« 海外支援 | トップページ | 荒野(3/4) »

2014年6月19日 (木)

荒野(4/4)

シェルターの通信設備を使い、次の目的地を幾つか候補に上げておいた。
先ずは手近な所から…と、俺はそのシェルターの方向を向き、真っ直ぐに歩き始めた。

 
その後、3つのシェルターを訪れたが、それらは皆廃墟と化していた。
4つ目のシェルターの前で一夜を明かし、物騒な事がないのを確認してシェルターのドアをノックした。

そのシェルターには老人が独り残されていた。
「エネルギーが尽きかけておるんじゃ。若い者は早々に出ていってしまったよ。」
迎え入れてくれた老人はそう語ってくれた。
「残されたのは老人ばかり。体力・精神力のない者から脱落してゆく。結局、わし一人が残されたという訳じゃ。」
老人は目が見えないのか、椅子に座ったまま操作パネルを撫でるようにして指示を与えてゆく。
「大したおもてなしはできないが、食料の在庫はまだある。先を急ぐのでなければ、ここで2~3日ゆっくりしていくと良いじゃろ。」
俺の肉体は食料を必要とする事はないが、折角の申し出である。俺は老人と食卓を供にすることにした。

エネルギーが枯渇しているので、シャワーも使えない。まあ、相手は老人だし、目も見えていないようなので、わざわざ俺の容姿を整える必要もないだろう。
老人の長い話に付き合い、老人が疲れて寝息をたてだすのを辛抱強く待っていた。

通信設備は容易に発見する事ができた。が、起動スイッチがどこにも見当たらない。通常スイッチのある場所に見慣れない機械が装着されていた。
その機械はよく見ると、このシェルターのそこここにある様々な装置に繋がっていた。
俺は通信装置に戻り、その機械が外れないか見てみたが、通信装置の奥にまで根を張るように繋がっていた。無理に外そうとすると通信装置本体が使い物にならなくなる可能性がある。

「そんな時には素直に、お祖父様。お願いします♪と言えば良いんじゃよ。」
いつの間にか、俺の背後に老人がいた。
「可愛い孫娘のためなら、なんだってきいてあげるよ♪」
老人の手が操作パネルを撫でた。その途端、通信装置が起動を始めた。
「どうだ?お礼の言葉はないのかね?」
俺は一瞬躊躇し…
「ありがとう。お祖父様♪」
と口にした。
「よかよか♪」
そう言って老人は去っていった。
(つまり、このシェルターの装置の殆どが、老人の許諾を必要としているのだろう)
気は重くなったが、通信装置が起動したので、俺は意識をそちらに向けた。

が、確認できたシェルターは全て既知のものであった。そして、時と共にその数が減っていた。
このシェルターも遠からず無人になるであろう。だが、そのきっかけが俺自身でないことを祈るだけだった。

 
俺の肉体は飢え始めていた。
飢えると言っても普通の人間のように食材を腹の中に落としても、その渇きが癒えることはなかった。
俺の肉体が欲しているのは「男」だった。俺の膣に男を咥え込んで、その中が精液で満たされるのを欲していた。
が、ここにいるのは老人である。肉体の欲求のままに行為に及べば、老人の肉体は耐えきれないであろう。

しかし、このシェルターを出るには老人の許可がいる。主要な扉には皆あの機械が組み込まれていた。
「ミミ。こっちにおいで♪」
と老人が俺を呼ぶ。
「はい。お祖父様♪」
俺は老人の孫娘を演じていた。ミミという名も老人の孫娘のものだった。
「背中が痒いんじゃ。掻いてくれないか?」
「はい♪」
俺は老人の背後に廻ると、シャツをたくし上げ露出した背中に痒み止めのスプレー薬を吹き付けた。そして、下ろしたシャツの上から掌で軽く摩ってやった。
「ああ、気持ちがよいぞ♪ありがとう。」

そして、老人は言葉を続けた。
「しかし、こうやっていつまでもミミをここに足止めしておく訳にもいかないのだろう?」
「いえ、あたしはいつまでもお祖父様の傍に…」
「もう良いんじゃよ。お前さんの正体も解ってきた。わしじゃあ、お前さんを満足させられないんじゃろ?」
この老人はどこまで俺の事を知っているのだろうか?
「確認してみると、かなりの数のシェルターにミミの映像が記録されていた。」
「見た…の?」
「わしの目はもうほとんど使い物にはならないが、通信装置からのデータを直接わしの脳に送り込めるようにしてあるんじゃ。目では見ていないが、ミミの顔は良く見えているよ♪」
俺は室内の監視カメラに顔を向けた。
「あれだけの男を相手にしてきたお前さんが、こんな朽ち果てた老人の前で、さぞや身を焦がしていたんじゃろうな。」
「そ、そんな…」

「ドアは全て解放してある。いつでも出ていけるよ。じゃが、できれば一つだけわしの頼みを聞いてもらえないか?」
「頼み?お祖父様のためなら、あたしは何だってしますわ。」
「いや、孫娘に頼めるモンじゃないさ。お前さんに頼むんじゃ。」
「は、はい…」
「ここしばらくご無沙汰していたが、無性にアノ感覚を再体験したくなったんじゃ。お前さんの手で、わしにもう一度オトコの快感を味わわあわせてもらえないかな?」

 

 

老人のシェルターを後にした俺は、再び荒野を歩き続けていた。
シェルターの通信網にはいくつかの空白箇所があった。そこにはまだ知られていないシェルターがあり、男たちが残されている可能性がある。

 

…俺は荒野を歩き続けていた。

« 海外支援 | トップページ | 荒野(3/4) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 荒野(4/4):

« 海外支援 | トップページ | 荒野(3/4) »

無料ブログはココログ