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2014年6月19日 (木)

半身

(魂が引き裂かれている…)

俺の目の前で「俺の魂」が悪魔の手で二つに引き裂かれていった。
悪魔はその一方を俺の肉体に戻すと、もう一方を俺の足元に横たわる「女」の肉体に押し込んだ。

この「女」が何者であるか、俺は知らない。
可愛い顔をしていたので声を掛け、食事をし、その後で情事に及ぼうとした。
その時、女が急に暴れだしたので大人しくさせようとしたが、どうにも収まらないので俺の手で殺したのだ。
その「女」の肉体に、俺の「魂」の半分が収められた。

(ガッ!!)

突然、強烈な痛みが俺を襲った。
勿論、俺の肉体にそのような痛みを発する要因は何もない。
その痛みは「女」の肉体からのものだった。
「お前にも同じ痛みを…というのがこの女の望みだそうだ。お前は魂の半分で女と感覚を共有する事になる。」
俺は言葉を発する事ができなかった。
「この女は、お前が生きている限り生き続ける。お前に殺された痛みと共にな♪」
悪魔が女の腕を踏むと、踏まれた痛みが俺にまで伝わってきた。
「女の魂は頂いて行く。つまり、お前が管理していないとどんな事故に会うかもわからないからな♪車に跳ねられたいのなら、お好きに…」
そう言って悪魔は消えた。

 

後には俺と女の身体が残っていた。
俺は女の傍らに座り、恐る恐ると女の腕に触れてみた。

俺は腕に触れられた感覚を得た。
踏まれた場所にもまだ痛みはあった。
そこを摩ると幾分か痛みが和らぐ。

女の腕は暖かかった。
(生きている?)
俺が女の胸に手を当てると、心臓の鼓動を感じた。
それと同時に、俺は胸に手を当てられていた。その胸は「女」の胸であり、形の良い乳房がそこにあった。
俺が胸を掴むと、乳房が掴まれる感覚があった…

 

痛みより好奇心が勝った…

 

俺は何の抵抗もしない「女」の服を脱がした。
俺は何の抵抗もできずに服を脱がされていた…

俺は女の上に被さり、乳首を舐めあげた。
俺の上に伸し掛かってきた男に乳首を舐められた。乳首を中心に快感が広がる。ジュンと股間が濡れた…

乳首を舐めただけで、女は股間を濡らしやがった。感度が良いのだろうか?抵抗がない事を良い事に、俺は女の股間を押し広げて一気に突入した。
「んあん♪」俺は思わず媚声を漏らしていた。俺の股間に男のペニスが挿入されていた。「男」であれば経験することのできない感覚なのだろう。しかし、それは快感として俺の脳を揺さぶった…

 
(脳…俺の脳?)

 
否。快感を感じていたのは女の肉体であり、この女の脳が感じた快感を俺の魂の半分が受け取っているだけだ。

「あん、ああ~ん♪」
俺は快感に媚声をあげ続けていた。
(ここを責められるともっと感じるのに…)
女の脳に刻まれた情報が、俺にそう思わす。俺がそう思うと、即にそこが責められる。
息吐く暇もなく、俺はどんどん快感の高みに昇ってゆく。
「ああん、あん、あんっ!!」
俺は叫び続けていた。
(あっ…何か来る!!)
それが「女」のアクメであることは判っていた。
「ああ、イくぅ…イっちゃう~~♪」
俺は自らそう叫んでいた。
膣の中にザーメンが放出された。
快感のバロメーターが振り切れる。
俺は意識を失っていた…

 

俺の下で女がぐったりとしていた。この女の中に俺の魂の半分が入っているらしい。
実際、俺はこの女の視点で「俺」に抱かれ、最後にはイかされてしまったのだ。

 
この女は俺が殺した筈だが、今も心臓は動いている。
女の魂は無くなっていたが、替わりに俺の魂の半分が入っているので生き続けているらしい。
だが、いつまでもゾンビの女と関わっている訳にもいかない。
俺は意識を失っている女を後に、その場を離れていった。

 

 
バーのカウンターで独り飲んでいると、不意に腕を掴まれた。
振り向いたが、俺の腕を撞かんでいる奴はいない。
更にぐいと腕を引かれバランスを崩した?いや、カウンターで椅子に座っていてバランスを崩すもない。
が、倒れかけた俺は抱き止められていた。と同時に胸が掴まれる…
それは、俺の胸に膨らんでいた乳房だ。…それは、俺の魂の半分が込められた女からの感覚だった。
女は気が付くと、ふらふらと外に出てきたのだろう。
繁華街で無防備な女がどのような目に合うか、あの女は知らないのだろうか?

いや、その可能性を考えていなかったのは俺の方だった。
今の女には彼女の魂=自我は存在しないのだ。俺が放っておけば、夢遊病者のようにふらふらと出歩く事になる思い至るべきだった。
放置した結果、女はレイプされ、その感覚が俺に届くことになる。…俺が女としてレイプされるのを経験させられるのだ。

既に、女は建物の影にでも連れ込まれているに違いない。
男の指がショーツの上から女の股間を責めている。その感覚…女が感じている…を俺の股間に感じていた。
勘定を済ませ、バーを飛び出す。どこに連れ込まれたかは解らないが、女を放置してきた場所からはそう離れてはいないだろう…

俺は口を広げられ、その中に太いソーセージのようなもの…男のペニスに違いない…を突っ込まれていた。
俺には抵抗ができない。ペニスは俺の喉の奥を突いてくる。
実際に突っ込まれているのは女の口であったが、その感触が生々しく伝わってくるのだ。
「うっ…」
と男が呻き、俺の喉の奥にザーメンを注ぎ込んできた。

男の呻き声は「俺」の耳で聞いていた。奴は近い。どこだ?
俺はビルの影になっている場所を探した。
シャッターの降りているビルがあった。その脇に路地がある。呻き声の聞こえてきた方向と一致する。
人の気配もある。一人ではない。何人かいるみたいだ。
(放っておけば、輪姦される?)

俺は路地に飛び込んでいた。
(…)
その直後、後頭部に打撃を受けた。
俺は地面に転がる前に意識を失って…

いや、俺の意識は覚醒したままであった。
ただ、現在の俺の自我は女の肉体の内にあった。

 

口の中に残ったザーメンを吐き出す。
既に服は破かれ、ブラジャーから片乳が溢れていた。
奴等の気が逸れていた。その視線の先にはぐったりとした「俺」があった。
「勝手な事すんな!!」
と立ち上がろうとした俺の髪の毛が掴まれ、引き戻される。
俺は逃げるタイミングを逸してしまったようだ。
「あいつ、お前のコレか?」
と中指と人指し指の間から親指を覗かせた。恋人か何かだと思ったのだろう。
俺は「ちがう」と言い返した。
「まあ、役に立たなかった事には変わりないな♪じゃあ次は本番にしましょうか?」
奴は俺のスカートの中に手を入れ、ショーツを引き下ろした。
「ケツを上げろ。」
奴は俺を地面に這わせ、バックで責めるようだ。
「早くしろ!!」
躊躇っていると、剥き出しの尻を叩かれた。
奴は気が短いのだろう、俺が動くより先に腰ごと吊り上げられた。そして、奴のペニスが俺の股間に突き入れられた。

奴の動きは俺の不意を突き、かつ、激しかった。それは最も感じる所に手の届いた「俺」とのSEXとはまるで違って゛いた。
これが本物のSEXなのだろう。「俺」とのは単なるマスタベーションでしかないと思い知らされた。
乱暴なSEXにも関わらず、俺は昇り詰めていった。
俺が感じている事が知られるのが悔しくて、艶声が漏れないように我慢していたが、最後にはどうしても淫声を漏らしてしまう。
「んあん…だ、駄目。それ以上は…イ、イっちゃう~」
「どうだ?あんなへなちょこ野郎とは比べ物にならないだろう?」
「ぁあん♪イ…イイっ!!」
「そんなに良いか?なら、これでイってしまえ!!」
奴のザーメンが俺の膣に放たれた。それと同時に俺は昇り詰めていた…

 
「誰か通報した奴がいる。ヤバイぞ!!」
誰かが叫んだ。
「散れっ」
奴が言い放つ。
「また会ったら、ゆっくり楽しもうぜ♪」
と俺に声が掛けられると、一瞬で奴等の気配が消えてしまった。
残されたのは気絶したままの「俺」とレイプの跡も生々しい「女」の俺だけだった。
俺は動かない「俺」を引きずった。勿論、遠くまで移動できる筈もない。
手近にあった建物の裏扉に鍵は掛かっていなかったので、その建物の中に転がり込んだ。
何人かの男が路地に入ってきた。
男逹は警官なのだろうか?だが、一分足らずで検分を終えると、路地から立ち去ってしまった。

 

(どうしよう?)

俺は次の行動が決められなかった。
とにかく「俺」の体に意識を戻さなくてはならない。
次にこの女を放っておく事ができない。どうやって俺の監視下に置くかだ。
やる事は決まっている。が「どうやって」が見当も付かない。
試しに「俺」を揺さぶったが、ピクリとも反応がない。
頬を叩いても何の変化もない…

ふと、他愛もない童話の一節が頭に浮かんだ…
俺は「俺」の頭を両手で固定し、その唇に俺の唇を触れさせた…
唇が吸われる。
口の中の空気や唾液と一緒に俺自身が吸い取られるような錯覚…
クラリと目眩がして、俺の上に重なる体重を感じた。

女の体を脇に退け、「俺」の体を起こした。
女も起き上がっていたが、半分寝ているようで視線が定まっていない。
(無意識の行動しかできないと言う事か?)
女をこのまま放っておけない事はハッキリしていた。
そして、いつまでもこの場所に居られるものでもない事も判っている。
俺は彼女を背中におぶって、俺の部屋まで連れて行った。

 
俺は部屋に戻り、落ち着くと、今後の彼女の扱いについて思案した。
彼女の体は俺の意思で自由に動かせることができた。
が、俺の意思が届かない時は勝手に動いてしまう。
また、俺が俺の体の制御を放棄すると、俺の意識は彼女の体に取り込まれてしまう。つまり、俺が彼女自身となってしまうのだ。
その時の「俺」の体はピクリとも動こうとはしない。
更に、彼女との距離に関係なく、彼女の体が感じたものは、全て俺に伝わってくるという厄介なおまけまである。
彼女の感じる痛みも快感も、そのまま俺に伝わって来るのだ。

(では、どうすれば良い?)

俺が「俺」として行動する時は、常に彼女を側に置いておかなければならないのだ。
ウザい事この上ない。
かといって「俺」の体を置いて行動するという事は、俺が「女」として行動する事になる。
(オカマじゃあるまいし、女のマネなんか出来るか!!)
とは思うが、背に腹は替えられない…
俺はソファに座って、律儀に俺の指示を待っている女の所に向かった。

息を吹き込むように、俺の意識を彼女の口の中に送り込んだ。
どさりと俺の上に伸し掛かってきたものがあった。
既に、俺はソファに座っていた。つまり、俺の意識は女の中にあり、伸し掛かってきたのが「俺」の体であることは即に理解した。
「俺」の体を脇に転がした。女の非力な肉体では、それだけで一仕事だった。
「俺」を転がしたまま、クローゼットを漁った。女の服はずたぼろであり、着替えが必要だった。
勿論、俺の部屋に女物の服などはない。とりあえず着れるものを着て近くのファッションスーパーで下着から一式を揃えてくるのだ。
とは言え、女が着れる下着は存在しない。素肌に直にトレーナーを被ってみた、
体格の違いからか、トレーナーはミニのワンピースに見えなくもない。
が、下着を着けていないので、そのまま外に出る訳にもいかない。ぶかぶかのジーンズをベルトで絞めあげ、裾をこれでもかと折り畳んでようやく形になった。

しかし、このまま即に外に出る訳にはいかない。
女には化粧が必要なのだ。
女のバックには化粧ポーチが入っている。それを取り出して、俺は顔を整えていった…

(待てよ。俺は化粧などした事ないだろう?それに、男の俺がオカマでもないのに、何で自分から化粧しようと思ったんだ!!)

それは、この女の無意識の行動なのだろう。女の脳に刻まれた過去の記憶が無意識に体を動かしているのだ。
(その無意識が俺の意識に干渉している?)

ぶかぶかのスニーカの紐を絞めあげて、なんとか外に出れる状態になった。
コンビニのATMで現金を用意してファッションスーパーに向かった。
カゴには無造作に女物の衣服が放り込まれてゆく。サイズは確認しているが、それがこの女の物であるかなど、俺が知る筈もない。
知っていたのは女の脳の方であり、女の無意識がサイズ等を確認して服を選んでいるのだ。
レジを済ませると近くの公衆トイレに向かった。今買った服に着替えるためだ。
俺の「男」の意識は一瞬躊躇っていたが、女性用の入り口からスッと中に入っていた。
トイレには誰もいなかった。空いている個室に入り、買ってきた服に着替える。着てきた服は一つにまとめて袋に入れた。
(コンビニのごみ箱にでも放り込んどけば良いわよね♪)

身軽なった足でドラッグストアに向かう。脳に刻まれた記憶にある化粧品を選んでいった。
他に足りないものは…生理用品を忘れる所だった。どんなオカマでも男であれば考える必要のないモノよね。生理の痛み、鬱陶しさを思い出してしまった。
ぶるぶると頭を振って厭な思いをふるい落とす。パウダーコーナーがあったので、お化粧を直して気を引き締めた。
(一旦、家に帰って落ち着こう!)

…って、あたしの家って何処だったっけ?
何か同時に二つの場所が頭に浮かぶ。
そのどちらもが自分の住みかだと主張している。
それに、バックの中には家の鍵が二つ入っている。
あたしは…

(おいっ!!女の記憶に呑まれてるんじゃないか?)
何が「あたしは…」だ!!俺は「俺」だ。
俺がこの女の家に戻ってどうするのだというのか?
確かに、お気に入りの服は揃っているし、面倒な事はみんなママがやってくれるのよ♪

ママ…って!!また女に呑まれ掛けてる!!
早く「俺」に戻らないと、終いには俺が俺でなくなってしまうかも知れない!!
俺は「俺」の部屋に戻るべく、足を早めた。

 

バックの中の鍵を取り出し、ドアロックを開ける。
「ゴメンください…」と中に入った。
この部屋を出た時と同じ格好で「俺」が転がっていた。俺は先ず第一に…と、俺と「俺」の唇を重ねる…

あたしの腕の中で「俺」が目覚めた。
彼はあたしを押し退けると、むっくりと起き上がった。
「む~~っ!!」
と伸びをする。彼は「俺」そのものだった。
(けれど、あたしが「俺」なのよね?)
何か腑に落ちない気がするけど、あたしは確認の問いを発した。
「あなた、誰?」
彼はまじまじとあたしを見た。
「えっ?まだ、俺の意識の一部がそっちに残っているのか?」
彼はあたしの問いには答えず、そんな事を言った。
「あたしが貴方だったのは理解しているわ。分割された魂がそれぞれ独立してしまったって事?」
「多分な。そっちの魂はかなり女の記憶に浸食されてしまったみたいだけどな?」
「浸食って?あたしはまだあたしの意識を維持しているわよ。」
「気が付いてないのか?お前の言葉が女言葉になってるって。自分の事もあたしって言ってるぞ。」
「えっ!?」
あたしは…って、既に自分の事をあたしって言ってる?!

「お…俺は「俺」なのよ…なんだぞ。お、俺もそっちに戻れないかしら?…かな?」
「無理に男言葉を使おうとしない方が良いぞ。何を言ってるか判らなくなる。で、こっちに戻れるかって?試してみるかい?」
「ええ♪」
あたしは瞼を閉じ、彼の口づけを待った。

「どうしたの?」
ちっとも始めようとしないので、瞼を上げる。
「そんな仕草、本当に「女」なんだなぁっな♪」
「へ、変なコト言わないでよ。さぁ、早くぅ。」
あたしが急かすと、ようやく彼が顔を近付けてきた。彼の唇があたしの唇に触れる。
あたしはあたしの全意識を彼の中に送り込もうとした…

が、あたしの意識はあたしの肉体を離れようとしなかった。
彼も援助するかのように、あたしを吸い込もうとしてくれたが、あたしの体から力が抜けてゆくだけだった。

力の抜けたあたしを彼が抱き止めてくれた。
そのままベッドに押し倒される。意識を移す筈の口づけはディープキスに変わっていた。
「ちょっと!!何してるのよ!!」
彼を離そうとするが、力で敵う相手ではない。
「一つ判った事がある。」
と彼が言う。
「どうやら、魂のリンクみたいなモノが切れているようだ。お前の感じている感覚が俺に伝わって来なくなった。」
「どういう事?」
「俺自身としては、元の状態に戻ったって事だ。お前も「俺」だった事を忘れれば、お前自身として自由に行動できるんじゃないか?」
「あたしにこのまま、この女として生きろって事?」
「一度は死んだ体だ。新たな魂で続きを生きるのもアリじゃないか♪それが、殺してしまった彼女への償いにもなるだろう?」
「償いって、何であたしだけなのよ!!あたしに償わせて、あんたはのうのうとしているつもり?」
「責任を取れってか?まあ、お前とは相性良さそうだから、養ってやるよ。正式に結婚して、毎晩悦ばしてやるよ♪」
「な…何言ってるのよ!!」
口では反発していたが、あたしの肉体は彼の言葉に反応し、期待に濡れ始めてしまう…

「OKと言う事かな?」
再び体を重ねて来る彼をあたしは拒絶する事ができなかった。

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