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2013年6月 7日 (金)

無題

街が紅色に染まっていた。
夕日が雲を紅くする。一面紅色となった空に照らし出された街もまた紅色に浮き上がっている。
常時と異なる世界がそこにあった。そこに魑魅魍魎が紛れ込んでいたとしても、気づく者はいやしないだろう。

 

その物陰に潜んでいるものがあった。
普段なら気付かなかったであろう。「何か」を見てみたいと想う気持ちがそれに気付かせたのだろう。
俺はそれが怖がらないように、そっと物陰を覗き込んだ。
「ひっ…」
と可愛らしい声が漏れ、大きな二つの瞳が俺を見つめていた。
「怖がらなくても良いよ♪」
「それ」は俺を見据えたまま、更に身を縮めていった。
「大丈夫だよ♪」
と掌を上にして手を差し伸ばした。
「それ」の視線が一旦俺から離れ、掌に向く。
そして…そいつは舌を伸ばして俺の掌を舐めあげた。
俺が更に手を伸ばして、指先てそいつの喉元を撫であげてやると
「んぁん♪」
と艶かしい啼き声をあげた。

「良かったら俺の部屋に来ないか?」
と聞くと、首を縦に振り、俺に擦り寄るようにして立ち上がった。
暗がりに身を潜めるための漆黒のワンピースの裾から艶かしい白い素足が覗く。
その足先には靴はなく、爪先の切れたスリッパを履いていた。
身なりは普通とは言えないが、明るみに出たところで確認できた彼女の顔は、幼さを残すものの、人形のように整っていた。

「シャワーを浴びてきなさい。その間に食べるものを用意しておくよ♪」
俺の部屋に戻ると、彼女を浴室に案内した。
俺は食事の後に展開される愉しいコトをあれこれ想像しながら、自動調理器の吐き出す品々を皿に盛り、並べていった。

俺の用意したバスローブは流石に彼女には大き過ぎたようだ。
両袖を大きく折り上げ、丈を調整して余った部分を腰ひもで括っていた。
それはそれで彼女の可愛らしさを強調していた。
「うぁー、美味しそう♪」
誉められて悪い気はしない。
嬉しそうな顔で食べ進めてゆく彼女を見ているだけで、こちらも満腹感を感じられるようだ。

「ごちそうさま♪」
綺麗に食べあげた彼女が立ち上がる。
その屈託のない笑みが妖艶に染まってゆく。
「ちゃんとお礼をしなくちゃいけないコトはボクも判ってるヨ♪」
彼女に手を引かれて立ち上がると、そのまま寝室に向かっていた。
頭が霧の中のように白濁していたが、それに違和感を感じることなく、俺は彼女に誘導されベッドの端に座った。
「気持ち良くしてあげるね♪これまでに経験したことのない快感に溺れさせてあげるヨ♪」
彼女は俺の股間に座り込むと、俺のズボンのベルトを外し、パンツの中から怒張した俺の逸物を引き出した。

舌で舐めまわした後、口に咥える。
絶妙な触感に一気に昇り詰めてしまった。
「うっ!!」
一瞬の我慢も出来ずに、俺は彼女の口の中に放出していた。
ゴクリと喉を鳴らして、彼女はそれを飲み込んでいた。
「すっごく濃いのね♪お兄さん、この所ご無沙汰だったのかな?」
否定はできない。が、その答えを敢えて口にする必要はないようだった。
「今度はボクのナカに射す?」
と、彼女はバスローブの腰ひもを解き、俺の前に全裸を晒した。

(?)

が、彼女の股間には「アリエナイモノ」が存在していた。
「お、お前…オトコだったのか?」
何とか言葉になった。
「ボクがオトコだからって、お兄さんを受け入れられない訳でもないよ♪」
多分そうなのだろう。彼女=彼はこういうコトを当たり前のようにして生きてきているのだ。

確かに彼女=彼の手足は少女のように白く細かったが、それは少年のままと言えばその通りだった。
膨らみのない胸は発展途上というよりは、明らかに「男」の胸である。
そして股間に在るモノは俺のより太く逞しいペニスだった。

「お、俺は男同士で抱き合うなど…」
既に彼の口に精を放ってしまっている。その快感を否定はしきれない。が、俺の理性はこの先に進む事を拒んでいる。
「お兄さんへのお礼はまだ始まったばかりだよ。もっと気持ち良くしてあげられるのに………そうだ!!」
と彼の瞳が妖しく輝いた。
「男同士でなければ良いのでしょう。コレならお兄さんにももっと悦んでもらえるから一石二鳥だよね♪」
と彼の顔が更に妖しく歪んでゆく。
それは少女人形の顔が精悍な青年のものになってゆく以上の禍々しさがあった。

「最初は痛いっていうから、変に動けないようにしておくね♪」
と俺は体の自由を奪われた。自らは動けず、人形のように奴に手足を操られて服を脱がされていった。
恐怖に股間が縮みあがってゆく。が、性的な興奮は鎮まるどころか、どんどん高まってゆく。
「良い感じになってきたね♪」
全裸でベッドに仰向けにされ、M字に開かされた股間を奴が覗き込んでいる。
再び俺のペニスを咥えようとするのか、奴は頭を近付けてきた。
ペロリと俺の股間を舐めあげた。そして亀頭部に唾液を垂らしてゆく。
「ボクの唾液には催淫効果があるから、どんどん気持ち良くなってゆくよ♪」
確かに唾液が垂らされた所がウズウズとしてくる。熱を帯び、汗が出てくる。
「あはっ♪濡れてきた濡れてきた。」
奴の頭が股間から離れた。
そのまま体を刷りあげてくる。
その頭が俺の前にあった。

唇が合わせられ、奴の唾液が口の中を満たしてゆく。
ゴクリと俺が奴の唾液を飲み込むのを見届けると
「じゃあ、始めるね♪」
と奴は俺のM字に開かれた股間に、奴の腰をゆっくりと降ろしてきた。

奴のペニスの先端が、俺の股間に触れた。
そして、ズブズブと俺の胎の中に入り込んでいった。
そこは肛門ではない。女であれば膣口に相当する場所なのだろう。
俺の股間は奴のペニスを呑み込み、互いの股間が触れ合っていた。

そこには縮みあがったペニスがあった。剥き出しの亀頭が股間の接触に刺激される。
「あがっっ!!」
あまりの刺激に叫び声があがる。
「快感も強すぎると苦痛でしかないね♪もう少し優しくしてあげるね。」
この苦痛が「快感」でなんかである筈がない!!
とは思っても、奴の責め方が変わると、それはこれまで感じた事のないような快感に刷り代わっていた。

「さあ、どんどんいくよ♪」
と奴が俺の胸を…乳首の先端を舐めあげた。
「ひぃ?」
思いも依らぬ快感に声が上がる。
それよりも、俺の胸に乳首が存在する事に驚いていた。
それは胸板に埋もれた男の乳首ではなく、膨れ上がった乳房の先端に勃起している…
俺の胸に「乳房」?

奴のペニスを受け入れている股間といい、俺の肉体が女性化していると言うのだろうか?
「うあん、ああぁん♪」
首筋を撫でられた。そこにあった性感帯が刺激されたのだろう。俺は女の艶声のようなものを発していた。
「これは貴女が望んだことなのですよ。男同士が嫌だというのですから、貴女を女にしてあげました。大丈夫。ちゃんとイかせてあげますから♪」

俺の意識はそこで途絶えていた。
俺は男として射精することなく、奴に何度もイかされた記憶だけが残っていた…

 

 
再び街が夕日の中で紅色に染まった。
紅色は、そこに魑魅魍魎が存在していたとしても、誰も気づかないように押し隠してしまう。
俺はもうこれ以上、魑魅魍魎に係わりあいたくなかった。
足速に街角を突き抜けてゆき、その店の木製の扉を開いた。
人工の光ではあるが、その白さにほっと安堵する。
カウンターに座るとママがおしぼりを差し出した。
「今日は早いのね。」
ママの胸元が広く開いたドレスから、彼女の胸の谷間が良く見えた。
垣間見えるブラのカップの下にはプックリとした乳首があるのが想像できる。
ソコを責められた時、彼女も俺と同じ快感を感じ、俺と同じような艶声をあげるのだろうか?

そんなコトを考えただけで、俺の股間はジュン♪と濡れ始めていた。

頼みごと

「なぁ、頼みがあるんだが…」
そう言って勇一が頭を下げてくる。
僕にはそれを断れないと解っているのだろうか?

 

彼の頼みの内容は、いつもはそれほど苦になるようなものではなかった。
が、今回は…

「俺とデートしてくれ。」との事。
(デート♪)と喜ぶ訳にはいかない。僕は「男」で、勇一の恋人なんかではない、ただの男友達(古くからの腐れ縁ではあるが)でしかないのだ。
サークル仲間との些細な意地の張り合いから、自慢の恋人を見せ合う事になったらしい。
当然の事ながら、勇一には恋人はおろか、親しく話のできる女友達もいないのだ。
「つまり、僕に女装させてサークル仲間逹の前に晒すってことなんだね?」
「そ、そんな晒すって…お前は元が良いから、化粧すれば美人になるぞ。間違いない!!」
「でも、服とかはどうする?」
と、一応聞いておく。聞きながらも、僕はクローゼットにあるワンピースの中からどれを着ていこうか迷っていた。
「か、買ってやるよ。そうだ、今から行こう。」
と僕の手を引いていった。

その店には可愛らしい服が沢山並んでいた。
同じフロアに男物も並んでいるので、勇一も入り易かったのだろう。
いくつか選んで試着室に入る。
「どお?」
と着てみた服を見せてみた。
「か、可愛いよ…」と言う勇一の視線はあさっての方をさ迷っていた。
「ちゃんと見てるの?」と聞いても生返事しか返らない。
が、僕のコトをしっかり「女の子」として見ていることは、彼の股間が雄弁に語っていた。

服に合わせてサンダルも買わせてしまった。
結構散財させてしまったので、少しはサービスしてあげよう♪と思った。
「ねぇ、カラオケいかない?」と腕を絡める。
勇一の腕に緊張が走った。多分、ブラに積めた三枚重ねのパットを本物のバストと勘違いしているのだろう♪
二人で個室に入った。
「我慢できないんでしょう?お口でシてあげようか♪」
僕は勇一の股間を撫であげた。
勇一は否定も肯定もできないでいた。
僕は彼の前に回り込み、膝の間に座り込んだ。
ジッパーを下ろす。
むあっと「男」の匂いがする。
パンツの中から硬くなったペニスを引きだす。
(僕のとは違うなぁ…)
それは単に見ている角度が違うだけではない。これは逞しい牡の性器そのものだった。
(僕のは皮を被ったままだし、太さも長さも違うよね♪)
僕が本物の女の子なら、この逞しい牡で僕を貫いてもらえるのに…今は膣の代わりに僕の口を責めてもらう事で満足するしかない。
僕は口を開き、彼のペニスを受け入れていった…

 

 

デートの当日、僕は勇一に買ってもらった服を着て、待ち合わせ場所に来ていた。
もちろん、今日はお化粧もしている。
「ゃ、やあ…待った?」
勇一が緊張しながら声を掛けてきた。
「ううん。あたしも今来たところよ♪」
誰が見ても今の僕は「女の子」なので、らしい話し方を心掛ける。
「じ、じゃあ…行こうか?」
「ウン♪」と勇一に腕を絡めて歩き始めた。

「で、サークルの人逹とはどこで合うの?」
と僕が聞くと
「ん?ああ、あれは止めにしたよ。折角のデートを邪魔されたくないからね♪」

僕は思う存分デートを楽しんだ。
「今」だけは、僕は勇一の「恋人」として存在できるのだ。
女の子として、勇一に甘えられる。
勇一に優しくしてもらえる。
快感を与えてくれる…

 
今日、何度目かのキスをした。
宵闇が迫っていた。
「このまま、帰したくない…」
勇一が呟く。
「あたしは構わないわ♪」
僕はこの展開を望んではいたが、実現しようとは思ってもいなかった。
それでも、女の子として抱かれる準備だけはしてきた。
「良いのかい?」
あたしはコクリと首を縦に振った…

 

 
「本当は女の子だったんだ?」
あたしの裸に勇一が驚いていた。
「タックって言うの。隠してあるだけよ。それに、胸もないし…」
「単に発育が遅いだけだよ。胸の大きさなんて人それぞれだろう?」
そう言ってあたしをベッドに押し倒した。
「んあん♪」
舌先で乳首が撫でられ、快感に思わず媚声が溢れてしまう。
「感度は良いんだ♪」
「誰と比較してるの?」
「女の子とこんな事するのは初めてだけど、AVは十分に研究してきたからね♪」
そう言って全身に舌を這いまわした。そしてあたしが感じた所を集中して責めたててゆく。
「ああん、あああ~ん♪」
あたしは立て続けに沸き上がる快感に嬌声を止められなかった。

 
勇一があたしの脚を抱えていた。
「濡れてるね♪」
あたしの股間は愛液とは別のもので潤んでいた。
(僕が本物の女の子なら、このまま彼を受け入れられるのに…)
勇一はそのまま腰を近付けてきた。彼のペニスの先端が、あたしの股間に触れていた。
そして…

 
するりと彼のモノがあたしの内に入ってきた。
痛みはなかった。
彼と繋がれた悦びだけがそこにあった♪

「ああ、気持ち良い♪最高だよ♪♪」
「あんっ♪あたしもぉ~!!」
あたしのナカを満たす勇一のモノ…それだけで幸福感に満たされているのに、更に動きが加わる事で、あたしはもう何も考えられなくなっていった。

あたしは「牝」となって彼に組み敷かれ、彼を受け入れている。
(あたしの望んでいたことが…)

そして…

「んああ、イクよ♪」と勇一。
その直後、あたしの内に彼の精液が放たれていた。

(もし、許されるのなら、この精液で妊娠できたら良いのに…)
あたしは彼との子供を産めるのであれば、悪魔に魂を売ってしまうのも臆さないと考えていた。

 

 
「なあ、何でいつもの格好に戻ってるんだい?」
いつものように勇一と歩いていると、そんなことを言ってきた。
「ど、どういうコト?」
と聞くと、勇一はやっとのことで言ってくれた。
「俺はあの娘を本気で好きになってしまったんだ。あの娘以外の女性とは付き合うことができないと思う。」
勇一は立ち止まり、僕に深々と頭を下げた。
「お願いだ。これからは恋人として俺と付き合ってくれないか?」
僕には勇一の頼みを断れないって解っているのかな?

あたしは頭を上げた勇一に抱きつくと、その唇に吸い付いた。
「こんなあたしで良ければ♪」
今度は勇一があたしの唇を奪っていた。

疼き

手を前に伸ばす。
そこにある「鏡」の表面に掌を当てる。

が…、掌は鏡面をすり抜け、手首まで鏡の中に没してしまう。

更に前に進む。
腕は肘まで没し、俺の目の前に「鏡」があった。
顔を近づける。鼻も鏡面に触れることなく、その向こう側に没する。
そのまま、頭を鏡の中に突っ込ませた…

 

そこは「異空間」だった。

 

合わせ鏡がねじ曲げた空間の狭間に俺は入り込んでいた。
そこはどこでもなく、どこでもあった。
そこここにある四角い窓はどことでも繋がっていた。
それは俺の部屋であったり、隣の部屋かと思えば、地球の裏側の部屋に繋がっていたりする。
どこに繋がっているのかは、窓を覗き込んでみなければ解らないが、それは高い確度で俺の知っている部屋に繋がっていた。

 

その部屋は「女」の部屋だった。
たが、誰の部屋であるかは見当が付かなかった。
窓は花柄のカーテンで閉ざされている。ベッドにはぬいぐるみが並び、フローリングの床の上にはファッション誌が散らばっていた。
他に手掛かりはないかと身を乗り出した…

ゴロリ…

俺は狭間の空間から抜け出していた。
尻餅を突き、そのまま床に座った姿勢になる。
目の前には「鏡」があった…

それが「鏡」であることに気付くまで、しばらく間があった。
何故なら、そこに映っていたのは「俺」ではなく、この部屋の住人と思われる「女」だったからだ。
女は膝を合わせ、折り曲げた足先を広げて、その間に尻を降ろして直接床に付ける…女の子独特の座り方をしていた。
そして、俺自身が自然とその座り方をしているのに気付き、鏡に映っている女が今の俺自身であることが判ったのだ。

 

鏡に映る女の顔を見た。
見覚えはあるのだが、誰だったかが思い出せない。
強いて言えば、母の若い頃の写真と似ていなくもない。

(!)

あり得そうもない仮説が、ふと俺の頭に浮かんだ。
部屋の中を見回す。調度類はこの女の趣味で揃えたのだろうが、部屋の造りは変えようもない。
立ち上がった時、広く感じたのは、この女の背丈が「俺」よりかなり低いからだ。
何より、机の上の郵便物…ここの住所は「俺」の住むアパートのものであり、室番号までまったく変わっていなかった。

ここは「俺」の部屋であり、この女は…俺が女として生まれた平行世界の俺自身に他ならなかった。

 

 
ピピピピ。と電子音がした。
ユニットバスが入浴OKを報じたのだ。
俺は浴室のドアを開いていた…

(お前は何をしている?風呂に入るには裸にならないといけないのだぞ。お前は断りもなく、この女の裸体を見ようとしているのだぞ!!)
俺の頭の中で煩く騒いでいる奴がいたが、平行世界とは言え、この肉体が俺自身のものであることに間違いはないのだ。
自分自身の身体なのだから、見るのは自由。触るのも自由。エッチなコトをしても文句言われる筋合いはないのだ!!
俺は着ていた服を一気に脱ぎ捨て、掛け湯ももどかしく湯槽の中に身体を沈めた。

 
俺の目の前で双つの乳房がプカプカと浮いている。
これまで見た事のない光景だった。
ソレに触れてみる。と、ソコからは触れられた感覚が届いてくる。
この乳房は本当に俺の身体の一部なのだ…

俺の手は、そこから先…「股間」に進んでいった。
指先が割れ目に触れた。男であれば、そこにペニスが存在し、迂回を強いられる。
指先はそこから肛門の間に、男には存在しない器官に続く路を捉えていた。
膣口だ。
俺は指先を折り曲げ、その中に挿入していった。
俺の指先は「女」を責めていたが、俺の下半身は責められていると訴えている。
(止めて良いのか?)
と聞くと俺の内の「女」が、もっと激しく♪と訴えてきた。
俺が指先に勢いをつけると、女も感じてきたようで
「ぁん…あふぁん♪」
と甘い喘ぎ声を浴室内に響かせ始めていた。
愛液が膣から溢れ、お湯の中に広がってゆく。
指の動きとともに、温かなお湯が膣の中に入って来る。
チャプチャプという波音とオンナの喘ぎ声に浴室が満たされていた。
(な、何かクる?)
俺はオンナとして「俺」に犯され、イかされようとしているのだろうか?
(どお♪オンナの快感は?)
俺の頭の中で笑っている女がいた。
が、彼女もまた「俺」自身なのだ。
(女の子になって、女の快感を経験してみたいって思ったこと、無いとは言わせないわよ♪)
確かに否定はできない。だから、彼女は平行世界の俺ではなく、元々俺の内に居た「女の俺」なのだ。
(さあ、次は指では物足りないわよね?ほら、そこにスプレー缶があるわ。丁度良い大きさじゃない♪)
俺は洗い場に降り、そのスプレー缶を手にした。
(早く挿れて♪)
俺は俺自身に懇願していた。
「あん、あああっ…」
それは指より太く、硬かった。それがあたしの膣を蹂躙してゆく。
「あ、あ、あ…」
即にもイきそうになる。
空いた手で乳房を揉みあげる…
「だ、だめ…。イっちゃうのォ~~♪」
あたしが乳首を刺激した途端、
「ああああーーーっ!!」
あたしは押し寄せてくる快感に嬌声をあげていた…

 

 

朝になっていた。
夕べの記憶がはっきりしていなかったが、あたしはちゃんとパジャマを着てベッドで眠っていた。
(何があったの?)
自問しても答えは返ってこない。ただ昨夜、盛大にオナニーをしただろうことは股間の疼きが物語っていた…

あたしは無意識のうちに彼に電話を掛けていた。
「お早う。ねえ、今日シない♪」
あたしは今、無性に本物の「男」のペニスに貫かれたかった。
(ハジメテじゃないのに…)
まるで処女のように、彼に抱かれることに興味深々となっていた。
考えただけで股間が潤んでいる。
(どうしちゃったんだろう?)
考えても無駄なことはわかっていた。
あたしは彼とのデートに心を弾ませながら、お化粧を始めた…

 

 

 

 

 
…俺の手が空を舞った。
掴もうとした化粧水の瓶など「俺」の部屋にある筈もない。

俺は「男の俺」に戻っていた。

が、オンナの心地よい「疼き」をいまだに感じていた…

「疼き」へのコメント

「疼き」はもっと先まで書こうとして、断念しました。

以降のあらすじは

女の時の「彼」は、男の時は「親友」だった。
その日は飲みにゆく約束になっていた。
彼と会うと、俺の視線は彼の股間にばかりそそがれている。
女の俺は今ごろ、彼のこのペニスに貫かれ善がっていると思うと、俺の股間が存在する筈のない愛液で濡れてゆくような気がしていた。
「もし俺が女だったら、俺を抱いてくれてたか?」
俺はそんな事を口走っていた。
「何なら、これからホテルにでも行くか?」
と彼

俺達はホテルの一室にいた。
「お前は何も考えるな。全て俺に任せておけば良い♪」
俺は彼の手で脱がされていった。
全裸にされ、ベッドに寝かされる。
「股を開いてみろ♪」
俺は膝を立て、M字に脚を開いた。
そこに彼もまた全裸となり、俺の股間に割り込んできた。
垣間見えた彼のペニスは逞しく勃起していた。
ジュン!!
俺の膣から愛液が溢れだしたような気がした。
「いくら男になりきろうとしても無理だったろう?」
彼の指が俺の股間に突き入れられた。
そこは肛門ではなく…膣口だった。
「ちゃんと濡れているじゃないか♪お前の希み通り抱いてやるよ。」
彼が伸し掛かってくる。
膣の中に彼のペニスが嵌まり込む。
俺は女のように喘ぐしかなかった…

 

 
ここもまた平行世界だったようだ。
この世界の「俺」は男として生きようとしていた女のようだ。
(※肉体が女性化したという設定もアリかも)

SEXに疲れ、二人して眠ってしまっていたようだ。
隣でまだ寝息をたてている彼を起こさないように、俺はそっとベッドを抜け出した。

改めて「自分」の身体を確認した。
胸には乳房といえるものは見当たらないが、男の時よりも脂肪が付いてなだらかな稜線を描いていた。
そして、股間にはあるべきモノはなく、女の割れ目があり、俺はその奥の女性器に彼を受け入れていたのだ。

 
股間が彼の精液と俺の愛液にまみれ、汚れていたので、シャワーを浴びることにした。
シャワーのお湯で汚れを落としていると、ビリッと何かが破れる音がした。

股間に解放感が広がった。
(何?)
とそこに手を当てると懐かしいモノに触れていた。
俺の股間にペニスが戻っていた。
胸も「男の胸」になっていた。
(また別の平行世界なのか?)

「おや。もう起きてたのか?」
ベッドの上で彼が体を起こした。
このシチュエーションは変わっていない…と言う事は、俺が男のまま彼に抱かれた…のだろうか?
そう言えば、股間の疼きはまだ残っていたが、疼いている場所は膣ではなくなっていた。

 

服を着ようとして…躊躇わずにはいられなかった。
部屋に残されていたのは男女一着づつの服だけである。
男物のサイズは彼のものであることを物語っていた。

 

 

と、とりとめもなくなってしまいました。

吸血鬼

「あたし、吸血鬼なんです♪」

目の前の少女はそう言った。
つばの広い黒の三角帽子の下にはふわふわの金色巻毛が広がり、小さな顔に大きな紅い瞳の眼が見開かれていた。
見るからに外国人の少女が普通に日本語を喋っていたので、その言葉の中身にまで気が回らなかった。
「貴方の血を吸わせてもらいますね♪」
黒いマントの下には白いレースの飾りの、これまた黒のドレスだった。
お人形さんがそのまま動いているかのように、すうっと少女が浮き上がった。
「こんだけ沢山の血があれば、当分はお食事しなくても良いかもね♪」
にっと笑った少女の犬歯が異様に大きく見えた。
そのまま、少女は俺の首に咬み付いた。

血液が吸われてゆくのがわかった。
いや、吸われているのは血液だけではない。俺の生命力…そして魂までもが吸い取られている気がした。

俺の意識がブラックアウトする。

既に俺の手足に力はなく、立っていられない筈であった。
宙に浮いた少女が、俺の頭を抱えていたので、俺の肉体は彼女に支えられて宙に浮いていた。
干からびた手足から、靴や腕時計が地面に落ちてゆく。
骨も脆くなり、なめし革のようになった俺の体から服が落ちてゆく。
更に皮も塵と化し、俺の頭だけが少女の手の中に残っていた。

「ごちそうさま♪」

彼女が手を離すと、俺の頭は落ちてゆき、地面にぶつかると粉々に砕け散った…

 

「お腹いっぱい♪」
地面に降り立った少女は、大きくあくびをすると、路肩にしゃがみこみ、マントを閉じた。
少女の姿は闇と同化し、消えていった…

 

 

(俺はどうなってしまったのか?)

意識は取り戻せたものの、俺はまだ「闇」の中に居た。
(煩いわね。静かにしてよ。)
あの少女の声が俺の頭の中に響いた。
(あ~ぁ、また食べ過ぎちゃったみたいね…orz)
食べ過ぎた?
そうだ。彼女は「吸血鬼」を名乗っていた。俺は血を吸われ…
(あんたの魂まで吸い込んじゃったってこと。いずれ消化されてしまうけど、それまでが面倒なのよね。)
面倒?
(魂を取り込んじゃうと、一時的に身体のコントロールができなくなってしまうの…)
動けなくなるってこと?
(あたしの意思ではね。あたしの身体はあんたの意思でしか動けなくなるのよ!!)
俺の?
(試しにマントを広げてご覧なさいな。)
俺は手を動かせることに気付いた。その手で被っていたマントを剥ぐ…

俺の眼に光が差し込んできた。
それは彼女とであった場所の昼間の光景であった。

俺は立ち上がり…
違和感を覚えた。

視点が低い。
これまでの位置の半分の高さもない。

そして…「服」…
あの少女が着ていたのと同じ白いレースに縁取られた黒いスカートが目に入った…

俺は自分の姿を映せるものを探した。
そして、見たものは…

俺がその少女の姿になってるということだった。

(つまり、そういうコト。あんたが消化されるまで、あたしは口を出すことしかできないってこと。)
ど、どうすれば良いんだ?
(好きにして良いわよ。吸血しなくても十分エナジーは補給できてるし、ちょっとやそっとでは死なない体だからね♪)
そんな簡単に言われても…
(SEXしても構わないわよ。女の子の快感なんてそうそう経験できるモノじゃないわよ♪)
SEX?!
(あたしの年齢は見掛け通りじゃないってこと。イロイロ経験済みよ♪)
そ、そう言うことじゃなくて…
先ずはこの格好…目立ち過ぎるよ。皆、振り返ってゆくじゃないか。
(気になるの?それなら、マントを被れば見えなくなるわよ♪)

 

どういう仕組みか、マントを被った途端、人々の視線が集まらなくなった。確かに彼等からは見えなくなったのだろう。

次はどうするか?
今の俺には、金も住む所もない…
(お金や住む所って必要?この身体は普通で言う食事の心配はないし、野宿で不便を感じた事もないわよ。)
風呂とか…
(あたしから変な臭いした?お風呂は好きだけど、無くて困るものでもないわよ。)

(どうしてもって言うなら、カラダ売ったら?一晩の宿は確保できるし、お風呂にも入れるわ。それに、お金だって貰えるわよ♪)
そ、それは…
(これが吸血鬼の生き方なの…)

 

 

 
あの日から、もう五年は経ったかしら?
吸血鬼の肉体は成長しないから、あたしはまだ少女のまま…
普段話す言葉を姿に合わせていたら、いつの間にか独り言も女の子言葉になってしまっていた。

本来のこの身体の持ち主は冬眠のように眠ってしまったのか、あたしと話をしなくなっていた。
(そろそろお腹が空いてきたかな?)
お腹が空いたと言っても、あたしは吸血鬼だからその食事は人間の生き血となる。
(あたしに血を吸うことができるだろうか?)
不思議と心配ないような気がした。

 

暗い夜道…あたしの前を一人の男が歩いていた。
昔のあたしを想わせる雰囲気があった。
あたしはマントを外して男の前に現れた。
「あたし、吸血鬼なんです♪」
男は眼を見開き、あたしを見ていた。
「貴方の血を吸わせてもらいますね♪」
あたしはすうっと浮き上がった。
「こんだけ沢山の血があれば、当分はお食事しなくても良いかもね♪」
知らない筈なのに、あたしは吸血行為の準備を整えていた。

そのまま、あたしは男の首に咬み付き、血液を吸ってゆく。
いや、吸っているのは血液だけではなかった。男の生命力…そして魂までもを吸い取ってしまっていた。

男の手足に力はなくなっていた。
宙に浮いているあたしが、男の頭を抱えていたので、男の肉体はあたしに支えられて宙に浮いていた。
干からびた手足から、靴や腕時計が地面に落ちてゆく。
骨も脆くなり、なめし革のようになった男の体から服が落ちてゆく。
更に皮も塵と化し、男の頭だけがあたしの手の中に残っていた。

「ごちそうさま♪」

あたしが手を離すと、男の頭は落ちてゆき、地面にぶつかると粉々に砕け散った…

航行士

光の速度を超えて宇宙を飛び回るには、一つの制約があった。
人間の脳内にある退化した器官の一つに空間把握能力を司るものがあった。
それは、人類が外宇宙からやってきた生命体の末裔であった証であるとともに、人類が再び宇宙に戻るために必要な「鍵」でもあった。
超光速航行には、空間把握能力者の存在が欠かせなかったのだ。

彼等の脳波が干渉して、空間転移の座標が固定されるのだ。そして能力の大きさが、そのまま移動可能距離に反映される。
だが、その能力の大きさは訓練である程度増強することは可能であるも、器官自体のキャパシティには個人差がある。
本人の努力の如何に依らず、持って生まれた器官の性能に左右されてしまうのは仕方ないことであった。
だから、惜しまれながらも能力を持っていても宇宙に出たがらない人がいる一方で、その能力だけで世間を渡り歩く輩も無視できない位には存在していた。

 

 
(宙軍航行科)
俺の配属先は端から決まっていた。
俺の脳内には十分な大きさの器官が認められていたのだ。他に能のない俺は、必然的にココに配属となる。
何も珍しいことではないし、ここにはそんな奴等が何人もいた。

数十時間の訓練の後、実物の艦艇に配属される。
最初は見習いのため、先任航行士逹の元で実運用を体験する。搭乗する艦艇も宙軍の主力巡洋艦だったりする。
が、ここまでがお客様扱い…一航海を終えるなり、配属されたのは使い古された貨物船だった。
勿論、航行士は俺一人である。
「お前がヘタこいて貨物の到着が遅れたりしたら、損害分はお前の給料から差っ引くからな。」
と最初に船長から言い渡されてしまった。
(軍隊の場合、遅れるとどんだけの損害になるのかな?)
とりあえず任務地が最前線でないことにほっとしていた。

 

貨物船〈合歓木103号〉はダ・カン船長以下、航海士のヘ・サント少尉、機関士のクア・タイラ伍長、執務士のミィ・カン兵長…そして俺の5名しか搭乗していない。
俺は何とかミスをせずにいた。他の乗組員とも少しは打ち解ける事ができたと思う。

「跳躍ポイントに入ります。」
俺は機関士に超光速エンジンへのエネルギー充填状況を確認すると、航海士から操舵を引き取った。
コンピュータの吐き出した航路予測を頭に焼き付け、超光速エンジンに干渉を掛けながら出力を解放する。

一瞬後、貨物船は今までとは別の宙域を進んでいた。
「座標確認。所定のポイントです。」
と、ここまでが俺の仕事だ。
後は航海士に操舵を返し、次の跳躍に必要なエネルギーが蓄積されるのを待つことになる。

艦橋に居ても何もすることがないので、自室に戻っているとミィが珈琲を持ってきてくれた。
「何してるの?」
「別に…」
何か趣味でもあれば空いた時間を趣味に充てれば良いのだが、生憎と俺は無趣味のため本当に何もすることがなかった。
「良かったらあたしの持ってる本でも読む?」
別に断る理由もなかったので、彼女の本を借りることにした。
「女の子」の本…と思っていたが、渡されたのは執務士の資格取得のテキストだった。
執務士は航行士の能力がない場合に誰もが選択する資格である。執務士は実際の艦艇の航行には関与しないが、長期の航海での乗組員の日常生活を支援するのが主な仕事となる。

テキストをペラペラ見ていると「美味しい珈琲の淹れ方」なるタイトルがあった。
ミィの淹れてくれた珈琲が美味しいのはコレなのか?と、テキストに従って淹れてみた。
…GJ♪
ミィのと同じ味になった。

貨物船の航行士は暇である。
定期的な物資の運搬のため、急ぐ必要がないのだ。故にエンジンへのエネルギー充填も効率重視となる…
つまり、航行士の待機時間が長くなるのだ。

暇潰しにテキストの他のページも試してみた。

 

それがミィの思惑だったのか、執務士の仕事が面白くなり、俺は頻繁にミィの手伝いをするようになった。
「どうせなら執務士の船内服を着てみたら?」
の提案にも乗せられてしまう。
エプロンが付いているので服を汚す心配はないが、どことなく女性的な体のラインをイメージさせるデザインに恥ずかしさがない訳ではなかった。
勿論、船長を始め他の乗組員には話していないので、執務士の服を着た俺をミィと間違うのも無理からぬ話であった。

 
「ああ、ミィ。上着のボタンが外れかけてるんだ。後で俺の部屋に来てくれないか?」
と通路の端から声を掛けてきたのはクアだった。
足りない香辛料を独りで倉庫に取りにいったときだった。
声を出すとバレてしまうので、手を振って判ったと合図しておいた。
ミィにそのことを話すと、
「あんたが行ってくれば?出来なくはないんでしょう♪」

 

結局、俺が行くことになった。
道具を片手にクアの部屋のドアをノックした。
「入って良いぞ♪」
とクア。
ドアを開け、中に入ったがクアの姿は見えず、ベッドの上に依頼のあった上着が置かれていた。
ベッドに近づき、上着を手に取ろうとした時…
「キャア!!」
と俺はすっとんきょうな声をあげていた。
尻が撫でられ、背後から抱き締められ、胸元の隙間に手が滑り込み、俺の乳首を摘まみあげようとしたのだ。
が、俺はミィではない。胸は平らで、乳首の出っ張りもない。彼の手は空振りに終わったのだが、その行為の勢いは惰性がついていた。
「クアさん。何をするんですか?」と抗議に振り向いた俺の唇が彼の唇に塞がれてしまった。
そのまま舌が入れられ、俺は何も喋れなくなってしまった。

頭がくらくらしだした頃、クアがようやく人違いに気付いたようだ。
「お、お前!!ミィじゃないな?」
「もっと早く気付いてくださいよ。いくら何でも、男だくらいは即に判るでしょ?」
「お、お前が紛らわしい格好をしているのがいけないんだ。それに俺が呼んだのはミィの筈だぞ。」
「ボタンの直しならできるわよねって、ミィから代わりに行くように言われたんだ。」
「な、なら。さっさと仕事して行け。」
それを邪魔したのはクアさんでしょう?との抗議はせずに、俺は作業に取りかかった。
その間、クアはチラチラと俺の方を窺っていた。

「終わりましたよ。」
と俺は上着をクアに渡し、道具を片付けた。
部屋をでようと立ち上がると
「ちょっと待ちな♪」
と俺をベッドに押し戻した。
「お前ならミィの代わりでも問題ないな♪」
とクアはギラついた眼で俺を見ていた。
「な、何なんですか?」
「お前ならミィの代わりに抱いても悪くない♪」
「抱く?ミィの代わり?…って、俺は男ですよ!!」
「気持ち良ければ、男も女も関係ない♪」
「俺はそうは思わない。だから止めてください!!」

俺の抗議は聞き入れられる筈もなく、ベッドに押し倒される。
執務士の船内着が簡単に剥ぎ取られた。
俯せにされ、下着も取られる。
「すべすべの良い肌をしているじゃないか♪」
とクアの指が背筋を撫であげた。
「あぁん♪」
と艶かしい吐息が漏れてしまう。
(男に抱かれたミィもこんな艶声をあげるのだろうか?)
ついつい、ミィならばどうするか?と考えてしまう。
「あんっ、ソコは駄目っ!!」
彼の指がお尻の穴の前を撫で擦る。
「嘘つけ。お前のマンコは挿れて欲しくてヒクヒク言ってるぞ♪」
「そ、そんなコトない…」
と否定している傍から、クアの指が侵入してきた。
「んあぁ、あああん♪」
俺はソコを責められた女のように喘ぎ声をあげていた…

 

 

次の日には、俺がクアに抱かれた事が皆に知れ渡っていた。
が、誰も俺の事を咎めたり蔑んだりしてはいなかった。
逆に家族の一員として迎え入れられたような優しさに満ちていた。

「跳躍ポイントに入ります。」
俺はシートに座ると、クアにエネルギー充填状況を確認した。
「いつでも良いぜ♪」
と親指を突き上げる。
俺は別のサインを連想して顔を赤らめてしまった。

サント少尉から操舵を引き取り、コンピュータの吐き出した航路予測を頭に焼き付ける。
いつも通りに超光速エンジンに干渉を掛けながら出力を解放する。

一瞬後、貨物船は今までとは別の宙域を進んでいた。
「座標確認。所定のポイントです。」
と、俺の仕事が終わる。
「良かったら珈琲を淹れてきてくれないか?」
船長が俺に言った。
「たまにはミィ以外の淹れた珈琲が飲みたくなるんだ♪」
俺はシートから立ち上がった。
「良いですけど、マニュアル通りなんでミィが淹れたのと味は変わりませんよ。」
「構わん。気分の問題だ。」
「あ、俺もな♪」
とクアが便乗する。
「少尉はどうします?」
と聞くと
「私も頼む。」
との事
「判りました。」
と俺が艦橋を出ようとすると、
「きゃ!!」
クアの手に俺のスカートを捲り上げられ、俺の可愛らしい叫び声が艦橋に響いた。
その後に沸き起こった笑い声を背中に、俺は艦橋を後にした。

 

 
最近、俺は執務士の服ばかり着ていた。
航行士として艦橋に入る時もである。
「軍」であれば規律が重んじられるものであるが、そこは末端の貨物船の中である。
執務士の第2船内着はワンピースで俺のお気に入りだった。
スカートの下は素足を晒すが、執務士のトレーニングで女の子のように綺麗になった脚を見せびらかしたかったのだ。

ミィからお化粧も教わっている。クアが「どんどん可愛くなっていくね♪」と言ってくれる。
寄港する度に可愛い服が増えてゆく。クアが買ってくれるのだ。
勿論、脚が綺麗に見えるミニ丈ばかりだ。だから、俺も下着のお洒落に気を使っている。
クアが捲るのは別としても、外に出れば風に捲られる事を想定していなければならないからだ。

 

「胸も揉めるくらいにはあった方が良いかな?」
とクアが言う。
俺も可愛い服でも胸元が開いているのが着れない事に不満を感じていた。
「ホルモンを使うの?」
「時間も掛かるし、個人差があるからな。手術で確実に膨らました方が形も良いらしいぞ。」
「普通の寄港じゃ入院してる時間なんてないんじゃない?」
「お前がその気ならいくらでも手はあるぞ。とりあえず次の寄港の前日は何も食わないようにしておけな♪」

そして、船が港に着くなり、クアは俺を車に乗せた。
「明日の朝には全て終わってるからな♪」
と病院には見えない建物に俺を放り込んだ。
「データは揃っていますから、即に施術に入りますね。」
案内の女性が部屋に案内する。
「効率を上げるため、滋養液に入りますので、全裸になってそこのベッドに横になっていてください。」
俺は言われるままに服を脱ぐと、ベッドに上がりそこにあった毛布で下半身を被った。
何故か、即に眠気が襲ってきた…

 

 
「気が付かれました?」
女性の声に意識が復活してゆく。
胸が締め付けられる感じがして、手を伸ばした。
(??)
「手術は滞りなく終わってます。もう朝ですよ♪」
俺の掌には膨らんだ「胸」の感触があった。
「もうすぐ、お迎えが到着するようですよ。急いで支度された方が良いと思いますけど?」
俺はベッドから降りた。既に服は着せられていた。
俺はバックから化粧道具を取り出すと、急いでメイクを施した。

「わお♪見違えたよ。早速にもひん剥いてお胸を拝みたいが、出港時間が迫ってるからな♪」
とクアは服の上から新しい感触を確かめるに止めた。

船に戻ると出港の慌ただしさに巻き込まれていった。
航行士の俺は用がないので暇していても良いのだが、執務士の船内着に着替えてミィを手伝っていた。

やがて、惑星の重力圏を抜け出すと、本来の航行士の仕事が待っていた。
シートに座り、いつもの手順を繰り返す。
クアにエネルギーの充填状況に問題ないことを確認する。
「跳躍ポイントに入ります。」
コンピュータの吐き出した航路予測を頭に焼き付け、超光速エンジンに干渉を掛けながら出力を解放した。

一瞬後、貨物船は今までとは別の宙域を進んでいた。
「座標確認。…所定のポイントではありません!!誤差確認中…誤差5%です。」
すぐさま、操舵をサント少尉に引き渡す。俺の顔面からは血の気が引いていた…

「クア。お前から何か言う事はないか?」
船長は俺ではなく、クアに声を掛けた。
「な、何で…」
「航行士の肉体はデリケートだ。己の状態を把握していないと、正確な干渉はできないのだ。彼の胸を見て、様子を見るため最初の跳躍距離を抑えておいたんだ。」
(そんな…豊胸しただけで狂ってしまうもんなのか?)
「本人がその変化を意識していれば問題になる事はない。クア…彼に何か言う事はないか?」
船長に促され、クアが俺を見る。
「そ、その… 胸だけじゃないんだ。ついでに、下の方も処理してもらっているんだ。」
とクア…
「下?」
俺が彼の言いたい事を理解するまで、暫く時間が掛かった。
「つまり、お前の男性器を切除し、女性器を造築処理もやってもらっていたんだ。」
(つまり、俺はもう「男」ではなくなってしまったということ?)

気が付くと俺は自分の部屋のベッドに顔を埋め、涸れるまで涙を流し続けていた。

 

 

俺はスカートを穿いた時におかしくないように、ペニスを隠すようにしていた。
それが当たり前になっていたので、それが失われても気にはならなかった。
が、今は更に「男」を受け入れるための器官が造られている。
これをクアが使わない筈がない。今は船長の監視下にあるので大人しくしているが、いずれは…
俺はその「時」を迎えるのが怖かった。

「それはもう貴女の肉体の一部なんだから、早めに自分のモノにしておいた方が良いんじゃない?」
とミィが無責任な事をいう。が、
「無責任なんかじゃないのよ!!」
と反論された。
つまり、そこに「男」を受け入れて、始めて自分の肉体を隅々まで把握した事になるという事らしい。
確かに女性の進出も少なくない宙軍において、航行士に占める女性の割合は極端に低く、ましてや若い女性の航行士は皆無に等しかった。

「クア?」
俺はその夜、クアの部屋を訪れた。
「一応は覚悟してきたけど…」
俺はクアの前で服を脱いでいった。
「…ヤサシクしてね♪」
と裸体をクアに委ねた。

 

 

 
「跳躍ポイントに入ります。」
俺はシートに座ると、クアにエネルギー充填状況を確認した。
「いつでも良いぜ♪」
と親指を突き上げる。そのサインもマンネリかな?
サント少尉から操舵を引き取り、コンピュータの吐き出した航路予測を頭に焼き付ける。
いつも通りに超光速エンジンに干渉を掛けながら出力を解放する。

一瞬後、貨物船は今までとは別の宙域を進んでいた。
「座標確認。所定のポイントです。」
と、俺の仕事が終わる。
「お疲れ様。港までは少尉が連れていってくれる。今日はもう明日に備えてゆっくりしていなさい。」
今回の寄港は少し長めの休暇とセットになっている。
その初日は

俺とクアの結婚式になっていた。
俺がウェディングドレスを着ることになるとは、想像もしたこともなかった。
が、クアが
「責任を取る…とかいうんじゃない。俺はお前を愛している。生涯一緒にいたいんだ。」
とプロポーズしてきたのだ。
想いもよらない…ではない。俺もそんな事にならないかと期待していた所もある。
そのプロポーズに俺は即にYESを答えていたのだった。

 

父親代わりの船長にエスコートされ
俺はバージンロードを歩いていった…

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