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2014年1月 1日 (水)

初夢

 
正月早々、コタツに寝転がってテレビを見ていた。
寒い中、初詣の人達が長い列を作っている。
「何で今日に集中して行くのかね?神様のご利益なんて、いつ行っても変わらないんじゃないか?いや、集中する分一人当たりのご利益が減っていたりして♪」

 
などと罰当たりな事を呟いていた俺の前に「神様」が現れた。
刺身の舟盛りに使うような舟状の物に乗っている。小さいながらも、七人いるからこれが七福神なのだろう。
女の人が弁天様で釣り竿を担いでいるのが恵比寿様。以下は名前と顔が一致しない。お爺さん逹は名前さえ忘れていた。

「こんな奴、放っておけば良いじゃろが!!」
と老人の一人が顔を真っ赤にして騒いでいた。
「まあ、良いではないか。年の瀬を西洋の神様に席巻されてしまったんじゃ。我々も何かアピールしておくべきだろ?」
と太った神様。
「わしらは人数で勝負できるが、この後お花祭りまで保たせられるかが問題じゃな。」
とは鎧を着た神様。毘沙門様だったっけ?
「まあまあ、やることやって早々においとましようではありませんか?」
と俵に座った神様。水戸黄門かい?
「ぶ、無礼なッ!このお方をどなたと心得る!!」
と毘沙門様が刀に手を掛ける。
「大黒さんの言う通り、さっさと済ませておいとましまへんか?」
と女性の声がその場を納める。
「さて…」
と俺に注目する
「この絵馬に望みを書いて枕の下に入れて寝てみなさい。きっと願いが叶いますえ♪」
弁天様の声が途切れると同時に舟と七福神逹は消え、彼等のいた場所に一枚の絵馬が残されていた。
「絵馬に願い事ねぇ…今更合格祈願もないし、家内安全も願いが叶ったかの確認が難しいよね。」

俺は手近にあったボールペンで…
〈嫁さんがホシイ〉
と書いてみた。

 
急に眠気が…

 

 
音楽が流れていた。
神事の時の雅楽というやつだ。
俺は上座に座り、左右に正装の人々が並ぶ。俺の側に並んでいるのは、両親を始めとする親戚一同だった。
巫女さんがやってきた。杯を持つように促される。

この状況は結婚式か?

いわゆる三三九度で杯に注がれたお神酒を飲んだ。
頭の上に重たい物が乗っているし、慣れない着物なんで動き辛い。
それでも、俺の「嫁さん」になる人を見ようと隣を見た。

(?)

何でそこに「俺」が居る?
隣にいるのは白無垢に包まれた「嫁さん」だと思っていたのだが…
和服に身を包んでいる男が隣にいるだけで異常な事には違いない。が、更にその男の顔はよく見慣れた「俺」の顔である。

自分と同じ顔の人間が出て来るのは、小説で読んだ事がある。ホラーなんかでは自分の死の予兆だとか言われる事がある。
が、新年早々縁起でもない!!

勿論、そこに鏡があって俺自身を写している…なんてオチではない。
そいつは、俺の意思ではなく勝手に動いていた。

鏡…そう、鏡があれば今の俺の状態を見る事ができる♪
…が、ある程度は想像は付く…
上座に座っているのは奴と俺だけだ。
そして、どう見てもコレは神式の結婚式である。
俺は自分の着ている着物が白地である事を改めて確認した…

 

(夢だ!!これは絵馬を枕にして眠っている俺が見ている夢でしかない筈だ)
俺は即にでも夢から抜け出せる方法がないか考えた。
拘束具のような白無垢では大きな動作が難しい。そこで、重ねられた手に注目した。
手袋のようなものはしていない。
爪は綺麗にカットされ、磨きあげられていた。
その爪で、もう片方の手の甲をつねる。

「痛ぃ…」

声が漏れ、皆の視線が集まった。
「どうした?」
と小声で聞いてくる。
「これって、夢じゃないの?」
「そんなの夢に決まってるじゃないか♪」
その言葉と共に、俺の意識がスーッと消えていった…

 

 
扉の向こうでウェディングマーチが流れている。
目の前の扉が開くと結婚披露宴の会場だった。
俺は真っ赤なドレスを着ているようだ。
白いタキシードの「俺」に腕を引かれて歩き出す。
拍手の中、テーブルの蝋燭に火を移して回る。
「俺」の関係者は当然俺も知っているが、新婦側の関係者は知らない顔ばかりだ。
そんな彼等が、親しげに声を掛けてくる。愛想笑いを浮かべてやり過ごすしかなかった。

 
雛壇脇の大きな蝋燭に火を移すと、仕掛けが動き出し、ハートの形を浮き上がらせる。
拍手と歓声が沸き起こる…
「これも夢なのか?」
「そうに決まっているだろう♪」
誰にも聞こえない声で会話を交わす。
歓声の中、奴は俺を抱き締めた。
奴の顔が近づく…
歓声が一際高なる。
奴の唇が俺の唇を塞ぐ。
俺は、再び気が遠くなっていた。

 

「気がついたか?」
奴が声を掛けてきた。
俺はベッドに寝かされていた。
結婚式、披露宴と体を締め付ける服を着続けていたので、何も着ていないとこんなにもリラックスできるものか…と考えていた。

奴は風呂から出たばかりのようで、バスタオルを腰に巻いただけの姿だった。
その時、俺は自分の立場を思い出した。俺は「花嫁」で、昼間に結婚式をあげたばかりだ。
多分、ここはホテルの寝室であろう。
話の流れからすれば、新婚さんの初めての「夜」である。
都合良く、新婦である俺は全裸でベッドに寝ている。
そこに、風呂から上がった旦那様がいる…

奴の腰に巻いたバスタオルの前が大きく膨らんでいないか?

「今日は一日お疲れ様でした。でも、これで俺逹は晴て夫婦となれたんだね♪」
と、ベッドの端に腰掛ける。
「こ、これも夢だろ?」
「怖いのかい?大丈夫。優しくシてあげるよ♪」
「ゆ、夢なら…」
「それはまだだよ。僕逹は夫婦になったんだから♪」
と俺の隣に横になった。
素肌が触れ合う。
ぞぞっと悪寒のようなものが背筋を走ってゆく。
「そんなに硬くならないで♪」
彼の掌がゆったりと乳房を揉みあげた。
乳首がつねられる。
「んぁん♪」
俺の口からオンナの喘ぎ声が零れる。
「そうだ。快感に素直になれば良い♪」
耳元で囁かれる。
肉体が快感を訴えてくる。
彼の指が俺の裸体の上を這いまわり、快感を与え続ける。
その快感に堪え切れずに、喘ぎ声を漏らす。
「あん、ああん♪」
「良い媚声だ♪こちらも準備ができたかな?」
彼の指が股間に向かう。
いつの間にか、そこは俺の愛液に濡れていた。
「脚を開いて♪」
俺の肉体は彼の指示に素直に従う。
開かれた股間に彼の腰が割り込んでくる。
「いくね♪」
彼のペニスの先端が。俺の股間に触れ
…そして、俺のナカに侵入してきた。

そこは「膣」だった。
俺の股間に膣があり、彼を受け入れていた。
彼が腰を動かすと、膣の中を彼のペニスが往き来するのが判る。
そして、それはえも言えぬ快感を伴っていた…

「いくぞ!!」
と彼が言い、むっといきむ。
俺の膣の奥に何かが打ち付けられた。
「あ、あああっ…」
俺は快感に意識を失っていた。

 

女は男と結婚し妻となる。
妻はその身に夫の子を宿す。
子を産み、女は母となる。
女は…

 

俺の膣の奥に打ち込まれたのは、彼の精液である。
膣の奥には子宮があり、正常な女性であれば、そこに卵子を持ち、やってきた精子と結ばれる時を待っている。
受精した卵子は子宮の中で人間として育ってゆく。
そして、臨月を迎える…

 

このままであれば、俺は子供を産むことになるのか?!
いや!!これは「夢」なのだ。
夢から醒めれば、俺は元の俺に戻れるのだ。

「そうかな?」
彼の皮肉そうな顔が俺を覗き込んでいた。
「これが夢である事は認めよう。だが、正夢でないことは保証できないよ♪」

 

彼の言葉が終わると同時に、俺は覚醒した。
そこは「俺」の部屋のベッドの上だった。
俺はたっぷりと寝汗をかいていた。シーツも枕もぐっしょりと濡れていた。

(枕っ!!)

枕の下から絵馬を取り出す。
汚い字が更に読み難くなっていた。
辛うじて読み取ると…
〈嫁こ がホ゛ク〉
…だから、ボクがお嫁さんになった夢を見たのかな?
何か納得してしまったような気になってしまう。

 
プルプルと目覚ましが鳴っていた。
いつもの休日なら、まだ寝ている時間だけど、今日はそうも言っていられない。
もうすぐ初詣に迎えに彼が来てしまう。
いつもは男の子みたいな服しか着てないけど、正月くらいはおめかししようと決めていたのだ♪
もし、あれが正夢なら、プロポーズだってあり得るかも♪

 

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