満ち充たるような感じがしてきた。体の芯が熱く燃え上がるようだ。

が、その「力」は前回と趣が異なるようであった。前回は圧倒的な物理的「力」であり、攻撃性が高く、猛烈な破壊衝動に駈られていた。
今回は「力」が俺自身の内側に向かって高められているようだ。
最初に肉体に変化があった。
仰向けに寝た胸の上にずしりとした重みを感じた。
僅かしか膨らんでいなかった胸が、官能的な大きさになっていた。
上体を起こすと、その質量が更に実感できた。
更に、俺の肩をくすぐるものがあった。さっきから頭皮がむずむずしていた。俺の髪の毛が一気に伸びたに違いない。
洗面台の鏡に映すと、そこには魅惑的な裸体のオンナが映っていた。
髪や胸以外にも、ウエストは大きく括れ、腰は艶かしい曲線を描いていた。
(これだけ体型が変わってしまっては、女悪魔の用意した服が着れるのだろうか?)
そんな事を考えた俺の頭の片隅で新たなスイッチが入った。
(えっ?)
と思う間に鏡に靄が掛かる…いや、俺の全身が何かに包まれていた。
ぎゅっと胸が締め付けられ、大きく膨らんだ乳房が持ち上げられた。
ウエストも同様に帯のようなもので締め付けられ、背後に大きな結び目ができていた。
靄が晴れると、豪華なドレスに身を包んだ「俺」が映っていた。
髪が結い上げられ、ティアラが乗せられている。耳にイヤリングが掛かり、顔には扇情的な化粧が施されていた。
いつの間にか靴を履かされていた。踵が高く押し上げられている…
まるで魔法で変身したシンデレラのようだった。
(これも「力」なのか?!)
いや、それ以外には説明が付かない。無から服や飾りを生み出すことなど有り得るものではない…が、あの女悪魔はそれをやっていたのだ。
そして、現在のこの状況だ。これが魔法使いの衣装であれば、箒に跨がって空を飛んでみようと思ったかも知れない。前回の「力」が出せれば、不可能ではないのだ。

しかし、俺は何故そのような「力」を使おうとしないのだろうか?薬の効果を確認する為にも、多少は空中浮遊を行っても良い筈である。
お姫様ドレスのままでは動きが取れないのを理由にしているようだが、根本的なところで「力」の行使に抑制が掛かっているようだ。

(攻撃性を抑え過ぎたか?)
俺は「力」を使いドレスを消すと、別の服を纏った。おとなし目のOL風の服だ。
確かに便利な「力」ではあるが、このようなことに浪費していて良いものだろうか?そんなことを考えつつ、いつもの白衣を羽織った。

 

再び薬の調合を始めた。
今度は抑え込まれていた「攻撃性」を引き出せるように調整してみた。薬の基本構造に手を加える訳でないので、時間を掛けずに作ることができる。
俺は早速に薬液を注入器に移すと、俺の二の腕に注入口を当てた。
新たな薬液が血管に入り込み、俺の体全体に巡ってゆく。全身に「力」が満ち、体の芯が熱く燃え上がるようだ。

「ああっ…」
思わず口を吐いた溜め息は、かなり艶かしいものがあった。
(調整を間違えたのだろうか?)
体の芯が燃えあがるような感じは一向に治まる気配がない。

俺は胎内に疼きを感じていた。
体の内にある「女性器」が異様に活性化しているようだ。
子宮が熱を帯びている。膣壁が波打ち、体液…愛液を滴らせている。
乳首が硬く勃起していた。そこを触れられ弄られたいと疼いている。
この肉体が「女」として「男」に抱かれることを欲していた。これもまた牝の攻撃性の現れなのだろう。

しかし、ここには「俺」しかいないのだ。自ら慰めるしかない。が、女の場合、どう慰めれば良い?

俺はふらつきながらも服を脱ぎ、ベッドに上がった。
「あうっ!!」
乳首に触れただけで、快感が全身を駆け巡っていった。
息を整えながら、手を胸から下に降ろしてゆく。
腹の上を這い進み、下腹部の割れ目に到達する。指先を濡らすものがある。
片脚を膝立て、割れ目の中に指を送り込んでゆく…

「ひゃん!!」
指先が敏感な部位に触れた。亀頭に触れたときの数十倍も感じる。
(これがクリトリスか?)
俺はあまり刺激を与えないようにして、更に奥に指を送り込んだ。

膣の中に指先が侵入してきたのを感じた。が、それだけでは疼きは収まらない。
(一本で足りなければ…)
中指だけでなく、人指し指、薬指も投入する。
(長さが足りない?)
俺は「力」を使い、適当な長さと太さの棒を作った。
先端を丸めて、膣口に押し当てる。と、棒はするりと呑み込まれた。
棒は膣内を満たした。が、まだ何かが足りない。
俺は棒の形状をペニスに近づけた。するて、挿抜を繰り返す度に膣壁を擦るようになった。
(少しは改善されたが、まだだ…)
「力」を使い、棒自身が捩れ、振動するようにした。
「んあん♪コレだっ!!」
俺は自ら作り出した疑似ペニスに貫かれた。快感が刺激される。
「あう、あああん。ああ~ん♪」
快感はエスカレートし、俺は女のように媚声をあげ、悶えまくっていた。
「ああ…イクの?イッちゃう~!!」
俺は絶頂に達した。頭の中はまっ白になって、意識か遠くに飛んでいってしまったようだった。

 

「おや♪お楽しみ中でしたか?」
突然、乱入してきたのは女悪魔だった。
「なかなか見事に変身したわね♪」
「な、何をしに来たんだ?」
「貴方に興味があったからね。その後、どうなったか気になってたのよ♪」
「これ以上、俺には関わらないでくれ!!」
「そんなコト言って良いのかしら?まだ疼きは治まってないんでしょ?」
「そうだとしても、お前の世話にはなりたくない!!」
「でも、その疼きを鎮めるには貴方一人では絶対に無理よ♪」
「それでもだっ!!」
「そんなコト言わないで、ボクに任しちゃいなよ。身も心もね♪」
「それは…」
俺が拒絶する隙も与えず、奴は俺に触れてきた。
「イやっ!!…んあ~ん♪」
自分で触れたとき以上の快感が襲ってきた。
一気に思考が停止し、肉体が快感を追い求める。
「そう来なくちゃ♪」
奴は嬉しそうに自分の服を脱いでいった。

 
「な、何だソレは?!」
俺は奴の股間に屹立する男性器を見留めた。
「今の貴方…貴女にはコレが必要なんでしょ?元々ボク逹には性別なんてないんだ。牡化するのも簡単なコトだよ♪」
と、奴が俺の上に伸し掛かってきた。脚を割って股間に入り込む。
奴の見た目は女の体にペニスを生やしただけであったが、その強引さは「男」そのものだった。
腕力もまた「男」になっていて、俺が奴の侵入を拒もうと脚を閉じようとしても、何も意にすることはなかった。

ぬっ…と奴のペニスが俺の膣に押し入ってきた。
「どう?紛い物とは全然違うでしょ♪」
俺は何も答えることはできなかった。
膣は勝手に奴のペニスを咥え込み、奥に送り、そこから精液を搾り取ろうとしていた。
子宮も盛んに反応している。精液を余さず吸い取ろうと待ち構えているのだ。
「妊娠なんてする訳ないから、安心して受け取ってね♪」
子宮逹の動きを察して、奴は精液を放出した。それは塊となって送り込まれるのではなかった。
俺の子宮から膣までを奴の精液で満たそうとするかのように、どくどくと送り込まれてきた。

そして、俺の胎内が精液で満たされたことで、どうしようもなかった疼きが一気に鎮まっていた。
と、同時に「力」を抑制していたモノが取り払われた感じがした。
ゆっくりと浮遊してみる。
奴と二人分の重さがあるが、難無く天井近くまで持ち上げられた。
「貴女の薬で発動する力の源は肉体に蓄えられた男性性なの。だから、ボクが男性性を送り込んだから力が使えるようになったんだよ♪」
奴の言うところについて、何となくイメージはできた。
「つまり、力を使うにはお前の精液が必要だという事なのか?」
「別にボクのでなくても大丈夫だよ。それにいちいちセックスしなくても、少し効率は悪いけど、口から飲んでも効果があるよ♪」
と、俺の前で勃起したペニスを揺らしていた。
「そんな事をして、俺が即にソレを咥えると思ってるのか?」
と、口では抵抗していたが、俺の体は俺の意思とは関係なく、ソレに手を伸ばしていた…

 

 
俺は、この「人体強化薬」を世に出す事を諦める事にした。
何回か改良を試みたが、男が「力」を使うと女性化してしまうのを避ける事ができそうになかったからだ。更に、女性に薬を与えても「力」を使うためには男性性が必要であり、男性性を求めるあまり、極度の淫乱症状に陥ることも避けられなかったからだ。
勿論、人体実験は俺自身にしかしていない。が、この結論は変わりようもない。

それ以前に、俺自身が「力」に対する欲求・欲望を失ってしまっていた。
それは「力」が男性性な象徴であったからなのかも知れない。俺自身から男性性が失われた事で「力」に対する興味も失われてしまったのだろう。
逆に「女」になったことで、自らを美しく着飾る事に興味が向いていた。
…いや、着飾る事は単なる手段でしかないかも知れない。
「力」の源である男性性を取り込むために行われるセックスの快感に魅せられてしまっていた。より良い快感を与えてくれる男性を引寄せるために、他の女よりも俺の方が魅力的であることをアピールする…より美しく着飾る事に熱心になっていった。

 

夜の闇が訪れると、俺は空に舞い上がる。「力」を使い、今日のターゲットをサーチする。
「今夜アタシを悦しませてくれるのはだぁ~れ?」
俺の放射した「力」にいくつかの反応が返ってくる。
「みぃ~つけた♪」
一段と輝きを増している反応を返してきた場所に降り立つ。
そして「彼」を見つけた。
既に、俺の胎内では女性器逹が期待に疼き始めている。
俺は「彼」に声を掛ける…
「ねぇお兄さん♪アタシと付き合わない?」
俺と視線を合わせた男は俺の虜となる。
俺は「彼」の腕に絡み付くように体を添わせ、濃密な一夜を過ごす場所に向かい、繁華街の光の中に埋もれていった。

勇者の凱旋(前編)

「さてと、貴様には何をシて貰おうかな?」
卑しい笑みを浮かべて「俺」が見下ろしていた。

 

俺の手の中には、魔王の残したマントがあった。
魔王は俺の渾身の一撃を受け、倒れた。その肉体は塵と化し、マントだけが残されていた。
物陰に隠れていたのだろう、魔王の手下でも戦闘力のないサキュバスが駆け寄り、魔王の残骸にひざまずいたところまでは認識していた。

(見事だ♪勇者殿。だが、詰めが甘かったかな?我は不死身。肉体を失っても、魔王という存在は消えはしないのだよ♪)
魔王の声が、俺の頭の中に響いた。
そして目眩…
一瞬後に俺は床に座って、目の前に立っている男を見上げていた。

目の前の男は「俺」だった。
「我が誰か解るかな?」
「ま、魔王なのか?」
「ほう?貴様には我が魔王に見えるのか…目が悪くなったようだな。眼鏡を掛けた方が良いぞ。」

奴がそう言うと、俺は無意識に「はい」と答え、宙にルーンを描いていた。
(魔法?)
無から「眼鏡」が生み出され、俺の顔に掛けられていた。
(魔族でもない俺が魔法を使ったのか?)

「どうだ?今の我は勇者以外の何者でもないであろう?」
と「俺」
俺は奴の言葉に逆らえず「はい」と答えていた。
「良い娘じゃ♪のう?貴様もそう思うじゃろう…と、理解できているかな?元勇者殿?」
「ま、魔王!!」
俺は奴に怒りを向けた。
「言ったろう?我こそが勇者。我を呼ぶ時は勇者様と言うんだ。」
「はい。勇者様。」
お、俺は何を口走っているのだ!?奴に対し敬語など…
「納得がいかないようだな♪だが、貴様が我を魔王と認識する限り、その肉体は我の忠実な僕となるのだ。可愛いサキュバスの牝奴隷にな♪」

 

俺は魔王の肉体を消滅させた。が、そこに一瞬の油断ができたのだろう。
次の瞬間に「俺」の肉体は魔王に奪われ、俺の意識は側にいたサキュバスの内に封じられてしまった。
そして、いくら俺が意思を強くしても、この肉体は魔王の命令には逆らえないようだ。

「さてと、貴様には何をシて貰おうかな?」
と奴が言う。
「仰せのままに。勇者様♪」
と俺…
「言わずともわかるな?女が…サキュバスのお前なら何をすべきかと♪」

「はい♪」
と返事をすると、俺は奴の元ににじり寄っていた。
ズボンの中から「俺」のペニスを引き出し、愛しそうにソレを口に咥えていた。
俺の意思は全力で拒んでいる。たとえ、本来の自分自身のモノであっても、「男」の俺がペニスを咥える事などできるものではない!!

が、ペニスから漂う芳香が全てを崩壊させてしまう。
気が付くと俺は無心に奴のペニスを舐めあげていた。
「なかなか巧いぞ。というか、この肉体は女性経験が殆どないんじゃないか?性的刺激に対する抵抗力が殆どないぞ。即に果ててしまうではないか。」
次の瞬間、ペニスから放たれたザーメンが俺の顔に降り掛かった。
「ありがとうございます。勇者様。」
俺はそう言って顔に掛かったザーメンを拭うと、余す所なく、自らの口の中に入れ、飲み下していった。

「おお♪若いだけあって、回復は早いな。次をいくぞ♪」
そう言われ、俺はいそいそと服を脱いでいた。何が始まるかは想像に難くない。
俺は女として、その股間の穴に奴を受け入れる事になるのだ。
俺の股間の穴…膣は既に十分潤んでいた。溢れ出る愛液が大腿を滴り落ちている。
俺が床に背中を付けると、全裸になった奴が俺の上に伸し掛かってきた。
「あぁ、勇者様ぁ~♪」
広げた股間の中心にペニスの先端が触れると、俺は一気に貫かれていた…

 

 

人々は奴=勇者を称えていた。
それは本来、俺が受けるべき称嘆の聲である。
逆に、俺に向けられる視線は「魔族」に向けられる憎悪と賎しめに満たされていた。
いや、それはそれで仕方のない事だ。俺は魔王を倒しきれず、更にその肉体を魔王に奪われてしまったのだ。俺が蔑まされるのは甘んじて受けよう。

だが、人々は「勇者」の実体が魔王である事に気付いていない。そして、その事を知る俺は、奴の影響下にあり真実を伝える事ができないでいる。
そのもどかしさに、俺は焼き尽くされそうな日々を送っていた。

 

俺逹は国王に首尾を報告するために都に向かっていた。
都に向かうにつれ、「勇者」の周りに人が集まってくる。そんな中で「魔族」の肉体をもった俺は忌諱される存在であった。
「勇者」に忠誠を誓ったとされる俺は、勇者の保護下に…奴の側にいる事を許されてはいた。
俺としては即にでも奴から離れ、奴を倒すべく力を溜めたかったが、奴が俺を離そうとしなかったのだ。
「可愛いお前を手放す事はできないな。たとえ国王の娘を妻に迎え、我が次期国王となったとしても、生涯お前を可愛がってやる♪」
と奴が言う。
俺は拒否したいのだが、俺の肉体は魔王に玩ばれることを期待して、股間を潤ましていた。

否、それ以前に奴が「次期国王」だと?

俺は魔王討伐後の事など考えもしていなかった。確かに、褒美として姫の婿に迎えられる事も可能性として否定できない。
いや、あの国王であればそれ位の事は平気でやりかねない。
奴は「勇者」として凱旋するが、その実体は魔王なのだ。国王となった奴が本性を晒した途端、都は「魔都」に変貌するであろう。
勇者としての意思を持っている俺は、何としてもそれを阻止したかった。
が、今の俺には奴を阻止する能力がない。奴の意思に反する事は何もできないのだ!!
(今は奴な側にいて、機会を窺うしかない…)
そう自分に言い聞かせた。

 
俺逹は都を目の前にしていた。
都からは頻繁に使者が往復し「勇者凱旋」の準備を進めていた。
その間、俺は毎夜欠かさず奴に抱かれ、快感に嬌声をあげ、何度もイかされていた。
奴の側にいるという事は、その辱しめに耐える必要があった。
(本当に「耐え」ているかって?)
女として抱かれる事に慣れた訳ではないが、俺は何とか今の「自分の位置」を見いだしていた。今の俺は「勇者様」の従者であり、彼の身の回りの世話をしている。
この肉体の元々の所有者であるサキュバスが同様な事を魔王にしていたようで、かなりの所作を肉体が記憶していた。その肉体の記憶が、見た目に俺が悦んでいるように見せているだけだ!!

 
俺は「勇者」の周りにの人々にも従者としての立ち位置を認めてもらっていた。
が、集まってくる人々は更に増えていた。無用な軋轢を回避するため、俺は肉体上の魔族の特徴を隠し「人間の女」のふりをするようにしていた。
当然であるが「女」の衣服を着る事になる。魔族は獣のように体毛が深く、身に着ていたのは衣服というより装飾具の扱いに感じていたので、自分が「女」となった事をあまり意識していなかった。

女の服を着るという事は、常に「女」である事を意識させられる。
尻尾を隠した股間に女物の下着を穿く。腰まわりをコルセットで締め上げ、胸の膨らみを強調する。ボトムは裾の広がったスカートだ。
更に「女」を意識させられるのが、踵の高い靴だ。最初は転ばないように歩くだけで精一杯だったが、少し慣れるとその靴の所為か、動作が更に「女」っぽくなっていた。

 

「勇者様。お食事の用意が整いました♪」
都を前に集まった人々により、様々な事がお膳立てされてゆく。食事の支度も俺が調理せずとも用意ができてしまうのだ。が、最期の配膳だけは俺の仕事として残してもらっていた。
全てが整ったところで、奴を呼びにゆく。奴は魔王ではあったが、その肉体は「俺」のものである。ここ数日の連夜の宴にかなり消耗しているようだった。
なかなか起き上がらない…
「勇者様?」
俺が奴の顔を覗き込むように近寄ると、奴の腕が俺を捉え、ぐいと引き寄せた。
「お前の精力を分けてもらうぞ。」
と俺の首筋に噛みつくと、滴る血液と共に俺の精力を奪っていった。

最近、時々こうやって精力を奪われる。勇者様が唇を離すと、失われた分、精力のバランスが乱れてしばらくぼーっとなってしまう。
あたしとしては勇者様のお役にたてるので、嬉しい事ではあるのだが、精力以外のものまで失われていっているようで、不安になってしまう。
「少し休んでいると良いぞ。」
と優しく声を掛けてくださる。
勇者様の寝ていたベッドに潜り込む。あたしは勇者様の香りに包まれ、安らぎを覚えていた。
夜、勇者様に抱かれ淫らに乱れていた自分が思い出される。彼のぺニスに貫かれ、淫声をあげ身悶えていたあたし…

再び体の芯が熱くなり、「女」の器官が疼きだす。
潤み始めた股間に、自然と指が伸びてゆく。指先がナカに入り、疼きを鎮めようと動き始める。
勇者様の行為には及ばないまでも、次第に昇り詰めてゆく…

 

俺は奴のベッドの中で意識を取り戻した。
いつもの事だか、奴に精力を奪われるとその後の記憶が曖昧になっている。その間にとっていた行動にいまいち自信がもてない。
意識が朦朧として、ベッドに入るなり即に意識を失っている筈なのだが、一方で自らの女体を「女」として慰めていたような記憶もある。
(いや、それはこの魔物女の肉体に残っていた記憶だ。いくら「女」のフリをしていても、俺は「男」なのだ!!)

俺はベッドから抜け出ると、衣服の乱れを直して奴の下に向かった。
今の俺は奴の制御下にあるので、どんな行動も起こす事はできないが、奴の言動は余す所なく記憶しておきたかった。
その記憶は、奴が「魔王」として行動を始めた際に、奴の行動を阻止する手がかりとなる筈だった。

 

全ての準備が整い「勇者」が王城に上る日がきた。
宿舎から王城まで、都の中をパレードする事になっている。
勿論、俺も従者として「勇者様」の脇に控える事になっているのだが…
その日は奴が起こされる予定の時間よりもかなり早い時間に俺が呼び出された。
そこには、城の女官逹が待ち構えており、俺にお姫様のようなドレスを着させ、髪を結い上げ、念入りに化粧が施された。
最初は自分が単なる従者でしかなく、普段の服のままで良いと言い張っていたが、パレードで「勇者様」の側にいるのであれば、それなりの格好が必要だと押し切られてしまったのだ。

俺の支度はパレードの出発時間ぎりぎりまで掛かってしまった。既に「勇者様」は馬車に乗っていた。
「これは、どこぞのお姫様かと思ったよ。見違えたぞ♪」
奴の差し出した手を借りて俺も馬車に乗った。この馬車には勇者様とその従者の二人しか乗らない事になっていた。俺は奴の隣に並んで座った。
俺が座るのを待っていたかのように、パレードがスタートした。集まった群衆に「勇者様」とともに笑顔で手を振る。王城は目と鼻の先であるにもかかわらず、パレードは時間を掛けて都の中を通り抜けてゆく。
振り撒いていた笑顔が、顔に貼り付いてしまったかのように感じだした頃、奴も疲れを感じたようで、
「精力を分けてもらうぞ。」
と、パレードの最中、衆目の中にも拘わらず、俺の首筋に吸い付いてきた。

「あぁ…」
あたしは小さな吐息とともに、身体中の力が抜けてゆくのを感じた。
そのまま勇者様にもたれ掛かってしまう。そんなあたしを勇者様が優しく抱き留めてくれる。
「お前の精力も大分薄まってきたな。そろそろ頃合いかも知れん…」
あたしは勇者様の独り言を遠くに聞いていた…

 

パレードが王城に到着する頃には、あたしは自分で立てるくらいには回復していた。
あたしは勇者様と供に謁見の間に進んでいた。あたし逹の向かい側には王、王妃そして一人娘の姫が揃っていた。
「此度の首尾、大義であったぞ。勇者殿。」
ははっ、と畏まる勇者様の後ろであたしも身を縮めていた。
「褒美は何が良い?何でもくれてやるぞ♪」
「いえ、私には何も。できれば、供に戦って死んでいった仲間逹の墓をお願いします。」
と、勇者様らしいお言葉♪(でも、あたしの心の奥で「違う!!」と叫んでる声が…気の所為よね?)

「流石は勇者殿。その公明正大な意気に感服した。王都の近くに所領を与えよう。そして、娘をそなたの妻として嫁がせる。」
「勿体ないお言葉…」
更に深々と頭を下げる勇者様…でも、なんで笑ってらっしゃるの?
 

部屋には勇者様とお姫様、そしてあたしの3人しかいなかった。
「本当に我の妻になっても良いと言うのか?」
再度の勇者様の問いにも
「はい。お父様もそれを望んでおります。」
としか答えない。
「つまらん!!」
それは勇者様の独り言だった。
勇者様はしばらく考え込んだ後、お姫様とあたしを呼んだ。
「今回は少しばかり多目に精力が必要だ。」
とお姫様の首に咬みついた。
(あたしだけだと言ったのに…)
と嫉妬するより先に、ぐったりとしたお姫様を近くのカウチに横たえてあげる。
振り向くと、そこに勇者様がいた。
「お前からももらうぞ。まあ、それで貴様も自由が手に入るのだ。ありがたく思えよ♪」
あたしはカウチのお姫様に重なるようにして意識を失っていった。

 

俺は横たえられた体を起こそうとして、何者かに抑えつけられているのに気付いた。
いや、抑えつけられているのではなく、それは単に俺に被さるようにして倒れている女の体だった。

奴はどこにいる?
部屋の中には奴の気配がなかった。
俺は覆い被さっている女を避け、ベッドから起き上がった。

(?)

違和感を感じた。
何がどう違うのか、即には判らなかったが、時間とともにこの体が今までのものとは違うものである事が確認できた。
体に記憶されていたものが別のものに刷り替わっていた。魔王のためにサキュバスが奉仕してきた様々な行為の記憶が失われ、この王城の記憶が鮮明に甦る。
俺は先ほど避けた女を見た。
女はさっきまで俺であった女=サキュバスであった。
俺の内にはサキュバスの時に感じていた「魔力」が感じられない。「人間」のふりをせずとも、この体は人間のものであった。
魔王が再び俺の体を交換させたのだ。精力を必要としたのは、このための魔力を引き出すためだったのだ。

(しかし、何故?)

奴は「つまらない」と言っていた。多分、このまま黙っていてもこの国の王になれるのだ。「魔王」としては「何事もない」のが一番堪えるのであろう。

そう、今の俺は奴を「魔王」と呼ぶ事ができるのだ。
この細腕のままでは無理かもしれないが、今の俺であれば奴を、魔王を再び倒すことができるのだ。
奴は「動乱」を欲した。
俺を解放し「動乱」を起こさせようとしているのだ。「勇者」であった俺が女の体でどこまで抗えるのかを楽しみにしているのであろう。

俺はサキュバスとなった姫様を起こし、体が入れ替わってしまった事を説明した。が、その体が魔物のものである事に気付いただろうか?
姫様には「勇者様」の従者となった事を告げ、「勇者様の妻となった時にする事をするだけです。」と教えてやった。

 

「勇者様」の一行は、一旦王城を辞していった。
お姫様となった俺には「勇者様」との婚姻に向けたスケジュールが示された。
このまま行けば、俺は奴の妻となり、再び奴に抱かれることとなる。今回は肉体に掛けられた呪縛はない。妻となった俺は自らの意思で奴に抱かれなければならないのだ。
だが、頭の中はぞっとして冷えあがっている一方、肉体は官能のスイッチが入ってしまったようで、熱く火照り、女の器官が疼き、潤んでいった。

 

勇者の凱旋(後編)

「姫」の立場で俺ができる事は何であろう?
肉体を鍛える事が論外であることは早々に判明していた。
魔法の力もたかが知れている。が、王城の宝物庫には魔法力を持ったアイテムが転がっていた。書庫には、それらを有効に使う情報が眠っていた。
俺は暇を見つけては宝物庫と書庫を行き来していた。

突如、自発的になった「姫」に戸惑う者もいたが、多くの場合「結婚」を前にした心境の変化と好意的に見てくれていた。
本来であれば城内に協力を募り、魔王に対抗する組織を造りあげたかったが、嫁ぐ間近の「姫」がそのような行動を取ったとしても、集まる人はいないであろう。
ましてや、その相手が俺の結婚相手であり、未だ奴が「魔王」である事を証明できていないのだ。

 

時折、「勇者様」が従者の女を伴って王城に来ていた。
奴は聡明な「勇者様」を演じきり、国王逹に取り入っている。誰もが奴の言動を肯定し、奴が「次期国王」となる事を信じて疑うことはなかった。
俺が協力者を集められないでいる間にも、奴は着実にその地位を確固たるものに築きあげていた。

 
奴が国王逹と会談している間、「従者」となった姫が俺の所に立ち寄る。様子を伺うが、特に不満はないようだ。
「勇者様は私にとても優しくしてくださいます。結婚されてからも、私を愛しんでくださるとおっしゃってくださいました。」
彼女の体が魔物のものである事を知っているかまでは確認できなかったが、彼女は彼女で不自由はしていないのだろう。嬉しそうにそう話していた。
「よろしければ、貴女とも勇者様の優しさを共有しませんか?」
彼女の瞳が妖しく輝く。彼女は無意識のうちにサキュバスの魔力を発動させていた。今の俺には、何も抵抗する術がなかった。
体の芯が火照り始め、彼女の手で服が脱がされる。
元々は彼女自身の体である。どこが感じるかを熟知している。更にサキュバスとしてのチャームと、魔王から責められた経験で俺を責めあげてゆく。
俺はサキュバスだった時以上に、快感に翻弄されていた。
「嗚呼、貴女…可愛いわ♪勇者様との結婚が待ち遠しいわ。早く三人で快感を共有したいわ♪」

 

 

俺は何をしているのだろう?
魔法のアイテムとその使い方は習得した。が、それをいつ、どこで、どのように使うかのアイデアがなかなか出てこない。
その一方で、サキュバスとなった姫に刺激されてか、肉体の欲求に屈し続けている。
彼女がいなくとも、夜になるて体の芯が疼き、自らの指で濡れた股間を慰めている。
その時、思い描くのは、奴に…魔王に貫かれ淫らな嬌声をあげ続ける全裸の姫…俺自身の姿であった。

 

宝物室の奥に厳重に封印された禍々しい装飾の箱があった。
勿論、これが魔王を倒せるようなアイテムでないことは疑いようもない。
が、俺の習得した魔法(アイテムの魔法力を借りてだが)の練習台に、この箱の封印を無効化することが丁度良さそうであったのだ。

部屋に持ち込み、結界を張り、魔方陣を描く。その中心に箱を置き、封印を外しにかかった。
封印はいくつかの種類のものが絡み合うように掛かっていた。複雑に絡んだ縄を解いていくように、根気よく封印を外してゆく。
一方を緩めた状態で絡んでいる別の封印を外す。
正面の封印と裏面の封印を同時に外す。
左、右、左、左と外す順序を間違えないように気を付ける。
…そして、最後の封印を外し終えた。
「ふーう♪」
大きくため息を吐いた後、俺は箱の蓋に手を掛け、それを開いた。

(?)

中にあったのは棒状の物体が一本。少し反り返り、先端が半球状に加工されていた。
どう見ても、それは男性のペニスを型取ったものである。
太さ長さとも、勃起した状態を忠実に再現している…

(何でこんなモノが?)
ソレ本体からは魔力のようなものは殆ど感じられなかった。
が、厳重に封印されていたものである。隠された魔力があるのかも知れない。
封印を解いたら、また元に戻すつもりでいたが、俺はソレを遮蔽布にくるみ部屋の隅に隠した。
空のままの箱には元通りの封印を施しておく。そして、気付かれないうちに宝物庫に戻しておいた。

 

俺の手元には封印された箱に入っていたペニス状の物体が残されていた。
サキュバスとなった姫に弄ばれた体は、夜になる度に疼きだす。当然のように、そのペニス状のモノを使いたい欲求を堪えきれるものではない。
遮蔽布から取り出し、股間に宛がう…

俺がサキュバスだった時には幾度も奴のペニスを迎え入れていた。が、この「姫」の体は、自らの指とサキュバスの愛撫しか受け入れた事がない。
「初めては勇者様とが良いでしょう?」
とサキュバスとなった姫は道具を使うことなく、俺を責め狂わされてきた。
が、今の俺には彼女の制約が届かなかった。ソレを濡れきった膣口に導いてゆく。
そして、ゆっくりと膣内に挿入していった。

(これがオトコに貫かれるということ♪)
俺は根本までソレを押し込むと満足げに微笑んだ。
「ああっ♪」
膣の中でソレが蠢き始めた。久々の快感に媚声があがる。
快感に身を任せ、どんどん登り詰めてゆく…

 

 

「面白いモノを持っているわね♪」
巧く隠していた筈なのに、彼女に見つかってしまった。
「貴女が受け入れて良いのは勇者様のモノだけよ。これは没収します。」
彼女に責められ、俺が淫らな喘ぎ声をあげている間に、ソレを手放す事になってしまった。
彼女にはまだソレがどこにどのような状態で在ったのかを説明していない。何かが起きる可能性を知らぬままに、彼女はソレを持ち帰っていた。

 
その後しばらくの間、勇者様一行は王城に姿を表さなかった。
そして、従者となった元姫が奴の書状を持って単身登城してきた。
書面には俺=姫との婚約の破棄と、独り旅に赴く旨のことが記されていた。
そして、彼女が俺の所にやってきた。
いつもと雰囲気が違った。
「貴様!!何だったのだ?アレは!!」
その口ぶりからすると、彼女の内に居るのは「魔王」なのであろう。
「それは、彼女が何も聞かずに持っていったからではありませんか?」
「だから、何だったのだ?アレは!!」
「俺もまだ知らなかったのだ。アレがどういうモノであるかも。調べようとした矢先に彼女に奪われたのだ。」
「くそっ!!あれでは『勇者』の体を手に入れた意味がないではないか!!」
奴に話を聞くと、サキュバスとなった姫が俺から奪ったモノで「勇者様」に悪戯をした…アレをソコに突っ込んだ…途端、秘められた魔力が一気に解放された。
それは魔王が防御魔法を発動させる隙さえなかった。
解放された魔力が一気に魔王に襲い掛かり、その体を変化させた。
それはサキュバスが人間のフリをしただけのモノとは根本的に違った。その肉体が粘土のように変形し、全くの別物に造り変えてしまった。
そこに在ったのは、幼い少女の体だった。

魔王はその体を放棄し、今俺の前にいた。
「俺の所に来たのは、単に文句を言いに来ただけではないのだろう?」
「無論だ。その体を貰う。それが現時点での最良の選択肢なのだ。」
「それは認めよう。だが、簡単にはこの体を渡しはしないぜ♪」
「何?っ!!奪えない?!」
「この指輪…魔道具の所為さ♪」
と俺は宝物庫で探し当てた魔道具のひとつを奴に見せつけた。
「これは、肉体と魂を固定するものだ。本来は死者の魂を呼び戻し蘇生させるものだが、お前の魔力の阻止にも有効だったのだ。そして…」
俺は指輪を外し、スイッチを切り替えて奴の指に嵌めてやった。
「どうだ?お前はもう、その体から離れる事ができないだろう?それに、指輪は二度と外れないようにしておいた。お前はもう死ぬまでサキュバスなのだな。勿論、お前はもう二度と魔王にはなれない。その体が、お前が魔王になるのを阻止してくれるからな♪」
「どういう事だ?」
「その体は魔王に奉仕することを条件付けられている。自分が魔王になってしまったら、奉仕する相手がいなくなってしまうではないか♪」
「だが、わしが魔王だ!!」
「いえ、貴女は新しい『魔王』を探すことになるでしょう…あるいは、自ら『魔王』を産み育てるとか♪」
「わし…が…産む?」
奴はかなりショックを受けたようだ。
だが、一つ間違えれば俺が奴に孕まされていたのだ。
…いや、この体は「女」であり、俺は王家の血を引く「姫」なのだ。
いずれ、俺も後世の「王」となる者を産む事になるのだろう…

俺は幼い少女の姿となった「姫」を保護し、勇者の従者であった女が魔屬の者であることを公にし、奴を追放した。

魔王を完全に倒す事はできなかったが、いずれにしろ当面は魔王が復活する事もないであろう。

俺は「姫」を抱いてベッドに入った。
奴は気付いていなかったようだが、彼女の股間にはまだ「勇者」のペニスが残されていたのだ。
彼女の男性器は未発達であったが、それは彼女の体が幼いためである…
俺はいずれ彼女の精を受け、勇者の子を産むつもりだ。
それまではしばし、甘美な悦楽に身を任せる…
彼女がサキュバスだった時に会得した技はそのままだった。
俺は彼女に翻弄され、幾度となく快感に意識を飛ばされていた。

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