« 被憑依体質(1/3) | トップページ | お化け屋敷には… »

2012年8月17日 (金)

「妖精」の属性

「どあぁぁぁぁっ!!」
俺は掛け声とともに怪物に斬り掛かっていった。

 

「いい加減、諦めたらどうなんだ?」
相方のガイが少し離れた所で俺の戦いを見ていた。
「戦い」とは言っても相手にはそんな認識は生まれようもない。俺の剣は奴の身体に触れるものの、何のダメージも与えられていない。
「言ったろ?どんなに武器を変えても、所有者の攻撃力に応じて効果が現れる。掛け算のようなものだ。」
「うるさい!!」とガイの解説を一蹴しようとしたが、奴は意に返すことなく続ける。
「今のお前の属性では、攻撃力を持つことはできないんだ。攻撃力ゼロでは、どんな武器を持っても掛けるゼロはゼロ…何の足しにもならないんだぜ?」

「うーりゃあぁぁぁ!!」と、それでも俺は斬り掛からずにはいられなかった。

 

 

世界が凍りついた日…俺達は、このバーチャル空間に足止めされてしまっていた。
強制ログアウトも効かず、現実世界に戻れなくなった「俺達」は、これまで通りゲームを続けるしかなかった。

とは言っても「今」の俺はゲームを続ける気にはなかなかなれなかった。たまたま、ガイの負傷を回復する為にアバタを治癒能力に優れた「妖精」に変えていたその時に世界が凍りついたのだ。
いつもの「戦士」のアバタに戻るには、一旦ログアウトする必要がある。つまり、俺は「妖精」のまま凍結が解除されるのを待つしかない。

皆はゲームを再開していた。ガイもクエストを始めようと言う。
が、俺にとり「クエスト」は「戦い」そのものだった。「妖精」であっても戦えぬ筈はない…と、手近の怪物に挑んだが、その結果は今以て変化がない。
「疲れ」を知らぬ「妖精」の属性が忌々しかった…

 

「妖精に戦いは向かない…というより、不可能…なんだ。ユウキは俺のサポートに徹してくれないか?」
「戦えないのにクエストする意味なんかないよ!!」
「そんなことはない。妖精のお前となら、これまで諦めていた階層にもチャレンジできる気がする。」
ガイの言葉に俺の心が揺らいだ。
これまで手を出せなかった階層に行く?そこには新たな宝や怪物がいる筈だ。
見てみたい…俺の好奇心がくすぐられる。
「か、可能なのか?」
「理論上はなっ♪」

直情傾向型の俺とは違い、ガイは論理的に物事を考える。そんな彼が「理論上は」と言えば、九分九厘間違いはない。
俺は好奇心に負けた。
「わかったよ…」
俺は剣を納めた。

 
ガイがのっそりと立ち上がり、俺と俺が戦っていた怪物の間に立った。
「妖精」になったことで、俺とガイの身長差は更に広がっていた。が、単なる身長差以上にガイが遥かに逞しく見えた。
ガイが剣を引き抜く。
そのままスーっと怪物に近づき剣を一旋する。

怪物は呆気なく消滅した…

「行こうか?」
ガイが差し出した掌を、俺はしっかりと掴んでいた。
俺達の新たな「クエスト」が始まった。

 

 

「こ…こんなの、アリかよっ!!」
叫んでもどうにかなるものではない。
非力な「妖精」には絡みつく触手を解くことなど叶わない。

新たな階層には、これまで見たことのない怪物がいた。この触手の怪物もその一つだ。
何本にも枝分かれし、様々な太さの触手がウネウネと俺の四肢に絡みつき、大の字に固定する。
粘液をまとった触手が、舌で舐めるかのように、露出した俺の肌を嬲ってゆく。極細の触手が耳の穴をほじくる。
一本の卑猥な形状の触手が目の前に現れた。
そいつは躊躇うことなく、俺の口を割って入り、喉の奥まで侵入した。口の中で蠢きながら、粘液のようなものを吐き出している。
粘液は俺の唾液と混ざり、俺の口蓋を満たす…それは防ぎようもなく、俺の喉に落とされていった。
粘液は俺の胃の中に落ち、胃壁から体の内に浸透してゆく。

これが俺の肉体に危害を加えるものであれば「妖精」の属性で無効化される。が、この粘液は俺の体を火照らした。
(害はないのだろうが、俺には厭な予感が感じられた…)
火照りは全身に広がったが、一段と熱さを増していたのは下腹部の内側だった。
暑さからか、股間に汗が染む。太股を擦り合わせると、ヌラヌラと粘り気があるようにも感じられる。
下腹部の火照りは「疼き」に変わる。肉体へのダメージは感じられないが、腹の内側に手を突っ込み、疼きの元を描き出したい欲求に駆られる。

ガイに助けを求めようとしたが、彼は次から次に襲いかかる怪物への対応で手一杯のようだ。
「な、何とかしてくれ…」

俺の心の呟きが聞こえたのか、俺の口を塞いでいた触手が離れる。その先端は俺の肌から離れることなく、顎、喉、胸と一直線に粘液の筋を引いてゆく。
触手は臍の上を通り、俺の股間に達した。

俺は疼きを鎮めてもらえるのなら、何でも良い…とは思ったが、疼きの遠因であるこの触手だけは別!!
「ガイーーーッ!!」
俺は叫んでいた。
触手から解放された俺の口は、俺の想いを正しく音に変換してくれる。

ガイが振り向く
その一瞬の隙が彼の体に傷を増やす
ガイの剣が一旋し、怪物との間に距離が生まれる
ガイが放たれた砲弾のように、叫び声の元に突進してくる

そのままの勢いで触手を切り刻んだ。
四肢が解放され、俺は地面にヘタリ込んでしまう。
「大丈夫…そうではないな。一旦街に戻ろう。」
と俺を抱きあげたガイは、貴重な空間転移魔法を発動させた。

 

 
宿のベッドに寝かされた。
疼きは一向に収まらない。もどかしさにのたうち回る。
そんな俺をガイが優しく看ていた。

ガイは応急処置をしただけで、今だあちこちに血を染ませていた。
いつもであれば、俺が妖精の治癒能力で即に癒してしまっている。が、ガイは何も言わずに俺を看ていた。

俺は治癒能力が健在であることを確認すると、ガイに声を掛けた。
「傷…、直してやるよ。」
「無理はしなくて良い。」
「大丈夫だ。が、今は集中力に欠けている。服を脱いで、俺に触れられるようにしてくれ。」

ガイは「わかった」と服を脱ぎ、俺に覆い被さるようにした。
俺はガイの背中に手を回し、密着度を上げてから治癒能力を発動させた。

いつに増して体が暑くなる。その熱は下腹部の疼きを増長させる。
「ん…んあん♪」
艶めかしい吐息が俺の喉を震わす。
ビクリとガイの体が緊張した。
「マジイ!!」とガイが呟いたが、俺は治癒能力に集中しようと必死で、ガイの呟きの意味を取り過ごした。

「もう限界だ。そんな顔のお前を前にしては、俺は理性を保ちきれない。…スマン…」
努めて意識しないようにしていたが、ガイの股間ではペニスが堅く勃起していた。幾度となく、それはガイと俺の腹の間に圧し当てられていた。
ガイが腰を揺する。
俺の股間にガイが割り込んでくる。
脚が開かれる。
俺の股間にガイの先端が触れ…

ヌッと、何の抵抗もなく、ガイのペニスが「俺」のナカに入ってきた!!

 
ガイの先端が疼きの源に触れる所まで挿入された。
俺には拒絶することができなかった。
俺が妖精の…オンナの…肉体で固定されてしまった時から、心の片隅でいつかこうなるだろうとは予感していた。
今は「疼き」が拒絶ではなく、積極的に受け入れる方向に傾けている。
「もっと奥に…」
俺は治癒の為に胸から腹にかけて密着させていた体勢から、股間を密着させるように体勢を変えていた。
ガイの刺激が「疼き」に到達する。
「疼き」は「快感」に変わる。
俺は「オンナ」のように嬌声をあげ、彼の腕の中で悶え狂った。

「あぁ…イイぞ♪」
ガイの動きが激しさを増す。
そして、小さなうめきと供に彼のペニスから熱い塊が放出された。
「疼き」は嘘のように鎮まっていた。
跡には「快感」だけが残っていた。

「ガイ…」
俺は彼に声を掛けていた。
「ん?何だい♪」
彼の優しい瞳に見つめられる。
(これを言ってしまって良いのか?)
もう一度自問する。
が、答えは決まっていた。
「もう一度…シテくれる?」

 

 

 
俺達のコンビは最強だった。
ガイが斬り込み、俺が支援する。
俺は「戦力」にはならないが、ガイに無限の活力を与え続ける事で、ガイは疲れを知らない「最強の戦士」となった。
そればかりではない。彼の背後に寄り添う俺は無敵の楯であった。
「妖精」は攻撃はできないが、攻撃を受けることもない。俺がガイの後を守る事で、ガイは攻撃に専念できた。

 
いくつかの階層を攻略し、俺達はラスボスと対峙していた。
「下がっていろ。」
ガイが単独でラスボスに向かう。俺はガイから離れた。
「うぉおおおっ!!」
ガイがラスボスに斬り掛かる。
奴の注意がガイに集中している隙に、俺はラスボスの玉座の裏に回り込む。
それは、かねてからの計画通りの行動だった。

そこには一体の妖精が拘束されていた。奴はその妖精から強制的に活力の補給を受けているのだ。
「妖精は戦う事ができない」「妖精を傷つけることはできない」
が、妖精同士であれば…
俺は剣を抜いた。
この妖精自身には何の恨みもない。が、ラスボスを倒す為には…

「あたしを解放して下さい。」
その妖精は涙を浮かべて俺に懇願した。
鈍る心を奮わせる。
剣を腰溜めに、俺の勢いと全体重を掛けて、その妖精の胸に剣を突き立てた。
刃は彼女の背中へと抜けていた。
「…ありが…と…」
彼女はそう言い、息絶える。キラキラと輝きをまとい、虚空に消えていった。

「そこだっ!!」
ガイの気合いが階層全体を圧した。
活力の供給が断たれた瞬間、ラスボスに隙が生まれた。気合いとともにガイが斬り掛かる。
今までに増して致命的な一撃が加えられた。が、ラスボスの傷は今までと事なり、癒える兆候は現れなかった。
「うりゃー!!」
ガイが第二撃を加える。
ラスボスの片腕が落ちる。
更にガイの攻撃が続く。…そして、留目の一撃がラスボスの脳天を砕く。

 

 

[ミッション、コンプリート♪]
モニタにエンドロールが流れていた。

いつの間にか、俺はログアウトしていた。
「時間は?」
窓を見ると空が白み始めていた。時計は早朝である事を告げていた。
そして…日付は一つ進んだだけ…

そう、実世界ではたった一夜の出来事だったのだ。
「うう~~ん♪」
椅子の上で伸びをする。
妖精の時は疲れなど知らなかったが、一晩の…主観的には、ここ数ヶ月の疲れが一気に襲い掛かってきた感じがした。
そのまま体を倒して、ベッドに転がり込む。
「ガイ…」
俺は愛しいヒトの名を呼んでいた。
「ガイ♪」
二人で過ごした時間を思い出す。
逞しい腕に抱かれ、俺は何度イッたのだろう。
「もう一度…」
俺の手は無意識のうちに股間に伸びていた。
下腹部が疼いている。
「シて♪」
俺の指は彼の代わりに濡れた股間を分け入ってゆく…

« 被憑依体質(1/3) | トップページ | お化け屋敷には… »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「妖精」の属性:

« 被憑依体質(1/3) | トップページ | お化け屋敷には… »

無料ブログはココログ