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2012年8月17日 (金)

お化け屋敷には…

「…で、出来たぞ!!」
ゆらめく光の中で、白髪の老人が奇狂な笑い声とともに叫び声をあげた。
そして、その興奮は老人の干からびた血管に、一気に大量の血液を送り込む。その結果は容易に想像できる。

数日後、一人のマッドサイエンティストの葬式が営まれた。
そして、彼の研究所は廃墟となった…

 

 
「だめよ。勝手に入っちゃ!!」
「気にしない、気にしない♪ナニゴトにもチャレンジできるのが若者のトッケンだって兄貴も言っていたよ。ボク等は更に若いんだよ♪」
「それってヘリクツって言うんじゃないの?」
「関係ナイ、関係ナイ♪行くゾ!!」
幼い男の子と女の子がその廃墟と化した屋敷に入って行き、数時間が経った。
エンエンと泣いているのは男の子だった。
勇ましく男の子の手を引いていたのは女の子の方だった。

 
「兄貴!!」
と声を掛けてきたのは、いつも甥っ子にくっついて遊んでいる女の子の方だった。
甥っ子の方はいつもとは逆に女の子の後ろにピッタリとくっついていた。
「な、何かな?ミヨちゃん♪」
と声を掛けてきた女の子に聞いた。
「ボクはタカシだよ。ボクがミヨちゃんに、ミヨちゃんがボクになっちゃったんだ。」
とミヨちゃんが言う。
甥っ子であればそのような悪ふざけを考えないでもないが、彼女がそんな事をするようには想えない。
ましてや、彼女の後ろで泣いている甥っ子がヤラセているとも想えなかった。
となると、本当に入れ替わってしまったと言うのか?

「えっと…君達はどこで遊んでいたんだい?何か思い当たることは?」
「ボク達お化け屋敷に探検に行ったんだ。地下に行くと大きな機械があって…それが、突然動きだしたんだ。」
お化け屋敷と言えば、マッドサイエンティストの老人が住んでいた屋敷…今は廃墟となっている…に間違いない。
相手がマッドサイエンティストであれば、何が起きても不思議ではない。が…
「今日はもう遅いよ。二人ともお家に帰りなさい。明日、一緒に行ってあげるからね。」
と二人を送り帰した。
「二人が入れ替わっている事はまだ内緒にしていた方が良い。明日まで、互いのフリをするんだ。」
と付け加えた。

 

翌朝、二人とともに廃墟にやってきた。
先導するのはミヨちゃんだ。その行動の端々に甥っ子らしさが出ている。
「ここから地下に入れたんだ。」
書斎の本棚が崩れて隠していた地下への通路と思われる空間が見えていた。
「このあいだあった、大きめの地震で崩れたようだね?」
二人は器用に散らばった書籍の山を上って、隠されていた通路に消えていった。
が、子供なら通れる隙間も、大人には無理な場合がある。隙間を広げるには足元の本を退け、足場を確保しなければならない。
「お~い!!ちょっと待っていろ。俺が行くまで何もするんじゃないぞ!!」
と通路の奥に声を掛けたが…
俺の耳には、何かの機械の作動音が返ってきただけだった。

俺は隙間を広げる作業のピッチを上げた。

が、俺が地下室に踏み入れた時には、既に機械の作動音は止んでいた。
床の上には二人が倒れている。息はしているようで、ひとまずホッとした。
「おい!!」
と甥っ子の肩を揺すった。
「…ん、ううん…」
気がついたようだ。
「あ、兄貴…」
いつもの甥っ子に戻ったようだ。
「ミヨちゃんは?」
と聞かれる。甥っ子は大丈夫そうなので、女の子の方に向かった。
同じように肩を揺する。が、一向に意識が戻る気配がない。

「タカシ。何をしたんだ?」
と甥っ子に聞く。
「あれ…」
と目の前にあった装置を指差す。
そこには赤と青で手のひらのマークが付いていた。
「これに触ったのか?」
甥っ子はウンと首を縦に振った。

俺はしばし考え、甥っ子に言った。
「この子の事は俺が何とかする。お前は家に戻っていろ。」
そして、
「この屋敷に来た事は誰にも言うな!!もちろん、この子と入れ替わった事も。だ!!」

 

甥っ子がいなくなると、俺はミヨちゃんを抱え上げた。
彼女の手をマークに振れさせる。そして、俺も…

気が付くと、俺は床に倒れていた。
横を見るともう一人倒れている人がいる。
着ている服からでも想像できたが、彼の顔を見て確信する。
彼は「俺」だった。

「おいっ!!」
と声を掛ける。
体を揺する…頬を叩き、鼻を摘む…が、一向に目覚める様子がない。
「まあ、想定してた事だけどね♪」

改めて、俺は「自分」を確認した。
着ている服、目の前にかざした手、肩に掛かる髪の毛…
鏡を探して「自分」の顔を確認した。

「もう一度、人生やり直すようだね♪何事にもチャレンジできるのが若者の特権。か…これだけ若ければ何だってできるよな?」

 

俺は書斎に戻ると、崩れた本棚の位置をずらし、地下への入り口を再び隠しておいた。
小さな女の子の体では思うようにいかなかったが、外が暗くなるまでには何とか片付けることができた。

俺は何事も無かったかのように、「加藤美代」として「家」に帰っていった。

 

 

「隆司♪今日ヒマ?」
あたしは元甥っ子に声を掛けた。
二人は高校生になっていた。今年の春にあたしは隆司に体を許した。
そして、夏休みに入った今日、かねてからの計画を実行に移す事にしたのだ。
「まあ、ヒマだけど?」
隆司は疑う事を知らない。あたしの言う事は何でも聞いてくれるようだ。
「おばけ屋敷に探検に行かない?」
とうとう、あたしはその重要な言葉を発した。
「おばけ屋敷」は彼にとってはトラウマに違いない。あの日を境に「兄貴」が失踪してしまったのだ。
彼は「兄貴」との約束を守り、今もってあの日の事は誰にも話していない。
「だ、駄目だよあそこは…」
「ふ~ん。あんたがそんなコト言うんだ?」
「えっ?」
「あたしが駄目って言っても無視したのはダレだったのかなぁ?」
「覚えてたのか?」
「もう一度入れ替わってみたくない?」
あたしは隆司を舐見上げる。こんな時のあたしに隆司は逆らえないんだ♪
「じゃあ五時にお屋敷でね♪」

 
隆司は時間通りにやってきた。

「美代…考え直さないか?」
まだ言っている。
あたしは玄関のドアを開けると、真っ直ぐに書斎に向かった。
隆司はキョロキョロと見回している。彼にとっては十年振りの現場だった。
あたしは細心の注意を払って十年前を再現していた。本棚の崩れ方も再現している。
裏側の通路に入り地下に降りてゆく。

あの日と同じように機械がそこにあった。
「さあ、手を出して♪」
と青いマークに触れさせる。続いて、あたしが赤いマークに触れるて装置が動き始めた。

しばらくして装置が停止すると、目の前に「あたし」がいた。
「どお?十年振りのあたしの体は♪」
「どお?って言われても…昔の事はそんなに覚えてなくて…その…ブラジャー?の感覚って初めてだ…」
ポゥっと頬を赤らめる。
「美代ちゃん、可愛い♪」
「な、何だよ?!」
「まあ、イイから♪じゃあ、上に行こうか?」
あたしは「あたし(隆司)」の手を引いて、この屋敷で一番広い寝室に向かった。

「じゃあ、脱がしてあげるね♪」
戸惑っている隆司の体から服を剥ぎ取ってゆく。
全裸の「あたし」…女性の裸体を目にして、あたしの「男」の器官が反応していた。
(あたし…俺にとっては十年ぶりの感覚って事だな♪)
小さかったミヨちゃんが、大人の肉体に成長していた。
毎日風呂場の鏡で見続けてきたものではあるが、第三者の視点で見るとまた違って見えるようだ。
(中身が隆司って事もあるかな?)
俺は我慢できずに彼女を押し倒していた。
彼女の感じる所はみんな知っている。俺の愛撫に彼女は悩ましい媚声をあげ続けた。
「もうグッショリだね♪」
俺か彼女の股間を撫であげ、愛液をまとわせた指を見せつけた。
「じゃあ、いくよ♪」
俺は彼女の股間を広げると、その中心に俺のペニスを突っ込んでいった。

「ああっ!!んあ~~ん♪」
彼女は嬌声をあげる。
SEXの快感に、今は何も考えられないに違いない。
「そ~ら、イッちゃえ!!」
俺は込み上げてきた熱い情熱の塊を精液とともに彼女の膣に放出した。

 

 

 
どうやら隆司は「美代」でいる事の方がよくなってしまったようだ。
何かにつけて元に戻る事を引き伸ばす。元に戻っても、また即に入れ替わろうとする。
俺も「女の快感」を手放したくはなかったが、「美代」に拘っていた訳ではない。
「もし、貴女にその身体をあげた後、「隆司」がどうなっても…例え死んだとしても後悔しない事を約束できる?」
「えっ?あ、ああ…勿論よ。後悔なんてしないわ。」
「本当だな?」
俺の念押しにも「うん」と首を縦に振った。
それを合図に、俺は行動した。そして、それを目の当たりにした彼女は、凍りついたようになった。
俺がハンマーで機械のパネルを叩き割ったからだ。
パネルだけではない。俺は修復不可能なように更に機械を破壊し尽くした。

全ては終わった。

「そ…そんな…。良かったの?」と美代…
「もう一度忘れるんだ。ここであった全ての事を!!」
その一言で「俺」の正体が判っただろうか?
俺は「美代」をその場に残し、姿を消した。

 

勿論、俺が壊したのは「偽物」の方だ。本物は別の場所に隠してある。
俺は「本物」の装置で別の姿に変わると、「隆司」を失踪させた。
そして、新たな「女」の身体を探す。
俺は再び「女」となって、あの快感を追求するのだ。

「妖精」の属性

「どあぁぁぁぁっ!!」
俺は掛け声とともに怪物に斬り掛かっていった。

 

「いい加減、諦めたらどうなんだ?」
相方のガイが少し離れた所で俺の戦いを見ていた。
「戦い」とは言っても相手にはそんな認識は生まれようもない。俺の剣は奴の身体に触れるものの、何のダメージも与えられていない。
「言ったろ?どんなに武器を変えても、所有者の攻撃力に応じて効果が現れる。掛け算のようなものだ。」
「うるさい!!」とガイの解説を一蹴しようとしたが、奴は意に返すことなく続ける。
「今のお前の属性では、攻撃力を持つことはできないんだ。攻撃力ゼロでは、どんな武器を持っても掛けるゼロはゼロ…何の足しにもならないんだぜ?」

「うーりゃあぁぁぁ!!」と、それでも俺は斬り掛からずにはいられなかった。

 

 

世界が凍りついた日…俺達は、このバーチャル空間に足止めされてしまっていた。
強制ログアウトも効かず、現実世界に戻れなくなった「俺達」は、これまで通りゲームを続けるしかなかった。

とは言っても「今」の俺はゲームを続ける気にはなかなかなれなかった。たまたま、ガイの負傷を回復する為にアバタを治癒能力に優れた「妖精」に変えていたその時に世界が凍りついたのだ。
いつもの「戦士」のアバタに戻るには、一旦ログアウトする必要がある。つまり、俺は「妖精」のまま凍結が解除されるのを待つしかない。

皆はゲームを再開していた。ガイもクエストを始めようと言う。
が、俺にとり「クエスト」は「戦い」そのものだった。「妖精」であっても戦えぬ筈はない…と、手近の怪物に挑んだが、その結果は今以て変化がない。
「疲れ」を知らぬ「妖精」の属性が忌々しかった…

 

「妖精に戦いは向かない…というより、不可能…なんだ。ユウキは俺のサポートに徹してくれないか?」
「戦えないのにクエストする意味なんかないよ!!」
「そんなことはない。妖精のお前となら、これまで諦めていた階層にもチャレンジできる気がする。」
ガイの言葉に俺の心が揺らいだ。
これまで手を出せなかった階層に行く?そこには新たな宝や怪物がいる筈だ。
見てみたい…俺の好奇心がくすぐられる。
「か、可能なのか?」
「理論上はなっ♪」

直情傾向型の俺とは違い、ガイは論理的に物事を考える。そんな彼が「理論上は」と言えば、九分九厘間違いはない。
俺は好奇心に負けた。
「わかったよ…」
俺は剣を納めた。

 
ガイがのっそりと立ち上がり、俺と俺が戦っていた怪物の間に立った。
「妖精」になったことで、俺とガイの身長差は更に広がっていた。が、単なる身長差以上にガイが遥かに逞しく見えた。
ガイが剣を引き抜く。
そのままスーっと怪物に近づき剣を一旋する。

怪物は呆気なく消滅した…

「行こうか?」
ガイが差し出した掌を、俺はしっかりと掴んでいた。
俺達の新たな「クエスト」が始まった。

 

 

「こ…こんなの、アリかよっ!!」
叫んでもどうにかなるものではない。
非力な「妖精」には絡みつく触手を解くことなど叶わない。

新たな階層には、これまで見たことのない怪物がいた。この触手の怪物もその一つだ。
何本にも枝分かれし、様々な太さの触手がウネウネと俺の四肢に絡みつき、大の字に固定する。
粘液をまとった触手が、舌で舐めるかのように、露出した俺の肌を嬲ってゆく。極細の触手が耳の穴をほじくる。
一本の卑猥な形状の触手が目の前に現れた。
そいつは躊躇うことなく、俺の口を割って入り、喉の奥まで侵入した。口の中で蠢きながら、粘液のようなものを吐き出している。
粘液は俺の唾液と混ざり、俺の口蓋を満たす…それは防ぎようもなく、俺の喉に落とされていった。
粘液は俺の胃の中に落ち、胃壁から体の内に浸透してゆく。

これが俺の肉体に危害を加えるものであれば「妖精」の属性で無効化される。が、この粘液は俺の体を火照らした。
(害はないのだろうが、俺には厭な予感が感じられた…)
火照りは全身に広がったが、一段と熱さを増していたのは下腹部の内側だった。
暑さからか、股間に汗が染む。太股を擦り合わせると、ヌラヌラと粘り気があるようにも感じられる。
下腹部の火照りは「疼き」に変わる。肉体へのダメージは感じられないが、腹の内側に手を突っ込み、疼きの元を描き出したい欲求に駆られる。

ガイに助けを求めようとしたが、彼は次から次に襲いかかる怪物への対応で手一杯のようだ。
「な、何とかしてくれ…」

俺の心の呟きが聞こえたのか、俺の口を塞いでいた触手が離れる。その先端は俺の肌から離れることなく、顎、喉、胸と一直線に粘液の筋を引いてゆく。
触手は臍の上を通り、俺の股間に達した。

俺は疼きを鎮めてもらえるのなら、何でも良い…とは思ったが、疼きの遠因であるこの触手だけは別!!
「ガイーーーッ!!」
俺は叫んでいた。
触手から解放された俺の口は、俺の想いを正しく音に変換してくれる。

ガイが振り向く
その一瞬の隙が彼の体に傷を増やす
ガイの剣が一旋し、怪物との間に距離が生まれる
ガイが放たれた砲弾のように、叫び声の元に突進してくる

そのままの勢いで触手を切り刻んだ。
四肢が解放され、俺は地面にヘタリ込んでしまう。
「大丈夫…そうではないな。一旦街に戻ろう。」
と俺を抱きあげたガイは、貴重な空間転移魔法を発動させた。

 

 
宿のベッドに寝かされた。
疼きは一向に収まらない。もどかしさにのたうち回る。
そんな俺をガイが優しく看ていた。

ガイは応急処置をしただけで、今だあちこちに血を染ませていた。
いつもであれば、俺が妖精の治癒能力で即に癒してしまっている。が、ガイは何も言わずに俺を看ていた。

俺は治癒能力が健在であることを確認すると、ガイに声を掛けた。
「傷…、直してやるよ。」
「無理はしなくて良い。」
「大丈夫だ。が、今は集中力に欠けている。服を脱いで、俺に触れられるようにしてくれ。」

ガイは「わかった」と服を脱ぎ、俺に覆い被さるようにした。
俺はガイの背中に手を回し、密着度を上げてから治癒能力を発動させた。

いつに増して体が暑くなる。その熱は下腹部の疼きを増長させる。
「ん…んあん♪」
艶めかしい吐息が俺の喉を震わす。
ビクリとガイの体が緊張した。
「マジイ!!」とガイが呟いたが、俺は治癒能力に集中しようと必死で、ガイの呟きの意味を取り過ごした。

「もう限界だ。そんな顔のお前を前にしては、俺は理性を保ちきれない。…スマン…」
努めて意識しないようにしていたが、ガイの股間ではペニスが堅く勃起していた。幾度となく、それはガイと俺の腹の間に圧し当てられていた。
ガイが腰を揺する。
俺の股間にガイが割り込んでくる。
脚が開かれる。
俺の股間にガイの先端が触れ…

ヌッと、何の抵抗もなく、ガイのペニスが「俺」のナカに入ってきた!!

 
ガイの先端が疼きの源に触れる所まで挿入された。
俺には拒絶することができなかった。
俺が妖精の…オンナの…肉体で固定されてしまった時から、心の片隅でいつかこうなるだろうとは予感していた。
今は「疼き」が拒絶ではなく、積極的に受け入れる方向に傾けている。
「もっと奥に…」
俺は治癒の為に胸から腹にかけて密着させていた体勢から、股間を密着させるように体勢を変えていた。
ガイの刺激が「疼き」に到達する。
「疼き」は「快感」に変わる。
俺は「オンナ」のように嬌声をあげ、彼の腕の中で悶え狂った。

「あぁ…イイぞ♪」
ガイの動きが激しさを増す。
そして、小さなうめきと供に彼のペニスから熱い塊が放出された。
「疼き」は嘘のように鎮まっていた。
跡には「快感」だけが残っていた。

「ガイ…」
俺は彼に声を掛けていた。
「ん?何だい♪」
彼の優しい瞳に見つめられる。
(これを言ってしまって良いのか?)
もう一度自問する。
が、答えは決まっていた。
「もう一度…シテくれる?」

 

 

 
俺達のコンビは最強だった。
ガイが斬り込み、俺が支援する。
俺は「戦力」にはならないが、ガイに無限の活力を与え続ける事で、ガイは疲れを知らない「最強の戦士」となった。
そればかりではない。彼の背後に寄り添う俺は無敵の楯であった。
「妖精」は攻撃はできないが、攻撃を受けることもない。俺がガイの後を守る事で、ガイは攻撃に専念できた。

 
いくつかの階層を攻略し、俺達はラスボスと対峙していた。
「下がっていろ。」
ガイが単独でラスボスに向かう。俺はガイから離れた。
「うぉおおおっ!!」
ガイがラスボスに斬り掛かる。
奴の注意がガイに集中している隙に、俺はラスボスの玉座の裏に回り込む。
それは、かねてからの計画通りの行動だった。

そこには一体の妖精が拘束されていた。奴はその妖精から強制的に活力の補給を受けているのだ。
「妖精は戦う事ができない」「妖精を傷つけることはできない」
が、妖精同士であれば…
俺は剣を抜いた。
この妖精自身には何の恨みもない。が、ラスボスを倒す為には…

「あたしを解放して下さい。」
その妖精は涙を浮かべて俺に懇願した。
鈍る心を奮わせる。
剣を腰溜めに、俺の勢いと全体重を掛けて、その妖精の胸に剣を突き立てた。
刃は彼女の背中へと抜けていた。
「…ありが…と…」
彼女はそう言い、息絶える。キラキラと輝きをまとい、虚空に消えていった。

「そこだっ!!」
ガイの気合いが階層全体を圧した。
活力の供給が断たれた瞬間、ラスボスに隙が生まれた。気合いとともにガイが斬り掛かる。
今までに増して致命的な一撃が加えられた。が、ラスボスの傷は今までと事なり、癒える兆候は現れなかった。
「うりゃー!!」
ガイが第二撃を加える。
ラスボスの片腕が落ちる。
更にガイの攻撃が続く。…そして、留目の一撃がラスボスの脳天を砕く。

 

 

[ミッション、コンプリート♪]
モニタにエンドロールが流れていた。

いつの間にか、俺はログアウトしていた。
「時間は?」
窓を見ると空が白み始めていた。時計は早朝である事を告げていた。
そして…日付は一つ進んだだけ…

そう、実世界ではたった一夜の出来事だったのだ。
「うう~~ん♪」
椅子の上で伸びをする。
妖精の時は疲れなど知らなかったが、一晩の…主観的には、ここ数ヶ月の疲れが一気に襲い掛かってきた感じがした。
そのまま体を倒して、ベッドに転がり込む。
「ガイ…」
俺は愛しいヒトの名を呼んでいた。
「ガイ♪」
二人で過ごした時間を思い出す。
逞しい腕に抱かれ、俺は何度イッたのだろう。
「もう一度…」
俺の手は無意識のうちに股間に伸びていた。
下腹部が疼いている。
「シて♪」
俺の指は彼の代わりに濡れた股間を分け入ってゆく…

被憑依体質(1/3)

 
(あ…憑かれた)
即に判ったのは、俺が憑かれ易いからだけではなかった。
俺の忌まわしい体質は、単に憑かれるだけではなく、憑依してきた霊の本来の肉体を再現しようとするのだ。
筋骨隆々のマッチョな男の霊に憑かれれば俺もマッチョに、幼い小学生の霊に憑かれれば手足も小さく、可愛らしい姿に変わる。
質量保存則など無視したように、身長体重など全てが憑依してきた奴のものに変わってしまうのだ。
まあ、霊が「この世の未練」を解消し、昇天してしまえば、俺本来の肉体に戻れるのだが…

 

今回もまた、肉体の変化が始まっていた。
胸の周りが窮屈に感じた。見ると二つの肉塊が内側からシャツを圧しあげている。
パンパンに張った胸元は女性のバスト…巨乳を形造っていた。

この体は、胸は大きいものの、それ以外は細くズボンが落ちそうになったのでベルトをキツく締めた。
背丈はそう違わないようなので、ズボンの裾は折らずに済んだが、足はやはり小さく、スニーカの紐を縛り直す必要があった。

体型の変化に慣れているとはいうものの、サイズの合わない服を着ていては動き辛い事は如何ともし難い。
急いで自分の部屋に戻った。ココならば誰の目に止まる事はない。
着ていたモノを全て脱ぎ去り、全裸となる。
常備している大きな姿見の前に立ち、俺に憑依してきた奴の姿を検分する。

服の上からでも十分に想像がついていたが、大きな胸と、締まるところがきっちりと締まったセクシーな肉体であった。
そして、その上に付いた顔も十分に可愛らしい。肉体とはアンバランスな幼顔ではあったが、それがまた彼女の可愛らしさを際立たせていた。

(な…何をしてるのよ!!)
憑依してきた娘がようやく意識を取り戻したようだ。
(あたしの体で何をしようとしているの?!)
かなり興奮しているようだ。
「少し訂正しても良いかな?」
口調は俺でも声は彼女の…女の子の声になってしまう。
(な、何よ!!)
「この体は、本来は俺の体なんだ。君が憑依したことで、生前の君の姿が再現されているだけなんだ。」
(そんな事、聞いた事ないわ…)
「君が知っているかどうかは関係ない。君はこの世に残した未練を解消するために俺に憑依したんだろう?」
(未練…って…あたし、死んじゃったの?)
「君がこうして俺に憑依しているって事は、そういう事だ。」
(貴方があたしに憑依してるってコトじゃないの?)
「残念ながらね♪俺は一刻も早く未練を解消して昇天してもらいたいと思っている。そのためには協力を惜しまないよ。」
(だったら、早く何か着てっ!!恥ずかしいわ!!)
「だったら、君自身で動いたら良いんじゃないか?憑依されている時は原則として俺は何もできないからね。」
「あたしが?」
(そう。君が動かそうと思えば、この体は自由に動く筈だ。服はクローゼットにいろいろ取り揃えてあるよ♪)

まあ、こんな特異体質を持っているおかげで、部屋の一角を占めるクローゼットには様々なサイズの服…男物も女物も…が揃えてあった。
勿論、下着も…だが、ブラジャーだけはサイズが微妙なのでブラキャミで凌いでもらうしかない。しばらく居るようならブラくらいは買っても良いよ、とは言っておく。
彼女はワンピースを選び、姿見に写しておかしな所がないか確認すると
「これで落ち着いて話しができるわ。」と言って、椅子に座った。

「貴方の言う事を信じれば、あたしはもう死んでいるのね?」
(現世に何らかの未練を残したままね。)
「でも、未練なんて知らないわ。第一自分が死んだなんて、まだ信じられないのよ。」
(それかな?自分の死を受け入れられていないから無意識のうちに現世に留まろうとしている。)
「つまり、あたしが死んだ事を納得すれば良いってこと?」
(そういう事だね。)
「簡単に言うのね。」
(簡単じゃないのを知っているからね。)

 
彼女の記憶は昨晩眠りに就いた所で途切れていた。
大病を患っている訳でもなく、外を歩いていて事故に会った訳でもないようだ。場合によっては、自分が死んだ場所に行くと納得してもらえる。そうでなくとも、そ
こから何らかの糸口が見つかるものだ。
「家に帰ってみる?」
(先ずはそこからだろうね。しかし、少し変装した方が良い。死んだ筈の君が動いているのを見て騒ぎを起こす人がいないとも限らない。)
俺は変装道具を置いてある場所を教えてやった。

 

 
彼女の家は、そう離れた場所ではなかった。
サングラス越しに家の中を伺う。
人が死んだという騒がしさはない。かと言って、留守と言う訳でもない。
(君の友達を装って入ろうか?)
彼女は首を縦に振ると玄関に進み、呼び鈴を押した。
「は~い♪」
トタトタと近づく足音とともに若い女の声がした。
「諒子ちゃんいます?」
「ダレ?」と玄関のドアが開いた。
「?!」
俺も彼女も声を詰まらせた。
(…君には双子の姉妹がいたのか?)
(い、いいえ。彼女はあたし自身だと思う…)
「上がって良いかしら?」
俺は彼女から主導権を奪い取り、一歩玄関に踏み込んだ。
「ご家族はいらっしゃらないの?」
(旅行に行ってて明後日まであたしひとりの筈よ)
「今はいないわ」
二人の諒子が同時に答えてきた。
俺はずかずかと家の中に入っていった。
「あ、貴女は誰なの?」
「あたしこそ聞きたいわ。あたしの体を奪って、何をしようっていうの?」
「俺…あたしは…」
「あたしのフリなんかしないでっ!!」
「そ、そんな事言えるか。今は俺が諒子なんだ。俺が何をしようと関係ないだろう?」
「その体を返さないつもりなのね?」
「お、お前にはその体があるから良いだろう?」
「こ、これは…」
俺が言い淀んでいるのを見て、奴は俺を押し退けるようにして玄関から出ようといた。
「あっ、おい!!どこに行く?!」
俺も後を追った。

ぐるりと路地を巡り、諒子の家の裏手にあるアパートに着いた。奴は階段を上がり、二階の奥の部屋に入ろうとしていた。
扉が閉まる寸前に足を挟むことができた。
力は互角だったが、何とかドアの内側に体を挟み込む事ができた。

部屋の中には何とも言えない腐臭のようなものが充満していた。
部屋の中央に万年床。その周りに詰まれた雑誌の山。空いたカップ麺の容器が散らばっている。
(あっ…)
諒子が万年床の中の男を見て声をあげた。
(最近、良く見掛ける変質者!!)
俺は男の顔が良く見えるように、足先で男の体を転がした。
「コレがあんたの正体って訳だ。」
「わ、悪いか?」
「他人の体を奪っておいて何言ってるの?」
奴は男の傍らに座り込んだ。

「これが俺か…」
奴が呟いている。
そのまま上体を倒してゆく。
(きゃああ"!!)
諒子が叫ぶ。
奴はそのまま男=自分自身と唇を合わせた。
「あ、あたしのファーストキス。勝手にやらないで!!」
体の主導権があっという間に諒子に移っていた。
奴は「ふんっ」と諒子を見返す。
「キスだけで騒ぐなよ。これからもっと凄いコトをしようとしてるんだぜ♪」
奴は立ち上がり、服を脱ぎ始めた。
「…」
諒子の動きが止まる。
「今のは、俺にとってもファーストキスだ。そして、これから俺は童貞を卒業する。あんたにとっては乙女からの卒業になるのかな?」

諒子は動けずにいる。
このままでは諒子の肉体が…
俺は気力を総動員して諒子から肉体の主導権を奪い取る。
俺は全裸になりかけている奴に飛び付き、押し倒した。
奴が脱ぎ散らかした諒子の衣服で手足を縛る。うるさくしそうだったので、猿轡をした。

俺は乱した息を整えながら全裸の奴を見下ろした。
「大人しく元の体に戻れ。童貞を卒業したいのなら、何とかしてやる。これ以上諒子さんを苦しめるな。」
そして、俺は内にいる諒子さんに言った。
(詭弁かもしれないが、この体は君本来のものではない。いくらこの体が汚れようとも、君自身が汚れることはないんだ。)
(それってあなたが奴とSEXするってこと?)
(これまでにも何度か憑依した霊を昇天させるためにやった事はある。君は自分の体に戻る事だけを考えていれば良い。)
(他に手がないなら、仕方ないわね…)
それっきり、彼女は黙ってしまった。
「さあ、やってあげるから♪」
と俺も服を脱いでいった。下着も取り去り、全裸を晒す。
「脱がすわよ。」
そう言って万年床の布団を剥いだ。
更なる腐匂が湧き立つ。パジャマ代わりのトレーナを剥がす。下半身のジャージをパンツと一緒に剥ぎ取る。
彼の股間では、条件反射のようにペニスが勃起してゆく。
「見てるだけで良いの?貴方の大事なモノが女の手に握られているのよ。早く自分の体に戻って自分自身で感じた方が良いんじゃない?」
挑発したが、奴は何の反応も見せない。
俺は奴の顔の上に跨った。俺の股間が奴の鼻に触れるようにしてやる。
「どお?オンナの匂いを直接嗅いでみたいと思わない?」

俺は更に上体を倒した。目の前に奴のペニスがある。
口を開き、ソレを咥えた。口蓋で、舌の上で、刺激を与えてやる。ペニスは硬さを増し、しばらくして大きく脈動する。
俺の口の中に、奴の精液が放たれていた…

「コレを飲んぢゃう娘がいるなんて信じられないね。」
ティッシュに吐き出した後、俺は冷静に感想を述べた。
が、奴が自分の体に戻るような気配は感じられない。

俺は再び奴の上に跨った。今度は正対し、奴の腰の上に乗った。
勃起した奴のペニスが俺の股間に触れている。俺の股間は、これから始まるコトが何か判っているかのように、タラリと愛液を染み出している。
「そら、童貞卒業の瞬間だ♪」
俺はペニスの先端が膣口を捉えているのを確認すると、ゆっくりと腰を下ろしていった。
いくら俺が経験あるからと言っても、諒子が処女である事には変わりはない。俺は奥歯を噛み締めるように、破瓜の痛みを耐える。
緊張を解かねば、単に痛いだけなのは判っていた。大きく、深く呼吸をするように努める。
そして、奴のペニスが完全に俺の胎の中に収まった。異物でしかない筈のペニスではあるが、オンナの体に収まったとき、ソレは俺に多幸感をもたらす。
(んあん♪何コレ?ヘンな声がでちゃう)
俺が感じているモノも諒子に伝わっている。
(コレがオンナの快感だよ。処女なのにこんな感覚を知ってしまうなんてね♪)
(動いちゃダメよ。これ以上何かあったら、あたし正気を保ってられないわ)
(オンナはそんな事、気にしなくて良いんだよ。それに、奴をイかせない事には、君も元の体に戻れないんだよ♪)
(そんなァ…)

彼女が黙り込んだのをきっかけに、俺は腰を動かしてゆく。
「んあん、ああん♪」
彼女の艶声をそのまま口にする。その艶声を聞いて、彼女の興りが増してゆく。
ペニスの感覚に馴染み、痛みが引いてゆくと、跡には快感しか残っていない。
彼女にせかされるように、腰の動きを早め、ペニスに擦られる場所を調整してゆく。
「ああん、あん!!」
快感の頂きが見えてきた。
「イクの?イッちゃうの?」
俺は彼女の希望にあわせて、ペニスの締め付けを変えると奴の肉体もフィニッシュに向かっていった。
「あっ、あ、あ、ああーーーーっ!!」
奴の精液が放たれると同時に、俺は諒子と供に絶頂を迎えた。

 

被憑依体質(2/3)

 
イッた快感の余韻にいつまでも浸っていたかったが、俺はのっそりと体を起こした。
既に、俺の体は本来の「俺」の姿に戻っていた。つまり、諒子が元の肉体に戻っているという事。
俺は諒子の拘束を解いてやった。散らばっていた彼女の服を集めて渡してやる。
彼女が無言で服を着ている間に、俺も着れそうなモノを探して身に着けていった。

「ありがとうございました。」
彼女の家の前での別れ際に、彼女はようやくそれだけを言葉にした。
「何か困った事があったらいつでも訪ねてきて良いからね♪」

 
そう言ってから、まだ一週間も経っていなかった。
「どうも、あたしって憑依され易い体質だったらしいの…」
彼女は子供の頃から様々なモノに憑依されていたようだ。たまり兼ねた両親が遠縁の依呼に相談したらしい。
その人の呪力で、以降は憑依される事は無くなったが、先日、その依呼が亡くなったのと同時に解呪されてしまったらしい。
(両親が旅行に出ていたのは、その依呼の葬式だったらしい)

彼女の被憑依体質が復活したと考えた両親は彼女に注意するように言ったようだ。
が、何をどう注意した所で憑依されてしまうのを阻止できない事は、俺自身の経験からも言える。
憑依されてしまえば、そいつがこの世の未練を解消して昇天するか、彼女への憑依に飽きて自ら離脱するまでは元に戻る事ができない。
憑依されても意識が残っている俺と違い、彼女は幽体離脱してしまうので、そのままでは憑依してきた奴に干渉できないのだ。

しかし、彼女は俺に再憑依する事で「干渉」が可能になる事を知った。そして、再び別の霊に憑依された彼女は、早速俺の所に来たと言う訳だ。

(で、今回はどんな感じなんだ?)
既に肉体の主導権は諒子に渡っていた。
「この間と同じに家に戻るわ。この間の事は両親にも話してあるから、もう一人のあたしが現れても騒ぎになることはないわ。」
そう言いながら、さっさと着替えると、彼女の家に向かった。

 

「貴方がその体に取り憑いているだけなのは判っています。だからといって無理に引き剥がしたりはしたくありません。」
諒子はもう一人の諒子に語りかけていった。
「貴方はこの世に何か未練があるのでしょう?あたしがお手伝いしてあげます。聞かせてもらえませんか?」

もう一人の諒子は、ゆっくりと顔を上げた。
「……ット…、もっと生きていたいの…」
「単に生きていたいだけなの?何かやり残した事はない?」
「…」
(具体的な欲求が出せないとなると厄介だね。明日、遊園地にでも遊びに行ってみるのも手だね♪)

もう一人の諒子…香里は、諒子の提案を受け入れてくれた。
「じゃあ、今夜はお風呂入って一緒に寝よ♪」
(って!!一つの布団にくるまるのか?お、俺は理性を保てないぞ!!)
(女の子同士だもの…問題はないわ。香里が寂しくないように、そばにいてあげたい
の。そうだ!!)
「うちのお風呂、そんなに広い訳じゃないけど、一緒に入る?」

…俺はもう、何も言えなかったorz…

 

 
「「きゃーーーっ!!」」
ジェットコースターの上で二人の諒子が歓声を上げていた。
家を出る時には暗い表情のままだった香里も、遊び始めれば即に表情も和らいでゆく。二人とも十分に楽しんでいるみたいだった。

「双子さんですか?」
売店で買い物をすると、店の人によく言われる。彼女達は否定することはなかった。
諒子は同じデザインの服を二着も持ってはいなかったが、遊園地に着いた早々揃いのTシャツを買って着替えていた。
誰が見ても「双子」と思うに違いない。諒子と香里は姉妹のように仲良く、その一日を過ごしていた。

 

 
遊び疲れて家に戻ってきた。
その晩も二人は一緒に風呂に入り、一つの布団にくるまっていた。

「こんなに楽しい一日を過ごせたのは初めてよ♪」
香里が諒子に「ありがとう」と言った。
「ずっと病院で寝たきりだったんで、こんなに楽しい事ができるなんて思ってもいなかった…」
「満足した?」
「年頃の女の子としては、できれば素敵なカレシ♪と楽しみたかったかな?」
「で?カレシとは何をするのかな?」
「何って?」
「今夜は帰さないよ…とか言われて、ギュッと抱き締められて…」
そう言いながら、諒子は香里を抱き締めた。
「好きだよ♪っ言われてキスされるの。」
「んん…」
諒子は香里の唇を塞ぎ、片方の手をパジャマの中に滑り込ませ、香里の胸を揉みあげていた。
「ああん…」
諒子が唇を離すと、香里の唇から甘い吐息がこぼれ落ちた。
「この体が感じる所は皆知ってるからね。いっぱい感じさせてあげるわよ♪」
そう言ってパジャマを剥ぎ取り、香里を全裸にしてしまった。
「あん、ああん♪ああ~~ん!!」
感じる所を的確に責められ、香里は諒子の腕の中で悶えまわった。

「そろそろ良いかしらね♪」
香里の体がビクリと跳ねる。
「刺激が強過ぎたかしら?声も出せなかったわね♪」
諒子は羽先で擦るかのように、陰核への刺激を調整した。
「あん、ああん♪」
再び香里に淫声が戻る。
「あ…ああっ…」
諒子の指が、ついに膣口から奥へと侵入していった。
指を二本に増やす。
「香里は今、理想のカレシに抱かれているの…カレシのペニスが貴女を貫いている…」
そして、ゆっくりと指を前後に動かした。
「こうして欲しかったのでしょう?貴女の膣の中をカレシのペニスが動いている。その快感の中でイク事を望んでいた…」
「そうよ…寝たきりの女の子がどんなに望んでも、叶うことなどない…ああ、意識が飛んじゃいそう♪」
「そう、貴女は今、カレシのペニスでイこうとしているの…ほら♪コレでイッちゃいなさいっ!!」
諒子の動きが少しだけ変化した。と、同時に…
「ああっ!!ああああ~~ん♪」
香里がひときわ大きな嬌声を上げる。
(イッたようね♪)
そんな囁きを残し、諒子が「俺」から離れてゆく。
「あたしはまだ、貴方に体を許した訳ではありませんからね。」
俺の腕の中から「諒子」が抜け出してゆく。
下着とパジャマを着けて俺の脇に立つ。
「貴方と寝るつもりはありませんから。さっさとベッドを降りてもらえません?」
俺は元の姿に戻っていた。全裸のままである。
「あなたの着替えは用意しておいたわ。」
と渡された紙袋からパンツを取り出す。
俺の股間は、諒子が跡した愛液で濡れていたが、そのままパンツを穿くしかなかった。
シャツとズボンを着け、俺は深夜の街中を自分の部屋へと戻っていった。

 

被憑依体質(3/3)

 
「僕…、どうなっちゃったの?」
今度、諒子に憑いたのはマサシという少年だった。
「多分、あなたは死んでしまったんだと思う。あなたが最後にいた場所を覚えている?」
マサシが素直に頷いたので、俺達は着替えをすると、その場所に向かった。

ひと目で「事故」があったと判る。路肩に菊の花束が置かれ、線香の煙が上っていた。
近くには「交通事故多発地点」の看板がある。車の往来はほとんどないが、良く整備された道路である所為か、通過してゆく車のスピードはかなり早い。
ここは信号機のついた交差点だが、見落とされる程地味であり、見ているそばから信号無視をする車を何台も見かけていた。
「何か思い出した?」
諒子が尋ねてもマサシは首を横に振るだけだった。
(しかし、マサシ君がここで事故に合ったのは間違いないようだね。だとすると、搬送された病院を確認するか、直接マサシ君の家を訪ねることになるね)
「あなたの家はここから近いの?」
と聞くと、コクリと頷いた。

マサシの案内で彼の家に向かった。
最近建てられた高級マンションだった。入り口に葬儀社のロゴの入った車が止まっていた。
中から人が出てくる。いかにも葬儀社の社員らしい男と、少しやつれた顔の男…
「パパ…」
マサシが呟く。
ヤバイ!!と思ったが、既にマサシは駆け出していた。

「パパーーッ!!」
閉まりかけの自動ドアの隙間からエントランスに駆け込むなり、そこにいたやつれた男…マサシの父親に抱きついていた。
いくらマサシの親と言っても、流石に諒子の年齢の娘がいる年ではない。傍目には「愛人」が抱きついている…としか見えなかった。

「少しお話しさせていただけませんか?」
と諒子が進み出た。
「君は?」
と言い、抱きついてきた娘と見比べる。
「君まで私の事をパパと呼ぶのかい?」
「それはありません。説明させていただけませんか?」
と諒子は彼からマサシを引き離した。
「複雑そうだね。ここでは何だから、家に来てくれるかね?ご存じかと思うが、家は立て込んでいるがね。」

 

 
その日、マサシは黒いワンピースを着て「自分」の葬式に参列していた。
周囲には「遠縁の娘」として紹介し、しばらく一緒に住むことになっていたと説明していた。
同じ顔の人物が二人いると騒ぎになりそうなので、俺達は葬儀には参列せず、遠くからマサシの姿を確認しただけだった。

マサシが彼の両親と生活している間は、俺は「諒子」として生活しる事になる。
もっとも、肉体の主導権は諒子にあるので、彼女はいつもの生活を継続するだけだ。
「これなら諒子も被憑依体質に悩まされる事もないわね。」
「マサシ君もご両親と幸せな日々を送れているそうじゃないか。」
諒子の両親が呑気にそんな事を言う。
実際、俺が元に戻れたのは、それから3年後だった。
マサシの両親に子供…マサシの妹が産まれたのだ。当然、マサシにだけ注がれていた愛情が案分される。
マサシは今の自分の体が借り物である事を意識する。家ではババママと呼べるが、外では叔父さん叔母さんと呼ばなくてはならない。
(僕は「死んだ」人間なんだ。パパとママには妹がいる…)
マサシが自分がここにいるべきでない。と認識した事で、彼の魂は諒子の体から離れていったのだった。

俺達が元の状態に戻ったと知り、不安になったのは諒子の両親だった。
再び諒子が憑依される心配に晒される日々が戻ってきたのだ。

俺達は諒子の両親の勧めで依呼の親類がいたという場所を訪れる事になった。

 

「何かやりようはないでしょうか?」
両親は紹介された依呼に懇願した。
「無いコトはない…が、そこの彼が承諾してくれるかな?」
そう言われ、全員の視線が「俺」に向いた。

この場所に来るまでにも、諒子に憑依して来る霊があったが、この場所の周囲には結界が張られているのか、諒子に憑いていた霊は自然に離脱していった。
だから、今の俺は自分自身の姿に戻っていた。
その「俺」に視線が集まる。
「別に良いですよ。俺は。」
その台詞に皆がほっとする。
「では、早速呪式に入りましょう。」

俺と諒子は白装束に着替え、複雑な文様が描かれた床の上に寝かされた。
立ち篭もる香の香り。その成分に睡眠効果があるのか、単調な依呼の呪祖とともに、俺は意識を失っていた…

 

気が付くと、目の前に天井があった。
振り返ると、俺の体がある。これが「幽体離脱」というやつなのだろう。
俺の隣には諒子が眠っていた。

呪祖が転調した。
グイッと俺の幽体が引き戻される。…その先は諒子の体だった。
俺の幽体が諒子にぶつかると、推し出されるように諒子の幽体が浮き上がる。諒子の幽体が「俺」の体に引き寄せられ…
「俺」の中に入っていった。

俺は初めて第三者の視点で「俺」が変身してゆくのを見た。
髪が伸び、胸が膨れ、顔が変わってゆく。
「俺」が諒子になるのは、もう何度目だろうか?諒子自身は慣れているのか、むっくりと起き上がり自分の体を確かめていた。

呪祖は止んでいた。
これで「終わり」と言う事なのだろう。
「彼の魂を諒子さんに憑かせました。既に安定状態に入っていますので、これ以上何者かに憑依される事はありません。」

俺は本来の「俺」を見た。諒子の霊が憑いた事で姿は「諒子」となる。そして、その内にはあるのは諒子の魂だけだ。彼女は「諒子」そのものとなったのだ。
そして俺は…「諒子」の姿になっている。俺が「諒子」でいた時は、肉体の主導権は諒子にあった。主導権を譲られたとしても、同じ肉体の中に諒子は存在していた…
が、今の俺は単独でこの「諒子」の内にいる。誰が主導権を持つかなど考える必要もない。
俺が「諒子」…いや、諒子は俺の目の前にいる。「俺」は「諒子」ではない。
俺は諒子とは別の…一人の「女性」なのだ!!

 

 

俺は「俺」の部屋に戻ってきた。
もう、諒子一家と係わる事もない。更に、霊に取り憑かれることもなくなった。今日からは「普通の人」として生活してゆく事ができる。
女の姿になってしまったが、これまでも女の霊に憑依され、何度か女にされた事がある。マサシの件で3年間を「諒子」として過ごしてき経験もある。
女として生活するのに不自由はないし、「独りでいられる」のだ。女になった事に不満はなかった。

俺は「俺」の布団の上に転がった。
緊張が解け、大きく息をする。
いつもなら気にしたことのない「俺」の匂い…「男」の匂いに包まれているのを感じた。
俺の「女」の肉体が反応する…

「んあん…」

俺は胸に手を当て、ゆっくりと揉みあげていた。
もう一方の手はショーツの中に入ってゆく。
そこは既に濡れ始めている。
「あん♪ああ~ん!!」
指先が秘裂に割り込んでゆく…

「ダメよ。そんなんじゃ♪」
俺は俺を犯そうとしている男を想像して言った。
「もっと激しく、もっと奥まで…あたしを犯してっ!!」
想像の男は、いつしか「俺」に変わっていた。
「ああっ!!いいわぁ~~♪」
全裸のあたしは彼の腰に脚を絡め、彼のペニスを更に奥へと誘う。
「あ…あぁ。イクぅ、イッちゃうよぉ♪」
「彼」の精液があたしの膣の奥に放たれる…

 

 
…これが俺の望みだというのだろうか?
俺が「俺」に抱かれる…

ありえない事ではない。
もし、諒子の変身が解けてしまえば、そこには「俺」が存在する事になる。

もし、俺が諒子に抱かれたとき…

俺ははたして「昇天」してしまうだろうか…?


-了-

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