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2013年5月26日 (日)

選択(A)

(とにかく、こいつを何とかしなくては…)

俺の目の前に転がっている物体…「俺」の肉体をどうにかする必要があった。

 

確かに俺はドジを踏んでしまった。
その家の厳重な監視の死角を探し出し、まんまとお宝を手に入れた所までは良かった。
その家からの脱出の直前に、あろうことか、この家の幼い娘とばったり出会ってしまったのだ。
(半分寝ぼけている。お前の顔なんて覚えてはいないさ。)
と囁く声と
(見られたのなら殺してしまうしかないぞ。)
との二つの声の間で俺の心が揺らぐ。
しかし、今即決しなければ、リスクはどんどん高まってゆく。

俺は…

 

娘をそのままに脱出する方を選択した。
が…

やはり、顔を見られた事が気になって仕方なくなっていった。
夜も眠れなくなる。
お宝は現金に替わり、それ以外に足の付く心配がなくなった事で、更に心配が増していた。
(顔を整形して別人になるか?)
だが、中途半端な改造では「俺」だと気付かれる可能性は0ではない。
全くの別人に成り済ます事ができなければ話にならない!!

 
そんな俺の元に夢のような「アイテム」が存在するという情報が舞い込んできた。
俺は直ちに「アイテム」を取り寄せた。
それは30cm四方の黒い箱とそれに繋がるヘルメット状の装置だった。
俺は寸暇を惜しんでヘルメットを被り、スイッチを入れた。

黒い箱が唸り始めると同時に頭がクラクラしてきた。
堪らずに膝を突き、座り込んでしまった。更に、手足から力が抜けてゆく…
俺が体を横たえると、目の前の黒い箱からムクムクて膨れあがるものがあった。
やがてそれは人間の形を取り始めた。
手足が延びてゆき、胴体が引き締まる。頭が生じ、首が締まり形の良い顎が出来上がった。
頭には目、鼻、口が刻み込まれる。髪の毛が延びて頭を被ってゆく。

黒い箱の唸りが一段と高まった。
と同時に耳鳴りがし、視界が狭くなってゆく。

そして…
音が途絶えた。

俺は閉じていた瞼を開いた。
目の前には相変わらず、黒い箱に繋がった人型の物体があった。
が、何か違った。
ソレは服を着ていた。さっき迄は全裸だった筈…
それに頭には俺と同じヘルメット状の装置を付けている。
(俺と同じ?)
いや…今の俺はヘルメットを付けていない。それに、服も着ていないようだ。
もう一度、箱に繋がれた物体を確認する…

それは「俺」だった。
(では、今の俺は?)
慌てて立ち上がり、鏡を覗き込んだ。
そこに映っていたのは、箱から出てきた人形の物体の最終形態だった。
(つまり、俺の意識がこの中に送り込まれたと言うことか?)
この体であれば、誰もこれが「俺」だとは思わないだろう。
これは、本来の俺の体よりも一回り小さい「女」の体なのだ。
たとえ、女装や性転換しても、元々の骨格を変えることは困難であろう。
それに顔形も全然違う、整形してもどこかに面影は残るに違いないが、この顔は全くの別人だった。

(「女」と言うのはやり過ぎだが、これならバレることはない。安心していられるぞ♪)
と上機嫌で元の場所に戻っていった。
そこには未だ黒い箱と「俺」の肉体が残っていた。
当然、いつまでもここにあっては邪魔なだけである。
俺は「俺」を動かそうとした。が、その際ある事に気づいた。
「俺」は息をしていなかった。
胸に耳を当て、手首を握ってみる。
(脈がない?!)
つまり、この肉体は死んでいると言う事だ。

(とにかく、こいつを何とかしなくては…)

だが、一回り小さくなった今の俺では、どうする事もできない。
となればコレはここに放置するしかないのか?
もし、放置した場合、今度はこの体が…殺人犯とは言わないまでも、重要参考人として追われることになる。
幸いにも、この姿は誰にも見られていない。暗くなってから闇に紛れて出て行けば良いだろう。
あとは、この体の痕跡を残さなければ良い。髪の毛一本も残さないようにするんだ。

…とは言え、今は全裸である。何か着るものが欲しい。
俺は着れそうなものを物色し、大きめのトレーナーに決めた。これなら、ミニのワンピースとあまり変わらないに違いない。
ただ、下着だけはどうにもならなかった。まあ、ブラブラするモノがないので、問題はないと思う。

キャスター付きの鞄に黒い箱と換金した現金を詰めるだけ詰め込んだ。
(黒い箱がなければ残さずに済むのだが…)
そうも言っていられずに、鞄を閉じる。
もう一度、痕跡が残ってないか確認し、スニーカを履いて外に出ていった…

 

 

 

「信じる・信じないは貴方の勝手よ。」
あたしはベッドの上であたしを抱いている男にそう言った。
「つまり、俺が今抱いているのは男だと言うのか?」
「萎える?」
「萎えないさ♪」
「貴方…ホモ?」
「違うよ。君の話を信じなかっただけさ♪こんなに感度が良いお×んこの持ち主が女じゃないなんてあり得ないだろう?」
「んあん♪あああ~ん!!」
あたしは彼の責めに媚声をあげることしかできなかった。

 

アナタは信じる?
    信じない?

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