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2013年9月27日 (金)

一夜の夢


 

それは「夢」だったのだろうか…

 

私は森の中に迷い込んでいた。
そこに身なりの上品な若者が現れた。
「もし、君。僕のメアリを見かけませんでしたか?」
「いえ、私がこの森に足を踏み入れてからお会いしたのは貴方しかいませんでしたよ。」
「そうでしたか。もし見掛けましたら、僕に教えてください。」
と若者は私が歩いてきた道を「おお、メアリ。僕の声が聞こえたなら返事をしておくれ。」と口走りながら進んでいった。
私は誰にも会わなかったと言った筈ではなかったか?と彼に突っ込む以前に、もし私がメアリという女性に会ったとして、どうやって彼に伝えればよいのか?としばし悩んでしまった。

 

私は森の中で迷っていた。
しかし、どうやってこの場所に辿り着いたのか、どこに向かおうとしていたのか、私には何の記憶も無かった。
では、どちらに進めば良いのだろうか?
どこから着たのか解らないのであれば、戻るという選択肢は無いだろう。
何の考えもなく、このまま真っ直ぐ進むのも無謀であろう…
だが、彼は真っ直ぐ私に向かって歩いてきたみたいだ。
このまま彼が来た道を逆に辿れば、彼の家なり、人の住んでいる場所があるに違いない。
と、私は再び歩みを始めた。

 

しばらく行くと、森の中には似つかわしくないカラフルな布地の一部が目に入った。
それは女性のスカートの一部のように見えた。
私がその「本体」を確認しようと視線を上げると…かさりっ、と葉が揺れた。
その葉の奥から二つのつぶらな瞳が私を見つめていた。

彼女が持っていた枝に付いた葉は、彼女の顔を辛うじて隠す事に成功していたが、首から下はまったく隠れていなかった。
その姿から、彼女が若い女性であることは即にわかった。彼女が彼の探し人なのだろう。
「メアリさんですか?」
と私が声を掛けると
「ああ、見つかってしまいましたのね♪」
と美しい声とともに持っていた枝を投げ捨てた。
想像していた通りの愛らしい顔が私の前に晒された。

「あ、いや。隠れていたのならワザワザ彼に伝える事もないでしょう。私は何も見なかった事にして先に進ませてもらいます。」
「あら、貴方はアンソニーではないのですね。良かった♪」
とほっとした表情を浮かべるメアリ。
「私と彼では年も背格好も違います。何で私を彼と間違えたのでしょう?」
「アンは変装の名人なのです。他の人に成りきるなんてお手のもの。誰にも見分けがつかないのですのよ♪」
「それは凄い。」
と彼女には言ったが、私としては眉唾ものと考えていた。

「ひとつお訊ねしてよろしいでしょうか?」
「なあに?」
「この先に進めば、お屋敷なり人の住んでいる場所に辿りつきますでしょうか?」
「それなら大丈夫よ。ここはもうお屋敷の庭の一部ですから♪」
「ありがとう。」
私はそう言って先に進んでいった。

 

 

一気に視界が開けた。
そこには綺麗に手入れた庭園が広がっていた。
その先には立派なお屋敷が据えられていた。

「もし~…」
遠くから女の声がした。前世紀の遺物のようなメイド服を着た女性が近づいてきた。
「すみませんが、メアリお嬢様をお見掛けにはなりませんでしたでしょうか?」
「あぁ、彼女でしたら…」
と、そこで私は答えるのを躊躇った。アンソニーという男は変装の名人だという。この女性か…
いや、そんな訳はない。私はメアリの所からほぼ一直線でやってきたのだ。奴が回り込んできたとしても、これ程完璧な変装をしている時間はない筈だ。
「彼女にはここに来る途中で会いましたよ。良かったら一緒に行きませんか?」
私の誘いに、彼女は「宜しくお願いします。」と頭を下げた。

私は来た道を戻っていった。
程なく「ほら、あそこ♪」と私が指差した先には、葉っぱで顔だけを隠したメアリがそこにいた。
が、
「えっ?どこですか?」
メイドの女にはメアリの姿が見えていないとでも言うのだろうか?

再びメアリと私の視線が交錯する。
「メアリさん。この人も貴女を探してらっしゃいました。」
私が声を掛けると
「ダメ、その人は!!アンソニーを近づけさせないで。」
彼女の声に何かの均衡が乱れたかのようだった。
「メアリお嬢様、そこにおいででしたか?」
私を押し退けるようにメイドの女がメアリに近づいていった。
「いやっ!!」
メアリが叫ぶ。
私は何も出来ず、その場に立ち尽くしていた…

 

 

私は屋敷に招かれた。既に陽が陰り始めていたので、私に食事と今宵のベッドを提供してくれると言う事だった。

「アンソニーさんは本当に変装が上手ですね。」
夕食後の団欒で、私がそう言うと、
「変装とは少し違いますわね。試しに貴方に変わってみましょうか?」
「そんな簡単に出来るのですか?」
「はい。よろしければ、今すぐにでも♪」
「是非にも。」
「では、3・2・1・ハイ♪」
次の瞬間、私の視界が揺れ乱れた…
そして、私の視線の先に「私」が居た。
「どうでしょう?今は私がアンソニーです。」
「私」は私と同じ声、同じ口調で私に語り掛けた。
「見事です。これは素晴らしい…?」
私の賛誉の言葉が途中で止まってしまう。
これは「私」の声か?
それは女のように甲高い声であった。
(女のよう?)
私は全身に違和感を感じ始めていた。
胸が締め付けられている。肩に掛かる紐が負担している質量は何だ?
脚全体が何かに包まれている。ズボンではなく、下半身全体を覆うような服?
そもそも、私の居る位置が先ほどとは違う。私の居た場所には「私」が居る…今私が居る場所はアンソニー…メイドの女が居た場所ではないか?

「わかりましたか?これは変装ではなく、入れ替わりという術なのですよ♪」
「入れ替わり?」
「そう。今貴女と私の間で入れ替わりを行いました。私がこの姿になったのと同時に貴方はメイドのアンナとなっています。」
「わ、私がメイドの?」
「そう。その身体は女性のものです。当然男性とは違います。今宵一晩、男性では味わう事のできないコトを経験をしてみませんか♪」

私はゴクリと唾を飲み込んでいた。
この肉体で「女性」としての経験をする?

「最初から男性相手では抵抗があるでしょうから、お嬢様がお相手してくださいます。先ずは湯あみでも如何ですか?」
アンソニーの言葉にメアリが立ち上がり、私の手を取った。
「さあ、アンナ。一緒に参りましょ♪」
そして、私の耳元で囁いた。
「アンに見つかってしまったのは貴女の所為ですからね。今夜はたっぷりとお仕置きしますよ♪」

 

 

 

「あん!!ああああっ…」
私はベッドの上で悶え、女のように嬌声をあげていた。
いや、女のようにではない。今の私は「女」そのものだった。
私はメアリに感じる所を徹底的に責められていた。同性であるメアリは「女」の感じる所を熟知していた…
あるいは、彼女もまた「入れ替わり」でこの姿になった事があり、この肉体を隅々まで把握しているのだろうか?

しかし、私にはそれ以上考える事ができなかった。
強烈な快感が私の思考力を麻痺させていた。快感が私の頭の中を白く塗りあげていった…

 

私は何度もイかされた。
最初はメアリの指だけで…
やがて器具が使われた。男性のペニスを形取ったモノが私の膣に挿入された。
私はメアリを異性である女性として意識していた。が、いつしか彼女を同性として感じ始めていた。
そして、疑似ペニスを受け入れているうちに、女同士の睦事では満足できなくなっていた。
そう、この肉体は憶えていたのだ。男性に抱かれた時の快感を…本物のペニスの感触を、そして男の精が膣内に放たれる快感を憶えていた。
子宮が疼いていた。
本物の「男」を求めて哭いていた。
それでも、メアリの術に全身が快感で埋め尽くされていた…

 

「仕上げはわたくしね?」
不意に男の声が舞い込んできた。
それは、森で出会った若者だった。
私の目は、彼の硬く膨らんだズボンの股間に釘付けになっていた。
彼は多くを待たせなかった。
ズボンを脱ぎ、禍々しく奮り勃ったペニスを見せ付ける。
これが私の膣に入って来るのか?
それはメアリの使った疑似ペニスより二周りは太く大きく見えた。
「さあ、いきますわよ♪」
躊躇いもなく、開かれた私の女陰に逞しいペニスが突き立てられていた。
「何も問題ありません♪全てを受け入れるのですっ!!」
私は新たな快感に、これまで以上の嬌声をあげ続けた。
そして、私とともに彼もその時を迎えた。
私の膣に放たれる精…それは子宮の奥にまで達するかのよう…そして、あまりの快感に私は意識を手離していた…

 

 

目覚めたのは森の中…
いや、朝日が差し込んできているのは森の出口か?

私は枯れ草の上に大木の根を枕にして寝ていたようだ。
当然、そこにはベッドも屋敷もない。
そして、私は「私」だった。

あれは「夢」だったのだろうか…

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