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2012年8月17日 (金)

お化け屋敷には…

「…で、出来たぞ!!」
ゆらめく光の中で、白髪の老人が奇狂な笑い声とともに叫び声をあげた。
そして、その興奮は老人の干からびた血管に、一気に大量の血液を送り込む。その結果は容易に想像できる。

数日後、一人のマッドサイエンティストの葬式が営まれた。
そして、彼の研究所は廃墟となった…

 

 
「だめよ。勝手に入っちゃ!!」
「気にしない、気にしない♪ナニゴトにもチャレンジできるのが若者のトッケンだって兄貴も言っていたよ。ボク等は更に若いんだよ♪」
「それってヘリクツって言うんじゃないの?」
「関係ナイ、関係ナイ♪行くゾ!!」
幼い男の子と女の子がその廃墟と化した屋敷に入って行き、数時間が経った。
エンエンと泣いているのは男の子だった。
勇ましく男の子の手を引いていたのは女の子の方だった。

 
「兄貴!!」
と声を掛けてきたのは、いつも甥っ子にくっついて遊んでいる女の子の方だった。
甥っ子の方はいつもとは逆に女の子の後ろにピッタリとくっついていた。
「な、何かな?ミヨちゃん♪」
と声を掛けてきた女の子に聞いた。
「ボクはタカシだよ。ボクがミヨちゃんに、ミヨちゃんがボクになっちゃったんだ。」
とミヨちゃんが言う。
甥っ子であればそのような悪ふざけを考えないでもないが、彼女がそんな事をするようには想えない。
ましてや、彼女の後ろで泣いている甥っ子がヤラセているとも想えなかった。
となると、本当に入れ替わってしまったと言うのか?

「えっと…君達はどこで遊んでいたんだい?何か思い当たることは?」
「ボク達お化け屋敷に探検に行ったんだ。地下に行くと大きな機械があって…それが、突然動きだしたんだ。」
お化け屋敷と言えば、マッドサイエンティストの老人が住んでいた屋敷…今は廃墟となっている…に間違いない。
相手がマッドサイエンティストであれば、何が起きても不思議ではない。が…
「今日はもう遅いよ。二人ともお家に帰りなさい。明日、一緒に行ってあげるからね。」
と二人を送り帰した。
「二人が入れ替わっている事はまだ内緒にしていた方が良い。明日まで、互いのフリをするんだ。」
と付け加えた。

 

翌朝、二人とともに廃墟にやってきた。
先導するのはミヨちゃんだ。その行動の端々に甥っ子らしさが出ている。
「ここから地下に入れたんだ。」
書斎の本棚が崩れて隠していた地下への通路と思われる空間が見えていた。
「このあいだあった、大きめの地震で崩れたようだね?」
二人は器用に散らばった書籍の山を上って、隠されていた通路に消えていった。
が、子供なら通れる隙間も、大人には無理な場合がある。隙間を広げるには足元の本を退け、足場を確保しなければならない。
「お~い!!ちょっと待っていろ。俺が行くまで何もするんじゃないぞ!!」
と通路の奥に声を掛けたが…
俺の耳には、何かの機械の作動音が返ってきただけだった。

俺は隙間を広げる作業のピッチを上げた。

が、俺が地下室に踏み入れた時には、既に機械の作動音は止んでいた。
床の上には二人が倒れている。息はしているようで、ひとまずホッとした。
「おい!!」
と甥っ子の肩を揺すった。
「…ん、ううん…」
気がついたようだ。
「あ、兄貴…」
いつもの甥っ子に戻ったようだ。
「ミヨちゃんは?」
と聞かれる。甥っ子は大丈夫そうなので、女の子の方に向かった。
同じように肩を揺する。が、一向に意識が戻る気配がない。

「タカシ。何をしたんだ?」
と甥っ子に聞く。
「あれ…」
と目の前にあった装置を指差す。
そこには赤と青で手のひらのマークが付いていた。
「これに触ったのか?」
甥っ子はウンと首を縦に振った。

俺はしばし考え、甥っ子に言った。
「この子の事は俺が何とかする。お前は家に戻っていろ。」
そして、
「この屋敷に来た事は誰にも言うな!!もちろん、この子と入れ替わった事も。だ!!」

 

甥っ子がいなくなると、俺はミヨちゃんを抱え上げた。
彼女の手をマークに振れさせる。そして、俺も…

気が付くと、俺は床に倒れていた。
横を見るともう一人倒れている人がいる。
着ている服からでも想像できたが、彼の顔を見て確信する。
彼は「俺」だった。

「おいっ!!」
と声を掛ける。
体を揺する…頬を叩き、鼻を摘む…が、一向に目覚める様子がない。
「まあ、想定してた事だけどね♪」

改めて、俺は「自分」を確認した。
着ている服、目の前にかざした手、肩に掛かる髪の毛…
鏡を探して「自分」の顔を確認した。

「もう一度、人生やり直すようだね♪何事にもチャレンジできるのが若者の特権。か…これだけ若ければ何だってできるよな?」

 

俺は書斎に戻ると、崩れた本棚の位置をずらし、地下への入り口を再び隠しておいた。
小さな女の子の体では思うようにいかなかったが、外が暗くなるまでには何とか片付けることができた。

俺は何事も無かったかのように、「加藤美代」として「家」に帰っていった。

 

 

「隆司♪今日ヒマ?」
あたしは元甥っ子に声を掛けた。
二人は高校生になっていた。今年の春にあたしは隆司に体を許した。
そして、夏休みに入った今日、かねてからの計画を実行に移す事にしたのだ。
「まあ、ヒマだけど?」
隆司は疑う事を知らない。あたしの言う事は何でも聞いてくれるようだ。
「おばけ屋敷に探検に行かない?」
とうとう、あたしはその重要な言葉を発した。
「おばけ屋敷」は彼にとってはトラウマに違いない。あの日を境に「兄貴」が失踪してしまったのだ。
彼は「兄貴」との約束を守り、今もってあの日の事は誰にも話していない。
「だ、駄目だよあそこは…」
「ふ~ん。あんたがそんなコト言うんだ?」
「えっ?」
「あたしが駄目って言っても無視したのはダレだったのかなぁ?」
「覚えてたのか?」
「もう一度入れ替わってみたくない?」
あたしは隆司を舐見上げる。こんな時のあたしに隆司は逆らえないんだ♪
「じゃあ五時にお屋敷でね♪」

 
隆司は時間通りにやってきた。

「美代…考え直さないか?」
まだ言っている。
あたしは玄関のドアを開けると、真っ直ぐに書斎に向かった。
隆司はキョロキョロと見回している。彼にとっては十年振りの現場だった。
あたしは細心の注意を払って十年前を再現していた。本棚の崩れ方も再現している。
裏側の通路に入り地下に降りてゆく。

あの日と同じように機械がそこにあった。
「さあ、手を出して♪」
と青いマークに触れさせる。続いて、あたしが赤いマークに触れるて装置が動き始めた。

しばらくして装置が停止すると、目の前に「あたし」がいた。
「どお?十年振りのあたしの体は♪」
「どお?って言われても…昔の事はそんなに覚えてなくて…その…ブラジャー?の感覚って初めてだ…」
ポゥっと頬を赤らめる。
「美代ちゃん、可愛い♪」
「な、何だよ?!」
「まあ、イイから♪じゃあ、上に行こうか?」
あたしは「あたし(隆司)」の手を引いて、この屋敷で一番広い寝室に向かった。

「じゃあ、脱がしてあげるね♪」
戸惑っている隆司の体から服を剥ぎ取ってゆく。
全裸の「あたし」…女性の裸体を目にして、あたしの「男」の器官が反応していた。
(あたし…俺にとっては十年ぶりの感覚って事だな♪)
小さかったミヨちゃんが、大人の肉体に成長していた。
毎日風呂場の鏡で見続けてきたものではあるが、第三者の視点で見るとまた違って見えるようだ。
(中身が隆司って事もあるかな?)
俺は我慢できずに彼女を押し倒していた。
彼女の感じる所はみんな知っている。俺の愛撫に彼女は悩ましい媚声をあげ続けた。
「もうグッショリだね♪」
俺か彼女の股間を撫であげ、愛液をまとわせた指を見せつけた。
「じゃあ、いくよ♪」
俺は彼女の股間を広げると、その中心に俺のペニスを突っ込んでいった。

「ああっ!!んあ~~ん♪」
彼女は嬌声をあげる。
SEXの快感に、今は何も考えられないに違いない。
「そ~ら、イッちゃえ!!」
俺は込み上げてきた熱い情熱の塊を精液とともに彼女の膣に放出した。

 

 

 
どうやら隆司は「美代」でいる事の方がよくなってしまったようだ。
何かにつけて元に戻る事を引き伸ばす。元に戻っても、また即に入れ替わろうとする。
俺も「女の快感」を手放したくはなかったが、「美代」に拘っていた訳ではない。
「もし、貴女にその身体をあげた後、「隆司」がどうなっても…例え死んだとしても後悔しない事を約束できる?」
「えっ?あ、ああ…勿論よ。後悔なんてしないわ。」
「本当だな?」
俺の念押しにも「うん」と首を縦に振った。
それを合図に、俺は行動した。そして、それを目の当たりにした彼女は、凍りついたようになった。
俺がハンマーで機械のパネルを叩き割ったからだ。
パネルだけではない。俺は修復不可能なように更に機械を破壊し尽くした。

全ては終わった。

「そ…そんな…。良かったの?」と美代…
「もう一度忘れるんだ。ここであった全ての事を!!」
その一言で「俺」の正体が判っただろうか?
俺は「美代」をその場に残し、姿を消した。

 

勿論、俺が壊したのは「偽物」の方だ。本物は別の場所に隠してある。
俺は「本物」の装置で別の姿に変わると、「隆司」を失踪させた。
そして、新たな「女」の身体を探す。
俺は再び「女」となって、あの快感を追求するのだ。

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