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2012年11月25日 (日)

タダに釣られて

中に何が入っているのだろうか?
送られてきたダンボール箱はかなり軽かった。どうやら危険物ではなさそうだ。
もう一度宛先を確認する。確かに俺の名前だ。送り主に覚えはない。
電話してみるか?とも思ったが、中を確かめてからでも遅くはないだろう?と囁く声に負けてしまう。

箱を床に置き、荷造りテープを剥がす…蓋を開けると、一枚の紙が乗っており、その下に不透明なビニール袋に包まれた本体があった。
まずは紙を手に取り、書かれている文面に目をやった。
[拝啓。斉藤弘人様。この度は弊社の無償サンプルプレゼントにご応募いただきありがとうございました。なお、当選品はランダムに選択されたものですので、ご希望のデザイン・サイズと合致しない場合がありますが、返品・交換は一切受けられませんのでご了承ください。]

俺は「無償」という言葉に弱く、ネットで見かけると無意識のうちに応募してしまうことがある。これもそのひとつか…と、本体のビニール袋を破いて中のモノを取り出した。

(な、何だコレは?!)

それは平たく伸された等身大の女性だった。
良く見ると首の所に浮き輪に付いている空気入れのバルブがあった。
ここから空気を入れると膨らむのか?俺は肺に目一杯空気を取り込むと、バルブを咥え吹き込んでみた。
一度では何の変化も見られなかったが、十数回繰り返すと女の手足が膨らみだしてきた。
気を良くして繰り返すが、次第に意識が朦朧としてくる。酸欠か?止めないとまずい…と理性は訴えていたが、止めようもなかった。
…そして俺は気を失っていた。

 

 
俺は仰向けで床の上に転がっていた。
ゆっくりと体を起こし、どこまで空気が入ったのか確認しようとした…
が、俺の目に入ったのは俺の着ていた服が床の上に着たまま中身が消えたかの状態で置かれている…という光景だった。
二つの疑問が残る。
あの女の人形(?)はどこにいったか?そして今の俺は裸なのか?どうやって服を脱いだのか?

疑問は程なく解決する。
俺は自分が裸なのか確認するために、胸元を見た…そこには形の良い乳房と、しゃぶりつきたくなるような愛らしい乳首があった。
(?)
俺は立ち上がり、洗面所の鏡に自分を写した。
二つの疑問が同時に解決する。女の人形は今、ここにある…俺がその人形そのものだったのだ。
もともと人形は服を着ていなかったから、裸のままも納得できる。

が、いつまでも裸のままでいる訳にもいかない。
かといって、この女の体に「俺」の服を着せる訳にもいかない。
確か、この人形と一緒に女物の服も入っていた気がする。
俺は部屋に戻り人形の入っていた袋を確認した。そこには女物の服が一式、下着も含めて揃っていた。
俺はブラを付け、ショーツとパンストを穿き、ワンピースの上からカーディガンを羽織った。
鏡の中にはどこにでもいるような「女」が写っていた。
一緒に入っていた化粧道具で顔を整え、マニキュアをし、耳たぶにピアスを刺した。
財布と鍵をバックに入れ、サンダルを手に玄関に向かう。

 

 
「お姉さん独り?」
若い男に声を掛けられ、俺は現在の状況の確認を強いられた。
今の俺は女の服を着て街中を歩いている。が、女装ではない。俺自身が「女」になっていたのだ。
若い男が普通にナンパを掛けてくるくらいに「普通の女」になっていた。
もし、このまま男の誘いに乗っていったらどうなるのだろう。
もちろん、男の最終目的は目の前の女を抱いて、自らの性的欲求を満足させることであろう。
今の俺は「女」なのだから、彼の欲求に応じる事は可能である。が、俺は本来「男」であり、男に抱かれるという行為は「変態」的な行為である。
しかし、今の俺は「女」だ。女が男に抱かれることは、ごく自然な行為であることも間違いではない。
それに、女の快感は男のものとは比べ物にならないとも聞く…

(ジュン♪)

俺の股間から何かが染み出てくる…愛液なのだろう。俺の股間には女性器があり、今そこに男性を…男性自身…憤り勃ったペニスが挿入さ
れるべく準備ができたということだ。
俺は本当にココにペニスを突っ込んでもらいたいと思っているのだろうか?

「女」の快感を味わってみたい…それは偽らざる想いだった。
が、その前提となる「男に抱かれる」という行為をいまだ受け入れられない。「男」の俺が男に抱かれるのを想像するのも憚られた。

「お姉さん?」
若い男は不審げに俺を見ていた。
「ごめんね♪また今度声を掛けてちょうだい。」
俺はそう言って足早にその場を離れていった。
結局、夕闇が近づいた街を足早にうろついただけで、俺は自分の部屋に戻ってきてしまった。
薄暗い部屋の中、床の上には妙な形で脱ぎ捨てられた男物の服がそのまま残っていた。
部屋のあかりを点けると、床の上の服に何かが挟まっているのが見えた。空気の抜けた浮き輪のように皺クチャになった…

「俺」だった。
ずりずりと服の中から引き出すと、ペッタンコになった裸の「俺」が現れた。
もちろん、股間のモノもペッタンコだった。

服と並べて床の上に置いてみた。
女の体が皺もなく綺麗に畳まれていたのに比べると、あちこち空気の残りカスが点在しているようだ。
俺は手足の爪先から綺麗に伸して、余った空気がどれくらいあるか試したくなった。

両脚が伸された。両腕が伸された。
次に顔が伸される。頭蓋骨もなく、目玉も平面と化していた。
それをクルクル丸めながら余った空気を集めてゆく。
胸が伸され、腹が伸される。余った空気の行き先は下半身になる。
ぷっくりと貯まった空気に膨らんだモノがあった。
萎えていた筈のペニスに空気が集まってゆく。まるで勃起してゆくかのように、膨らんでいった。

「俺」のペニス…

俺はペニスの周囲も伸して、余った空気の全てをペニスに集めた。
俺の目の前で「俺」のペニスが勃起していた。

俺は無意識のうちにソレを口に咥えていた。
俺の口の中で、ペニスは更に膨れ、硬くなる。
(もう良いかな?)
俺は一旦体を離すと、スカートの中に手を入れ、ショーツとパンストを脱ぎ取った。
そして、「俺」の上に膝立ちで跨り、ゆっくりと腰を下ろしてゆく。
柔らかなこの肉体はM字に脚を開いたまま、無理なく尻を床に近づけてゆく。

先端が俺の股間に当たった。
そこはもう、十分に濡れていた。
スルリと「俺」のペニスが俺のナカに入ってきた。
ペタリと床に尻を付けると、ペニスの先端が子宮口に届いたみたい…
たくし上げたスカートを下ろす。
その中でどんな卑しいコトをしていても、誰も判らなくなる。
ギュッと股間に力を入れると、硬い筈のペニスの中の空気が動いた。
風船細工の風船のように、柄を締め付けると先端が膨らむ。
膨らんだ亀頭が俺の膣奥を圧迫する。
が、膣壁も圧し返す。圧された空気は逃げ場を求める…
その先端が「子宮」という空間を見つけた。
空気はペニスの皮を纏ったまま、一気に子宮内に侵入してくる。
膣圧に圧され「俺」の中に残っていた、全ての空気が子宮内に送り込まれる。

伸びきったペニスの皮の圧さは限界まで薄くなっていた。
それは、ちょっとの刺激で破れる…

 

パンッ!!

 

何かが弾けた音がした…
その刺激は強烈な快感を伴って、俺は
「んあん♪ぁあああ~んっ!!」
と思わず艶声をあげていた。

 

 

 
気が付くと「俺」が消えていた。
あたしは単に床の上に生尻を付けて座っていただけ。愛液が、あたしの股間と床を濡らしている事だけが、あたしの痴態の証だった。

(あたしはココで何をしていたんだっけ?)

見知らぬ男の部屋で痴態を晒していた理由が見当たらない…
が、目の端にダンボールの空き箱を捉えると
(持って帰らなきゃ)
と、あたしは催眠術に掛かったかのように箱を畳み、この部屋に残っていた「あたし」の痕跡を消し去っていった。

片付けが終わると、あたしは部屋の中に向かって一礼する。
「ご利用ありがとうございました♪」
そう言って、あたしは部屋のドアをそっと閉めた…

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