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2012年6月18日 (月)

COPY(前篇)

ファインダーに写っている顔…これが、今回のターゲットだ。
カシャリ!!
音を発ててシャッターが切れる。それは電子音ではなく、機械的に発せられた音だ。
すなわち、これはフィルムを使う旧式なカメラであるという事…だが、このカメラのフィルムは普通のフィルムではなかった。
それは、魔法が作り出した常識的にはあり得ない類のものである。

その昔「写真を撮ると魂が取られる」と云われた事があった。
このフィルムは似て非なるものである。別に被写体の魂を取り出す訳ではない。このフィルムを現像すると、被写体そっくりの「皮」が出来上がるのだ。
この「皮」を着れば、被写体とまったく同じ姿になれる。…中身は別物だが…
同時に同じ人間が二人居るのは不自然であろう。元の被写体にご退場願えれば「皮」を着た人物が本人となる事ができる。
中身が違う事は誰にもわからない。周りからは魂が取られ、何かしらの霊に憑依されたかのように見られるだろう。
十分な調査をし、記憶している事項を共有し、癖や考え方まで真似ができれば、完全に成り代わる事も可能なのだ。

 
ターゲットの姿はしっかりと魔法のフィルムに焼き付けられたことだろう。
俺は身を隠していた茂みから出ると、急いでアジトに向かった。
魔法陣の描かれたカーペットの上で現像を始める。暗い部屋の中で赤暗い光がかろうじて手元を見えるようにしてくれている。
カメラからフィルムを抜きだし、現像液に浸す。フィルムの周囲が融けてゆき、人型に残される。色が浮き出てくると現像液から引き上げる。
これを室内に張られた紐に干しておくと…一晩で薄く伸び、等身大に広がるのだ。

夜が明ける。
紐にぶら下がった「皮」を広げる。皺くちゃではあるが、確かにターゲットの姿を写し取っていた。
ターゲットの名は水沢瞳。近くの女子校に通う高校生だ。
依頼人が、なぜ彼女をターゲットに選んだのかは知らない。俺としてはきっちりと仕事をして報酬をもらうだけだ。
浮き輪を膨らますように口から空気を入れると「人」の形に膨らむ。
ひとまわり小さいが、伸縮性があるので、中に人が入れば本人と同じ大きさになれる。「皮」は薄いが、簡単に破れるような事はない。
依頼人の指定にあった通り「俺」が皮を着込んでゆく。
俺の体躯はターゲット本人より大きいのだが、それは問題ない。魔法の力で「皮」を着てしばらくすれば、ターゲット本人の体と寸分変わらなくなる。
依頼時に女子校の制服と一緒に渡された女性用の下着を着ける。バストがブラジャーのカップに収まる感じは男がそうそう経験できるものではない。
更に制服を着込み、鏡に向かう。高校生なので化粧の必要はないが、リップクリームが用意されていたので、とりあえず塗っておく…
鏡の中に映っていたのは「水沢瞳」そのものだった。これも用意されていたローファーを履き、待ち合わせの場所に向かった。

「ふ~ん。コレがあたしなんだぁ♪」
依頼人とともに現れたのは「水沢瞳」本人だった。
「どういう事だ?ターゲット本人に知られているとは契約にはないぞ!!」
「ま、まぁ落ち着いてください。」と依頼人。
「実際、わたしは仲介者であって、実際の依頼人は彼女なんです。一介の女子高生からの依頼など本気にしてもらえないでしょう?」
「た、確かにそれはあるが…」
「勿論、費用も彼女の自費から出ています。彼女には母方の祖父から譲り受けた資産があります。ご心配には及びません。」
「悪かったわね。満足のいく出来よ。これが報酬。そして…」
と彼女が二枚の小切手を差し出した。一枚には今回の報酬額が記されていた。もう一枚には更に高い金額が…
「追加でもう一枚作って欲しいの。実際にはこっちが本来の依頼事項ね♪」

彼女の依頼は、彼女の女子校の奥に隠れるようにして暮らす女の皮を作る事だった。
どうしても彼女を引きずり出したいのだが、頑としてその場所を離れようとはしないらしい。
最期の手段として、彼女の替わりを立てることにしたのだという。
が、俺がカメラで狙おうにも、外に出てもらわなければならない…
「だから、貴方にそれを着てもらったのよ。あたしふりをして女子校に潜入すれば、いくらでも彼女を撮れるわ。」
「俺に女子高生の真似事をさせるのか?」
「真似じゃないわ。女子高生そのものになってもらうの。貴方もプロでしょ?報酬も上乗せしてあげるわよ♪」
彼女が小切手に記載した金額は、俺の想像をはるかに超えていた…

「では、お願いしますね?ごきげんよう♪」
そう言って二人が去っていった。
俺は学生鞄にカメラを仕舞い「水沢瞳」として、彼女の通う女子校に向かった。

 

「瞳~♪」
俺の姿を目敏く見付けて声を掛けてきたのは、彼女の親友である日向舞だった。
「ぁあ、ひーちゃん。オハヨッ…」
「おはようって、今何時だか判ってる?」
「何とかね。」
「また夜更かしし過ぎたんでしょ?夜更かしは美容の大敵なのよ!!」
「まお、そんなトコ…」
俺なりに「水沢瞳」をやれていると思う。ひーちゃんには不審に思われていない事は確かだ。
「じゃあ、また後で…」
と彼女と別れ、新たなターゲットを探しに校舎の奥へと進んでいった。

彼女は即に見つかった。礼拝堂の奥にある個室にいた。
彼女は人生の先輩として、悩める女生徒の好き話し相手となっていた。シスター達よりも年齢の近い彼女には、気安く話す事ができるらしい。
暖かい紅茶と甘いクッキーでもてなされると、どんな女の子も心を開いてしまうらしい。
しばらく様子を窺っていると、一人の女の子が彼女の部屋のドアをノックした。
ドアが開かれ、彼女が姿を現す。が、カメラを構えるより先にドアが閉められていた。
俺はその場で待つ事にした。待つ事には慣れている…が、単にお茶を飲んで話しをしている…だけにしては、かなり長い時間が経過していた。
やがてドアが開き、先ほどの女の子が出てきた。かなりスッキリとした顔をしていた。
泣いて腫れた目が治まるのを待っていたのかとも思っていたが、彼女の顔には泣いたという痕跡はなにも見られなかった。
女の子が去っていった。が、部屋のドアは開かれたままだった。
彼女は戸口に立ち…俺の方を見ていた。
(見つかった?)
俺の不安は即に的中していた事がわかった。

「「水沢瞳」さん?隠れてないで出ていらしたら?貴女にも美味しいお茶をさしあげますよ♪」
名指しされては隠れている意味もない。カメラを鞄に戻し、彼女の前に進み出た。
「さあ、どうぞ♪」
部屋に招き入れられ、テーブルに案内された。彼女がお茶の支度をしている間に部屋の中を見た。
仕切りの向こう側に簡単なキッチンがある。反対側はカーテンで仕切られていてその奥は見えない。ドアの反対側には書架があり、大量の書籍に埋められていた。

クッキーと供に紅茶が出される。
「どうぞ♪」
と俺と並んで座った。
「お砂糖は?」
「い、要りません…」
密着する彼女の体温が伝わってきて、なぜか心臓の鼓動が早まっていた。
「何の用でしたの?わざわざ瞳さんのフリをして近づいて来るって、よっぽどの事なのでしょう?」
彼女の問いに答える訳にはいかない。もっとも、喉がカラカラに乾いて、喋れなかっただろう。
俺は目の前にあった紅茶のカップを手に、一気に飲み干していた。
「美味しい?お替わりを入れましょうね♪クッキーも美味しいわよ。」
俺はクッキーを口に入れると、紅茶で胃袋の中に流し込んだ。
「あら、3杯目?大丈夫かしら?」
何が「大丈夫」なのかを聞こうとしたが、その前に俺の身体が熱を帯びてきたのを感じた。
更に、意識が朦朧としだす。
「く、薬を入れたのか?」
「2杯なら問題ないわよ。気持ちが軽くなるから♪嫌な事はみんな吐き出しちゃいなさい。その後でもっと気持ち良くさせてあげるから♪」
自白剤でも盛られたようだ。が、それでペラペラと喋りだす俺ではない。
「貴女はどんどん気持ち良くなっていくわ。この部屋を出ていく時には紅茶とクッキーの美味しさ。そして気持ち良かったことだけ憶えていて、後の事は皆忘れてしまうのよ♪」
彼女の手が俺のブラウスのボタンを外してゆく…
「だから、快感に全てを任せてしまいましょうね♪」
彼女の手がブラの中に入り込み、直接俺のバストを揉みあげる。
「はゥン!!」
思わず甘い吐息をあげてしまう。彼女の指が俺の乳首を摘みあげたのだ。
(全身が敏感になっている?)
「ねっ♪気持ち良いでしょう?これからもっと気持ち良くしてあげるわ。」
彼女は手際良く俺の服を脱がしていった。
カーテンが開けられると、そこにはキングサイズのベッドがあった。全裸の俺は抱きかかえられてベッドに運ばれた。
疼きが俺の肉体を支配していた。股間にはぬるぬると愛液が染みだしている。
「可愛がってあげるわね♪」
彼女も服を脱ぎ、ベッドに上がってきた。
(?!)
その彼女の股間には雄々しく勃立しているモノがあった。
「貴女は何も憶えていないの。快感に身を任せてしまいなさい♪」
股間が広げられ、彼女の舌が俺の秘所を舐めあげる。あまりの快感に、俺は淫声を抑えきれなかった。
「あふぁん。あん、ああん♪」
愛液が溢れてゆく。彼女がそれを舐め取っていた。
「準備は良いようね?さあ、これからが本番よ♪」
ズイッ!!
俺の膣に彼女のペニスが挿入された。盛られた薬の所為か、痛みはなく、快感だけが増幅されて俺を震わせてゆく。
「ああん、あ~ん♪」
快感が重なり、更なる高みへと俺を押し上げてゆく。
「こんな快感はハジメテかしら?貴女もこの快感の虜になってしまうわね♪」
…いや、俺は「男」なのだ。女の快感の虜になる訳にはいかない!!
が、俺の意志を無視して肉体は快感を求めて腰をくねらせている。
快感の頂がすぐそばまできていた。
「良いようね♪さあ、これでイッてしまいなさい!!」
彼女のペニスが大きく脈動し、俺の膣の奥に向かって精液が放たれた…
「あたしの精液には精子がないから、妊娠の心配はないわ…」
彼女の声を遠くに聞きながら、俺は「快感」という名の雲に包まれ、虚空を漂っていた…

 

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