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2012年2月11日 (土)

聖剣の導き

「うおぉぉぉぉ!!」
俺は手にした剣に、ありったけの念を込めて「魔物」に斬り掛かっていった。
薙ぎ払うと、剣に触れた所から魔物の身体が塵と化してゆく。
物理的な攻撃にはびくともしない魔物も、聖剣の前には為す術もない。

「突っ走り過ぎているぞ。」
相方のローエンが声を掛けてくる。
魔物に対して絶大な威力を発揮する聖剣であるが、当然の事ながら代償がついてまわる。
聖剣を発動させる為には、聖剣と契りを交わした者の「念」の力を必要とする。勿論、念の力は有限であり、連続して聖剣を発動させるには限界がある。
念の力も体力と同じく休息をとれば回復するが、それも適度な所で念の消費を抑えることが前提となる。則ち、限界を超えて念を消費してしまうと休息をとるだけでは済まなくなる。
肉体に大きなダメージが降りかかるのだ。最悪の場合「死」に至るとも言われている。
だが…
「こいつらを殺れば、しばらくは聖剣の出番はないんだ。今は無理をしてでもヤり抜いた方が良い!!」
俺は鬼神の如く魔物を斬り倒していった。

「こいつが最後か?」
俺はラスボスと思われる魔物に対峙した。
聖剣を構え、切っ先に念を集中する。

ローエン達が残りの魔物やザコを斬り倒す音も疎らになっていった。
一瞬、あたりが静寂に包まれる。
俺の心臓の鼓動のみが響き渡っていた。

 
聖剣の輝きに変化が生じた。
いつもは刃身全体が淡く輝いているのだが、その光が切っ先に集まりだした。
光の質も刺すような強い輝きに変わる。

 
魔物との間合いはいまだ縮める事ができていなかった。
このままでは聖剣を魔物に触れさすこともできず、俺の念だけが消費され続ける。
俺は聖剣を上段に構え直した。聖剣の輝きが俺に告げたのだ。切っ先に念を溜め、一気に放出しろ…と。
俺は聖剣を大きく振り下ろした!!
「ハッ!!」
気合いとともに切っ先から放たれた光の玉が魔物に吸い込まれていった。
魔物の動きが止まる。
俺は聖剣を腰溜めにし、魔物に突っ込んでいった。

「ググァアァァ…」
魔物の断末魔の叫びが響き渡り、そしてフェードアウトしてゆく。

 
俺は精魂尽き果て、聖剣を支えに地に膝を付いていた。
「やったな♪」
ローエンが駆け寄って来る。その顔を見て俺はホッと息を点いた。
張っていた気が解れると同時に残っていた念の力も失せ、俺の前から聖剣が姿を消す。回復するまで聖剣は異次元に隠れてしまうのだ。
聖剣の支えを失った俺の身体が地面に転がろうとする。それをローエンが抱き止めてくれた。
「お前は無茶が過ぎる。何れにしろしばらくは無理はできないからな。」
念とともに体力も低下している。今は聖剣の重さでもなくなるとなると助かる…
ローエンの言う通り、今の俺は何もできないのだ。

「ああ、解ってるよ。」と、微笑み掛けると彼はぐいと俺を抱きかかえた。しかし、その抱き方は…
「なあ、その抱き方は止めてもらえないか?」といつもながら抗議するが、
「これは、念を使い果たした今のお前の姿には最もふさわしい抱き方だ♪」と聞く耳を持たない。

それは俗に言う「お姫様だっこ」であった。
毎度の事ではあるが、俺の受ける肉体的ダメージは、肉体の女性化だった。手足も細くなり、人相までも変わってしまう。
ローエンに言わせれば、そこいらの女達より余程美人だ。との事。美女を抱えるには、この抱き方が一番だとローエンは言う。
彼には逆らう事ができない。何より、この先しばらくの間、俺の「念」の力の回復を手伝ってもらわなければならないのだ。
俺はおとなしく彼の首に腕を廻した。

 

 
ここまで失った「念」を回復するには、単に休息をとるだけでは不十分だ。精の付く食事や、回復の為のトレーニングが必要になる。
それ以上に効果的なのは、同じ聖剣の使い手から「念」を補給してもらうことだ。

「んぁあ…そ、そこ…イい♪」
俺はローエンに組敷かれ「念」の補給を受けようとしていた。
「こっちも良い感じだ。良いか?行くぞ。」
「ああ、いっぱい補給してくれ♪」
現在、考えられている最も効率的な「念」の補給は、「男女の交わり」であった。
つまり「SEX」。男が女の性器に自らの性器を挿入し、精液を投入する。本来、子孫を残すために行われる本能的な行動であるが、その行為で得られる快感のために、本来の目的とは別にその行為を行う事もある…
俺の股間に彼のペニスを受け入れ、精液とともに放たれる「念」の奔流を俺は膣で受け止め、これを吸収するのだ。
男同士であれば適わぬやり方であるが、幸いにも今の俺は「女」だった。これを使わない手はない♪
「っあ!!ああ~~っ♪」快感に、女のように嬌声をあげてしまう。
それがまた、俺の感度を引き上げ「念」の補給をスムーズにしてくれる。
「んあん、ああ…」快感の頂が見える。「念」の補給も忘れ、快感に没頭してしまう。その最高潮…俺は「女」としてイってしまった。
俺はその晩、三度の絶頂を迎え、三度目の快感の中で意識を手放していた。

 
念の補給は毎晩のように行っていた。それでも聖剣が元に戻るまでにはしばらくかかる。
ローエンは口では「嫌々」念の補給を行っていると言っているが、実はこの行為を魔物退治の後の楽しみにしているようだ。
思い返すと、俺は良いように奴に乗せられ「念」の過剰放出をしているのではないか?俺を煽ててラスボスに向かわせているのか?
ローエンがその他の魔物を一手に引き受けるのも、俺が集中し易いように…俺がいつでも「念」の過剰放出できる…
その、お膳立てをしているようにも思えてしまう。

俺としても念の補給を受ける行為を「嫌」だとは思っていない…それを悦んでいるのも事実だ。
「女」でいる間はヒラヒラのドレスを着てリボンやリングで自らを飾りたてるのも楽しい。
それを見てローエンが俺を綺麗だと言ってくれると更に嬉しくなる。

次の魔物退治までのしばしの休暇を、ローエンと腕を絡めて街を歩く。まるでデートをしているようだ。
すれ違う男達が俺に魅とれている様を見て、ローエンも鼻を高くしているに違いない。
いつまでも、このままでいたい…そんな気持ちが俺の中に生まれ始めていた。

 
毎夜の念の補給を受けて、聖剣が姿を取り戻そうとしていた。
それは、とりもなおさず、この姿との別れを意味する。
(このままでいたい…)
俺の想いが聖剣に届いたのだろうか?聖剣が俺に、その姿のままが良いのか?と聞いてきた。
一瞬躊躇ったが、俺は「女」のままでいる事を願った。

聖剣が復活した。が、その姿は若干細身になり、僅かではあるが装飾が施されていた。
この姿で魔物退治に向かうのだと、ローエンを説き伏せた。既に、次のイベントが発動していた。
女物の防具を揃え、俺はローエンと共に次の魔物退治へと向かっていった。

 

 
「ハイイーッッ!!」
俺は剣に念を込め、魔物に斬り掛かる…と言うよりは、女と見て組し易しと無造作に俺の前に躍り込んで来るのは、魔物の方だ。
以前のような圧倒的なパワーは失われていたが、柔軟性と敏捷性が増している。魔物の攻撃を難なく躱し、聖剣を突き出してゆく。
聖剣の効果には変わりはなかった。剣に触れた所から魔物の身体が塵と化していった。

俺がザコに絡まれている間に、ローエンは大物に対峙していた。
「うおぉぉぉぉ!!」と叫び、彼が魔物に斬り掛かってゆく。聖剣を薙ぎ払い、片端から魔物を塵と化してゆく。
「突っ走り過ぎないでね♪」今度は俺の方がローエンに声を掛けていた。

ザコが片付き、俺はローエンの援護に向かった。が、彼もラスボスに最後の一撃を加えようとしているところだった。
「はあーーっ!!」ローエンが気合いを掛けると、彼の聖剣が光輝く。

「ま、待てっ!!無茶だ!!」俺の叫びは届いたか?だが、輝く聖剣とともにローエンがラスボスの懐に飛び込んでいった。
その中心から閃光が放たれる。
塵となったラスボスの残骸が四散し、辺りが煙にまかれたようになる。

聖剣の光が消え、視界が戻ってきた。
俺はその中心に駆け寄った。
「ローエン!!」

そこにうずくまる人影…
ローエンよりはひとまわり以上小さい。
そこには、愛らしい女の子が聖剣の鞘を抱いていた。

「ロ、ローエンなのか?」

俺が尋ねると、少女はコクリと頷くのだった…

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