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2012年9月30日 (日)

竜の玉

竜の巣窟に近づくにつれ、神経がピリピリと緊張してゆく。
それは俺自身の興奮の故ではない。竜の発する精神波が俺の脳に干渉しているのだ。
戦士や魔術師でもない限り、この領域に足を踏み入れる事など適うものではないのだ。
俺とても、魔道具の助けを借りてようやくここまで辿りついたのだ。

勿論、俺は戦士でも魔術師でもない。格好良く言えば「トレジャーハンター」だ。
竜の巣窟に来たのも、竜を退治する為ではない。(それに、ここの竜が悪さをした話など聞いた事もない)
俺の目的は巣窟の奥にあると言われる水晶玉を奪取する事にある。
話に聞くと、巣窟の奥には極上の水晶玉がゴロゴロしていると言う。その中から2~3コ失敬しても文句は言われない筈だ。

 

今まで誰も手を出さなかったのは、竜の発する精神波への対策が取れなかったからである。
一匹であれば気力で何とかなるかも知れないが、これだけ群れていると太刀打ちできるものではない。
俺は俺のアイデアを基に、ある魔道具を作らせた。(そのアイデアは明かす事はできないぞ!!)
その魔道具の働きにより、竜の精神波は大分軽減されている。

竜の巣窟に辿り着いた俺は、竜達に気付かれないよう、更に巣窟の奥へと向かっていった。
そこは迷路のように入り組んだ洞窟が続いている。俺のトレジャーハンターとして感を頼りに最深部に向かってゆく。
そして辿りついた最深部の巨大な空洞…輝く水晶玉が山と積まれている。

「ニンゲンか?」
声を発したのは、水晶玉の前に彫像のように佇んでいた一匹の老竜だった。
竜の中に人語を話す奴がいるという噂は聞いた事がある。
「ああ…」
「この水晶玉が欲しいのかね?」
「そんだけあるんだ。2つ3つ分けてくれても問題ないだろう?」
「ここから持って行き、街で売って儲けるのだね?」
「それのどこが悪い?ちゃんとしたビジネスだろ?」
「わたしは何も悪い事だとは言っていない。ただ、何かしらの対価があっても良いと考えている。」
俺は竜の目を覗き込んだ。しかし、何を考えているかを想像する事さえできない。
「不安か?」
「な、何を言う。先ずはその対価とやらを示してもらえないか?」
「ふむ。覚悟はあると言うのだな?」
「そこに利益が得られるのであれば、交渉の余地があると言うものだ。」
「交渉できなければ、腕ずくで…と言うのだろう?」
竜の眼が一瞬鋭くなったように見えた。
「まあ良い。対価はこの玉一つにつき、ヒトの命一つ…どうかな?」
人を殺すのか…
どんな奴にする?続けて殺人が起きれば捕まる可能性も高くなる。
死体をここまで運べるのか?連れて来てここで殺るか…
「ここに来る必要はない。それに、お前が殺人を犯す必要もない。」
竜の眼が嗤っている?
「お前には人を殺すのではなく、新しい命を作ってもらいたい。玉はその命と引き換えにしてやる。」
「どういう事だ?」
「即に判る。では頑張るのだよ♪」

 

 
俺は意識を失っていた。
気が付いたのは宿屋のベッドの中だった。
起き上がる際にとてつもない違和感を感じた。
(腹の中に何かある?)
俺の腹は臨月を迎えた妊婦のように膨らんでいた?!
いや、腹だけでない。胸には女のような乳房があり、手足も女のように白く、細くなっていた。
<最初の一つはおまけしておいてやる♪>
あの竜の声が頭に響いた。つまり、この姿は奴の所為だと言うこと…

数日後、俺は水晶玉を産み落とした。
<そうだ。お前が新たな命を宿せば、玉と交換してやる。悪い取引ではないだろう? 玉が欲しければ、頑張って妊娠するんだな♪>

俺の頭の中で竜の嗤い声が鳴り響いていた。

 

無題

どこをどう歩いてきたのだろう?

気が付くと僕は知らない町並みの中を歩いていた。
町の空気が違う…
建物に掲げられた看板には見たこともない文字が描かれている。
歩道と車道の区別がないのか、人々は道を勝手気侭に歩いている。
そもそも、道は舗装などされていない。
荷車の轍の跡はあるが、独特のパターンを持ったタイヤの跡は一切見つからない。

人々の服装も異国風である。
「こんにちわ」と声を掛けられると、条件反射的に僕も「こんにちわ」と返していた。
そのいずれも僕の知らない言語の筈だが、何故か何を言っているのか理解し、自分も無意識にその言葉を使っていた。
建物の看板も同じだ。知らない文字なのに、それが「ホテル」や「銀行」だと理解していた。

僕の足はそのまま、一軒のホテルの中へと進ませていた。
「お帰りなさいませ♪」とルームキーが渡された。
僕は既にこのホテルに滞在していることになっているようだ。
「ありがとう。」とキーを受け取った。
キーに書かれた部屋番号のドアを捜し当て、鍵穴に差し込む。
カチャリ
と開錠される。ドアを開ける。狭い部屋だが、十分な大きさのベッドと机が置かれていた。
床の上に旅行鞄が置かれていた。「僕」のものなのだろうか?
机の正面には大きな鏡が置かれていた。そこに自分の姿が…

(!!)

そこに居たのは見知らぬ異邦人だった。
単に服が違うだけではない。「僕」ではない、まったくの別人である。
少女人形のように大きく見開かれた眼。薄く削られた眉毛、長くカールした睫毛。ほんのりと紅くふっくらとした頬に掛かるブロンドの巻き毛…
(女の子?)
胸に手を当てたが、ヒラヒラの飾りに阻まれて、はっきりと確かめる事はできなかった。
そこで、スカート状の外着を引き上げる。下着にも装飾が成されていたので、直接、下着の中に手を入れてみた。

…ナイ…

男性にはあってしかるべき器官が、そこには存在していなかった。そこには深い溝が刻まれている…
「あふぁん♪」
感じてしまい、甘い吐息が漏れる。
指先を濡らすものがある。指は奥へ、穿たれたた穴の中へと潜り込んでゆく。
(立ってられない…)
僕はベッドに体を横たえた。
空いた手が僕の体から衣服を剥ぎ取ってゆく。全裸になり、広げられた股間が目に入る。
淡い茂みが愛液に濡れている。…その先に見慣れたモノはなく、僕の指が股間に没していた。
もう一方の手が胸を這って上がる…ほとんど膨らみのない胸に小さな乳首が一人前に勃起していた。

「うぅん…ああぁん♪」
二箇所を同時に責めると、快感が更に高まる。僕はベッドの上で、激しく悶えまわっていた。

 
「おや、もうオタノシミを始めていたのかい?」
男の声がした。
見知らぬ男だったが、不思議な親近感があった。
(あの腕で抱き締められたら気持ち良さそう…)
理想的な男性像を彼は体現していた。
「俺の準備も手伝ってくれないか?」
彼はあっと言う間に服を脱いでいた。下着も外れ、完全に裸になっていた。
彼の股間には萎えたペニスが下がっている。彼の言う「準備」がコレを勃起させることだという事は容易に想像できた。
僕は自慰を中断し、ベッドを降りると彼の前に跪いていた。
不思議とペニスに対する嫌悪感はなかった。
それよりも、一刻も早く硬くなり「自分を貫いてもらいたい」という欲求に駆られていた。

躊躇うことなく、僕はソレを咥えていた。舌先でくびれに刺激を与えると、ペニスは正直に反応する。
反応が得られた事で、僕もご奉仕に力が入る。舐めたり吸ったりするだけでなく、指で彼の袋や玉、菊口までも刺激してゆく。

 
「おっ!!」と彼が声をあげる。
ドクリとペニスの中を通過してきた塊が、僕の口の中に放たれていた。
独特の匂いが鼻を突く。
僕はゴクリと喉を鳴らし、口の中のザーメンを飲み込んでいた。
「じゃあ、今度は下のお口に注ぎ込んでやろう♪」
射精しても、彼のペニスは威様を保っている。
グイと彼の逞しい腕に抱え上げられ、ベッドに移された。続けて彼もベッドに上がり、僕に伸し掛かってきた。
僕は待ち切れずに股間を開くと、彼の腰に脚を絡めていた。
ヌ”ッと彼が僕のナカに入ってくる。股間の膣が彼のペニスに満たされる。
更に突っ込まれると、ペニスの先端が僕の子宮に触れる。
「んあぁ♪イ…良いわぁ!!」
僕が喘いでいた。

満たされている…
嬉しくて…
幸せ…

彼が動き始めると、更に悦感がもたらされる。
快感の渦に揉まれながら、僕は何かを叫んでいた。
意識が飛んでゆく。
僕は快感と一体となっていた…

 

 

 
目覚めると、そこはいつもの「僕」の部屋だった。
パジャマの中に手を入れ、胸から股間へと掌を滑らせ確認する。
これは「僕」本来の体のようだ…

起き上がり、鏡に向かう。
冴えない「男」の顔がそこにあった。

再び下腹部に掌を当てた。
この下にまだ、彼の残した精液が溜まっているような気がしたから…

 

自動航行の間に…(1/4)

光の速度を超えて、宇宙艇は星々の間をすり抜けてゆく。
「どうだい?順調か?」
俺の背後から声が掛かった。この艇のオーナーであり、唯一の乗客であるカノウ氏だ。
「用もないのに操縦室には入って来ないでもらえませんか?」
「お前がなかなか降りて来ないから心配になったんだよ。自動操縦に任せても問題ないのだろう?」
確かにこの艇には自動航行装置が搭載されている。カタログ通りであれば、無人運転も可能である。
が、完全に無人にするにはリスクが高すぎる。この艇のログを確認しただけでもちょくちょく「事故」を起こしていた。
(あんたも何度も痛い目に合っているのだろう?)
と言いたいのを我慢する。
「事故になっても、この艇は頑丈にできている。問題はないよ♪」
(そのイイカゲンさは後で災いとなるぜ。願わくば、それに俺を巻き込まないでくれ。)
「わかりました。もう少し微調整をしたら、降りていきます。」
渋々ではあるが、オーナーには逆らえない…と諦める。コース設定を最短ルートからリスクが最小となるルートに変更し、自動運転モードに切り替えた。

「お待たせしました。」
と客室に降りてゆく。
「何だ?まだ着替えてないのか…」
とがっかりした声。
(金の為でなかったら…)
悔しさに圧し潰されそうになる…いや、既に圧し潰され、俺のプライドは粉々に砕け散っていて何も残っていなかった。
「少し時間掛かりますが?」
「素のお前なんか相手にしたくなどない!!」
彼の回答を「時間が掛かっても良い」となったと解釈する。俺は、一旦自分の船室に戻った。

 

「着替え」は用意してある。紺色がベースの…所謂「メイド服」だ。
勿論、ズボンではなく、スカートである。これは、女性が着るものであり、本来「俺」が着るものではない。
(両親から受け継いだ「童顔」と「女のような名前」で、彼が俺の事を「女性」と勘違いしたのは、決して俺の所為ではない!!)
が、オーナーは俺を雇う条件として「平時の身の回りの世話を所定の制服を着用して行うこと」としていた。
俺は「ヘルパー」のようなものかと思っていた(「執事」もイメージしたことはあった)が…彼の要求は「メイド」であった。
その事が発覚したのは、艇が出港した翌日の事であった。

 

 
「では、契約の付帯条項を遂行してもらうとしようか。これが制服だ。」
と「メイド服」が差し出された。
「男」の俺がこれを着れるか!!とは言ったが、契約を履行しないのであれば、即に出て行け!!と脅された。
つまり、今、この場で船内服のまま宇宙空間に放り出される…死ねと言っているようなものだ。
「わたしを満足させられたら、ボーナスを乗せてやろう♪その為にも、お前は男である事を忘れるんだな。」
再度メイド服を突きつける。
俺がそれを手に取ると
「メイドとして…女として、わたしに尽くせ。悪いようにはしないからな♪」
そう言って下卑な笑みを浮かべるのだった。

 

 
俺はメイド服を身にまとった。勿論、下着もすべて女物だ。
その上で鏡に向かい、入念に化粧を施してゆく。やがて、鏡の中には(どことなく「俺」に似た)美女が出現する。

(これは「俺」ではない)
(あたしはご主人様に奉仕する「メイド」…)
(鏡の中の「女」の事は何も知らない)
(あたしは「女」♪ご主人様に奉仕する…)
(「俺」は存在しない)
(あたしはあたし…)
呪文のようにいつもの言葉を繰り返した後、あたしは立ち上がるとご主人様の待つ客室へと向かって行った。

「お待たせしました。ご主人様♪」
あたしは深々と頭を下げた。
「気にしてないよ。ハニー♪今日も可愛いね。」
ご主人様はソファから立ち上がると、あたしをギュッと抱き締めた。
そのまま、ご主人様の顔が近づいて来る。
(ヤメロ!!気色ワルイ)
どこかで誰かが叫んでいるみたいだけど、あたしはご主人様のなさる事に従うだけ…このままキスしてくださるなんて、何て嬉しい事でしょう♪
ご主人様の舌が、あたしの唇を割って入り込んでくる。あたしの舌に舌を絡め、あたしの口の中の唾液を吸い込んでゆく。
あたしは幸せで、頭がボーっとなってゆく。

「では、いつものをやってくれるか?」
ご主人様の唇が離れ、そう言われる。ご主人様はドッサとソファに座り込む。
あたしはご主人様の脚の間に座り、ズボンのチャックを下ろすと、中からご主人様の分身を引き出した。
ありがたく、それを口に咥えると、ご主人様の「元気」が復活する。更に、舌と口蓋で刺激を加える。
やがて「う、うむっ」と唸り声をあげ、口の中に甘いシロップが撒き散らかされた。
ゴクリと喉を鳴らして呑み込むと
「どうだ?美味しいか♪」とご主人様。
「はい♪」とあたしが答えると、次の行為に誘導される。
ご主人様に背を向け、床に手と膝を着ける。お尻をご主人様に突き出す格好になる。
ご主人様はあたしのスカートを捲り、ショーツを引き下ろす。
「まだ、全然濡れてないな…」
とご主人様は自らの指を舐めると、あたしの股間を唾液で濡らした。…そしてご主人様の指があたしのナカに入ってくる。
「あん…ああぁん♪」
艶めかしい吐息があたしの口から漏れだしてゆく。
ご主人様の指があたしの入り口を揉みほぐすように動く…あたしの全身から力が抜けていった。
胸を床に着け、高々とお尻を突き上げている。ご主人様の指が抜かれた股間に、今度はあたしがご奉仕ご主人様の分身があてがわれた。
「んあん、ああ~ん♪」
媚声をあげながら、ご主人様の分身を受け入れてゆく…あたしはご主人様とひとつに繋がれていった。
「良い締まり具合だ。即にでもイッてしまいそうだ。」
そんな事を言うご主人様だけど、いつも抜かずに3回は射精してくれる。
「ああん♪イイ~ッ!!」
あたしが大きく喘ぐと、あたしのナカでご主人様が硬くなるのが解る。
「では、いくぞ♪」
とご主人様が腰を動かし始める。
あたしは雌獣のように、快感に喚き、何も考えられなくなっていった…

 

自動航行の間に…(2/4)

 
ピピピピ…

警告音が鳴っていた。
甘美なまどろみの中から引き戻される。
俺は未だ、オーナーのペニスに貫かれ、女のようにヨガリ声を上げていた。
「非常事態です!!放してくださいっ!!」
俺は強引にオーナーとの結合を解き、立ち上がるとそのまま操縦室に向かった。

メイド服のスカートが邪魔だったが、何とかシートに座り込んだ。
尻の穴から、オーナーの精液が滴り落ちてくるのが物凄く「不快」であったが、この警告音の中では何も言えない。
コンソールを見ると前方に無数の物体が浮遊していた。
通信が届いていた。
連邦軍の識別がある。
急いで通信を開いた。
>ここは連邦軍の訓練宙域に設定されている。ただちに進路を変更しろ。このまま直進するとスパイ行為と見做し、命の保証はしない!!
>繰り返す…

「すみません!!即、反転させます!!」
俺は通信機に向かい叫んでいた。
>おや、お楽しみの最中でしたか♪すみませんね、お嬢さん。我々もこれが仕事なんで。

彼の誤認識を訂正するのももどかしく、俺は自動運転モードを解除すると回避行動を取った。
>ご協力ありがとうございます。どうぞごゆるりと続きを楽しんでください♪
と通信が切れる。

多分、彼は俺の事を「女」だと思っているだろう。「お楽しみの最中」は否定できないが、俺はその続きをしたいとは思っていない。

「何があったんだ?」
再びオーナーが操縦室に上ってきた。
「もう少しで連邦軍の戦艦の砲口に突っ込む所でした。ですから、自動航行装置には頼…」
「ハッハッハ。この艇の装甲の強さを試してみたかったな♪」
「な、なにを言ってるんですか?仮にも正規軍の戦艦ですよ。その火力は…」
「まあ、あとはよろしく頼む。早く降りてきて続きを楽しませてくれ♪」
言うだけ言ってオーナーは降りていった。

(軍の訓練宙域の情報が取り込まれていなかったのか?)
俺は艇のデータバンクから航宙図のメンテナンス記録を呼び出してみた。
(???)
俺が乗船する一年半前までは、ちゃんと更新されていた。が、更新者がコロコロと変わっている。つまり、このオーナーの元では長続きしないと言うこと。
そして、中にはちゃんと更新している奴もいるが、多くは航宙図も更新しないいいかげんな奴だったようだ。
(いずれは航宙図の全面洗い替えをしなければならないな)
とは言っても、航行中にそれをやるのは自殺行為でしかない。どこかの停泊地に投錨してからにしたい。
(信頼の置けない)航宙図で最寄りの停泊地を探した…

「オーナー。先程のゴタゴタで航路のロスが大きく、燃料が心もとないので近くで補給します。」
と声を掛けた。
現状ではできる限り操縦席を離れたくない。
オーナーへの報告ついでにシャワーを浴び、着替えをしたい欲求に駆られるが、洗顔シートが入っている小袋と下着の替えを持って操縦席に戻っていった。

>こちらアルカノSA管制です。船籍の提示をお願いします。
「ああ、宜しく。こちらのデータを送ります」
管制官の指示に従い、この艇の船籍を報告すると、入港指示が返ってきた。
>で、その制服は雇い主の趣味?女性パイロットって個性的な方が多いでしょう♪でも、どちらかと言うと露出度が高くなるみたいよね?
「それに答えないといけないのか?」
>あ、いえ。そんな事はないわよ。管制なんかしてると、野郎の相手ばかりで…貴女みたいな普通の女性と出会えたので、お話ししたくなっちゃったの。
(童顔にこの服じゃ、だれもが俺の事を女と勘違いするようだな…)
>ねえ、その船が入港した後、あたし非番なんだ。よかったら港の中を案内してあげたいんだけど♪
「取り敢えず、質問への答え。この服は雇い主の趣味に間違いない。そして、一つだけ訂正してくれ。こんな服を着てはいるが、俺は男だ。女ではない。」
>…男?…嘘、ありえない。それなら、尚更会ってみたいわ。15時には入港できてるでしょう?15時半にハッチ前で待ってるわ。
「な…こっちにも用意がある。そんなに早くては何もできない。」
>じゃあ16時で良いわよ…っあ、次の船が来たみたいだわ。仕方ない、相手してあげますか。じゃあね♪
と、管制官との通信が切れた。
何が起きたのか訳が解らないまま、俺は操船に意識を戻していった。

 

指定されたスポットに接舷する。
燃料の手配を済ませ、オーナーに接舷の報告をしに行くと
「ちょいと出かけてくる。出港は2日後とする。それまでは自由にして構わない。」
と、オーナーはソクサクと艇を降りていった。

俺は部屋に戻りメイド服を脱いだ。そして、ようやくにシャワーを浴びることができた。
隅々まで洗い流し、スッキリとする。洗いたての船内着を着た。
汚れたメイド服は、そのまま廃棄した。(どうせオーナーが別のコスチュームを用意している筈だ)
コーヒーを淹れ、一息ついてから操縦室に戻る。
航宙図の洗い替えに取り掛かる。2日の猶予があれば、小細工せずに完全洗い替えができる。指示を与えれば、後はやる事もない…
艇のハッチの外に誰かいるようだ。
時計を確認する。16時だった。あの管制官の女性に違いない。
俺は艇のセキャリティの設定を確認すると、操縦室を後にした…

 

 

「本当に男の人なんだ♪」
「ああ、アレはオーナーの趣味だ。俺自身はスキ好んでやってる訳じゃない。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
「疑ってるようだが、俺は金の為に仕方なく…」
「で、先ずは疲れを揉みほぐさない?」
結局、俺な彼女のペースに合わせるしかなかった。

全裸になってのマッサージはかなり気分が良かった。体に塗られたローションから立ち上る香りが、精神もリラックスさせる。
いつしか眠ってしまっていたようで、気がつくとリクライニングのイスに座らされていた。
何かが顔に塗られていた。
艇で女装する時に化粧をさせられていたので、顔に何かを塗られる事に抵抗感がなくなっていたようだ。
筆が唇を描くのを感じ、ようやく俺が化粧させられているのに気づいた。
「イスを戻しますね。」
スタッフの声とともに上体が起こされる。正面には鏡があり、この店に入って即に着せられたガウンを纏った「俺」が写しだされる…
が、その顔は完全に「女」の顔になっていた。

「思った通りね♪ちゃんとすれば、物凄い美女よね。」
俺をここに連れ込んだ張本人が、そのような感想を述べる。
確かに「美女」の部類に入るが…
「マッサージだけじゃなかったのか?」
「ちゃんとエステしたらどうなるか見てみたかったの。じゃあ、コレに着替えてショッピングにでも行きましょうか?」
と、俺の目の前に女物の服をヒラヒラさせる。
「俺の服はどうした?」
「船に送っておいてあげたわ。コレが気に入らないなら、併設のブティックで選んでね。ココはあたしのオゴリにしてあげるから♪」
彼女の目が笑っている。厭な予感…
「勿論、女物しかないわよ。それも、エステの効果を強調するようなフェミニンなものばかりね♪」
厭な予感は外れる事はない。
「わかったよ。ソレを着るから。」
結局、彼女のペースでコトが進んでゆく。

 

自動航行の間に…(3/4)

 
…女の子同士のショッピング…
と割り切ってしまえば、多少は楽しい気分にもなる。(彼女は十分に愉しんでいるようだ)
いくつかの店で気に入った服を試着してみたり、カフェで美味しいケーキを食べながらお喋りし、ゲームセンターでひと遊びした。
声を掛けてくる男達を適当にあしらい、女の子二人の楽しい時間…

(俺は「男」だ!!)

艇のハッチの前に戻り、ようやく俺は根本的な間違いを思い出していた。
「今日は楽しかったわ。機会があったら、また遊びましょうね♪」
と、俺の怒りが沸騰する直前に、彼女は俺の前から姿を消していた。
悶々としたまま、艇に入る。
部屋に戻り、一刻も早く船内服に着替えたかった。

オーナーはまだ戻ってはいなかった。
俺は船内着に着替え、操縦室に上がった。データの洗い替えの状況を確認する。
順調ではあるが、まだ先は長い。
他の確認を行う。とはいっても、船体・艇内に異常がないかと、手配した燃料が到着しているかくらいのものでしかない。
船体・艇内に異常はなく、燃料の補給も完了していた。
燃料以外にも外部からの搬送品があった。オーナーのものと俺宛のもの…
(俺宛?)
配送元を見ると今日彼女と巡った店の名前が連なっていた。最初の店のは俺が出る時に着ていた服だと想像できた。それ以外の店では?
俺は荷物を部屋に運び入れ、中を確認した。出てきたのは、立ち寄った店で試着した服の数々だった。
(こんなモノ持っていてもなァ…)
ワンピースを一枚、手に取って鏡の前で俺の体に合わせてみた。
(確かに似合っているが…)
彼女や店員が俺が服を選ぶセンスを誉めていたことを思いだした。
いまだ化粧を落としていなかったので、店での楽しかった雰囲気が思いだされた。

(けれど、俺には必要のないものだ。)
と、取り出した服を元に戻す。
(?!)
鏡に「俺」の姿が写っていた。
綺麗に化粧された「女」の顔に、野暮な男性用船内着が着せられていた。
(確か女性用の船内着も置いてあった筈…)
と、備品室からピンク色をベースにした船内着をもってきていた。
(これなら似合うよな♪)
着替えて鏡に写す…

鏡の中の「俺」は満足げに微笑んでいた。

 

 
久しぶりに厨房で料理を作った。夕食は満足いくできばえ、味も問題なかった。
就寝時間までまだ間があるので、自室でファッション誌をめくっていた。

ピンッ!!

警告音。艇のハッチに誰かが近づいたようだ。
オーナーだった。かなり酔っているようだ。
セキュリティを解除しハッチを開けてやる。

「おお、ハニー♪開けてくれてありがとう。今日は一段と綺麗だね。」
とオーナーは俺に抱きつくとキスをしてきた…

(. .)

あたしの内でスイッチの入る音がした。
「おかえりなさいませ。ご主人様♪」
濃厚なキスの後で、ようやく大切なセリフを口にできた。
「そうだ。良いモノがあったんで買ってきている。届いていると思うだが?」
「既にお部屋に運びいれてあります。」
「そうかそうか♪さっそく試してみよう。」
とあたしの手を引いていった。

 

「んあん!!あああ~ん♪」
(なんでこんなに感じちゃうの?)
ご主人様の買ってきたガードルは着けたままでSEXが可能な構造になっていた。邪魔なモノが抑え付けられ、正常位での行為が気にならない。
ご主人様があたしを貫く。開いた股間にご主人様を迎えている。
ご主人様の手が、船内服の上からあたしの胸を揉み上げる。
「あん♪ああん…」
マッサージの効果で余った肉が集まって、あたしの胸に膨らみが生まれていた。シリコンブラが僅かではあるが谷間を作ってくれている。
あたしの反応を見たご主人様が、あたしの服を脱がしにかかった。
ブラが外される。小さいながらも、乳首が勃起していた。ご主人様の舌が乳首の先端を舐めあげた。
「んあ~ん♪」
ソコは物凄く敏感になっていた。
「もっと大きい方が良いな?」
あたしはウンと頷いていた。
「ココも濡れた方が良い♪」
と結合部を撫であげる。

「良いな?」
とご主人様…あたしは逆らえない…のではなく、それを心から望んでいた。
「良い娘だ♪」
ご主人様の刺激が激しさを増す。あたしはこれまでにないくらい昇り詰めていった。

 

自動航行の間に…(4/4)

 
イッたと同時に気を失っていたようだ。
自分のベッドで目覚めた後も、ずっとぼーっとしていた。それは、シャワーを浴びるため、全裸になり、ガードルを外して初めて自分が「男」であった事を思い出した程だった。
シャワーを浴びても、ぼーっとした感覚は続いていた。
部屋着に買ったワンピースを被り、ベッドの端に腰掛ける。
向かいの鏡に「あたし」が写し出される。

「どうなっちゃったんだろう?」
自問しても、答えは判っている。
あたしは「女の子」でいる事を受け入れてしまったのだ。
(オーナーの事だ。これからどんどん、あたしを「女」にしていくに違いない。)

予感は外れる事はなかった。
その日もオーナー宛の荷物があった。
昨夜と同様、夜遅くに戻ってきたオーナーが荷物を解く。中から出てきたモノをあたしに手渡した。
「ちょっと値が張ったが、可愛いお前の為だ♪」
(あたしの為?)
キュンと胸が締め付けられるような気がした。

それは半球状の透明なプラスチックの容器が二つ…それぞれに管が付いていて、その先に卵形のポンプがある。
見るからに用途が判る。半球の部分をそれぞれ、あたしの胸に当て、ポンプで空気を抜くと胸が膨らむ…筈もない事はオーナーも判っている筈だ。
「その中に袋が二つ入っていなかったか?」
とオーナー。良く見ると液体の入った袋があった。他の梱包材と混じってしまっていたようだ。
「その袋をポンプの付け根の取り付け口に填めるんだ。」
オーナーの指示に従い、左右のポンプに袋を取り付けた。
準備が完了すると、オーナーは、あたしの背後に廻り二つの容器をあたしの胸に圧し付けた。
「さあ、ポンブを操作して♪」
あたしは左右のポンプを握り…放した。

容器の中が負圧になるのが解る。胸が吸い上げられる。
ポンプの付け根の袋からも液体が吸い出された。液体は二重構造のパイプを逆流し容器に到達する。
そして、液体は容器の壁面(これも二重構造のようだ)を伝い、あたしの胸へ…
液体はあたしの胸に染み込み、内側からあたしの胸を押し上げる…

「繰り返すんだ。」
オーナーの声に従いポンプを操作すると、容器の中を着実にあたしの胸が満たしていった。

「良いだろう♪」
オーナーの声が掛かる。袋の中からは液体が全て吸いだされていた。
(これが皆、あたしの胸に入ってしまったってコト?)
容器が外されると、形の良いオッパイが出来上がっていた。乳首も大きく膨らんでいる。
「女のバストそのものだろう?これなら、セクシーなランジェリーも思うがままだな♪」
(やはり、これだけ大きいと、ブラは必需品みたいね…)
あたしはオーナーがよこした漆黒の上下を身に着けていった。
「ああん♪」
早速乳房を揉まれる。
あたしは感じるままに声をあげていた…

 

 

「離床します。」
今日の管制官は男性だった。
彼の視線があたしの胸元に何度も注がれているのを意識する。あたしも胸の谷間を強調するような服を着ているのだから当然とも言える。
>また来たら良い所つれてってやるぜ♪
「離床許可をお願いします。」
アホな事を口走る男に冷たく言い放つ。
>ツレないなぁ…でも、そんなリリしいお顔も…
「許可を!!」
>…離床を許可する。
「ありがとう♪マタはないと思うわ。」
あたしは艇を港から出し、宇宙空間に乗り出していった。

 

航宙図は最新化されている。だからと言って最短ルートで自動航行を設定すると、それなりのリスクはある。
(それに、遠廻りの方が十分に時間が取れるしね♪)

自動航行装置のスイッチを入れると、あたしは部屋に戻り、今日のコスチュームに着替える。
今日はバニーガールね♪
どうせだからと、下着も全部脱いでバニースーツを着込んでゆく。
…そう、今のあたしの股間はガードルがなくてもスッキリとしているの♪
胸に注入された液体から薬効成分が染みだし、あたしの肉体を「女」らしく変えつつあった。
一夜にして、あたしのペニスは委縮し、豆粒のようになってしまった。手足がほっそりとして、肌も白さを増しているみたい。お化粧の乗りが違うみたい♪
まだ一晩なので、股間が平らになっただけだけど、一週間もすればあたしの股間には女性器ができあがるらしい。
ちゃんと濡れた女陰にオーナーのペニスを受け入れられるようになるまで、あと少しの辛抱…
そんな事を考えただけで、下腹部の奥がキュン♪となる。もう子宮でもできかけているのかしら?

鏡の前でセクシーポーズを決めてみる♪
(これならオーナーも満足してくれるわよね?)
あたしはオーナーの待つ客室のドアを開いた。

「失礼します、ご主人様。お待たせして済みません。その分、たっぷりとご奉仕致しますね♪」
あたしはご主人様の前に跪き、愛しいペニスにご奉仕を始めた。
(ご主人様♪後でこのペニスで思い切りあたしを可愛がってくださいね?)

ジュン!!
ご主人様へのご奉仕を続けていると、不意に股間に違和感を感じた。
モゾモゾと太股を擦り合わせると、汗をかいたのか少しだけ湿り気を帯びていた。
「どうした?」
あたしの行動に不審を抱いたのか、ご主人様が聞いてくる。「何でもありません。」
と過ごそうとしたが、
「ソコを良く見せてみなさい。」
と、あたしを離すと床に転がし、脚を押し開いた。
「ほぅ♪濡れたのか?」
と、あたしの股間を撫で上げる。
「んああん♪」
いつもより敏感に感じてしまう。

服を脱がされ、机の上に座らされた。
「ほう♪お豆の後ろに小さな穴が二つある。奥の方から何かが噴き出したようだね。」
ご主人様は更に顔を近づけ…
ペロリとソコを舐めあげた。
「ヒャッ」とこそばゆさに身を捩る。
「これではまだ使えないが、着実に変化しているな♪こちらの穴は…」
あたしの小さくなったオチンチンは、もうオチンチンではなくなってしまったようだ。立っておしっこをしていたのが遠い昔に思える。

「では、お前の愛液でココがぐっしょりになるまで責めてあげようか?」
ご主人様の言葉に、期待に胸が膨らみ、下腹部が疼く。

(時間はたっぷりありますからね。ご主人様♪)

 

宇宙艇は自動航行装置に導かれ、何も障害のない空間を選んで、はるかな道のりを邁進していった。

「指輪」(前篇)

飲み会が終わり、深夜の繁華街脇のアーケードをぶらついていた。
車の侵入が禁止されている区間なので、シャッターを下ろした店の前で、若者達がシートを広げ手作りのアクセサリー等を並べていた。
若い女の子達がヒヤカシている。

そんな中にサラリーマンの酔っ払いおじさんが入り込んでゆくと、女の子達の厳しい視線が突き刺さってくる。
それを無視してシートに並べられた品々を見てまわっていた…

 
(ん?!)

俺の目が止まったソレは、何の変哲もない「指輪」だった。
「変哲もない」とは言っても綺麗な石を填めた指輪は、ごく普通のサラリーマンが指に着けるには向いていない。
が、何故か俺はそれを自分の指に填めたくて仕方なかった。

「お買い上げになりますか?」
売り子は長い髪の女だった。アクセサリーの店ではなく、占いの店を開いてもおかしくない雰囲気があった。
「いくら?」
「千円です」
俺は自分の財布の中身を思いだしていた。コレに千円が高いか低いかと言ったら、填められた石だけでも桁が違う気がする。
都合良く、財布の中身にも余裕があった…

 

 
気がつくと、いつの間にか俺は、アパートの自分の部屋の中に立っていた。
ポケットの中を探ると、アノ指輪があった。
(財布の中からは確かに千円が消えていた)

買ってしまったのか…

別に後悔しているようではなかった。
俺は手にした指輪をシゲシゲと眺め…そして…それを、自分の指に填めてみた。

一瞬、フラッシュが焚かれたように辺りが真っ白に輝いたように見えた。
フラリとバランスを崩す。
踏ん張ろうとしたが、足に何かが纏いついていて、更に体勢を崩した。
手を伸ばし、机に支えを求める。
ガッ!!
と机が音を立てたが、何とか俺の体を支えてくれた。
フニッ!!
二の腕に何かが押し付けられていた。
(何?)
と意識が腕に集中する。が、見えたのは俺の胸が自分の腕に押し付けられている様子しかなかった。
確かに胸からも、腕に触れている感覚が伝えられている。
(…って、何だこの膨らみは?!?!)
俺の二の腕に押され、形を歪めているのは、どう見ても女性の…おっぱい…にしか見えない。
それに、服…俺は極普通のサラリーマンのスタイルをしていた。丸首Tシャツの上にワイシャツを着、ネクタイを締めていた。
が、今着ているのは、ワイシャツよりも柔らかな生地の「ブラウス」というものではないか?胸元を飾っているのはネクタイではなく、リボンのようだ。
ブラウスの下には、たわわな乳房を包み込むように、ブラジャーが着けてあるようだ。

上半身だけではない。
ズボンではなく、スカートを穿いていた。OLらしいタイトスカートが俺の足の行動の自由を奪っていた。
スカートの下にはパンストが穿かされている。勿論、靴下等は穿いていない。

耳元でチャラチャラ音がするのは、イヤリングが着けられているからなのだろう。
当然、化粧もさせられているに違いない。実際、唇には口紅が塗られていることは唇を舐めて確認できた。

体勢を立て直す。
振り返ると玄関があり、革靴やスニーカーが並べられている所に、パンプスと女物のサンダルが並んでいた。
(もしや…)
と寝室に向かう。
布団やカーテンが女性の部屋らしく、ピンク色を主体としたものになっている。
クローゼットの扉を開ける…
数着のスーツが掛かっていただけのクローゼットがカラフルな衣装で詰まっていた。
ワンピースにスーツ、ブラウスにスカート。スカートも様々な丈と色・柄が揃っていた。

(何でこんな事に…)

原因はあの指輪しかない。俺は自分の?(女のように白く、細く…爪にマニュケアの施された…)指に填められた指輪を掴み、引き抜いた…

 

再び、軽い眩暈な後…見ると、そこは「俺」の部屋に戻っていた。
服も元通り、化粧もしていない、普段通りの「俺」がそこにいた。

「原因」と「結果」は判った。「プロセス」は今は重要ではない。
「何のために?」
…などを、今ここで突き詰めてどうにかなるものでもない。
明日も仕事はあるのだ。今は即に風呂入って寝た方が良いに決まっている。

 

着ていた服を脱ぎ、風呂場に入った。
(!)
そこで悪戯心が目覚めた。
俺は一旦部屋に戻ると、机の上から外した指輪をもってきた。
全裸で洗面台の前に立ち、鏡を見ながら指輪を填める…

一瞬後

鏡の中に全裸の女性が写し出されていた。
「…これが…俺?」
そう発した俺の声もまた女の声になっていた。
ダークブラウンのショートヘア。既に化粧は落としているのに、ぱっちりと大きな瞳が印象的だった。
ぷりぷりと官能的な唇が軽く開かれ、中から愛らしい舌先が覗いていた。

が、鏡の中の女に見とれているだけでは話にならない。
俺は擦りガラスの扉を開け、洗い場に踏み入れた。
腰掛けをタイルの上に置き、その上に座る。手桶で湯船からお湯を汲み取り、体に流す。胸元を流れ落ちる水流がいつもと違う…
次に、スポンジに石鹸を付け泡立てる。いつものように、先ずは腕に、それから背中から胸へと石鹸を付けてゆく。
胸の膨らみに沿ってスポンジを撫で付け、谷間から頂きに向かい滑らせる感触は「男」では味わう事はできない。
「男」との違いはもう一箇所…
スポンジで腹の上にのの字を描き、その下へと延ばしてゆく。
障害物もなく尻の側に達する。今は、敏感な部分に刺激を与えないようにして、体全体を泡で包んだ。

シャワーで石鹸を流すと湯船の中に身を沈めた。体をリラックスさせ、掌を太股の内側に滑り込ませてゆく。
中指が袷せ目を捉えた。そのまま筋に沿って指を這わす…
ゴクリと唾を呑む
全神経がソコに集中していた。

指先に力を入れ、ゆっくりと曲げてゆく。中指の先が沈み込んでゆく…
俺は異物が胎内に侵入してくるのを感じた。

更に奥へと送り込む。指は根元まで入り込んでいた…
(本物のペニスはもっと太い…それがコのナカに入るんだ♪)

「ぁあん♪」
思わず艶声がでてしまう。
指先が膣の中の敏感なトコロを刺激したようだ。

俺は指を動かし、快感に身を任せた。
「んあん♪ああぁん♪」
甘い吐息が続いてゆく。
お湯ではない、別の液体…愛液…が指に絡まる。

 
が、快感はそれ以上に高まろうとしなかった。
「イク」には程遠いと感じる。その前にのぼせてしまいそうだ…
一旦風呂から上がり、体を拭いてからベッドに向かった。
(確かココに…)
オナホが置かれていた場所にはバイブがあった。スイッチを入れるとウネウネと卑猥な動きを始める。
既に、充分濡れているからローションは不要だ。ベッドに上がると脚を開き、秘洞に挿入してみた…


指で慰めるよりは高い快感が得られた。が、それまでの事。
やはり「イク」事は出来なかった。
ヤり疲れ、俺はそのまま眠ってしまっていた。

 

「指輪」(中編)

生きている者には分け隔てなく朝がやってくる。(その時点で起きているかは本人次第だが)
サラリーマンの性(サガ)故に、毎日同じ時間に目が醒めてしまう。いつもよりは幾分か気怠さを感じながらも、俺はベッドの上に起き上がった。
そして、胸に存在する二つの塊を発見する。指にはまだあの指輪が填まっていた。
指輪を外すといつもの「男」の俺に戻る。
(女の姿で出社したらどうなるだろうか?)
とも考えたが、女が外出するには化粧をしなくてはならない。俺にそんな真似が出来る筈もない。
そのまま顔を洗い、髭を剃り、スーツを着て会社に向かった。

 

ホームで電車を待つ。入ってきた車両は満員状態。
ふと、隣の車両を見ると幾分か空いている。女性専用車両だった。
いつもなら(女は良いなぁ)と指を咥えているしかなかったが、今の俺には「指輪」があった。
ポケットから指輪を取り出し、指に填める…
一瞬で俺はOLに変身していた。

俺は堂々と隣の車両の列に並んだ。文句を言う奴は一人としていない。
そのまま女達の流れに乗って電車の中に入っていった。
立ち込める化粧品の匂い(その一部は自分から出ている事を思い出した)に慣れた頃に下車駅に着いた。
そのまま会社のビルに入っていきそうになり、慌てて物陰に隠れた。
バックの中には定期券と一緒に社員証も入っていて、写真も今の「女」の俺のものになっている。(名前も佐野真理子と女の名前になっていた)
この社員証であればセキュリティもパスできる筈だ。
が、「女」のまま会社に入ったとしても、俺は女子社員としての仕事ができるとは思えなかった。コピーは何とかなるとしても、お茶汲みは絶対に自信がない。
指輪を外した「俺」は何事もなかったかのように会社のビルに入っていった。

 

 
その日は一日中指輪の事…女になった自分を想像してしまい、殆ど仕事が手に付かなかった。
「三好、行こうぜ♪」
就業時間を終えると、早速同僚の三好勝也に声を掛けた。既に昼休みに話をしていたので、即にも支度を終えていた。
「どこの店に行く?」
奴は飲む気満々である。が、俺は奴に「飲もう」とは一言も言っていない。
俺達は飲み屋街を抜け、ラブホテルが並ぶ街路に入っていた。当然ではあるが勝也は不審がる。
俺はホテルの前で立ち止まると、ポケットから指輪を取り出して指に填めた。
「大丈夫?」
フラリとよろけた俺を勝也が抱き止めてくれた。
「問題ない…で、ココにしよう。」
と目の前のホテルに視線を向ける。
「えっ?!佐野さん…良いの??」
ハトが豆鉄砲をくらった顔…とでも言うのだろうか?勝也は唖然としていた。
「入ろう♪」
俺は勝也の手を引き、ホテルに入っていった。

 

「シャワー浴びてくるね♪」
俺はそう言って風呂場に入り、服を脱いだ。「男」の俺は童貞ではないが「女」の俺は処女の筈だ。
ハジメテ「男」を迎えるための禊のつもりでシャワーを浴びた。
バスタオルを巻いて出てくると、「俺も」と勝也が風呂場に飛び込んでいった。

俺はバスタオルを外してベッドに潜り込み、彼を待った。
程なく、タオルを腰に巻いてやってきた。勝也は隠そうとしていたが、タオルの前の形状を隠しきれるものではない。
「キテッ♪」と誘う。
「さ…佐野♪」
勝也が伸し掛かってくる。
(今、俺は抱かれているんだ…)
俺は勝也の温もりを感じていた。

唇が求められる。
合わされた唇の間から奴の舌が割り込んでくる。
拒絶はしない…彼の舌を受け入れ、自らの舌を絡め付かせる。
「ンム♪」
キスをしながら、彼の掌が俺の胸を揉み上げる。先端の乳首を弄られると、快感に媚声が漏れる。
ジュン!!と股間が潤み始める。俺が「女」として「男」を受け入れる準備が進んでいるという事だ。
「キテ…」
俺は脚を広げていた。
「佐野っ♪」
勝也は硬くなったペニスを俺の股間に近づけていった。
その先端が俺に触れた。少し腰を捻り膣口に導く。彼もその場所を感じ、腰を降ろす…
ヌッ!!
と俺の膣に勝也のペニスが填まった。
「ぁあ、佐野。気持ち良いぞ♪」
それは俺も同じだった。自らの指や無機質な機械などでは埋められない「何か」が本物のペニスにはあった。
「あ、あたしも…」
俺は「女」になりきって、この快感を余すところなく享受することを決めた。
俺のナカを勝也のペニスが貫いてゆく。受け身になって犯される快感に流されてゆく。
「あぁん、勝也~ぁ♪」
「ま、真理子ォ…」
彼もまた昇り詰めてゆくのが判った。
「キテッ、射しテ♪あたしのナカをアナタで満たしてッ!!」
「うぉぉッ!!」
勝也が吠え、アタシのナカに精を放った…

 

 
「気がついたかい?」
俺は勝也に腕枕されていた。
「良かった?」
俺は勝也の胸板を身ながら聞いた。
「もちろん♪」と勝也。
「あたしも…」
と首を上げると彼に唇を塞がれる。
俺の股間は奴の精液と俺の愛液にまみれていたが、不快に思う事はなかった。
「でも、大丈夫なのかい?ナカ出しして。」
それは夫婦でもない男女のSEXでは必ず注意しなければならない事であるのに気づくまでしばらく時間が掛かった。
「安全日だから…」
その言い訳が通じたとは思えなかった。


「責任は取るよ。」と勝也。
それが、俺と勝也が結婚する事であることは容易に想像がつく。
ウェディングドレスを着た俺がバージンロードを歩いてゆく。その先には満面に笑顔を浮かべた勝也が待っている。
走り出したくなるのを必死で堪え、パイプオルガンの音に導かれて祭壇に、一歩づつ近づいてゆく…

 
…って、俺は何を想像していたんだ?
女の快感を…イクッていうものを…経験してみたくて勝也を誘っただけなんだ。俺が「女」でいるのも一時の事。
ホテルを出たら指輪を外して「男」に戻るんだ。
…それまでは、このまったりとした快感に浸っていよう…
「真理子」として勝也に愛されていたい。もう少し…せめて、夜が明けるまで…

 

結局、堪えられずに、その後も生のまま何度も絡み合った。
それは至福の時間だった。
(夜が明ける…)
俺はシャワーを浴びて一夜の痕跡を綺麗に洗い流していった。
ドライヤーで髪を乾かし、バッグに入れておいた化粧道具でホテルに入る前の「自分」に戻してゆく。
その間に、勝也もシャワーを浴び、身支度を整えていた。
「支度は済んだ?」
鏡越しに勝也が俺の顔を覗き込む。
「あぁ、いつもの真理子=佐野さんに戻ってしまったね♪」
「そんなに違う?」
俺の問いに勝也は口ごもる。
(いつもの「真理子」って見たコトない筈よね♪)
「じゃあ、出ましょうか?」
俺はそう言って立ち上がると、勝也と共にホテルを後にした…

 

「指輪」(後編)

繁華街に戻ってきた。
早朝の街にはあまり人がいない。
少し勝也と距離を取ってから指輪を外した。

グラリ

と一瞬視界がぶれる。
ふらついた体を勝也が抱き止めてくれた。
「ヤり過ぎたかな?」
と勝也。
振り向くとそこに勝也の顔。キスを迫ってくる。
(な、何で?!?!)
あたしの体は「男」に戻っている筈…なのに勝也はあたしがまだ「真理子」であるかのように行動している。

…「あたし」?…

あたしは視線を落とし、自らの体を確認する。
ブラウスに包まれた胸が「女」である事を主張していた。
ボトムはスカート。足には白のパンブスを履いている…ホテルを出た時の姿のまま変わっていない…。
唯一、あたしの手には外した指輪が残っていた。

 
「珍しいデザインの指輪だね?」
と勝也が覗き込んできた。
「填めてみる?」
不意に目覚める悪戯心…
あたしは彼の手を取り、その指に填めてみた。
今度は二人してふらつくが、俺は大分慣れたのか、しっかりと彼女を抱き止めていた。
「ご、御免。まだ足元がふらついているようね。」
「ヤり過ぎたかな?」と俺。
「バ、バカ…」と恥じらう佳代。
(勝也は佳代という女になった。俺とホテルに行ったという事実を無効にしない為に俺が男に戻れたという事なのだろうか?)
俺は佳代を彼女の自宅に送り届けた。

 

 
満員電車に揺られ、今日も会社に向かう。
誰も不審に思っていないが、そこには三好佳代という「女子」社員が存在している。
甲斐甲斐しく働く佳代に声を掛ける。
「今晩、付き合わない?」
彼女は頬を赤らめながら応諾する。

「佐野さん。お待たせ♪」
どうやら佳代は気合いを入れて化粧してきたようだ。待ち合わせの時間からは大分超過していたが、責める訳にもいかない。
「行こうか?」
と彼女と手をつなぐ。佳代は更に腕を絡めてきた。
「ねぇ、どっちにする?」
ホテルの前で佳代が聞いてきた。
「佳代ちゃんの好きな方で良いよ。」
俺があまり考えもせずに答えると、
「じゃあ、先ずは真理子サンとにしようか♪」
と彼女が指輪を外した。
グラリと視界が揺れる。
力強い腕があたしを抱き止めていた。
「じゃあ、行こうか?」
勝也はあたしと手をつないだまま、ホテルに入っていった。

 

 

 
「じゃあ、替わる?」
勝也が指輪を填めた。
「ま、待って…」
と言うあたしの声は届かなかったようだ。
(まだ女の快感に浸っていたかったのに…)
俺は裸のまま、佳代に跨られていた。
「心配しなくて良いわよ。あとでもう一度シてあげるから♪」
ヤリ疲れている筈なのに、俺のペニスはギンギンに勃っていた。佳代は腰をずらすと彼女の女陰に填め込んでいった。
「あぁん♪」
艶声をあげ、自ら胸を揉みあげてゆく。
膣の締め付けが射精を促す。
悦感に溶けた顔の佳代の姿が真理子であった俺と重なる。
「キテッ♪」
俺は佳代のナカに精を放っていた。

快感を享受し、俺の胸に頭を乗せて余韻を楽しんでいた佳代が呟いた。
「デキちゃったらセキニン取ってくれる?」
それは勝也が俺に言ってくれた言葉ではなかったか?
しかし、もし佳代が指輪を外しても元に戻らないようになったら、俺は…
「けど、あたしは真理子サンとの方が良いカナ?セキニン取るって言ったのはあたしの方だし…」
再び体を放した佳代の手から指輪が外された…が、勝也には戻っていない。俺の時と同じだ。
「貴方が填めてみて?」
と指輪が渡された。
俺が填めると、今度は俺が真理子に戻っていた。俺の時と同じに佳代は勝也に戻っている。
「何か法則性があるのかも知れないが、真理子が戻ってくれば何の問題もナイな♪」
そう言って勝也が抱きついてくる…

 

勝也はどうでも良いように言っていたが、俺は不安でならなかった。
(もし、もう一度「俺」に戻った時、指輪を填めても「真理子」になれる保証なんてどこにもナイんじゃないか?)
俺は24時間365日フルタイムで「真理子」でいる事を選択した。女子社員としての仕事も必死で覚えた。
「寿退社してしまえばそんな苦労をする必要がなくなるよ♪」
と勝也は言ってくれている。しかし、俺は勝也と結婚するまでにやっておきたい事があった。
ひとつは「料理」ができるようになる事。専業主婦として旦那サマに美味しい手料理を出してあげたかった。
勝也とのデートの合間にせっせと料理教室に通っている。
もうひとつも教室に通っている事なのだが、こっちは勝也には内緒にしている。
行き先は気付け教室。いつか和服姿を見せて勝也を驚かそうと計画していた。
(お正月に振り袖を着ていったら、俺も着たい!!とのリアクション…驚かせるのは失敗したかな?)

 

 
そうこうしている内に勝也との結婚式の当日となっていた。
俺は真っ白なウェディングドレスに包まれ、勝也とともに祭壇の前に立っていた。
「真理子さん。あなたは三好勝也君を夫とし、生涯変わらぬ愛を誓いますか?」
司祭の言葉に
「はい。誓います♪」と答えた。
「リングを交換します。」
シンプルな結婚指輪が取り出された。
勝也が俺の手を取り、指輪を填める…前に、俺の指から指輪を引き抜いた。

グラリ

と視界が揺れ、俺の目の前に愛らしいウェディングドレスの佳代が現れた。
式を中断する訳にもいかず、タキシード姿の俺は指輪を佳代の指に填めてやった。
皆の拍手の中、退場する。扉が閉まると、
「お色直しの時までで良いから♪」
と佳代が耳打ちする。
「仕方ないなぁ…」
俺は佳代をエスコートして披露宴会場に向かった。

 

 
「オギャー!!」
あたしの隣であたし達の娘が泣き声を上げていた。
男だったあたしが、結婚して出産まで経験するなんて思ってもいなかった。(あたし達以外の人は、あたしが生まれた時から女だったと言うけどね♪)
勝也があたしの手を握ってくれている。
「痛かったんじゃないか?二人目は俺が産んでやるよ。」
まわりの人には微笑ましいやりとりに写っているが、彼にとっては本気でそう考えている事も解っている。
「でも、もう無理みたい。」
出産の際、指輪を外されていたが、あたしは「真理子」のままだったのだ。その指輪のない手を勝也に見せる。
「この娘にどんな影響が出るかもわからないわ。このままで…このままで良いわよね?」
あたしは勝也の手をぎゅっと握っていた。
「ああ。真理子は真理子だ。これまでも、この先もずっと…」
(あたしの目からこぼれているのは嬉し涙なの?)
「じゃあ、二人目も真理子に頼んで良いかな?」
「えっ?ええ、良いわよ♪」
「じゃあ、退院したら早速♪」
「な、何言ってるの?エッチ!!」
「あっ、この娘も笑ってる♪」
いつの間にか娘は泣き止んでいた。見ると愛らしい笑顔を浮かべていた。
(これで良いのよね?あたしは女になったけど、この幸せを自分のモノにして構わないわよね♪)

そのとき、あたしが気が付かない所で「指輪」は塵となって消えてしまっていた…

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