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2014年6月19日 (木)

サプライズ

後から思えば、それが全ての始まりだったのだろう。
俺は雄司に組み伏せられながら、そんな事を考えていた…

 
それは、一枚のチケットだった。

 
「今度の休み、空いてるか?」
と雄司が声を掛けてきた。
金曜から三連休だったが、彼女もなく、これといった趣味もない俺が暇をもて余している事は周知のことなのだろう。
「遊園地のタダ券が手に入ったんだ。独りで行くのも何なんで、お前も一緒に行かないか?」
そのタダ券がペアチケットで、独りでの入場ができないと言う事は当日まで知らされていなかった…

係員が渋面を見せていた。チケットの事で揉めているようだ。
当然だろう。俺もゲートの前で初めてチケットを見せられて絶句してしまったものだ。
そのデザインは明らかに男女のペアを想定したものであった。なにやら様々な特典も用意されているらしい。
雄司が係員とやりあっている間、俺は少し離れた所にあったベンチに座り、バンフレットを眺めていた。
しばらくして雄司が勝ち誇ったように歩いてきた。
「大丈夫だ。入れるよ。チケットにはどこにも男女に限定すると書かれていない事を納得してもらったよ♪」
雄司に手を引かれ、俺達はゲートを通過した。
「結構特典があるんだ。アトラクションも並ばないで入れるぞ♪」
と、その行く手を係りの人に遮られる。
「まず、記念写真をお願いします。本遊園地のシンボルであるファンタジーキャッスルを背景に一枚お願いします。後程デジタル合成を行いますので、立ち位置とポーズはこちらで指定させていただきます。
何か嫌な予感はあったが、入り口で雄司がかなり無理を言ったと思うと素直に従わざるを得ないのだろう…

いくつかのアトラクションを堪能すると、お昼の時間になった。
「特典でスペシャルメニューが用意されているらしいよ。」
パンフレットでそのレストランの位置を確認した。
レストランに近づくにつれ、何か俺達を注目する視線が増えているような気がした。
いや、それは気の所為ではなかった。
「あの人じゃない?」
あからさまに俺達…いや、「俺」を指差す客が何人もいた。

レストランの入り口に「本日のベストカップル」と掲げられたパネルがあった。
その下には等身大に引き延ばされた写真=入って即に写された俺達の記念写真=が飾られていた。
そう、それはデジタル合成処理がされ、俺達は「王子」と「お姫様」のコスチュームに包まれていた。
その「お姫様」のドレスを着せられていたのが「俺」だったのだ!!
「タダで楽しめるんだ。これくらい我慢しろよ。それに結構可愛く撮れてるんじゃないか♪」
「そ、それ以上写真に関わる事は言わないでくれ…」
俺は一気に力尽きていた。
出された食事はカップル仕様であったが、俺にはもうコメントする気力もなかった。

 
「お二人にはパレードに参加していただく事になります。」
どこからともなく現れたスタッフに、俺達はバックヤードに連れて来られた。
「しばらく彼とは別行動となります。が、パレードでのサプライズにご期待ください。」
パレードのスタートまでにはまだ時間があった。「サプライズ」は…もし、俺が「女性」で雄司の「彼女」だったらそれを期待して待ち時間も気にならなかっただろう。
俺は先ず、別室でエステを受ける事になっていた。多分、カップルの「女性」を磨きあげるためのものであろう。
男の俺がエステを受けても…とは思っていたが、案外気持ちが良い事が判った。
が、その先はあまり言いたくはない。

服を脱がされ、コルセットで胴を絞めあげられ、「お姫様」のドレスを着せられた。
勿論、下着もフリルの沢山付いた女性用の下着であり、ブラジャーも付けさせられた。
美容院に連れて来られ、大量の付け毛を施された上で天高く結いあげられた。
ティアラが飾られ、耳にも装飾が施された。
そして、顔には様々な化粧品が塗り込まれていった…
不安定なハイヒールを履かされてスタート前のパレードの隊列に誘導されていく。
フロートは馬車をイメージしたようで、中のベンチに座れるようになっていた。
ドレスの裾の形を整えられ、扉が閉まるとパレードがスタートした。

 
先頭には白馬に跨がった「王子さま」…雄司がいた。
軽快な音楽に乗り、パレードが進んでゆく。
俺は馬車の窓から手を振ってやる。
「綺麗♪」
「あたしもお姫様になってみたい♪」
女の子逹が口々に勝手な事を言う声が聞こえてくるようだ。

パレードはファンタジーキャッスル前のメインステージで一旦停止した。
白馬を降りた王子さま=雄司が馬車に近付き、扉を開ける。
差し出された手に俺の手を重ねると、馬車から降ろされた。
ステージの中央に向かって、遊園地のキャラクター逹がレッドカーペットを囲むように並んでいた。
雄司に手を引かれ、ステージの中央に立った。
カチャカチャと雄司が足元を動かした。どうやら器具があり、彼の靴を床面にしっかりと固定したみたいだ。

ガクン
と床が動き、直径1m程の円盤となって、宙に浮き始めた。
雄司はこの事を聞いていたのだろう。余裕の笑みを浮かべている。
だが、しっかりと固定された雄司と違い、俺の方はちょっとでも油断すれば落ちてしまいそうだ。
必然的に、俺は雄司にしがみつき、王子さまはしっかとお姫様を抱き寄せ、身体を密着させる形になる。
ステージの上ではキャラクター逹のダンスが繰り広げられていた。
「あれこれ考えない方が良いぞ。今は純粋にこの状況を楽しむしかないよ♪」
そして、円盤がジェットコースターのように勢い良く動きだすと、
「きゃーっ!!」
と、俺は女みたいに叫んでいた。

曲調が変わり、しっとりとしたワルツになっていた。
スポットライトがメインキャラクターのカップルに注がれる。
華麗なステップでステージの上を縦横に舞い跳んでいた。
着ぐるみと言う事さえ忘れさせる美しさがそこにあった。
そして、間奏になった。

と同時にスポットライトは俺達に注がれていた。
「大丈夫。君にはお姫様になれる魔法が掛けられているんだ。さあ、脚を一歩踏み出してご覧♪」
円盤は床に戻り、雄司が俺をステージの中央に誘う。
間奏が終わると俺は雄司にリードされ、ワルツのステップを踏んでいた。
(知らない筈なのに…)これが雄司の言った「魔法」なのだろうか?
俺達はメインキャラクター逹に負けないくらい華麗にステージの上で舞っていた。
次の間奏が入ると、カップルになったキャラクター逹がステージに繰り出してきた。
俺達とメインキャラクターがステージの中央で踊り、その周りを綺羅雅やかに演出する。

そしてステージはフィナーレを迎える。
盛大な拍手が沸き起こる。
その中心に俺逹がいるのだ。
「楽しめたかい?」
「何か夢の中にいるみたい。自分が自分でないみたいな…」
「魔法はまだまだ続くんだよ。さあ、馬車に乗ってパレードの再開だ。」
今度は雄司も一緒に馬車に乗り込んだ。

 
馬車が動き出すまでにはまだ時間があった。
ステージから馬車の中まで繋ぎ続けていた手が解かれた。
雄司が俺を見つめている。
奴の手が俺の背中に廻った。
(キス…しようとしているの?)
俺には「男同士だ」という感覚が欠如していた。瞼を閉じ、少し首を傾けていた…
 彼の唇が触れる。
俺は女がそうするように、彼の舌の侵入を許し、俺の舌を彼の舌に絡ませていた。

…頭の中が幸福感で一杯になりそうだ…

気付くと、馬車は動きだし、彼の唇は離れていた。
「さあ、笑顔で手を振ろう♪」
パレードの見物人が俺達の乗った馬車に注目していた。
(ここで不機嫌な顔はしていられないよね。パレードが終われば、またキスしてもらえるよね♪)
俺が笑顔を見せると、観客逹の笑顔もワンランクアップするみたいだ。
俺はパレードが終わるまで、一生懸命に手を振っていた。

 

パレードが終わると、「シャワーでも浴びて夜のイベントまでゆっくりしててください。」と遊園地に併設されたホテルの最上階に案内された。
その日は天気も良く、かなり遠くまで見渡すことができた。
「夜景も綺麗だと言う話だよ。」
と窓から外を見ていた俺の隣に雄司が立っていた。
「先ずはお疲れ様でした。」
と俺を抱き寄せる。俺が上を向き瞼を閉じると、彼の唇が俺の唇を塞いだ。
また、あの快感が戻ってきた。
脚から力が抜けて立っていられなくなったが、雄司がしっかりと俺を支えてくれた。そして、雄司が大きく動くと、俺はお姫様だっこをされていた。
(今の俺はお姫様だら、文字通りだね♪)

そのままベッドに運ばれた。
「疲れただろう?しばらくここで休んでいよう。その前にシャワーでも浴びないか?」
「賛成♪でも、この服を一人で脱ぐのは難しそうよ。」
「手伝うよ。背中を向けてくれ…」
彼にファスナーを下ろしてもらう。袖から腕を抜き、ドレスから解放された。
「セクシーだね♪」と彼…
「み、見るなよ!!」と俺は両腕で胸を隠した…
って、男同士で俺は何を恥ずかしがっているんだ?

確かに、女性用の下着を着ているのを見られている。が、男の俺がお姫様の格好にされた時点で恥ずかしさのメーターは振り切れていた筈。何を今さら下着で…
とは思ったが、今の恥ずかしさはそれとは別物のようだ。コルセット等で絞めあげられた体は正に「女」だった。
くびれたウエストから腰にかけてのライン。お尻の形も整えられ、股間もすっきりしている。
そして、胸はブラジャーを満たしてあまりある位に膨らんで…
(な、何で補整下着だけで胸まで膨らんでいるんだ?)
「形の良いオッパイになったね。もっと良く見せてよ♪」
と雄司にブラジャーを剥ぎ取られた。
「イヤッ!!」
と可愛らしい悲鳴をあげてしまった。
が、そこには確かに豊かなバストがあり、先端には綺麗な色をした乳首まで乗っていた。
「お姫様になる魔法はちゃんと効いているようだね♪」
と雄司が乳首にキスをした。
その触れられた感触が俺の胸から伝わってくる。
「ぁあんっ♪」
乳首を噛まれて艶声が漏れた。
「身も心も《お姫様》になれたかな?」

お姫様ってことは「女の子」で、このバストは「女の子」の証…
(他はどうなっている?)
俺は下半身に手を伸ばした。が、補整下着越しでは判別がつかない。俺は下着の下に手を入れ、直接股間に触れてみた。
(…ない…そして、ある?)
なかったのは俺のぺニスだ。そこに突起物はなく、肉の割れ目があった。更に奥に指を伸ばすと、熱く湿った洞があった。勿論、排便のための穴ではない…それが、最終的な「女」の証だ。

「僕にも見せて♪」と下着が剥ぎ取られる。ベッドに押し倒され、股間が広げられた。
「てらてらと卑しく輝いているね♪こんな可愛くて淫らな女の子を前にして、僕はもう我慢できないよ♪」
彼が何をしようとするのか、その一瞬では理解すれことができなかった。
可愛い娘を前に男が我慢できない事は解る。
が、その「可愛い娘」が俺自身である事に、なかなか結び付かなかった。
次の瞬間には、俺は雄司に組み敷かれていた。
ようやく、彼の欲望の対象が俺自身である事に気づく。

彼の股間が、俺の下半身に近付いてくる。
硬くなったソレの先端が触れ…俺は一気に貫かれていた…

 

 

花火が上がっていた。
外はもう「夜」になっていた。
「花火とともに魔法は解けていくんだって。」
俺は膣の中に彼の存在を感じながら、ただぼーっとしていた。
この半日、俺は「お姫様」として「女の子」として雄司に愛されていた。
それが心地よいものだという事は認めよう。だが、魔法が解けたあと、俺はどのように雄司に接すれば良いのだろうか?
ゆっくりと乳房が縮んでゆく…
付け毛が解けてシーツの上に散らばっていく…
俺の身体は「お姫様」から元の姿に戻ろうとしていた。

「嫌っ!!」

俺は叫んでいた。
(まだ、このままでいたい!!)
俺は雄司に股がったまま、ぎゅっとしがみついた。
「雄司!!もっと愛して♪」
俺の圧し開かれた股の間で雄司は腰をくねらす。
俺の膣で雄司のぺニスが一段と暴れた。
(ずっとこのままでいたい♪)
花火がクライマックスに向けて激しさを増すように、
俺も快感のクライマックスに向けて昇り詰めてゆく。
そして、盛大な花火とともに俺は、盛大な嬌声とともにイッていた…

 

 

「時間だよ。悪いけどシャワーを浴びる時間もないようだ。」
雄司に声を掛けられ、慌てて起き上がると股間に滴る名残りをタオルの端で拭き取った。
時間が無いと言われても、ブラシで短い髪を整え、乱れたお化粧だけは直させてもらう。
「お姫様」になる魔法が解けてしまったあたしは「普通の女の子」に戻っていた。

(?)

「戻った」のが「女の子」で良かったのかしら?
この身体はお姫様のようなナイスバディとは言えないけど、あたしの=「女の子」の身体である事に間違いはない。
(どこか間違っていた?)
どうせ、あたしはAカップのブラでも余ってしまう貧乳だけど…
(って、少し大きくなってる?)
着てきたのはトレーナにジーンズ。少しも女の子っぽくないけど、下着は可愛いのを選んできたのよ♪
(って、あたしこんな可愛い下着持ってたっけ?)
何か記憶があやふや…

「さあ、帰ろう♪」
と雄司が差し出した腕にあたしの腕を絡める。
「今日は素敵な一日をありがとう♪」
「楽しんでもらえて、僕も嬉しいよ♪」
出口ゲートには係りの人逹が並んでいた。
何かあたしを見て、意味ありげに微笑んでいる。
そんな係りの人逹に見送られて、あたし逹の遊園地デートが終わりを迎える。
(デート…だったのよね?何か違った気もするけど…)

「ま、楽しかったからどうでも良いんじゃない?」
と自分に言い聞かせる。
「どうかした?」
と雄司。
あたしは雄司に抱き付くと、もう一度キスをした♪

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