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2012年12月29日 (土)

友よ!!

強い風の吹き抜ける谷間は陽も暮れかけていた。
俺は独り外套の襟を立て、風に逆らうように薄暗い谷間の道を進んでいた。
街道から外れた路を往く者は他にはない。もし、落石に当たり絶命したとしても、暫くは誰にも発見されないに違いない。
そんな危険を侵してでも、俺には急いで行かなければならない理由があった。

友の命が掛かっているのだ!!

俺の携えた親書には、友の無実を証言する神官長の言葉が封じられているのだ。
友の刑の執行は三日後の明け方に迫っていた。悠長に街道に沿って進んでいては、到底間に合いはしないのだ。
山脈を大きく迂回する街道を外れ、山中に分け入ってゆく。この谷さえ抜ければ、明日の夜には友の元に辿り着くのだ。

風は更に強くなった。
前傾姿勢は膝を付く程になる…

(?!!)

外套が風を孕み、俺の体を持ち上げる。
足が滑る。
地面から足が離れ、浮き上がった体が風に運ばれる。
舞い上がり、放り上げられ、天地が確認できなくなる。

フッ…と、俺は意識を無くしていた。

 

 

 
俺はベットの中で目覚めた事に気付いた。
「おぉ、起きたか?」と男の声…それは聞き覚えのある男の…
俺は声のした方を見た。
「ガ…ガイ?な、何でお前が居る?」
そこに居たのは、確かに俺の「友」…ガイ=カーンだった。

「先ず教えておく。お前は3週間近く寝たきりだったんだ。」
その言葉を理解できないでいるうちに、次の言葉が続けられた。
「お前が入手した親書は無事届けられ、俺は解放された。お前が親書を届けてくれた人物の雇い主に保護されているて聞き、ここに駆けつけたんだ。」
「保護された…」
「酷い怪我だったそうだぞ。それこそ生きているのさえ奇跡に近いんじゃないか?」
「そう、谷で風に飛ばされた…あぁ、その人にお礼を言わなくちゃ…」
「無理をするな!!」
起き上がろうとする俺をガイが押し止める。
「3週間も寝ていたんだ。もう少し回復を待て。お礼は俺からもしておいたし、第一彼女は今不在にしている。」

「彼女?女性なのか?」
「ああ、所謂〔魔女〕と呼ばれる存在らしい。お前の『俺を助けたい』という強烈な心の声に興味が惹かれたらしい。」
「魔女?」
「彼女はそう自称していたし、今のお前の状態がそれを証明しているという事だ。」
「魔女…か…」
俺はベッドの中で緊張を解いた。
確かに身体は十分に回復しているとは言えなかった。そこここに違和感が残っている。
「そうだ♪今はゆっくり休め。これからの事は体が回復してから、じっくり考えれば良い…」
俺はガイの言葉半ばで眠りに引きずり込まれていた。

 

 

 

次の目覚めは夢の中だった。
そこが「夢」の中である事は何故か最初から判っていた。
ベッドの隣ではガイが横になっていた。それも、俺と同じベッドの上で…二人で寝るには狭いが…一つの布団の下になっていた。
夢の中の俺は、それを当たり前の事と考えていた。何故ならば、夢の中の俺は「女」でガイの恋人であったからだ。

そう…これは「夢」の中なのだ。どんな有り得ない事でも、何でもアリで問題ない…
俺はガイとベッドを供にしている。当然、俺は「女」としてガイに抱かれたのだ。
俺の股間には女性器があり、膣の中にガイの放った精液が残っているのが解る。
抱き締められたガイの温もり、吸い合った唇、絡め合った舌、混ざり合った唾液…記憶が蘇る。
そして、ガイに貫かれ、悶え、乱れ、快感を貪っていた。
俺は、「女」だけが享受できる悦楽に浸っていた…

 

…筈はない!!
俺は「男」だ。女の快感など知る筈などない。…が、

胸には男にある筈のない双つの肉塊があり、手を伸ばせばしっとりと掌に貼り付き、揉みあげると快感が沸き上がる。
その先端ではぷっくりと乳首が膨らんでいる。
もう一方の手を股間に伸ばす…繁みの先には切れ込みがあり、俺の指先を咥え込んでゆく。
しっとりと濡れた秘洞が待ち構えていた。そこに俺の細い指が侵入してきたのが解る。
ガイのモノに較べられるモノではないが、刺激を与えれば快感が生まれる。

「あん♪」

と甘い吐息が漏れる。その音に反応してガイが目覚めた。
「どうした?欲しいのか♪」
「何か…これも良いかも…って♪俺とガイは親友だったけど、更に深い絆ができたような気がする。」
「俺にとっては何も変わらないな。俺は俺だし、お前はお前だ。」
「ガイはそうだな。けど、俺は…夢の中ででもこうしてガイとの絆を深める事ができて、嬉しく感じているんだ♪」

「夢?」
ガイが不思議そうに聞き返した。
「お前はまだ現実が受け入れられていないのか?」
そう言われ、昨夜のガイの言葉を記憶に蘇らせる…
魔女…この館の主はあと数日は戻ってこないらしい。従って、俺の現状に対する説明は全てガイに任されていた。
そしてガイは言った。
「死んでいてもおかしくなかったお前を回復させるために使った魔法には大きな副作用がある。お前になら耐えられると彼女は直感できたと言っていた。」
「副作用?」
「まだ理解していないのか?先ずは胸に手を当ててみろ。」
俺は手を伸ばそうと胸元に視線を向けた…
「な、何だコレは?」
俺はようやく胸にある双つの肉塊に気が付いた。
「そうだ。魔法の副作用でお前の性別が変わってしまったんだ。」
俺は股間に手を押し付けた。
「な、無くなっている…」

「お前がこうなったのも、全ては俺のせいだ。お前の事は一生、俺が責任を取る。」
「…な、なんか女の子にプロポーズするような台詞だな♪」
俺は堅くなった雰囲気を解消しようと茶化すつもりで言った。が…
ガイの顔は更に真剣みを増していた。
「お前が望むなら、俺は何でもする。確かに俺はお前にプロポーズしているつもりでもある。」
「ちょっと待て。俺は男なんだぞ。」
「しかし、今のお前は愛らしい女の子だ。何も問題はない。試してみるか?」
「試す…って?」
「こういう事だ♪」
ガイは俺を抱き締め、キスをした。
嫌ではなかった。
俺はガイの行為を受け入れていた。
そして、ベッドに押し倒される…

俺はガイの全てを受け入れたのだった…

 

 

 
「お世話になりました。」
俺たちは魔女にそう言って館を後にした。

俺はようやく慣れた女物の衣服を纏い、軽く化粧をしている。
旅の間だけでも、これまでと同じ格好でいたかったが、
「一人前の女性が化粧もせず、変な格好をしていたら、余計奇異に見られます。それは貴女だけではなく、一緒にいるカーンも変に見られるのですよ。」
とたしなめられた。

街道を故郷に向かう俺達は、他人からはどう見られているだろうか?
「それは、若夫婦以外の何物でもないだろう?」
とガイ。
「夫婦…って、俺はまだ…」
ガイのプロポーズに返事をした覚えは無かったが…
「一緒に故郷に帰るって、そういう事だろう?それに毎晩のように抱かれていて、今さらNOと言うのか?」
「い、いや…そんな事はないんだ。」
「故郷に戻ったら盛大な祝言をあげよう。皆に俺の可愛い嫁サンを見せつけてやるんだ。」

ガイは上機嫌だった。
確かに故郷の若者は自分の妻となる女を求めて旅にでる。俺達の旅の目的も同じであった。
ガイは目的を果たした。浮かれているのも理解できる。
が、女を連れられずに帰ることになった俺の思いは…

「そうだ。名前を考えなくては♪」
「名前?」
「お前もお前自身として故郷に帰るのはばつが悪いだろ?いっその事、名前を変えて別人として戻れば良いんじゃないか?」
ガイの提案に「それもアリかな?」とも思った。
「ミラ、カナ、フェイ…」
「な、何だよ。皆女の名前じゃないか!!」
「当たり前だろ?女のお前に男の名前を付けられる訳ないじゃないか♪」
「す…好きにしてろっ!!」

その晩、俺は新しい名前で呼ばれながらガイに抱かれていた。
ガイが呼ぶ新しい名前が俺の身体に刻まれてゆく。
俺が「俺」であったことがどんどん失われてゆく。

が、それでも構わないと俺は思っていた。この先もずっとガイと一緒にいられるなら…
このまま変わらずにガイに愛されていられるなら…

 

エクスタシーとともに、新しい名前があたしとひとつになっていった…

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