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2013年9月27日 (金)

帰還

突然降りだした雨に、野外ステージの周りに集まった人々は為す術も無かった。
殆ど身動きが取れない中で人の流れに逆らわず、倒れないように足を進めるしかなかった。
「落ち着いてください。係員の指示に…」
スタッフの叫び声は雑踏に呑み込まれてしまう。
折り畳みの傘は持っていたが、到底差せる状況ではなかった。
雨は服を濡らし、どんどん体温を削ってゆく…

 
ビカッ!!

 
一瞬、空が明るくなる。
人々は緊張し、息を飲む…

 
どどん!!

 
大音響が地面を揺らす。
「「きゃー!!」」
そこら中で悲鳴が上がり、収拾が着かなくなる。
揉みくちゃにされ、不意に足元から地面が消失する。
群衆は、倒れた人間に構う余裕などない。
腕を、足を、頭を、腹を…いくつもの靴が踏みつけてゆく。
服は泥にまみれ、肌はそこらじゅう痣だらけに違いない。
幸いにも、骨が折れたような痛みはなかった。

 
どどん!!

 
再び大音響が地面を揺らす…

そして、辺りは静まりかえっていた…

 

 

ゆっくりと身を起こした。
降りしきる雨が泥を流してくれる。
黒雲に閉ざされているとはいえ、目が慣れれば様子が判る。
が、そこには誰もいなかった。
いや、ここがさっきまでの場所であるのかも定かではない。
野外ステージかと思った影は、木立の集まりだった。
街路灯をはじめ人工物が確認できない。…ゴミさえも見当たらないのだ。

いや、少し離れた所に何かあった。
最初は小さな茂みか岩かと思った。
しかし、それが人の姿であると判るのに、そう時間はかからなかった。
近づき、手を触れてみる。
「う、ううん…」
とそいつは反応した。
「大丈夫か?生きてる?」
声を描けるとそいつは身動きを始めた。
手を突き、上体を起こす。
「ああ…目の前に天使がいる。俺は死んでしまったに違いない♪」
「な、何をバカな事を言ってるんだ?まだ心臓は動いているのだろう?」
「そうだな。今、凄くドキドキしている。これは生きている証なのか?」
「多分俺逹は生きてはいるのだろう。が、ここがどこなのか見当がつかない。俺逹のいた野外ステージの会場でないことは確かなようだ。」

そう言うと、奴は不思議そうに俺を見ていた。
「な、何だよ。俺が何かおかしな事でも言っていると言うのか?でも、この状況は他に説明できないだろう?」
「ああ。状況はだいたい判った。気になったのは、何で君みたいな可愛い娘が〈俺〉って言うのかって事だ。」
「な、何だよ。その〈可愛い〉ってのは?俺は武藤大毅。もう20年近く男をやっている。」
「?、それは奇遇だ。俺も20年近く男をやっている武藤大毅という者だ。が、君は俺の知る武藤大毅とはかけ離れた容姿をしている。」
俺は俺と同じ「武藤大毅」と名乗る奴の姿をもう一度見た。
そして、その姿が俺の知る「武藤大毅」と寸分も違わない事を確認してしまった。
「なら、俺は何者なんだ?」
「俺の目には、俺好みの可愛い女の子にしか見えないんだがな♪」
「女…の子?」

俺はゆっくりと掌を胸に宛た。
指を曲げ、それを掴むとムニュっとした感触が伝わる…
慌てて、残りの手を股間に伸ばす!!
(ナイ…)
長年連れ添ってきた男のシンボルは、そこには存在していなかった。

と同時に、今自分の着ている衣服についても知る事となった。
脚はストッキングに包まれ、短いスカートが辛うじて股間を隠している。
胸にはブラジャーが大きなバストを包み、支えていた。
キャミソールの上に丈の短いジャケットを着ていた。
足にはハイヒールのサンダルを履いていた。足の爪が青く塗られている。
爪先が露出しているということは、脚を覆っているのはストッキングではなく、レギンスというものなのだろうか…

 

「確かにこの体は女の子のものだ。が、精神は武藤大毅なんだ。」
「その顔で俺々言うのは勘弁してもらいたいな♪が、中身が〈俺〉なら無理な注文かも知れないな。」
と、奴は勝手な事を言う。
(まあ、俺が奴なら同じ事を言ったかも知れないが…)
「で、とりあえずお互いの状況は確認できた。が、このまま雨に打たれ続ける訳にもいかない。倒れていた分、大分体力を消耗している筈だ。」
「確かに。体が冷えきってしまっている。」
「そこでだ。あそこに大きな木がある。葉も生い茂っているんで多少は雨宿りの代わりになるんじゃないかと思っている。」
「俺も今、そう思っていた所だ…って、何だ?その手は。」
「い、いや…目の前にいるのが女の子なんでね。らしくはないが紳士的な態度を取ってしまった。」
「じ、自分で立てるから。女の子扱いはしないでもらいたいな。」
「気を付けておくよ。」

 

俺逹は目指す木の下に辿り着いた。
さっきの場所より視界が開けていた。
雨足も弱くなり、周囲の状況も見えてきた。

そこは何もない場所だった。
至る所に木々が生い茂り、人工物の欠片も見えなかった。
(…ん?)
俺は目を凝らした。
鬱蒼とした木々合間に屋根の一部のようなものが見えた。
「あれ、何だかわかるか?」
と俺が奴に声を掛け振り向くと、奴は上半身裸になっていた。
濡れた服を絞っていたようだ。
「どれ?」
と奴が俺に近づく。
裸の胸が俺の背中に触れた。
(ドキッ)
俺の胸が大きく脈動した。
「何か家みたいだな♪」
今の俺と比べると、奴の方が頭ひとつ高いのだ。(俺の方が縮んだだけなんだが…)
俺には一部しか見えなかった屋根も、奴にはそれを家の一部と認識できる程に見えているのだろう。
「雨が止めばよいが、多少降っていても夜になる迄にはあそこに辿り着けるようにしないとな♪」
「お、俺もそう思っていた所だ!!」
と、奴の腕を振りほどいた。
いつのまにか、奴は俺の肩に腕を廻していた。
その事を意識した途端、何故か俺は頬が熱くなるのを感じていた。

「な、何をするんだ?」
と奴が慌てたような声を上げる。
「お前と同じように、服を絞ろうとしているんだが?」
「って、こっちを向くな。ちょっと待て。俺が幹の裏側に廻るから。終わったら…終わって服を着たら声を掛けてくれ。」
何を慌てて…と思ったが、今の自分が「女」であることを思い出した。
目の前に女の裸体がちらつけば、理性を保つのに努力が必要となるのは俺も同じだ。
しかも、幹の裏側では奴も再び濡れてしまう。俺はさっさと作業を終える事に専念した。

 

「そろそろ行動しないとヤバそうだな。」
俺よりも一瞬、奴の方が口にした。
奴も「俺」なのだ。思考バターンが同じなのを再度確認することもない。
「ああ」
とだけ返し、俺達はその家に向かって歩き始めた。

女になった事で、俺の歩幅はかなり小さくなっていた。
いつもの調子で歩いていると、どんどん奴から離されてしまう。
少し小走りで距離を詰める事を何回か繰り返していると、奴は歩く速度を落としてくれた。
さらに
「その靴じゃバランスを崩し易いだろ?俺の腕に掴まったらどうだ♪」
と手を差し出した。
流石に俺も慣れない靴=ハイヒールのサンダルで、何度もコケそうになっていたので、その腕にすがることにした。

 
辺りはかなり暗くなってしまったが、俺達はようやくその「家」に着いた。
木造のその建物は、人の住む「家」というよりは「社」のように見えた。
実際、扉を開けて中に入るとがらんどうで何もなかった。ただ、奥まった一角に祭壇のようなものがあり、コケシのようなものが祀られていた。
「床に直に寝る事になるが、雨風はしのげる。これで善しとしないか?」
奴の言葉に「ああ」と返事をした俺は、祭壇に向かい手を合わせた。
(一晩お借りします。そして、一刻も早く俺が元の姿に、元の場所に戻れるようにしてもらえないでしょうか)
これまで俺は神仏を拝む事など殆どなかったが、流石にこの状態では見知らぬ神様であっても拝まずにはいられなかった。

 
雨はまだ降っていた。
闇の中、雨粒が屋根や壁を叩く音が響く。
俺達は濡れた服を脱いで床に転がっていた。
勿論、毛布等もない。
「寒くないか?」
暫くして奴が声を掛けてきた。
確かに体は冷えきっていた。
暖めるにはお互いの肌を触れ合わせるのが一番である。
が、奴は俺が女であることで、躊躇っているのだろう。
奴は「俺」でもある。肌かの女性と肌を触れ合わせた場合、理性を保ち続ける自信はなかった。
それは奴も同じという事…
だが、寒さはそれ以上に深刻だった。
「あ、暖を取るには肌を触れ合わせた方が良い…」
そう言って俺は体を反転させた。
奴と向かい合わせになる。
が、闇の中では良く判らない…

手を伸ばす。
指先が奴の腕に触れた。
奴の手が俺の腕を掴む。
奴がにじり寄る。
腕が背中に廻され、引き寄せられる。
互いの胸が触れ合う。
更に抱き締められ、密着する。
奴の体温が感じられる。
暖かさを感じる…

 
奴が不自然に腰を動かした。
俺の太股に何かが当たった。
「ご、御免…」
それは奴の勃起したペニスだった。
俺の全身がカッと燃え上がったかのように感じた。
心臓の鼓動が激しくなる。
燃えあがった熱が下腹部に収斂してゆく。
見知らぬ器官が疼いていた。
股間が汗を吹く。

「良いよ♪」

(?!! 俺は何を口走った???)

俺の声に応じて、奴が腰の位置を戻す。
丁度、二人の下腹部の間にソレが挟まっていた。
「良いのか?」
と奴
俺は何と答えるべきか?
答えの無いのを「諾」とみた奴が動いた。

ぬっ!!
と俺の内にそいつが入り込んできた。
俺には拒絶しようとする気が全く浮かんで来ない。
(俺は男なんだ。男になんか抱かれたくないんだ!!)
頭の中でいくら叫んでもどうにもならない。
「んあん…♪」
俺の口からはオンナの甘い吐息が漏れるだけだった。

 
俺は奴に組み敷かれていた。
脚を抱えられ、俺の奥深くまで肉棒を突き入れてくる。
俺はオンナのように、喘ぎ、悶え、嬌声をあげていた。
突かれる度に快感が俺を襲う。
膣からは蜜が零れ、淫らな音をたてている。
「おお、来たぞ♪」
奴が唸り、今宵何度目かの精を俺のナカに放出する。
子宮口を刺激され、俺もまた一気に昇り詰める…

 

 

いつの間にか夜が明けていた。
雨も上がり、板壁の隙間から朝日が差し込んでいる。
隣でイビキをかいている奴をそのままに、俺は起き上がった。
下半身が昨夜の穢れにまみれているが、シャワーで流す訳にもいかない。
そのまま、この体が着ていた下着と服を身に着けてゆく。
扉を開け外に出ると、空はすっかり晴れあがっていた。
そして、再度辺りを確認する。
そこには木々と下草に覆われた空き地が点在するだけだった。

(本当に、ここは何処なんだ?)

このような社があるのだから、どこかしらに人は居るのだろう。
が「社」である。この場所が神聖な場所として、特別な場合以外は人が足を踏み入れない場所である可能性もある。
「先ずは食い物の調達が必要だな♪」
いつの間にか起きていた奴が、俺の背後に立ってそう言った。
「ぁ、お早…」
振り返った俺は声を詰まらせた。
「お、お前…いくら何でも裸はまずいだろ?」
「見られる事なんかないだろう?」
「俺が目のやり場に困る!!」
確かに奴の体は、見慣れた「俺」の体である。が、昨夜…その股間にぶら下がっているモノに貫かれたのだと思うと…
再び股間が熱を帯びるのを感じた。
「どうした?顔が赤いぞ♪起き抜けに…」
「パンツくらいはさっさと穿いてくれっ!!」

 
俺は奴から離れると、社の奥の祭壇に向かった。
そこに祀られている御神体?に改めて対面した。
薄闇のなかでコケシに見えたモノは、かなりリアルな造形の「男根」であった。
「ありがちな土着信仰だね♪」
またも奴は俺の背後から口を鋏んできた。
俺は構わずに、その御神体に手を合わせた。
(とにかく今は食事にありつけること。そして、そう遠からず元に戻れますように…)

 

 
どっちに向かうか?
奴は一本の棒を見つけてきていた。
勿論、俺と同じことを考えたのだろう。
「棒の倒れた方に向かう。で良いな?」
「ああ。」
そして棒は南(多分)を指した。

ぬかるんでいた地面も太陽の光と熱で、次第に乾いていった。
「道」として整備されてはいないが、木々に閉ざされることなく進む事ができた。

「波の音?」
それは細波のたてるささやかな水音だった。
俺の声に奴も聞き耳を立てる。
「こっちからか?」
奴がこれまで歩いてきた道なき道を離れ、木々の茂みを分け入って行った。
俺もその後に続いてゆく。
途端に歩き辛さが増す。
「おお!」
と少し先で奴が声を上げていた。
遅れて俺も奴の隣に並んだ。
「湖?」
「多分な。向こう側に山の連なりがある。潮の臭いもない。河か湖だろう。」
俺は少し離れた場所に船着き場があるのを見つけた。
「舟は繋がれてないようだな。」
舟は無かったが、ここに人が行き来している事が判った。
「しかし…」
奴も俺と同じ仮説に辿り着いたか?
「もし、ここが湖の中の島だとすると、誰かが舟で来てくれないと、ここから離れることができないな。」
「島かどうか確かめる?」
「それよりも、食えるものがないか探す方が先かもな。」
「食べれそうな果実のようなものはありそうだね。」
俺がそう言うと、奴は不思議そうに俺を見た。
「そんな事チェックしてたのか?」
つまり、奴はここの住人から何か食うものを貰う事だけを考えていたという事だ。
俺と同じ「俺」である筈の奴が、俺と異なる考を始めているという事か?
いや、以前の「俺」なら奴と同じ考えだった筈だ。変わったのは俺の方なのだろうか…
「とりあえず、何か口に入れよう。近くでは何があった?」
「木苺みたいなのが、ここに抜けてくる間にあったよ。」
「少し物足りない気もしないでもないが、それでも良いか。案内しろよ♪」
奴の言いぐさに少しだがムカついていた。
(何が〈それでも良い〉だ!!俺が見つけていなかったら、木苺も食べられなかったんじゃないか?)
まあ、俺だって何か食べたい気にはなっていたので、木苺のあった場所には連れていってやった。

その日は、ここが湖の中の小島であることを確認し、幾つかの果実を食べてから、社に戻ってきた。
夜になると社の中は闇に閉ざされる。
何もする事がないと判ると、奴は俺の肉体を求めてきた。
昨夜、訳も解らない内にではあるが、許してしまった事実がある。
今更拒絶する理由もない。拒絶したところで肉体の体力差に敵う筈もない。
それ以前に、昨夜の快感を思い出し、俺の内の「女」が疼きだしていた。

 

 

舟が無ければ対岸には渡れない…
俺は何度、船着き場を恨めしく眺めただろう。
小島の中を把握してしまった後では、奴とは別行動を取る事が多くなった。
今の俺は、奴と同じ速度で歩き廻ることは難しかった。
体力もそうだし、靴も違う。
俺は専ら社の回りで食料の調達に励んでいた。
俺は奴が何をしているのか知らない。
俺はもう奴の考えや行動に付いていけなくなっていた。

その日、奴はずぶ濡れで帰ってきた。
「湖に入ってみた。水深は精々腰くらいまでだ。頑張れば向こう側に渡れるぞ♪」
奴は上機嫌で俺に言った。
だが、今更向こう側に行って何をしようと言うのだろう。
(食料は何とか手に入っている。お社で風雨はしのげる。
元の世界に戻るには、この場所を離れない方が良いんじゃないか?)
俺はそう思ったが、口には出せなかった。
「明日、一緒に行ってみないか?」
奴の提案に
(勝手にどうぞ♪)
と言ってやりたかったが…
「俺の体力では、お前に付いていけないよ。足手まといになる。それよりも、舟を調達してきてもらえれば、俺も楽に向こうに行ける。」
奴は
「そうか?」
と言って話を打ち切った。

翌日、奴は湖の中に踏み出していった。
俺は食料集めには向かわず、岸辺で奴を見送っていた。
湖に足を踏み入れる。水深は足首、脛、膝と一歩づつ深くなってゆく。
が、ある所で一気に腰までの深さになった。
その瞬間に、俺は「キャッ!!」と叫んでいた。
奴は振り替えると「大丈夫♪」と言うように、大きく手を振ってみせた。

奴は再び歩き始めた。
そこからは水深に変化はないようで、奴が遠くなるにつれ、その姿が次第に小さくなっていった。

太陽は天頂を過ぎていた。
俺はまだ、岸辺に立ち続けていた。
奴は一歩づつ対岸に近づいていた。
この分では陽が傾く前に辿り着けるような気がした。

 
対岸まであと少しだった…
不意に奴の姿が見えなくなった。
俺は目を凝らした。
少し離れた所に、奴の頭があった。
全身が水面下にある。
片腕が宙空に延びた。
どこか慌てている感じがする…

そして、奴の頭が水面下に没した。
伸ばしていた腕も見えない。
水面は鎮まりかえっていた。

「お、おいっ」
奴に呼び掛ける俺の声は小さく、震えていた。

何も見えない。

陽が傾く。

空も湖も紅く染まり…

だんだんと闇に包まれていった。

 

 
俺は岸辺に立ち続けていた。

が、ポツリと空からの滴が俺の肌に当たった。
滴は次から次へと降り注いできた。

雨になった。

俺の足は無意識の内に社に向かっていた。
扉を開ける。
濡れた服を脱いで水気を絞り出す。
俺は全裸のまま、社の床に転がった。

いつもなら…昨夜までは奴が体を擦り寄せて俺に迫ってくる。
が、今は俺独り…

条件反射のように、俺の肉体が疼きだしていた。
ソコに指を這わすと、指先に蜜が絡んだ。
自らの指で慰めてみたが、奴に責められ悦びを覚えてしまった肉体には「焼け石に水」でしかない。
(何か代わりのモノが欲しい…)

代わりになるモノ…
それは即近くにあった。
しかし、それを代わりにするには畏れ多い…
が、肉体の欲求は全てを無に帰す。
俺は祭壇に向かった。
手を伸ばし、ご神体を掴み上げる。
…元の場所に戻り
…股間を広げ
…ソレを

挿入した…

 

 

 
俺は泥だらけで地面の上に転がっていた。
あちこち踏みつけられた痛みが残っている。
上半身を起こし振り返ると、そこには野外ステージがあった。
俺はゆっくりと起き上がった。

既に雨は上がっていた。
が、朝の太陽には未だ地面に浮いた水を乾かす程の力はない。
立ち上がると、髪の毛やジャケットの端から泥水が滴ってゆく。
ぬかるんだ地面がサンダルのかかとを呑み込む。
その爪先もまた泥にまみれていたが、爪に塗られていた青いペディキュアは未だ剥げてはいない…

 

俺は元の場所に戻ったようだ。
小島では何日かが経過していたが、ここはあの日の翌朝のようだった。

 

場所は元に戻ったが、俺は…
……

胸はブラジャーが大きなバストを包み、支えている。
キャミソールの上に丈の短いジャケット。
ボトムはスカート…

その股間が「女」のままである事は、触れなくても判っていた。

 

(なぁ、あんたが神様である事は判った。元の世界に戻してくれた事も感謝する。でもな、何で「女」のままなんだ?)
俺は俺の股間に居座り続けるご神体に向かってそう言ったが、答えてくれる気配は一向になかった…

 

 

空にはいつもの青空が戻っていた。

景品に当たったので…

その日、一通の通知が届いた。
「当選おめでとうございます。これから一年間、貴女のビューティーケアを無償で支援させていただきます。つきましては、一度弊社の下記センターまでお越しいただけないでしょうか?平日・休日を問いません。24時間対応しております。」
そして、いくつかの住所が記載されていた。

文面に「貴女」とあったが、俺は女ではない。かといって、この通知に心当りがない訳でもない。

たまたま買った歯磨きの景品として応募券が付いていたのだ。
最近の景品は際限が無くなっているみたいだ。
ものは試し、当たる筈もないが…
と、軽い好奇心から応募したやつだった。

 

金曜の夜、会社の帰りに「センター」とやらに立ち寄ってみる事にした。たまたま途中下車すれば良い場所にあったのだ。
流石に営業時間は過ぎているので正面の出入り口はシャッターが降りていた。
脇にインターホンがあったので押してみた。
「当たった景品にこちらに来いとあったので伺ったのですが…」
〈お待ちしてました。お迎えに伺いますので暫くお待ち下さい。〉
と、程なく建物の裏手から人影が現れた。
「上村省吾様ですね。」
女性の声が俺の名を呼んだ。
何で俺の名が?と思ったが当選者のリストが存在していてもおかしくはないと思い直した。
「わたくしどもの支援内容等について説明させていただきますので、こちらにお願いします。」
と建物の裏に誘導された。
そして、そこに停まっていたワンボックスカーに乗せられた。
「用件が済みましたら、この車でお送りします。」
と車は発進した。
「先ずはこのビデオをご覧ください。」
ワンボックスカーの中は普通のシートではなく、ふかふかのソファが置かれていた。
正面には大きなスクリーンがあり、用意されていたビデオがスタートした。
俺を案内してきた女は、俺の脇、ふかふかのカーペットが敷かれた床に直接座っていた。
車の窓は潰され、カーペットと同色のカーテンに囲われていて、今何処を走っているかもわからない。
外の景色が見れないとなると、視線の落ち着き先は正面のスクリーンか脇に座る彼女かに限られる。
俺としては彼女をじっくりと眺めていたかったが、彼女は俺にスクリーンを見るように促す。
スクリーンにはこの会社の商品のテレビコマーシャルが映されていた。
俺自身は歯磨きでしか知らなかったが、様々な女性用化粧品、薬品から生理用品まで扱っているようだ。
(男の俺には一切関係がないがな♪)


……
「着きましたよ♪」
と女の声に我に返る。うとうとと半分寝てしまっていたようだ。
「最初に身体計測しますから、診察着に着替えてください。」
とロッカールームに案内された。
渡されたのはピンク色の診察着だった。
一瞬「何で?」と思たが、女性向けの商品を扱っているのだから男性用は置いていないのかも知れない。と納得した。
(診察着なんて色以外に男女の違いはないのだろう?)
と俺は服を脱ぎ、ピンクの診察着に着替えた。

人間ドッグのように、詳細に俺の身体が診られていった。
また、オーダーメイドの服を誂えるかのように、様々な寸法が測られていった。
そして、3D画像を撮るからと、全裸にされて機械の中に放り込まれた。

…そして…

「先ずは一週間のエントリープログラムです。」
応接室のような所に案内され、小冊子が手渡された。
「そして、これが一年後の貴女です♪」
机の上のPCのモニタに写っていたのは、純白のウェディングドレスを着た美しい女性だった。
「我々の支援の元、貴女はこの一年間で美しく生まれ変わるのです。」
「って、これは女性向けのプログラムなんでしょ?俺は男ですよ。」
「問題ありません。美しさの追求には男も女も関係ありません。」
「そ、そんなモノなんですか?」
「お気に召さないようでしたら、随時プログラムに変更を加えてゆきます。先ずは試しに余分な脂肪の吸引をしてみませんか?」
「試しね…」
「全ては無料で提供されます。アフターケアも万全ですので、何の心配もありません♪」
「じゃあ、試しに…」
そして俺は処置室に案内された。

「余分なお肉を吸引していきますね。残したい所、増やしたい所があればおっしゃってくださいね♪」
機械が起動し、腹からの吸引が始まった。
それは存外に気持ち良く、またしても俺は居眠りに落ちていってしまった。

 

 

 

目が覚めると、そこは俺の部屋のベッドの中だった。
彼等はご丁寧にも、俺を送り届けるだけでなく、パジャマに着替えさせ、ベッドに寝かせてくれたようだ。

…パジャマ…
それは、俺が毎日着ているものよりも数倍も肌触りが良く、着ていても気持ちが良かった。
が、当然と言うか…そのデザインは女性用であった。
(まあ、誰かに見られるものでもないし、このまま使わせてもらっても良いか♪)
検査の間中、ピンクの検査着を着ていた所為か、女物を着ることにあまり抵抗が無くなっているみたいだ。

俺は昨夜の吸引の成果を確認する為に、起き上がると洗面所に向かった。
パジャマを脱ぐ。
鏡に写った俺の腹周りは想像以上に贅肉が削り取られていた。
女性ならくっきりとしたクビレが出来ているのに喜ぶのだろうか?
男である俺には、別段に喜びは無いが、以前から体重を減らせと言われていたのが、これで一気にクリアできた筈だ。

渡された小冊子にはこの先一週間のプログラムが記されていた。
とはいえ、簡単な運動と食事の注意点だけしか書かれていなかった。
運動は道具も要らず、全部で3分程度のものだった。やってみて、続けられそうな気がした。
何より、腹周りの贅肉がなくなったので、体前屈などが難なくできるようになっていたのに驚かされた。

食事の注意事項も簡単なものばかりだ。あれはダメ、これもダメと言う事はあまりなく、この日はヨーグルトを食べよう。とか、バナナを食べようとか、普段食べないものを食べるのが珍しかった。
食事の量も、贅肉を取った際に胃袋も萎縮してしまったのか、指定された量で丁度満腹になっていた。

 

次の金曜の夜。
センターに向かおうと駅を降りた所に、あのワンボックスかーが待っていた。
同じようにビデオを見せられ、目的地に着いた所で起こされた。
今日も診察着に着替えた。
最初に計測があった。先週と同じように様々な寸法が測られた後、3D画像を撮る機械の中に放り込まれた。
「今日は全身の老廃物を取り除きますね。毛穴等に溜まった垢も一掃されます。」
診察着を脱いでベッドに上がると、パンツも取られてしまった。
薬品が全身に塗られると、ポカポカ・ムズムズしてくる。
その上から泥のようなものが分厚く塗られていった。
そのまましばらく動かないように言われた。
むず痒さに慣れてくると、全身を包む暖かさに再びうとうとしてしまっていた。
流されているBGMが眠気を助長しているのかも知れない…

 

俺は毎週欠かさずにワンボックスカーに乗り、帰りにもらう一週間のプログラムを着実にこなしていった。
その甲斐あってか、肌は赤ちゃんのようにモチモチ・スベスベになり、腕や脚もスリムになった。
ウエストも引き締まり、その辺のズボラな女共よりも細くなっている。
そして、この胸♪
Eカップに張り出しているのは、吸引で余った肉を寄せ集めて造ったものだ。

吸引と言えば、俺の股間も吸引整形を施している。醜くぶら下がっていたペニスは吸引で小指の先よりも小さくしてもらった。
もちろんその下も綺麗にしてもらっている。余分なモノは全部吸い取って、形の良いクレバスが出来上がっている。
プログラムで指示されたように、この肉体をより魅力的にみせる服を着、俺をより魅力的にみせる化粧を施している。

 

当然と言うか、着飾ったまま会社に行くと、辞めるように言われた。
が、期間内の生活は全部面倒見てくれると言ってくれているので何の心配も無かった。
「勿論、最終ゴールは純白のウェディングドレスで結婚式よ♪後の面倒をちゃんと見てくれる旦那様を探さなくちゃね。」
今の俺なら、大抵の男共を落とす事など造作もない。が結婚となると誰でも良いという訳にはいかない。
俺は何度かお見合いパーティーにも出てみた。
俺の美しさに何人もの男が声を掛けてくるが…

「上村翔子さん?」
と声を掛けてきた男がいた。
その顔を見るなり、ビビッて電流が流れていったような気がした。
(一目惚れ?)
俺は声を掛けてきた男…下山龍治に誘われるように立ち上がっていた。

そのまま会場となっているホテルの客室に向かう。
これから何が始まろうとしているか…俺は十代の小娘ではない。「大人の女」としての心得はプログラムの中で習得している。
が…男に抱かれるのは、俺にとって初めての経験である。
緊張しているのが感じられたのか、彼は優しく俺の肩を抱いた。
「無理強いはしないよ♪」
と彼…
「大丈夫…」
俺は髪止めを外し、結いあげた長い髪を降ろした。
彼の唇が俺の唇を塞ぐ。ディープキッス…頭がクラクラする。
彼の手が背中のファスナーを降ろす。俺の足元にドレスが落ちていった。
不意に足が床から離れる。俺は彼に抱き抱えられてベッドに運ばれていった。

「んぁっ…」
彼が俺の乳首を口に含み吸いあげた。
プログラムで学習していたが、俺は自然に喘ぎ声をあげていた。
下着が外されてゆく…
ショーツのクロッチは大分濡れていたに違いない。
彼の指が俺の股間の蜜を掬いあげる。
「感じ易いんだね♪」
彼の指が俺の股間を弄る。俺の喘ぎはどんどん大きくなる。
プログラムで得た知識など一気に消し飛んでいた。
俺は快感に支配され、喘ぎ、悶えるしかなかった。

彼が体を重ねてくる。
股間の肉棒が俺の胎内に突き立てられた。
(満たされてゆく…)
俺は彼の迸りを受け入れると同時に、快感の絶頂に放り上げられていた…

 

 

 
俺は彼と交際を続けた。
一方で結婚式に向けての準備も着々と進んでいった。
既に式場は押さえられていた。挙式は俺がセンターを訪ねた日の丁度一年後になっていた。

が、「上村翔子」という「女性」は存在していない筈ではなかったのではないか?
俺は、自分が「上村省吾」という「男性」であった事を思い出した。
「どうした?マリッジブルーかい♪」
顔を上げると、そこに彼がいた。
抱き締められ、キスされる。
一遍で、自分が何を悩んでいたのか忘れてしまった。

今日は婚約の報告のために俺の両親の元に向かっていた。
大学に入って独り生活を始めてからは殆ど実家に戻っていなかった事を思い出した。
このところ、記憶があやふやな思いをする事が多い。今も小さい頃の故郷での思い出がなかなか出て来ないのだ。

彼の腕が俺の肩に廻り、優しく包み込んでくれる。
(彼と一緒なら、何も心配ないでしょ♪)
気分が安らいでゆく。
(そうだ。俺は彼のことだけを考えていれば良いのだ♪)
俺は彼の肩に頭をもたれ掛けていた。

 

暫く見ない間に大分老け込んでしまった父と母。
「お前程には変わってないさ。」
「本当に美人になったわね。」
と両親が俺に言う。
「不束なな娘ですが、宜しくお願いします。」
二人揃って彼に頭を下げる。

…「娘」って誰のことだ?
…俺はあんた逹の「息子」じゃなかったか?
…でも俺は「嫁」に行くのだから「女」で良いんだよな?
…女だから「息子」ではなく「娘」で良いのか?

「どうした?真っ青な顔してるぞ。気分でも悪いのか?」
彼が俺に声を掛けてくれていた。
「緊張してたようね。疲れもあったんでしょう。この子の部屋で少し休ませてあげましょう。」
母の言葉に、俺は彼に抱かれると高校まで俺が使っていた部屋に運ばれていった。

この部屋のベッドに横になったのは何年ぶりだろうか?
部屋の中はあの頃のまま…まったくの「男の子」の部屋だ。
何で?
俺は「女」じゃなかったか?何で「男の子」の部屋を自分の部屋だったと懐かしく思うのだろう?

「っあ、兄と…この娘はずっと兄と一緒だったんで、こんな男の子の部屋に…」
母が何か言っている。
一人っ子の俺に「兄」なんか居ないだろ?

「省吾君の事は存じてます。」
と彼。
両親がハッと息を呑む。
(皆知ってるみたいだけど「省吾」って誰?)
「このお話しがあった時、担当の方からいろいろと伺っております。勿論、戸籍の方も確認しています。」
「…」
「翔子さんは素晴らしい女性です。過去はどうであれ、僕達は現在と未来が重要なんです。何も気にされる事はありませんよ。」
「そうですか。全てご承知の上だったんですね。」
「ですから、ご両親には何も気兼ねすることなく、僕達の結婚式を見届けて下さい。」
「む、娘…を宜しく頼みます。」
そんな父の言葉を聞いて、俺の中で緊張していた糸が、ふっと消えてしまった感じがした。
俺はそのまま、深い眠りに就いてしまったようだ…

 

 

 
披露宴はささやかなものであったが、俺達は充分に幸せを感じていた。
司会者に促され、席を立つ。介添えの人から花束を渡される。
部屋の反対側に両親が立っていた。
彼にエスコートされてその前に立つ。
メモを広げ読み上げようとするが、既に涙が溢れていて何も見えない。
「お父さん。お母さん。こんな私でしたが、育ててくれてありがとうございました。これからは、彼と暖かな家庭を作っていきます。本当にありがとう…」
花束を母に渡す。俺の目からは涙が止めどなく溢れていった。
司会の言葉で位置を変えようとして、足がもつれる。倒れそうになる俺を、彼がしっかり支えてくれた。
周りから暖かな拍手が沸く。
「今日ここに僕達は夫婦となりました。まだまだ未熟な僕達です。至らないところがありましたら、皆様のご指導ご鞭撻を宜しくお願いいたします。」
彼の逞しい声にうっとりして、お客様へのお辞儀を忘れそうになった。
「おめでとう。一年前のイメージ通りの姿を実現されましたね。我々の支援はここまでになります。これからはご主人とお幸せに♪」

 

映画のエンドロールのように、俺の頭の中にこの一年間が甦ってきた。
…俺は自分からあんな事やこんな事をしたんだ
…俺は男なのに
…彼を愛してしまった?
…女としと彼に抱かれ
…な、何で俺はウェディングドレスなんか着ているんだ?

 

甦ってきた記憶に俺は押し潰されていった。
俺は自ら「女」の性を選んだ事になっていた。
戸籍も「女」になり、名前も「省吾」から「翔子」に変えていた。
そして、今日正式に彼の「妻」となった。
俺自身の手で婚姻届けにサインをしたのだ。
会社も辞め、住む所も引き払っている。
俺はもう彼の妻として生きるしかないのか?

 

 

気が付いたのはベッドの上だった。
既にウェディングドレスは脱がされ、楽な格好になっていた。
(俺は何をしていたのだろう?)
まるで催眠暗示に掛かったかのように、俺は一直線に「女」に向かって突き進んでいっていた。
いや、確かに何かの暗示を掛けられていたのだろう。でなければ、「その気」のない俺なんかが「女」になんかなろうとする筈もない。

が、今更「無かった事」などにはできないのだろう。
俺はこの先も「女」として、彼の「妻」としてやっていくしかない。
「女」としてはこの一年間なプログラムで知識は持たされている。後半は実践もしてきた…問題はない。
「妻」としては…暗示により、彼を愛していたのだ。暗示の切れた今、俺は彼を愛する事ができるのだろうか?
男の俺が同性の彼を…?

 

カチャリとドアが開いた。
「起きていたのかい?丁度、写真が出来上がったと言うので取りに行っていたんだ。見るかい?」
手渡された台紙に貼られた写真は、一年前、PCのモニタに写っていたものと全く同じものだった。
純白のウェディングドレスを着た美しい女性が写っている。
これが今の「俺」なのだ…

「どうした?」
彼が声を掛けてくる。
どうやら、俺は写真を見て涙を溢していたようだ。
「な、何でもない。…これが幸せ…なのかな?って思っていたんだ。」
「これだけじゃないよ♪」
俺の手から写真が取り上げられた。
「これからの毎日、幸せは続いてゆくんだ。」
そのまま彼にベッドの上に押し倒される。
「愛してるよ。奥さん♪」
彼のキスが俺の内のわだかまりを一気に融かしてゆく。
俺は…

俺はもう「女」なのだ。
自分は彼に愛されている女でしかないのだ。
自分は女なのだから、彼の愛を受け入れるのにも何の問題もない。
それに…
あたしも彼を愛しているのだから♪

程なく、あたしの濡れた股間に彼が入り込んでくる。
あたしは悦びの媚声をあげる。
あたし逹のハネムーンが始まった…

召喚の魔法

…召喚の魔法…

偶然のようにして手に入れた魔法書であったが、そこに書かれている事を理解しようとすると、僕の事を嘲笑うかのように文字が踊りだす。
結局、僕がなんとか意味を捉えることができたのが、この「召喚の魔法」だった。

元々僕が「魔法」に手を染めたのが、恋人イナイ歴=僕の人生と言うお寒い状態から、手っ取り早く抜け出したかったからだ。
どんな娘でも僕に恋するようになる「ホレ薬」や本物の人間でなくても良いから僕の恋人になってくれるホムンクルスを作るとか…
いろいろ期待していたが「召喚」は想定していなかった。
が、考えようによっては良い選択だったかも知れない。
「ホレ薬」はその娘を強制的に僕の恋人にしてしまう事になる。その娘の人生を大きく狂わしてしまう事になるのだ。
ホムンクルスは正体が人間ではない。やはり本物の人間を恋人にしたい。
「召喚」であれば、呼ばれるなは人間である。条件として僕の恋人になってくれる娘としておけば、その事を強制する訳ではない。
(まあ、強引に呼び寄せるのだから、彼女にとっては困った事には違いないが…)

 

僕は「僕の事を理解し、僕に優しく、僕の言う事をきいてくれる。僕と恋人になってくれる可愛い娘。」を召喚する魔法を発動させた。

魔法陣から煙があがり、その中に人影が二つ?!

「無茶な条件付けるからだ。僕が二人存在する事になってしまう。僕か君が消えない事には、魔法が安定してくれないぞ。」
どうやら煙の中に居るのは男と女のようだ。そして男はもう一人の「僕」らしい。
(何でこんな事に?)
「考え込んでいる暇はないぞ。早く決断するんだっ!!」
そう叫ぶ男の声は確かに僕の声と同じ…
「早く!!!!」
だから、僕が二人いたらまずいんだろう?
でも、どちらも「僕」なんだ。だから消えるのは僕?

 

魔方陣の煙がゆらいだ。

煙は僕に迫り、僕を取り込む。
視界が煙に塞がれ…
次の瞬間、あっと言う間に煙は引いていた。

そして目の前に「僕」がいた…
「あっ…」
「僕」が片手でこめかみを押さえ、小さく叫んだ。
「それ程までに僕が彼女を望んでいたと言うことか?」

「な、何が起きたんだい?」
僕は独り言を呟く「僕」に声を掛けた。
彼は僕に近づくと優しく微笑んだ。
「取り敢えず説明できる所までだけどね♪」
何故か僕は彼を見上げる形になる。
「その前に、倒れても良いようにベッドに行こう。」
と、僕は「僕」に抱きかかえられた。
(これって「お姫様だっこ」?)
訳が解らないまま、僕はベッドの端に座らされた。
彼は勉強机の椅子に、いつも僕が座るようにして座った。
「何かの手違いで二つの身体が召喚されてしまった。初心者がニ体同時召喚を行うのは無理だというのにだ。さらに…」
その一体は「僕自身」だった。同一世界に同時に同一人物が複数存在する事は不可能ではないが、バランスが悪い状態を作り出すらしい。
バランスを欠いた魔法はいつ暴走してもおかしくはない。通常は魔法力の安定した空間を作り、そこに召喚するらしい。
魔方陣もそんな空間を作る一種であるが、所詮は素人が作ったもの。当然のように暴走した。
「…その結果、僕が残り、君は消えた。」
「でも、僕はここにいるよ。」
「まだ気付かないのですか?君は今、僕の恋人として存在しているのですよ。可愛い女の子としてね♪」
「僕が…?」
確かにこの声は僕の声じゃない。女の子みたいに甲高くなっている。
さっき、彼を見上げる形になった。それに簡単にお姫様だっこされた。身長も体重も女の子サイズなのだろう。
ようやく今になって、僕はスカートを穿いている事に気付いた。胸には大きな膨らみがあり、ブラジャーも着けているようだ。
(!!)
僕はスカートの上から股間に手を押し付けてみた。
「ナイ?…」

サーッと頭から血が引いていくような音がした。
目の前が真っ暗になってゆく…
………
……

 

 

僕は夢を見ていた。
それが「夢」なのは、僕が決して経験した事のないシチュエーションになっていることから断定できる。

僕は可愛い女の子と遊園地でデートしていたのだ。
さまざまなアトラクションを制覇し、ベンチでアイスを食べて小休止。
お化け屋敷で急接近し、肩を寄せ合ったまま静かな庭園を散策した。

陽が傾いてきた。
「あれに乗ろう♪」
僕が大きな観覧車を指差すと、彼女はコクリと頷いた。
ゴンドラがゆっくりと昇ってゆくのにあわせて太陽が西の空を降りてゆく。
空が一面、茜色に染まる。
「綺麗♪」
と彼女
「君の方がもっと綺麗だよ♪」
と僕
「えっ?」
と彼女が僕の方に振り向いた…
僕はにっこりと微笑む。
そしてゆっくりと顔を近づける。
ゴンドラが頂上に達するところで、僕は彼女の唇を奪った。
彼女はそんな僕を拒絶せず、受け入れてくれた。
ざらりとした舌が僕の内に入ってきた。
その舌に僕の舌を絡める。
ぎゅっと僕の肩が抱き締められた。
二人の身体が更に密着する…

 

ゴンドラが下降し始めると同時に、お互いの唇が離れてゆく。
僕はゆっくりと瞼を開いた。
僕の目に爽やかに微笑む「僕」の顔が写っていた…!?

 

 

「…ぉぃ…おい、大丈夫か?」
男の声に悪夢から目覚めた。
「かなり呻いていたようだが?」
「ああ、女の子とデートしていたら、突然体が入れ替わって、僕は僕に…男にキスされ…舌まで入れられていたんだ!!」
「ふ~む。それは正夢かも知れないね。もしくは君の願望♪」
「な、何で僕が僕とキスしなくちゃいけないんだ?」
「それは君が僕の〈彼女〉だからね♪」
その言葉に、ようやく僕は思い出した。
彼は「召喚」されてしまった僕自身であり、その所為で暴走した魔法力で、僕が僕の恋人…女の子になってしまったのだ。

「それに、夢は本当に悪夢だったかな?キスされて気持ち良くなってなかった?」
彼の言葉で夢の記憶を呼び覚ます。
包まれるような安心感…彼の暖かさ…優しさ…
そう。僕は彼を受け入れていたのだ。

何故なら…
僕は彼の恋人なのだから♪

 

「落ち着きましたか?」
「な、なんとか…」
僕を覗き込む「僕」の顔にはいまだ違和感があるものの、僕は女として彼を愛しているのを感じていた。
彼の顔が間近に迫っていた。
僕は期待して瞼を閉じた。
彼の手が肩に掛かり、僕を抱き締める。
唇が合わさる。
力を抜き、軽く口を開くと、彼の舌が侵入してきた。
僕はそれを受け入れていた。
彼は僕の愛する男性なのだ。
二人の唾液が混ざり合い、それを飲み込むと身体が火照り始めた。
あたしは愛する男性を抱き締めていた。
胸の先が硬くなっていた。
そのまま、二人の身体がベッドに倒れ込む。
彼の硬いモノがあたしの太股に触れた。
あたしはソコに手を伸ばしていた。
チャックを降ろし、彼のモノに直に触れた。
愛しさが膨れあがる。
あたしはキスを中断し、頭をそこに移動させた。

見慣れた筈の…でも、初めて見たような…彼のぺニスを目の前にしていた。
そして、躊躇わずにソレを口の中に入れていた…

 

あたし逹は恋人同士なのだから、こんなコトは何度もしているのだろう。
けど、あたしはこれを「ハジメテ」のように感じていた。
「あん、ああ~ん♪」
いつの間にか裸にされ、身体中の性感帯が責められてゆく。
あたしはその度に、淫声をあげて悶えまわっていた。

「じゃあ、いくよ♪」
全裸の彼が伸し掛かってきた。
あたしは脚を大きく広げ、彼を迎え入れていた。
破瓜の痛みが全身を貫いてゆく。
ハジメテじゃない筈なのに…

じゃあ、ハジメテはいつだった?
彼と付き合い始めたのが…いつだったっけ?
あたしの頭の中で、いくつもの記憶が錯綜する。
造られた記憶、記憶の矛盾を埋めるために造られた記憶、さらに上書きされた記憶…
どれが本当の「あたし」の記憶なの?

(いや!!全部が偽物だっ!!)

あたし…僕は男だ。
それも、目の前の彼こそが本来の「僕」自身なんだ。
僕は「僕」という存在を乗っ取られ、「彼女」の役割を押し付けられていたんだ。
僕は「彼女」が欲しかったんであって、「彼女」になりたかった訳じゃない!!

「何を考えているのかな?」
奴がニヤつきながらそう言った。
「こんな筈じゃなかった。彼女を抱きたかったけど、彼女として抱かれるなんて…とか思ってたんじゃないか?」
図星…
「何故、僕にそれがわかるかって?簡単さ。君は僕だったんだからね♪」
「…」
「でも、今の君は僕じゃない。君は僕の彼女…僕に抱かれて、あんあんと可愛く喘ぐ女の子だ♪」
「ぼ、僕は…」
「君はもう女の子なんだから、ボクはおかしいよ♪」
「僕は女の子じゃ…ぁあんっ…」
僕が女の子であることを否定しようとすると、彼が腰を突きあげる。
僕は条件反射のように快感に喘いでしまう…
「僕と繋がっていて、まだ自分が男だと言い張るのかい?」
「ぼ、僕は…」
否定を続けようとすると、彼は腰の動きを激しくした。
快感が快感を呼び、快感がどんどん積み重なってゆく。
「ぁあ…な、何?」
意識が軽く飛んでしまう。
「どうだい?イきそうかい?」
イく?って、女の子が性的な快感の絶頂に達するやつ?
僕が「女の子」として…
「イっちゃうの?」
「そうだ!!イっちゃえ~♪」
彼のペニスが僕の膣の中に精液を叩き込む…
「あん、あああ…ああ~ん!!」
これがイくってこと?
僕は嬌声とともに意識を失っていた…

 

 

僕は「僕」を召喚する。

暴走した魔法力で僕は「僕の彼女」として固定されてしまったようだ。
召喚されていた「僕」は、一定時間が経過するとどこかに戻ってしまう。
僕は彼の「恋人」なので、長時間離れていると逢いたくて仕方なくなる。
他の誰でもない「彼」でないとダメなのだ。
日一日と彼に逢えない事に堪え切れなくなった僕は「僕」を召喚する…

魔方陣に煙が上がり、人影が浮かぶ…
「ああ、逢いたかったわ♪」
僕は「僕」に飛び付いた。

彼に逢えない何日もの間に、僕は自分が何者であるかが曖昧になってゆく。
僕…あたしは、彼の「恋人」。単純にそれだけになる。
あたしは、彼の理想の恋人であろうと研究し、努力していた。
召喚された彼は、そんなあたしを可愛いと言ってくれる。
あたしの努力のご褒美に濃厚なキスをしてくれた♪
「愛してるよ♪」
その一言であたしはぼーっとなり、疼き続けたあたしの肉体は彼に捧げる準備もできあがっていた。
服を脱がされ、折り重なるようにベッドに倒れ込む。
あたしはもう、とろとろになって、快感を貪るように追い求める。

あたしは彼の「彼女」♪
彼の手で、あたしは何度も快感の高みに放り投げられる。
再び、彼が戻ってしまうまでの間、あたしは際限なく「快感」を追い求める…

一夜の夢


 

それは「夢」だったのだろうか…

 

私は森の中に迷い込んでいた。
そこに身なりの上品な若者が現れた。
「もし、君。僕のメアリを見かけませんでしたか?」
「いえ、私がこの森に足を踏み入れてからお会いしたのは貴方しかいませんでしたよ。」
「そうでしたか。もし見掛けましたら、僕に教えてください。」
と若者は私が歩いてきた道を「おお、メアリ。僕の声が聞こえたなら返事をしておくれ。」と口走りながら進んでいった。
私は誰にも会わなかったと言った筈ではなかったか?と彼に突っ込む以前に、もし私がメアリという女性に会ったとして、どうやって彼に伝えればよいのか?としばし悩んでしまった。

 

私は森の中で迷っていた。
しかし、どうやってこの場所に辿り着いたのか、どこに向かおうとしていたのか、私には何の記憶も無かった。
では、どちらに進めば良いのだろうか?
どこから着たのか解らないのであれば、戻るという選択肢は無いだろう。
何の考えもなく、このまま真っ直ぐ進むのも無謀であろう…
だが、彼は真っ直ぐ私に向かって歩いてきたみたいだ。
このまま彼が来た道を逆に辿れば、彼の家なり、人の住んでいる場所があるに違いない。
と、私は再び歩みを始めた。

 

しばらく行くと、森の中には似つかわしくないカラフルな布地の一部が目に入った。
それは女性のスカートの一部のように見えた。
私がその「本体」を確認しようと視線を上げると…かさりっ、と葉が揺れた。
その葉の奥から二つのつぶらな瞳が私を見つめていた。

彼女が持っていた枝に付いた葉は、彼女の顔を辛うじて隠す事に成功していたが、首から下はまったく隠れていなかった。
その姿から、彼女が若い女性であることは即にわかった。彼女が彼の探し人なのだろう。
「メアリさんですか?」
と私が声を掛けると
「ああ、見つかってしまいましたのね♪」
と美しい声とともに持っていた枝を投げ捨てた。
想像していた通りの愛らしい顔が私の前に晒された。

「あ、いや。隠れていたのならワザワザ彼に伝える事もないでしょう。私は何も見なかった事にして先に進ませてもらいます。」
「あら、貴方はアンソニーではないのですね。良かった♪」
とほっとした表情を浮かべるメアリ。
「私と彼では年も背格好も違います。何で私を彼と間違えたのでしょう?」
「アンは変装の名人なのです。他の人に成りきるなんてお手のもの。誰にも見分けがつかないのですのよ♪」
「それは凄い。」
と彼女には言ったが、私としては眉唾ものと考えていた。

「ひとつお訊ねしてよろしいでしょうか?」
「なあに?」
「この先に進めば、お屋敷なり人の住んでいる場所に辿りつきますでしょうか?」
「それなら大丈夫よ。ここはもうお屋敷の庭の一部ですから♪」
「ありがとう。」
私はそう言って先に進んでいった。

 

 

一気に視界が開けた。
そこには綺麗に手入れた庭園が広がっていた。
その先には立派なお屋敷が据えられていた。

「もし~…」
遠くから女の声がした。前世紀の遺物のようなメイド服を着た女性が近づいてきた。
「すみませんが、メアリお嬢様をお見掛けにはなりませんでしたでしょうか?」
「あぁ、彼女でしたら…」
と、そこで私は答えるのを躊躇った。アンソニーという男は変装の名人だという。この女性か…
いや、そんな訳はない。私はメアリの所からほぼ一直線でやってきたのだ。奴が回り込んできたとしても、これ程完璧な変装をしている時間はない筈だ。
「彼女にはここに来る途中で会いましたよ。良かったら一緒に行きませんか?」
私の誘いに、彼女は「宜しくお願いします。」と頭を下げた。

私は来た道を戻っていった。
程なく「ほら、あそこ♪」と私が指差した先には、葉っぱで顔だけを隠したメアリがそこにいた。
が、
「えっ?どこですか?」
メイドの女にはメアリの姿が見えていないとでも言うのだろうか?

再びメアリと私の視線が交錯する。
「メアリさん。この人も貴女を探してらっしゃいました。」
私が声を掛けると
「ダメ、その人は!!アンソニーを近づけさせないで。」
彼女の声に何かの均衡が乱れたかのようだった。
「メアリお嬢様、そこにおいででしたか?」
私を押し退けるようにメイドの女がメアリに近づいていった。
「いやっ!!」
メアリが叫ぶ。
私は何も出来ず、その場に立ち尽くしていた…

 

 

私は屋敷に招かれた。既に陽が陰り始めていたので、私に食事と今宵のベッドを提供してくれると言う事だった。

「アンソニーさんは本当に変装が上手ですね。」
夕食後の団欒で、私がそう言うと、
「変装とは少し違いますわね。試しに貴方に変わってみましょうか?」
「そんな簡単に出来るのですか?」
「はい。よろしければ、今すぐにでも♪」
「是非にも。」
「では、3・2・1・ハイ♪」
次の瞬間、私の視界が揺れ乱れた…
そして、私の視線の先に「私」が居た。
「どうでしょう?今は私がアンソニーです。」
「私」は私と同じ声、同じ口調で私に語り掛けた。
「見事です。これは素晴らしい…?」
私の賛誉の言葉が途中で止まってしまう。
これは「私」の声か?
それは女のように甲高い声であった。
(女のよう?)
私は全身に違和感を感じ始めていた。
胸が締め付けられている。肩に掛かる紐が負担している質量は何だ?
脚全体が何かに包まれている。ズボンではなく、下半身全体を覆うような服?
そもそも、私の居る位置が先ほどとは違う。私の居た場所には「私」が居る…今私が居る場所はアンソニー…メイドの女が居た場所ではないか?

「わかりましたか?これは変装ではなく、入れ替わりという術なのですよ♪」
「入れ替わり?」
「そう。今貴女と私の間で入れ替わりを行いました。私がこの姿になったのと同時に貴方はメイドのアンナとなっています。」
「わ、私がメイドの?」
「そう。その身体は女性のものです。当然男性とは違います。今宵一晩、男性では味わう事のできないコトを経験をしてみませんか♪」

私はゴクリと唾を飲み込んでいた。
この肉体で「女性」としての経験をする?

「最初から男性相手では抵抗があるでしょうから、お嬢様がお相手してくださいます。先ずは湯あみでも如何ですか?」
アンソニーの言葉にメアリが立ち上がり、私の手を取った。
「さあ、アンナ。一緒に参りましょ♪」
そして、私の耳元で囁いた。
「アンに見つかってしまったのは貴女の所為ですからね。今夜はたっぷりとお仕置きしますよ♪」

 

 

 

「あん!!ああああっ…」
私はベッドの上で悶え、女のように嬌声をあげていた。
いや、女のようにではない。今の私は「女」そのものだった。
私はメアリに感じる所を徹底的に責められていた。同性であるメアリは「女」の感じる所を熟知していた…
あるいは、彼女もまた「入れ替わり」でこの姿になった事があり、この肉体を隅々まで把握しているのだろうか?

しかし、私にはそれ以上考える事ができなかった。
強烈な快感が私の思考力を麻痺させていた。快感が私の頭の中を白く塗りあげていった…

 

私は何度もイかされた。
最初はメアリの指だけで…
やがて器具が使われた。男性のペニスを形取ったモノが私の膣に挿入された。
私はメアリを異性である女性として意識していた。が、いつしか彼女を同性として感じ始めていた。
そして、疑似ペニスを受け入れているうちに、女同士の睦事では満足できなくなっていた。
そう、この肉体は憶えていたのだ。男性に抱かれた時の快感を…本物のペニスの感触を、そして男の精が膣内に放たれる快感を憶えていた。
子宮が疼いていた。
本物の「男」を求めて哭いていた。
それでも、メアリの術に全身が快感で埋め尽くされていた…

 

「仕上げはわたくしね?」
不意に男の声が舞い込んできた。
それは、森で出会った若者だった。
私の目は、彼の硬く膨らんだズボンの股間に釘付けになっていた。
彼は多くを待たせなかった。
ズボンを脱ぎ、禍々しく奮り勃ったペニスを見せ付ける。
これが私の膣に入って来るのか?
それはメアリの使った疑似ペニスより二周りは太く大きく見えた。
「さあ、いきますわよ♪」
躊躇いもなく、開かれた私の女陰に逞しいペニスが突き立てられていた。
「何も問題ありません♪全てを受け入れるのですっ!!」
私は新たな快感に、これまで以上の嬌声をあげ続けた。
そして、私とともに彼もその時を迎えた。
私の膣に放たれる精…それは子宮の奥にまで達するかのよう…そして、あまりの快感に私は意識を手離していた…

 

 

目覚めたのは森の中…
いや、朝日が差し込んできているのは森の出口か?

私は枯れ草の上に大木の根を枕にして寝ていたようだ。
当然、そこにはベッドも屋敷もない。
そして、私は「私」だった。

あれは「夢」だったのだろうか…

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