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2013年8月14日 (水)

竜騎士

僕は竜騎士に憧れていた。

しかし、竜騎士になれるのは女性だけと決められていた。
勿論、竜騎士の養成所に入れるのは女の子だけだ。また、養成所に入ったからといって、全員が竜騎士になれる訳ではない。
多くの女の子逹が泣きながら中途で養成所を後にしなければならないのも事実だ。

 

竜騎士になれないまでも、竜に跨がり颯爽と竜騎士のように空を飛んでみたい…僕は竜騎士の鎧を纏い空を翔る自分の姿を想像していた。

いや、僕の願望は想像では済まされない域にまで達していた。
前の年の夏休みは、自分用の竜騎士の鎧を手作りした。
今年の夏休みは、これを着て竜に跨がるのだ。

もちろん、テーマパークには竜の自動人形があり、本物そっくりの鎧を貸してくれて、決められた空間をぐるりと廻り竜騎士の気分を味わうことのできるアトラクションはあった。
が、僕が向かったのは人里離れた山奥だった。
そこには野生の竜が生息していたと言われている。

現在、竜の全ては人間の管理下に置かれ、野生の竜などは一匹もいない事になっている。
が、竜は賢いのだ。
黙って人間の管理下にいられない竜がいてもおかしくはない。
人間にみつからないように隠れていられる知性を持っているのだ。が、子竜がたまたま誤って人間に見られる事がある。

この山には度々そんな目撃談が生まれていた。
勿論、全ての目撃情報は政府の手で「誤認」のレッテルを貼られる。政府の役人が追調査しても、竜の痕跡さえ掴えられないのだ。

しかし、僕には確信があった。
ここには野生の竜が生息していると…

 

 
そこは「竜の谷」と呼ばれている所だった。
その奥まった所にある泉の畔にテントを張り、ここを拠点に竜を探すつもりだ。
2週間を期限と決めていたが、装備は3週間分を用意してある。いざとなれば、節約して一ヶ月は対応できる筈だ。
一応、ろ過装置も持ってきたが、泉の水はそのまま飲んでも問題なかった。
竜の谷に到着した日はテントの設営などの作業に追われ、竜の探索はできずに夜を迎えていた。

 
朝…竜の谷は霧に覆われていた。
この霧なら、竜も姿を隠して出てこれる感じがする。
とはいえ、初日からご対面できるとは思ってもいない。
僕は地図を広げ、これまで練りに練った探索ルートを再確認した。
先ずは1週間かけて南から順に竜の痕跡がないか調べてゆくのだ。
が、この霧は想定外だった。もし、毎朝がこんな状態なら、探索時間が限定されてしまう。探索ルートの見直しも考えなければならない。

最初は泉から流れ出る川に沿って南に向かう。
比較的平坦なため、霧による朝の出遅れはなんとか挽回できそうだ。
藪の中、岩陰…このルートは竜の痕跡が残りそうなモノが殆んどなかった。
政府の役人もこんな所しか調査しなかったのかも知れない。

 

翌朝も谷は霧に覆われていた。
これでは、真剣に探索ルートを見直す必要に迫られる。南側は平地が多いが、他の方角は山の中に分け入る事になる。
2日分のルートを3日で回すようにする。今日は谷の南西側に時間が許す分だけ分け入ってみよう。

流石に平坦な南側と違い、昼までに進めた距離は昨日の半分近くしかなかった。
午前中と同じ作業をすすめ、陽が傾くまでに当初予定の8割りを踏破した。
明日はここから更に奥に向かい、北上し、当初3日目に予定していたルートを時間の許す限り、逆行してくることになる。

 

3日目の朝も谷は霧に覆われていた。
泉の水で食事を作る。昼用の弁当も一緒だ。
この霧で予定より探索の日数が掛かりそうなので、食材を少しづつ節約し始めていた。
が、普段より運動量が多いにも拘わらず、空腹になっても少し食べただけで充分満腹になるので、苦にはならなかった。

 

6日目は5日目に探索した北側の更に奥に向かった。
何故かいつもよりも髪の毛の伸びが早く、鬱陶しかったので荷物の中に入っていた布切れで縛ってみた。

鬱蒼とした木々が途切れた所に、地下に続く大きな洞窟があった。
これなら竜も出入りできるな…
と考えながら、中に入っていった。
入り口から暫くは外の光が届くが、やがて闇に包まれる。
ライトを点けようかとも思ったが、もし竜がいた場合に警戒される可能性もある。
闇に目が慣れれば、朧げに輪郭は判別できた。良く見ると、洞窟の壁のそこここに、仄かに発光する苔のようなものが生えていた。

洞窟の奥からゴーッという音が聞こえてきた。風の音だと思うが、竜の息吹にも聞こえた。
僕は音の源に向かって洞窟の奥に降りていった。

 

そこには巨大な空間が広がっていた。
岩壁の上部をよく見ると、何体もの竜がいた。
眠っている?
竜逹は彫像のように壁に張り付き、微動だにしなかった。

(彼らは冬眠状態にある。時がくれば、翼を羽ばたいて天空を疾駆するであろう。)
突然、僕の頭の中に「声」が響いた。
これが竜の声?
(念話というものだ。我々は音声では意思の疎通は行っていない。)
あのぉ、僕は…
(解っている。竜騎士になりたいのであろう?お前の行動は充分観察させてもらった。だからこの室に導いたのだ。)
ぼ、僕を乗せてくれるの?
(確かに、お前には竜騎士の素質はある。が、今は私がお前を乗せてやるだけだ。竜を御すにはまだ早すぎるからな。)

 

僕は何と言って良いかわからなかった。ただ、乗る前に…
と、持ってきた竜騎士の鎧を着ける事だけは忘れなかった。

目の前に忽然と竜の背中が現れた。
(さあ、跨がりなさい♪)
言われるがまま、僕はその背中に跨がった。
竜が大きく羽ばたくと、地下の空洞を勢い良く上昇する。
目の前に天井が一気に迫る…そこに魔方陣が輝いた…

ぶつかる!!
と、目を閉じた瞬間…空気が変わっていた。

目を開けると、僕は空を飛んでいた。
(どうだい♪空は?)
竜の問いに、僕は「感動している」としか答えられなかった。
髪を縛っていた布が解け、長い髪が風に舞った。
鎧を身に着け、空を舞う僕は竜騎士そのものだった。

 

(竜騎士となれば、竜と一体となり己自身が飛んでいるように感じられるよ♪)
ぼ、僕も竜騎士になれるの?
(素質は充分だ。が、竜騎士になるには己の竜を卵から育てていかなければならない。お前が望むなら卵をさずけてやっても良い。)
本当?
(だが、一度受け入れると元には戻れないぞ。それでも良いか?)
竜騎士になれるなら…
(皆がなれる訳ではない。育てた竜と己が互いに受け入れあう事ができなければ竜騎士にはなれないのだぞ。)
そ、それでも僕は竜騎士になりたい!!

 

 

 

 
僕の願いは叶えられた。
気がつくと、僕はテントの中で眠っていた。
その日の朝は珍しく霧が晴れていた。
いつものように、泉で調理用の水を汲む。泉の水面が鏡のように僕を映した…
「誰っ??」
そこに写っていたのは可愛らしい女の子の顔だった。
「な、何?今の声!!」
僕の耳に聞こえたのは女の子の声だった。
よく見れば、水面に映った女の子も僕自身だった。

僕は女の子になっていた。
竜騎士になれるのは女性だけ…だから僕は女の子になったの?

 

 
街に戻ると、僕は竜騎士の養成所に連れていかれた。
僕は単に女の子になっただけではなかった。僕の胎内には竜の卵が存在していた。
僕はそのまま養成所に入所する事になった。
他の竜騎士の候補生の女の子逹と一緒に竜騎士になるための様々な事をするのだ。

 

制服が用意された。
勿論、女の子しかいない養成所だ。男物の制服などない。
僕は初めてスカートを穿いた。
「似合ってるわよ。」
そう言われて鏡を覗く。確かにここの制服が似合っている可愛い女の子が映っていた。
が、この娘が僕自身であることになかなか慣れるものではなかった。

 

僕は「女の子」として養成所で暮らすしかなかった。
ここには僕と同じように竜の卵を胎内に持つ女の子が何人もいた。

と言うより、竜騎士の適正が認められた女の子は、竜の卵が授けられるのだ。

この養成所で一番重要な事は、胎内の卵から産まれた竜を育てる事なのだ。
普通の女性が赤子を産み育てるように、竜騎士の候補生は竜を産み育てる。
そして、産み育てた竜が成竜となったあかつきには、その者の永遠のパートナーとなり、候補生だった者は正式に「竜騎士」となるのだ。

 

竜を産む…だから竜騎士は「女性」なのだ。
僕のお腹の中…そこには子宮があり、その中で竜の卵が成長していた。
卵が大きくなれば、お腹も妊婦のように大きくなる。(ここにはマタニティ用の制服もあった)
臨月が近づくにつれ、乳房も張ってくる。生まれてくる子竜に与える母乳が準備されているのだ。
男だった僕が母乳を与える…有り得ないコトとは思ったが、竜の魔力に抜かりはなかった。

僕は分娩台の上で子竜を産んだ。

僕の乳を飲み、子竜はすくすくと育ってゆく。
僕が男であった事などは何の問題でもないように、養成所のカリキュラムに従い竜は成長し、僕は一歩一歩竜騎士に近づいていった。

 

竜の成長は人間とは違い、幼竜から成竜には一気に成長する。

(覚悟は良いか?)
これから僕のパートナーとなる竜が語りかけてきた。
(私は成竜となった。私は私を産み育ててくれたお前をパートナーとしたい。その証として契りを交わす。)
養成所で散々教えられてきた事だった。
僕は躊躇わずに頷いた。
成竜は人変が可能である。次の瞬間、竜は逞しい男性の姿で僕の前に現れた。
その全裸の股間には、隆々とペニスが勃起していた。
教えられた手順に従い、僕は服を脱ぎ全裸となって彼の前に膝を付いた。
目の前に彼のペニスが迫る。
教えられた事ではあったが、そんな事など関係なく、僕自身がソレを欲していた。
僕の股間が熱くなり、女陰から愛液が滴っていた。

僕はソレを口の中に送り込み、啜りあげた。
何度か繰り返してゆくと
(そろそろいくぞ。)
と彼が伝えてきた。
そして、濃厚な精液が僕の喉に送り込まれた。

僕がそれを飲み込むと、僕の身体は更に熱を帯びてきた。
「ああ、凄い。何なの、この疼きは?」
それが何であるかは聞かなくても判っていた。そして、この耐えられそうもない疼きを鎮める方法も…
(さあ、私を受け入れなさい。)
僕は「はい♪」と応え、彼の前に仰向けに肉体を広げた…

逞しいペニスとともに彼が伸し掛かってきた。
男だった僕が「男」に貫かれていた。が、決してそれは不快なものではなかった。
僕は彼により満たされ、快感と幸福感に塗り込められてゆく。
(我々はお互いを受け入れた。ひとつになろう…)

竜の言葉とともに、僕の感覚が広がっていった。
僕逹は二人の肉体を共有していた。
僕は僕であり、彼でもあった。
彼は彼であり、僕でもあった。
僕は彼に貫かれていると同時に、僕自身を貫いていた。
僕の腕の中で、可愛らしい女の子が快感に喘いでいた…

 

 

僕は竜騎士となった。
僕の騎竜とともに天空に翔あがる。

僕が跨がっている竜の首筋から触覚が伸びてきた。
僕はそれを股間に挿入する。

感覚の共有が始まる。

僕は竜となり、自らの翼で更なる高みに躍り上がるのだった…

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