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2013年3月 1日 (金)

催眠暗示

それが、強力な催眠暗示音声であると気付いた時には、僕は既に術中に落ちていた。

確かに、差出人の不明な不審メールであった。が、添付ファイルにはウィルスなど悪さをするような仕掛けは見当たらなかった。
とりあえず解凍してみようとクリックした…途端、スピーカから綺麗な女の人の声が流れだしていた。
これが催眠暗示音声だと気付いた時には、彼女の声に逆らう事ができなくなっていた。

彼女の指示に従い、キーボードを操作する。新たなURLが打ち込まれ、次々と音声ファイルがダウンロードされてゆく。
それらが開かれる度に、僕は更に深い暗示に捕らわれてゆくのだった…

 

「気持ち良い事をしましょう♪」
彼女が言った。
「両手を胸にあててみて。」
既にボクは、彼女の暗示で着ていた服を脱いでいて、全裸となっていた。
「乳首は摘まめるかしら?」
彼女の暗示で、ボクの肉体は「女の子」になっていた。勿論、実際に肉体が変化している訳ではない。ボクの認識がボクの肉体が女の子だと塗り替えられているだけだ。
それでも、乳首を弄ると、そこから快感が沸き上がってくる。
「んあん♪」ボクは女の子みたいに喘ぎ声をあげていた。…、いや、今のボクは女の子なのだから「みたいに」ではない。
ボクは胸を揉みあげ、快感を貪るようにしていた。

「気持ち良い?それは単なる肉体的な気持ち良さだけではなく、性的な興奮を伴っているわね?」
ボクは喘ぎ続けながらも、しっかりと彼女の声を聞いていた。
「女の子は性的に興奮するとどうなるか知ってる?股間から愛液が溢れて、お股を濡らすのよ♪」
彼女の声に誘導され、ジュン!!と股間に溢れてくるものを感じた。
「準備は良いようね?でも、慌てないでね。女の子のソコはとても敏感なの♪」

ボクの手が、彼女の指示通りにゆっくりと股間に移動してゆく。
「刺激が強すぎるから、クリトリスには触れないようにね♪」
ボクは邪魔者の居ない股間に手が届いた。クリちゃんを避けるようにして、その先の膣口に指を伸ばした。
指先がしっとりと濡れた割れ目に触れた。そこからゆっくりと指を挿入してゆく…
「膣のナカに指先が入っていくのが判るかしら?」
ボクには彼女の声は殆ど聞こえていなかった。ボクの耳にはクチュクチュと皮膚と液体が触れあう淫靡な音だけが届いてくる。
違和感が次第に快感に変わってゆく。
ボクはボクの膣を弄って、快感を引き出しているのだ♪
「あん、ああ~ん♪」と媚声をあげると、更に快感が増してゆく…

 
ビクッ!!

 
注意していた筈なのに、指の腹がクリトリスに触れてしまった。
電撃が脳天を貫いてゆく!!

しかし、快感は膣よりも大きい?
ボクは十分に濡らした指で、もう一度、慎重にクリちゃんに触れてみた。
病み付きになる快感だった。
触れる強さで自由に快感をコントロールできる。それでもまだ「触れている」範疇をでていなかった。
(ここからはどれくらいの快感が得られるのだろう?)
そんな考えも「今」もたらされている快感の前には霞んでしまう。
「ああん、あああん♪」
ボクは増大する快感に呑み込まれ、いつしか意識も手離していた…

 

 
暗示は次の段階に入っていたようだ。
僕は女の肉体を隠して生活している事になっていた。
お化粧もせず、男装して街に出てゆく。満員電車では痴漢に遭うも、女だと悟られないよう、感じてしまっても甘声を堪えて次の駅まで我慢する。
勿論、トイレで小用を足すのも立ったままではできないので、個室を使うのだ。

今日は彼女から新しい指示があった。
明日から僕は「女の子の日」になるという。つまり、生理が来るのだ。
これに備えて、今日はコンビニでナプキンと生理用ショーツを買うことになっていた。
コンビニには他にお客もいる。第一、店員とは商品を手に対面しなければならない。体は女の子であっても、見た目は男の僕が生理用品を買うのだ…
店に入る、その一歩を踏み出すのに些かの時間を要した。

とは言え、店の中は普通のコンビニである。雑誌コーナー、ドリンクの冷蔵庫が壁際に並び、菓子やカップ麺の棚が中央に並んでいる。
その端、レジの近くに雑貨品が置かれている。文房具や化粧品の並びに下着類が置かれていた。
目的の生理用品は、レジの場所からは死角になっていて、他の客もあまりこちらには視線を向けていないようだった。

目的のもの「だけ」を買うのが恥ずかしく、ジュースとカップ麺を籠に入れてから、生理用品の置いてある棚に向かった。
予め確認していた商品を取り上げ、パッパと籠に入れた。そして、カップ麺の容器をその上に置いて他の客から商品が見えないようにした。
後は籠をレジに持って行き、清算すればおしまいだ。

が、僕の目はその並びにあった化粧品…口紅やアイシャドウ、つけまつげやマニキュアだった。
(僕も女の子なんっからお化粧しても問題ないよね?)
僕は一本の口紅を籠に入れていた。

 

今日はトランクスの下にナプキンを張った生理用ショーツを穿いていた。
いつもは男物しか身に着けていないが、生理用とはいえ女物を着けているというだけで、自分が「女」であると再認識できて落ち着いた気分になる。
(第一、ボクは今日から「女の子」の日なのだ♪)

気分的に女の子モードが高まっていたのか、ふと、昨日一緒に買った口紅が目に止まった。
ボクは口紅を手に鏡の前に立った。キャップを取り、赤い口紅をボクの唇に少しだけ塗ってみた。
(いつもより可愛さアップしてる♪)
お化粧がボクの生理の憂鬱さを解消してくれるみたいだ。
(でも、まわりにはボクは男なのだから、お化粧も部屋の中だけだね♪)
と、外に出る時はお化粧を落とすが、部屋の中でお化粧するのが日課になっていた。
次第に化粧品も増え、椅子に座ってやれるように、机に置ける鏡も買っていた。

…部屋の中だけなら…
そのキーワードを免罪符に、化粧品だけでなく、服やアクセサリーも揃え始めていた。
部屋の中だけだけど、あたしは「女の子」に戻っていた。
勿論、休みの日は外に出ることもなく、一日中「女の子」している…

 

 

「どお?楽しんでくれたかしら♪」
彼女の声がした。

その時、あたしはスカート&ノーパンでオナニーに耽っていた。
快感にイッた後の余韻に浸っていた所だった。あたしの指は愛液に濡れ、膣口に差し込まれたままだ。
「さあ、思い出しましょう。あなたの本当の姿を♪」
あたしの頭はまだボーッとしていて、彼女が何を言っているのか理解できなかった。
「数を数えるわね。10からカウントダウンして、0になったら暗示が解けるわ。いい?」
と、彼女はカウントダウンを始めた。
…そして
「ゼロ♪あなたは暗示から解放されました。もう、わたしの声を聞く事もないでしょう。では、さよ~なら~♪」
彼女の声がフェードアウトしてゆく…
(何だったの?)
僕の頭はまだ理解できていなかった。
だから、快感の続きを始めようと再び股間に指を挿入しようとして、これが阻まれた時パニックに襲われた。
(どうして入らないの?)
(僕は男だから、股間に入れるべき場所なんかない!)
(さっきまで、ココはグショグショだったのよ?)
(男は愛液なんか出さないから、股間が濡れる事なんてないんだ!)
(あたしは…僕は…)
「男」だった事を思い出していた。

股間に延びた手が、勃起したぺニスに触れていた。
快感の余韻など、とうに吹き飛んでいた。立ち上がるとスカートの前がテントを張っていた。
そう、スカートを穿いているのは現実だった。暗示で誤認していたのは自分の肉体だけだった。
当然だが、スカートを始め暗示に掛けられていた間に購入したものは、そのまま僕の部屋に残されている。

僕は机の上の鏡に向かった。
鏡には今だ「女の子」の僕の顔が映っていた。

僕は机の上の口紅を手に、化粧の乱れを直していった…

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