« 2012年12月 | トップページ | 2013年4月 »

2013年3月 1日 (金)

侵略者

(敵宇宙戦艦まであと100秒)
俺は信管の安全装置を外し、カウントダウンに入った。

ステルス性が高いと言っても、この機体が敵から完全に見えなくなる訳ではない。敵の動きに合わせて、その死角から外れないように機体を滑らせてゆくのだ。
その繊細な挙動を可能にしてくれているのが「直接制御機構」だ。
機体と俺の脳を直結し、自らの手足のように機体を操る事を可能にしてくれる。

勿論、夢のような話には代償が伴う。
ステルス性を高めるには、機体はコンパクトであることが求められる。余計なものは搭載できない。
つまり、俺を…俺の「脳」を生かしておけるギリギリの生命維持システムとなっている。
元々、生きて帰る事など想定されていない。機体に満載された爆薬とともに敵宇宙戦艦に突っ込み、これを破壊するのが目的の機体なのだ。
ドロドロに溶かされた俺の肉体を栄養源に長い時間を掛けて奴に忍び寄ってきたのだ。

(あと20秒…)

掻き集めた燃料をスラスターに押し込め、カウントダウンの最終フェーズに突入する。
10


スラスターを点火し、奴との間合いを一気に詰める。

装甲の薄い箇所に頭から突っ込んでゆく


信管を作動させる

爆薬が誘発する

全てが無に帰す。

 

 

 

……

………

(?!)

全てが無に帰した筈なのだが、今、ここには「俺」の意識が存在していた。
「機体」から解放され、「肉体」も無に帰している。

浮遊感?

どこかしら、広い空間に「俺」は意識だけで浮かんでいた。
任務を全うしたのであれば、俺はもう存在しない筈なのだ。
それが、こうして意識を保っているということは、
…任務に失敗した?…
俺は確かに、敵宇宙戦艦に突っ込み、信管を作動させたのだ!!

「君の機体は直前に亜空間に送り込んだ。残念だが、我々は健在だ。」
どこからともなく「声」が聞こえてきた。
(誰だ?)
俺は声にならない声で聞き返した。
「君逹の言う敵=侵略者が我々だ。」
(何故、俺を生かしている?)
「興味があったからだ。自らの死を賭して我々を攻撃しようとする、その思考形態を分析してみたくなったのだ。」
(つまり、研究材料と云う訳か?)
「あまり堅く考えなくても良い。君はそこで自由に振る舞ってもらえば良い。我々はそれを観察し、分析する。」
(自由…に、ね?)
「おお、済まない。今、君の記憶から空間を再構築する…では…」

 

俺は急に重力を感じた。
俺は自らの足で立っていた。
ここ暫く意識したことのなかった「肉体」の感覚に戸惑いを覚えつつも、久しぶりに手足があり、指を曲げ伸ばす感触を取り戻した事に感動していた。
そして、今は「目」が開いていた。自らの目でものを見ている…

目の前には「街」が…奴らの侵攻を受け廃墟となる前の、平和だった頃の街が…そこにあった。
当時の俺は高校生で、正に青春を謳歌していた…

「おい、どうした?ぼーっとして♪」
上方から若い男の声がした。
「えっ?」
と振り仰ぐと、そこに男の顔があった。
どこかで見たような…って、これは毎日見ていた「俺」の顔ではないか!?
「俺」が当時の俺の体格と同じであれば、今の俺の身長は150cmもないんじゃないか?
「夕べもアイドル三昧で夜更かししてたんと違うか?」
「俺」の手が俺の頭に乗せられ、ガシガシと揺すられる。俺の髪の毛の先端が、その度に頬を擽る。
(俺はこんなに髪を長く伸ばしたことなどないぞ??)
「止めろよ!!」と「俺」の手から逃れる。
その時発した声に違和感を覚える。
(声が甲高い…そう、女の声みたいだ?)
「女」というキーワードに様々な事象が連鎖してゆく。
背の高さ、髪の長さ…
先程から気になっていた太股に触れる感触はスカートの裾か?

「おい、どうした?」
と「俺」が心配げに声を掛けてきたが、構っている余裕がない。
俺は鏡を…今の自分の姿を確認できるものを探した。
視線の先に路上駐車している車があった。走り寄り、窓ガラスに自分を映した…

「…小柴か?」
そこに映った顔は高校時代、同じクラスにいた「小柴薫」だった。
俺は当時、彼女の事が気になっていたが、どうにも声を掛け辛い存在だった。
そんな特別な想いがあった所為で、俺は今「彼女」として存在しているのだろうか?
「どうしたんだよ薫♪突然走りだしたりなんかして?」
追い付いてきた「俺」が声を掛けてきた。
(「薫」か…)
誰の目にも、今の俺は「小柴薫」なのだろう。ならば、暫くは彼女のフリをして様子を伺う方が良いか?
「ご、ごめん。ちょっと顔を確認したかったんだ。」
「あ、ああ。女の子はちょくちょく鏡を見るものな。俺にはその気持ちは良く解らないが。」
(それは、俺も解らない。が、今はそういう事にしておこう♪)
「ごめんね。もう大丈夫だから♪」
俺は車を離れ、再び「俺」と一緒に歩き始めた。

 

昔の俺は、こんなに小柴と親しくしていた事はない。
この世界は奴らが造り出した疑似世界に違いない。だから、本来の…俺の経験してきた世界と違うのも頷ける。
俺の記憶から再構築したと言っていた。だから、俺の願望…小柴と親密になりたいと思っていた記憶…が再現されたのだろう。
(だからと言って、何で俺が小柴本人になっているんだ?!)

俺逹が向かっていた先は俺の(小柴のではない)家だった。
「おじゃましま~す♪」
自分の家に上がるのに変だとは思ったが、今の俺は小柴なのだ。それに、この家も消失して大分経つ。他人の家と大差ない…という気もあった。
「今日は誰もいないよ。そう堅くなんなって♪」
「俺」が俺を俺の部屋にエスコートしてゆく。
カチャリとドアが開けられた。
その向こうには懐かしい「俺の部屋」があった。

「な、何だよ?涙なんか流して。俺の部屋に入っただけで、そんなにも感動するか?」
「そ、そんなんじゃないけど…」
確かに俺の視界はぼやけていた。小柴に…女になった事で涙腺が緩み易くなっているのだろうか?
「ま、まあ、そこ…ベッドにでも腰かけてくれ♪」

ベッドに座るとムッとした臭いが俺を包んだ。
記憶を辿ってみてもこのような臭いを俺の部屋の中で嗅いだ事はない。強いて言えばパイロット訓練時代にロッカールームに充満していた汗の臭いだろうか?
「っあ、わりぃ♪女の子には男の汗の臭いはきついよな?」
と「俺」が窓を開けると、そよ風がその臭いを和らげてくれた。
(別に嫌じゃないよ。もう少しその臭いに包まれていたかったかも♪)
「窓…開けちゃうと少し寒いかも…」
と、俺はそんな事を口走っていた。

 
「ん!?何だアレは」
「俺」が窓の外の空を見上げていた。
俺も立ち上がると「俺」の脇に立ち、並んで空を見上げた。
(!!ッ…始まったんだ…)
幾筋もの光の線が空一面に描かれていた。
全身に震えが走る。
「どうした?」
俺の変化に気づいた「俺」が、俺の肩をぎゅっと抱き締めてくれたので、幾分か落ち着く事ができた。

「テレビ点けて良い?」俺が聞くと「俺」はリモコンを操作した。
どのチャンネルも臨時ニュースを伝えていた。アメリカ本土との通信が途絶しているとアナウンサーは繰り返していた。
既に南北アメリカ大陸に生存者がいない事を俺は知っていた。
「薫?」
「俺」が再び俺に声を掛け、俺の顔を覗き込んでいた。
やはり、この体の涙腺は緩い。止めどない涙がいく筋も頬を伝っていた。

俺は記憶を辿っていた。次にヨーロッパ・アフリカが廃墟と化すまでに3ヶ月の猶予があった。
その間に奴らを排除する様々な方策が練られた。と同時に宇宙を戦いの場とする様々な兵器が次々と開発された。そこには、これまで想像もできないくらいの技術革新・科学技術の飛躍があった。
奴らからの攻撃を逃れるため、太平洋の海底に巨大な基地が作られ、あの忌まわしい機体が生み出された。それを操縦するパイロットが集められ、訓練を行い…そして俺を含め、皆が旅立っていったのだ。

が、それはまだ「先」の話だ。

 

 
「落ち着いたか?」
いつの間にかテレビは消され、物音一つしない部屋の中で、俺は「俺」に抱き締められていた。

俺は彼の体温に包まれていた事に安らぎを覚えていた。
肉体同士が触れ合うことからもたらされる安心感を初めて知った気がした。
俺は自分の腕を、彼の腰に回しと更に密着度を上げた。俺の胸の膨らみが二人の間で形を変える。
ビクッと何かが震えた。密着した下腹部の間で、その存在を主張し始めた奴がいた。
「ご、御免っ…」
彼が腰を引こうとしたが、僕は二人の密着を続けるべく、腕に力を入れていた。
「だ、駄目だよ。そんなコトしちゃ。僕の理性が保てなくなる。」
「別に良いよ♪その為にココまで連れてきてくれたのでしょ?」
再び俺の口は勝手に喋り初めていた。
「良いのか?」との彼の問いに、コクリと頷いていた。
彼の片手が離れ、その指が俺の顎に掛かった。その指に誘われて上を向く。
彼の唇が俺の口を塞いだ。彼の舌が侵入してくるのを俺は拒まなかった。
頭がぼーっとする。全身から力が抜けてゆく。
何も考えられなくなっていた。

彼が俺の服を脱がしていった。
ブラとショーツだけになってベッドに寝かされた。
その横に全裸の彼が横たわる。
「薫。愛してる♪」
大きく、暖かく、優しい掌が俺の乳房を愛撫してゆく。
俺は彼の愛撫に快感を感じていた。「愛してる」と囁かれる度に、俺もまた彼を「愛している」と感じるようになっていた。

彼の手が俺の股間に延びてきた。俺の股間は既に十分に濡れていた。
それは則ち、彼を…「男性」を受け入れる準備ができていたということだった。
俺は彼に体を開いていた。俺の上に彼が伸し掛かってくる。
俺は「彼」を受け入れていた…

 

 

「…ほう♪君逹には「愛」という感情があるのか。その「愛」が自らの死を賭してまで我々を攻撃しようとする原動力となったと言うのだな?」
俺の頭の中に奴らの声が聞こえてきた。
「しかし、今の君が感じている「愛」は、それとま真逆の方向を示している。実に興味深い。」
(何が違う?)
俺自身そう言われ、今は死を賭してまで奴らを攻撃したいとは思う事ができなくなっている事に気付いた。
それは、今の俺が「小柴薫」…「女」だからなのだろうか?
「つまり二種類の「愛」があると言うのだな。「男の愛」と「女の愛」か…今の君であれば、無駄な命を投げ出したりはしなかったと言うことか?」
つまり、これで奴らの「研究」は終わりを迎えたと言えるのだろうか…
「我々はアプローチを誤ったようだ。貴重なデータを与えてくれた君には感謝するよ。我々はやり方を変える事にした。君も死なずに済む筈だ…

奴らの声が霞むように消えていった。
「薫ちゃん?気が付いた♪」
女の声が聞こえた。
俺はベッドに寝ていたようだ。
「お姉さんアメリカだったものね。心配で気を失っちゃうのも当然よね。でも、大丈夫。通信は回復したって。」
「俺」や薫と同い年と思われる女が親しげに話していた。
(誰?)
と部屋の中を見渡す。そこは「俺」の部屋であった筈が、内装が一変していた。
「女性の部屋」…つまり、この女の部屋であった。
「何か大規模な隕石群の中に地球が突っ込んだんだって。大量の隕石が大気圏内で燃え尽きる時に発生したエネルギーが南北アメリカを中心に通信障害を起こした…とかなんとか言ってるけど、よく判んないわね?」
彼女の所作・雰囲気の中に「俺」の断片があった。
奴らの実験はまだ続いているのだろうか?今度は「俺」を「女」にして…

 
しかし、この世界では奴らの侵攻は存在しなかった。
「女」に変わっていたのは、俺と共に訓練を受けたパイロット達…俺の知る限り、その全員が「生まれた時から女性」として認識されていた。
「俺」もまた「女」として存在していた。今では俺=小柴薫の一番の「女」友達となっていた。
奴らはパイロット達を「女」にすることで「男の愛」を封じたという事なのだろうか?
奴らは、この新しい世界で何をしようとしているのだろうか?
奴らの目的は地球侵略ではなかったのか?
南北アメリカはいまだ健在であった。

 

 

安穏とした日常が、全てが夢の中の出来事のように思わせる。

俺は生まれた時から「小柴薫」であったと錯覚することもしばしばあった。
ある日、「俺」から「好きな人ができた♪」と告白された。
勿論、相手は女の子ではなく、年上の男性であった。
「俺」には「男」であった記憶がない。そうなるのも当然の流れであると納得させるしかない。

しばらくして「姉」が帰ってきた。
アメリカで結婚し、赤ん坊を連れての帰国であった。
彼女も俺の記憶では「小柴薫」の「兄」であった筈だ。焦土と化したアメリカから帰国した彼は真っ先にパイロットに志願したと聞いていた。

そんな二人に「何故恋をしないのか?」と責められる。

しかし、俺は既に恋に落ちていた。
俺…と自分の事を言い続けてはいるが、俺の心はとっくに「女の子」になっていた。
「彼」の事を想うと夜も寝られないことがある。
しかし、彼はもうここにはいない。

俺は…あたしは一生忘れられないだろう。「俺」に抱かれて過ごした、あの短いが濃厚だったひと時を…

催眠暗示

それが、強力な催眠暗示音声であると気付いた時には、僕は既に術中に落ちていた。

確かに、差出人の不明な不審メールであった。が、添付ファイルにはウィルスなど悪さをするような仕掛けは見当たらなかった。
とりあえず解凍してみようとクリックした…途端、スピーカから綺麗な女の人の声が流れだしていた。
これが催眠暗示音声だと気付いた時には、彼女の声に逆らう事ができなくなっていた。

彼女の指示に従い、キーボードを操作する。新たなURLが打ち込まれ、次々と音声ファイルがダウンロードされてゆく。
それらが開かれる度に、僕は更に深い暗示に捕らわれてゆくのだった…

 

「気持ち良い事をしましょう♪」
彼女が言った。
「両手を胸にあててみて。」
既にボクは、彼女の暗示で着ていた服を脱いでいて、全裸となっていた。
「乳首は摘まめるかしら?」
彼女の暗示で、ボクの肉体は「女の子」になっていた。勿論、実際に肉体が変化している訳ではない。ボクの認識がボクの肉体が女の子だと塗り替えられているだけだ。
それでも、乳首を弄ると、そこから快感が沸き上がってくる。
「んあん♪」ボクは女の子みたいに喘ぎ声をあげていた。…、いや、今のボクは女の子なのだから「みたいに」ではない。
ボクは胸を揉みあげ、快感を貪るようにしていた。

「気持ち良い?それは単なる肉体的な気持ち良さだけではなく、性的な興奮を伴っているわね?」
ボクは喘ぎ続けながらも、しっかりと彼女の声を聞いていた。
「女の子は性的に興奮するとどうなるか知ってる?股間から愛液が溢れて、お股を濡らすのよ♪」
彼女の声に誘導され、ジュン!!と股間に溢れてくるものを感じた。
「準備は良いようね?でも、慌てないでね。女の子のソコはとても敏感なの♪」

ボクの手が、彼女の指示通りにゆっくりと股間に移動してゆく。
「刺激が強すぎるから、クリトリスには触れないようにね♪」
ボクは邪魔者の居ない股間に手が届いた。クリちゃんを避けるようにして、その先の膣口に指を伸ばした。
指先がしっとりと濡れた割れ目に触れた。そこからゆっくりと指を挿入してゆく…
「膣のナカに指先が入っていくのが判るかしら?」
ボクには彼女の声は殆ど聞こえていなかった。ボクの耳にはクチュクチュと皮膚と液体が触れあう淫靡な音だけが届いてくる。
違和感が次第に快感に変わってゆく。
ボクはボクの膣を弄って、快感を引き出しているのだ♪
「あん、ああ~ん♪」と媚声をあげると、更に快感が増してゆく…

 
ビクッ!!

 
注意していた筈なのに、指の腹がクリトリスに触れてしまった。
電撃が脳天を貫いてゆく!!

しかし、快感は膣よりも大きい?
ボクは十分に濡らした指で、もう一度、慎重にクリちゃんに触れてみた。
病み付きになる快感だった。
触れる強さで自由に快感をコントロールできる。それでもまだ「触れている」範疇をでていなかった。
(ここからはどれくらいの快感が得られるのだろう?)
そんな考えも「今」もたらされている快感の前には霞んでしまう。
「ああん、あああん♪」
ボクは増大する快感に呑み込まれ、いつしか意識も手離していた…

 

 
暗示は次の段階に入っていたようだ。
僕は女の肉体を隠して生活している事になっていた。
お化粧もせず、男装して街に出てゆく。満員電車では痴漢に遭うも、女だと悟られないよう、感じてしまっても甘声を堪えて次の駅まで我慢する。
勿論、トイレで小用を足すのも立ったままではできないので、個室を使うのだ。

今日は彼女から新しい指示があった。
明日から僕は「女の子の日」になるという。つまり、生理が来るのだ。
これに備えて、今日はコンビニでナプキンと生理用ショーツを買うことになっていた。
コンビニには他にお客もいる。第一、店員とは商品を手に対面しなければならない。体は女の子であっても、見た目は男の僕が生理用品を買うのだ…
店に入る、その一歩を踏み出すのに些かの時間を要した。

とは言え、店の中は普通のコンビニである。雑誌コーナー、ドリンクの冷蔵庫が壁際に並び、菓子やカップ麺の棚が中央に並んでいる。
その端、レジの近くに雑貨品が置かれている。文房具や化粧品の並びに下着類が置かれていた。
目的の生理用品は、レジの場所からは死角になっていて、他の客もあまりこちらには視線を向けていないようだった。

目的のもの「だけ」を買うのが恥ずかしく、ジュースとカップ麺を籠に入れてから、生理用品の置いてある棚に向かった。
予め確認していた商品を取り上げ、パッパと籠に入れた。そして、カップ麺の容器をその上に置いて他の客から商品が見えないようにした。
後は籠をレジに持って行き、清算すればおしまいだ。

が、僕の目はその並びにあった化粧品…口紅やアイシャドウ、つけまつげやマニキュアだった。
(僕も女の子なんっからお化粧しても問題ないよね?)
僕は一本の口紅を籠に入れていた。

 

今日はトランクスの下にナプキンを張った生理用ショーツを穿いていた。
いつもは男物しか身に着けていないが、生理用とはいえ女物を着けているというだけで、自分が「女」であると再認識できて落ち着いた気分になる。
(第一、ボクは今日から「女の子」の日なのだ♪)

気分的に女の子モードが高まっていたのか、ふと、昨日一緒に買った口紅が目に止まった。
ボクは口紅を手に鏡の前に立った。キャップを取り、赤い口紅をボクの唇に少しだけ塗ってみた。
(いつもより可愛さアップしてる♪)
お化粧がボクの生理の憂鬱さを解消してくれるみたいだ。
(でも、まわりにはボクは男なのだから、お化粧も部屋の中だけだね♪)
と、外に出る時はお化粧を落とすが、部屋の中でお化粧するのが日課になっていた。
次第に化粧品も増え、椅子に座ってやれるように、机に置ける鏡も買っていた。

…部屋の中だけなら…
そのキーワードを免罪符に、化粧品だけでなく、服やアクセサリーも揃え始めていた。
部屋の中だけだけど、あたしは「女の子」に戻っていた。
勿論、休みの日は外に出ることもなく、一日中「女の子」している…

 

 

「どお?楽しんでくれたかしら♪」
彼女の声がした。

その時、あたしはスカート&ノーパンでオナニーに耽っていた。
快感にイッた後の余韻に浸っていた所だった。あたしの指は愛液に濡れ、膣口に差し込まれたままだ。
「さあ、思い出しましょう。あなたの本当の姿を♪」
あたしの頭はまだボーッとしていて、彼女が何を言っているのか理解できなかった。
「数を数えるわね。10からカウントダウンして、0になったら暗示が解けるわ。いい?」
と、彼女はカウントダウンを始めた。
…そして
「ゼロ♪あなたは暗示から解放されました。もう、わたしの声を聞く事もないでしょう。では、さよ~なら~♪」
彼女の声がフェードアウトしてゆく…
(何だったの?)
僕の頭はまだ理解できていなかった。
だから、快感の続きを始めようと再び股間に指を挿入しようとして、これが阻まれた時パニックに襲われた。
(どうして入らないの?)
(僕は男だから、股間に入れるべき場所なんかない!)
(さっきまで、ココはグショグショだったのよ?)
(男は愛液なんか出さないから、股間が濡れる事なんてないんだ!)
(あたしは…僕は…)
「男」だった事を思い出していた。

股間に延びた手が、勃起したぺニスに触れていた。
快感の余韻など、とうに吹き飛んでいた。立ち上がるとスカートの前がテントを張っていた。
そう、スカートを穿いているのは現実だった。暗示で誤認していたのは自分の肉体だけだった。
当然だが、スカートを始め暗示に掛けられていた間に購入したものは、そのまま僕の部屋に残されている。

僕は机の上の鏡に向かった。
鏡には今だ「女の子」の僕の顔が映っていた。

僕は机の上の口紅を手に、化粧の乱れを直していった…

召喚

湿気を帯びた黒い地面に正円を描いた。
同心で四つ。外側の円に接するように小さな円を東西南北になるように配置する。
描いた線を踏み消さないようにして中心に移動すると、円と円の間に精霊文字を描き込んでゆく…

 

偶然手に入れた「魔法」の本…何故かそこだけ読めた「召喚」の魔法。
何が出来るか定かではないが、僕が奴らに復讐できる唯一の可能性にすがりついていた。

魔方陣を描いた樫の棒を陣の外に放り投げる。召喚の儀式の間、この身には一切の余分な物を持っていてはいけないと書かれていたのだ。
当然のように「服」も着ていない。下着も着けず、産まれたままの姿をしている。
もう一度「魔法」の本を見て暗記した呪文に間違いがないか確認する。
そして本も放り投げ、最後にメガネを外してこれも放り投げた。

真北を向き、呪文を唱える…

魔方陣の中心から煙が立ち上る。当然だが、陣の真ん中にいる僕は煙に包まれる。
何も見えなくなるが、呪文を唱え続けるのに支障がでることはない。
パチパチと閃光が瞬く。不気味な音が部屋の中に立ち込める。煙は部屋に充満していった。
「我、召喚せり!!」
そう呪文が締め括られる。
と、同時に静寂が訪れる。
すーっと煙が引いてゆく。
そして、一筋の光がスポットライトのように僕を照らしだした。

「んんっ、あ~あ♪」
両手を天に突き上げてノビをした。
が、それは僕の意思で行ったことではない。身体が勝手に動いているのだ。
それにこの「声」!?いつもの僕の声よりもかなり甲高い…まるで「女の子」の声だ。

「よく召喚してくれた。礼を言うぞ♪」
僕の口が勝手に女の子の声を紡ぎだす。
「そうか、そいつらに制裁を加えてやれば良いのだったな♪」
そう言ってピンと指を鳴らした。
目の前にゴシック調の飾り枠に嵌められた姿見が現れた。
(これが僕?)
想像はしていたが、僕の身体は召喚した悪魔に乗っ取られ、その姿が一変していた。
姿見の中には妖艶な女悪魔の姿が映っている。本体は僕と同じ年齢に見えるが、妖しい美しさに被われていた。
それは、彼女に悪魔の徴である角や蝙蝠羽、長い尻尾によるアンバランスさを消し去って余りある魅力があった。
「ほれ、このまま全裸ではそいつらの所にも行けないのだろう?
 お前の学校の制服はどういうのだ?イメージしてみろ♪」
姿見の中の写し出された「この」身体が着るのだ。当然、詰襟ではなく、女子の着るセーラー服の方だろう。
僕がそう思ったと同時に姿見の中の悪魔がセーラー服を着ていた。それは、僕自身がセーラー服を着ているということで、僕が女装しているということで、
とても恥ずかしいことだった。

いつの間にか足元の魔方陣は消え、部屋の中は明かりに照らされていた。
「さあ、行こうか♪」
と悪魔が僕を促す。
「復讐したいのだろう?わたしがそいつらに制裁を与えるには、そいつらに相対さなければならない。そいつらはどこにいるんだね?」
僕が知る奴らの溜まり場を思い浮かべると悪魔は足早に歩き始めた。

街を往く人々が皆僕に注目している。
流石に、角・羽・尻尾は隠しているが、これだけの美少女がズンズンと進んでゆくのは何事か?と気を曳かれるようだ。
悪魔は一切気にせずに、僕からの情報に従い奴らの溜まり場に突入してゆく。

「おぉ?何か用か?ココはお前さんのようなお嬢様が来るような所じゃないぜ♪」
僕はあっという間に奴らに取り囲まれてしまった。
「こいつらで良いのだな?」
悪魔は一人一人の顔を確認していった。それぞれに嫌な思い出が蘇る。
「間違いないようだな。では、これから制裁を加えてやる。」

「何をブツブツ言ってるのかな?でも、ソンなの関係ない♪こんだけマブい娘だ、十分に楽しませてもらおうぜ!!」
奴らの包囲が一気に縮まる。
一瞬のうちに僕は押し倒されていた。
「早速味見させてもらうぜ♪」
幾人もの手で僕は身動きが取れない。脚を持ち上げられ、大きく広げられた。
リーダー格の男が真ん中に陣取り、ズボンを下ろしてゆく。
どこからか現れたナイフでショーツが切り裂かれた。
「おお、綺麗なマンコちゃんだ。もしかしてハジメテか?」
リーダー格の男が舌舐めずりする。
「それじゃあ一気にイかせてもらうぜ♪ハジメテは痛いらしいが、コンなトコにノコノコやってきた自分の所為だかんな♪」
と、僕の股間に硬く勃起した逸物を突っ込んだ…
「いてーーーっ!!」
叫んだのは奴の方だった。
僕の腰を跨ぐように広げられた奴の太股に紅い筋が生まれていた。
「な、何だよ!?早く離れろ!!」
奴はそう言うが、誰も奴を強いてはいない。奴自らが僕の上に股間を押し付けているのだ。
奴が女なら、正しく騎乗位と呼ばれる体勢である。そして、今の僕にはペニスが生えており、奴を貫いていた。
これが悪魔の言う「制裁」なのだろうか?
「まだまだ。これからじゃ♪」

悪魔がそう言ったそばから、僕に跨がっていた男(?)に変化が現れた。
股間の痛みに首を振って耐えているが、その短かった髪が一気に伸び、髪を振り乱すようになる。
胸が膨らみ、シャツのボタンを弾き飛ばした。その胸を自らの手で鷲掴み、揉み上げ始めた。
体全体が少し縮んだようだ。丸みを帯び女の子の体型に近づいてゆく。
肌も白くしなやかなものに変化していた。厳つかった顔が愛らしい女の子の顔になる。
痛みに呻いていた声が、悦感に喘ぐオンナの声になっていた。

「あん、ああん♪モット頂戴ッ!!」
奴だった女の子がそう叫ぶと、一気に呪縛が解けた。
女の子は床に転がると、脚をM字に開いていた。僕を押さえていた男逹が彼女に向かう。ズボンを脱ぎちらかし、彼女に挑んでゆく。
「ああん、あ~~ん♪」
彼女が悦感の媚声を漏らす。男逹が代わる代わる彼女を犯す。
「あふん。はあ~ん♪」
良く聞いてみると、彼女とは違う媚声が混じっている。
男逹に組み敷かれている女体の数が増えていた?!

次第に女の数が増えてゆく。女の数が男の数を上回ると、今度は女同士で慰め会っている。
…そして「男」がいなくなる。
「「頂戴っ!!」」
「奴ら」であった女逹は、唯一の「男」である僕のペニスに殺到した。

「どうだい?奴らがお前の前に平伏しているぞ。ほら♪お前の好きにシてみな。」
「好きに…」と言われても、あまりの想像外の出来事が続いて、まともな思考ができない…
「咥えさせるもよし、おあずけするもよし。互いに殺し合わせ、最後に残った女に褒美として貫いてやるか?」
殺し…
僕は絶句するしかなかった。
「お前ならそうだろうな♪こいつらはこのまま放っておけば良い。」
僕は思考停止状態のまま、悪魔の言葉に従っていた。

 

その先には僕の学校の校門があった。
まだ、何かするのだろうか?
「いや、少々疲れた。わたしは少し休むが、お前は学生だ。ちゃんと授業を受けた方が良いぞ♪」
そう言って悪魔は気配を消していた。
僕は惰性のまま校門を通り越していた。いつの間にか手足の自由を取り戻していた。
「喋れるかな?」
思った事はちゃんと僕の口から音になっていた。

昇降口に着いた。
上履きに履き替えようとして、服が女子の制服を着たままである事に気付いた。
このまま教室に行けば「女装者」「おかま」のレッテルが貼られてしまう。
僕は人目を避けるように保健室に向かった。
これまでも何度も一人になりたい時にやってきていた。保健医も何も言わずにベッドを貸してくれる。
ドアを開けて中に入った。

誰もいない。

僕はいつものベッドに潜り込んだ。
暖かな毛布にくるまれると、一気に眠気が襲ってきた…

 

 

「彼女逹は単に記憶の混乱を起こしているだけです。何者かにレイプされた事は確かですが、自分逹でレイプし合うなんてあり得ません。彼女逹に付いていた精液はどこから出てきたのでしょう?彼女逹は生まれた時から女性ですし、現時点でもその肉体は年齢相応の健康な女性体です。」
カーテンの向こうから保健医の話声が聞こえた。
話の中に出てきた「彼女逹」とは悪魔=僕に女にされた「奴ら」の事だろう。その奴らが生まれた時から「女」だった?!
僕を虐めていた奴らは「男」の意識のまま、これから先、一生を生来の「女」として過ごさなければならないのだ。
まあ、これであれば僕の「復讐」として申し分ないだろう♪

後は、この先「悪魔」が僕をどうするのか…それは悪魔が再び目覚めてから聞けば良い。
(ふう)と小さく溜め息をつき、僕は再び眠りの中に落ちていった。

佐藤さんと僕

学校から帰るなり、僕は部屋に閉じこもる。
ネットゲームのヘッドセットを装着し、一気にゲーム世界へダイブしてゆく。

できれば、一日中ゲーム世界に入り浸っていたいのだが、いまだ学生の身。学校には行かなければならない。
授業中もゲームのことばかり考えているので、授業の中身など身に付いている筈もない。(矛盾だ!!)と思いつつも、ゲームから切り離されている苦痛に堪えているのだ。

だから家に戻るなり、真っ先にゲームにダイブする。
そこには旧知の仲間逹が待っていてくれているんだ♪

 

 
「よう♪元気だったか?」
ほぼ十日ぶりに佐藤さんが来ていた。会社員だそうで、仕事が忙しい時は休みの日にしか来れないとぼやいている。
ネットゲームの年期は相当なものらしく、敵の出現をいち早く察知する能力はなかなか真似できるものではない。
「平日のこんな時間に佐藤さんが居るなんて珍しいですね。」
「まあ、色々とあってな♪」
と佐藤さんは遠くを見るような目付きをしていた。
「悪いが、早速クエストに付き合ってくれないか?」
「メンバは僕だけですか?他の人を待たなくて良いの?」
「ああ、急いで行きたいんだ。レベル的には二人で十分なクエストだ。」
「急ぐって事は、レアアイテム?」
「まだ知られていないヤツを見つけたんだ。」
「OK♪」僕は佐藤さんに付いて行くことにした。
「馬を借りてある。一時間程掛かるから、リアル側で必要なことは済ませてくると良い。」
「助かります。」
僕はそう言ってゲームから抜け出た。

 
ゲーム中であっても、乗り物での移動中などはアバタを残したままリアルに戻る事ができる。その間にリアル側での必要なこと…トイレ行ったり、食事をしたり…ができる。
その間のアバタは眠ったようになる。結構無防備な状態になるので、気心の知れた奴と一緒でないと難しい。
上級スキルでは、プレイヤーがリアル側に戻っている間でも、状況に応じた反応をアバタにやらせることが可能である。佐藤さんなどは敵と戦いながらトイレに抜けることがあるそうだ。

食事とトイレを済ませゲームに戻ったが、僕達はまだ馬に跨がっていた。
「早かったな。」
寝たフリを決めていたが、佐藤さんにはアッサリと見破られてしまう。
「これで朝迄呼びもどされる事はないよ♪」
「宿題とかはやったのか?」
「ココでリアルの話は止めてくださいよ!!」
一気にリアルが思い出され、気が滅入った。
「そうだったな。目的のダンジョンまでもう少し掛かる。その間に装備のチェックをしておいた方が良い。」
佐藤さんの提案で、気持ちの切り替えができた。

ウィンドウを呼び出し、装備のリストを展開してみた。
馬に乗っているので、今は武器も防具も外している。リストには普段使っている剣や軽防具を始めクエストでゲットしたアイテムがずらりと並んでいた。
(?)
リストの一番下に見慣れないBOXがあった。鍵が掛かっているので開く事はできない。
「気付いたか?」
「何なんですか、このBOXは?」
「今回のクエストの最終兵器だ。いつでも使えるように常に装着しておいてくれないか?その時になったら、鍵は自動的に解除されるようになっている。」
「中身は?…教えてもらえないんですよね。」
「すまん。…あとの装備は通常パターンで大丈夫だ。」

程なく目的地に到着した。
馬から降り、装備を身に着ける。僕はいつもの軽防具に剣。佐藤さんは鎖帷子に槍を手にしている。
そして、いつもにはないBOXを二人とも腰に装着していた。
「じゃあ行こうか♪」と佐藤さんが先に立って歩きだした。
「っあ、うん。」と僕も続いてダンジョンに入っていった。

佐藤さんのライティングの魔法で暗闇は一掃されていた。
雑魚がチョロチョロ現れるが、意に返すことはない。瞬殺で通り過ぎてゆく。
階層が進んでも、敵のレベルはあまり上がらない。
「ここだ。」
と佐藤さんが足を止めた。
そこには巧妙に隠された脇道があった。ライティングでくまなく照らされていなければ見つかりようもない。

狭い隘路を暫く進むと、少し広めの空間に出た。
「確か、この壁際に隠されている筈だ。」
佐藤さんは最奥の壁に手を突き、周囲を確認した。が、なかなか見つからないようだ。
アイテムがどのように隠されているか判らないが、僕も手伝おうと入り口に近い壁に向かった。
壁に手を突き、床や天井との継ぎ目、壁の起伏の境目を中心に不自然な所がないか確認してゆく。
(?)
手に触れた壁の感触が異なる場所があった。ほぼ正方形の平面が隠されていた。
(スイッチ?)
少し力を入れてその部分を押してみた。

ふっ…と押していた壁の応力が消える。支えを失い、バランスが崩れる。腕が壁の中に…肩まで嵌まり込んだ。
指先に何かが触れた。(瓶?)僕はそれを掴み、引き寄せた。

カチッ!!

腰に装着したBOXの鍵が外れた。
僕の手の中には透明な瓶があった。中にメモが入っている。
蓋を開け、メモを取り出そうと…

 
「まてっ!!」

 
佐藤さんの大きな声が響いた。
が、僕は瓶の蓋を外してしまっていた。
「何?」
と佐藤さんに振り返る。
くらっ…と目眩…

斜めに床が近付いてきた…
自分が倒れていっているのは理解したが、それに抗う意識はなかった。
佐藤さんが飛んでくる。
僕と床の間にスライディングしてきた。
僕は床にぶつかる痛みを感じることなく、そのまま意識を失っていた…

 

 

 

 

そこはまだ、ダンジョンの中のようだった。
多分、床に外套を広げて、その上に寝かされているのだろう。
防具は取り除かれ、楽な格好になっていた。佐藤さんが脇に座り、覗き込むように僕を見ていた。
「ごめん…アイテムはどうなった?」
「私の方こそ済まない。アイテムに関する情報をもう少し伝えておけば良かったんだ。」
「大丈夫だよ。ライフは減っていないし、ダメージも殆どない。」
何か肉体に違和感のようなものを感じたが、少し気になる程度だった。
「で、アイテムはどうなったの?」
「ああ、あれは蓋を開けると発動してしまうんだ。入り口で渡したBOXの中のモノで隔離しておけば問題なかったんだが、BOXの鍵がアイテムに連動しているんで、説明が難しかったんだ。」
「発動したって事は、僕に何か新しいスキルとかが付いたってこと?」
「中に紙が入っていただろう?そこに書かれたスキルが獲得できるようになっているんだ。」
「僕が見た時は白紙だった気がするんだけど?」
「一旦紙を取り出して、欲しいスキルを書いて仕舞い、ガードを外してもう一度蓋を開く…という使い方ができれば良かったんだ。が、白紙の状態で発動すると、ランダムにスキルが浮き出てくるようだ。」
(僕の時には、どんなスキルが出たのだろうか?)
その「紙」を佐藤さんが差し出した。
「これが君の得たスキルだ。」
そこには『女の魅力』と書かれていた。
「これは、単なるチャームではない。使用者が女性に限定されている…」
「つまり、僕には使えないってこと?」
「いや、既に君は無意識のうちにそのスキルを使っている。私とてギリギリで自制している状態なんだ。」
佐藤さんが切羽詰まっていることだけは見てわかった。
「つまり、アイテムはそのスキルが利用できるように、君の肉体の方を変えてしまったんだ。」
厭な感じが背筋を昇ってゆく。
「今の君は女性だ。それも、とびきり可愛い女の子になっている。」
先程から感じていた違和感…その正体がはっきりする。
胸の膨らみを実感する。股間に手を伸ばすと、そこにある筈のモノはなく、代わりにしっとりと濡れかけている割れ目が存在した。
「だから…そんな淫らな格好を見せるな!!私の理性も限界なんだ。」
あきらかに佐藤さんの様子がおかしい。目が血走っている。
僕は慌てて姿勢を正した…とは言っても意識は男のままである。
佐藤さんが凝視している先は無防備に開かれた僕の股間だった。女の子なら無意識にでも膝を閉じているのだろう。
僕がそのことに気付いた時には、既に佐藤さんが行動を起こしてしまっていた。

「あっ!!」と叫んだのは僕…
そのまま押し倒され、唇が塞がれる。開かれた股間に佐藤さんの腰が圧し付けられる。
佐藤さんの男性自身が硬く勃起しているのが判った。
勿論、僕の股間には何の反応もない。そもそも僕の男性自身は失われてしまっている。勃起のしようもないのだ。
その股間に佐藤さんの手が延びてきた。指が優しく僕の股間を撫で上げた。
(???)
快感のようなものがそこから全身に広がってゆく。
全身から力が抜けてゆく。
佐藤さんの舌が、僕の口の中に入り、そこかしこを刺激してまわる。
その行為に、何故か嫌悪感が生まれることはなかった。僕は佐藤さんにされるがままになっていた。

ジクッ!!
と股間に溢れるものがあった。
「濡れてきたね♪」と佐藤さんが指でソれを確認する。「大丈夫だ。私に任せなさい♪」
佐藤さんが少し動くと、佐藤さんの男性自身が僕の中に押し入ってきた。
「ああんっ♪」
僕の口から女の子のような喘ぎ声が零れ出た。ソコから沸き上がってきたのが「女の子の快感」だということは、もう疑いようもない。
佐藤さんが動く度に快感が増してゆく。
「ああん。イイッ!!ああ、もっと~♪」
自分が何を口走っているのか理解できていない。快感に流されてしまっていた。

(頭の中が真っ白になっていた)

 

 
気が付くと、佐藤さんは僕から離れていた。しかし、僕の股間には彼のペニスの感触が生々しく残っていた。
「酷なようだが、君はそのスキルを制御できるようにならなければならない。街中でそのスキルが解放された所を想像するのさえ恐ろしい。」
「でも、どうすれば良いの?」
と僕が佐藤さんを見た途端、佐藤さんの顔が強張る。
「多分、無意識の行動が一番危ないのだろう。先ずは自分が女の子であることを意識しなさい。普通に女の子として相応しい行動ができているか常に意識するんだ。」

「女の子として」なんて、意識が男のままなので、女装とか一般的でない行動をしているようで恥ずかしさが先にたつ。
「君は今は女の子なんだから、それが一番自然なんだ。不自然さはスキル発動のトリガとなり易い。」
そうは言われても…と躊躇している僕に、
「スキルを制御できるようになるまでは、ここを離れられないようにさせてもらう。リアルに戻るのも必要最小限にした方が良い。」
リアル…か。この状況から少し距離を置くのも良いかも知れない。
「じゃあ、ちょっとリアルに戻ります。」
「即に戻って来なさい。できるだけ…家の人とも接触しないように気を付けるようにな。」

 

僕はゲームから抜けた。
気分転換で抜けただけなので尿意はまだなかったが、いつもの習性でトイレに向かっていた。
便座をあげ、いつも通りの行動をしようとしたが…
(無い?!)
パンツの中に入れた手が、いつものモノを掴めずにいた。替わりにゲーム世界で変わってしまった僕の肉体と同じ感触がそこにあった…
パンツを降ろす。
便座を元に戻してそこに座り股間を覗き込んだ。ゲーム世界の僕のアバタと同じになっていた。
(もしや!!)
と胸に手を当てる。そこには「乳房」としか言えない膨らみがあった。

トイレで座っていると条件反射のように尿意が湧いてくる。僕は女の子のオシッコを初めて経験していた。

トイレを済ませると僕は一目散に部屋に戻っていった。
寸暇を惜しんでヘッドセットを装着し、ゲーム世界にダイブしてゆく。

 

「おぉ、戻ったか。」
佐藤さんが声を掛けてきた。
「どういう事なんですか?!リアル側でも僕が女になってるなんてっ!!」
「そうか、そうなっていたか…リアル側にもスキルを持ち出せるかの実験的な意味もあったんだが、リアル側の肉体にも影響が出るとは興味深いものがある。」
「ち、ちょっと呑気過ぎませんか?このままでは、リアルの僕が大変な事に…」
「ああ、済まん。リアル側の方は君や君の家族の負担にならないように…今、手配しておいた。ではスキル制御の訓練を続けようか。」
「そんな事続けている場合じゃないでしょ?」
「いや、君にはスキルの制御を習得してもらわなくてはならない。さっきも言ったように、このスキルはリアル側でも発動してしまうんだ。こちら側ではポイントの増減で済まされるが、リアル側ではそうはならない。」
佐藤さんが僕を見つめる目は真剣そのものだった。
「スキルに巻き込まれた男性は、君に暴行を加えてしまうことになる。それは犯罪行為であり、彼の社会的地位はその時点で跡形もなく崩壊してしまう。ゲームと違い、それはやり直しが効かないのだ。だから…」
佐藤さんは両手で僕の腕を掴んだ。
「だから、早くスキルを制御できるようにしてくれ。君がこのままの状態だと、私も身動きがとれなくなってしまう。」
「勝手な…」
「勝手なことは十分承知している。君にも多大な迷惑を掛けていることも。だが、このスキルは第三者が無効化できるものではないのだ。」
僕は始めて佐藤さんを「怖い」と思った。対戦の時でさえ、軽く笑みを浮かべているイメージがある。
「そうだ。その怯えた表情は自然にできている。男が怖いと思う乙女の顔になっているぞ。」
と佐藤さんの顔に笑みが戻った。緊張が解けると同時に、佐藤さんが頼もしく感じる。
佐藤さんに…男性に護られている時、女性はこんな感じになるのだろうか?
独りでいるより、誰かと一緒が良い。それが大好きな男性であれば言うことない♪

僕は佐藤さんに恋してしまったのだろうか?佐藤さんの本気の怖さを知ったことでより身近に感じているのは確かだった。
「良いよ。その感じだ。これを続けられれば、即にでも街にでられるだろう♪」

僕は、自分が「佐藤さんに恋する乙女」だと言い聞かせてみた。そして、積極的にその役に嵌まり込んでみた。
佐藤さんと居ることに幸せを感じる。離れてしまわないように腕を絡める。
そして、一つの毛布にくるまって、夜を明かした…

 

街に戻ってきた。
「やあ、佐藤さん。お久しぶり♪で、その娘は?」
会う人会う人が同じように聞く。
既に僕には男だった時の面影はなくなっているみたいだった。
女の子の服を着て、女の子のように喋り、女の子の仕草を意識する。
「大丈夫。スキルは抑えられているよ。」
と耳打ちしてくれた。

宿泊場所はいつもより2~3ランク上のような気がした。佐藤さんが手続きをしている。
いつもなら別々に部屋を取るのだが、今回は相部屋だった。
僕の今の状態では独りにさせられない…が理由だと解っているが、佐藤さんと一緒の部屋になれたことを喜んでいる「僕」がいた。

部屋には大きなベッドが一つだけあった。
「これは君が使いなさい。私は床で寝る。」
装備を外しながら佐藤さんがそんなことを言う。折角、同じ部屋なのに…と、寂しさが込み上げて来る。
「何で?夕べも一緒に毛布にくるまっていたのに…」
「野宿だし、毛布も一枚だけだったからな。ここは暖かいし安全だ。ゆっくりと手足を伸ばして眠ると良い♪」
「このベッドなら、一緒に寝ても十分に広いよ。それに佐藤さんと一緒でないと、僕…」
僕の脳裏には、佐藤さん抱かれて悦びに浸っている女の姿が浮かんでいた。
その女は僕だった。そして、僕はそうなることを望んでいた。

「止めろ!!」
佐藤さんが叫んだ。
「スキルが発動しかけてるぞっ!!」

佐藤さんの声に、僕は妄想を抑えた。
(スキルの発動はしてしまったか?)
ゆっくりと深呼吸してから佐藤さんを見た。
「それで良い。」
「でも、やはり一緒のベッドで寝たい…」
妄想は妄想としても、それが僕の正直な気持ち…
「本当に私と一緒に寝るのか?」
コクリと頷く。
「一つのベッドで一緒に寝るって事は…君はどう思おうが、男と女だ。どうなるかは想像つくよな?」
「それはダンジョンの中で経験しているよ。」
「経験…って、そりゃあ、ヤッてしまった事は確かだが、それはお前のスキルの影響下にあったからだ。」
「じゃあ、今度は正気の状態でシてくれない?」
「シてって、マジで言っているのか?」
「この期に及んで冗談は言わないよ。」
「良いのか…私で?」
「佐藤さんだから…佐藤さんでなきゃイヤ♪」
ぼ、僕は何を言っているのだ?
いや、それは「僕」の正直な気持ちなのだろう。
佐藤さんに抱かれたい…単に「一緒に眠る」だけではなく、僕を「女」として抱いて欲しい…
その想いで僕の心が埋め尽くされている。
「分った。これ以上揉めているとスキルが発動しかねない。」
「ありがとう♪」
僕は佐藤さんに抱きついていた。そのままの勢いでベッドに倒れ込む。
「良いんだな?」
と佐藤さんの最期の確認に、僕は濃厚なキスで答えていた。

 

 

 
いつになくすっきりとした朝を迎えた。
佐藤さんがボクを見て微笑んでいる。
「何とかスキルは発動せずに済んだな。それに、この一晩で大分安定したようだ。」
「ボク、何か変わった?」
「気にする程の変化ではないがね♪」
「今日は何をすれば良いの?」
「リアル側にも確認した所だが、半日くらいならリアル側に戻っても大丈夫みたいだ。」
「半日?」
「そうだ。これからだと丁度昼の12時くらいだな。午後8時までに戻ってくれば負担は少ない筈だ。」
「家の外に出ても良いって事?」
「大丈夫だ。勿論家の方にも君の事は説明済みだ。何も心配はない。」
「それなら…戻ってみるね。」
「ああ、いってきなさい♪」
「じゃあ、8時間後に♪」

ボクは、本当に久しぶりにゲームから抜けた。
勿論、いつもの習性でトイレに向かう。今度は間違えずに…というか、もう無意識のうちにパンツを降ろして便座に座っていた。
尿意が湧いてきて、当然のように女の子のオシッコをする。
便座に座りながら、リアルのボクの肉体を確認をしておく。
ボクの肉体は完全に女の子のものになっていた。胸が膨らんでいるのは見れば分る。それが造り物でない事を手で触れて確認した。
ボクの胸から揉まれる間隔が伝わってくる。ゲーム世界では何度も佐藤さんに揉まれてきたが、リアルでも同じように感じることができた。
「ぁん♪」と媚声を出して慌てて口を閉じた。
もうここはゲーム世界ではないんだ。家の中には家族もいるのだ。
後始末をして部屋に戻る。
タンスにはボクの女の子の服が吊るされていた。何の抵抗もなく女の子の服に着替え終わってハッとした。
ここはリアル側なのだ。ボクの部屋には女の子の服なんて無かった筈なのに、下着から全てがちゃんと揃っていた。もちろん着ていたパジャマもピンクの花柄の女の子用だ。
(つまり、ボクが女の子になった事をみんな知っているという事?)

ボクは居間を通り過ぎ、玄関に向かった。
その気配を台所にいたママが気付いたようだ。
「出かけるのね?遅くならないうちに帰ってきなさいね♪」
その声に押されるように玄関のドアを開けた。
そこはいつもと変わらない「リアル」の世界だ。
変わってしまったのはボクの方。ショーウィンドウに映り込むボクの姿…スカートを穿いた、ごく普通の女の子がそこにいた。
駅前にやってくる。
いつもならゲームセンターに直行しているのに、今日はショーウィンドウに飾られた服についつい目が行ってしまう。
「良かったら試着してみません?」
と店の人に声まで掛けられてしまった。
「今日はお金持ってないから…」
「構いませんよ。試着はタダ♪気に入ったら今度買いに来てくれれば良いわ。」
確かに、この店の店頭に飾られていた服にボクの気が引かれていた。
コレを着た自分を想像していた。
「着ても良いの?」
「さあどうぞ♪」
彼女は店頭に飾られていた服と同じものを手に、ボクを店の奥の試着室に連れていった。

「あら、似合ってるじゃない♪」
着替えて試着室のカーテンを開けると、店の人の隣にもう一人女の人がいた。
「自己紹介がまだだったね。わたしがリアルの「佐藤さん」よ♪驚いた?」
「じょ…女性の人…だったんですか?」
「クエストを進めるには男の方が有利だからね♪」

結局、ボクは佐藤さん(リアルの彼女の名前も「佐藤」だった)に買ってもらった服を着て、近くの喫茶店で話をすることになった。
「何て言うか、あっちでのボクは男の佐藤さんに恋してるんだと思います。その佐藤さんの正体が女の人だったなんて…ショックどころの話じゃないっていうか…」
「無理もないわね。言葉に表現しなくてもわかるわよ。あっちの佐藤さんは貴女の処女を奪ったハジメテの男性だものね♪」
「しょ…処女って…こんな所で話す内容じゃないでしょ?」
「女の子同士なら、どうってことないわよ。わたしが男だったら、即セクハラで訴えられ兼ねないわね♪」
「女の子同士って、ボクは…この姿はどうであれ、男ですよ。」
「あら、じゃあわたしはセクハラで訴えられてしまうの?」
「そんな事は言ってませんけど…」
「大丈夫よ。今の貴女はもう、女の子そのものよ。男の子の振りをする方が難しいんじゃない?」
「男の子の振りって、ボクは…そう、一人称はボクのままですよ。」
「自分の事をボクって言う女の子も多いのよ。それに、スカートを穿きたがる男の娘なんてのもいるわ♪」
「そ、そうは言っても…」
「じゃあ、試しに自分の事を(あたし)って言ってみて?」
「は、恥かしいですよ。本当にボクが変態になってしまうみたい。」
「だから、今の貴女は全部が女の子なんだから、何もおかしくはないわよ♪」
「ボ…、ぁたし…って、これで良いの?」
「そうね♪しばらくの間(ボク)はナシにしてみてね♪」
そんな事を言われても、自分の事を(あたし)って言うのを恥かしく感じる事には違いがない。
が、ゲームでも佐藤さんの指示は的確だったし、今は二人だけだからまあ良いかも…

と、ボ…あたしは取り敢えず、佐藤さんの指示に従う事にした。
そこで話が途切れたので、ボ…あたしはテーブルの上のアイスティに口を付けた。
あたしはいつものようにホット珈琲を頼もうとしたのだけれど「ここは紅茶が美味しいのよ♪」と二人とも同じアイスティーになってしまった。
「あっ…これ美味しい♪」
思わず声に出してしまった。確かにこれまで飲んできた「紅茶」とは雲泥の差があった。
「多分、貴女の嗜好にも変化が出ていると思うわ。それに、今なら素直に美味しいって言えるでしょう?」
「あ、あたし…って素直じゃなかったの?」
「男の子としては普通じゃないかしら?でも、女の子なら、もっと素直になれるでしょう?」
「あたしはオン…」
と、あたしは口籠った。あたしは自分が女の子じゃない…って言い切れないのが判ってしまった。
あたしの視線の先には紅茶とセットになっていたケーキがあった。
(美味しそう。食べたい♪)
男の子の時には「ケーキなんて」って思っていた。男の子がケーキを食べるのは恥かしい、甘いものが好きと言えない…
でも、今はそんな呪縛に捉われるひつようがない。素直に「欲しい♪」と言って良いのだ。
「もお…そんな事良いから、ケーキ食べよう♪」
「ハイハイ♪」
佐藤さんのあたしを見る目が優しく笑っていた。

喫茶店を出てからも、しばらくの間佐藤さんとお店を巡っていた。
勿論、女の子達の好く行く店ばかり。自分が「女の子」だと開き直ってしまえば、そこには時間を忘れる程楽しい世界が広がっていた。
ブティックでは、また別の服を試着してみた。アクセサリーはこれがかわいい、あれが素敵だとと佐藤さんとはしゃぐ。
実際、鏡に映る自分の髪の毛にアクセサリーを当ててみるだけで、心がうきうきとする。
化粧品のコーナーでは、お店のお姉さんに少しだけお化粧もしてもらってみた。
唇に口紅が塗られると、自分が「女の子」なんだと再確認されてゆく。

「ぁあ、もうこんな時間。わたしは戻らないといけないから。もう独りでも大丈夫よね?」
「ぇ、ああ…多分。」
「じゃあ、8時に向こうで会いましょうね♪」
と佐藤さんが慌ただしく去っていった。
独りになると、急に心細くなってしまった。(だから女の子はいつもつるんでいるのだろうか?)
別のお店に入ってみたが、さっき程は気分が高まらない。
佐藤さんと別れてから、そう時間も経たないであたしは家に帰っていった。

 

 
8時まではまだ時間があった。
あたしが部屋にいると、
「お風呂先に入っちゃいなさい♪」とママの声がした。
パジャマと替えの下着を選んで風呂場に向かった。
ブティックで着替える時には何度も下着姿を目にしたが、全裸を鏡に映したのは初めてだった。
ゲーム世界では何度も見ていたが、リアル側で自分の「女」の裸体を見るという事に、少し感動を覚えた。
それは、実際に目の前にあり、触れて、触れられるのをリアルに感じられるのだ。
(そう…、これはリアル…)
洗い場で掛け湯して、湯船の中へ…
「ふ~う…」
女の子の吐息が風呂場に響く。
お湯の暖かさが全身に染み渡ってくる。
お湯の中で自分自身に触れてみる。
これが女の子の腕、これが女の子の足…それらはみな自分自身…あたし自身なのだ。
胸に手を当てる。

膨らんだ胸…先端の蕾…
「はぅん…」
乳首を刺激すると快感が生まれる。
向こうでは、佐藤さんにもっと凄い快感を感じさせられていた。
その場所…、あたしは股間に指を向かわしていた。
とろりと蜜が零れていたのを思い出す。あたしはそこに佐藤さんを迎え入れていたのだ。

ビクッ!!

触れただけで脳天に電気が走り抜けてゆく。
リアルのあたしも何時れ、男の人をここに迎え入れるのだろう。
本当は佐藤さんだったらよかったのに、リアルの佐藤さんは女の人なのよね?
でも…レズって選択肢もあるのかな?
あの佐藤さんが股間にペニスバンドを付けて、あたしを責めてくるの?

 
「良い加減に出てきなさ~い。のぼせちゃうわよ♪」
良い所でママの声が割って入ってきた。
「っあ!!は~い♪」
慌てて立ち上がると、湯船の中で転びそうになった。
お湯の所為だけでなく体が火照っていて、本当にのぼせかけていたようだ。
ショーツを穿き、パジャマを着て自分の部屋に戻っていった。
ヘッドセットを装着して8時を待つ。
ベットの上で体を横にしていると、のぼせた体も落ち着いてゆく。

8時の時報とともに、あたしはゲーム世界にダイブしていった。

 

 
「お帰り♪」
あたしの目の前には「男」の佐藤さんが待っていた。
「ただいま♪」
とあたし…そして、二人で笑い合った。
「ごめんな、向こうでの私が…」
「ココでリアルの話は止めておきましょう♪ここでの佐藤さんとあたしはごく普通の男と女。それて良いでしょう?」
「男…と女か…」
「そう。それに、もう夜でしょ?一緒に寝ましょう♪」
「夜とは言っても、まだ早いぞ?」
「だからあたし達は男とオ・ン・ナ♪ヤることがあるでしょう?」
「本当に良いのか?」
「夕べもシておいて、そんな事言うの?」
「わ、判った。じゃあ、今夜は眠らせてやらないぞ!!」
「ぁあ…ス・テ・キッ♪」

 … …
 
翌朝も、すっきりと目覚めることができた。
佐藤さんがボクを見ていた。
「スキルに関してはもう大丈夫みたいだな。」
「普通にリアルに戻れるってこと?」
「ああ、問題ない。」
「じゃあ、今日も向こうで会ってくれる?」
「君のお願いに応えない訳にはいかないからね。」
「何か義務的ね?でも、それも仕方ないってことかしら♪」
「判ってくれると嬉しいね。」
「じゃあ、夜の8時に昨日の喫茶店で待っているわ。」
「ち、ちょっと遅くないか?」
「佐藤さんと一緒なら大丈夫でしょ?オ・ネ・ガ・イッ♪」
そしてあたしはリアルに戻った。

 

 
あたしは自分の部屋の中で目覚めた。
いつものようにトイレに行く。…そう、いつもと変わらずに…
普段着に着替える。まだ外に出る訳ではないので、お化粧はせずに化粧水と乳液を顔に刷り込むだけにしておく。
軽くお昼を食べたあと、部屋の中を隅々まで確認してゆく。自分の部屋だけど、中身が全て入れ替えられていて、どこに何があるか知らないからだ。
あたしはここで「あたし」として生活するのだ。だから、どこに何があるか知っておきたかった。

タンスには制服も吊るされていた。あたしの通う学校の女子の着る制服だった。
ポケットの中の学生証を確認してみる。
あたしの写真が貼ってあり、名前が元々の名前から女の子っぽい名前に変えられていた。
(これが「あたし」の名前なんだ…)
カレンダーを見ると、明日から学校だった。
(コレを着ていって良いんだよね?)

机の中も確認した。
ファンシーな小物達が所せましと詰まっていた。
別の引き出しにはアクセサリーと化粧品が入っていた。
机の上に鏡を立て、髪飾りを取り出して頭に乗せてみた。
(ウン♪似合ってる♪)

時計を見るとそろそろ出かける準備を始める時間だった。
タンスを確認した時に見つけた可愛いワンピースに着替える。
下着もちょっとオシャレなものに変えておいた。
次にお化粧。
引き出しに入っていた化粧品を机に並べて、使い方が判るものを選んでいった。
ビューラーで睫毛をカールさせる。今のあたしに付け睫毛はハードルが高そうだった。
アイラインを引くと目が大きくみえるみたいだった。
ちょっとだけチークを付け、最後に口紅を塗った。
唇がプルプルと輝いて、あたしをより一層可愛くしてくれた。

 

 
「今日も可愛いわね♪自分でお化粧したの?」
喫茶店で待っていると、佐藤さんがやってきてあたしの向かい側に座った。
「うん♪服も自分で選んだのよ。」
下着も替えてきた事は今は言わない。
佐藤さんが注文をしようとするのをあたしが止めた。
「付き合って欲しい所があるの♪」
あたしはこっそり「スキル」を使ってみた。
「そ、そうなの?」
あたしはここに来る前に寄ってきたお店で買ったモノをもって席を立った。
そのまま佐藤さんとお店を出る…行先はラブホテルだった。
女性二人だと入れてもらえないかとも思ったが、簡単に入ることができた。
佐藤さんはまだあたしの「スキル」下にあるようだ。

部屋に入り、あたし達は服を脱いだ。
買ってきたものを取り出して、あたしが「スキル」を解除する。
「ダ、ダメじゃない!!スキルを使っちゃ。」
「佐藤さんだから大丈夫だと思ってた。」
「で、どうしてわたし達は裸なのかな?ここがどういう所かも知っているわよね?」
「あたし…リアルでも、佐藤さんに抱いてもらいたかったの。ね?コレで向こうでと同じように、アタシをメチャメチャにして欲しいの♪」
あたしは買ってきたペニスバンドを佐藤さんに渡した。
「こ、こんなモノ買ってきたの?」
あたしは首を縦に振る。
「向こうは向こう。ゲームの世界の事をリアルと混同してはいけないわ。」
「混同させちゃったのは佐藤さんの方でしょう?」
「そ、それは…」
佐藤さんが口籠る。
「セ・キ・ニ・ン、取って欲しいの♪あたしはもう女の子。男の人に抱かれる存在…でも、今のままでは無理だと思うの。」
「だからって…」
「佐藤さんになら抱かれられることができると思うの。リアルでもあたしを本物の女の子にして♪」
「ダメよ、スキルを発動しちゃ…」
あたしがそうしようと思ったのが解ったみたいだった。
「判ったから、これっきりにして頂戴ね?」
と佐藤さんはペニスバンドを付けてくれた…

 

 

夢見心地で家に戻ってきたのを覚えていた。
そのままベットで寝てしまったみたいだ。

目が覚めたのは朝の6時前だった。
風呂場に行き、シャワーを浴びる。お化粧と昨夜の汚れを洗い流す。
ドライヤーで髪を乾かし、制服に着替えた。

いつものように、あたしは学校に向かった。
また、退屈な時間が始まる。
でも、授業中もゲームのこと…佐藤さんのことばかり考えていると思う。

 
そう、何も変わっていないのだ。
 
何も…
 
 

フク袋

「さあ、最後の一個だ。千円で良いよ♪」
無意識の内に俺は千円札を一枚、取り出していた。
替わりに手に入れたのは「福袋」と書かれた紙の貼られた大きな紙袋だった。
「三万円の価値はあるからね♪」
と言われたが「どんなもんかね?」と懐疑的になる。が「千円だから…」と一方で慰めていた。

 
部屋に戻り「福袋」の中身を確かめた。
出てきたのはコートにバック。ロングブーツ…無地のセーターやハイネックシャツ等はサイズが合えば着れるかも知れないが、スカートや下着などはどうにかなるものでもない。
入っていたのは女物の衣料品で、確かに三万円以上の価値はありそうだが…まあ、俺が使えそうなものを選べば千円で元は取れているというべきか?

手元に落ちていたブラジャーを拾い上げてみた。
「とはいえ、使えないものが多すぎるな。」
俺は手にしたブラを胸にあててみた。

 
(ズッ!!)

 
何かが擦り動く音?
その直後に掌にずっしりとした重みがあった。
胸にあてたブラのカップを内側から押しあげてきたものがあった。
(バスト?)
俺の胸が膨らんで、Tシャツの生地と一緒にブラのカップに納まっていた。
掌を閉じるように指を動かすと、俺の胸にくい込む指の感覚があった。
モミモミと指を動かすと乳房が揉まれている感覚が伝わってくる。
(これって気持ち良いかも♪)
ツンッと乳首が勃起する…と、同時に俺の股間でも…

慌ててブラを外した。
俺の胸は元通り、まっ平らに戻っていた。

(ゴクリッ)
俺は唾を飲み込んでいた。
俺の視線の先には一枚のショーツがあった。ブラと同じデザイン…セットになっているものだろう。

 
(……)

 
俺はブラとショーツを手にした。
ベッドの脇でTシャツを脱いだ。裸の胸にブラのカップをあてると、ズッと胸がせり出してきた。
カップの中がバストで埋まる。胸元に「谷間」ができていた。
いつまでも手で押さえてはいれないので、ストラップを肩に掛け背中のホックを止めた。

次にズボンを脱ぐ。パンツも脱ぐと、今の俺はブラしか着けていない状態になる。
傍から見るとどう映っているだろう。ブラを着けただけの男…だが、その胸にはしっかと「女」のバストが包まれていた。

そして、ショーツを穿いた。「男」の象徴たるペニスが布地の中に消えると、外観からはその存在を窺い知ることはできなかった。そればかりか、そこには「女」の秘裂が存在するようにうっすらと筋ができているみたいだった。
試しにショーツの上からソコに触れてみた。確かに割れ目があり、奥に続いているようだ。
実際、その奥が熱を帯び、暖かな潤みが布地を湿らせようとしていた。

 

俺はベッドに転がった。
ブラをずらすと、大きなバストが溢れ出る。その先端には乳首が突き出していた。
手で揉み上げた感触は女のバストそのものだ。そして、揉まれている感覚は俺が揉み上げてきた女が感じてきたものと同じものなのだろう。
指先で乳首を弄ると「あぁん」と喘ぎ声が出てしまう。(さすがに男の声のままでは萎えてしまう…)

そして…

 
ショーツの中に掌を滑り込ませた。
指先が割れ目に到達する。そこはしっとりと潤んでいた。
更に奥へと指を送り込む。そこには確かに「膣」が存在した。
指先が膣壁に締め付けられる。と、同時に俺は膣に侵入してくる異物を感じていた。
「あっ、ああっ!!」
俺は強烈な快感に叫んでいた。
指の腹がクリトリスに触れたのだ。
(これを女逹は感じていたのだ♪)
愛液が溢れだし、クチュクチュと卑猥な音を発していた。

女の快感は止まる所を知らない。快感はどんどん高まってゆく。
「あん♪ああ~ん。あっ、ああああん!!」
俺は女のように媚声をあげていた。
膣の中が俺の指に掻き回される。快感を生み出す場所が見つかり、集中的に責めたてる。
快感に何も考えられなくなり、頭の中が真っ白に染まっていった…

 

 
快感の余韻が残っていたが、濡れたショーツが気になっていた。
気怠い体を起こし、シャワーを浴びた。
濡れたショーツは洗濯機に入れ、新しいショーツに穿き替えた。
ブラの上にハイネックシャツを着込み、下はスカートを穿いていた。
机の上に鏡を立て、バックの中に入っていた化粧ポーチの中身を机の上に広げた。
何をどう使うかなど、男の俺が知る由もない…のだが、俺は無意識のうちに化粧を始めていた。
鏡の中の「俺」の顔が、どんどん「女」になってゆく。それは単に化粧をしたからではなく、顔の造り自体が俺とは別人な女のものになっている!!

茶髪でロン毛のかつらを被り、イヤリングやネックレスで飾りたてていった。

一通り終わると、道具を片付けバッグに仕舞う。
コートを羽織り、カラーストッキングに包まれた脚をブーツに差し入れた。

 

俺はドアを開けて外に出ていた。
街の中で「俺」が人々の視線の中に晒されていた。
(「女装」をしている「俺」が見られている!!)
しかし、誰がこの「女」を「俺」だと気づくだろうか?顔がまるで違う。女装とは言っても、その肉体は完全に「女」なのだ。
違和感があるとすれば、俺の仕草が「男」そのものだったりすればあるのだが、無意識の行動は「女」そのものだった。

 

「お姉さんヒマ?」
若い男の子が声を掛けてきた。
適当にイケメンで俺のタイプだったりする。
「良いわよ♪」
俺はそう答えていた…

お茶を飲んで、遊んで、食事して…
今はホテルの中♪
彼にリードされ、夢見心地のまま抱かれていた。
長いキスが終わると、一枚づつ服が剥がされてゆく。
ベッドに座りストッキングが脱がされてゆくのを見ていた。あとはブラとショーツだけ…
あっと言う間にブラが外されていた。自慢の胸が彼の目に晒される。
その胸を揉まれながら、俺はベッドに押し倒されていった。
「キテッ♪」
そう言って俺が股間を広げると、彼のペニスが俺の膣に侵入してきた。
指では味わえない充足感がある。ペニスが俺の膣の中で暴れまわる。
「ああん、ああ~~ん♪」
俺は無意識のうちに、女のように喘ぎ悶えていた…いや、今の俺は「女」そのものだった。
快感に支配され「俺」の存在が消えてゆく…
「もっとぉ~、激しくぅ、無茶苦茶にしてぇ~♪」
ただ只、快感を求めるだけの牝獣となって「男」に責めたてられる。
そして、男の精液が膣の奥に放たれると同時に、絶頂を迎え、意識は白い闇の中に埋め込まれていった。

 

 

 
シャワーを浴びていた。
快感の余韻が流されてゆく。
鏡の中で「俺」は元の姿を取り戻していった。まるでシャワーが快感と共に「女」を洗い流してゆくようだった。
俺は女として男に抱かれた事に嫌悪感を持ってはいなかった。俺が「男」のままで抱かれた訳ではないからだ。
しかし、俺が男に戻ると、この部屋には全裸の男が二人いる事になる。

(☆)

彼はぐっすりと眠っていた。
俺は俺の穿いていたショーツを彼に穿かせてみた…彼にも俺と同じ変化が訪れていた。

 

 

 
「だ、誰だお前は!?彼女をどこにやった!!」
「女」は目覚めるなり怒りの声をあげた。
「彼女ならそこにいるぞ♪」
俺は壁の鏡を指差した。
「えっ!?」
と絶句する。そして、自分の着ている服を確認し、胸に手を当て、その膨らみが偽物でない事を知る…
「これ…が俺?」
再び鏡を見て呟く女に俺が説明を加える。
「そうさ♪そして、さっきまでは俺がその女だったんだ。あんたに嵌めてもらって凄く気持ち良かったぜ♪」
と親指を中指と人差し指の間に挟み突き出してやる。
「お礼に、あんたも気持ち良くさせてやろうと思ってな♪」
俺が近づこうとすると、奴は距離を取ろうとするが巧く動けない。
「さあ、イイコトしようぜ♪」
俺は一気に彼女との間合いを詰めると、抱き寄せて唇を奪っていた。

女の瞳がトロンと潤み、全身の力が抜けてゆくのが判った。
俺は彼女の服を一枚づつ剥ぎ取っていった。瑞々しい女体が現れる。
既に彼女の股間も濡れていた。
「キテッ♪」
と彼女が股を広げる。既に女の快感を求め始めていた。
俺は硬くなったペニスを彼女の膣に挿入した。ねっとりと膣壁が絡み付いてくる。俺が腰を揺すると…
「ああん、ああ~~ん♪」と、女は喘ぎ悶えた。
「もっとぉ~、激しくぅ、無茶苦茶にしてぇ~♪」
と、彼女も自ら腰を揺すりだす。快感を求めて悶え狂う牝獣が「男」であった事など思い出すことも難しい。
俺が精液を女の膣の奥に放つと、彼女は絶叫を発し意識を手放していた。

 

 

男と女…
どちらが気持ち良いか?殆どの人は知る事などできない。
(知りたいか?)
だが、答えなど教えてはやらない♪

 

俺の部屋の押し入れの奥にはいまだ「福袋」が仕舞われている…

亜矢子

亜矢子は本当は女の子ではない。

彼女の股間にはなにも無いのだ。彼女は女でもなければ、男でもない中途半端な存在だ。
彼女は元々は男性であった…とは言っても「男」の肉体を持って生まれてきたというだけのものでしかない。
小学校までは「性」に関しての意識は薄かったようだ。男子とも女子とも分け隔てなく遊んでいた。
「優等生」の看板が彼女の本質を巧く隠してしまっていた。だから、彼女の本質が「女」であることに本人を含め、誰も気付くことがなかったのだ。

ボクは彼女の友人としてずっと一緒にいた。
中高も私立の進学校に一緒に入っていた。同じ小学校からはボク逹二人だけだったので、より親密になっていった。
だから、ボクは彼女が相談できる相手は当然ボクしかいない。

ある日、彼女が言った。
「男子の制服って味気ないよね。女子の制服はあんなに可愛いのに…」
小学校の頃から彼女はオシャレであった。どんな服でも綺麗に着こなしていた。
が、振り返ってみると、どれもが性別を意識させないような服ばかりであった。
もしや…と聞いてみた。
「女子の制服を着てみたい?」

彼女の答えはYESだった。
ボクは放課後、殆ど使われていない離れのトイレに彼女を連れていった。
「服を交換しよう。」
ボクがそう言うと、彼女の目が大きく見開かれた。
ボクは着ていた女子の制服を脱ぐと彼女に渡した。
彼女は男子ね制服を脱ぐとボクに手渡し、ボクの着ていた制服に身を包んでいった。

ここに「亜矢子」が誕生した。

 

 
最初は放課後の校内を女生徒としてうろついていたが、やがてその格好のまま下校し、街を歩き、電車に乗ってボク逹の住む町まで帰っていくようになった。

誰も気付かない。
彼女が本当は男子であることに…

 

しかし、行動範囲が広がれば気付く人間は出てくる。それは、学校側に発覚する可能性も高まってゆくことになる。

ある日ボク逹は教頭に呼び出された。
「君達は放課後に何か特別な課外活動をしているみたいだね?」
「何か校則に触れるようなことでも?」
とボクが確認した。
「大したことではないが、男女が二人だけで長時間行動するのは風紀上問題があるのでね。特に君達の行為は風紀の混乱を招く元になる。」
「問題となるような行為はしていませんよ。」
「この写真に見覚えはないかね?」
と差し出された紙には服を取り替えた二人が街を歩いているところがプリントされていた。
「友里絵…ごめん。僕の所為で…」
ボクは弱気になった亜矢子の前に出た。
「これのどこが?」
「では、この二人が君達であることは認めるのだな?」
「ちゃんと制服も着ています。亜矢子は私の親友、女友達です。異性としての交際はありません。」
「そこまで言うなら、加納君には女子の制服で授業を受けてもらおうか?」
「それで疑いが晴れるなら、そうさせてもらいます。」
亜矢子の意見を聞かずにボクが一方的に言い切ってしまった。が、亜矢子は何も言わなかった。

次の日から亜矢子は教頭公認で女子の制服で登校してきた。
しばらくはボクの予備の制服だったが、即にでも自分のものを作ってしまっていたた。不思議と、亜矢子は「女子」として簡単にクラスに溶け込んでしまっていた。
ボクは教頭に「女友達」と啖呵を切った都合上、男子の制服を着ることを諦めていたので、こうなると、他の「女子」と同列になってしまう。ボクと亜矢子の関係が稀薄になりそうだったので、ボクは他の女子に「亜矢子の大親友」を宣言し、彼女の一番の女友達の位置をキープすることに成功した。

日曜日。久しぶりに亜矢子とのデート♪
当然のように亜矢子は可愛らしいワンピースを着ている。ボクは男装したかったが、教頭に啖呵を切った手前、無難なスカートスタイルにしている。
「デート」と意識しているのはボクくらいで、周りからは仲の良い女の子同士にしか見られていないだろう。けど、ボクのナカでは、ボクは亜矢子のボーイフレンドなのだ。亜矢子をエスコートして楽しいデートの時間を過ごしていった。

「少し寄っていかない?」
亜矢子の家に送り届けた門の前で彼女がそう言った。
通された彼女の部屋は昔見た無機質な雰囲気は一掃され、見るからに「年頃の女の子の部屋」に変わっていた。
「友里絵にはいつも迷惑掛けているみたいでごめんね。」
「そ、そんな事はナイよ…」
「もし良かったら…」と、亜矢子はベッドの上に置いてあった紙袋をボクに渡した。
「…これ、着る?」
中には男子の制服が入っていた。ボクは無意識のうちに着替えていた。

「あたし…をオンナにしてくれる?」

「男」に戻ったボクを亜矢子が誘う…
ボクは亜矢子をベッドに押し倒していた。
長いキスの後、亜矢子の服を剥ぎ取ってゆく。
いつものスポーツブラではなく、フリルの付いた花柄のブラが現れた。
パットでかさ上げしていても微な膨らみしかないが、彼女の「女」を主張していた。
ブラの上から揉みあげてやると「ああん♪」と可愛い喘ぎ声をあげる。もう一方の手を下に這わす。
彼女の股間はブラと同じデザインのショーツに被われていた。
(?)
クロッチの上から触れてみると、そこには「女の子」と変わらない割れ目の存在を感じられた。
ショーツの中に手を入れてみる。割れ目に指を這わすと、指先が濡れた。
「濡れてる?どういう事?」
亜矢子が悪戯っぽく笑みを浮かべる。
「あたしの愛液♪先走りとも言うわね。おちんちんを股間に埋め込んだだけだから、勿論膣なんてないわ。」

ボクは亜矢子のショーツを剥ぎ取った。
良く見ると本物の「女の子」とは違っている。
「でも、ちゃんと感じるから…遠慮なく弄って頂戴ね♪」
ボクが指でソコを撫であげると「ハファ~ン」と大きく喘ぎ、身悶えた。
「ねえ、来て♪でも、上は着たままでね。」
ボクはズボンのベルトを外し、パンツと一緒に脱ぎ落とした。
ボクにぺニスがあれば、ギンギンに張り詰めていただろう。ボクは想像上のぺニスを彼女の膣に挿入すべく、股間を重ねていった。
亜矢子の割れ目にボクのぺニスが侵入してゆく。
「ぁあ…イィ♪」亜矢子が喘ぐ。
「ボクもだよ。亜矢子のナカは暖かくて気持ちが良い。」
「動いて♪」亜矢子に促され、ボクは腰をグラインドさせた。亜矢子の膣の中をボクのぺニスが往復している。
カリ首が膣壁を擦る度に亜矢子が喘ぐ。ボクの内の憤りが高まってゆく。高まってゆく圧力に耐えきれなくなる。
「あぁ、亜矢子。ボクはもう限界みたいだ。」
「ああ、あたしも…射して♪あたしのナカに!!」
ボクの内で堪えていたモノが、ぺニスを通って亜矢子の膣の中に放たれた。
「ああ!!良い~~♪」
亜矢子が嬌声をあげる。彼女の膣がキュッと絞まり、ボクのぺニスに残ったモノを余さず吸い取っていくような感じがした。

 

「ふう…」と息を吐き、ボクは亜矢子の脇に転がった。
「ありがとう。これであたしもオンナになれたのね♪」ボクには「違う」とは言えなかった。
しかし、彼女が「オンナ」になったのと同じかわからないが、ボクもこれで「男」になれた気がする。
(この先、ボクは一生亜矢子を愛していくのだ。亜矢子を「妻」として養い、幸せな家庭を築くのだ。)
そんな決心がボクの中に生まれていた。
ボクは「友里絵」という名前を捨てようと思った。彼女が「亜矢子」であるように、ボクも「男」になるのだ!!

「勇一が良いかな…」

「ナニ?」
ボクの呟きに亜矢子が反応した。
「ボクも男としてけじめを付けないとね。」
「どういう事?」
「亜矢子をボクのお娵さんにしたいんだ。その為にも、ボクは一人前の男として認められなくてはね。」
「え?!」
「だから、ボクも男としての名前を持とうと…」
「あたし…良いの?友里絵のお娵さんに…嬉しいけど…」
「勿論、今即には無理だけど、ボクは絶対に亜矢子と結婚するよ。」
「友里絵…」
「だから、男の時のボクの名前を考えていたんだ。勇一でどうだろう?」
「勇一さん?」
「ああ。今からボクは勇一だ。しばらくは亜矢子と二人だけの時だけだけどね♪」

 

 
目標を持った人間は強い…と誰かが言っていた。
ボク逹は、二人で同じ大学に進んだ。それも、学校側が文句を言えない一流大学だった。
一流大学を選んだのは学校側への配慮もあったが、ボク自身としては更に就職も考えての選択でもあった。
元々「女」であるボクが男として社会に出る為には「実績」を残していかなければならない。
幸いにも、大学に入ってからは24時間「男」でいることができた。周りからも「勇一」として認識されている。
勿論、亜矢子との関係も長い付き合いの「男女の関係」であると知られている。
まあ、大学進学と同時に同棲を始めていることも周知の事で、働いていないというだけで二人はもう夫婦同然だった。

「ただいま♪」
アルバイトを終えアパートに帰ってくると「お帰りなさい♪」と亜矢子が飛んでくる。
晩御飯を作っていたのだろう、エプロン姿が愛らしい。キスをすると塗りたてだろうか、口紅の味がした。
高校時代もデートのときは化粧していたようだが、大学に入ってからは化粧にも磨きが掛かっていた。大学で女友達から様々なレクチャーを受けているようだ。
高校の時はボクも女友達の一人だったので、そこでどのような話題が展開されても一緒に聞けていたが、大学に入り「男」を宣言したボクは女の子逹の輪に一緒に入っていくこともできなくなっていた。
疎外感に寂しさも感じるが、そうも言っていられない。亜矢子が女を磨いている時間、ボクも男を磨く必要があった。
体力的なハンデの関係ないアルバイトを探し、男性社会を垣間見ると同時に少しでも家計の足しになるかと思い続けている。
疲れた体でアパートに帰り、亜矢子の笑顔に迎えられると幸せな気分になる。

亜矢子の作った料理を向かい合って食べる。今日の出来事を楽しそうに喋る亜矢子を見ているだけで、ボクの気分も良くなる。
食事が終わり、ボクがテレビを見ている間に亜矢子は洗い物を済ませてしまう。そして、洗い物が終わるとエプロンを外してボクの隣に腰を降ろす。
腕を絡めてくる。彼女がボクの腕を抱くようにすると、ボクの腕に柔らかな感触が伝わってくる。本物の「胸」がそこにあった。
女性ホルモンの投与を受けている訳ではないが、あるサプリが効くと聞いて飲み続けていた成果だという。
逆効果のものや、下が生えてくるサプリでもあれば、ボクも使いたいが今の所そんな話はなかった。
一日一日「女」に近付いてゆく亜矢子を羨ましく思う…

「勇一さん?」亜矢子が小さく叫ぶ。ボクは亜矢子を押し倒していた。
「んあん♪」亜矢子の胸を揉み上げると愛らしい喘ぎが上がる。ボクはそのまま彼女の服を脱がしにかかる。
下着だけの姿にして、ブラのカップからはみ出させた乳房を掴んだ。小さな乳首が勃っていた。
「痛っ」と顔をしかめる。ボクが歯で直に噛んだからだ。
それでも亜矢子は「嫌」とは言わない。彼女が嫌うのはアナル責めだけだ。

ボクは彼女の下半身に手を伸ばした。腹側からショーツの中に手を入れる。
浅い割れ目の中はしっとりと濡れていた。彼女の愛液にまみれたクリトリスに触れる…
「っあ!!あああっ!!」と叫んで身を震わせる。ソコを弄るだけで亜矢子は何度でも達するのだ。
彼女のショーツを剥ぎ取る。ボクも下半身を剥き出しにした。
「きて♪」と股間を広げる亜矢子。ボクがその上に腰を乗せる。二人の秘部が密着する。
「ああ、勇一さん。愛してる♪」と亜矢子…
「ボクもだよ♪」と答え、グイグイと腰を押し付ける。
二人の間で亜矢子のクリトリスが刺激を受ける。同じように、ボクの小さなペニスも感じてゆく。
「ああ、亜矢子のナカは気持ち良い♪」ボクは一心不乱に腰を突き上げていった…

 

 

 
「なあ、お前本当は女なんだろう?」
バイト仲間の一人が声を掛けてきた。
「いくら男のフリをしても、臭いが違うんだな♪お前からは女の良い匂いがする。」
「そんな事あるか?!ボクは男だよ。」
そう言って一旦は話が済んだのだが、その日の帰り。先にあがっていた筈の奴がボクを待ち伏せしていた。
「さっきの話。ちゃんと確認させてもらうぜ♪」やはり本物の「男」には力では敵わない。「女」みたいに叫び声をあげるのはボクのプライドが許さないし、ここで叫んでも助けが来るとは思えなかった。
奴がボクの服を切り裂いてゆく。
「これはナベシャツってやつか?窮屈そうじゃないか。」胸バンドが剥ぎ取られ、プルリとボクの胸が露にされた。
「楽になったろ?女の胸は男に揉まれる為にあるんだ。ほら、良い匂いもしているじゃないか♪」奴がボクの胸を揉みあげる。
ボ…ボクは「男」なのに、胸を弄られカンジてしまう。肉体が勝手に反応してしまうのだ。
「っぁ!!ダメ…」
「何がダメなんだい?」奴はボクのズボンのベルトを抜き取った。ズボンが足元に落ちる。
「綺麗な脚をしているじゃないか♪それにトランクスの股間が少し濡れているね。怖くて失禁したのかい?」
奴の手がトランクスの中に潜り込んできた。指先が秘部にあてがわれている。
「おしっこはどこから漏らしたのかな?おや…おしっこが出てくる所がないぞ。お前、本当に男なのか?」
奴の指が曲がり、ずぶずぶとボクのナカに入ってきた。
「おや、ここも湿っているね。トランクスを濡らしていたのは、どうやらここからのモノだったみたいだね♪」
「…ぁ…」奴の刺激に肉体が反応する。
「これはおしっこじゃない。愛液だぁ♪お前は男なのに愛液を滴らせているんだ?」
奴の指がボクの膣の中で巧妙に動きまわる。
「甘声を出したらどうだい?その方がずっと楽だろう♪」
奴のにやついた顔が迫る。
「お前が男なら、これは強姦ではないよな♪」
トランクスが剥ぎ取られ、指の代わりに奴の勃起したペニスが侵入してきた…

 
ボクは亜矢子の腕の中で泣いていた…
あの後の記憶が飛んでいる。ボクは女のように大声で叫んでいた。膣の中に奴のザーメンが放たれていた。破れた服のまま、夜の街を歩いていた…
断片的な記憶しかない。
ボクは今、亜矢子の腕の中にいる。優しく頭を撫でられていると、気持ちが落ち着いてゆく。
「あたしじゃ…オトコになれない。あたしは結局はオンナだった…」
「友里絵は友里絵だよ。あたしの大事な人…それで良いじゃない。無理をしなくても良いのよ♪」
亜矢子の声が身体に染みてくるような気がした。
「亜矢子はそれで良いの?」
「あたしは友里絵と一緒にいられるだけで幸せよ。あたしが亜矢子として生きていられるのは、友里絵がいてくれたからだもの♪」
…あたしは涙が涸れるまで、亜矢子に抱かれて泣いていた。
 いつしか、あたしの内から「勇一」が姿を消していた…
 

 

 

 
あたし逹は女の子同士。だけど、あたしのお腹の中には彼女の子供がいる。
「ズルいな。あたしも産みたいのに♪」
亜矢子が愛らしく拗ねる。
「良いじゃない。貴女もこの子の母親になるんだから♪」
出産を終えたら、あたしは仕事に戻る事にしている。子育ては亜矢子ママに任せきりになる。
友里絵ママは大学在学中に起こした会社が順調に大きくなっているので、社長として長くは休んでいられないのだ。

あたし逹は女の子同士だけれど、ちゃんと結婚している。この子も二人の子供として戸籍に登録される事になる。

「幸せかい?」
あたしが聞くと、亜矢子は満面に笑みを浮かべて
「うん♪」
と答えるのだった。

« 2012年12月 | トップページ | 2013年4月 »

無料ブログはココログ